(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124670
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23N 5/14 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
F23N5/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022437
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】井口 将浩
(72)【発明者】
【氏名】須田 裕行
【テーマコード(参考)】
3K005
【Fターム(参考)】
3K005AA01
3K005AA05
3K005AB06
3K005AC02
3K005BA05
3K005CA06
3K005DA02
3K005EA02
3K005EB02
(57)【要約】
【課題】熱交閉塞による燃焼悪化や炎あふれ等を未然に防止して安全性を高めることを可能とする燃焼装置を提供する。
【解決手段】本燃焼装置1は、本体ケース10内に、燃焼排気を生成するバーナ燃焼室2と、燃焼排気により熱交換を行う熱交換器3と、バーナへ燃料ガスを供給するガス供給路56を開閉する電磁弁51とを備える自然給気方式の燃焼装置であり、所定温度以上の温度上昇を検知して電磁弁51への給電を遮断することで電磁弁51を閉弁させるための温度ヒューズ7を、バーナ燃焼室2近傍に配設する構成を備える。熱交閉塞が生じたときは温度ヒューズ7により電磁弁51を閉弁し、早期にバーナの燃焼を停止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に、燃焼排気を生成するバーナ燃焼室と、燃焼排気により熱交換を行う熱交換器と、バーナへ燃料ガスを供給するガス供給路を開閉する電磁弁とを備える自然給気方式の燃焼装置において、
所定温度以上の温度上昇を検知して電磁弁への給電を遮断することで電磁弁を閉弁させるための温度ヒューズを、バーナ燃焼室近傍に配設する構成を備える燃焼装置。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼装置において、
前記バーナ燃焼室は、バーナケースがバーナを包囲する構成を有し、
前記温度ヒューズは、前記バーナケース外であってバーナケース側面と対向する位置に配設されている燃焼装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の燃焼装置において、
前記本体ケースは、前板が取り外し可能に取り付けられる前面開口部を有し、
前記温度ヒューズは、前記本体ケースの前面開口部と前記バーナ燃焼室との間であって前記バーナ燃焼室の前方に配設されている燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然給気方式の燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自然給気方式の燃焼装置において、排気部に温度センサを設けて排気の温度状態を検出することで、排気筒が鳥の巣等により閉塞される排気の閉塞や排気筒内に風が吹き込むダウンドラフトが生じた場合にバーナの燃焼を停止させ、安全性を確保するものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃焼装置の熱交換器において、経年的に、結露により錆や異物等が付着したり、炎の煤が溜まったりして熱交換器が閉塞する熱交閉塞を生じることがある。自然給気方式の燃焼装置は、バーナに空気を強制的に供給するものではなく自然燃焼させるため、熱交閉塞が生じた場合は、バーナに供給される空気が不足してバーナの燃焼が悪化したりバーナの炎が延びてバーナ燃焼室の隙間等から外部へ炎があふれ出したりするおそれがある。前記従来の燃焼装置では、排気部の温度センサによって熱交閉塞を検知することは困難であったため、熱交閉塞による燃焼悪化や炎あふれ等のリスクを回避することが困難であった。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、熱交閉塞による燃焼悪化や炎あふれ等を未然に防止して安全性を高めることを可能とする燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃焼装置は、
