(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124693
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】蒸気生成装置
(51)【国際特許分類】
F22D 1/18 20060101AFI20220819BHJP
F22B 1/08 20060101ALI20220819BHJP
F22D 1/20 20060101ALI20220819BHJP
F22B 35/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
F22D1/18
F22B1/08
F22D1/20
F22B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022471
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】藤川 雄一
【テーマコード(参考)】
3L021
【Fターム(参考)】
3L021AA08
3L021BA08
3L021DA04
3L021FA02
(57)【要約】
【課題】伝熱部を介して蒸気と水とを間接的に熱交換させて蒸気を生成する構成において乾き蒸気を安定的に生成する。
【解決手段】蒸気生成装置100は、蒸気が供給される容器2と、水が流通すると共に、蒸気と水とで熱交換させるように容器2内に配置された伝熱管3(伝熱部)と、伝熱管3に供給される前の水を加熱するプレヒータ5と、伝熱管3から流出する蒸気から水を分離させるセパレータ6とを備えている。容器2には、蒸気が滞留する蒸気空間21aと蒸気が凝縮したドレンを貯留する貯留部21bとが設けられている。伝熱管3は、蒸気空間21aの蒸気及び貯留部21bのドレンと接触するように容器2内に配置されている。プレヒータ5には、水を加熱する熱源として貯留部21bのドレンが供給される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気が供給される容器と、
水が流通すると共に、蒸気と水とで熱交換させるように前記容器内に配置された伝熱部と、
前記伝熱部に供給される前の水を加熱するプレヒータと、
前記伝熱部から流出する蒸気から水を分離させるセパレータとを備え、
前記容器には、蒸気が滞留する蒸気空間と蒸気が凝縮したドレンを貯留する貯留部とが設けられ、
前記伝熱部は、前記蒸気空間の蒸気及び前記貯留部のドレンと接触するように前記容器内に配置され、
前記プレヒータには、水を加熱する熱源として前記貯留部のドレンが供給される蒸気生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蒸気生成装置において、
前記貯留部から前記プレヒータへ供給されるドレン量を調節する第1バルブと、
前記第1バルブを制御する第1制御部とをさらに備え、
前記第1制御部は、前記第1バルブを制御することによって前記貯留部のドレンの貯留量を調節する蒸気生成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の蒸気生成装置において、
前記貯留部のドレンの貯留量を検出する貯留量センサをさらに備え、
前記第1制御部は、前記貯留量センサの検出結果に基づいて、前記貯留部のドレンの貯留量を調節する蒸気生成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の蒸気生成装置において、
前記容器には、前記貯留部からドレンを流出させるドレン管とが接続され、
前記ドレン管は、前記プレヒータに接続され、
前記伝熱部には、前記伝熱部に水を供給する水供給管が接続され、
前記プレヒータは、前記水供給管を流通する水を加熱するように構成されている蒸気生成装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の蒸気生成装置において、
前記容器には、前記伝熱部に供給される水が一時的に貯留される貯留室が形成され、
前記貯留室には、前記セパレータによって分離された水が戻される戻り管が接続されている蒸気生成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の蒸気生成装置において、
前記セパレータの下流側に接続された蒸気流出管と、
前記蒸気流出管を流通する蒸気の圧力を検出する圧力センサと、
前記蒸気流出管を流通する蒸気の流量を調節する第2バルブと、
