(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124684
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20220819BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220819BHJP
H01L 29/41 20060101ALI20220819BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20220819BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H01L29/78 301C
H01L27/04 H
H01L29/78 301K
H01L29/44 Y
H01L29/78 301J
H01L27/088 331G
H01L27/088 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022458
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100104709
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 誠剛
(72)【発明者】
【氏名】神田 良
【テーマコード(参考)】
4M104
5F038
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB03
4M104BB21
4M104CC05
4M104FF10
4M104HH18
5F038BH04
5F038BH07
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5F048AA05
5F048AB10
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5F140BH15
5F140BH17
5F140BH30
5F140CB01
5F140CD09
(57)【要約】
【課題】整流素子をゲートドライバICに内蔵することが可能で、かつ、漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じ難い半導体装置を提供する
【解決手段】p型の基板111及びn型の第1半導体層112を有する半導体基体110と、第1電極120と、第2電極130と、素子分離膜140と、絶縁膜150と、絶縁膜150上に配置された第3電極160とを備え、第1電極120は、第1電源Vinと接続された第1回路C1と電気的に接続され、第2電極130は、第2電源Vccと接続された第2回路C2と電気的に接続され、半導体基体110は、少なくとも絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に基板111に達する深さで形成され、不純物濃度が1×10
10cm
-3~1×10
15cm
-3の範囲内にあるp型のバックゲート領域113を更に有することを特徴とする半導体装置100。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の基板、及び、前記基板上に形成された第2導電型の第1半導体層を有する半導体基体と、
前記半導体基体の上方に配置され、前記半導体基体とコンタクトされた第1電極と、
前記半導体基体の上方において前記第1電極とは離隔した位置に配置され、前記半導体基体とコンタクトされた第2電極と、
前記半導体基体の表面上における前記第1電極と前記第2電極との間の領域に形成された素子分離膜と、
前記半導体基体の表面上における前記第2電極と前記素子分離膜との間に配置された絶縁膜と、
前記絶縁膜上に配置された第3電極と、を備え、
前記第1電極は、第1電源と接続された第1回路と電気的に接続されるものであり、
前記第2電極は、第2電源と接続された第2回路と電気的に接続されるものであり、
前記半導体基体は、
少なくとも前記絶縁膜を介して前記第3電極と対向する領域に前記基板に達する深さで形成され、不純物濃度が1×1010cm-3~1×1015cm-3の範囲内にある第1導電型のバックゲート領域を更に有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2電源の出力電圧である第2電源電圧は、前記第1電源の出力電圧である第1電源電圧よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3電極は、前記第2電極と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3電極には、信号に基づいて所定の電圧が印加されることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板は、基準電位と接続されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1電極は、前記第1回路のスイッチ素子のオンオフを制御する駆動回路及び前記駆動回路に接続された容量と電気的に接続されるものであり、
前記第2電極は、前記第2電源である駆動用電源と電気的に接続されるものであり、
前記半導体装置は、前記駆動回路と同一の半導体基体に形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基体は、前記第2電極と接続する領域に形成された、前記第1半導体層よりも高濃度の第2導電型のコンタクト領域を更に有し、
前記バックゲート領域は、前記コンタクト領域と前記基板との間の領域にも形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体基体は、前記第2電極と接続する領域に形成された、前記第1半導体層よりも高濃度の第2導電型のコンタクト領域と、前記コンタクト領域を囲む領域に形成された、前記コンタクト領域よりも低濃度の第2導電型半導体領域とを更に有し、
