(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124704
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】チューブ容器
(51)【国際特許分類】
B65D 35/02 20060101AFI20220819BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B65D35/02 C
B65D35/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022485
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
(72)【発明者】
【氏名】浦川 直也
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
3E065BA34
3E065BB03
3E065CA09
3E065CA20
3E065DA04
3E065DB05
3E065DC01
3E065DD05
3E065FA04
3E065GA10
(57)【要約】
【課題】胴部を構成するフィルムと紙とを分離可能なチューブ容器を提供する。
【解決手段】筒形状の注出筒部と、注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを有する注出口部と、紙層と最内層のシーラント層とを含むシートからなり、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲がフランジ部にシールされたチューブ状の胴部とを備え、記胴部に、胴部の長さ方向に延びる複数の罫線が設けられている、チューブ容器。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の注出筒部と、前記注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを有する注出口部と、
紙層と最内層のシーラント層とを含むシートからなり、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲が前記フランジ部にシールされたチューブ状の胴部とを備え、
前記胴部に、前記胴部の長さ方向に延びる複数の罫線が設けられている、チューブ容器。
【請求項2】
前記胴部の長さ方向に延びる第1の罫線に沿って谷折りに折り曲げられた第1の折り目と、前記第1の罫線と平行かつ、前記第1の罫線を中心として線対称に設けられた一対の第2の罫線に沿って山折りに折り曲げられた一対の第2の折り目とが、前記胴部の一部及びこれに対向する他の一部にそれぞれ設けられており、
前記胴部の一方端がガゼットシールにより閉塞されている、請求項1に記載のチューブ容器。
【請求項3】
前記第1の折り目及び前記第2の折り目が、前記胴部の前記一方端から所定範囲の部分に設けられる、請求項2に記載のチューブ容器。
【請求項4】
前記胴部には、前記複数の罫線のそれぞれに沿って山折りに折り曲げられた複数の第3の折り目が設けられている、請求項1に記載のチューブ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている。例えば、特許文献1には、内容物を抽出する注出ユニットと、注出ユニットに溶着され、内容物を収容する胴部とから構成されるチューブ容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チューブ容器の用途は多岐に渡り、他の商品との差別化のために意匠性を高めることが求められている。
【0005】
それ故に、本発明は、意匠性に優れたチューブ容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るチューブ容器は、筒形状の注出筒部と、注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを有する注出口部と、紙層と最内層のシーラント層とを含むシートからなり、一方端が閉塞され、他方端から所定範囲がフランジ部にシールされたチューブ状の胴部とを備え、胴部に、胴部の長さ方向に延びる複数の罫線が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、意匠性に優れたチューブ容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図
【
図3】
