(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124615
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】熱伝導シート
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220819BHJP
H01L 23/373 20060101ALI20220819BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H01L23/36 M
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022348
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 慶輔
(72)【発明者】
【氏名】久保 佑介
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322FA04
5F136BA04
5F136BC03
5F136BC07
5F136EA29
5F136FA14
5F136FA16
5F136FA25
5F136FA53
5F136FA63
5F136FA82
5F136GA12
5F136GA17
(57)【要約】
【課題】熱伝導シートのハンドリングを向上させる。
【解決手段】シート本体2と、シート本体2の一方の面2aと他方の面2bに形成された樹脂被覆層5を有し、高分子マトリックスと、異方性充填材と、1種以上の非異方性材料を含み、前記異方性充填材が厚さ方向に配向している熱伝導シート1であって、表面がスライス面であり、少なくとも1種の前記非異方性材料の比重が5以上であり、前記熱伝導シートの比重が2.7以上であり、熱伝導率が4W/mK以上である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子マトリックスと、異方性充填材と、1種以上の非異方性材料を含み、前記異方性充填材が厚さ方向に配向している熱伝導シートであって、
表面がスライス面であり、少なくとも1種の前記非異方性材料の比重が5以上であり、前記熱伝導シートの比重が2.7以上であり、熱伝導率が4W/mK以上である
熱伝導シート。
【請求項2】
前記高分子マトリックスの未硬化成分からなる樹脂被覆層が前記熱伝導シートの表面に形成されている
請求項1に記載の熱伝導シート。
【請求項3】
前記異方性充填材の充填量が5.6体積%以上である請求項1又は請求項2に記載の熱伝導シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導シートに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の更なる高性能化に伴って、半導体素子等の電子部品の高密度化、高実装化が進んでいる。これに伴って、半導体素子が発する熱をさらに効率よく放熱することが重要になっている。電子機器においては、半導体素子等の電子部品(例えばLSI、CPU、トランジスタ、LED等の各種デバイス)が発する熱を効率良く放熱するために、ヒートシンク(例えば放熱ファン、放熱板等)等の放熱部材が熱伝導シートを介して電子部品に取り付けられている。
【0003】
熱伝導シートとしては、シリコーン樹脂に無機物フィラー等の熱伝導性充填材を分散含有させたものが広く使用されている。このような熱伝導シートとしては、更なる熱伝導率の向上が要求されており、一般には、高熱伝導性を目的として、高分子マトリックス内に配合されている無機物フィラーの充填率を高めることにより対応している。無機物フィラーとしては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。しかし、無機物フィラーの充填率を高めると、柔軟性が損なわれたり、無機物フィラーの充填率が高いことから粉落ちが発生したりするため、無機物フィラーの充填率を高めることには限界がある。
【0004】
また、高熱伝導率を目的として、窒化ホウ素、黒鉛等の鱗片状粒子、炭素繊維等を高分子マトリックス内に充填させることがある。これは、鱗片状粒子等の有する熱伝導率の異方性によるものである。例えば、炭素繊維の場合には、繊維方向に約600~1200W/mKの熱伝導率を有する。窒化ホウ素の場合には、面方向に約110W/mK、面方向に対して垂直な方向に約2W/mK程度の熱伝導率を有しており、異方性を有することが知られている。このように炭素繊維、鱗片状粒子の面方向を熱の伝達方向であるシートの厚み方向と同じにする。即ち、炭素繊維、鱗片状粒子をシートの厚み方向に配向させることによって、熱伝導を飛躍的に向上させることができる。
