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特開2022-124705注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法
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  • 特開-注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124705
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 35/10 20060101AFI20220819BHJP
   B65D 35/12 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B65D35/10 A
B65D35/10 Z
B65D35/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022486
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 実
【テーマコード(参考)】
3E065
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA18
3E065BA34
3E065BA35
3E065BA40
3E065BB03
3E065CA01
3E065CA09
3E065DA04
3E065DB06
3E065DC01
3E065DD05
3E065FA15
3E065GA01
3E065GA02
3E065HA01
(57)【要約】
【課題】レトルト耐性及びガスバリア性に優れた注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法を提供する。
【解決手段】筒形状の注出筒部と、注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを備え、ポリプロピレンから成る口栓本体と、口栓本体の内側に、注出筒部の内面及び、注出筒部の内面と連続するフランジ部の一方面を覆う、バリア性及びレトルト耐性を有する内部材とを備える、注出口栓である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状の注出筒部と、前記注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを備え、ポリプロピレンから成る口栓本体と、
口栓本体の内側に、前記注出筒部の内面及び、前記注出筒部の内面と連続する前記フランジ部の一方面を覆う、バリア性及びレトルト耐性を有する内部材とを備える、注出口栓。
【請求項2】
前記口栓本体と前記内部材とは互いに篏合している、請求項1の注出口栓。
【請求項3】
前記口栓本体と前記内部材とは溶着されている、請求項1または2の注出口栓。
【請求項4】
前記フランジ部は、前記フランジ部の外周縁と同心円状に設けられたダイレクターを備える、請求項1~3のいずれかの注出口栓。
【請求項5】
前記内部材の端面が、前記口栓本体を構成する樹脂または前記内部材に含まれる樹脂によって、被覆される、請求項1~4のいずれかの注出口栓。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかの注出口栓と、
前記フランジ部の前記注出筒部側の面に一方端がシールされる筒状の胴部とを備える、チューブ容器。
【請求項7】
筒形状の注出筒部と、前記注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを備える口栓本体と、前記口栓本体の前記注出筒部の内面及び、前記注出筒部の内面と連続する前記フランジ部の一方面を覆う、バリア性を有する内部材と、前記フランジ部の前記注出筒部側の面に一方端がシールされる筒状の胴部とを備えるチューブ容器の製造方法であって、
前記フランジ部の前記注出筒部側の面に前記胴部の一方端から所定範囲とを重ね合わせると共に、前記フランジ部の他方側の面に前記内部材を重ね合わせ、前記口栓本体と、前記内部材と、前記胴部とを同時に溶着する、チューブ容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、樹脂を主体とした材料からなるチューブ容器が広く用いられている。例えば、特許文献1には、内容物を抽出する注出ユニットと、注出ユニットに溶着され、内容物を収容する胴部とから構成されるチューブ容器が記載されている。