図2に示したIII-IIIラインに沿う端面図
【
図4】チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図
【
図8】内容物の充填後の、従来のチューブ容器を示す図
【
図9】内容物の残量が極めて少なくなった場合のチューブ容器を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図であり、
図2は、
図1に示した注出口部の斜視図であり、
図3は、
図2に示したIII-IIIラインに沿う端面図である。
図2及び
図3は、注出口部に胴部をシールする前の状態を示している。
図1および以降の図において、点線は谷折り、一点鎖線は山折りを示す。
【0010】
チューブ容器100は、チューブ状の胴部1と、胴部1に取り付けられた注出口部2とを備える。
【0011】
胴部1は、内容物を収容するための部材であり、略平行な一対の端縁を有するシートの端縁同士を貼り合わせることで形成されている。貼り合わせの方法としては、例えば、シートの一対の端縁のそれぞれを含む帯状領域の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させる合掌貼りや、シートの一方の端縁を含む帯状領域の外面と、シートの他方の端縁を含む帯状領域の内面とを貼り合わせる封筒貼り、または、シートの両端を突き合わせた突付け部をテープ材でシールする突付けテープ貼りなどの方法が用いられる。これらの方法を用いた貼り合わせにより、胴部1には貼り合わせ部7(背貼り部)が形成される。合掌貼りの場合、貼り合わせ部7は、胴部1の外面に沿うように折り曲げられて胴部1に貼合されても良く、例えば、胴部1を構成するフィルムの表面全体または部分的に設けられるヒートシール性の樹脂を介して溶着しても良いし、ホットメルト等の接着剤を介して接着しても良い。
【0012】
胴部1の一方の端部5a(
図1における下端)はシールされて閉塞されている。一方、胴部1の他方の端部5b(
図1における上端)の近傍部分は、折り畳まれた状態で、後述するフランジ部4の外面8にシールされている。胴部1とフランジ部4との溶着部には、胴部1を構成するシートが折り畳まれてなるプリーツ12が複数形成される。
【0013】
胴部1には、胴部1の長さ方向に延びる罫線20が複数設けられる。胴部1は、罫線20に沿って折り曲げることが可能である。罫線20は、罫線20aおよび罫線20bに分類され、罫線20aに沿って谷折りに折り曲げられた折り目を第1の折り目21、罫線20bに沿って山折りに折り曲げられた折り目を第2の折り目22とする。すなわち、罫線20を折り曲げることで、第1の折り目21または第2の折り目22が形成される。ここで、谷折りとは、折り目が胴部1の内側に突出するように折られた折り方のことであり、山折りとは、折り目が胴部1の外側に突出するように折られた折り方のことである。第1の折り目21および第2の折り目22は、チューブ容器100の内容物の量に応じて折られる量が変わってもよく、例えば、内容物の残量の減少に伴って折られる量が大きくなった場合、チューブ容器100の体積は小さくなる。また、罫線20、あるいは第1の折り目21および第2の折り目22は、
図1に示すように、胴部1の長さ方向に亘って設けられてもよいし、胴部1の端部5aから所定範囲のみに設けられてもよい。
【0014】
第1の折り目21および第2の折り目22は、例えば
図1のように、胴部1の端部5a側部分がガゼット状に形成されるように設けられてもよい。この場合、第1の折り目21と、当該第1の折り目21と平行かつ、当該第1の折り目21を中心に線対称となる一対の第2の折り目22とが、胴部1の一部およびこれに対向する他の一部にそれぞれ設けられ、合計6本の折り目が設けられる。胴部1の端部5a側部分がガゼット状に形成される場合、端部5aはガゼットシールにより閉塞される。なお、ガゼット状に形成する場合であっても、罫線20、あるいは第1の折り目および第2の折り目は、例えば、胴部1の端部5aから所定範囲のみに設けられるのであってもよい。
【0015】
注出口部2は、胴部1に収容された内容物を外部に抽出するためのスパウトであり、筒状の注出筒部3とフランジ部4とを備える。フランジ部4は、注出筒部3の一方の端部6a(
図1における下端)に接続され、注出筒部3の外方に延伸する平板状の部分である。本実施形態では、フランジ部4は、注出筒部3の軸方向と直交する方向(
図1における左右方向)に延伸するように形成されている。本実施形態では、フランジ部4は、円環状に形成されているが、胴部1を接合することができる限り、フランジ部4の形状は限定されず、楕円形、長円形、トラック形、多角形等であっても良い。