【0005】
炭素繊維が充填された熱伝導性を有する樹脂組成物としては、例えば特許文献1、2に開示された樹脂組成物がある。特許文献1、2に開示された樹脂組成物は、熱可塑性樹脂、炭素繊維及びフィラーを含むものであり、フィラーを熱可塑性樹脂中において網目状に分布させることにより軽量化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-97684号公報
【特許文献2】特開2020-97685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子機器に用いられる熱伝導シートは、高分子マトリックスに繊維状の熱伝導性充填剤等が含有された熱伝導性樹脂組成物を所定の形状に成型して硬化させて熱伝導性成形体を形成し、熱伝導性成形体をシート状にスライスすることにより形成される。炭素繊維を充填した熱伝導シートは、炭素繊維の比重が小さいことから柔軟性が高いため、厚みが薄いシートはスライス後にこしがなく、ハンドリングが良くないという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ハンドリング性が向上された熱伝導シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る熱伝導シートは、高分子マトリックスと、異方性充填材と、1種以上の非異方性材料を含み、前記異方性充填材が厚さ方向に配向している熱伝導シートであって、表面がスライス面であり、少なくとも1種の前記非異方性材料の比重が5以上であり、前記熱伝導シートの比重が2.7以上であり、熱伝導率が4W/mK以上であるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱伝導シートのハンドリングを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本技術が適用された熱伝導シートの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、熱伝導性成形体をスライスする工程の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0013】
[熱伝導シートの構成例]
図1に本技術が適用された熱伝導シートの構成例を示す。
図1に示す熱伝導シート1は、シート本体2と、樹脂被覆層5を有する。シート本体2は、少なくとも高分子マトリックス成分と繊維状の熱伝導性充填剤とを含むバインダ樹脂が硬化されたものである。樹脂被覆層5は、シート本体2から滲み出た高分子マトリックス成分の未硬化成分によって形成されている。シート本体2の一方の面2aには、第1の剥離フィルム3が貼り付けられ、シート本体2の他方の面2bは、第2の剥離フィルム4が貼り付けられている。
【0014】
熱伝導シート1は、一方の面2a及び他方の面2bに樹脂被覆層5が形成されることによりタック(粘着性)を有し、使用の際に第1の剥離フィルム3と第2の剥離フィルム4を剥離することにより、シート本体2を所定の位置に貼付可能とされている。これにより、熱伝導シート1は、作業性、取り扱い性に優れる。また、熱伝導シート1は、電子部品と放熱部材との組み立て時の位置ズレを修正したり、一旦組み立てた後に何らかの事情で解体し、再度組み立てることを可能としたりするなどのリワーク性に優れる。
【0015】
[高分子マトリックス成分]
シート本体2を構成する高分子マトリックス成分は、熱伝導シート1の基材となる高分子成分のことである。その種類については、特に限定されず、公知の高分子マトリックス成分を適宜選択することができる。例えば、高分子マトリックス成分の一つとして、熱硬化性ポリマーが挙げられる。
【0016】
前記熱硬化性ポリマーとしては、例えば、架橋ゴム、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
なお、前記架橋ゴムとしては、例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0018】
また、これら熱硬化性ポリマーの中でも、成形加工性及び耐候性に優れるとともに、電子部品に対する密着性及び追従性の点から、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてシリコーン樹脂の種類を適宜選択することができる。
【0019】
