(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124713
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】放射線画像生成方法および放射線画像撮影装置
(51)【国際特許分類】
G01N 23/046 20180101AFI20220819BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G01N23/046
G06T1/00 290B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022502
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】津田 倫明
【テーマコード(参考)】
2G001
5B057
【Fターム(参考)】
2G001AA01
2G001BA11
2G001CA01
2G001FA03
2G001FA06
2G001GA13
2G001HA08
2G001HA14
2G001JA08
2G001JA11
2G001LA11
2G001MA05
5B057AA08
5B057AA09
5B057BA03
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CE08
5B057DB02
5B057DB09
5B057DC02
(57)【要約】
【課題】撮影時間を短縮しつつ、再構成画像の画質が低下することを抑制することが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】この放射線画像生成方法は、被写体90と撮影部1との相対角度が異なる複数の撮影角度で複数の放射線画像を撮影するステップと、第1基準画像6aおよび第2基準画像6bを選択するステップと、選択した各基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲30内において、第1放射線画像群7aおよび第2放射線画像群7bを選択するステップと、選択した各放射線画像群に基づいて、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを生成するステップと、第1基準画像6aと第1ぶれ画像8aとに基づいて第1高画質画像9aを生成するとともに、第2基準画像6bと第2ぶれ画像8bとに基づいて第2高画質画像9bを生成するステップと、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bに基づいて、再構成画像10を生成するステップと、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体と撮影部との相対角度が異なる複数の撮影角度で複数の放射線画像を撮影するステップと、
前記複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像、および、前記第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像を選択するステップと、
選択した各基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群、および、第2放射線画像群を選択するステップと、
選択した各放射線画像群に基づいて、第1ぶれ画像、および、第2ぶれ画像を生成するステップと、
前記第1基準画像と前記第1ぶれ画像とに基づいて第1高画質画像を生成するとともに、前記第2基準画像と前記第2ぶれ画像とに基づいて第2高画質画像を生成するステップと、
前記第1高画質画像および前記第2高画質画像に基づいて、前記被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するステップと、を備える、放射線画像生成方法。
【請求項2】
複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、所定の角度間隔で撮影することにより前記複数の放射線画像を撮影し、
前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成するステップにおいて、前記第1放射線画像群のうち、前記第1基準画像の撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した前記第1放射線画像群に基づいて、前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群のうち、前記第2基準画像の撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した前記第2放射線画像群に基づいて、前記第2ぶれ画像を生成する、請求項1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項3】
前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成するステップにおいて、前記第1放射線画像群のうち、前記第1基準画像の撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した前記第1放射線画像群に基づいて、前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群のうち、前記第2基準画像の撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した前記第2放射線画像群に基づいて、前記第2ぶれ画像を生成する、請求項2に記載の放射線画像生成方法。
【請求項4】
前記第1高画質画像および前記第2高画質画像を生成するステップにおいて、前記第1撮影角度および前記第2撮影角度を含む複数の撮影角度の各々の角度の前記放射線画像を順次基準画像とし、前記基準画像の各々に対して、高画質画像を生成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【請求項5】
前記第1高画質画像および前記第2高画質画像を生成するステップにおいて、学習済モデルに前記第1基準画像および前記第1ぶれ画像を入力することにより、前記第1高画質画像を生成するとともに、前記学習済モデルに前記第2基準画像および前記第2ぶれ画像を入力することにより、前記第2高画質画像を生成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【請求項6】
前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成するステップにおいて、前記第1放射線画像群を加算することにより、前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群を加算することにより、前記第2ぶれ画像を生成する、請求項1~5のいずれか1に記載の放射線画像生成方法。
【請求項7】
複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、前記被写体と前記撮影部との前記相対角度を変更しつつ、各々の角度において撮影を行うことにより、複数の放射線画像を撮影する、請求項1~6のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【請求項8】
前記複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、前記複数の放射線画像として、複数のX線画像を撮影し、
前記再構成画像を生成するステップにおいて、前記再構成画像として、断層画像を生成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【請求項9】
被写体を撮影する撮影部と、