【0003】
チューブ容器の胴部を一般的なレトルトパウチと同様の層構成を有するシートから構成することで、レトルト殺菌性に優れ、かつ、ガスバリア性の高い、チューブ容器を製造することができる。この場合、内容物を注出するために胴部に取り付けられる注出口栓は、レトルト耐性を有している必要がある。そのため、注出口栓は融点の高いポリプロピレン(PP)で成型するのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-199280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ポリプロピレンで成型した注出口栓を用いてチューブ容器を形成した場合、ポリプロピレンのガスバリア性が低いために、チューブ容器全体のガスバリア性が不十分であるという問題があった。
【0006】
それ故に、本発明は、レトルト耐性及びガスバリア性に優れた注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、筒形状の注出筒部と、注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを備え、ポリプロピレンから成る口栓本体と、口栓本体の内側に、注出筒部の内面及び、注出筒部の内面と連続するフランジ部の一方面を覆う、バリア性及びレトルト耐性を有する内部材とを備える、注出口栓である。
【0008】
本発明の他の局面は、上記注出口栓と、フランジ部の注出筒部側の面に一方端がシールされる筒状の胴部とを備える、チューブ容器である。
【0009】
本発明の他の局面は、筒形状の注出筒部と、注出筒部の一方端から外方に延伸するフランジ部とを備える口栓本体と、口栓本体の注出筒部の内面及び、注出筒部の内面と連続するフランジ部の一方面を覆う、バリア性を有する内部材と、フランジ部の注出筒部側の面に一方端がシールされる筒状の胴部とを備えるチューブ容器の製造方法であって、フランジ部の注出筒部側の面に胴部の一方端から所定範囲とを重ね合わせると共に、フランジ部の他方側の面に内部材を重ね合わせ、口栓本体と、内部材と、胴部とを同時に溶着する、チューブ容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、レトルト耐性及びガスバリア性に優れた注出口栓、チューブ容器、及びチューブ容器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図
図2】第1の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図
図3図2に示した注出口栓の上面図
図4】第2の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図
図5】第3の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図
図6】第3の実施形態に係る注出口栓の変形例を示す図
図7】第4の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図
図8】第5の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図
図9】第5の実施形態に係る注出口栓の変形例を示す図
図10】口栓本体、内部材、及び胴部を同時に溶着する方法を説明する図
図11】口栓本体、内部材、及び胴部を同時に溶着する方法を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す正面図である。
【0013】
チューブ容器100は、チューブ状の胴部1と、胴部1に取り付けられた注出口栓2とを備える。
【0014】