本体ケース内に、燃焼排気を生成するバーナ燃焼室と、燃焼排気により熱交換を行う熱交換器と、バーナへ燃料ガスを供給するガス供給路を開閉する電磁弁とを備える自然給気方式の燃焼装置において、
所定温度以上の温度上昇を検知して電磁弁への給電を遮断することで電磁弁を閉弁させるための温度ヒューズを、バーナ燃焼室近傍に配設する構成を備える。
【0007】
自然給気方式の燃焼装置では、前述した熱交閉塞が進行するに従ってバーナの燃焼悪化やバーナの炎が延びる等してバーナ燃焼室に熱が籠もりやすくなり、本体ケース内におけるバーナ燃焼室近傍の雰囲気温度が高くなる。
【0008】
本発明の前記構成によれば、バーナ燃焼室近傍に温度ヒューズを配設することにより、熱交閉塞が生じた場合は、前記温度ヒューズがバーナ燃焼室近傍での所定温度以上の温度上昇を検知して電磁弁への給電を遮断する。電磁弁は、給電が遮断されると閉弁してガス供給路を閉じるため、バーナへの燃料ガスの供給が停止され、バーナの燃焼が停止される。従って、熱交閉塞によってバーナが燃焼悪化したりバーナ燃焼室外に炎があふれ出したりする等に至る前に、早期に熱交閉塞を検知してバーナの燃焼を停止することができる。よって、燃焼装置の安全性を高めることができる。
【0009】
前記バーナ燃焼室は、バーナケースがバーナを包囲する構成を有し、
前記温度ヒューズは、前記バーナケース外であってバーナケース側面と対向する位置に配設されていることが望ましい。
自然給気方式の燃焼装置では、熱交閉塞が生じると、空気不足によりバーナの炎が延び且つ側方に向かうようになりやすいため、正常燃焼時に比べてバーナケース側面の温度が高くなる。従って、温度ヒューズをバーナケース側面と対向する位置に配設することにより、この温度ヒューズが所定温度以上の温度上昇を検知して熱交閉塞を早期に且つ確実に発見することができる。よって、熱交閉塞によりバーナの燃焼悪化や炎あふれ等に至る前に確実にバーナ燃焼が停止され、燃焼装置の安全性を高めることができる。
【0010】
前記本体ケースは、前板が取り外し可能に取り付けられる前面開口部を有し、
前記温度ヒューズは、前記本体ケースの前面開口部と前記バーナ燃焼室との間であって前記バーナ燃焼室の前方に配設されていることが望ましい。
これにより、前板を外した状態で本体ケースの前面開口部を通してメンテ作業等を行う際、温度ヒューズの取り付け状態の確認、交換、組み付け等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態によるガス風呂釜(燃焼装置)の構成を示す模式図である。
【
図2】温度ヒューズの設置位置を示すためにガス風呂釜の内部構造を現した図であり、同図(a)はガス風呂釜の正面図、同図(b)はガス風呂釜の側面図である。
【
図3】前板を外して弁装置を取り外した本体ケースと、遮熱板と、バーナとに分解した状態を示す斜視図である。
【
図4】温度ヒューズを取り付けた状態の遮熱板を示す図であり、同図(a)は遮熱板の前面側を現した平面図、同図(b)は遮熱板の後面側を現した平面図である。
【
図5】温度ヒューズを取り付けた状態の遮熱板を示す斜視図である。
【
図6】温度ヒューズの構造とともに温度ヒューズを取り付ける固定板を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態は、自然給気方式の燃焼装置の一例として屋外設置のガス風呂釜1を示すが、本発明は、これに限らず、屋内・浴室内に設置される自然給気方式のガス風呂釜、屋外・屋内に設置される自然給気方式の給湯器等に適用することができる。
【0013】
実施形態のガス風呂釜1は、
図1~
図3に示すように、本体ケース10内に、燃焼排気を生成するバーナ燃焼室2と、バーナ燃焼室2からの燃焼排気により熱交換を行う熱交換器3と、バーナへ燃料ガスを供給するガス供給路56を開閉する電磁弁51を有する弁装置5と、各部を制御すると共に各部に電力を供給する電装ユニット6とを備える。本体ケース10の上面には、熱交換器3を通過した後の燃焼排気を機器外へ排出させる排気筒トップ4が立設されている。
【0014】
本体ケース10は、略矩形箱状を有し、前面には前面開口部12が設けられ、前面開口部12には前板11が取り外し自在に取り付けられている。また、本体ケース10の側面下部や前板11には外部から本体ケース10内に空気が取り込まれるように給気口13が形成され、本体ケース10の上面には排気筒トップ4と連通する排気口14が形成されている(