前記被写体と前記撮影部との相対角度が異なる複数の角度から撮影した複数の放射線画像に対して画像処理を行う画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像、および、前記第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群および第2放射線画像群のうち、前記第1放射線画像群に基づいて第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群に基づいて第2ぶれ画像を生成し、
前記第1基準画像と前記第1ぶれ画像とに基づいて、第1高画質画像を生成するとともに、前記第2基準画像と前記第2ぶれ画像とに基づいて、第2高画質画像を生成し、
前記第1高画質画像と前記第2高画質画像とに基づいて、前記被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するように構成されている、放射線画像撮影装置。
【請求項10】
前記相対角度を変更する相対角度変更機構をさらに備え、
前記撮影部は、X線を照射するX線源と、前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器とを含み、
前記画像処理部は、前記複数の放射線画像として、複数のX線画像を取得するとともに、取得した前記複数のX線画像に基づいて、前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成し、前記再構成画像を生成するように構成されている、請求項9に記載の放射線画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像生成方法および放射線画像撮影装置に関し、特に、複数の撮影角度で撮影する被写体を放射線画像生成方法および放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の撮影角度で被写体を撮影する放射線画像撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載されているX線CT装置(放射線画像撮影装置)は、X線管と、コリメータと、X線検出器と、回転機構とを備える。上記特許文献1に開示されている放射線画像撮影装置は、回転機構によってX線管とX線検出器とを回転させながら撮影することにより、断層画像を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載されているX線CT装置(放射線画像撮影装置)では、回転機構によって回転させながら、各々の回転角度(撮影角度)において被写体を撮影する。撮影角度を多く(撮影する角度間隔を小さく)することにより、得られる断層画像(再構成画像)の画質を向上させることができる。しかしながら、撮影角度を多くすると、撮影する枚数が多くなり、再構成画像を生成するために要する撮影時間が増加する。この場合、撮影時間が増加することを抑制するために、各々の撮影角度における撮影時間を短縮することが考えられる。しかしながら、各々の撮影角度における撮影時間を短縮すると、各撮影角度において撮影された画像の画質が低下し、再構成画像の画質が低下する。そのため、撮影時間を短縮しつつ、再構成画像の画質が低下することを抑制することが望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、撮影時間を短縮しつつ、再構成画像の画質が低下することを抑制することが可能な放射線画像生成方法および放射線画像撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における放射線画像生成方法は、被写体と撮影部との相対角度が異なる複数の撮影角度で複数の放射線画像を撮影するステップと、複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像、および、第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像を選択するステップと、選択した各基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群、および、第2放射線画像群を選択するステップと、選択した各放射線画像群に基づいて、第1ぶれ画像、および、第2ぶれ画像を生成するステップと、第1基準画像と第1ぶれ画像とに基づいて第1高画質画像を生成するとともに、第2基準画像と前記第2ぶれ画像とに基づいて第2高画質画像を生成するステップと、第1高画質画像および第2高画質画像に基づいて、被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するステップと、を備える。
【0008】
この発明の第2の局面における放射線画像撮影装置は、被写体を撮影する撮影部と、被写体と撮影部との相対角度が異なる複数の角度から撮影した複数の放射線画像に対して画像処理を行う画像処理部と、を備え、画像処理部は、複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像、および、第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群および第2放射線画像群のうち、第1放射線画像群に基づいて第1ぶれ画像を生成するとともに、第2放射線画像群に基づいて第2ぶれ画像を生成し、第1基準画像と第1ぶれ画像とに基づいて、第1高画質画像を生成するとともに、第2基準画像と第2ぶれ画像とに基づいて、第2高画質画像を生成し、第1高画質画像と第2高画質画像とに基づいて、被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
上記第1の局面における放射線画像生成方法は、上記のように、第1基準画像と、第1ぶれ画像とに基づいて、第1高画質画像を生成するとともに、第2基準画像と、第2ぶれ画像とに基づいて、第2高画質画像を生成するステップと、第1高画質画像と第2高画質画像とに基づいて、被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するステップとを備える。ここで、再構成画像を生成するために要する総撮影時間を短縮するために、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短縮した場合、第1基準画像および第2基準画像は、ノイズが多い画像となる。一方、被写体がぶれた状態で写る画像である第1ぶれ画像は、第1放射線画像群に基づいて生成されるため、1枚の放射線画像を撮影する時間が短い場合でも、十分な放射線量が得られる。また、被写体がぶれた状態で写る画像である第2ぶれ画像は、第2放射線画像群に基づいて生成されるため、1枚の放射線画像を撮影する時間が短い場合でも、十分な放射線量が得られる。そのため、第1ぶれ画像および第2ぶれ画像は、被写体がぶれた状態で写るが、ノイズが少ない画像となる。
【0010】
第1基準画像および第2基準画像は、ノイズが多いが、被写体はぶれていない状態で写る画像であるため、第1基準画像および第2基準画像から被写体のエッジ情報を取得することができる。また、第1ぶれ画像および第2ぶれ画像は、被写体がぶれた状態で写るが、ノイズが少ない画像であるため、被写体の画素値の情報を取得することができる。すなわち、第1基準画像から被写体のエッジ情報を取得するとともに、第1ぶれ画像から被写体の画素値の情報を取得することにより、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短縮した場合でも、ノイズを低減するとともに、被写体のぶれを抑制した画像(第1高画質画像)を生成することができる。また、第2基準画像から被写体のエッジ情報を取得するとともに、第2ぶれ画像から被写体の画素値の情報を取得することにより、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短縮した場合でも、ノイズを低減するとともに、被写体のぶれを抑制した画像(第2高画質画像)を生成することができる。そのため、上記のように、十分な放射線量が得られる第1ぶれ画像と、第1基準画像とにより第1高画質画像を生成するとともに、十分な放射線量が得られる第2ぶれ画像と、第2基準画像とにより第2高画質画像を生成することにより、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短くした場合でも、画質が低下することを抑制した画像を生成することができる。その結果、撮影時間を短縮しつつ、再構成画像の画質が低下することを抑制することが可能な放射線画像生成方法を提供することができる。