胴部1は、内容物を収容するための部材であり、レトルト殺菌性及びガスバリア性に優れたシートにより形成される。胴部1は、略平行な一対の端縁を有するシートの端縁同士を貼り合わせることで形成されている。貼り合わせの方法としては、例えば、シートの一対の端縁のそれぞれを含む帯状領域の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着させる合掌貼りや、シートの一方の端縁を含む帯状領域の外面と、シートの他方の端縁を含む帯状領域の内面とを貼り合わせる封筒貼り、または、シートの両端を突き合わせた突付け部をテープ材でシールする突付けテープ貼りなどの方法が用いられる。これらの方法を用いた貼り合わせにより、胴部1には貼り合わせ部7(背貼り部)が形成される。合掌貼りの場合、貼り合わせ部7は、胴部1の外面に沿うように折り曲げられて胴部1に貼合されても良く、例えば、胴部1を構成するフィルムの表面全体または部分的に設けられるヒートシール性の樹脂を介して溶着しても良いし、ホットメルト等の接着剤を介して接着しても良い。胴部1の一方の端部5a(図1における下端)はシールされて閉塞されている。一方、胴部1の他方の端部5b(図1における上端)の近傍部分は、折り畳まれた状態で、後述するフランジ部4の外面8にシールされている。
【0015】
胴部1を形成するシートとしては、内容物側の最内層にシーラント層を有し、レトルト耐性及びバリア性を備えたシートを使用することができる。胴部1を形成するシートとしては、例えば、バリア性PET/ナイロン/無延伸ポリプロピレン(CPP)の層構成を有するフィルムを用いることができる。
【0016】
図2は、実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図であり、図3は、図2に示した注出口栓の上面図である。なお、図3において、図2に示したスクリューキャップ11の記載は省略している。
【0017】
注出口栓2は、胴部1に収容された内容物を外部に抽出するためのスパウトであり、口栓本体2a及び、口栓本体2aの内面に設けられる内部材2bを備える。詳細は後述するが、注出口栓2は、口栓本体2aと内部材2bとを、篏合または溶着により一体化することで形成される。また、注出口栓2は、筒状の注出筒部3とフランジ部4とを備える。筒状の注出筒部3は後述する口栓本体2aの注出筒部3aと、内部材2bの注出筒部3bとから構成される。また、フランジ部4は、後述する口栓本体2aのフランジ部4aと、内部材2bのフランジ部4bとから構成される。フランジ部4は、注出筒部3の一方の端部6a(図1における下端)に接続され、注出筒部3の外方に延伸する平板状の部分である。本実施形態では、フランジ部4は、注出筒部3の軸方向と直交する方向に延伸するように形成されている。本実施形態では、フランジ部4は、円環状に形成されているが、胴部1を接合することができる限り、フランジ部4の形状は限定されず、楕円形、長円形、トラック形、多角形等であっても良い。
【0018】
口栓本体2aは、注出口栓2の外側を構成する部材であり、筒状の注出筒部3aとフランジ部4aとを備える。フランジ部4aは、注出筒部3aの端部6a側に接続され、注出筒部3aの外方に延伸する平板状の部分である。口栓本体2aと内部材2bとを溶着して注出口栓2を形成する場合には、口栓本体2aの溶着予定箇所の内部材2b側の面に、凸状のエネルギーダイレクターを設けてもよい。ダイレクターは、例えば、フランジ部4aの外周縁と同心円状に設けられる。ダイレクターを設けることで、ダイレクターにエネルギーが集中するため、溶着に要するエネルギーを抑えることができ、また、溶着の安定性が高くなる。
【0019】
口栓本体2aは、例えば、融点の高い熱可塑性樹脂であるポリプロピレンで成型される。口栓本体2aの成型方法は、例えば、射出成型等の既存の成型方法を利用可能である。
【0020】
内部材2bは、注出口栓2の内側を構成する部材であり、ガスバリア性とレトルト耐性とを有する。内部材2bは、口栓本体2aの注出筒部3aの内面を覆う筒状の注出筒部3b、及び、口栓本体2aの注出筒部3aと連続するフランジ部4aの一方の面を覆うフランジ部4bとを備える。口栓本体2aと内部材2bとを溶着して注出口栓2を形成する場合には、内部材2bの溶着予定箇所の口栓本体2a側の面に、ダイレクターを設けてもよい。ダイレクターを設けることでダイレクターにエネルギーが集中するため、溶着に要するエネルギーを抑えることができ、また、溶着の安定性が高くなる。
【0021】
内部材2bは、例えば、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等のガスバリア性及びレトルト耐性を有する樹脂で成型してもよいし、当該樹脂に、例えば、ポリプロピレン、及びポリオレフィン系の接着性樹脂(相溶化剤)のいずれか一方または両方を混合した混合物で成型してもよい。これらの材料を混合することにより、内部材2bに口栓本体2aに対するシール性を付与することができ、口栓本体2aと内部材2bとを溶着して注出口栓2を形成することができる。この場合、内部材2bは射出成型により成型できる。