前記第2バルブを制御する第2制御部とをさらに備え、
前記第2制御部は、前記圧力センサの検出結果に基づいて前記第2バルブを制御することによって前記蒸気流出管から流出する蒸気の圧力を調節する蒸気生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、蒸気生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、蒸気を生成し、生成された蒸気から水を分離して、乾き蒸気を供給する蒸気生成装置が知られている。例えば、特許文献1には、蒸気を生成し、生成された蒸気からサイクロン式のセパレータによって水を分離し、乾き蒸気を供給する蒸気生成装置が開示されている。この蒸気生成装置では、ボイラで生成した蒸気を液体中で凝縮させ、凝縮水を再蒸発させることによって蒸気を生成している。これにより、蒸気生成装置は、ボイラで生成された蒸気中に含まれる不純物を液体中で分離させ、不純物の少ない蒸気を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の蒸気生成装置では、ボイラで生成された蒸気が液体に混合され、混合された液体が再蒸発して蒸気が生成される。そのため、液体中で分離された不純物が、再蒸発蒸気に再び混入する可能性もある。蒸気の品質を高める観点からは、蒸気と水とを混合することなく伝熱管等の伝熱部を介して間接的に熱交換させることによって、蒸気に加熱された水から蒸気を生成する構成が考えられる。この構成においては、水の品質を適切に管理することによって、熱源となる蒸気の品質にかかわらず、高品質の蒸気を生成することができる。
【0005】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、伝熱部を介して蒸気と水とを間接的に熱交換させて蒸気を生成する構成において乾き蒸気を安定的に生成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された蒸気生成装置は、蒸気が供給される容器と、水が流通すると共に、蒸気と水とで熱交換させるように前記容器内に配置された伝熱部と、前記伝熱部に供給される前の水を加熱するプレヒータと、前記伝熱部から流出する蒸気から水を分離させるセパレータとを備え、前記容器には、蒸気が滞留する蒸気空間と蒸気が凝縮したドレンを貯留する貯留部とが設けられ、前記伝熱部は、前記蒸気空間の蒸気及び前記貯留部のドレンと接触するように前記容器内に配置され、前記プレヒータには、前記水を加熱する熱源として前記貯留部のドレンが供給される。
【発明の効果】
【0007】
前記蒸気生成装置によれば、乾き蒸気を安定的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、蒸気生成装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、蒸気生成装置100の構成を示す概略図である。
【0010】
蒸気生成装置100は、水を加熱して蒸気を生成し、生成された蒸気から水を分離して乾き蒸気を供給する。蒸気生成装置100は、水と蒸気との間で熱交換を行う熱交換器1と、熱交換器1に供給される前の水を加熱するプレヒータ5と、熱交換器1から流出する蒸気から水を分離させるセパレータ6とを備えている。
【0011】
熱交換器1は、蒸気が供給される容器2と、水が流通すると共に、蒸気と水とで熱交換させるように容器2内に配置された伝熱管3とを有している。伝熱管3は、伝熱部の一例である。
【0012】
容器2は、熱交換室21と、第1ヘッダ22と、第2ヘッダ23とに仕切られている。この例では、容器2は、縦長の形状に形成されている。すなわち、容器2は、上下方向に延びる長手方向を有する。容器2の下部に第1ヘッダ22が形成され、容器2の上部に第2ヘッダ23が形成され、第1ヘッダ22と第2ヘッダ23との間に熱交換室21が形成されている。
【0013】
熱交換室21には、複数の伝熱管3が配置されている。伝熱管3の内部には、水が流通している。この例では、伝熱管3は、管壁に螺旋溝が形成された、いわゆるスパイラルチューブである。伝熱管3は、熱交換室21において上下方向に延びるように配置されている。伝熱管3の両端部はそれぞれ、第1ヘッダ22と第2ヘッダ23とに接続されている。具体的には、伝熱管3の下端は、第1ヘッダ22に接続されている。伝熱管3の上端は、第2ヘッダ23に接続されている。
【0014】