前記バックゲート領域は、前記第2導電型半導体領域と前記基板との間にも形成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体基体は、前記第2電極と接続する領域に形成された、前記第1半導体層よりも高濃度の第2導電型のコンタクト領域と、前記コンタクト領域を囲む領域に形成された、前記コンタクト領域よりも低濃度の第2導電型半導体領域とを更に有し、
前記第2導電型半導体領域は、前記基板と接していることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第2導電型半導体領域の不純物濃度は、前記第1半導体層の不純物濃度と同じ不純物濃度であることを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2導電型半導体領域の不純物濃度は、前記第1半導体層の不純物濃度よりも低い不純物濃度であることを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧電源(直流入力電源Vin)と接続されたハイサイドスイッチと、ハイサイドスイッチと接続されたローサイドスイッチとを備える電力変換回路(例えば、インバータ)が知られている。このような電力変換回路(以下、従来の電力変換回路と呼称する)において、ハイサイドスイッチとして、オン抵抗が小さいnチャネルのトランジスタが用いられた場合、ハイサイドスイッチをオンするためには、ハイサイドスイッチのゲートソース間に閾値電圧Vgs(Vth)を超えるゲート電圧を印加する必要があるところ、ソース電圧は直流入力電源Vinの電圧まで上昇することから、直流入力電源Vinの電圧より高いゲート電圧を印加する必要があり、そのような高電圧のゲート電圧を生成するためにブートストラップ回路を設けることが一般に知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図8は、従来の電力変換回路9を示す回路図である。
従来の電力変換回路9は、
図8に示すように、ハイサイドスイッチQ1と、ローサイドスイッチQ2と、ゲートドライバIC10(IC: Integrated Circuit、集積回路)と、ブートストラップ回路20とを備える。
ブートストラップ回路20は、容量22(ブートストラップ容量)と、整流素子としてのブートストラップダイオード24とを有する。容量22は、一方の電極がハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2との接続点Nに接続されており、他方の電極がゲートドライバIC10のハイサイド駆動回路11に接続されている。ブートストラップダイオード24は、アノード電極が低電圧源である駆動用電源Vccと接続されており、カソード電極が容量22及びハイサイド駆動回路11と接続されている。ハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2は高電圧領域に配置され、ゲートドライバIC10のローサイド駆動回路12は比較的低電圧の領域に配置される。なお、一般にブートストラップ回路20の容量22及びブートストラップダイオード24は、ゲートドライバIC10の外付け部品として実装される。
【0004】
従来のブートストラップ回路20においては、ハイサイドスイッチQ1がオフ、ローサイドスイッチQ2がオンのときに駆動用電源Vccからブートストラップダイオード24を介して容量22が充電される。そして、ローサイドスイッチQ2をオフにすると、ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2との接続点Nの電圧Vs(ハイサイドスイッチQ1のソース電圧)が直流入力電源Vinの出力電圧にまで上昇し、接続点Nの電圧Vsに容量22の電圧を重畳した電圧がハイサイド駆動回路11に印加される。これにより、ハイサイドスイッチQ1に直流入力電源Vinの電圧より高いゲート電圧を印加することができ、ハイサイドスイッチQ1をオンすることができる。
また、整流素子としてのブートストラップダイオード24は、ハイサイドスイッチQ1がオフ、ローサイドスイッチQ2がオンのときには、駆動用電源Vccから容量22に向かって電流を流すことができ(順バイアス)、容量22の電圧がハイサイド駆動回路11に重畳されるときには、逆バイアスとなって容量22側から駆動用電源Vcc側に電流が逆流することを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年、電気機器の小型化の要請に伴い、外付け部品として実装されていた整流素子をゲートドライバIC10に内蔵することが求められている。この場合、整流素子を半導体基体に一体として形成することで小型化を実現することが望ましい。そこで、以下のような構成の半導体装置を用いることで、ブートストラップダイオード24を半導体基体に形成することが考えられる(以下、背景技術に係る半導体装置900と呼称する)。
【0007】
図9は、背景技術に係る半導体装置900を説明するために示す断面図である。
背景技術に係る半導体装置900は、
図9に示すように、p型(p
-型)の基板911、n型(n
-型)の第1半導体層912、n型(n
+型)の第1コンタクト領域CR1、及び、p型(p
+型)のアノード領域919を有する半導体基体910と、半導体基体910の上方に配置され、半導体基体910とコンタクトされた第1電極920と、半導体基体910の上方において第1電極920とは離隔した位置に配置され、半導体基体910とコンタクトされた第2電極930と、半導体基体910の表面上における第1電極920と第2電極930との間の領域に形成された素子分離膜940と、半導体基体910の表面上における第2電極930と素子分離膜940との間に配置された絶縁膜950と、絶縁膜950上に配置された第3電極960とを備え、p型のアノード領域919とn型の第1半導体層912とでブートストラップダイオード24を構成する。
【0008】
しかしながら、背景技術に係る半導体装置900においては、p型のアノード領域919、n型の第1半導体層912及びp型の基板911で構成される寄生トランジスタがオンしてしまい、第2電極930と基板911との間に寄生電流が流れて漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じるおそれがあり、整流素子としてのブートストラップダイオードを半導体基体に形成することが難しい、という問題がある。
【0009】