【0022】
また、内部材2bは、ポリプロピレンと、エチレンビニルアルコール共重合体(EVOH)等のガスバリア性に優れた材料とが積層されたシートから成型してもよい。この場合、内部材2bは真空成型により成型できる。積層シートの層構成は、例えば、口栓本体2a側から、ポリプロピレン/EVOH/ポリプロピレンである。
【0023】
また、内部材2bには、ガスバリア性及びレトルト耐性以外の特性を更に付与してもよく、所望する特性に応じて、内部材2bの材料や材料の含有量等を適宜選択可能である。例えば、低吸着性を付与するために、PET系あるいは環状ポリオレフィン等の材料を用いてもよいし、内容物が食品である場合は、味覚上昇のためにエステル系の材料を用いてもよい。なお、内部材2bにPET等の耐熱性がない材料を用いる場合は、注出口栓2にレトルト耐性が不要である場合に限定される。
【0024】
口栓本体2aと内部材2bとは、少なくとも注出筒部3の端部6b側、及び、フランジ部4の端縁側の2箇所で接続される。これにより、口栓本体2aと内部材2bとの間に内容物が侵入してしまうのを抑制できる。口栓本体2aと内部材2bとの接続方法は、例えば、口栓本体2aと内部材2bとを互いに篏合させる方法や、口栓本体2aと内部材2bとを溶着させる方法を用いることができる。溶着方法としては、例えば、超音波溶着やヒートシール溶着を利用することができるが、内部材2bの厚みが0.4mm以上の場合は、溶着がしやすく仕上がりが綺麗になることから超音波溶着を採用することが好ましい。
【0025】
チューブ容器100は、図1に示すように、注出口栓2の注出筒部3に螺合により着脱可能なスクリューキャップ11を更に備えていても良い。チューブ容器100がスクリューキャップ11を備える場合、チューブ容器100の開封後に再封することが容易となる。
【0026】
また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、ヒンジキャップを備えていても良い。ヒンジキャップを設ける場合、図1に示した注出筒部3に螺合によりヒンジキャップを注出口栓2に取り付けても良い。あるいは、口栓本体2aの注出筒部3aの外面にネジ山の代わりにリブを設け、リブを介した嵌合によりヒンジキャップを注出口栓2に取り付けても良い。また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、注出筒部3と打栓により嵌合するキャップを備えてもよい。
【0027】
また、チューブ容器100の未開封状態において、注出筒部3の開口部がガスバリア性フィルムにより封止されていても良い。これにより、未開封状態におけるチューブ容器100のガスバリア性がさらに向上する。特に、内部材2bの端部6bにガスバリア性フィルムをシールすることで、チューブ容器100内の内容物がガスバリア性部材(胴部1、内部材2b、及びガスバリア性フィルム)で閉じ込められるため、より高い効果が得られる。
【0028】
以上、説明したように、本実施形態においては、注出口栓2は、口栓本体2aと、口栓本体2aの内面を覆うように設けられた、バリア性を有する内部材2bとを備える。そのため、本実施形態の注出口栓2は、ガスバリア性を備える。
【0029】
以下、図4~7を参照して、第2~第5の実施形態について説明する。以下の説明では、各実施形態と第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0030】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図である。第2の実施形態に係る注出口栓は、口栓本体2aと内部材2bとが嵌合により一体化されたものである。より詳細には、図4の口栓本体2aは、注出筒部3aの端部6bに、注出筒部3の内側に折り返された折り返し部を有しており、折り返し部に設けられた凸部20aと、内部材2bの端部6b側に設けられた凸部20bが篏合している。さらに、口栓本体2aは、フランジ部4aの外周縁に、下方(注出筒部3aとは反対の方向)に折り曲げられた折り曲げ部を有しており、折り曲げ部に設けられた凸部20cで、内部材2bのフランジ部の外周縁近傍を保持する。内部材2bは、第1の実施形態と同様に、レトルト耐性及びバリア性を有する樹脂の射出成形品であっても良いし、ポリプロピレンとEVOHとを積層したシートの真空成形品であっても良い。