(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124618
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】スパウト
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20220819BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220819BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D83/00 G
B65D33/38
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022352
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】516011486
【氏名又は名称】扶桑産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】西野 公宏
【テーマコード(参考)】
3E014
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E014PA03
3E014PC03
3E014PC04
3E014PC16
3E014PE14
3E014PE17
3E064BA22
3E064BC18
3E064EA13
3E064FA05
3E064HM01
3E064HN65
3E064HS04
3E067AA04
3E067AB16
3E067AB20
3E067AB26
3E067AC01
3E067BA12A
3E067BB15A
3E067BC07A
3E067CA07
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB27
3E067EE39
3E067EE59
3E067FA01
3E067FB07
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】内部に残った内容物を取り出すことが可能なスパウトを提供する。
【解決手段】
一態様では、容器内の内容物を注出する注出口を有するスパウトが提供される。このスパウトは、内容物を注出口に導く注出流路を形成する注出筒部と、注出流路に連続する内部空間を有し、容器の内側に取り付けられる被取付部と、を備え、被取付部には、該被取付部の他の部分と比べて強度が弱められた弱化部が形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の内容物を注出する注出口を有するスパウトであって、
前記内容物を注出口に導く注出流路を形成する注出筒部と、
前記注出流路に連続する内部空間を有し、前記容器の内側に取り付けられる被取付部と、
を備え、
前記被取付部には、該被取付部の他の部分と比べて強度が弱められた弱化部が形成されている、スパウト。
【請求項2】
可撓性を有するリブ部を更に備え、
前記リブ部は、前記内部空間を横断して前記被取付部の内壁面に接続する、請求項1に記載のスパウト。
【請求項3】
前記リブ部には、該リブ部の他の部分と比べて強度が弱められた弱化部が形成されている、請求項2に記載のスパウト。
【請求項4】
前記被取付部は、前記注出流路の中心軸線に対して垂直な方向から前記内部空間を画成する第1の側壁部及び第2の側壁部を含み、
前記被取付部の前記弱化部は、前記第1の側壁部及び前記第2の側壁部の境界に沿って形成されている、請求項1~3の何れか一項に記載のスパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
注出口を有するスパウトを有し、容器本体の内部に収容された内容物をスパウトの注出口から抽出する容器が広く利用されている。例えば、下記特許文献1には、内容物を収容するパウチ本体と、パウチ容器の上部に取り付けられたスパウトとを有し、パウチ容器の側辺部に当該パウチ容器を引き裂くための開封部が形成された容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スパウトの内部には内容物が残りやすく、容器内の内容物を最後まで取り出すことが難しいことがある。特許文献1に記載の容器は、開封部を起点としてパウチ容器を切り裂くことによって、パウチ容器やスパウトの内部に残った内容物を取り出すことを可能としている。しかしながら、切り裂きの起点となる開封部をパウチ容器に形成するとパウチ容器の強度が低下して破損が生じやすくなる。
【0005】