【0016】
注出口部2は、熱可塑性樹脂により成型されてもよいし、熱可塑性樹脂と樹脂以外のフィラーを含む材料により成型されてもよい。注出口部2の材料に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びシクロポリオレフィンのいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。フィラーとしては、タルク、カオリン、紙粉及びセルロース繊維のいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。注出口部2の材料として、熱可塑性樹脂と、樹脂以外のフィラーの混合物を用いることにより、成型性や胴部1のシート材との熱溶着性を維持しつつ、樹脂の使用量を低減することが可能となる。注出口部2の成型方法は特に限定されないが、射出成形、真空成形・熱板圧空成型等のサーモフォーミング、コンプレッション成型等の既存の成型方法を利用可能である。
【0017】
図2及び
図3に示すように、フランジ部4の外面8(注出筒部3の端部6b側の面)には、円環状の凸部9及び凹部10が設けられている。注出口部2のフランジ部4に胴部1を溶着する際、凸部9が最初に溶融し、溶融した樹脂が胴部1の内面とフランジ部4との間に広がる。また、溶融した樹脂の一部は凹部10に流れ込む。この結果、凸部9が溶融した樹脂を介して、胴部1の内面とフランジ部4の外面8とを面で溶着することができ、溶着強度を向上できる。
【0018】
チューブ容器100の製造時に胴部1及び注出口部2を溶着する方法としては、超音波溶着、高周波溶着、ヒートシール溶着、ホットエア溶着、胴部インサートのコンプレッション成型等を利用することができるが、紙の断熱性に左右されにくい点で超音波溶着を採
用することが好ましい。
【0019】
チューブ容器100は、
図1に示すように、注出口部2の注出筒部3に螺合により着脱可能なスクリューキャップ11を更に備えていても良い。チューブ容器100がスクリューキャップ11を備える場合、チューブ容器100の開封後に再封することが容易と
なる。
【0020】
また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、ヒンジキャップを備えていても良い。ヒンジキャップを設ける場合、
図1に示した注出筒部3に螺合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。あるいは、注出筒部3の外面にネジ山の代わりにリブを設け、リブを介した嵌合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、注出筒部3と打栓により嵌合するキャップを備えてもよい。
【0021】
また、注出筒部3の端部6bには、チューブ容器100の未開封状態において注出筒部3を閉鎖するフィルムがシールされていても良い。
【0022】
更に、注出筒部3の内部は、チューブ容器100の未開封状態において容器内部を密閉状態に保つために、隔壁により閉鎖されていても良い。隔壁を設ける場合、注出筒部3の内周に沿って円形状のハーフカットを設けると共に、ハーフカットによって囲まれた部分に接続されるプルリングを設けることが好ましい。このように構成すれば、チューブ容器100の開封時には、使用者がプルリングを引っ張って隔壁のハーフカットの部分を破断させることにより、ハーフカットで囲まれた隔壁の一部を除去して、胴部1から注出筒部3へと内容物を注出するための開口部を形成することができる。
【0023】
図4は、チューブ容器の胴部を構成するシートの一例を示す断面図である。
【0024】
チューブ容器100の胴部1は、シート41により構成される。シート41は、紙層32の一方面側に、基材フィルム層33、バリア層34及びシーラント層35をこの順に積層し、紙層32の他方面側に、紙保護層37を積層した多層シートである。また、紙保護層37上にインキ層及びオーバーコートニス層を更に積層してもよい。各層間には各層同士を接着する接着剤が使用されてもよい。以下、各層の詳細を説明する。
【0025】
(紙層)
紙層32は、チューブ容器100に強度及びコシを付与する構造層である。紙層32を構成する用紙の種類は特に限定されないが、強度、屈曲耐性、印刷適性を備える点で、片艶クラフト紙または両艶クラフト紙を用いることが好ましい。また、紙層32を構成する用紙として、必要に応じて、耐水紙、耐油紙、またはカップ原紙等を使用しても良い。端面から層がばらけるのを抑制するために、単一層構成のクラフト紙が特に好ましい。