上述した成形加工性、耐候性、密着性等を得る観点からは、前記シリコーン樹脂として、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とから構成されるシリコーン樹脂であることが好ましい。そのようなシリコーン樹脂としては、例えば、付加反応型液状シリコーン樹脂、過酸化物を加硫に用いる熱加硫型ミラブルタイプのシリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、電子機器の放熱部材としては、電子部品の発熱面とヒートシンク面との密着性が要求されるため、付加反応型液状シリコーン樹脂が特に好ましい。
【0020】
前記付加反応型液状シリコーン樹脂としては、ビニル基を有するポリオルガノシロキサンを主剤、Si-H基を有するポリオルガノシロキサンを硬化剤とした、2液性の付加反応型シリコーン樹脂等を用いることが好ましい。
【0021】
ここで、液状シリコーン成分は、主剤となるシリコーンA液成分と硬化剤が含まれるシリコーンB液成分を有し、シリコーンA液成分とシリコーンB液成分とが所定の割合で配合されている。シリコーンA液成分とシリコーンB液成分との配合割合は適宜調整できるが、シート本体2に柔軟性を付与するとともに、面2aと第1の剥離フィルム3との間と、面2bと第2の剥離フィルム4との間に高分子マトリックス成分の未硬化成分をブリードさせ、樹脂被覆層5を形成できる配合割合とすることが好ましい。
【0022】
また、熱伝導シート1における前記高分子マトリックス成分の含有量は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、シートの成形加工性や、シートの密着性等を確保する観点からは、15体積%~50体積%程度であることが好ましく、20体積%~45体積%であることがより好ましい。
【0023】
[繊維状熱伝導性充填剤]
熱伝導シート1に含まれる繊維状の熱伝導性充填剤は、シートの熱伝導性を向上させるための成分である。熱伝導性充填剤の種類については、熱伝導性の高い繊維状の材料であれば特に限定はされないが、より高い熱伝導性を得られる点からは、炭素繊維を用いることが好ましい。
【0024】
なお、熱伝導性充填剤については、一種単独でもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。また、二種以上の熱伝導性充填剤を用いる場合には、いずれも繊維状の熱伝導性充填剤であってもよいし、繊維状の熱伝導性充填剤と別の形状の熱伝導性充填剤とを混合して用いてもよい。別の形状の熱伝導性充填剤としては、銀、銅、アルミニウム等の金属、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、グラファイト等のセラミックス等が挙げられる。
【0025】
前記炭素繊維の種類について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ピッチ系、PAN系、PBO繊維を黒鉛化したもの、アーク放電法、レーザー蒸発法、CVD法(化学気相成長法)、CCVD法(触媒化学気相成長法)等で合成されたものを用いることができる。これらの中でも、高い熱伝導性が得られる点から、PBO繊維を黒鉛化した炭素繊維、ピッチ系炭素繊維がより好ましい。
【0026】
また、前記炭素繊維は、必要に応じて、その一部又は全部を表面処理して用いることができる。前記表面処理としては、例えば、酸化処理、窒化処理、ニトロ化、スルホン化、あるいはこれらの処理によって表面に導入された官能基若しくは炭素繊維の表面に、金属、金属化合物、有機化合物等を付着あるいは結合させる処理等が挙げられる。前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。
【0027】
さらに、前記炭素繊維の平均繊維長(平均長軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、50μm~300μmの範囲であることが好ましく、75μm~275μmの範囲であることがより好ましく、90μm~250μmの範囲であることが特に好ましい。
【0028】
さらにまた、前記炭素繊維の平均繊維径(平均短軸長さ)についても、特に制限はなく適宜選択することができるが、確実に高い熱伝導性を得る点から、4μm~20μmの範囲であることが好ましく、5μm~14μmの範囲であることがより好ましい。
【0029】