そこで本開示は、内部に残った内容物を取り出すことが可能なスパウトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、容器内の内容物を注出する注出口を有するスパウトが提供される。このスパウトは、内容物を注出口に導く注出流路を形成する注出筒部と、注出流路に連続する内部空間を有し、容器の内側に取り付けられる被取付部と、を備え、被取付部には、該被取付部の他の部分と比べて強度が弱められた弱化部が形成されている。
【0007】
本態様では、被取付部に他の部分と比べて強度が弱められた弱化部が形成されることによって、被取付部に押圧力が付与されたときに被取付部が弱化部を起点として容易に変形する。これにより、被取付部が押し潰されて、被取付部の内部に残った内容物が注出流路に移動し、注出口から抽出される。したがって、本態様のスパウトによれば、スパウトの内部に残った内容物を取り出すことができる。
【0008】
一実施形態のスパウトは、可撓性を有するリブ部を更に備え、リブ部は、内部空間を横断して被取付部の側壁面に接続していてもよい。リブ部は、内部空間を横断して設けられているので、スパウトが押し潰されたときにスパウトと共に変形する。その後、スパウトへの押圧力が解除されると、リブ部は、弾性力によってスパウトを変形前の形状に復元させる。したがって、上記実施形態では、スパウトを弾性変形させ、スパウトの内部に残った内容物を繰り返し取り出すことが可能となる。
【0009】
一実施形態では、リブ部は、該リブ部の他の部分と比べて強度が弱められた弱化部を有していてもよい。リブ部に弱化部が形成されることにより、リブ部を容易に弾性変形させることができる。
【0010】
一実施形態では、被取付部は、注出流路の中心軸線に対して垂直な方向から内部空間を画成する第1の側壁部及び第2の側壁部を含み、被取付部の弱化部は、第1の側壁部及び第2の側壁部の境界に沿って形成されていてもよい。第1の側壁部と第2の側壁部の境界に沿って弱化部を形成することにより、第1の側壁部及び第2の側壁部を互いに近づく方向に変形しやすくなる。その結果、被取付部の内部空間を容易に狭めることが可能となり、内部空間に残った内容物を注出口から容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様及び種々の実施形態によれば、スパウトの内部に残った内容物を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】容器本体に取り付けられたスパウトを示す斜視図である。
【
図7】別の実施形態に係るスパウト本体の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0014】
図1は、容器本体100に取り付けられたスパウト1を示す斜視図である。スパウト1は、容器本体100に取り付けられ、容器本体100内に収容された内容物を注出する。容器本体100は、例えば飲料、ゼリー、アイス等の流動体を内容物として収容するパウチ容器である。なお、容器本体100は、可撓性を有する容器であればパウチ容器に限定されるものではない。
【0015】
図1に示すように、スパウト1は、スパウト本体2及びキャップ3を備えている。スパウト本体2は、容器本体100の上部に取り付けられ、注出口5から容器本体100内に収容された内容物を注出する(
図2参照)。キャップ3は、スパウト本体2に対して着脱可能に構成されている。キャップ3は、スパウト本体2に取り付けられたときにスパウト本体2の注出口5を閉鎖し、容器本体100の内容物が注出口5から漏れ出ることを防止する。一方、キャップ3がスパウト本体2から取り外されることによって、容器本体100の内容物の注出を可能にする。
【0016】
図2は、一実施形態に係るスパウト本体2の上方からの斜視図であり、
図3は、スパウト本体2の下方からの斜視図である。
図4は、スパウト本体2の縦断面図である。
図2に示すように、スパウト本体2は、注出筒部10及び被取付部20を備えている。注出筒部10及び被取付部20は、ポリエチレン等の合成樹脂によって構成され、射出成形等の成形法によって一体的に形成されている。
【0017】
注出筒部10は、軸線AXを中心軸線とする円筒形状を有し、内容物を注出口5へ導く注出流路15を形成する。以下の説明では、軸線AXに平行な方向をZ方向とし、Z方向に垂直な二方向をそれぞれX方向及びY方向とする。
【0018】
一実施形態では、注出筒部10は、先端筒部12及び筒状基部14を含む。先端筒部12は、軸線AXを中心軸線とする円筒形状を有し、注出筒部10の先端側に配置されている。先端筒部12の先端部には、内容物を抽出する注出口5が形成されている。注出口5は、例えば円形の平面形状を有し、注出流路15に連通している。上述のように、注出口5は、スパウト本体2にキャップ3が取り付けられることによって閉鎖される。