【0011】
また、上記第2の局面における放射線画像撮影装置は、第1放射線画像群に基づいて第1ぶれ画像を生成するとともに、第2放射線画像群に基づいて第2ぶれ画像を生成し、第1基準画像と第1ぶれ画像とに基づいて、第1高画質画像を生成するとともに、第2基準画像と第2ぶれ画像とに基づいて、第2高画質画像を生成し、第1高画質画像と第2高画質画像とに基づいて、被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成する画像処理部を備える。これにより、上記第1の局面における放射線画像生成方法と同様に、撮影時間を短縮しつつ、再構成画像の画質が低下することを抑制することが可能な放射線画像撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態による放射線画像生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態による放射線画像生成装置が被写体を撮影する際の角度範囲を説明するための模式図である。
【
図3】複数の放射線画像から再構成画像を生成する構成を説明するための模式図である。
【
図4】第1基準画像および第1放射線画像群を説明するための模式図である。
【
図5】一実施形態による画像処理部が第1ぶれ画像を生成する構成を説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態による画像処理部が第1高画質画像を生成する構成を説明するための模式図である。
【
図7】一実施形態による画像処理部が再構成画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】一実施形態による画像処理部が第1ぶれ画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】一実施形態による画像処理部が第1高画質画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図10】変形例による放射線画像生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】変形例による画像処理部が第1高画質画像を生成する処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1~
図6を参照して、本実施形態による放射線画像撮影装置100について説明する。放射線画像撮影装置100は、非破壊検査用途、および、医用用途に用いられる。本実施形態では、放射線画像撮影装置100が非破壊検査用途として用いられる例について説明する。
【0015】
(放射線画像撮影装置の全体構成)
図1に示すように、放射線画像撮影装置100は、撮影部1と、コンピュータ2と、被写体回転機構3と、表示部4と、入力受付部5と、を備える。
【0016】
撮影部1は、被写体90を撮影するように構成されている。本実施形態では、撮影部1は、X線を照射するX線源1aと、X線源1aから照射されたX線を検出するX線検出器1bとを含む。なお、本実施形態では、被写体90として、回路基板を撮影する例について説明する。
【0017】
なお、本明細書では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、X線源1aからX線検出器1bに向かう方向をX方向とし、一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。また、Z方向およびX方向と直交する方向をY方向とし、一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。
【0018】
X線源1aは、被写体90にX線を照射するように構成されている。具体的には、X線源1aは、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるように構成されている。
【0019】
X線検出器1bは、X線源1aから照射されたX線を検出するように構成されている。また、X線検出器1bは、検出されたX線を電気信号に変換するように構成されている。X線検出器1bは、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。X線検出器1bは、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、Y方向およびZ方向に並んで配置されている。本実施形態では、X線検出器1bは、検出されたX線の線量に基づいて、検出信号(画像信号)を出力する。X線検出器1bから出力された画像信号は、後述する画像処理部21に送られる。
【0020】
コンピュータ2は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの第1プロセッサ2aと、GPU(Graphics Processing Unit)または画像処理用に構成されたFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの第2プロセッサ2bと、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などのメモリと、記憶部2cと、画像信号取得部2dと、を含む。
【0021】
第1プロセッサ2aは、制御部20を含む。制御部20は、X線源1a、被写体回転機構3などの制御を行うように構成されている。制御部20は、第1プロセッサ2aが各種プログラムを実行することにより実現される機能ブロックとしてソフトウェア的に構成される。制御部20は、専用の処理回路としてハードウェアにより構成されていてもよい。
【0022】
第2プロセッサ2bは、画像処理部21を含む。画像処理部21は、被写体90と撮影部1との相対角度が異なる複数の角度から撮影した複数の放射線画像に対して画像処理を行うように構成されている。本実施形態では、画像処理部21は、複数の放射線画像を取得するように構成されている。具体的には、画像処理部22は、複数の放射線画像として、複数のX線画像6を撮影するように構成されている。すなわち、画像処理部21は、画像信号取得部2dを介してX線検出器1bから取得した画像信号に基づいて、X線画像6を取得する。また、画像処理部21は、取得した複数のX線画像6に基づいて、後述する第1ぶれ画像8a(
図3参照)および第2ぶれ画像8b(
図3参照)を生成するように構成されている。また、画像処理部21は、第1ぶれ画像8a第2ぶれ画像8bとに基づいて、後述する再構成画像10(
図3参照)を生成するように構成されている。再構成画像10は、被写体90の3次元構造を反映するように再構成された画像である。本実施形態では、画像処理部21は、再構成画像10として、断層画像を生成する。すなわち、放射線画像撮影装置100は、いわゆる、CT(Computed Tomography)撮影装置である。なお、断層画像は、2次元の断層画像であってもよいし、3次元の断層画像であってもよい。
【0023】
画像処理部21は、第2プロセッサ2bが各種プログラムを実行することにより実現される機能ブロックとしてソフトウェア的に構成される。画像処理部21は、専用の処理回路としてハードウェアにより構成されていてもよい。画像処理部21が第1ぶれ画像8および再構成画像10を生成する構成の詳細については、後述する。
【0024】
