(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124712
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20220819BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20220819BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20220819BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220819BHJP
【FI】
F21S2/00 433
F21V9/32
F21V9/38
F21S2/00 431
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022500
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(74)【代理人】
【識別番号】100118278
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 聡
(72)【発明者】
【氏名】那須 建次朗
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA04
3K244AA09
3K244BA03
3K244BA04
3K244BA20
3K244BA27
3K244BA31
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA12
3K244EC21
3K244GA10
3K244GB21
3K244GB23
3K244GB27
(57)【要約】
【課題】複雑な製造工程を要することなく光源からの光路長の差異に起因する色調のばらつきを抑制する。
【解決手段】照明装置100は、単色の光を発する単一の光源30と、光源30が発した光を透過させる導光体10と、光源30からの光路長が互いに異なる位置に設けられ、光を透過させる複数の放光部22A~22Dと、放光部22A~22Dと導光体10との間に配置され、導光体10を透過した光の色を変換する色変換層11A~11Dと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単色の光を発する単一の光源と、
前記光源が発した光を透過させる導光体と、
前記光源からの光路長が互いに異なる位置に設けられ、光を透過させる複数の放光部と、
前記放光部と前記導光体との間に配置され、前記導光体を透過した光の色を変換する色変換層と、を有する、照明装置。
【請求項2】
単色の光を発する単一の光源と、
前記光源が発した光を透過させる導光体と、
前記光源から所定の光路長の範囲に亘って連続的に設けられ、光を透過させる放光部と、
前記放光部と前記導光体との間に配置され、前記導光体を透過した光の色を変換する色変換層と、を有する、照明装置。
【請求項3】
前記光源は青色の光を発する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記色変換層は、前記導光体を透過した光の色を前記光源が発する色とは異なる色に変換する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記色変換層は、前記導光体を透過した光の色を白色に変換する、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記色変換層は、蛍光体を含む、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項7】
前記色変換層は、蛍光体を含み、
前記色変換層は前記放光部に対応して設けられ、
前記光源からの光路長が長い位置に配置された色変換層ほど前記蛍光体の含有量が多い、請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記色変換層は、蛍光体を含み、
前記色変換層は前記放光部に対応して設けられ、
特定の前記色変換層の前記蛍光体の含有量は他の前記色変換層の前記蛍光体の含有量と異なる、請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記色変換層は、蛍光体を含み、
前記色変換層は、前記放光部における、前記光源からの光路長が互いに異なる放光位置に対応して設けられ、
前記光源からの光路長が長い位置に配置された色変換層ほど前記蛍光体の含有量が多い、請求項2に記載の照明装置。
【請求項10】
前記色変換層は、蛍光体を含み、
前記色変換層は、前記放光部における、前記光源からの光路長が互いに異なる放光位置に対応して設けられ、
特定の放光位置に対応する前記色変換層の前記蛍光体の含有量は他の放光位置に対応する前記色変換層の前記蛍光体の含有量と異なる、請求項2に記載の照明装置。
【請求項11】