そこで本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、整流素子を半導体基体に形成しても漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じ難く、整流素子を半導体基体に形成することが可能で、整流素子をゲートドライバICに内蔵することが可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の半導体装置は、第1導電型の基板、及び、前記基板上に形成された第2導電型の第1半導体層を有する半導体基体と、前記半導体基体の上方に配置され、前記半導体基体とコンタクトされた第1電極と、前記半導体基体の上方において前記第1電極とは離隔した位置に配置され、前記半導体基体とコンタクトされた第2電極と、前記半導体基体の表面上における前記第1電極と前記第2電極との間の領域に形成された素子分離膜と、前記半導体基体の表面上における前記第2電極と前記素子分離膜との間に配置された絶縁膜と、前記絶縁膜上に配置された第3電極と、を備え、前記第1電極は、第1電源と接続された第1回路と電気的に接続されるものであり、前記第2電極は、第2電源と接続された第2回路と電気的に接続されるものであり、前記半導体基体は、少なくとも前記絶縁膜を介して前記第3電極と対向する領域に前記基板に達する深さで形成され、不純物濃度が1×1010cm-3~1×1015cm-3の範囲内にある第1導電型のバックゲート領域を更に有することを特徴とする。
【0011】
本発明の半導体装置によれば、半導体基体は、少なくとも絶縁膜を介して第3電極と対向する領域に基板に達する深さで形成された第1導電型のバックゲート領域を有するため、第2電極、バックゲート領域、第1半導体層、絶縁膜及び第3電極で電界効果トランジスタを構成する。従って、第2電極の電圧Vccが第1電極の電圧Vbよりも大きいときには、第3電極をオンして第2電極から第1電極に向かって電流を流して容量を充電することができ、第2電極の電圧Vccが第1電極の電圧Vbよりも小さいときには、第3電極をオフにして電流を遮断することができる。従って、従来のブートストラップダイオードと同様に、整流素子の機能を実現することができる。
【0012】
ところで、ブートストラップ回路において、整流素子としてブートストラップダイオードを用いた場合には、ダイオードの特性であるフォワード電圧分の電圧降下が生じることから、駆動用電源Vccから容量に印加される電圧が低下してしまい、容量を駆動用電源Vccに近い電圧まで充電することが難しい。これに対して、本発明の半導体装置によれば、第2電極、バックゲート領域、第1半導体層、絶縁膜及び第3電極で構成される電界効果トランジスタを整流素子として用いるため、ブートストラップダイオードを用いた場合のようにフォワード電圧分の電圧降下が生じる、ということがなく、容量を駆動用電源Vccに近い電圧まで充電することができる(
図5参照)。
【0013】
ところで、電界効果トランジスタをオンするためには、ソース電極よりも高い電圧をゲートソース間に印加する必要があるため、ブートストラップ回路において、整流素子として電界効果トランジスタを用いた場合には、駆動用電源Vccよりも高い電圧をゲート電極(第3電極)に印加しなければ電界効果トランジスタをオンすることができない。さらに、基板に印加する電圧を低くしようとする場合には、基板バイアス効果が生じることによって閾値電圧がより高くなるため、ゲート電極(第3電極)に印加する電圧を更に高くする必要がある。しかしながら、本発明の半導体装置によれば、バックゲート領域の不純物濃度が1×1010cm-3~1×1015cm-3の範囲内にあるため、閾値電圧が極めて小さくなり(0Vに近くなり)、チャネルが形成し易くなる。また、バックゲート領域に広がる電界が小さくなることから基板バイアス効果の影響を低減することができる。その結果、半導体装置をオンさせるために、第3電極に必要以上に高い電圧を印加する必要がなくなり、適切な電圧で半導体装置のオンオフをすることができる。
【0014】
本発明の半導体装置によれば、半導体基体は、少なくとも絶縁膜を介して第3電極と対向する領域に基板に達する深さで形成された第1導電型のバックゲート領域を有し、第2電極、バックゲート領域、第1半導体層、絶縁膜及び第3電極で電界効果トランジスタを構成する。従って、第2電極130と基板との間に流れる寄生電流の要因となる寄生トランジスタが形成され難くなる。従って、寄生電流による漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じ難く、整流素子を半導体基体に形成することができる。その結果、整流素子をゲートドライバICに内蔵することができる。
【0015】
また、本発明の半導体装置によれば、半導体基体の表面上における第1電極と第2電極との間の領域に形成された素子分離膜を備え、半導体基体の基板及び第1半導体層、並びに素子分離膜でリサーフ構造を有する半導体装置となることから、比較的高電圧の第1電極に印加された電圧を電圧降下させて比較的低電圧の回路と接続されている第2電極の電圧に近づけることができる。従って、比較的高電圧の領域と比較的低電圧の領域とを同一の半導体基体に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1における電力変換回路1を説明するために示す回路図である。
【
図2】実施形態1に係る半導体装置100を示す断面図である。
【
図3】導通時(充電時、Vcc>Vb)における実施形態1に係る半導体装置100の様子を説明するために示す断面図である。
【
図4】非導通時(逆バイアス時、Vcc<Vb)における実施形態1に係る半導体装置100の様子を説明するために示す断面図である。
【
図5】導通時(充電時)及び非導通時(逆バイアス時)における第1電極120側の電圧Vbと充電電流Ibとの関係を示すグラフである。
【
図6】実施形態2に係る半導体装置101を説明するために示す断面図である。
【
図7】実施形態3に係る半導体装置102を説明するために示す断面図である。
【
図8】従来の電力変換回路9を説明するために示す回路図である。
【