図3参照)。バーナ燃焼室2は、本体ケース10内の下部に配設され、熱交換器3は、バーナ燃焼室2の直上に位置するように本体ケース10内の上部に配設されている。本体ケース10内において、前板11とバーナ燃焼室2及び熱交換器3との間の空間には、下部に弁装置5が配設され、上部に電装ユニット6が配設されている。従って、前板11を外した状態では、弁装置5及び電装ユニット6が外から見え、弁装置5を取り外すとバーナ燃焼室2が外から見え、電装ユニット6を取り外すと熱交換器3が外から見えるように配置されている。
【0015】
バーナ燃焼室2は、略矩形状のバーナケース21内にバーナが配設され、バーナケース21がバーナ全体を側方で包囲する構成を有している。バーナは、複数本のメインバーナ22と、1本のサブバーナ23とを有するユニットとなっている。本実施形態では、メインバーナ22は、サブバーナを境にして左側に3本、右側に2本の合計5本有する(
図3の左下のバーナを参照)。メインバーナ22は、燃焼排気を生成し熱交換器3を加熱するためのバーナであり、サブバーナ23は、メインバーナ22を着火させるためのバーナである。サブバーナ23には、サブバーナ23を点火するための点火プラグ24と、サブバーナ23の点火・消火を検知するサーモカップル25とが配設されている。点火プラグ24及びサーモカップル25は、電装ユニット6と配線で接続されている。点火プラグ24は、電装ユニット6からの指示によりスパーク放電を発生させてサブバーナ23を点火する。サーモカップル25は、サブバーナ23に着火した炎に晒されると熱起電力を発生し、この熱起電力の炎検知信号を電装ユニット6に入力する。
【0016】
熱交換器3は、伝熱管31及びフィン32を備えており、伝熱管31に連通する上部と下部の各循環口33には、図示しない浴槽から延設する循環パイプが接続される。熱交換器3は、バーナ燃焼室2で生成された燃焼排気により伝熱管31内の浴槽水を加熱しながら、循環パイプを通して浴槽との間で浴槽水を循環させ、浴槽内の浴槽水を追焚きする。
【0017】
また、熱交換器3には、バイメタルスイッチ等で構成する空焚き安全装置34が設けられている。空焚き安全装置34は、電装ユニット6の電源回路61に直列に接続されており、空焚きにより熱交換器3の温度が異常上昇したときに空焚き安全装置34が作動して電装ユニット6の電源回路61を遮断する。これにより、弁装置5の電磁弁51への給電が遮断されて電磁弁51が閉弁し、バーナへの燃料ガスの供給が停止されてバーナの燃焼が停止される。
【0018】
弁装置5は、ガス管(不図示)が接続されるガス接続口55に連通するガス供給路56を開閉する電磁弁51と、ガス供給路56から分岐してメインバーナ22に燃料ガスを供給する主ガス通路57を開閉するメインバルブ52と、ガス供給路56から分岐してサブバーナ23に燃料ガスを供給する副ガス通路58を開閉するサブバルブ53と、メインバルブ52及びサブバルブ53を駆動させる駆動機構54(例えば、ギヤードモータ)とを備える。主ガス通路57には、ガス圧を一定にするためのガバナ59が配設されている。電磁弁51及び駆動機構54は、電装ユニット6と配線で接続され、電装ユニット6から電力供給を受け且つ動作が制御される。
【0019】
電装ユニット6は、装置の各部に電力を供給する電源回路61、装置の各部を制御する制御回路等を有する。電装ユニット6は、リモコン62と接続線64を介して接続されている。リモコン62は、追焚き時間となるバーナの燃焼時間を設定する追焚き時間設定つまみ68と、バーナの点火又は消火を指示する点消火スイッチ69とを備える。リモコン62は、電源コード線66により電源63と接続されており、リモコン62と電装ユニット6とを接続する電源線65を通じて電装ユニット6の電源回路61に電力が供給される。本実施形態では、電源63には電池が使用されるが、商用電源を用いてもよい。
【0020】
また、電装ユニット6には、過熱防止装置となる過熱防止用温度ヒューズ67が設けられている。過熱防止用温度ヒューズ67は、電装ユニット6の電源回路61に直列に接続されており、本ガス風呂釜1の温度が異常上昇したときに過熱防止用温度ヒューズ67が作動して電装ユニット6の電源回路61を遮断する。これにより、弁装置5の電磁弁51への給電が遮断されて電磁弁51が閉弁し、バーナへの燃料ガスの供給が停止されてバーナの燃焼が停止される。
【0021】
次に、ガス風呂釜1の運転の動作を説明する。