前記炭素繊維のアスペクト比(平均長軸長さ/平均短軸長さ)については、確実に高い熱伝導性を得る点から、8以上であることが好ましく、9~30であることがより好ましい。前記アスペクト比が8未満であると、炭素繊維の繊維長(長軸長さ)が短いため、熱伝導率が低下してしまうおそれがあり、一方、30を超えると、熱伝導シート1中での分散性が低下するため、十分な熱伝導率を得られないおそれがある。
【0030】
ここで、前記炭素繊維の平均長軸長さ、及び平均短軸長さは、例えばマイクロスコープ、走査型電子顕微鏡(SEM)等によって測定し、複数のサンプルから平均を算出することができる。
【0031】
また、熱伝導シート1における前記繊維状の熱伝導性充填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4体積%~40体積%であることが好ましく、5体積%~35体積%であることがより好ましい。前記含有量が、4体積%未満であると、十分に低い熱抵抗を得ることが困難になるおそれがあり、40体積%を超えると、熱伝導シート1の成型性及び前記繊維状の熱伝導性充填剤の配向性に影響を与えてしまうおそれがある。また、熱伝導シート1における繊維状の熱伝導性充填剤を含む熱伝導性充填剤の含有量は、15体積%~75体積%であることが好ましい。
【0032】
なお、繊維状の熱伝導性充填剤は、シート本体2の面2aと面2bに露出し、電子部品等の熱源やヒートシンク等の放熱部材と熱的に接触する。熱伝導シート1は、シート本体2の面2aと面2bに露出する繊維状熱伝導性充填剤が高分子マトリックス成分の未硬化成分で被覆される場合、電子部品等に搭載した際に繊維状熱伝導性充填剤と電子部品等との接触熱抵抗を下げることができる。
【0033】
[無機物フィラー]
熱伝導シート1は、熱伝導性充填剤として、無機物フィラーをさらに含有させてもよい。無機物フィラーを含有させることにより、熱伝導シート1の熱伝導性をより高め、シートの強度を向上できる。前記無機物フィラーとしては、形状、材質、平均粒径等については特に制限がされず、目的に応じて適宜選択することができる。前記形状としては、例えば、球状、楕円球状、塊状、粒状、扁平状、針状等が挙げられる。これらの中でも、球状、楕円形状が充填性の点から好ましく、球状が特に好ましい。
【0034】
前記無機物フィラーの材料としては、例えば、窒化アルミニウム(窒化アルミ:AlN)、シリカ、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化亜鉛、炭化ケイ素、ケイ素(シリコン)、酸化珪素、金属粒子等が挙げられる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカが好ましく、熱伝導率の点から、アルミナ、窒化アルミニウムが特に好ましい。
【0035】
また、前記無機物フィラーは、表面処理が施されたものを用いることができる。前記表面処理としてカップリング剤で前記無機物フィラーを処理すると、前記無機物フィラーの分散性が向上し、熱伝導シート1の柔軟性が向上する。
【0036】
前記無機物フィラーの平均粒径については、無機物の種類等に応じて適宜選択することができる。前記無機物フィラーがアルミナの場合、その平均粒径は、1μm~10μmであることが好ましく、1μm~5μmであることがより好ましく、4μm~5μmであることが特に好ましい。前記平均粒径が1μm未満であると、粘度が大きくなり、混合しにくくなるおそれがある。一方、前記平均粒径が10μmを超えると、熱伝導シート1の熱抵抗が大きくなるおそれがある。
【0037】
さらに、前記無機物フィラーが窒化アルミニウムの場合、その平均粒径は、0.3μm~6.0μmであることが好ましく、0.3μm~2.0μmであることがより好ましく、0.5μm~1.5μmであることが特に好ましい。前記平均粒径が、0.3μm未満であると、粘度が大きくなり、混合しにくくなるおそれがあり、6.0μmを超えると、熱伝導シート1の熱抵抗が大きくなるおそれがある。
【0038】
なお、前記無機物フィラーの平均粒径は、例えば、粒度分布計、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定することができる。
【0039】
[その他の成分]
熱伝導シート1は、上述した、高分子マトリックス成分及び繊維状熱伝導性充填剤、適宜含有される無機物フィラーに加えて、目的に応じてその他の成分を適宜含むこともできる。その他の成分としては、例えば、磁性粉、チキソトロピー性付与剤、分散剤、硬化促進剤、遅延剤、微粘着付与剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、着色剤等が挙げられる。また、磁性粉の含有量を調整することにより、熱伝導シート1に電磁波吸収性能を付与してもよい。