内部材2bがポリプロピレンとEVOH等の積層シートで形成される場合、凸部20bはなくても良い。この場合、注出筒部3の端部6b側における口栓本体2aと内部材2bとの接続は、溶着により行われてもよい。また、内部材2bがポリプロピレンとEVOH等の積層シートで形成される場合、注出筒部3bの端部及びフランジ部4bの外周縁にガスバリア層の端面が露出する。本実施形態のように、口栓本体2aの折り返し部(折り曲げ部)に内部材の端部及び端面を収容するため、内部材2bのガスバリア層の端面を保護し、内容物がガスバリア層に接触することを抑制できる。
【0031】
本実施形態の注出口栓2において、口栓本体2aと内部材2bとは篏合により一体化される。そのため、口栓本体2aと内部材2bとが溶着できない材料同士であったとしても、口栓本体2aと内部材2bとを接続し、注出口栓2を形成することができる。
【0032】
(第3の実施形態)
図5は、第3の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図である。第3の実施形態に係る注出口栓2は、口栓本体2aと内部材2bとが溶着により一体化されたものである。より詳細には、図5の口栓本体2aは、注出筒部3aの端部6bが、注出筒部3aの内側に折り曲げられた折り曲げ部を有しており、折り曲げ部、及びフランジ部4aの端縁側において内部材2bが溶着される。図5において、切断面状上の溶着部のみを溶着部xとして黒塗りで示す。内部材2bは、第1の実施形態と同様に、レトルト耐性及びバリア性を有する樹脂の射出成形品であっても良いし、ポリプロピレンとEVOHとを積層したシートの真空成形品であっても良い。ただし、射出成型品の場合は、前述の方法でシール性を付与する必要がある。また、溶着効率を上げるため、溶着前の状態において、口栓本体2aの溶着予定箇所にエネルギーダイレクターを適宜設けてもよい。なお、内部材2bが射出成型品の場合は、ダイレクターを内部材2bに設けてもよい。
【0033】
本実施形態の注出口栓2において、口栓本体2aと内部材2bとは溶着により一体化される。そのため、口栓本体2aと内部材2bとの間に隙間が生じにくく、篏合により一体化する場合に比べて内容物の侵入を抑制することができる。
【0034】
図6は、第3の実施形態に係る注出口栓の変形例を示す図である。本変形例に係る注出口栓2において、内部材2bは、注出筒部3aの端部の折曲部の内面に溶着される部分に接続され、注出筒部3aの開口部に嵌合する嵌合部を有する。嵌合部には、内容物を注出するための開口9が設けられる。また、内部材2bの開口9の形状及び大きさは、用途に応じて適宜変更可能であり、開口9の形状は、例えば、円形、粉物を注出するための多穴形状、星形などである。このような多種多様な開口形状であっても、口栓本体2aと内部材2bとを組み合わせて注出口栓2を作製するため、注出口栓2の開口9の形状変更は、内部材2bの設計変更のみで対応可能となる。特に、内部材2bを積層シートから真空成型する場合は、所望する開口の大きさ及び形状に対応した積層シートの抜き型の変更のみでよい。また、図6に示すように、内部材2bの開口9にガスバリア性を有するガスバリア性フィルム10を溶着してもよい。これにより、口栓本体2aの端部6b側の端面からの酸素の侵入を防ぐことができ、チューブ容器100のバリア性をより高めることができる。
【0035】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図である。第4の実施形態に係る注出口栓2は、口栓本体2aと内部材2bとが溶着により一体化され、内部材2bの端面が保護されたものである。より詳細には、図7の内部材2bは口栓本体2aより小さく形成されており、内部材2bと口栓本体2aとの端部の段差(図6の矢印が指す部分)を溶着ホーンで押圧して溶着される。これにより、内部材2bが、ポリプロピレンとEVOHとを積層したシートの真空成形品であっても、内部材2bの注出筒部3bの端部及びフランジ部4bの外周縁の端面を、口栓本体2aを構成する樹脂または、内部材2bに含まれる樹脂で被覆することができ、内部材2bのガスバリア層の端面を保護し、内容物がガスバリア層に接触することを抑制できる。さらに、内部材2bのフランジ部4bの端面が口栓本体2aのフランジ部4aに潜り込むように溶着されるため、内部材2bが積層シートの真空成型品であっても、積層シートの両面をシーラント層にする必要がない。すなわち、口栓本体2a側をバリア層(EVOH)、内容物側をシーラント層(PP)とする2層構成であってもよい。