前記放光部と前記色変換層との間に配置され、前記色変換層を透過した光の色を変換する第2色変換層を有する、請求項1または2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、光源から発した光を放つ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に適用される照明装置には、光源から発した光を放光部から放つものがある。複数の放光部を有する照明装置では、例えば、光は導光体を透過して各放光部から放光される。ところが、導光体内での光の乱反射等によって、光源からの光路長に応じて光の色調が変化する。例えば、光源から白色光が発する場合、光源から遠い放光部ほど、放光される光の色は赤みを帯びてしまう。特許文献1では、放光部ごとに独立して色調整層を設け、任意の色に調整している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-106049号公報
【特許文献2】特許5418762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では色調整層が必要となり、しかも、各放光部での色調を調整するために多層化を要する色調整層が生じる場合がある。また、仮に、各放光部で放光される光の色調を共通化したい場合、放光部ごとに適切に色調調整をするために各色調整層の構成を異ならせる必要がある場合がある。従って、放光位置に応じて色調を所望に調整するために、部品点数の増加や塗装工程の増加等によって製造工程が複雑化するという問題があった。
【0005】
なお、特許文献2には、蛍光材料を含んで構成される蛍光体シートにより、青色光を白色光に変換する技術が開示されている。
【0006】
本技術は、複雑な製造工程を要することなく光源からの光路長の差異に起因する色調のばらつきを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本技術の照明装置は、単色の光を発する単一の光源と、前記光源が発した光を透過させる導光体と、前記光源からの光路長が互いに異なる位置に設けられ、光を透過させる複数の放光部と、前記放光部と前記導光体との間に配置され、前記導光体を透過した光の色を変換する色変換層と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本技術によれば、複雑な製造工程を要することなく光源からの光路長の差異に起因する色調のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る照明装置の模式図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る照明装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本技術の実施の形態を説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本技術の第1の実施の形態に係る照明装置の模式図である。この照明装置100は、一例として、車両のシフトレバーのシフト位置を表示する表示パネルに適用されるが、適用箇所は限定されない。照明装置100は、主として、単一の光源30と、光源30が発した光を透過させる導光体10と、パネル部材20と、を有する。
図1では、パネル部材20の上面20aが見える上面図と併せて、A-A線に沿う照明装置100の断面図を示している。
【0012】
導光体10およびパネル部材20はいずれも、長尺の直方体形状である。導光体10とパネル部材20とは、それぞれの長手方向を共通にして互いに対向して配置されている。照明装置100の各部材が取り付けられるハウジング(図示せず)が車両に固定される。導光体10は上記ハウジングに固定される。パネル部材20は、導光体10または上記ハウジングに固定される。導光体10は、光源30が発した光が入る入光面10aと、入った光が出る上面である出光面10bとを有する。なお、出向面10bが設けられる面は上面に限られるわけではない。また導光体10におけるこれら以外の面(下面、長手方向端面、側面等)は、光が漏れないように遮光されたり、光が吸収されるように処理されたりしていてもよい。
【0013】
導光体10およびパネル部材20はいずれも、無色透明な樹脂等で構成されるが、無色であることは必須でなく、また、白濁した樹脂で構成されてもよい。導光体10の出光面10bとパネル部材20の下面20bとが対向している。パネル部材20の下面20bは、導光体10からの光が入る入光面である。導光体10の出光面10bには、複数の色変換層11A~11Dが設けられている。パネル部材20の上面20aは、導光体10から入った光が放たれる放光面である。なお、パネル部材20におけるこれら以外の面(長手方向端面、側面等)は、光が漏れないように遮光されたり、光が吸収されるように処理されたりしていてもよい。
【0014】