【0040】
[磁性粉]
熱伝導シート1は、磁性粉の含有量を調整することにより、熱伝導シート1に電磁波吸収性能を付与してもよい。
【0041】
前記磁性粉の種類については、磁性性を有すること以外は、特に限定されず、公知の磁性粉を適宜選択することができる。例えば、アモルファス金属粉や、結晶質の金属粉末を用いることができる。アモルファス金属粉としては、例えば、Fe-Si-Cr-B系、Fe-Si-B系、Co-Si-B系、Co-Zr系、Co-Nb系、Co-Ta系のもの等が挙げられ、結晶質の金属粉としては、例えば、純鉄、Fe系、Co系、Ni系、Fe-Ni系、Fe-Co系、Fe-Al系、Fe-Si系、Fe-Si-Al系、Fe-Ni-Si-Al系のもの等が挙げられる。さらに、前記結晶質の金属粉としては、結晶質の金属粉に、N(窒素)、C(炭素)、O(酸素)、B(ホウ素)等を微量加えて微細化させた微結晶質金属粉を用いてもよい。
【0042】
なお、前記磁性金属粉については、材料が異なるものや、平均粒径が異なるものを二種以上混合したものを用いてもよい。
【0043】
また、前記磁性金属粉については、球状、扁平状等の形状を調整することが好ましい。例えば、充填性を高くする場合には、粒径が数μm~数十μmであって、球状である磁性金属粉を用いることが好ましい。このような磁性金属粉末は、例えばアトマイズ法や、金属カルボニルを熱分解する方法により製造することができる。アトマイズ法とは、球状の粉末が作りやすい利点を有し、溶融金属をノズルから流出させ、流出させた溶融金属に空気、水、不活性ガス等のジェット流を吹き付けて液滴として凝固させて粉末を作る方法である。アトマイズ法によりアモルファス磁性金属粉末を製造する際には、溶融金属が結晶化しないようにするために、冷却速度を1×106(K/s)程度にすることが好ましい。
【0044】
上述したアトマイズ法により、アモルファス合金粉を製造した場合には、アモルファス合金粉の表面を滑らかな状態とすることができる。このように表面凹凸が少なく、比表面積が小さいアモルファス合金粉を磁性金属粉として用いると、高分子マトリックス成分に対して充填性を高めることができる。さらに、カップリング処理を行うことで充填性をより向上できる。
【0045】
[熱伝導シートの製造方法]
次いで、熱伝導シート1の製造工程について説明する。本技術が適用された熱伝導シート1の製造工程は、高分子マトリックス成分に繊維状の熱伝導性充填剤等が含有された熱伝導性樹脂組成物を所定の形状に成型して硬化させ、熱伝導性成形体を形成する工程(工程A)と、前記熱伝導性成形体をシート状にスライスし、成形体シートを形成する工程(工程B)と、成形体シートを第1の剥離フィルム3と第2の剥離フィルム4とで挟持しプレスすることにより、成形体シート表面を平滑化するとともに樹脂被覆層5を形成する工程(工程C)とを有する。
【0046】
[工程A]
この工程Aでは、上述した高分子マトリックス成分及び繊維状熱伝導性充填剤、適宜含有される無機物フィラー、その他の成分を配合し、熱伝導性樹脂組成物を調製する。なお、各成分を配合、調製する手順については特に限定はされず、例えば、高分子マトリックス成分に、繊維状熱伝導性充填剤、適宜、無機物フィラー、磁性粉、その他成分を添加し、混合することにより、熱伝導性樹脂組成物の調製が行われる。
【0047】
次いで、炭素繊維等の繊維状の熱伝導性充填剤を一方向に配向させる。この充填剤の配向方法は、一方向に配向させることができる手段であれば特に限定はされない。例えば、中空状の型内に前記熱伝導性樹脂組成物を高剪断力下で押し出すこと又は圧入することによって、比較的容易に繊維状の熱伝導性充填剤を一方向に配向させることができ、前記繊維状の熱伝導性充填剤の配向は同一(±10°以内)となる。
【0048】
上述した、中空状の型内に前記熱伝導性樹脂組成物を高剪断力下で押し出すこと又は圧入する方法として、具体的には、押出し成型法又は金型成型法が挙げられる。前記押出し成型法において、前記熱伝導性樹脂組成物をダイより押し出す際、あるいは前記金型成型法において、前記熱伝導性樹脂組成物を金型へ圧入する際、前記熱伝導性樹脂組成物が流動し、その流動方向に沿って繊維状熱伝導性充填剤が配向する。この際、ダイの先端にスリットを取り付けると繊維状熱伝導性充填剤がより配向されやすくなる。
【0049】