【0036】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態に係る注出口栓の概略構成を示す断面図である。第5の実施形態に係る注出口栓2は、口栓本体2aと内部材2bとが溶着と篏合の両方の方法を用いて一体化されたものである。より詳細には、図8の口栓本体2aは、注出筒部3aの端部6b側が、注出筒部3の内側に折り返された折り返し部を有しており、折り返し部に設けられた凸部20aで、内部材2bの端部6bに設けられた折り曲げ部を保持する。さらに、口栓本体2aは、フランジ部4aの端縁側において内部材2bが溶着される。図8において、切断面状上の溶着部のみを溶着部xとして黒塗りで示す。内部材2bは、第1の実施形態と同様に、レトルト耐性及びバリア性を有する樹脂の射出成形品であっても良いし、ポリプロピレンとEVOHとを積層したシートの真空成形品であっても良い。ただし、射出成型品の場合は、前述の方法でシール性を付与する必要がある。また、溶着効率を上げるため、溶着前の状態において、口栓本体2aの溶着予定箇所にエネルギーダイレクターを適宜設けてもよい。なお、内部材2bが射出成型品の場合は、ダイレクターを内部材2bに設けてもよい。
【0037】
図9は、第5の実施形態に係る注出口栓の変形例を示す図である。本変形例に係る注出口栓2は、内部材2bの端部6b側の開口9が、第5の実施形態における内部材2bの開口を口栓本体2aの開口よりも外部に突出した部分に設けられ、注出口栓2の中心軸方向に向かって狭めた形状を有する。また、注出筒部においては、注出筒部3aに設けられた凸部と注出筒部3bに設けられた凹部とが篏合することで篏合している。内部材2bの開口9の形状及び大きさは、用途に応じて適宜変更可能であり、開口9の形状は、例えば、円形、粉物を注出するための多穴形状、星形などである。このような多種多様な開口形状であっても、口栓本体2aと内部材2bとを組み合わせて注出口栓2を作製するため、注出口栓2の開口9の形状変更は、内部材2bの設計変更のみで対応可能となる。特に、内部材2bを積層シートから真空成型する場合は、所望する開口の大きさ及び形状に対応した積層シートの抜き型の変更のみでよい。ただし、図9のように、内部材2bを口栓本体2aよりも上側に大きく突出させるように形成する場合は、内部材2bは、積層シートから形成するよりも射出成型で形成するのが強度上好ましい。また、図9に示すように、内部材2bの開口9にガスバリア性を有するガスバリア性フィルム10を溶着してもよい。これにより、口栓本体2aの端部6b側の端面からの酸素の侵入を防ぐことができ、チューブ容器100のバリア性をより高めることができる。
【0038】
以上、第1~5の実施形態及び変形例について説明したが、それぞれの口栓本体2aと内部材2bとの接続方法は一例であり、注出筒部及びフランジ部の接続方法は適宜組み合わせて利用してもよいし、一部変更して利用してもよい。
【0039】
第1~5の実施形態及び変形例の注出口栓2は、フランジ部4(4a)の外面8と胴部1の端部5b近傍部分とがシールされることで、胴部1に取り付けられる。
【0040】
また、口栓本体2aと内部材2bとを接続して注出口栓2を形成するのと同時に、注出口栓2を胴部1に溶着してもよい。図10及び11を用いて口栓本体2a、内部材2b、及び胴部1を同時に溶着する方法を説明する。図10及び図11は、口栓本体、内部材、及び胴部を同時に溶着する方法を説明する図である。なお、図11において、切断面状上の溶着部のみを溶着部xとして黒塗りで示す。
【0041】
注出口栓2を作製するのと同時に、注出口栓2を胴部1に溶着する場合、図10及び図11に示すように、先ず、注出筒部3a及び3bの端部6b側を篏合あるいは溶着することによって、口栓本体2aと内部材2bとを部分的に接続する。この篏合及び溶着方法については、例えば、第1~5の実施形態に記載の方法を適用できる。次に、フランジ部4aの注出筒部3a側の面に、胴部1の端部5bから所定範囲を重ね合わせると共に、フランジ部4aの他方側の面に内部材2bのフランジ部4bを重ね合わせた状態で、溶着ホーン40を胴部1側から押圧し、胴部1、口栓本体2a、及び内部材2bを溶着する。このとき、溶着予定箇所にダイレクター12を設けてもよい。ダイレクター12を設けることで、超音波振動をダイレクター12に集中させることができる。そのため、溶着時の溶着効率が向上し、口栓本体2a、内部材2b、及び胴部1を同時に溶着することができる。ダイレクター12は、口栓本体2aにおけるフランジ部4aの内部材2b側の面に、フランジ部4aの外縁と同心円状に形成される。なお、内部材2bが射出成型品の場合は、ダイレクター12を内部材2bに設けてもよい。