【0026】
紙層32に用いる紙の坪量は、30~300g/m2であり、50~150g/m2であることが好ましい。紙層32に用いる紙の坪量が30g/m2未満である場合、胴部1のコシが不足する。コシを補うためには、例えば、紙層32より内側に設ける樹脂フィルムを厚くする必要があるが、樹脂比率の上昇に繋がり、環境負荷低減の面で望ましくない。また、紙層32に用いる紙の坪量が300g/m2を超える場合、紙のコシが強くなり過ぎて製筒性および製袋性が悪化し、特に、胴部1を罫線20に沿って折り曲げることが困難となる。さらに、断熱性が高くなるため溶着性も悪化する上、製造コストも増加するため好ましくない。また、紙層32に含まれるセルロース繊維の質量は、紙層32の全質量の50%以上である。
【0027】
(基材フィルム層)
基材フィルム層33は、シート41に耐熱性と強靱性等の物理的強度とを付与する層である。基材フィルム層33は、バリア層34の基材となる層でもある。基材フィルム層33を構成するフィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性及び物理的強度の観点から、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0028】
(バリア層)
バリア層34は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層である。バリア層34は、例えば、シリカやアルミナ等の無機化合物の蒸着膜、アルミニウム等の金属蒸着膜、アルミニウム等の金属箔、板状鉱物及び/またはバリア性樹脂を含むバリアコート剤の塗膜の1種以上により構成することができる。バリアコート剤に用いるバリア性樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用することができ、バリアコート剤にはバリア性樹脂以外のバインダー樹脂が適宜配合される。バリア層34は、予め基材フィルム層33上に積層されてバリアフィルムを構成していても良いし、単層膜として設けられても良い。
【0029】
(シーラント層)
シーラント層35は、貼り合わせ部7および注出口部2と胴部1との溶着のために設けられる層である。シーラント層35の材質は特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。シーラント層35は、軟化温度が基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低い樹脂を用いる。シーラント層35の軟化温度が、基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低くない場合、シール時に基材フィルム層33が軟化してピンホールが発生する可能性が高くなるため好ましくない。シーラント層35の軟化温度は、基材フィルム層33の軟化温度より40℃以上低いことが好ましい。
【0030】
シーラント層35に用いる熱可塑性樹脂は、後述する注出口部2の材料を構成する熱可塑性樹脂に対して接着性を有するものであれば良いが、注出口部2に用いる熱可塑性樹脂と同じ材質であることが好ましい。シーラント層35に用いる熱可塑性樹脂と注出口部2に用いる熱可塑性樹脂層とを同じにすることにより、胴部1と注出口部2とのシール強度を向上させることができる。
【0031】
(紙保護層)
紙保護層37は、シート41を構成する紙層32への内容物や汚れの付着から保護するための層である。紙保護層37の材料や形成方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の押出コートや、耐水剤あるいは耐油剤等のコート剤のコートにより紙保護層37を積層することができる。紙保護層37の厚みは、0.2~50μmであることが好ましく、0.5~20μmであることがより好ましい。紙保護層37の厚みが0.2μm未満である場合、紙保護層37にピンホールが発生する可能性があり、紙層32の保護が不十分となる場合がある。また、紙保護層37の厚みが50μmを超える場合、樹脂使用量や製造コストの面で好ましくない。
【0032】
紙保護層37上には、必要に応じてインキ層およびオーバーコートニス層を積層してもよい。インキ層は、各種表示を行うために印刷により施される層であり、オーバーコートニス層は、耐摩性等を付与するための層である。紙保護層37に対するインキ層とオーバーコートニス層の積層順序は問わない。また、オーバーコートニス層が紙保護層37を兼ねていても良い。