中空状の型内に押出し又は圧入された前記熱伝導性樹脂組成物は、当該型の形状、大きさに応じたブロック形状に成型され、繊維状の熱伝導性充填剤の配向状態を維持したまま前記高分子マトリックス成分を硬化させることによって、熱伝導性成形体が形成される。熱伝導性成形体とは、所定のサイズに切断して得られる熱伝導シート1の元となるシート切り出し用の母材(成形体)のことをいう。
【0050】
中空状の型及び熱伝導性成形体の大きさ及び形状は、求められる熱伝導シート1の大きさ、形状に応じて決めることができ、例えば、断面の縦の大きさが0.5cm~15cmで横の大きさが0.5cm~15cmの直方体が挙げられる。直方体の長さは必要に応じて決定すればよい。
【0051】
前記高分子マトリックス成分を硬化させる方法や条件については、高分子マトリックス成分の種類に応じて変えることができる。例えば、前記高分子マトリックス成分が熱硬化樹脂の場合、熱硬化における硬化温度を調整することができる。さらに、該熱硬化性樹脂が、液状シリコーンゲルの主剤と、硬化剤とを含有するものである場合、80℃~120℃の硬化温度で硬化を行うことが好ましい。また、熱硬化における硬化時間としては、特に制限はないが、1時間~10時間とすることができる。
【0052】
[工程B]
図2に示すように、熱伝導性成形体6をシート状にスライスし、成形体シート7を形成する工程Bでは、配向した繊維状の熱伝導性充填剤の長軸方向に対して、0°~90°の角度、好ましくは45°~90°の角度となるように、熱伝導性成形体6をシート状に切断する。これにより、繊維状熱伝導性充填剤は、シート本体2の厚み方向に配向される。
【0053】
また、熱伝導性成形体6の切断については、スライス装置を用いて行われる。スライス装置については、前記熱伝導性成形体6を切断できる手段であれば特に限定はされず、公知のスライス装置を適宜用いることができる。例えば、超音波カッター、かんな(鉋)等を用いることができる。
【0054】
熱伝導性成形体6のスライス厚みは、熱伝導シート1のシート本体2の厚みとなり、熱伝導シート1の用途に応じて適宜設定することができ、例えば0.5~3.0mmである。
【0055】
なお、工程Bでは、熱伝導性成形体6から切り出された成形体シート7に切れ込みを入れることにより、複数の成形体シート7に小片化してもよい。
【0056】
[工程C]
工程Cでは、成形体シート7の一方の面に第1の剥離フィルム3を貼り付け、成形体シート7の他方の面に第2の剥離フィルム4を貼り付けてプレスする。このプレスにより、成形体シート7の表面を平滑化するとともに高分子マトリックス成分の未硬化成分をブリードさせ、成形体シート7の一方の面と第1の剥離フィルム3との間と、成形体シート7の他方の面と第2の剥離フィルム4との間に樹脂被覆層5を形成する。ここで、熱伝導シート1の面2aと面2bは、スライスされた面であり、スライスされた後にプレスされた面である。これにより、熱伝導シート1が形成され、シート表面の凹凸を低減させるとともに、露出する繊維状の熱伝導性充填剤を被覆させ、熱源や放熱部材との密着性を向上し、軽荷重時の界面接触抵抗を軽減させ、熱伝導効率を向上させることができる。
【0057】
なお、前記プレスについては、例えば、平盤と表面が平坦なプレスヘッドとからなる一対のプレス装置を使用して行うことができる。また、ピンチロールを使用してプレスを行ってもよい。
【0058】
前記プレスの際の圧力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、低すぎるとプレスをしない場合と熱抵抗が変わらない傾向があり、高すぎるとシートが延伸する傾向があるため、0.1MPa~100MPaの圧力範囲とすることが好ましく、0.5MPa~95MPaの圧力範囲とすることがより好ましい。
【0059】
成形体シート7の両面に貼付される第1の剥離フィルム3及び第2の剥離フィルム4としては、例えばPETフィルムやポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムを用いることができる。この場合、第1の剥離フィルム3及び第2の剥離フィルム4は、成形体シート7の表面への貼付面にワックス処理やフッ素処理等の剥離処理を施してもよい。また、第1の剥離フィルム3及び第2の剥離フィルム4は、エンボス加工が施されていてもよい。
【0060】
また、第1の剥離フィルム3及び第2の剥離フィルム4は、厚さ及び/又は材質を異ならせることにより、シート本体2からの剥離強度(N)が異なるように形成される。例えば、30mm×30mmの熱伝導シート1において、第1の剥離フィルム3としてワックス処理が施された厚さ25μmのPETフィルムを使用し、第2の剥離フィルム4としてエンボス処理された厚さ80μmのポリエチレンフィルムを使用した場合、引張・圧縮試験機において、ロードセルが50(N)、速度が300mm/minの条件で180度剥離試験を行うと、シート本体2からの剥離強度(N)は、第1の剥離フィルム3が0.03(N)(屈曲半径3mm)、第2の剥離フィルム4が0.05(N)(屈曲半径0.5mm以下)となる。