図9】背景技術に係る半導体装置900を説明するために示す断面図である。なお、符号922は第1フィールドプレートを示し、符号962は第2フィールドプレートを示し、符号964は外部接続部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の半導体装置について、図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、各図面は模式図であり、必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。
【0018】
[実施形態1]
1.実施形態1における電力変換回路1の構成
まず、本発明の半導体装置であるブートストラップFET(実施形態1に係る半導体装置100)が設けられている実施形態1における電力変換回路1について説明する。
図1は、実施形態1における電力変換回路1を説明するために示す回路図である。実施形態1における電力変換回路1は、
図1に示すように、ハイサイドスイッチQ1と、ローサイドスイッチQ2と、容量22と、ゲートドライバIC10とを備える。
【0019】
ハイサイドスイッチQ1は、直流入力電源Vinと接続されている。ローサイドスイッチQ2は、一方端がハイサイドスイッチQ1と接続され、他方端が基準電位と接続されている。ハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2としては適宜のスイッチ素子を用いることができ、実施形態1においては、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いる。
ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2とは第1回路である主要回路C1の一部を構成し、ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2との接続点Nには出力端子OUTが接続されている。主要回路C1は、直流入力電源Vin(第1電源)と接続される。
【0020】
容量22は、一方の電極がハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2との接続点Nに接続されており、他方の電極がゲートドライバIC10のハイサイド駆動回路11に接続されている。容量22は、ゲートドライバIC10の外付け部品として実装される。
【0021】
ゲートドライバIC10は、ハイサイド駆動回路11と、ローサイド駆動回路12と、ブートストラップFET(実施形態1に係る半導体装置100)と、複数の端子(端子Vb、端子Vs、端子HO、端子LO及び端子GND)とを備える。
【0022】
ハイサイド駆動回路11は、ハイサイドスイッチQ1のオンオフを制御する。ハイサイド駆動回路11は、Vs端子を介して、ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2との接続点Nと接続される。また、ハイサイド駆動回路11は、ブートストラップFET(実施形態1に係る半導体装置100)と接続されるとともにVb端子を介して容量22と接続される。また、出力端子HOを介してハイサイドスイッチQ1のゲート電極と接続されている。
【0023】
ローサイド駆動回路12は、ローサイドスイッチQ2のオンオフを制御する。ローサイド駆動回路12は、第2回路C2の一部を構成し、駆動用電源Vcc(第2電源)と接続され、かつ、GND端子を介して接地電位と接続され、かつ、出力端子LOを介してローサイドスイッチQ2のゲート電極と接続されている。なお、駆動用電源Vcc(第2電源)の出力電圧である第2電源電圧は、直流入力電源Vin(第1電源)の出力電圧である第1電源電圧よりも低い。
【0024】
ブートストラップFET(実施形態1に係る半導体装置100)は、一方の電極がローサイド駆動回路12及び駆動用電源Vccと接続されており、他方の電極が容量22及びハイサイド駆動回路11と接続されている。ブートストラップFET(実施形態1に係る半導体装置100)のゲート電極は、駆動用電源Vcc側の電極(一方の電極)に接続され、バックゲートBGは、基準電位と接続されている。なお、ブートストラップFET(実施形態1に係る半導体装置100)と容量22とでブートストラップ回路20を構成する。
【0025】
本発明のブートストラップFETとしては、種々の構成の電界効果トランジスタを用いることができるが、実施形態1においては、ゲートドライバICに内蔵することを可能とするため、電界効果トランジスタとして、ハイサイド駆動回路11及びローサイド駆動回路12と同一の半導体基体に形成される実施形態1に係る半導体装置100を用いることとした。
【0026】
2.実施形態1に係る半導体装置100の構成
図2は、実施形態1における半導体装置100を説明するために示す断面図である。実施形態1に係る半導体装置100は、
図2に示すように、半導体基体110と、第1電極120と、第1フィールドプレート122と、第2電極130と、素子分離膜140と、絶縁膜150,152と、第3電極160と、第2フィールドプレート162と、接続部164と、第4電極170とを備える。実施形態1に係る半導体装置100は、図示はしないが、ハイサイド駆動回路11及びローサイド駆動回路12の少なくとも一部と同一の半導体基体に形成されており、ゲートドライバIC10に内蔵される。
【0027】
半導体基体110は、所定の半導体物質からなる。半導体基体110の下側の部分には、全域にわたってp型(p-型)の基板111が形成されている。基板111上における所定の領域にはn型(n-型)の第1半導体層112が形成されており、基板111上における第1半導体層112と隣接する領域にはp型(p-型)のバックゲート領域113が形成されている。なお、第1半導体層112とバックゲート領域113とが隣接する境界は半導体基体110の表面上に形成された絶縁膜150を挟んで後述する第3電極160と対向する位置にあり、バックゲート領域113の一部は、絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に形成されている。
【0028】
バックゲート領域113は、基板111と同じ組成を有し、基板111から連続して形成されている。バックゲート領域113は、半導体基体110の表面から基板111に達する深さで形成されている。基板111及びバックゲート領域113の不純物濃度は1×1010cm-3~1×1015cm-3の範囲内にあり、一般的なバックゲート領域と比較して低濃度となっている。