記憶部2cは、画像信号取得部2dが取得したX線画像6、画像処理部21が生成した再構成画像10、学習済モデル11、第1プロセッサ2aおよび第2プロセッサ2bが実行する各種プログラムを記憶するように構成されている。記憶部2cは、HDD(Hard Disk Drive)、または、SSD(Solid State Drive)などの不揮発性のメモリを含む。
【0025】
画像信号取得部2dは、X線検出器1bから、検出信号(画像信号)を取得するように構成されている。また、画像信号取得部2dは、取得した画像信号を、画像処理部21に出力するように構成されている。複数の放射線画像を取得するように構成されている。画像信号取得部2dは、たとえば、入出力インターフェースを含む。
【0026】
被写体回転機構3は、被写体90と撮影部1との相対角度を変更するように構成されている。具体的には、被写体回転機構3は、被写体90を軸線80の周りの回転方向に回転させることにより、被写体90と撮影部1との相対角度を変更するように構成されている。被写体回転機構3は、たとえば、被写体90を載置する被写体載置部(図示せず)と、被写体載置部を回転させる駆動部(図示せず)とを含む。軸線80は、Z方向に沿って延びる軸線である。
図1に示す例では、軸線80は、被写体回転機構3の中心に設けられている。また、被写体90は、被写体回転機構3の中心に設けられている。すなわち、軸線80は、被写体90の中心を通り、X線源1aから照射されるX線の照射範囲内で被写体90を回転可能な位置に設定されている。なお、被写体回転機構3は、特許請求の範囲の「相対角度変更機構」の一例である。
【0027】
表示部4は、画像処理部21が生成した再構成画像10を表示する。表示部4は、たとえば、液晶モニタを含む。
【0028】
入力受付部5は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部5は、たとえば、キーボードやマウスなどの入力デバイスを含む。
【0029】
学習済モデル11は、後述する第1基準画像6a(
図3参照)と、後述する第1ぶれ画像8a(
図3参照)とに基づいて、後述する第1高画質画像9a(
図3参照)を生成するように構成されている。また、学習済モデル11は、後述する第2基準画像6b(
図3参照)と、後述する第1ぶれ画像8a(
図3参照)とに基づいて、後述する第2高画質画像9b(
図3参照)を生成するように構成されている。学習済モデル11が第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bを生成する構成の詳細については、後述する。
【0030】
(撮影角度)
次に、
図2を参照して、放射線画像撮影装置100が被写体90を撮影する際の撮影角度を変更する構成について説明する。
【0031】
制御部20は、被写体回転機構3を制御することにより、被写体90を所定の角度間隔で回転させながら、各々の撮影角度において、被写体90を撮影する制御を行う。
図2に示す例では、制御部20は、被写体回転機構3を制御することにより、1番から18番まで、所定の角度間隔で被写体90を360度回転させる。すなわち、
図2に示す例では、1番から18番の撮影角度で撮影することにより、合計18回撮影を行う。また、
図2に示す例では、所定の角度間隔は、20度である。
【0032】
ここで、
図2に示すように、画像処理部21は、1番から18番までの撮影角度の各々で撮影されたX線画像6に基づいて、再構成画像10を生成する。X線画像6を撮影する枚数(撮影角度)が増加すればするだけ、より詳細な再構成画像10を生成することが可能となるが、その分、再構成画像10を生成するための総撮影時間も増加する。そこで、1枚当たりのX線画像6を撮影するための撮影時間を短縮することにより、再構成画像10を生成するための総撮影時間を短縮することできる。しかしながら、1枚当たりの撮影時間を短縮すると、X線検出器1bで検出されるX線の1枚当たりの線量が低下する。その結果、X線画像6の画質が低下する。X線画像6の画質が低下すると、再構成画像10の画質も低下する。そのため、1枚当たりの撮影時間を短縮した場合でも、得られる再構成画像10の画質が低下することを抑制することが望まれている。
【0033】
そこで、本実施形態では、画像処理部21は、複数の放射線画像のうちの1枚の放射線画像である第1基準画像6a(
図3参照)の撮影角度を含む所定の角度範囲30内の撮影角度で撮影された第1放射線画像群7a(
図3参照)に基づいて、被写体90がぶれた状態で写る画像である第1ぶれ画像8a(
図3参照)を生成する。所定の角度範囲30は、複数の放射線画像のうちの1枚の放射線画像である第1基準画像6aの撮影角度を含む。具体的には、所定の角度範囲30は、第1基準画像6aの撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度を含む。より具体的には、所定の角度範囲30は、第1基準画像6aの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度を含む。
【0034】
図2に示す例では、1番の角度において被写体90を撮影したX線画像6を第1基準画像6aとする。また、
図2に示す例では、所定の角度範囲30は、1番の撮影角度を中心に、1番の撮影角度から所定の角度間隔の前後2つずつの撮影角度を含む。すなわち、
図2に示す例では、所定の角度範囲30は、矢印30aで示すように、1番の撮影角度を中心に、3番の撮影角度と、17番の撮影角度とを含む。なお、基準画像を変更した場合には、所定の角度範囲30も変更される。すなわち、所定の角度範囲は、基準画像としてX線画像6が選択される度に、選択されたX線画像6を中心に、所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む範囲となるように設定される。たとえば、第2基準画像6bとして10番の撮影角度において撮影されたX線画像6が選択された場合には、8番の撮影角度から12番の撮影角度が、所定の角度範囲として設定される。
【0035】
また、画像処理部21は、第1基準画像6aと、第1ぶれ画像8aとに基づいて、第1基準画像6aからノイズを低減するとともに、画像中に写る被写体90のぶれを低減した第1高画質画像9a(
図3参照)を生成する。また、画像処理部21は、第2基準画像6bと、第2ぶれ画像8bとに基づいて、第2基準画像6bからノイズを低減するとともに、画像中に写る被写体90のぶれを低減した第2高画質画像9b(
図3参照)を生成する。また、画像処理部21は、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bに基づいて、被写体90の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像10を生成するように構成されている。
【0036】
(再構成画像の生成)
図3を参照して、画像処理部21が、複数の放射線画像(X線画像6)から、再構成画像10を生成する構成について説明する。
【0037】
画像処理部21は、複数の放射線画像(X線画像6)から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像6a、および、第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像6bを選択する。また、画像処理部21は、選択した各基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群7a、および、第2放射線画像群7bを選択する。なお、本実施形態では、第1基準画像6aの撮影角度をカバーする角度範囲は、角度範囲30であり、第2基準画像6bの撮影角度をカバーする角度範囲は、角度範囲30とは異なる角度範囲である。
【0038】
次に、画像処理部21は、選択した各放射線画像群に基づいて、第1ぶれ画像8a、および、第2ぶれ画像8bを生成する。そして、画像処理部21は、第1基準画像6aと第1ぶれ画像8aとに基づいて第1高画質画像9aを生成する。また、画像処理部21は、第2基準画像6bと第2ぶれ画像8bとに基づいて第2高画質画像9bを生成する。その後、画像処理部21は、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bに基づいて、被写体90の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像10を生成する。