容器2には、容器2内に蒸気を供給する蒸気供給管41と、容器2内からドレンを流出させるドレン管42とが接続されている。蒸気供給管41及びドレン管42は、熱交換室21に接続されている。蒸気供給管41から熱交換室21に供給された蒸気は、伝熱管3を流通する水と熱交換を行って凝縮してドレンとなる。ドレンは、熱交換室21の下部に貯留される。つまり、熱交換室21の下部は、ドレンを貯留する貯留部21bとなっている。熱交換室21のうち貯留部21bの上方の空間は、蒸気が滞留する蒸気空間21aとなっている。蒸気供給管41は、蒸気空間21aと連通している。ドレン管42は、貯留部21bと連通している。蒸気供給管41には、蒸気供給管41を流通する蒸気の流量を調節する蒸気バルブ41aが設けられている。伝熱管3は、熱交換室21において、蒸気に晒され且つ、ドレンに部分的に浸漬するように配置される。
【0015】
容器2には、貯留部21bのドレンの水位を検出する水位センサ81が設けられている。水位センサ81は、貯留部21bのドレンの貯留量を検出する貯留量センサの一例である。
【0016】
容器2には、伝熱管3を流通する水を供給する水供給管43と、伝熱管3からの蒸気が流出する第1蒸気流出管44とが接続されている。水供給管43は、第1ヘッダ22と連通している。第1蒸気流出管44は、第2ヘッダ23と連通している。
【0017】
水供給管43には、純水が流通している。水供給管43には、純水の流量を調節する水バルブ43cが設けられている。第1ヘッダ22には、水供給管43からの水が供給される。第1ヘッダ22は、伝熱管3に供給される水を一時的に貯留する。第1ヘッダ22の水は、伝熱管3に流入する。第1ヘッダ22は、貯留室の一例である。
【0018】
第1ヘッダ22からの水は、伝熱管3の下端から伝熱管3内を上方へ流れていく。水は、伝熱管3を流通する間に熱交換室21の蒸気から熱を受け取って蒸発し、蒸気になる。蒸気は、伝熱管3の上端から第2ヘッダ23へ流出する。
【0019】
第2ヘッダ23は、伝熱管3から流出する蒸気を一時的に貯留する。第2ヘッダ23の蒸気は、第1蒸気流出管44へ流出していく。
【0020】
水供給管43には、プレヒータ5が設けられている。プレヒータ5は、水供給管43を流通する水を加熱する。水供給管43は、プレヒータ5よりも上流側の上流管43aと、プレヒータ5よりも下流側の下流管43bとを有している。上流管43aには、水バルブ43cが設けられている。
【0021】
プレヒータ5には、熱源として貯留部21bのドレンが供給される。具体的には、プレヒータ5には、貯留部21bからドレンを流出させるドレン管42が接続されている。ドレン管42は、容器2とプレヒータ5とを接続する上流管42aと、プレヒータ5からドレンを排出させる下流管42bとを有している。下流管42bには、ドレン管42を流通するドレンの流量を調節するドレンバルブ42cが設けられている。ドレンバルブ42cは、第1バルブの一例である。
【0022】
プレヒータ5においては、水供給管43を流通する水とドレン管42を流通するドレンとが互いに混ざり合うことなく、間接的に熱交換を行う。つまり、ドレン管42を流通するドレンの熱が水供給管43を流通する水へ伝わる。これにより、水供給管43を流通する水が加熱される。
【0023】
第1蒸気流出管44は、セパレータ6に接続されている。第1蒸気流出管44を流通する蒸気には、水が含まれている場合がある。例えば、伝熱管3から流出する蒸気には、伝熱管3を流通する間に蒸発しなかった水が含まれている場合がある。蒸気が第2ヘッダ23に貯留されている間、又は、第1蒸気流出管44を流通する間に、一部の蒸気が凝縮して水になる場合もある。セパレータ6は、水を含む蒸気から水を分離し、水が分離された蒸気、即ち、乾き蒸気を流出させる。
【0024】
セパレータ6は、蒸気及び水の流速を利用して蒸気と水とを分離させる。具体的には、セパレータ6は、蒸気及び水に作用する遠心力を利用して蒸気と水とを分離させる。この例では、セパレータ6は、サイクロン式のセパレータである。セパレータ6は、容器61と、セパレータ本体62とを有している。容器61は、セパレータ本体62によって、上流空間61aと下流空間61bとに仕切られている。第1蒸気流出管44は、容器61に、具体的には、上流空間61aに接続されている。セパレータ本体62は、旋回流路63と、流出管64とを有している。流出管64の外周に複数の旋回流路63が形成されている。旋回流路63の上流端は、上流空間61aに開口している。旋回流路63の下流端は、下流空間61bに開口している。流出管64の上流端は、下流空間61bに開口している。流出管64の下流端には、第2蒸気流出管65が接続されている。第2蒸気流出管65は、容器61の外側へ延びている。第2蒸気流出管65は、蒸気流出管の一例である。
