(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012454
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B01D 21/30 20060101AFI20220107BHJP
C02F 1/52 20060101ALI20220107BHJP
【FI】
B01D21/30 A
C02F1/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114289
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】福水 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 佳介
【テーマコード(参考)】
4D015
【Fターム(参考)】
4D015BA21
4D015BB09
4D015BB12
4D015CA01
4D015CA14
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA12
4D015DA13
4D015DB01
4D015DC07
4D015DC08
4D015EA03
4D015EA12
4D015EA32
4D015EA33
4D015EA35
(57)【要約】
【課題】反応槽内の凝集状態について適切な値を測定する。
【解決手段】懸濁物質を含む被処理水が流入する槽100と、凝集剤が注入された、槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置200と、撮像装置200の撮像範囲に光を照射する光源400と、撮像装置200が撮像した画像から特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更する制御装置300とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽と、
凝集剤が注入された、前記反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像範囲に光を照射する光源と、
前記撮像装置が撮像した画像から特徴量を算出し、前記算出した特徴量に基づいて、前記撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する制御装置とを有する水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記特徴量があらかじめ設定された目標値を満たすかどうかを判定し、前記特徴量が前記目標値を満たさない時間があらかじめ設定された規定時間を超えた場合、前記撮像装置の撮像プログラムを変更する水処理システム。
【請求項3】
請求項請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、あらかじめ設定された複数の撮像プログラムと、前記複数の撮像プログラムそれぞれを変更するための複数の前記目標値と複数の前記規定時間とに基づいて、前記撮像装置の撮像プログラムを変更する水処理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記撮像装置が撮像した画像からエッジピクセル数を前記特徴量として算出する水処理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記撮像装置は、少なくともカラーセンサと赤外線センサとを含む複数の画像センサを有し、
前記制御装置は、前記特徴量に基づいて、前記画像センサと前記撮像プログラムとの少なくとも一方を変更する水処理システム。
【請求項6】
凝集剤が注入された、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置が撮像した画像から特徴量を算出する算出部と、
前記算出部が算出した特徴量に基づいて、前記撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する変更部とを有する制御装置。
【請求項7】
凝集剤が注入された、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する処理と、
前記撮像した画像から特徴量を算出する処理と、
前記算出した特徴量に基づいて、前記画像を撮像する撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する処理とを行う水処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
凝集剤が注入された、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置が撮像した画像から特徴量を算出する手順と、
前記算出した特徴量に基づいて、前記撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場や下水処理場、その他の排水処理設備においては、被処理水に凝集剤を添加し、被処理水中の懸濁物質(SS)を凝集させてフロックを形成させ、フロックを沈殿分離や浮上分離等で分離する処理が行われている。その際、例えば、被処理水である原液に凝集剤を添加して攪拌し、攪拌された原液に光を照射して得た光学的測定値に基づいて、凝集剤の添加量を決定する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような技術においては、光の照射状態と光学的測定装置側の設定との関係によっては、適切な値を測定することができないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、反応槽内の凝集状態について適切な値を測定することができる水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽と、