【0039】
(第1基準画像および第1放射線画像群)
次に、
図4を参照して、第1基準画像6aおよび第1放射線画像群7aについて説明する。
【0040】
第1基準画像6aは、複数のX線画像6(放射線画像)のうちの1枚の画像である。本実施形態では、画像処理部21は、第1撮影角度および第2撮影角度を含む複数の撮影角度の各々の角度の放射線画像を順次基準画像として選択する。具体的には、画像処理部21は、第1基準画像6aの撮影角度および第2基準画像6bの撮影角度以外の撮影角度において撮影されたX線画像6からを、順次、基準画像として選択する。なお、以下では、複数のX線画像6のうち、1番の撮影角度(
図2参照)において撮影されたX線画像6を、第1基準画像6aとして選択する例について説明する。
【0041】
第1放射線画像群7aは、所定の角度範囲30(
図2参照)に含まれるX線画像6である。本実施形態では、2番の撮像角度、3番の撮影角度、17番の撮影角度、および、18番の撮影角度において撮影されたX線画像6を、それぞれ、第2角度のX線画像17a、第3角度のX線画像17b、第17角度のX線画像17c、および、第18角度のX線画像群7dとする。なお、第1放射線画像群7aには、第1基準画像6a自体も含まれる。
【0042】
第1基準画像6a、および、第1放射線画像群7aは、ノイズが低減されるまで撮影した場合と比較して、撮影時間が短い状態で撮影された画像である。言い換えると、第1基準画像6a、および、第1放射線画像群7aは、X線の線量が小さく、SNR(signal-noise ratio)が低い画像である。すなわち、第1基準画像6a、および、第1放射線画像群7aは、ノイズの多い画像となる。なお、
図4に示す例では、第1基準画像6a、および、第1放射線画像群7aのノイズの多さを、ハッチングを付すことにより表現している。
【0043】
なお、第2基準画像6bおよび第2放射線画像群7bについては、撮影角度が異なる点を除いて、第1基準画像6aおよび第1放射線画像群7aと同様である。そのため、第2基準画像6bおよび第2放射線画像群7bの詳細な説明は省略する。
【0044】
(第1ぶれ画像)
次に、
図5を参照して、画像処理部21が第1ぶれ画像8aを生成する構成について説明する。
【0045】
画像処理部21は、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群7aおよび第2放射線画像群7bのうち、第1放射線画像群7aに基づいて第1ぶれ画像8aを生成する。具体的には、画像処理部21は、第1基準画像6aと、所定の角度範囲30内の互いに異なる撮影角度で撮影された第2角度のX線画像17aと、第3角度のX線画像17bと、第17角度のX線画像17cと、第18角度のX線画像17dと、に基づいて、第1ぶれ画像8aを生成する。
図5に示すように、第1ぶれ画像8aは、被写体90がぶれた状態で写る画像である。第1ぶれ画像8aは、第1基準画像6aと、第1放射線画像群7aに含まれる4枚のX線画像6との、合計5枚の画像に基づいて生成された画像である。そのため、第1ぶれ画像8aは、被写体90がぶれた状態で写っているが、SNRが高く、ノイズが少ない画像である。
【0046】
本実施形態では、画像処理部21は、第1基準画像6aと、第1角度のX線画像17aと、第3角度のX線画像17bと、第17角度のX線画像17cと、第18角度のX線画像17dとを、加算することにより、第1ぶれ画像8aを生成する。なお、第1基準画像6aと複数の放射線画像とを加算するとは、第1基準画像6aの各画素に対して、第1基準画像6aの各画素の位置に対応する複数の放射線画像の画素の画素値を加算することを意味する。
【0047】
なお、画像処理部21が、第2放射線画像群7bに基づいて第2ぶれ画像8bを生成する構成は、画像処理部21が、第1放射線画像群7aに基づいて第1ぶれ画像8aを生成する構成と同様である。そのため、画像処理部21が第2ぶれ画像8bを生成する構成の詳細な説明は省略する。
【0048】
(第1高画質画像)
次に、
図6を参照して、画像処理部21が、第1高画質画像9aを生成する構成について説明する。
【0049】
本実施形態では、画像処理部21は、第1基準画像6aと第1ぶれ画像8aと、学習済モデル11とに基づいて、第1高画質画像9aを生成する。
【0050】
学習済モデル11は、ノイズの多い画像と、被写体90がぶれた画像とから、ノイズおよび被写体90のぶれが除去された明瞭な画像を出力することを学習済みのモデルである。学習済モデル11は、たとえば、CGAN(Conditional Generative Adversarial Nets)を含む。
【0051】
本実施形態では、画像処理部21は、第1基準画像6aと、第1ぶれ画像8aとを学習済モデル11に入力することにより、第1高画質画像9aを生成するように構成されている。
図6に示すように、第1高画質画像9aは、第1基準画像6aからノイズを低減するとともに、画像中に写る被写体90のぶれを低減した画像である。ここで、第1ぶれ画像8aは、第1基準画像6aと第1放射線画像群7aとに基づいて生成された画像であるため、第1基準画像6aよりも長い撮影時間で撮影された画像とみなすことができる。すなわち、第1ぶれ画像8aは、被写体90がぶれて写っているが、画素値の分布については、妥当な画像であるといえる。一方、第1基準画像6aは、ノイズが多い画像であるが、被写体90がぶれていない画像であるため、画素の境界については妥当な画像であるといえる。また、学習済モデル11は、ノイズの多い画像と、被写体90がぶれた画像とから、ノイズおよび被写体90のぶれが除去された明瞭な画像を出力することを学習済みである。したがって、学習済モデル11に対して、画素の境界が妥当である第1基準画像6aと画素値の分布が妥当である第1ぶれ画像8aとを入力することにより、被写体90のぶれが抑制されるとともに、ノイズが低減された画像である第1高画質画像9aを生成することができる。
【0052】
なお、画像処理部21が第2高画質画像9bを生成する構成は、画像処理部21が第1高画質画像9aを生成する構成と同様である。そのため、画像処理部21が、第2高画質画像9bを生成する構成の詳細な説明は省略する。
【0053】
(再構成画像生成処理)
次に、
図7を参照して、画像処理部21が再構成画像10を生成する放射線画像生成方法の処理について説明する。
【0054】
図7に示すように、放射線画像生成方法は、複数の放射線画像を撮影するステップ101と、第1ぶれ画像8aを生成するステップ102と、第1高画質画像9aを生成するステップ103と、再構成画像10を生成するステップ104と、を備える。
【0055】
ステップ101において、画像処理部21は、被写体90と撮影部1との相対角度が異なる複数の撮影角度で複数の放射線画像を撮影する。具体的には、画像処理部21は、ステップ101において、所定の角度間隔で撮影された複数の放射線画像を取得する。また、ステップ101において、画像処理部21は、被写体90と撮影部1との相対角度を変更しつつ、各々の角度において撮影を行うことにより、複数の放射線画像を撮影する。具体的には、画像処理部21は、複数の放射線画像として、複数のX線画像6を撮影する。本実施形態では、画像処理部21は、複数のX線画像6として、18枚のX線画像6を撮影する。
【0056】
ステップ102において、画像処理部21は、第1基準画像6aと第1放射線画像群7aとに基づいて、第1ぶれ画像8aを生成する。また、画像処理部21は、第2基準画像6bと第2放射線画像群7bとに基づいて、第2ぶれ画像8bを生成する。なお、本実施形態では、画像処理部21は、1番の撮影角度から18番の撮影角度まで、全ての撮影角度において撮影された18枚のX線画像6から、第1基準画像6aおよび第2基準画像6b以外のX線画像6を順次選択するとともに、順次選択した基準画像に対して、ぶれ画像を生成する。すなわち、画像処理部21は、第1基準画像6aおよび第2基準画像6bを含む18枚のぶれ画像を生成する。