【0019】
図2に示すように、先端筒部12の外周面には、ねじ部12aが形成されている。ねじ部12aは、先端筒部12の外周面に断続的に延在する螺旋形状を有している。ねじ部12a、キャップ3の内周面に形成されたねじ部と係合することでキャップ3の着脱を可能にする。例えば、キャップ3の内面を先端筒部12の外周面に当接させた状態で、キャップ3を一方向に捻ることによってキャップ3のねじ部が先端筒部12のねじ部12aと係合し、キャップ3が装着される。一方、キャップ3を反対方向に捻ることによってキャップ3と先端筒部12の係合が解除され、スパウト本体2からキャップ3が取り外される。
【0020】
筒状基部14は、先端筒部12と被取付部20との間に配置され、先端筒部12及び被取付部20に接続されている。筒状基部14は、軸線AXを中心軸線とする円筒形状を有する。
図4に示すように、筒状基部14は、先端筒部12の内径よりも大きな内径を有し、先端筒部12の外径よりも大きな外径を有していてもよい。筒状基部14は、先端筒部12と共にその内部に注出流路15を形成する。すなわち、注出流路15は、先端筒部12及び筒状基部14によって画成され、軸線AXに沿って延在する流路である。
【0021】
図2に示すように、筒状基部14の外周面には、外周係合部14aが形成されている。外周係合部14aは、キャップ3の下部3aに当接し、キャップ3の下部3aの回転を規制する。
【0022】
筒状基部14の先端筒部12と反対側の端部には、被取付部20が接続されている。被取付部20は、例えば溶着加工によって容器本体100の内側に取り付けられる部分である。被取付部20のX方向の幅は、被取付部20のY方向の幅よりも大きく形成され、注出流路15に連続する内部空間20sをその内部に有している。より詳細には、被取付部20は、平面視(Z方向から見て)において略菱形形状を有し、方向Zに沿って配列された複数のフランジ21を有している。これら複数のフランジ21が容器本体100の内側に溶着されることによって、被取付部20は容器本体100の内側に固定される。
【0023】
被取付部20は、Y方向に対向する第1の側壁部22及び第2の側壁部23を有している。第1の側壁部22及び第2の側壁部23は、複数のフランジ21を互いに連結し、その間に内部空間20sを画成する。
図3に示す例では、内部空間20sは、X方向に延びる長辺とY方向に延びる短辺とを有する略菱形状の平面形状を有している。なお、内部空間20sの平面形状は菱形状に限定されない。
【0024】
上記のように、内部空間20sは、注出流路15に連続する空間である。内部空間20sは、被取付部20が容器本体100の内部に取り付けられた状態のときに、容器本体100の内部に配置される。したがって、内部空間20sには、容器本体100に収容された内容物が残ることがある。
【0025】
スパウト本体2には、弱化部31及び弱化部32が形成されている。弱化部31及び弱化部32は、スパウト本体2の他の部分に比べ強度が弱められた領域であって、スパウト本体2の変形の起点となる。弱化部31及び弱化部32は、例えば、切り込み、クラック又は溝等が形成された領域である。
図3に示すスパウト本体2には、弱化部31及び弱化部32としてU字状の溝が形成されている。なお、弱化部31及び弱化部32としてV字状の溝が形成されてもよい。
【0026】
図3に示すように、弱化部31は、筒状基部14及び被取付部20に形成されている。より具体的には、弱化部31は、被取付部20の下部から被取付部20の第1の側壁部22と第2の側壁部23との境界に沿って延び、筒状基部14の上部まで連続して形成されている。言い換えれば、弱化部31は、軸線AXを通り、且つ、Y方向に垂直な面(X-Z平面)に沿って被取付部20及び筒状基部14に形成されている。弱化部31が形成された領域は、筒状基部14及び被取付部20の他の部分に比べ強度が弱められている。
【0027】
弱化部31と同様に、弱化部32は、筒状基部14及び被取付部20に形成されている。弱化部31は、第1の側壁部22及び第2の側壁部23のX方向の中心部付近から筒状基部14の上部までZ方向に沿って連続的に延びている。
図3に示す実施形態では、第1の側壁部22側に2つの弱化部32が形成され、第2の側壁部23側に2つの弱化部32が形成されている。第1の側壁部22側に形成された2つの弱化部32と、第2の側壁部23側に形成された2つの弱化部32は、Y方向において互いに対向する位置に形成されている。
【0028】