【0029】
第1半導体層112が形成されている領域において、バックゲート領域113側とは反対側の領域の第1半導体層112の表面の一部にはn型(n+型)の第1コンタクト領域CR1が形成されている。言い換えると、後述する素子分離膜140を挟んでバックゲート領域113側とは反対側の第1半導体層112の表面に第1コンタクト領域CR1が形成されている。第1コンタクト領域CR1の不純物濃度は、第1半導体層112の不純物濃度よりも高濃度となっている。
【0030】
バックゲート領域113が形成されている領域において、バックゲート領域113の表面の一部にn型(n+型)の第2コンタクト領域CR2が形成されている。また、第1半導体層112から第2コンタクト領域CR2よりも遠く、第2コンタクト領域CR2と離隔した位置におけるバックゲート領域113の表面の一部にp型(p+型)の第3コンタクト領域CR3が形成されている。第2コンタクト領域CR2の不純物濃度は、第1半導体層112の不純物濃度よりも高濃度となっており、第3コンタクト領域CR3の不純物濃度は、基板111の不純物濃度よりも高濃度となっている。
【0031】
第1半導体層112の中央の領域の表面には素子分離膜140が形成されている。素子分離膜140に対してバックゲート領域113とは反対側の半導体基体110(第1半導体層112)の表面上には絶縁膜152が形成されている。素子分離膜140に対してバックゲート領域113側の半導体基体110(第1半導体層112及びバックゲート領域113)の表面上には絶縁膜150が形成されている。素子分離膜140は、SiO2からなるLOCOS膜であり、厚みの約半分は半導体基体110に埋まっている。なお、素子分離膜140、半導体基体110の基板111及び第1半導体層112でリサーフ構造が形成されている。絶縁膜150,152は、熱酸化膜である。
【0032】
第1電極120は、半導体基体110の上方における、素子分離膜140に対してバックゲート領域113が形成されている側とは反対側の位置に配置されている。第1電極120は、絶縁膜152に形成された開口を介して半導体基体110の第1コンタクト領域CR1とコンタクトされている。第1電極120は、ハイサイド駆動回路11、及び、容量22と接続されており、容量22を介して主要回路C1と電気的に接続される(
図1参照)。第1電極120は、金属(例えば、アルミニウム)で構成されている。
【0033】
第1フィールドプレート122は、絶縁膜152の表面上から素子分離膜140の表面上にかけて絶縁膜152及び素子分離膜140を覆うように形成されており、第1電極120と接続されている。実施形態1において、第1フィールドプレート122は、ポリシリコンで構成されているが、金属(例えば、アルミニウム)やシリサイド(例えば、アルミシリサイド(AlSi)やニッケルシリサイド(NiSi)などの金属シリサイド)その他適宜の導電体で構成されていてもよい。
【0034】
第2電極130は、半導体基体110の上方における素子分離膜140を挟んで第1電極120の反対側の位置に配置されている(従って、素子分離膜140は第1電極120と第2電極130との間の領域に形成されていることとなる)。第2電極130は、外部の駆動用電源Vcc及びローサイド駆動回路12と電気的に接続されている。第2電極130は、絶縁膜150に形成された開口を介して半導体基体110の第2コンタクト領域CR2とコンタクトされている。第2電極130は、金属(例えば、アルミニウム)で構成されている。
【0035】
第3電極160は、絶縁膜150上において、素子分離膜140と接する位置に配置されている膜状の部材である。なお、実施形態1において、第3電極160を膜状の部材としているが、膜状の部材でなくてもよい。第3電極160は、絶縁膜150を介してバックゲート領域113の一部及び第1半導体層112の一部と対向している。
第2フィールドプレート162は、第3電極160と繋がっており、素子分離膜140の表面上に形成されている。第2フィールドプレート162は、第3電極160と一体化されている。実施形態1において、第3電極160及び第2フィールドプレート162は、ポリシリコンで構成されているが、金属(例えば、アルミニウム)やシリサイド(例えば、アルミシリサイド(AlSi)やニッケルシリサイド(NiSi)などの金属シリサイド)その他適宜の導電体で構成されていてもよい。
接続部164は、一方側が第2電極130と接続されており、他方側が第2フィールドプレート162上に延び、第2フィールドプレート162と接続されている。接続部164は、金属(例えば、アルミニウム)で構成されている。
【0036】
第4電極170は、絶縁膜150に形成された開口を介して半導体基体110の第3コンタクト領域CR3及びバックゲート領域113と接続されている。第4電極170は、外部の基準電位と接続されていることから、基板111及びバックゲート領域113の電位は基準電位となる。
【0037】
3.実施形態1に係る半導体装置100の動作
次に、実施形態1に係る半導体装置100は、ブートストラップ回路の整流素子としての機能を有することを説明する。
図3は、導通時(充電時、Vcc>Vb)における実施形態1に係る半導体装置100の様子を説明するために示す断面図である。
図4は、非導通時(逆バイアス時、Vcc<Vb)における実施形態1に係る半導体装置100の様子を説明するために示す断面図である。
【0038】
(1)導通時(充電時、Vcc>Vb)
ローサイドスイッチQ2をオンにスイッチングしたとき、駆動用電源の電圧Vccは、容量22側の電圧Vbよりも大きくなる。実施形態1に係る半導体装置100において、第1電極120は容量22と接続され、第2電極130は駆動用電源Vccと接続されていることから、実施形態1に係る半導体装置100は、第1電極120がソース電極、第2電極130がドレイン電極、第3電極160がゲート電極となるnチャネルMOSと同様の構成となる(