凝集剤が注入された、前記反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置の撮像範囲に光を照射する光源と、
前記撮像装置が撮像した画像から特徴量を算出し、前記算出した特徴量に基づいて、前記撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する制御装置とを有する水処理システムである。
【0007】
前記制御装置は、前記特徴量があらかじめ設定された目標値を満たすかどうかを判定し、前記特徴量が前記目標値を満たさない時間があらかじめ設定された規定時間を超えた場合、前記撮像装置の撮像プログラムを変更することが好ましい。
【0008】
前記制御装置は、あらかじめ設定された複数の撮像プログラムと、前記複数の撮像プログラムそれぞれを変更するための複数の前記目標値と複数の前記規定時間とに基づいて、前記撮像装置の撮像プログラムを変更することが好ましい。
【0009】
前記制御装置は、前記撮像装置が撮像した画像からエッジピクセル数を前記特徴量として算出することが好ましい。
【0010】
前記撮像装置は、少なくともカラーセンサと赤外線センサとを含む複数の画像センサを有し、
前記制御装置は、前記特徴量に基づいて、前記画像センサと前記撮像プログラムとの少なくとも一方を変更することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、凝集剤が注入された、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置が撮像した画像から特徴量を算出する算出部と、
前記算出部が算出した特徴量に基づいて、前記撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する変更部とを有する制御装置である。
【0012】
また、本発明は、凝集剤が注入された、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する処理と、
前記撮像した画像から特徴量を算出する処理と、
前記算出した特徴量に基づいて、前記画像を撮像する撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する処理とを行う水処理方法である。
【0013】
また、本発明は、コンピュータに、
凝集剤が注入された、懸濁物質を含む被処理水が流入する反応槽に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する撮像装置が撮像した画像から特徴量を算出する手順と、
前記算出した特徴量に基づいて、前記撮像装置が実行する撮像プログラムを変更する手順とを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、反応槽内の凝集状態について適切な値を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。
【
図2】
図1に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】複数の目標値と複数の撮像プログラムとの対応付けのテーブルの一例を示す図である。
【
図5】本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。
【
図6】
図5に示した撮像装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図7】
図5に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図8】
図5に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図9】本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。
【
図10】
図9に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
【
図11】
図9に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】本発明の水処理システムの第1の適用例を示すフロー図である。
【
図13】本発明の水処理システムの第2の適用例を示すフロー図である。
【
図14】本発明の水処理システムの第3の適用例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
【0017】
図1は、本発明の水処理システムの第1の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図1に示すように、槽100と、撮像装置200と、制御装置300と、光源400とを有する。
【0018】