パネル部材20の下面20bには、黒色層21が設けられている。黒色層21は、例えば、塗装によって形成される。黒色層21の一部がレーザ加工等によって除去されることまたは、印刷版におけるマスキングを施し、任意の形状を形成することで、光を透過可能な複数の放光部22A~22Dが形成されている。例えば、文字や数字等の形状を抜くように黒色層21が除去されることで、黒色層21の無い部分が放光部22A~22Dとなる。複数の放光部22A~22Dの形状として、「A、B、C、D」などのマークを例示したが、黒色層21が除去される形状は問わず、単なる幾何学的形状であってもよい。なお、本技術において塗装は、塗装および印刷を含む。
【0015】
パネル部材20にはまた、放光部22Bを下方から覆うように、第2色変換層24が設けられている。第2色変換層24は、例えば印刷により形成される。第2色変換層24は、複数回の処理により多層化されてもよい。なお、第2色変換層24は、印刷に代えて、塗装により形成されてもよく、色変換可能な材料をシート状に予め形成したものを接着等によって固定することで設けられてもよい。
図1に示す例では、第2色変換層24は、放光部22Bと色変換層11Bとの間に配置されている。なお、第2色変換層24を設けることは必須でなく、また、放光部22A~22Dのいずれかまたは全てに対して設けてもよい。第2色変換層24の機能については後述する。
【0016】
光源30は1つだけ設けられる。光源30は、単色の光を発するLED等によって構成される。例えば、光源30は青色の光を発する。光源30は、F1方向に光を発する。F1方向は、導光体10およびパネル部材20の長手方向と略平行である。
【0017】
導光体10における色変換層11A~11Dは、放光部22A~22Dと導光体10との間に配置される。色変換層11A~11Dは各々、放光部22A~22Dに対応して配置されている。色変換層11A~11Dはそれぞれ、光源30の光路長(F1方向、すなわち光源30から遠ざかる方向における距離)において、放光部22A~22Dに対応する位置に配置されている。従って、放光部22A~22Dは、F1方向において、光源30からの光路長が互いに異なる位置に設けられている。色変換層11A~11Dも、F1方向において、光源30からの光路長が互いに異なる位置に設けられている。
【0018】
色変換層11A~11Dは、蛍光材を含んで構成される、例えば蛍光体シートである。色変換層11A~11Dを構成する蛍光体としてはYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系が採用されるが、これ以外の蛍光体を採用してもよい。
【0019】
光源30から発した光は、入光面10aから導光体10内に入り、導光体10内で内面反射して、出光面10bから放たれる。なお、導光体10の側面や下面に、長手方向と平行でない反射面を設けてもよい。
【0020】
出光面10bから出て、且つ、色変換層11A~11Dを透過した光は、放光部22A~22Dの下面からパネル部材20に入り、パネル部材20を透過して放光部22A~22Dの上面から放たれる。実際には、A、B、C、Dのマーク形状の部分が主に光を透過するので、上面20aを正面から見ると各マークが明るく視認される。
【0021】
ここで、色変換層11A~11Dは、導光体10を透過した光の色を変換する。従って、色変換層11A~11Dによって、導光体10を透過した光の色は、光源30が発した光の色(例えば、青色または赤色等)とは異なる色(例えば、白色、黄色または緑色等)に変換される。仮に、導光体10に単色でない光が入るとすると、波長の違いによる減衰に差異が生じるため、位置によって放光色が異なる。例えば、仮に、導光体10に白色光が入るとすると、光源30から遠い位置ほど、放たれる光は赤みを帯びてしまう。しかし、本実施の形態では、単色(青色)の光が入るので、色変換層11A~11Dを透過する光の色がほぼ共通となる。
【0022】
放光部22A~22Dのうち、第2色変換層24が設けられている箇所では、第2色変換層24を透過した光が放光される。
図1に示す例では、色変換層11Bを透過した光が第2色変換層24を透過してパネル部材20内に入る。第2色変換層24は、対応する色変換層11Bを透過した光の色を変換する。従って、第2色変換層24を透過した光は、所望の色に調整されて上面20aから外部に放たれる。第2色変換層24を設けることで、放光部ごとに放光色の色調を所望に調節することができる。
図1に示す例では、放光部22A~22Dのうち放光部22B(Bのマーク)だけ、他とは明らかに異なる色調にすることができる。なお、第2色変換層24により同系色の色合いを調整することも出来る。
【0023】
本実施の形態によれば、放光部22A~22Dは、光源30からの光路長が互いに異なる位置に設けられる。単一の光源30が発した単色の光が導光体10を透過して、色変換層11A~11Dにより光の色が変換されて、放光部22A~22Dから放たれる。光源30は単色の光を発するので、放光位置によって特定波長の減衰による色調の差異が生じにくい。従って、視認される光の色調を調整するために、第2色変換層24を放光部の各々に対応して設けたり、互いに異なる構成の第2色変換層24を設けたり、第2色変換層24に多重塗装を施したり、といったことが必須でなくなるので、製造工程が簡素化される。よって、複雑な製造工程を要することなく光源からの光路長の差異に起因する色調のばらつきを抑制することができる。なお、放光部22A~22Dからの放光色を共通化したい場合、色変換層11A~11Dの構成を共通化または近似化することも容易となる。