【0025】
第1蒸気流出管44からの蒸気は、上流空間61aに流入した後、旋回流路63へ流入する。旋回流路63は、水を含んだ蒸気を旋回させる。水を含んだ蒸気は、旋回流となって下流空間61bへ流出する。下流空間61bのうち比較的上部は、旋回流路63から流出する水を含んだ蒸気が旋回するための空間となっている。水を含んだ蒸気には、旋回流による遠心力が作用する。蒸気に比べて比重が大きな水(例えば、水滴)にはより大きな遠心力が作用し、その結果、水が蒸気から分離されていく。分離された水は、下流空間61bの下部に溜まっていく。水が分離された蒸気、即ち、乾き蒸気は、流出管64へ流入し、流出管64を上方に流れていく。乾き蒸気は、流出管64から第2蒸気流出管65へ流入し、第2蒸気流出管65を流れていく。
【0026】
下流空間61bには、セパレータ6によって分離された水を流出させる戻り管28が接続されている。戻り管28の下流端は、第1ヘッダ22に接続されている。戻り管28には、第1ヘッダ22へ向かう流れを許容する一方、第1ヘッダ22からの流れを阻止する逆止弁28aが設けられている。下流空間61bの下部に溜まる水は、戻り管28を介して第1ヘッダ22へ流入する。
【0027】
第2蒸気流出管65には、第2蒸気流出管65を流通する蒸気の圧力を検出する圧力センサ82が設けられている。第2蒸気流出管65には、第2蒸気流出管65を流通する蒸気の流量を調節する蒸気バルブ65aが設けられている。蒸気バルブ65aは、第2バルブの一例である。
【0028】
蒸気生成装置100は、ドレンバルブ42cを制御する第1制御部71をさらに備えている。また、蒸気生成装置100は、蒸気バルブ65aを制御する第2制御部72をさらに備えている。
【0029】
第1制御部71は、CPU等のプロセッサで形成された演算部と、ROM又はRAM等で形成された記憶部とを有している。記憶部には、各種プログラム及び各種データ等の情報が記憶されている。演算部は、記憶部に記憶されたプログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ドレンバルブ42cを制御する。
【0030】
同様に、第2制御部72は、CPU等のプロセッサで形成された演算部と、ROM又はRAM等で形成された記憶部とを有している。記憶部には、各種プログラム及び各種データ等の情報が記憶されている。演算部は、記憶部に記憶されたプログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、蒸気バルブ65aを制御する。
【0031】
具体的には、第1制御部71は、ドレンバルブ42cを制御することによって貯留部21bのドレンの貯留量を調節する。第1制御部71には、水位センサ81の検出結果が入力される。第1制御部71は、水位センサ81の検出結果に基づいてドレンバルブ42cを制御することによって、貯留部21bのドレンの貯留量を調節する。
【0032】
貯留部21bのドレンの貯留量は、伝熱管3のうち蒸気空間21aの蒸気に晒されている部分の面積(即ち、蒸気との伝熱管3の伝熱面積)と相関がある。つまり、貯留部21bのドレンの貯留量が減少すると、蒸気との伝熱管3の伝熱面積が拡大する。蒸気から伝熱管3を流通する水へ伝わる熱量は、蒸気との伝熱管3の伝熱面積と伝熱管3を流通する水の流速とに依存する。伝熱管3を流通する水を蒸発させるためには、或る程度の熱量が必要となる。蒸気との伝熱管3の伝熱面積が小さい場合には、水を蒸発させるための必要熱量を確保するために、伝熱管3を流通する水の流速を上げる必要がある。伝熱管3を流通する水の流速が速くなると、セパレータ6を通過する蒸気の流速も速くなる。セパレータ6を通過する蒸気の流速が速くなると、セパレータ6での蒸気と水との分離効率が低下する虞がある。
【0033】
そのため、第1制御部71は、貯留部21bのドレンの貯留量が所定の範囲(所定の上限値と下限値との範囲)に入るようにドレンバルブ42cの開度を制御する。具体的には、第1制御部71は、ドレンの貯留量が所定の上限値を超えないようにドレンバルブ42cの開度を大きくする一方、ドレンの貯留量が所定の下限値を下回らないようにドレンバルブ42cの開度を小さくする。
【0034】