槽100は、懸濁物質を含む原水である被処理水が流入し、流入された被処理水を貯留する貯留槽であり、貯留された被処理水に対して外部から凝集剤が注入される反応槽でもある。撮像装置200は、凝集剤が注入された、槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する。撮像装置200は、例えば、水の画像を撮像する画像センサ(カメラ)であっても良い。撮像装置200として画像センサを用いる場合、画像センサの撮像範囲は、槽100内の例えば、30mm×30mmから600mm×600mmの範囲である。高画質な画像センサを用いれば、遠方からの広い撮像範囲の撮影でもフロック(以下、凝集物ともいう)の撮像が可能となるが、被写体であるフロックの粒径が極めて小さいこと、および広範囲を撮像できる画像センサが非常に高価であるという観点から30mm×30mmから300mm×300mm程度の撮影範囲を撮像することが望ましい。撮像装置200が、画像センサである場合、撮像装置200は、槽100内の水の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、動画撮像用カメラ)であっても良い。制御装置300は、撮像装置200が撮像した画像から特徴量を算出する。また、制御装置300は、算出した特徴量に基づいて、撮像装置200が実行するコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)である撮像プログラムを変更する。この撮像プログラムは、撮像環境や撮像条件に応じて、絞り値や、フォーカス、シャッタースピード、ISO感度等の撮像用のパラメータの設定を行うプログラムである。光源400は、撮像装置200の撮像範囲に光を照射する。光源400が照射する光の強度は、槽100内に存在するフロックを撮像装置200が撮像した画像から識別可能な強度である。光源400は、一般的なカメラのストロボのような撮像の瞬間に発光するものではなく、撮像装置200が撮像を開始する前から継続して光を照射しているものである。なお、槽100に、処理水を攪拌する攪拌部材が設けられていても良い。
【0019】
図2は、
図1に示した制御装置300の内部構成の一例を示す図である。
図1に示した制御装置300は
図2に示すように、算出部310と、判定部320と、変更部330とを有する。なお、
図2には、
図1に示した制御装置300が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0020】
算出部310は、撮像装置200が撮像した画像から特徴量を算出する。判定部320は、算出部310が算出した特徴量があらかじめ設定された目標値を満たすかどうかを判定する。変更部330は、算出部310が算出した特徴量に基づいて、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更する。具体的には、変更部330は、判定部320が行った判定の結果に基づいて、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更する。さらに具体的には、変更部330は、判定部320が、算出部310が算出した特徴量があらかじめ設定された閾値である目標値を満たさないと判定した場合、その状態が継続している時間があらかじめ設定された制限時間を超えていると、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更する。なお、この目標値は複数設定されているものであっても良く、その場合、それぞれの目標値に応じた複数の撮像プログラムが設定されているものであっても良い。
【0021】
以下に、
図1に示した水処理システムにおける水処理方法について説明する。
図3は、
図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0022】
まず、撮像装置200が槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像して取り込む(ステップS1)。すると、算出部310は、撮像装置200が取り込んだ画像を取得する。この取得方法は、例えば、撮像装置200が取り込んだ画像を制御装置300へ送信して算出部310が取得するものであっても良いし、算出部310が、撮像装置200が取り込んでメモリ等の記憶装置に記憶している画像データをその記憶装置から読み出すものであっても良い。
【0023】
すると、算出部310は、撮像装置200が撮像(取得)した画像から特徴量を算出する(ステップS2)。このとき、算出部310は、撮像装置200が撮像(取得)した画像からエッジピクセル数を算出して特徴量とする。このとき、算出部310は、撮像装置200が撮像(取得)した画像中の互いに隣接する画素の色差(例えば、RGBの値の差)が閾値以上である画素をエッジとして検出し、その検出されたエッジの数(画素数)をエッジピクセル数として算出するものであっても良い。
【0024】
続いて、判定部320が、算出部310が算出した特徴量があらかじめ設定された目標値を満たすかどうかを判定する(ステップS3)。具体的には、判定部320は、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っているかどうかを判定する。特徴量が目標値を下回っているなら、特徴量が目標値を満たさないものであり、特徴量が目標値を下回っていないなら、特徴量が目標値を満たすものである。判定部320が、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っていないと判定した場合、ステップS2の処理が行われる。一方、判定部320が、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っていると判定した場合は、変更部330は、その状態が継続している時間があらかじめ設定された規定時間を超えているかどうかを判定する(ステップS4)。変更部330は、その状態が継続している時間が規定時間を超えていると判定した場合、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更する(ステップS5)。それ以降は、撮像装置200は変更された撮像プログラムを実行して撮像を行う。
【0025】
目標値が複数設定されている場合、それぞれの目標値と複数の撮像プログラムとを対応付けておき、変更部330は、目標値に応じて変更する撮像プログラムを設定するものであっても良い。