一実施形態では、スパウト本体2は、可撓性を有するリブ部25を更に備えていてもよい。リブ部25は、スパウト本体2を弾性変形させる弾性部材として機能する。リブ部25は、例えばポリエチレン等の合成樹脂によって構成され、Y方向を長手方向とする平板形状を有している。
図3及び
図4に示すように、リブ部25は、注出流路15の一部及び内部空間20sを横断するように配置され、そのY方向の両端部が筒状基部14及び被取付部20の内壁面に接続されている。言い換えれば、リブ部25は、菱形状の平面形状を有する内部空間20sの短辺方向に沿って延在している。すなわち、リブ部25は、軸線AXを通り、且つ、X方向に垂直な面(Y-Z平面)に沿って配置されている。したがって、リブ部25のY方向の一方の端部は、第1の側壁部22に形成された2つの弱化部32の間で第1の側壁部22に接続され、リブ部25のY方向の他方の端部は、第2の側壁部23に形成された2つの弱化部32の間で第2の側壁部23に接続される。
【0029】
リブ部25には、弱化部26が形成されている。弱化部26は、リブ部25の他の部分よりも強度が弱められた領域であって、リブ部25の変形の起点となる。弱化部26は、例えば切り込み、クラック又は溝等が形成された領域である。
図3に示す例では、弱化部26としてU字状の溝が形成されている。弱化部26は、リブ部25のY方向の中心部に形成され、Z方向に延在している。
【0030】
上述したスパウト本体2の作用効果について説明する。
図5は変形前のスパウト本体2の下面図であり、
図6は変形後のスパウト本体2の下面図である。例えば、
図5に示すスパウト本体2の被取付部20に対してY方向の両側から押圧力Fが付与された場合には、
図6に示すように、当該押圧力Fによって被取付部20及び筒状基部14が、弱化部31,32を起点としてY方向に潰れるように変形する。この変形に伴って、リブ部25は、内部空間20s内で弱化部26を起点としてくの字状に折れ曲がる。その結果、内部空間20sがY方向に狭められ、内部空間20sに溜まった内容物が注出流路15を通って注出口5から取り出される。
【0031】
その後、スパウト本体2への押圧力Fが解除されると、リブ部25の復元力によって被取付部20及び筒状基部14をY方向に押し広げる力(弾性力)が作用し、スパウト本体2が変形前の形状に復帰する(
図5参照)。すなわち、リブ部25は、Y方向に弾性変形する板ばねとして機能する。このように、スパウト本体2が弾性変形することによって、スパウト本体2の内部に溜まった内容物を繰り返し取り出すことが可能となる。
【0032】
次に、別の実施形態に係るスパウト本体について説明する。
図7は、別の実施形態に係るスパウト本体2Aを示す下面図である。スパウト本体2Aは、リブ部25を備えていない点で
図1~5に示すスパウト本体2と相違する。以下では、
図1~5に示すスパウト本体2との相違点について主に説明し、重複する説明は省略する。
【0033】
スパウト本体2Aでは、弱化部32は、軸線AXを通り、且つ、X方向に垂直な面(Y-Z平面)に沿って被取付部20及び筒状基部14に形成されている。すなわち、第1の側壁部22側に1つの弱化部32が形成され、第2の側壁部23側に1つの弱化部32が形成されている。第1の側壁部22側に形成された弱化部32と、第2の側壁部23側に形成された弱化部32は、Y方向において互いに対向する位置に形成されている。
【0034】
スパウト本体2と同様に、スパウト本体2Aでは、Y方向の両側から押圧力が付与されたときに、被取付部20及び筒状基部14が、弱化部31,32を起点としてY方向に潰れるように変形する。スパウト本体2Aは、リブ部25を有していないものの、菱形形状を有する被取付部20自体の弾性力によってスパウト本体2が変形前の形状に復帰する。このように、スパウト本体2Aが弾性変形することによって、スパウト本体2の内部に溜まった内容物を繰り返し取り出すことが可能となる。
【0035】
以上、種々の実施形態に係るスパウトについて説明してきたが、上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。例えば、上述した実施形態では、弱化部31及び弱化部32が、筒状基部14及び被取付部20に形成されているが、弱化部31及び弱化部32は、被取付部20にのみ形成されていてもよい。なお、上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1…スパウト、2…スパウト本体、5…注出口、10…注出筒部、15…注出流路、20…被取付部、20s…内部空間、22…第1の側壁部,23…第2の側壁部、25…リブ部、26,31,32…弱化部。