ガス風呂釜1の運転を開始させるには、リモコン62の追焚き時間設定つまみ68をまわして追焚き時間を設定した後、点消火スイッチ69を押し操作する。すると、電装ユニット6の指示により以下の動作が行われる。駆動機構54によりサブバルブ53を開き、点火プラグ24がスパーク放電を発生させ、電磁弁51を開弁してサブバーナ23に燃料ガスを供給する。サブバーナ23が着火し、この着火をサーモカップル25が検知すると、更に駆動機構54によりメインバルブ52を開き、メインバーナ22に燃料ガスを供給する。すると、サブバーナ23の炎によりメインバーナ22が着火し、バーナ燃焼室2でバーナの燃焼が行われる。このバーナの燃焼により熱交換器3が浴槽内の浴槽水を循環パイプを通して循環しながら加熱する追焚き運転が行われる。そして、追焚き設定時間が経過すると、電磁弁51を閉じて、メインバーナ22及びサブバーナ23を消火し、サーモカップル25が消火を検知すると、駆動機構54によりサブバルブ53及びメインバルブ52を閉じ、これにてガス風呂釜1の運転が終了する。
【0022】
ところで、ガス風呂釜1の熱交換器3は、経年的に、フィン32等に結露により錆や異物等が付着したり、炎の煤が溜まったりして熱交換器3が閉塞する熱交閉塞を生じさせる。熱交閉塞が生じた場合、自然給気方式のガス風呂釜1は、バーナに空気を強制的に供給するものではなくバーナを自然燃焼させるため、バーナに供給される空気が不足しバーナの燃焼が悪化したりバーナの炎が酸素を求めて延びてバーナ燃焼室2の隙間等(例えば、バーナケース21の側壁板と底板との間、バーナケース21と熱交換器3のケースとの間など)から外部へ炎があふれ出したりするおそれがある。
【0023】
実施形態のガス風呂釜1は、熱交閉塞が生じたときにガス供給路56の電磁弁51を閉弁させる安全装置として温度ヒューズ7が設けられている。温度ヒューズ7は、バーナケース21外の前側でバーナケース21側面と対向する位置に配設された遮熱板8に取り付けられている。遮熱板8は、前方の電装ユニット6に対してバーナ燃焼室2からの熱が伝わらないようにする等のためにバーナ燃焼室2と電装ユニット6との間を仕切るようにバーナケース21の前側外面に立設されたものである。この遮熱板8に温度ヒューズ7を取り付けることで温度ヒューズ7がバーナ燃焼室2近傍に配設される。
【0024】
前述のように、熱交閉塞が進行するに従ってバーナの燃焼悪化やバーナの炎が延びる等してバーナ燃焼室2に熱が籠もりやすくなり、バーナ燃焼室2近傍で本体ケース10内の雰囲気温度が高くなる。とりわけ、空気不足によりバーナの炎が延び且つ側方に向かうようになり、正常燃焼時に比べてバーナケース21側面の温度が高くなる。従って、温度ヒューズ7をバーナケース21側面と対向する位置に配設することにより、熱交閉塞によりバーナ燃焼室2近傍の雰囲気温度が所定温度(例えば、160℃)以上に温度上昇していることを温度ヒューズ7が検知して熱交閉塞が生じていることを早期に且つ確実に発見することができる。なお、本実施形態のガス風呂釜1には、電装ユニット6に過熱防止用温度ヒューズ67が設けられ、熱交換器3に空焚き安全装置34が設けられているが、これらでは、熱交閉塞による温度変化を確実に捉え難く熱交閉塞を検知することが困難であったが、本実施形態では、バーナ燃焼室2近傍に温度ヒューズ7を設けることで熱交閉塞を確実に検知することができる。
【0025】
この温度ヒューズ7による安全回路は、温度ヒューズ7をリモコン62と電装ユニット6とを接続する電源線65に直列に接続し、電装ユニット6の電源回路61に対して閉回路構成を有する(
図1を参照)。従って、温度ヒューズ7が所定温度以上の温度上昇を検知すると、感熱素子71が溶断して電装ユニット6への電力供給が遮断され、電装ユニット6から電磁弁51の励磁コイルへの給電が遮断される。電磁弁51は、励磁コイルの給電が遮断されると閉弁してガス供給路56を閉じるため、バーナへの燃料ガスの供給が停止されてバーナの燃焼が停止される。従って、熱交閉塞によってバーナが燃焼悪化したりバーナ燃焼室2外に炎があふれ出したりする等に至る前に、早期に且つ確実に熱交閉塞を検知してバーナの燃焼を停止することができる。よって、ガス風呂釜1の安全性を高めることができる。
【0026】
温度ヒューズ7は、ガス風呂釜1を前面側から見て、遮熱板8の左側端部に取り付けられている(
図2(a)及び
図3を参照)。これは、バーナ燃焼室2に配設する複数本のメインバーナ22は、
図3に示すようにサブバーナ23を境に左側に多く配設(本実施形態では、メインバーナ22が左側に3本、右側に2本配設されている。)されていることから、熱交閉塞が生じてバーナ燃焼室2の温度が温度上昇する際、メインバーナ22の本数を多く配置するバーナ燃焼室2の左側の温度が早く温度上昇すると考えられるからである。従って、温度ヒューズ7を遮熱板8の左側端部に取り付けることで熱交閉塞を早期に検知することができる。