図4は、複数の目標値と複数の撮像プログラムとの対応付けのテーブルの一例を示す図である。
図4に示すテーブルには、複数の目標値と複数の撮像プログラムとが、それぞれ対応付けられている。
図4に示すように、目標値AとプログラムAとが対応付けられて記憶されている。これは、判定部320が判定に用いた目標値が目標値Aである場合、変更部330が変更する撮像プログラムはプログラムAであることを示している。また、目標値BとプログラムBとが対応付けられて記憶されている。これは、判定部320が判定に用いた目標値が目標値Bである場合、変更部330が変更する撮像プログラムはプログラムBであることを示している。また、目標値CとプログラムCとが対応付けられて記憶されている。これは、判定部320が判定に用いた目標値が目標値Cである場合、変更部330が変更する撮像プログラムはプログラムCであることを示している。なお、
図4に示したテーブルは、制御装置300内に具備されたメモリに記憶されていても良いし、外部の記憶装置に記憶されていても良い。また、
図4に示すような複数の対応付けを用いる場合、判定部320が目標値Aを用いた判定を行って変更部330が撮像プログラムをプログラムAへ変更した後、判定部320が判定に用いる目標値を目標値Bへ変更して処理を進めるというように、撮像プログラムを変更するたびに判定部320が判定に用いる目標値を変えていくものであっても良い。また、複数の目標値およびプログラムを用いる場合、用いる目標値およびプログラムをローテーションさせて用いるものであっても良い。
【0026】
また、規定時間を複数設けても良い。
図4に示した複数の目標値と同様に、それぞれの規定時間と複数の撮像プログラムとを対応付けておき、変更部330は、規定時間に応じて変更する撮像プログラムを設定するものであっても良い。また、上述した目標値の変更と同様に、撮像プログラムを変更するたびに変更部330が用いる規定時間を変えていくものであっても良い。また、目標値と規定時間との組み合わせと、撮像プログラムとを対応付けておくものであっても良い。この場合、変更部330は、目標値と規定時間とに基づいて、撮像プログラムを変更する。また、撮像プログラムの変更のトリガとして、水質計器が測定した数値の変化を併用しても良い。水質計器のうち、例えば、濁度計やSS計を用いて原水の水質を測定し、測定した数値の変化に応じて目標値および撮像プログラムを切り替えても良い。
【0027】
被写体となる槽100に存在するフロックの状態が変化することで、撮像装置200が撮像した画像の中のフロックを、光源400からの光の影響で識別できなくなるおそれがある。本発明では、光源400が撮像装置200の撮像範囲に光を照射した状態で、制御装置300が、撮像装置200が槽100に貯留された水を撮像した画像の中の特徴量に基づいて、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更する。このため、光源400から照射される光の強度を変化させなくても、最適な画像を取得することができ、反応槽内の凝集状態について適切な値を測定することができる。また、撮像範囲が極小さな(狭い)範囲であるため、撮像範囲においてフロック(エッジ)を認識できる度合いが位置に応じて異なってしまうという現象を回避することができる。
(第2の実施の形態)
【0028】
図5は、本発明の水処理システムの第2の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図5に示すように、槽100と、撮像装置201と、制御装置301と、光源400とを有する。槽100および光源400は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0029】
図6は、
図5に示した撮像装置201の内部構成の一例を示す図である。
図5に示した撮像装置201は
図6に示すように、カラーセンサ211と、赤外線センサ221と、プログラム実行部231と、記憶部241とを有する。
図6に示すように、撮像装置201は、少なくともカラーセンサ211と赤外線センサ221とを含む画像センサを有する。なお、
図6には、
図5に示した撮像装置201が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0030】
カラーセンサ211は、光を発射し、対象物で反射してきた光を受光する一般的な光電センサの一種である。赤外線センサ221は、一般的に用いられる赤外線を検知する画像センサである。プログラム実行部231は、制御装置301が決定した撮像プログラムを記憶部241から読み出して実行するプロセッサである。記憶部241は、プログラム実行部231が実行する複数のプログラムを記憶する。
【0031】
図7は、
図5に示した制御装置301の内部構成の一例を示す図である。
図5に示した制御装置301は
図7に示すように、算出部310と、判定部320と、変更部331とを有する。なお、
図7には、
図5に示した制御装置301が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。算出部310および判定部320は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0032】
変更部331は、算出部310が算出した特徴量に基づいて、画像センサと撮像プログラムとの少なくとも一方を変更する。具体的には、変更部331は、判定部320が行った判定の結果に基づいて、画像センサと撮像プログラムとの少なくとも一方を変更する。
【0033】
以下に、
図5に示した水処理システムにおける水処理方法について説明する。
図8は、
図5に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0034】