【0033】
胴部1を構成するシート41の厚み(総厚)は、特に限定されないが、30~300μmであることが好ましい。胴部1を構成するフィルムの厚みが、この範囲であれば、製袋機やピロー・スティック包装機等を用いて胴部1を容易に加工することができる。また、紙層32によって強度とコシが付与されるため、一般的なラミネートチューブ(厚み300~500μm)と比べて、薄くすることができ、樹脂使用量も低減できる。
【0034】
胴部1を構成するシート41の樹脂比率を低減するため、シート41の質量のうち、紙層32の占める割合が50%以上であることが好ましい。樹脂の使用量を低減する観点では紙層32の割合は高いほど好ましい。
【0035】
尚、胴部1を構成するシート41は、紙層32およびシーラント層35以外の1層以上を省略しても良い。具体的なシート41の構成例として、以下を挙げることができる。
構成例1: 紙層(70g/m2)/透明蒸着PET(12μm)/NY(15μm)/PE(50μm)
構成例2: 紙層(120g/m2)/透明蒸着PET(12μm)/NY(15μm)/PE(50μm)
構成例3: 紙層(150g/m2)/PE(50μm)/EVOH(30μm)/PE(50μm)
構成例4: PE(30μm)/紙層(150g/m2)/PE(50μm)/EVOH(30μm)/PE(50μm)
構成例5: PE(30μm)/紙層(200g/m2)/PE(50μm)
【0036】
次に、チューブ容器100の胴部1の製造方法について説明する。
図5は注出口部を溶着する前の胴部を示す図である。
図6は、注出口部溶着後のチューブ容器を示す図である。
図7は、内容物の充填後のチューブ容器を示す図である。
図8は、内容物の充填後の、従来のチューブ容器を示す図である。
図9は、内容物の残量が極めて少なくなった場合のチューブ容器を示す図である。
図9は、チューブ容器の胴部の断面図である。
図10は、チューブ容器の胴部の断面図である。なお、
図7(a)、
図8(a)、
図9(a)には、それぞれのチューブ容器の正面図を示し、
図7(b)、
図8(b)、
図9(b)には、それぞれのチューブ容器の側面図を示す。以下、チューブ容器100の胴部1をガゼット型に形成することを想定して説明する。
【0037】
まず、シート41に、罫線20を付与する。胴部1にガゼットを形成する場合、罫線20は、
図5(a)および(b)のように、罫線20aと、当該罫線20aと平行かつ、当該罫線20aを中心に線対称となる一対の罫線20bと、が胴部1の一部およびこれに対向する他の一部にそれぞれ設けられる。すなわち、シート41には合計6本の罫線20が形成される。このとき、罫線20は、胴部1の長さ方向に亘って設けられてもよいし、胴部1の端部5aの近傍のみなど、部分的に設けられてもよい。
【0038】
罫線20は、例えば、シート41がロール原反状態のときに、雌雄板で当該ロール原反を上下からプレスすることで形成できる。このとき、ロータリー式の罫入れ装置等を用いて連続した線付けを行ってもよいし、エンボス機等を用いて部分的な線付けを行ってもよい。ロータリー式で連続した線付けをすることでコストを抑えることができる。エンボス加工により線付けを行うことで、例えば、端部5aの近傍のみなど、特定の箇所のみに線付けを行うことができる。また、連続した線付け方法とエンボス加工とを組み合わせることで、胴部1の外観デザインの自由度がさらに上がり、ガゼット型に限らずより意匠性の高いチューブ容器を作製することができる。なお、罫線20の形成方法は、上述したプレス方式ではなく、シート41の紙層32のみを外層側(
図3の紙面における上側)からハーフカットすることで脆弱部分を形成し、罫線20とする方法であってもよい。
【0039】
次に、罫線20が設けられたシート41の両端を貼り合わせ、胴部1を形成する。貼り合わせ後の胴部1は、
図5(a)のように特定の罫線20に沿って折り畳まれていてもよいし、
図5(b)のように筒状であってもよい。いずれの形状であっても、各罫線20の相対的な位置関係が同じであれば、同じ形状のチューブ容器を作製することができる。また、
図5(a)および(b)において、罫線20は胴部1の長さ方向に亘って設けられているが、フランジ部4と胴部1のシーラント層35との溶着を阻害する恐れがあるため、これらの溶着部分には設けられないことが好ましい。
【0040】
次に、形成した胴部1をマンドレルに取り付け、胴部1の内面(シーラント層35)とフランジ部4の外面8とを溶着して胴部1に注出口部2を取り付ける(