【0061】
[熱伝導シートの実装工程]
実使用時においては、熱伝導シート1は、例えば、半導体装置等の電子部品や、ヒートシンク等の各種放熱部材に実装される。このとき、熱伝導シート1は、シート本体2からの剥離強度が小さい方の剥離フィルム、例えば上述した例で言えば、第1の剥離フィルム3から剥離する。これにより、第1の剥離フィルム3に付着してシート本体2の全部が第2の剥離フィルム4から剥離することがなく、第2の剥離フィルム4に支持された状態でシート本体2の一方の面2aを露出させることができる。熱伝導シート1は、樹脂被覆層5が露出したシート本体2の一方の面2aを半導体装置等の電子部品又はヒートシンク等の放熱部材に貼り付け、その後、第2の剥離フィルム4をシート本体2の他方の面2bから剥離する。
【0062】
熱伝導シート1は、例えば、
図3に示すように、各種電子機器に内蔵される半導体装置50に実装され、熱源と放熱部材との間に挟持される。
図3に示す半導体装置50は、電子部品51と、ヒートスプレッダ52と、熱伝導シート1とを少なくとも有し、熱伝導シート1がヒートスプレッダ52と電子部品51との間に挟持される。また熱伝導シート1は、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に挟持されることにより、ヒートスプレッダ52とともに、電子部品51の熱を放熱する放熱部材を構成する。
【0063】
電子部品51としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CPU、MPU、グラフィック演算素子、イメージセンサ等の各種半導体素子、アンテナ素子、バッテリーなどが挙げられる。ヒートスプレッダ52は、電子部品51の発する熱を放熱する部材であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。熱伝導シート1を用いることによって、半導体装置50は、高い放熱性を有し、またシート本体2中の磁性粉の含有量に応じて電磁波抑制効果にも優れる。
【0064】
なお、熱伝導シート1の実装場所は、ヒートスプレッダ52と電子部品51との間や、ヒートスプレッダ52とヒートシンク53との間に限らず、電子機器や半導体装置の構成に応じて、適宜選択できることは勿論である。また、放熱部材としては、ヒートスプレッダ52やヒートシンク53以外にも、熱源から発生する熱を伝導して外部に放散させるものであればよく、例えば、放熱器、冷却器、ダイパッド、プリント基板、冷却ファン、ペルチェ素子、ヒートパイプ、金属カバー、筐体等が挙げられる。
【0065】
[第1実施例]
次いで、本技術の第1実施例について説明する。第1実施例では、2液性の付加反応型液状シリコーンを36体積%、平均粒径5μmのFe-Si-Cr-Bアモルファス磁性粒子を45.6体積%、繊維状フィラーとして平均繊維長200μmのピッチ系炭素繊維を18体積%、カップリング剤を0.4体積%混合し、シリコーン組成物を調製した。なお、本明細書において、平均粒径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(D50)を意味する。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーンA剤と硬化剤が含まれるB剤との配合比が、55:45となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中に押出成形してシリコーン成型体を成型した後、シリコーン成型体をオーブンにて60℃で4時間加熱してシリコーン硬化物とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.5mmとなるようにスライサーでシート状に切断し、炭素繊維が厚み方向に配向した成形体シート7を得た。切断して得られた成形体シート7を第1の剥離フィルム3と第2の剥離フィルム4に挟んで圧力0.5MPa、温度87℃、時間3分の条件でプレスし、樹脂被覆層5が形成された熱伝導シート1を得た。比重が約7であるFe-Si-Cr-Bアモルファス磁性粒子は、比重が5以上である非異方性材料の一例である。
【0066】
[第2実施例]