【0027】
温度ヒューズ7は、
図4~
図6に示すように、遮熱板8の前面(遮熱板8における本体ケース10の前板11に対向する側の面)の左側端部に取り付けた固定板81に縦長状態に保持される。温度ヒューズ7は、
図6を参照して、感熱素子71及び感熱素子71に接続するリード線を被覆するハーネス72を有し、感熱素子71及びハーネス72の一部をシリコーン製等の絶縁チューブ73内に挿入し、感熱素子71が絶縁チューブ73の中間あたりに配置されるように絶縁チューブ73の両端でハーネス72を結束バンド74で止めるようにしたものである。ハーネス72の末端部には、この温度ヒューズ7をリモコン62と電装ユニット6とを接続する電源線65に直列に接続するためのコネクタ75が取り付けられている。
【0028】
温度ヒューズ7を保持させる固定板81は、コ字型の板金で形成されたものであり、上下の横延び部分を内側に折り返して係合片82を上下に形成し、コ字型板金の凹所の中央部に位置ずれ防止用の突片83を形成した構成とし、この固定板81をスポット溶接等で遮熱板8の所定位置に取り付けるようにしている。温度ヒューズ7は、固定板81の上下の係合片82に差し込んで固定させる(
図6参照)ことで遮熱板8に容易に取り付けられる。固定板81に取り付けた温度ヒューズ7は、撓んで位置ずれしないように突片83によりガイドされて縦長状態に保持される。
【0029】
遮熱板8は、左右の端部の下部を切り欠いた切欠部85が形成されており、温度ヒューズ7は、その一部が切欠部85に露出して配置されるように固定される。これにより、温度ヒューズ7は、熱交閉塞によりバーナ燃焼室2近傍の雰囲気温度の温度上昇を早期に且つ確実に検知しやすくなる。
【0030】
温度ヒューズ7は、感熱素子71を絶縁チューブ73内に配置するので、感熱素子71が遮熱板8等の板金部材に接触して誤作動することもない。また、遮熱板8の前面側に温度ヒューズ7を取り付けるので、前板11を外した状態で、温度ヒューズ7の取り付け状態の確認や交換等のメンテ作業も容易に行える。
【0031】
温度ヒューズ7をバーナ燃焼室2と電装ユニット6とを仕切るために設けられている既存の遮熱板8に取り付けることで、新たな構造物を装置内に設置することなく熱交閉塞に対する安全機能を追加することができる。従って、温度ヒューズ7の追加によりガス風呂釜1の燃焼バランス等に悪影響を及ぼすこともない。
【0032】
温度ヒューズ7は、リモコン62と電装ユニット6とを接続する電源線65に直列に接続し、電装ユニット6の電源回路61に対して閉回路構成を有する安全回路を形成するので、電装ユニット6の回路構成を変更することなく熱交閉塞時の安全装置を容易に設けることができる。なお、温度ヒューズ7の回路構成としては、温度ヒューズ7を電磁弁51に給電する給電回路に直列に接続したものでもよい。
【0033】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を施すことが可能である。
実施形態では、温度ヒューズ7は、バーナ燃焼室2の前方左側端部に配設するが、この位置に限らず、熱交閉塞による雰囲気温度の温度上昇を検知するように、バーナケース21外のバーナ燃焼室2近傍に配設されていればよい。
温度ヒューズ7の遮熱板8への取り付けは、固定板81によらず、線材等の適宜の固定手段で遮熱板8に取り付けるようにしてもよい。
また、温度ヒューズ7は、遮熱板8に取り付けることなく、独立に又は棒材等の他の支持部材により配設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 ガス風呂釜(燃焼装置)
2 バーナ燃焼室
3 熱交換器
4 排気筒トップ
5 弁装置
6 電装ユニット
7 温度ヒューズ
8 遮熱板
10 本体ケース
11 前板
12 前面開口部
13 給気口
14 排気口
21 バーナケース
22 メインバーナ
23 サブバーナ
24 点火プラグ
25 サーモカップル
31 伝熱管
32 フィン
34 空焚き安全装置
51 電磁弁
52 メインバルブ
53 サブバルブ
54 駆動機構
56 ガス供給路
57 主ガス通路
58 副ガス通路
61 電源回路
62 リモコン
63 電源
64 接続線
65 電源線
66 電源コード線
67 過熱防止用温度ヒューズ
68 追焚き時間設定つまみ
69 点消火スイッチ
71 感熱素子
72 ハーネス
73 絶縁チューブ
74 結束バンド
75 コネクタ
81 固定板
82 係合片
83 突片
85 切欠部