【0057】
ステップ103において、画像処理部21は、第1基準画像6aと、第1ぶれ画像8aとに基づいて、第1高画質画像9aを生成する。また、画像処理部21は、第2基準画像6bと第2ぶれ画像8bとに基づいて、第2高画質画像9bを生成する。なお、本実施形態では、画像処理部21は、第1基準画像6aおよび第2基準画像6b以外の複数の基準画像と、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8b以外の複数のぶれ画像とから、複数の高画質画像を生成する。すなわち、画像処理部21は、第1基準画像6aおよび第2基準画像6bを含む18枚の基準画像と、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを含む18枚のぶれ画像とから、18枚の高画質画像を生成する。
【0058】
ステップ104において、画像処理部21は、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bに基づいて、被写体90の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像10を生成する。なお、本実施形態では、画像処理部21は、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bを含む18枚の高画質画像に基づいて、1枚の再構成画像10を生成する。また、本実施形態では、画像処理部21は、再構成画像10として、断層画像を生成する。
【0059】
(ぶれ画像生成処理)
次に、
図8を参照して、画像処理部21がぶれ画像を生成する処理について説明する。
【0060】
ステップ102aにおいて、画像処理部21は、複数の放射線画像(X線画像6)から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像6a、および、第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像6bを選択する。
【0061】
ステップ102bにおいて、画像処理部21は、選択した第1基準画像6aの撮影角度をカバーする角度範囲30内において撮影された第1放射線画像群7aを選択する。具体的には、画像処理部21は、ステップ102bにおいて、第1放射線画像群7aのうち、第1基準画像6aの撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した第1放射線画像群7aを取得する。より具体的には、画像処理部21は、ステップ102bにおいて、第1放射線画像群7aのうち、第1基準画像6aの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した第1放射線画像群7aを取得する。本実施形態では、第1基準画像6aの撮影角殿所定の角度間隔の前後2つずつの撮影角度を含む4つの異なる撮影角度において撮影した第1放射線画像群7aのうちから、4枚のX線画像6を取得する。
【0062】
また、ステップ102bにおいて、画像処理部21は、選択した第2基準画像6bの撮影角度をカバーする角度範囲内において撮影された第2放射線画像群7bを選択する。具体的には、画像処理部21は、ステップ102bにおいて、第2放射線画像群7bのうち、第2基準画像6bの撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した第2放射線画像群7bを取得する。より具体的には、画像処理部21は、ステップ102bにおいて、第2放射線画像群7bのうち、第2基準画像6bの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した第2放射線画像群7bを取得する。本実施形態では、第2基準画像6bの撮影角殿所定の角度間隔の前後2つずつの撮影角度を含む4つの異なる撮影角度において撮影した第2放射線画像群7bのうちから、4枚のX線画像6を取得する。
【0063】
ステップ102cにおいて、画像処理部21は、ステップ102bにおいて選択した第1放射線画像群7aに基づいて、第1ぶれ画像8aを生成する。具体的には、画像処理部21は、ステップ102bにおいて選択した第1放射線画像群7aを加算する。すなわち、画像処理部21は、第1放射線画像群7aを加算することにより、第1ぶれ画像8aを生成する。ステップ102cにおいて、画像処理部21は、第1放射線画像群7aに基づいて、被写体90がぶれた状態で写る画像である第1ぶれ画像8aを生成する。なお、ステップ102cの処理において、画像処理部21は、第1放射線画像群7aとともに、第1基準画像6aを加算することにより、第1ぶれ画像8aを生成する。また、画像処理部21は、生成した第1ぶれ画像8aを、記憶部2cに記憶する。
【0064】
ステップ102dにおいて、画像処理部21は、ステップ102bにおいて選択した第2放射線画像群7bに基づいて、第2ぶれ画像8bを生成する。具体的には、画像処理部21は、ステップ102bにおてい選択した第2放射線画像群7bを加算する。すなわち、画像処理部21は、第2放射線画像群7bを加算することにより、第2ぶれ画像8bを生成する。ステップ102dにおいて、画像処理部21は、第2放射線画像群7bに基づいて、被写体90がぶれた状態で写る画像である第2ぶれ画像8bを生成する。なお、ステップ102dの処理において、画像処理部21は、第2放射線画像群7bとともに、第2基準画像6bを加算することにより、第2ぶれ画像8bを生成する。また、画像処理部21は、生成した第2ぶれ画像8bを、記憶部2cに記憶する。
【0065】
ステップ102eにおいて、画像処理部21は、第1基準画像6aおよび第2基準画像6b以外の、選択した全ての撮影角度における基準画像に対応するぶれ画像を生成する。なお、画像処理部21は、第1ぶれ画像8a(第2ぶれ画像8b)を生成する構成と同様に、選択した全ての撮影角度における基準画像に対応するぶれ画像を生成する。
【0066】
(高画質画像生成処理)
次に、
図9を参照して、画像処理部21が高画質画像を生成する処理について説明する。
【0067】
ステップ103aにおいて、画像処理部21は、複数の放射線画像(X線画像6)から、第1基準画像6aを選択する。
【0068】
ステップ103bにおいて、画像処理部21は、ステップ103aにおいて選択した第1基準画像6aに対応する第1ぶれ画像8aを記憶部2cから取得する。
【0069】
ステップ103cにおいて、画像処理部21は、学習済モデル11に第1基準画像6aおよび第1ぶれ画像8aを入力することにより、第1高画質画像9aを生成する。
【0070】
ステップ103dにおいて、画像処理部21は、複数の放射線画像(X線画像6)から、第2基準画像6bを選択する。
【0071】
ステップ103eにおいて、画像処理部21は、ステップ103dにおいて選択した第2基準画像6bに対応する第2ぶれ画像8bを記憶部2cから取得する。
【0072】
ステップ103fにおいて、画像処理部21は、学習済モデル11に第2基準画像6bおよび第2ぶれ画像8bを入力することにより、第2高画質画像9bを生成する。
【0073】
ステップ103gにおいて、画像処理部21は、複数の撮影角度の各々の角度の放射線画像を順次基準画像とし、基準画像の各々に対して、高画質画像を生成する。具体的には、画像処理部21は、
図2において示した1番から18番のそれぞれの撮影角度のうち、第1基準画像6aおよび第2基準画像6b以外の撮影角度において撮影したX線画像6を順次基準画像とする。また、画像処理部21は、順次基準画像を変更することに伴い、所定の角度範囲も順次変更する。画像処理部21は、1番から18番の撮影角度の各々において、基準画像および放射線画像群に基づいて、ぶれ画像を作成する。また、画像処理部21は、1番から18番の撮影角度の各々において作成したぶれ画像と、基準画像とに基づいて、高画質画像を作成する。すなわち、画像処理部21は、第1基準画像6aおよび第2基準画像6bを含む18枚の基準画像を生成する。また、画像処理部21は、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを含む18枚のブレ画像を生成する。また、画像処理部21は、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bを含む18枚の高画質画像を生成する。