例えば、第1制御部71は、ドレンの貯留量が多くなるにつれて開度が大きくなるようにドレンバルブ42cの開度を連続的に調節する。あるいは、第1制御部71は、ドレンの貯留量が多くなるにつれて開度が大きくなるようにドレンバルブ42cの開度を段階的に調節してもよい。例えば、第1制御部71は、ドレンの貯留量が第1貯留量(<上限値)よりも多い場合にドレンバルブ42cの開度を比較的大きな第1開度に設定し、ドレンの貯留量が第1貯留量以下で且つ第2貯留量(>下限値)以上の場合にドレンバルブ42cの開度を第1開度よりも小さな第2開度に設定し、ドレンの貯留量が第2貯留量も少ない場合にドレンバルブ42cの開度を第2開度よりも小さな第3開度に設定してもよい。
【0035】
さらに、貯留部21bから排出されるドレンは、プレヒータ5に供給され、伝熱管3に供給される水の加熱に利用される。これにより、伝熱管3を流通する水の蒸発が促進される。
【0036】
また、第2制御部72は、蒸気バルブ65aを制御することによって第1蒸気流出管44から流出する蒸気の圧力を調節する。第2制御部72には、圧力センサ82の検出結果が入力される。第2制御部72は、圧力センサ82の検出結果に基づいて蒸気バルブ65aを制御することによって、第1蒸気流出管44から流出する蒸気の圧力を所定圧力に調節する。
【0037】
このように構成された蒸気生成装置100においては、伝熱管3流通する水とこの水を加熱する蒸気とが混合されることなく間接的に熱交換を行うため、伝熱管3内の水が蒸発して生成される蒸気の品質は、加熱源となる蒸気の品質の影響を受けない。この例では、伝熱管3に供給される水が純水なので、高品質の蒸気が生成される。
【0038】
また、貯留部21bのドレンの貯留量が所定の範囲に調節されるので、蒸気との伝熱管3の伝熱面積が一定の範囲で確保される。これにより、蒸気から伝熱管3内の水へ蒸発に必要な熱量を与えつつ、伝熱管3を流通する水の流速を低減することができる。その結果、伝熱管3を流通する水を適切に蒸発させつつ、セパレータ6での蒸気と水との分離効率の低下を防止することができる。これにより、蒸気生成装置100は、乾き蒸気を安定的に供給することができる。
【0039】
さらに、貯留部21bのドレンは、熱交換室21において蒸気が凝縮したものであり、比較的高温である。貯留部21から排出されるドレンをプレヒータ5に供給することによって、ドレンの熱を有効に活用することができる。さらに、貯留部21bのドレンを排出するときは、蒸気から伝熱管3の水への伝熱効率を高めたい状況、即ち、伝熱管3での水の蒸発を促進したい状況である。このような状況において、伝熱管3へ供給前の水が貯留部21bのドレンの熱を活用して加熱されることによって、伝熱管3での水の蒸発がより一層促進される。
【0040】
以上のように、蒸気生成装置100は、蒸気が供給される容器2と、水が流通すると共に、蒸気と水とで熱交換させるように容器2内に配置された伝熱管3(伝熱部)と、伝熱管3に供給される前の水を加熱するプレヒータ5と、伝熱管3から流出する蒸気から水を分離させるセパレータ6とを備え、容器2には、蒸気が滞留する蒸気空間21aと蒸気が凝縮したドレンを貯留する貯留部21bとが設けられ、伝熱管3は、蒸気空間21aの蒸気及び貯留部21bのドレンと接触するように容器2内に配置され、プレヒータ5には、水を加熱する熱源として貯留部21bのドレンが供給される。
【0041】
この構成によれば、貯留部21bのドレンがプレヒータ5に供給されることによって、貯留部21bのドレンの貯留量が低減する。ドレンの貯留量が低減すると、伝熱管3のうち蒸気空間21aの蒸気に晒されている部分の面積、即ち、蒸気との伝熱管3の伝熱面積が拡大される。これにより、伝熱管3を流通する水の流速を増加させなくても、伝熱管3内で水を適切に蒸発させることができる。それに加えて、貯留部21bから排出されたドレンは、プレヒータ5において、伝熱管3へ供給される前の水の加熱に利用される。これにより、伝熱管3内において水が蒸発しやすくなる。
【0042】
このように、貯留部21bのドレンがプレヒータ5に供給されることによって、蒸気との伝熱管3の伝熱面積が拡大されると共に、伝熱管3に供給される水の温度が上昇して、伝熱管3内の水が相乗的に蒸発しやすくなる。これにより、伝熱管3を流通する水の流速を抑制することができるので、セパレータ6を通過する蒸気及び水の流速を抑制することができ、セパレータ6での蒸気と水との分離効率の低下を防止することができる。その結果、蒸気生成装置100は、乾き蒸気を安定的に供給することができる。
【0043】