図3参照)。そして、ゲート電極である第3電極160は、ドレイン電極である第2電極130と接続されているため、ゲートソース間電圧が生じ、ゲート電極がオンされている状態となり、第3電極160と絶縁膜150を挟んで対向するバックゲート領域113にチャネル領域113’が形成される。従って、駆動用電源Vccから第2電極130、チャネル領域113’、第1半導体層112、第1コンタクト領域CR1、第1電極120を経由して容量22へと電流が流れ、容量22が充電される。
【0039】
(2)非導通時(ボディダイオードの逆バイアス時、Vcc<Vb)
ローサイドスイッチQ2をオフにスイッチングしたとき、ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2との接続点Nの電圧Vsが上昇し、それに伴って、電圧Vbも上昇し、やがて、駆動用電源の電圧Vccは、容量22側の電圧Vbよりも小さくなる。従って、実施形態1に係る半導体装置100は、第1電極120がドレイン電極、第2電極130がソース電極、第3電極160がゲート電極となるnチャネルMOSと同様の構成となる(
図4参照)。そして、ゲート電極である第3電極160は、ソース電極である第2電極130と接続されているため、ゲートソース間電圧が0になり、バックゲート領域113にチャネル領域113’が形成されず、半導体装置100がオンされない状態となる(p型のバックゲート領域113とn型の第1半導体層112とで構成されるボディダイオードの逆バイアスとなる)。従って、容量22の電圧がハイサイド駆動回路11に重畳されるときには、容量22から駆動用電源Vccに電流が流れなくなり、容量22から駆動用電源Vccに電流が逆流することを阻止することができる。
【0040】
次に、電圧Vbと半導体装置100を流れる充電電流Ibとの関係について説明する。
図5は、電圧Vbと半導体装置100を流れる充電電流Ibとの関係を示すグラフである。
【0041】
図5に示すように、電圧Vbが小さいときは、駆動用電源の電圧Vccは、容量22側の電圧Vbよりも大きくなることから、半導体装置100がオンし、駆動用電源Vccから容量22に向かって充電電流Ibが流れる。そして、容量22が充電されていくと、電圧Vbが徐々に大きくなり、駆動用電源Vccの電圧Vccと容量22の電圧Vbとの差が小さくなると、充電電流Ibは徐々に小さくなる
【0042】
ここで、整流素子として、電界効果トランジスタである実施形態1に係る半導体装置を用いるため、ブートストラップダイオードを用いた場合のような電圧降下が起きにくい。従って、電圧Vbが電圧Vccに近い電圧となるまで充電電流Ibが流れることとなる。また、実施形態1に係る半導体装置100においては、バックゲート領域113の不純物濃度が極めて低いため、閾値電圧が極めて低く、電圧Vbが電圧Vccに近くなった場合であっても充電電流Ibの電流が所定の値を維持することができる。
【0043】
第2電極の電圧Vccが第1電極の電圧Vbとほぼ同じ電圧になると充電電流Ibが急激に低下しほとんど流れなくなる。第2電極の電圧Vccが第1電極の電圧Vbよりも小さくなると、半導体装置100のチャネル領域が消失して逆バイアスになり、充電電流Ibはほとんど流れなくなる。
【0044】
このように、実施形態1に係る半導体装置100は、容量の充放電を制御する整流素子としての機能を有する。
【0045】
4.実施形態1に係る半導体装置100の効果
実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体基体110は、少なくとも絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に基板111に達する深さで形成されたn型のバックゲート領域113を有し、第2電極130、バックゲート領域113、第1半導体層112、絶縁膜150及び第3電極160で電界効果トランジスタを構成する。従って、第2電極130の電圧Vccが第1電極120の電圧Vbよりも大きいときには、第3電極160をオンして第2電極130から第1電極120に向かって電流を流して容量を充電することができ、第2電極130の電圧Vccが第1電極120の電圧Vbよりも小さいときには、第3電極160をオフにして電流を遮断することができる。従って、従来のブートストラップダイオードと同様に、整流素子の機能を実現することができる。
【0046】
ところで、ブートストラップ回路において、整流素子としてブートストラップダイオードを用いた場合には、ダイオードの特性としてフォワード電圧分の電圧降下が生じることから、駆動用電源Vccから容量に印加される電圧が低下してしまい、容量を駆動用電源Vccに近い電圧まで充電することが難しい。これに対して、実施形態1に係る半導体装置100によれば、第2電極130、バックゲート領域113、第1半導体層112、絶縁膜150及び第3電極160で構成される電界効果トランジスタを整流素子として用いるため、ブートストラップダイオードを用いた場合のようにフォワード電圧分の電圧降下が生じる、ということがなく、容量22を駆動用電源Vccに近い電圧まで充電することができる(
図5参照)。
【0047】
ところで、電界効果トランジスタをオンするためには、ソース電極よりも高い電圧をゲートソース間に印加する必要があるため、ブートストラップ回路において、整流素子として電界効果トランジスタを用いた場合には、駆動用電源Vccよりも高い電圧をゲート電極(第3電極)に印加しなければ電界効果トランジスタをオンすることができない。さらに、基板に印加する電圧を低くしようとする場合には、基板バイアス効果が生じることによって閾値電圧がより高くなるため、ゲート電極(第3電極)に印加する電圧を更に高くする必要がある。しかしながら、実施形態1に係る半導体装置100によれば、バックゲート領域113の不純物濃度が1×1010cm-3~1×1015cm-3の範囲内にあるため、閾値電圧が極めて小さくなり(0Vに近くなり)、チャネル領域113’が形成し易くなる。また、バックゲート領域113に広がる電界が小さくなることから基板バイアス効果の影響を低減することができる。その結果、半導体装置をオンさせるために、第3電極160に必要以上に高い電圧を印加する必要がなくなり、適切な電圧で半導体装置のオンオフをすることができる。
【0048】