【実施例0042】
(実施例1)
ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製、商品名:MG03BD)を用い、射出成型により口栓本体2aを作製した。次に、EVOH(株式会社クラレ製)を用い、射出成型により内部材2bを作製した。次に、口栓本体2a内に内部材2bを挿入し、口栓本体2a及び内部材2bの注出筒部3a、3bの端部6b側、及び、口栓本体2a及び内部材2bのフランジ部4a、4bの端縁側の2箇所において、口栓本体2aと内部材2bとを篏合させて、注出口栓2を作製した。次に、厚み12μmのバリア性PETと、厚み15μmのナイロンと、厚み50μmの無延伸ポリプロピレンが積層されたシートを用いて、直径35mm×長さ180mmの胴部1を作製した。作製した胴部1及び注出口栓2を超音波溶着することにより、チューブ容器100を作製した。
【0043】
(実施例2)
ポリプロピレン(日本ポリケム株式会社製、商品名:MG03BD)と、EVOH(株式会社クラレ製)と、相溶化材(東ソー株式会社製、商品名:メルセン(登録商標))とを混合した材料を用い、射出成型により内部材2bを作製した。また、口栓本体2a内に内部材2bを挿入し、口栓本体2a及び内部材2bの注出筒部3a、3bの端部6b側、及び、口栓本体2a及び内部材2bのフランジ部4a、4bの端縁側を、それぞれ超音波溶着して、注出口栓2を作製した。それ以外は、実施例1と同様にしてチューブ容器100を作製した。
【0044】
(実施例3)
厚さ400μmのPP/EVOH/PPの層構成を有するPBPシート(出光ユニテック株式会社製)を用い、真空成型により内部材2bを作製した。また、口栓本体2a内に内部材2bを挿入し、口栓本体2a及び内部材2bの注出筒部3a、3bの端部6b側、及び、口栓本体2a及び内部材2bのフランジ部4a、4bの端縁側を、それぞれ超音波溶着して、注出口栓2を作製した。それ以外は、実施例1と同様にしてチューブ容器100を作製した。
【0045】
(実施例4)
口栓本体2a内に内部材2bを挿入し、口栓本体2a及び内部材2bの注出筒部3a、3bの端部6b側において口栓本体2aと内部材2bとを篏合させ、さらに、口栓本体2a及び内部材2bのフランジ部4a、4bの端縁側を超音波溶着して、注出口栓2を作製した。それ以外は、実施例1と同様にしてチューブ容器100を作製した。
【0046】
実施例1~4で作製したチューブ容器100に対して、121℃で30分のレトルト殺菌を行なった。
【0047】
次に、レトルト殺菌を行なったチューブ容器100に対して、ガスバリア性評価を行った。ガスバリア性評価では、酸素と反応することで黄から青に変色するメチレンブルーを含有させた寒天ゲルを、チューブ容器100に充填して常温で3日間静置した後、胴部を切断し、断面の寒天ゲルの変色の有無を確認した。
【0048】
さらに、チューブ容器100のフランジ部4と胴部1との溶着強度、耐落下強度、及び耐圧強度を、JIS半剛性容器の規格の内、レトルト容器の規格(JIS Z 0238)に準拠して測定した。
【0049】
実施例1~4に係るチューブ容器100は、いずれも、ガスバリア性評価において、寒天ゲルの変色が見られず、ガスバリア性に優れていた。さらに、溶着強度、耐落下強度、及び耐圧強度においてもJIS Z 0238の規格を満足するものを得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明に係るチューブ容器は、医薬品化粧品、食品等の包装材として利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 胴部
2 注出口栓
2a 口栓本体
2b 内部材
3 注出筒部
3a 注出筒部
3b 注出筒部
4 フランジ部
4a フランジ部
4b フランジ部
5a、5b 端部
6a、6b 端部
12 ダイレクター
10 ガスバリア性フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11