【0074】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0075】
本実施形態では、上記のように、被写体90と撮影部1との相対角度が異なる複数の撮影角度で複数の放射線画像を撮影するステップと、複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像6a、および、第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像6bを選択するステップと、選択した各基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲30内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群7a、および、第2放射線画像群7bを選択するステップと、選択した各放射線画像群に基づいて、第1ぶれ画像8a、および、第2ぶれ画像8bを生成するステップと、第1基準画像6aと第1ぶれ画像8aとに基づいて第1高画質画像9aを生成するとともに、第2基準画像6bと第2ぶれ画像8bとに基づいて第2高画質画像9bを生成するステップと、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bに基づいて、被写体90の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像10を生成するステップと、を備える。
【0076】
ここで、再構成画像10を生成するために要する総撮影時間を短縮するために、1枚当たりの放射線画像(X線画像6)を撮影する際の撮影時間を短縮した場合、第1基準画像6aおよび第2基準画像6bは、ノイズが多い画像となる。一方、被写体90がぶれた状態で写る画像である第1ぶれ画像8aは、第1放射線画像群7aに基づいて生成されるため、1枚の放射線画像を撮影する時間が短い場合でも、十分な放射線量が得られる。また、被写体90がぶれた状態で写る画像である第2ぶれ画像8bは、第2放射線画像群7bに基づいて生成されるため、1枚の放射線画像を撮影する時間が短い場合でも、十分な放射線量が得られる。そのため、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bは、被写体90がぶれた状態で写るが、ノイズが少ない画像となる。
【0077】
第1基準画像6aおよび第2基準画像6bは、ノイズが多いが、被写体90はぶれていない状態で写る画像であるため、第1基準画像6aおよび第2基準画像6bから被写体90のエッジ情報を取得することができる。また、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bは、被写体90がぶれた状態で写るが、ノイズが少ない画像であるため、被写体90の画素値の情報を取得することができる。すなわち、第1基準画像6aから被写体90のエッジ情報を取得するとともに、第1ぶれ画像8aから被写体90の画素値の情報を取得することにより、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短縮した場合でも、ノイズを低減するとともに、被写体90のぶれを抑制した画像(第1高画質画像9a)を生成することができる。また、第2基準画像6bから被写体90のエッジ情報を取得するとともに、第2ぶれ画像8bから被写体90の画素値の情報を取得することにより、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短縮した場合でも、ノイズを低減するとともに、被写体90のぶれを抑制した画像(第2高画質画像9b)を生成することができる。そのため、上記のように、十分な放射線量が得られる第1ぶれ画像8aと、第1基準画像6aとにより第1高画質画像9aを生成するとともに、十分な放射線量が得られる第2ぶれ画像8bと、第2基準画像6bとにより第2高画質画像9bを生成することにより、1枚当たりの放射線画像を撮影する際の撮影時間を短くした場合でも、画質が低下することを抑制した画像を生成することができる。その結果、撮影時間を短縮しつつ、再構成画像10の画質が低下することを抑制することが可能な放射線画像生成方法を提供することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置100は、被写体90を撮影する撮影部1と、被写体90と撮影部1との相対角度が異なる複数の角度から撮影した複数の放射線画像に対して画像処理を行う画像処理部21と、を備え、画像処理部21は、複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像6a、および、第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像6bの撮影角度をカバーする角度範囲30内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群7aおよび第2放射線画像群7bのうち、第1放射線画像群7aに基づいて第1ぶれ画像8aを生成するとともに、第2放射線画像群7bに基づいて、第2ぶれ画像8bを生成し、第1基準画像6aと第1ぶれ画像8aとに基づいて、第1高画質画像9aを生成するとともに、第2基準画像6bと第2ぶれ画像8bとに基づいて、第2高画質画像9bを生成し、第1高画質画像9aと第2高画質画像9bとに基づいて、被写体90の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像10を生成するように構成されている。
【0079】
これにより、上記放射線画像生成方法と同様に、撮影時間を短縮しつつ、再構成画像10の画質が低下することを抑制することが可能な放射線画像撮影装置100を提供することができる。
【0080】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0081】
すなわち、本実施形態では、上記のように、複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、所定の角度間隔で撮影された複数の放射線画像を取得し、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを生成するステップにおいて、第1放射線画像群7aのうち、第1基準画像6aの撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した第1放射線画像群7aに基づいて、第1ぶれ画像8aを生成するとともに、第2放射線画像群7bのうち、第2基準画像6bの撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した第2放射線画像群7bに基づいて、第2ぶれ画像8bを生成する。これにより、所定の角度範囲30内で連続しない第1放射線画像群7aに基づいて第1ぶれ画像8aを生成する構成と本実施形態の構成とにおいて、第1放射線画像群7aの枚数を同一にする場合には、本実施形態の構成のほうが角度範囲30の大きさを小さくすることができる。また、所定の角度範囲30内で連続しない複数の第1放射線画像群7に基づいて第1ぶれ画像8aを生成する構成と本実施形態の構成とにおいて、角度範囲30の大きさを同一にする場合には、本実施形態の構成のほうが第1ぶれ画像8aの生成に用いる第1放射線画像群7aの枚数を増加させることができる。