撮像装置201のプログラム実行部231はこの時点で実行可能に設定されているプログラムを実行している。撮像装置201が槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像して取り込む(ステップS11)。このとき、槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像するのは、カラーセンサ211であっても良いし、赤外線センサ221であっても良い。すると、算出部310は、撮像装置201が取り込んだ画像を取得する。この取得方法は、例えば、撮像装置201が取り込んだ画像を制御装置301へ送信して算出部310が取得するものであっても良いし、算出部310が、撮像装置201が取り込んでメモリ等の記憶装置に記憶している画像データを記憶装置から読み出すものであっても良い。
【0035】
すると、算出部310は、撮像装置201が撮像(取得)した画像から特徴量を算出する(ステップS12)。このとき、算出部310は、撮像装置201が撮像(取得)した画像からエッジピクセル数を算出して特徴量とする。このとき、算出部310は、撮像装置201が撮像(取得)した画像中の互いに隣接する画素の色差(例えば、RGBの値の差)が閾値以上である画素をエッジとして検出し、その検出されたエッジの数(画素数)をエッジピクセル数として算出するものであっても良い。
【0036】
続いて、判定部320が、算出部310が算出した特徴量があらかじめ設定された目標値を満たすかどうかを判定する(ステップS13)。具体的には、判定部320は、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っているかどうかを判定する。特徴量が目標値を下回っているなら、特徴量が目標値を満たさないものであり、特徴量が目標値を下回っていないなら、特徴量が目標値を満たすものである。判定部320が、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っていないと判定した場合、ステップS12の処理が行われる。一方、判定部320が、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っていると判定した場合は、変更部331は、プログラムの切り替え回数があらかじめ設定された閾値未満であるかどうかを判定する(ステップS14)。変更部331は、プログラムの切り替え回数が閾値未満であると判定した場合、撮像装置201が実行する撮像プログラムを変更する(ステップS15)。変更部331が撮像プログラムを変更したら、切り替え回数をカウントするためのカウンタを1つインクリメントする。このカウンタが示す値は、ステップS14の比較処理に用いられる。すると、撮像装置201のプログラム実行部231が記憶部241から該当する撮像プログラムを読み出して実行する。一方、ステップS14にて、変更部331は、プログラムの切り替え回数が閾値未満ではないと判定した場合、画像センサを変更する(ステップS16)。例えば、現在画像を撮像している画像センサがカラーセンサ211である場合、変更部331は、画像を撮像する画像センサを赤外線センサ221へ変更する。それ以降は、撮像装置201は、変更された画像センサを用いて撮像を行う。
【0037】
このように、光源400が撮像装置201の撮像範囲に光を照射した状態で、制御装置301が、撮像装置201が槽100に貯留された水を撮像した画像の中の特徴量に基づいて、撮像装置201が実行する撮像プログラムまたは撮像装置201が具備する画像センサを変更する。このため、光源400から照射される光の強度を変化させなくても、最適な画像を取得することができ、反応槽内の凝集状態について適切な値を測定することができる。
(第3の実施の形態)
【0038】
図9は、本発明の水処理システムの第3の実施の形態を示す図である。本形態における水処理システムは
図9に示すように、槽100と、撮像装置202-1,202-2と、制御装置302と、光源400とを有する。槽100および光源400は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0039】
撮像装置202-1,202-2は、互いに同じ仕様を持つ撮像装置であっても良いし、互いに異なる仕様を持つ撮像装置である。撮像装置202-1,202-2は、槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する。撮像装置202-1,202-2の撮像範囲は、槽100内の例えば、30mm×30mmから600mm×600mmの範囲である。高画質な画像センサを用いれば、遠方からの広い撮像範囲の撮影でもフロックの撮像が可能となるが、被写体であるフロックの粒径が極めて小さいこと、および広範囲を撮像できる画像センサが非常に高価であるという観点から30mm×30mmから300mm×300mm程度の撮影範囲を撮像することが望ましい。撮像装置202-1,202-2は、例えば、水の画像を撮像する画像センサ(カメラ)であっても良い。撮像装置202-1,202-2が、画像センサである場合、撮像装置202-1,202-2は、槽100内の水の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、動画撮像用カメラ)であっても良い。
【0040】
図10は、
図9に示した制御装置302の内部構成の一例を示す図である。
図9に示した制御装置302は
図10に示すように、算出部310と、判定部320と、変更部332とを有する。なお、
図10には、
図9に示した制御装置302が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。算出部310および判定部320は、第1の実施の形態におけるものと同じものである。
【0041】