図6(a))。その後、胴部1内に内容物が充填される。
【0041】
次に、胴部1に設けられた罫線20に沿って折り曲げを行い、第1の折り目21および第2の折り目22を形成する。
図6(a)に示す胴部1を罫線20に沿って折り曲げると、胴部1の断面形状は
図6(b)のようになる。ただし、
図6(b)は、便宜上、内容物が充填されていることを考慮していない形状を示しているため、実際に折り目を付けた後の胴部1の断面図は、
図6(b)よりも外方に膨らんでおり、特にフランジ部4に近い断面程、円形に近くなる。
【0042】
次に、胴部1の端部5aをガゼットシールして閉じることで、
図7に示すような、内容物が充填されたチューブ容器100が完成する。
【0043】
このように、胴部1の端部5a側にガセットを形成した場合、チューブ容器100の胴部1の長さL1は、
図8に示すような一般的な形状に成型されたチューブ容器200の胴部の長さL2に比べて短くすることができる。なお、
図9に示すように、使用後のチューブ容器100の長さL3は、一般的なチューブ容器200の長さL2と等しくなる。
【0044】
また、チューブ容器100における胴部1の端部5aの幅W1は、一般的なチューブ容器200の端部の幅W2より小さくなる。このため、絞り出しの際に端部側へ内容物が逃げてしまうのを抑制でき、一般的なチューブ容器200と比較して、チューブ容器100は内容物が低残量になった場合でも絞り出しやすい。また、
図9に示すように、内容物の残量が極めて少なくなった場合であっても、ガゼットを構成する第1の折り目21が胴部1の内側に折り込まれるため、胴部1の全体的な幅が、内容物の残量が充分にある
図7の状態よりも小さくなるため、絞り出しが容易である。
【0045】
以上、ガゼット型のチューブ容器100の製造方法について説明したが、一般的には、ガセット製袋を行うためにはガセット製袋機が必要となる。ガゼット製袋機を用いた場合には、両端を貼り合わせたシート41と注出口部2とを溶着する工程において谷折りの折り目のみ設けることができる。このため、通常は、
図6(b)のような一般的なガゼット型の断面を持つ胴部しか形成することができない。しかし、本実施形態においては、シート41の段階で罫線20を設けるため、
図10(a)および(b)のように、谷折りされることのない胴部を形成することができる。さらには、
図10(c)のように、コーナー部が角丸めされた矩形状の断面を有する胴部も形成できる。この場合、各コーナー部に罫線20が複数設けられ、当該複数の罫線20のそれぞれに沿って山折りの折り目(第3の折り目)が設けられる。このとき、各コーナーに設けられる罫線20および第3の折り目の数は特に限定されないが、例えば、1コーナーにつき3本とすることができる。
【0046】
なお、上述したチューブ容器100の製造方法では、シート41の両端を貼り合わせる前に、罫線20をシート41に付与する方法を説明したが、シート41の両端を貼り合わせた後の注出口部2を溶着する工程において、マンドレルと外部からの挟み込みにより罫線20を付与し、胴部1としてもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態においては、チューブ容器100の胴部1に複数の罫線20が設けられており、当該罫線20が設けられる場所や罫線20の長さを変えることで、チューブ容器100の外観を自由に設計でき、意匠性に優れたチューブ容器100を提供することができる。
【0048】
また、胴部1の端部5aをガゼットシールすることで、一般的な形状のチューブ容器よりも胴部の長さ方向の大きさを抑えることができ、かつ絞り出しやすくすることができる。
【0049】
また、シート41の状態で罫線20を形成するため、胴部1をガゼット型に形成する場合であってもガゼット製袋機は必要なく、設備コストおよび製造コストを抑えることができる。また、ガゼット製袋機で形成する場合と比べて、ガゼット折りした際の折り目のバラつきを抑えることができるため、注出口部の溶着不良等が生じにくくなり、製造の難易度が低くなる。さらに、谷折りのない胴部1を作製することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るチューブ容器は、医薬品化粧品、食品等の包装材として利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 胴部
2 注出口部
3 注出筒部
4 フランジ部
5a、5b 端部
20 罫線
21 第1の折り目
22 第2の折り目
32 紙層
35 シーラント層
41 シート