第2実施例は、第1実施例のシリコーン組成物の配合量を変えたものである。第2実施例では、2液性の付加反応型液状シリコーンを31.4体積%、平均粒径5μmのFe-Si-Cr-Bアモルファス磁性粒子を62.1体積%、繊維状フィラーとして平均繊維長200μmのピッチ系炭素繊維を6体積%、カップリング剤を0.5体積%混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーンA剤と硬化剤が含まれるB剤との配合比が、55:45となるように配合した。
【0067】
[第3実施例]
第3実施例は、第1実施例のシリコーン組成物の配合量を変えたものである。第3実施例では、2液性の付加反応型液状シリコーンを28.8体積%、平均粒径5μmのFe-Si-Cr-Bアモルファス磁性粒子を66.5体積%、繊維状フィラーとして平均繊維長200μmのピッチ系炭素繊維を4.2体積%、カップリング剤を0.5体積%混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーンA剤と硬化剤が含まれるB剤との配合比が、55:45となるように配合した。
【0068】
[第4実施例]
第4実施例は、2液性の付加反応型液状シリコーンを28.6体積%、平均粒径15μmの球状アルミナ粒子を48体積%、平均粒径1.5μmの粒状窒化アルミニウムを15.8体積%、繊維状フィラーとして平均繊維長110μmのピッチ系炭素繊維を5.6体積%、酸化亜鉛を1体積%、カップリング剤を1体積%混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーンA剤と硬化剤が含まれるB剤との配合比が、55:45となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中に押出成形してシリコーン成型体を成型した後、シリコーン成型体をオーブンにて100℃で6時間加熱してシリコーン硬化物とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.5mmとなるようにスライサーでシート状に切断し、炭素繊維が厚み方向に配向した成形体シート7を得た。比重が5.6である酸化亜鉛は、比重が5以上である非異方性材料の一例である。
【0069】
[比較例]
比較例は、2液性の付加反応型液状シリコーンを36体積%、平均粒径15μmの球状アルミナ粒子を20体積%、平均粒径15μmで結晶形状が六方晶型である鱗片状の窒化ホウ素を23体積%、平均粒径1.5μmの粒状窒化アルミニウムを20体積%、カップリング剤を1体積%混合し、シリコーン組成物を調製した。2液性の付加反応型液状シリコーン樹脂は、主剤となるシリコーンA剤と硬化剤が含まれるB剤との配合比が、55:45となるように配合した。得られたシリコーン組成物を、中空四角柱状の金型(50mm×50mm)の内壁に沿うように剥離処理されたフィルムを貼った中に押出成形してシリコーン成型体を成型した後、シリコーン成型体をオーブンにて60℃で4時間加熱してシリコーン硬化物とした。中空四角柱状の金型からシリコーン硬化物(熱伝導性成形体)を取り出した後に剥離処理されたフィルムを剥がして厚みが0.5mmとなるようにスライサーでシート状に切断し、鱗片状の窒化ホウ素が厚み方向に配向した成形体シートを得た。
【0070】
上述した実施例1~4及び比較例について、熱伝導率、熱伝導シート1の比重及びハンドリングを評価した。評価結果を表1に示す。なお、熱伝導率については、ASTM-D5470に準拠した熱抵抗測定装置を用いて、荷重1kgf/cm2をかけて熱伝導シート1の厚み方向及び面方向の実効熱伝導率(W/m・K)をそれぞれ測定した。ハンドリングについては、スライス装置で熱伝導性成形体6をシート状に切断して成形体シート7を形成するときに、形成された成形体シート7がその場で折れやゆがみがなく倒れる場合を良好(〇)、スライスされて形成された成形体シート7について、倒れるときに折れやゆがみがあって倒れる場合や位置ずれがある場合を不良(×)とした。
【0071】
【0072】
表1に示すように、熱伝導性充填剤として炭素繊維が充填されていない比較例に対し、熱伝導性充填剤として、炭素繊維と比重が大きい無機物フィラーとが充填されている実施例1~4は、比較例より比重が大きくこしがあるため、ハンドリングの評価結果が「○」となり、良好な作業性を実現できた。
【符号の説明】
【0073】
1 熱伝導シート、2 シート本体、2a 面、2b 面、3 第1の剥離フィルム、4 第2の剥離フィルム、5 樹脂被覆層、6 熱伝導性成形体、7 成形体シート、50 半導体装置、51 電子部品、52 ヒートスプレッダ、53 ヒートシンク