変更部332は、算出部310が算出した特徴量に基づいて、撮像装置202-1,202-2が実行する撮像プログラムまたは画像を撮像する撮像装置を変更する。変更部332が、画像を撮像する撮像装置202-1,202-2を変更する場合、現在画像を撮像している撮像装置が撮像装置202-1であれば、変更部332は画像を撮像する撮像装置を撮像装置202-2へ変更する。また、現在画像を撮像している撮像装置が撮像装置202-2であれば、変更部332は画像を撮像する撮像装置を撮像装置202-1へ変更する。具体的には、変更部332は、判定部320が行った判定の結果に基づいて、撮像装置202-1,202-2が実行する撮像プログラムまたは画像を撮像する撮像装置を変更する。さらに具体的には、変更部332は、判定部320が、算出部310が算出した特徴量があらかじめ設定された閾値である目標値を満たさないと判定した場合、その状態が継続している時間があらかじめ設定された規定時間を超えていると、撮像装置202-1,202-2が実行する撮像プログラムまたは画像を撮像する撮像装置を変更する。なお、この目標値は複数設定されているものであっても良く、その場合、それぞれの目標値に応じた複数の撮像プログラムが設定されているものであっても良い。
【0042】
以下に、
図9に示した水処理システムにおける水処理方法について説明する。
図11は、
図9に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0043】
現在、撮像装置202-1,202-2のうち、撮像装置202-1が撮像を行っている場合を例に挙げて説明する。まず、撮像装置202-1が槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像して取り込む(ステップS21)。すると、算出部310は、撮像装置202-1が取り込んだ画像を取得する。この取得方法は、例えば、撮像装置202-1が取り込んだ画像を制御装置302へ送信して算出部310が取得するものであっても良いし、算出部310が、撮像装置202-1が取り込んでメモリ等の記憶装置に記憶している画像データを記憶装置から読み出すものであっても良い。
【0044】
すると、算出部310は、撮像装置202-1が撮像(取得)した画像から特徴量を算出する(ステップS22)。このとき、算出部310は、撮像装置202-1が撮像(取得)した画像からエッジピクセル数を算出して特徴量とする。このとき、算出部310は、撮像装置202-1が撮像(取得)した画像中の互いに隣接する画素の色差(例えば、RGBの値の差)が閾値以上である画素をエッジとして検出し、その検出されたエッジの数(画素数)をエッジピクセル数として算出するものであっても良い。
【0045】
続いて、判定部320が、算出部310が算出した特徴量があらかじめ設定された目標値を満たすかどうかを判定する(ステップS23)。具体的には、判定部320は、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っているかどうかを判定する。特徴量が目標値を下回っているなら、特徴量が目標値を満たさないものであり、特徴量が目標値を下回っていないなら、特徴量が目標値を満たすものである。判定部320が、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っていないと判定した場合、ステップS22の処理が行われる。一方、判定部320が、算出部310が算出した特徴量が目標値を下回っていると判定した場合は、変更部332は、その状態が継続している時間があらかじめ設定された規定時間を超えているかどうかを判定する(ステップS24)。変更部332は、その状態が継続している時間が規定時間を超えていると判定した場合、撮像装置200が実行する撮像プログラムを変更するか、または画像を撮像する撮像装置を撮像装置202-1から撮像装置202-2へ変更する(ステップS25)。変更部332が撮像プログラムを変更した場合、それ以降は、撮像装置202-1は変更された撮像プログラムを実行して撮像を行う。変更部332が画像を撮像する撮像装置を撮像装置202-2へ変更した場合、それ以降は、撮像装置202-2が槽100に貯留された水中の凝集物の画像を撮像する。
【0046】
このように、光源400が撮像装置202-1,202-2の撮像範囲に光を照射した状態で、制御装置302が、撮像装置202-1,202-2が槽100に貯留された水を撮像した画像の中の特徴量に基づいて、撮像装置202-1,202-2が実行する撮像プログラムを変更する、または画像を撮像する撮像装置を変更する。このため、光源400から照射される光の強度を変化させなくても、最適な画像を取得することができ、反応槽内の凝集状態について適切な値を測定することができる。
(適用例1)
【0047】
図12は、本発明の水処理システムの第1の適用例を示すフロー図である。
図12に示す水処理システムは、上述した形態における槽100に相当する反応槽101および凝集槽102と、沈殿槽103と、制御装置300と、撮像装置200と、複数の凝集剤それぞれを注入する添加装置401とを有する。反応槽101は、原水である被処理水が供給されて被処理水に対して添加装置401を用いて無機凝集剤411-1およびpH調整剤411-2が注入される槽である。凝集槽102は、反応槽101の出口に対して流路を介して接続された槽である。凝集槽102は、反応槽101から供給される被処理水に対して添加装置401を用いてポリマーが注入される槽であり、カチオンポリマー411-3とアニオンポリマー411-4との少なくとも一方が注入される槽である。また、凝集槽102にカチオンポリマー411-3を注入する場合、凝集槽102から沈殿槽103を接続する流路に、アニオンポリマー411-4を注入してもよい。沈殿槽103は、凝集槽102の出口に対して流路を介して接続された槽である。沈殿槽103は、凝集物と清澄水とを分離する固液分離手段に相当する。反応槽101、凝集槽102および沈殿槽103それぞれは、撹拌機構を備えているものであっても良い。撮像装置200および制御装置300それぞれは、第1の実施の形態におけるものと同じものである。制御装置300は、撮像装置200が撮像した画像に基づいて、凝集物の状態を判定し、その結果に基づいて、反応槽101、凝集槽102、および沈殿槽103それぞれへ凝集剤411-1~411-4の注入を制御するための制御信号を添加装置401へ送信する。添加装置401は、制御装置300から送信されてくる制御信号に従って、凝集剤411-1~411-4の注入(注入量)を制御する。また、原水水質を測定するための水質計器(濁度計、SS計等)を設置しても良い。