【0024】
(第2の実施の形態)
図2は、本技術の第2の実施の形態に係る照明装置の模式図である。
図2では、パネル部材20の上面20aが見える上面図と併せて、B-B線に沿う照明装置200の断面図を示している。この照明装置200の基本構成は第1の実施の形態のものと同様である。ただし、パネル部材20における黒色層や第2色変換層の設けられ方、および導光体10における色変換層の設けられ方などが第1の実施の形態と異なる。第1の実施の形態と異なる箇所を主に説明する。光源30の構成は第1の実施の形態と同じである。
【0025】
パネル部材20において、ユーザへの主な情報提示に利用される範囲は、範囲L1である。範囲L1は、F1方向において、光源30から所定の光路長の範囲である。パネル部材20において範囲L1に亘って連続的に設けられた領域が連続放光部26となる。連続放光部26は、連続した複数の放光部26A~26Dからなる。放光部26A~26Dは、光源30からの光路長が互いに異なる放光位置でもある。色変換層11A~11Dは各々、放光部26A~26Dに対応して配置されている。
【0026】
パネル部材20には、放光部26B、26Dをそれぞれ下方から覆うように、第2色変換層24、25が設けられている。
図2に示す例では、第2色変換層24は放光部26Bと色変換層11Bとの間に配置され、第2色変換層25は放光部26Dと色変換層11Dとの間に配置されている。なお、第2色変換層を設けることは必須でなく、また、放光部26A~26Dのいずれかまたは全てに対して第2色変換層を設けてもよい。第2色変換層25の基本的構成は第2色変換層24と同じであるが、求める色調に応じて層構成を異ならせればよい。
【0027】
図2に示す例では、隣接する放光部26A~26Dの間に明瞭な境界はない。しかし、第2色変換層24、25の有無によって色調に違いが出る。例えば、放光部26B、26Dでは、放光部26A、26Cとは異なる色で放光されるようにすることができる。なお、第1の実施の形態と同様に、放光部26A~26Dのいずれかまたは全てに、
図1で例示したようなマークを設けてもよい。
【0028】
本実施の形態によれば、複雑な製造工程を要することなく光源からの光路長の差異に起因する色調のばらつきを抑制することに関し、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0029】
なお、上記各実施の形態において、色変換層11A~11Dにおける蛍光体の含有量(重量%)を共通としてもよい。しかし、色変換層によって蛍光体の含有量を異ならせてもよい。
【0030】
例えば、第1、第2の実施の形態で、光源30からの光路長が長い位置に配置された色変換層ほど蛍光体の含有量が多い構成としてもよい。例えば、11A<11B<11C<11Dの順で、色変換層11Dが最も蛍光体の含有量が多い構成とする。蛍光体の含有量の程度を適切に調整することで、例えば、放光部22A~22Dの輝度、放光部26A~26Dの輝度を、それぞれ均一にすることが容易となる。
【0031】
あるいは、特定の(または特定の放光位置に対応する)色変換層の蛍光体の含有量を他の(または他の放光位置に対応する)色変換層の蛍光体の含有量と異ならせてもよい。このようにすれば、一部の放光部(または放光位置)での輝度を他の放光部(または放光位置)と異ならせることができる。
【0032】
なお、上記各実施の形態において、放光部および色変換層の数は4つに限られない。放光部の数は複数であればよい。また、色変換層11A~11Dは別々に構成されることは必須でなく、一体の色変換層を1つ以上設けてもよい。この場合、1つの色変換層が複数の放光部に対応する。
【0033】
なお、上記各実施の形態において、光源30の発光色は単色に該当すればよい。従って、光源30が発する光は、青色系のほか、紫色光または紫外光であってもよい。あるいは、発光色は青色系でなくてもよく、赤色や黄色でもよい。
【0034】
以上、本技術をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本技術はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この技術の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本技術に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0035】
10 導光体
11A~11D 色変換層
21 黒色層
22A~22D、26A~26D 放光部
24、25 第2色変換層
26 連続放光部
30 光源
100、200 照明装置