なお、バックゲート領域113の不純物濃度を1×1010cm-3以上としたのは、バックゲート領域113の不純物濃度が1×1010cm-3未満の場合には、逆バイアス時にバックゲート領域113と第1半導体層112との間のpn接合が十分なポテンシャル障壁を形成することができず、逆バイアス時に第1電極120と第2電極130との間に逆方向電流が流れるおそれがあり、整流素子としての機能を保つことが難しいからである。また、バックゲート領域113の不純物濃度を1015cm-3以下としたのは、バックゲート領域113の不純物濃度を1015cm-3を超える場合には、閾値電圧が高くなり、チャネル領域113’が形成し難くなることから、第3電極160に比較的高い電圧を印加する必要があるからである。
【0049】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体基体110は、少なくとも絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に基板111に達する深さで形成されたp型のバックゲート領域113を有し、第2電極130と基板111との間に流れる寄生電流の要因となる寄生トランジスタが形成され難くなる。従って、寄生電流による漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じ難く、整流素子を半導体基体に形成することができる。その結果、整流素子をゲートドライバICに内蔵することができる。
【0050】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体基体110の表面上における第1電極120と第2電極130との間の領域に形成された素子分離膜140を備え、半導体基体110の基板111及び第1半導体層112、並びに、素子分離膜140でリサーフ構造を有する半導体装置となることから、比較的高電圧の第1電極120に印加された電圧を電圧降下させて比較的低電圧の回路と接続されている第2電極130の電圧に近づけることができる。従って、比較的高電圧の領域と比較的低電圧の領域とを同一の基板に形成することができる。
【0051】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、第3電極160は、第2電極130と接続されているため、スイッチングのための駆動回路等を設けなくても、第2電極130の電圧Vccが第1電極120の電圧Vbよりも大きいときは、順バイアスとなり、第2電極130の電圧Vccが第1電極120の電圧Vbよりも小さいときは、逆バイアスとなる。従って、簡便な構成で整流素子としての機能を有する半導体装置となる。
【0052】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、基板111は、基準電位と接続されているため、第3電極160に印加する電圧が小さい場合でもバックゲート領域113にチャネル領域113’が形成され易くなる。また、バックゲート領域113に広がる電界が小さくなることから基板バイアス効果の影響をより低減することができる。
【0053】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、第1電極120は、主要回路C1のハイサイドスイッチQ1のオンオフを制御する駆動回路(ハイサイド駆動回路11)及び容量22と電気的に接続され、第2電極130は、駆動用電源Vccと電気的に接続されているため、ブートストラップ回路の整流素子としての機能を有した半導体装置となる。
【0054】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体装置100は、第1回路のスイッチQ1、Q2のオンオフを制御するハイサイド駆動回路11及びローサイド駆動回路12と同一の半導体基体に形成されているため、整流素子である半導体装置100をゲートドライバICに内蔵することができ、電気機器の小型化の要請に適う半導体装置となる。
【0055】
また、実施形態1に係る半導体装置100によれば、半導体基体110は、第2電極130と接続する領域に、第1半導体層112よりも高濃度のn型の第2コンタクト領域CR2を有し、バックゲート領域113は、第2コンタクト領域CR2と基板111との間の領域にも形成されているため、p型の半導体基板にn型の第1半導体層112、第1コンタクト領域CR1、第2コンタクト領域CR2及び第3コンタクト領域CR3を形成するだけで半導体基体110を構成することができ、シンプルな構成で上記した効果を有する半導体装置とすることができる。
【0056】
[実施形態2]
図6は、実施形態2に係る半導体装置101を説明するために示す断面図である。
実施形態2に係る半導体装置101は、基本的には実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するが、第4電極170が配置されておらず、かつ、n型半導体領域118を更に有する点で実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なる。すなわち、実施形態2に係る半導体装置101において、半導体基体110は、
図6に示すように、第2コンタクト領域CR2を囲む領域に形成された、第2コンタクト領域CR2よりも低濃度のn型半導体領域118を有する。n型半導体領域118の不純物濃度は、第1半導体層112の不純物濃度よりも低い不純物濃度である。
【0057】
実施形態2に係る半導体装置101においては、実施形態1の第4電極170が形成されていないが、基板111は基準電位と接続されている。また、第2電極130と第3電極160とは接続されておらず、第3電極160に電圧を印加してバックゲート領域113aにチャネルを形成することができる。
【0058】
このように、実施形態2に係る半導体装置101は、第4電極170が配置されておらず、かつ、n型半導体領域118を更に有する点で実施形態1に係る半導体装置100の場合とは異なるが、実施形態1に係る半導体装置100の場合と同様に、半導体基体110は、少なくとも絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に基板111に達する深さで形成されたp型のバックゲート領域113aを有し、第2電極130と基板111との間に流れる寄生電流の要因となる寄生トランジスタが形成され難くなる。従って、寄生電流による漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じ難く、整流素子を半導体基体に形成することができる。その結果、整流素子をゲートドライバICに内蔵することができる。