【0048】
図12に示した水処理システムでは、被処理水に無機凝集剤411-1を注入することにより反応槽101において浮遊懸濁物から微小なフロックが形成される。この微小なフロックは、凝集槽102においてカチオンポリマー411-3とアニオンポリマー411-4との少なくとも一方が注入されることにより粗大化する。粗大化したフロックは沈殿槽103において凝集物として沈殿する。その結果、浮遊懸濁物を含む被処理水は、凝集物と、清澄水である上澄み水とに固液分離される。沈殿槽103の底部に堆積した凝集物は汚泥として排出され、沈殿槽103における上澄み水は処理水として排出される。
【0049】
また、
図12に示した水処理システムでは、凝集状態を監視して凝集剤、特に無機凝集剤411-1の注入量を制御するために、撮像装置200と制御装置300と添加装置401とが設けられている。撮像装置200は、反応槽101の上方に、反応槽101内の水を撮像できるように設置されている。撮像装置200が撮像した画像は制御装置300によって処理される。制御装置300が行う具体的な処理は、第1の実施の形態で説明した通りである。添加装置401それぞれは、制御装置300から送信されてきた制御信号に従って、凝集剤の注入量を制御する。なお、撮像装置200として、第2の実施の形態における撮像装置201を適用することができる。また、制御装置300として、第2の実施の形態における制御装置301を適用することができる。
(適用例2)
【0050】
図13は、本発明の水処理システムの第2の適用例を示すフロー図である。
図13に示す水処理システムと、
図12に示した水処理システムとの違いは、撮像装置200の設置位置である。
図12に示した水処理システムでは、撮像装置200は、反応槽101の上方に、反応槽101内の水を撮像できるように設置されていたが、
図13に示した水処理システムでは、撮像装置200は、凝集槽102の上方に、凝集槽102内の水を撮像できるように設置されている。
(適用例3)
【0051】
図14は、本発明の水処理システムの第3の適用例を示すフロー図である。
図14に示す水処理システムと、
図12に示した水処理システムとの違いは、撮像装置の台数である。
図12に示した水処理システムでは、撮像装置として1台の撮像装置200が設置されていたが、
図14に示した水処理システムでは、撮像装置として2台の撮像装置202-1,202-2が設置されている。撮像装置202-1,202-2および制御装置302の動作は、第3の実施の形態で説明した通りである。
【0052】
上述した適用例においては、凝集沈澱について説明したが、凝集を含む固液分離を行うシステムであれば良い。例えば、凝集加圧浮上、凝集ろ過等へ本発明を適応することもできる。また、添加装置401が反応槽101に添加する無機凝集剤411-1は、アルミニウム系(PAC、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)に限定しない。また、ポリマーは、カチオンでもアニオンでも良い。撮像装置200,202-1,202-2が画像センサである場合、上述した形態のように反応槽101内を撮像する位置に設置されるものであっても良いし、凝集槽102内を撮像する位置に設置されていても良いが、槽内のタイムラグを考慮すると、反応槽101内を撮像する位置に設置することが望ましい。また、撮像装置200,202-1,202-2が画像センサである場合、撮像装置200,202-1,202-2は、フロック(凝集物)の凝集状態を判定できるものであれば良いが、画像処理を行う装置を含め、フロックのエッジ数を検出できるものが望ましい。
【0053】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。また、各実施の形態を組み合わせたものであっても良い。
【0054】
上述した制御装置300~302が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を制御装置300~302にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置300~302に読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置300~302にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置300~302に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置300~302に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0055】
100 槽
200,201,202-1,202-2 撮像装置
211 カラーセンサ
221 赤外線センサ
231 プログラム実行部
241 記憶部
300~302 制御装置
310 算出部
320 判定部
330~332 変更部
400 光源