また、蒸気生成装置100は、貯留部21bからプレヒータ5へ供給されるドレン量を調節するドレンバルブ42c(第1バルブ)と、ドレンバルブ42cを制御する第1制御部71とをさらに備え、第1制御部71は、ドレンバルブ42cを制御することによって貯留部21bのドレンの貯留量を調節する。
【0044】
この構成によれば、第1制御部71によって、蒸気との伝熱管3の伝熱面積及び伝熱管3に供給される前の水の加熱量が調節される。例えば、セパレータ6における蒸気と水との分離効率が適切に確保される程度に伝熱管3を流通する水の流速が設定されている場合に、第1制御部71は、伝熱管3内の水が適切に蒸発するように、蒸気との伝熱管3の伝熱面積及び伝熱管3に供給される前の水の加熱量を調節することができる。
【0045】
さらに、蒸気生成装置100は、貯留部21bのドレンの貯留量を検出する水位センサ81(貯留量センサ)をさらに備え、第1制御部71は、水位センサ81の検出結果に基づいて、貯留部21bのドレンの貯留量を調節する。
【0046】
この構成によれば、第1制御部71は、水位センサ81の検出結果に基づいて、蒸気との伝熱管3の伝熱面積を把握することができる。その結果、第1制御部71は、蒸気との伝熱管3の伝熱面積を正確に調節することができる。
【0047】
また、容器2には、貯留部21bからドレンを流出させるドレン管42が接続され、ドレン管42は、プレヒータ5に接続され、伝熱管3には、伝熱管3に水を供給する水供給管43が接続され、プレヒータ5は、水供給管43を流通する水を加熱するように構成されている。
【0048】
この構成によれば、容器2からはドレン管42を介してドレンが流出する。伝熱管3には、プレヒータ5によって加熱された水が水供給管43を介して供給される。プレヒータ5には、ドレン管42を介して容器2からのドレンが熱源として供給される。
【0049】
さらに、容器2には、伝熱管3に供給される水が一時的に貯留される第1ヘッダ22(貯留室)が形成され、第1ヘッダ22には、セパレータ6によって分離された水が戻される戻り管28が接続されている。
【0050】
この構成によれば、セパレータ6によって蒸気から分離された水は、戻り管28を介して第1ヘッダ22へ戻される。第1ヘッダ22へ戻された水は、伝熱管3へ再び供給される。セパレータ6において分離された水は、元々は蒸気に混入していたので比較的高温であると共に、元々は水供給管43を介して供給された純水なので品質も高い。つまり、高温かつ高品質の水を蒸気の生成に有効に活用することができる。
【0051】
また、蒸気生成装置100は、セパレータ6の下流側に接続された第2蒸気流出管65と、第2蒸気流出管65を流通する蒸気の圧力を検出する圧力センサ82と、第2蒸気流出管65を流通する蒸気の流量を調節する蒸気バルブ65a(第2バルブ)と、蒸気バルブ65aを制御する第2制御部72とをさらに備え、第2制御部72は、圧力センサ82の検出結果に基づいて蒸気バルブ65aを制御することによって第2蒸気流出管65から流出する蒸気の圧力を調節する。
【0052】
この構成によれば、第2蒸気流出管65を介して流出する蒸気の圧力が第2制御部72によって調節される。
【0053】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0054】
例えば、伝熱部は、前述の伝熱管3に限定されない。伝熱管3は、ストレートチューブ又はコイル状に形成された管であってもよい。また、伝熱部は、プレート式の熱交換器であってもよい。
【0055】
セパレータは、前述のセパレータ6に限定されない。セパレータは、蒸気及び水の流速を利用して蒸気と水とを分離する限りは任意の構成を採用し得る。
【0056】
第1制御部71と第2制御部72は、単一の制御部で形成されていてもよい。つまり、共通の制御部がドレンバルブ42c及び蒸気バルブ65aを制御してもよい。
【0057】
各種バルブの位置は、前述の位置に限定されない。例えば、ドレンバルブ42cは、上流管42aに設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 蒸気生成装置
2 容器
21a 蒸気空間
21b 貯留部
22 第1ヘッダ(貯留室)
28 戻り管
3 伝熱管(伝熱部)
41 蒸気供給管
42 ドレン管
42c ドレンバルブ(第1バルブ)
43 水供給管
5 プレヒータ
6 セパレータ
65 第2蒸気流出管(蒸気流出管)
65a 蒸気バルブ(第2バルブ)
71 第1制御部
72 第2制御部
81 水位センサ(貯留量センサ)
82 圧力センサ