【0059】
また、実施形態2に係る半導体装置101によれば、半導体基体110は、第2電極130と接続する領域に、第1半導体層112よりも高濃度のn型の第2コンタクト領域CR2と、第2コンタクト領域CR2を囲む領域に形成された、第2コンタクト領域CR2よりも低濃度のn型半導体領域118を有するため、逆バイアス時において、ゲート電極である第3電極160とソース電極である第2電極130との間の耐圧を確保することができる。
【0060】
なお、実施形態2に係る半導体装置101は、第4電極170が配置されておらず、かつ、n型半導体領域118を更に有する点以外の点においては実施形態1に係る半導体装置100と同様の構成を有するため、実施形態1に係る半導体装置100が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0061】
[実施形態3]
図7は、実施形態3に係る半導体装置102を説明するために示す断面図である。
実施形態3に係る半導体装置102は、基本的には実施形態2に係る半導体装置101と同様の構成を有するが、n型半導体領域118aが基板と接している点で実施形態2に係る半導体装置101の場合とは異なる(
図7参照)。すなわち、実施形態3に係る半導体装置102において、n型半導体領域118aは、第2電極130と接する領域に基板111に達する深さで形成されており、基板111と接している。
【0062】
n型半導体領域118a及びバックゲート領域113bの形成方法は適宜の方法を選択することができるが、実施形態3においては、基板111及びn型の半導体層が積層された半導体基体を準備し、n型の半導体層に柱状(断面で見て柱状)のバックゲート領域を形成することで、当該n型の半導体層をn型の第1半導体層112及びn型半導体領域118aに分離して形成したものである。従って、n型半導体領域118aの不純物濃度は、第1半導体層112の不純物濃度と同じ不純物濃度であり、バックゲート領域113bは、絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に基板111に達する深さで形成された柱状の領域となる。
【0063】
このように、実施形態3に係る半導体装置102は、n型半導体領域が基板と接している点で実施形態2に係る半導体装置101の場合とは異なるが、実施形態2に係る半導体装置101の場合と同様に、半導体基体110は、少なくとも絶縁膜150を介して第3電極160と対向する領域に基板111に達する深さで形成されたp型のバックゲート領域113bを有し、第2電極130と基板111との間に流れる寄生電流の要因となる寄生トランジスタが形成され難くなる。従って、寄生電流による漏れ電流の増加や耐圧の低下、素子破壊などの不具合が生じ難く、整流素子を半導体基体に形成することができる。その結果、整流素子をゲートドライバICに内蔵することができる。
【0064】
また、実施形態3に係る半導体装置102によれば、n型半導体領域118aの不純物濃度は、第1半導体層112の不純物濃度と同じ不純物濃度であるため、n型の半導体層に柱状のバックゲート領域を形成することで、当該n型の半導体層をn型の第1半導体層112及びn型半導体領域118aに分離して形成することができる。このため、n型半導体領域118aを形成するために新たな工程を追加する必要がなく、簡便な方法で半導体装置を製造することができる。
【0065】
なお、実施形態3に係る半導体装置102は、n型半導体領域が基板と接している点以外の点においては実施形態2に係る半導体装置101と同様の構成を有するため、実施形態2に係る半導体装置101が有する効果のうち該当する効果を有する。
【0066】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0067】
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0068】
(2)上記実施形態1において、第4電極を設けて基板111を基準電位と接続したが、本発明はこれに限定されるものではない。第4電極を設けずに基板111の電位を基準電位としてもよいし、基板111を基準電位と接続しなくてもよい。また、実施形態2及び3において、第4電極を設けないこととしたが、本発明はこれに限定されるものではない。第4電極を設けて基板111を基準電位と接続してもよいし、基準電位以外の電位としてもよい。
【0069】
(3)上記実施形態1において、第3電極を第2電極と接続したが、本発明はこれに限定されるものではない。第3電極を第2電極と接続せず、第3電極に電圧を印加して半導体装置のオンオフをしてもよい。また、実施形態2及び3において、第3電極を第2電極と接続せず、第3電極に電圧を印加して半導体装置のオンオフをしたが、本発明はこれに限定されるものではない。第3電極を第2電極と接続してもよい。
【0070】
(4)上記各実施形態において、バックゲート領域が基板111と接続されていることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。バックゲート領域が基板111と接続されていなくてもよい。また、基板111の不純物濃度とバックゲート領域の不純物濃度が異なっていてもよい。
【0071】
(5)上記各実施形態において、半導体装置をブートストラップ回路の整流素子として用いたが、本発明はこれに限定されるものではない。ブートストラップ回路の整流素子以外の整流素子として用いてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10…ハイサイド駆動回路、20…ローサイド駆動回路、22…容量、100,101,102…半導体装置、110…半導体基体、111…基板、112…第1半導体層、CR1…第1コンタクト領域、CR2…第2コンタクト領域、CR3…第3コンタクト領域113,113a,113b…バックゲート領域、118,118a…n型半導体領域、120…第1電極、130…第2電極、140…素子分離膜、150,152…絶縁膜、160…第3電極、170…第4電極、C1…第1回路、C2…第2回路