したがって、所定の角度範囲30内で連続しない第1放射線画像群7aに基づいて第1ぶれ画像8aを生成する構成と比較して、第1ぶれ画像8a内に写る被写体90のぶれが大きくなることを抑制することができる。その結果、第1高画質画像9aを生成する際に除去するぶれの量が増加することを抑制することが可能となるので、第1高画質画像9aの画質を向上させることができる。また、第2高画質画像9bにおいても、第1高画質画像9aと同様に、画質を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを生成するステップにおいて、第1放射線画像群7aのうち、第1基準画像6aの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した第1放射線画像群7aに基づいて、第1ぶれ画像8aを生成するとともに、第2放射線画像群7bのうち、第2基準画像6bの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した第2放射線画像群7bに基づいて、第2ぶれ画像8bを生成する。これにより、第1基準画像6aの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した第1放射線画像群7aに基づいて第1ぶれ画像8aを生成することが可能となるので、第1ぶれ画像8aに写る被写体90のぶれが大きくなることをより抑制することができる。その結果、第1高画質画像9aを生成する際に除去するぶれの量が増加することをより抑制することが可能となるので、第1高画質画像9aの画質をより向上させることができる。また、第2高画質画像9bにおいても、第1高画質画像9aと同様に、画質をより向上させることができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bを生成するステップにおいて、第1撮影角度および第2撮影角度を含む複数の撮影角度の各々の角度の放射線画像を順次基準画像とし、基準画像の各々に対して、高画質画像を生成する。これにより、複数の放射線画像の各々に対して生成した第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bのみに基づいて再構成画像10を生成することができる。その結果、第1高画質画像9aと第2高画質画像9bと放射線画像とに基づいて再構成画像10を生成する構成と比較して、再構成画像10の画質を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、第1高画質画像9aおよび第2高画質画像9bを生成するステップにおいて、学習済モデル11に第1基準画像6aおよび第1ぶれ画像8aを入力することにより、第1高画質画像9aを生成するとともに、学習済モデル11に第2基準画像6bおよび第2ぶれ画像8bを入力することにより、第2高画質画像9bを生成する。これにより、第1高画質画像9aを容易に生成することができる。また、第2高画質画像9bを容易に生成することができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを生成するステップにおいて、第1放射線画像群7aを加算することにより、第1ぶれ画像8aを生成するとともに、第2放射線画像群7bを加算することにより、第2ぶれ画像8bを生成する。これにより、第1ぶれ画像8aを容易に生成することができる。また、第2ぶれ画像8bを容易に生成することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上記のように、複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、被写体90と撮影部1との相対角度を変更しつつ、各々の角度において撮影を行うことにより、複数の放射線画像を撮影する。これにより、被写体90と撮影部1との相対角度を変更しつつ、各々の角度における撮影時間を短縮した場合でも、再構成画像10の画質が低下することを抑制することができる。そのため、被写体90または撮影部1を移動させながら撮影する放射線画像生成方法において、本発明を適用することができる。
【0087】
また、本実施形態では、上記のように、複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、複数の放射線画像として、複数のX線画像6を撮影し、再構成画像10を生成するステップにおいて、再構成画像10として、断層画像を生成する。これにより、撮影時間を短縮しつつ、画質が低下することを抑制した断層画像を生成することができる。そのため、断層画像を生成する画像生成方法に対して、本発明を適用することは特に好ましい。
【0088】
また、本実施形態では、上記のように、相対角度を変更する被写体回転機構3(相対角度変更機構)をさらに備え、撮影部1は、X線を照射するX線源1aと、X線源1aから照射されたX線を検出するX線検出器1bとを含み、画像処理部21は、複数の放射線画像として、複数のX線画像6を取得するとともに、取得した複数のX線画像6に基づいて、第1ぶれ画像8aおよび第2ぶれ画像8bを生成し、再構成画像10を生成するように構成されている。これにより、被写体回転機構3(相対角度変更機構)によって被写体90および撮影部1の相対角度を変更させながら撮影することにおり再構成画像10を生成する放射線画像撮影装置100に本発明を適用することが好ましい。
【0089】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0090】
たとえば、上記実施形態では、画像処理部21が、学習済モデル11を用いて第1高画質画像9aを生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図10に示す変形例による放射線画像撮影装置200が備える画像処理部120のように、学習済モデル11を用いずに第1高画質画像9aを生成してもよい。
【0091】
変形例による放射線画像撮影装置200は、コンピュータ2の代わりにコンピュータ12を備える点で、上記実施形態による放射線画像撮影装置100と異なる。
【0092】
コンピュータ12は、第2プロセッサ2bの代わりに第2プロセッサ12aを備える点で、上記実施形態によるコンピュータ2とは異なる。
【0093】
第2プロセッサ12aは、画像処理部21の代わりに画像処理部120を備える点で、上記実施形態による第2プロセッサ2bとは異なる。
【0094】
画像処理部120は、第1基準画像6aと第1ぶれ画像8aとに基づいて、第1高画質画像9aを生成する。具体的には、画像処理部120は、学習済モデル11ではなく、第1ぶれ画像8aから画像のぶれを取得し、取得した画像のぶれを第1ぶれ画像8aから除去するとともに、第1基準画像6aから被写体90のエッジ情報を取得することにより、第1高画質画像9aを生成する。すなわち、変形例による画像処理部120は、計算処理により、第1高画質画像9aを生成するように構成されている。
【0095】
次に、
図11を参照して、変形例による画像処理部120が第1高画質画像9aを生成する処理について説明する。なお、上記実施形態による画像処理部21と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0096】
ステップ103aおよびステップ103bにおいて、画像処理部120は、第1基準画像6aを選択するとともに、選択した第1基準画像6aに対応する第1ぶれ画像8aを取得する。
【0097】
ステップ103hにおいて、画像処理部120は、第1基準画像6a、および、第1ぶれ画像8aに基づいて、第1高画質画像9aを生成する。なお、ステップ103gでは、画像処理部120は、学習済モデル11を用いることなく、計算処理により、第1高画質画像9aを生成する。
【0098】
その後、処理は、ステップ103dおよびステップ103eに進み、選択した第2基準画像6bと第2基準画像6bに対応する第2ぶれ画像8bを取得する。
【0099】
ステップ103iにおいて、画像処理部120は、第2基準画像6b、および、第2ぶれ画像8bに基づいて、第2高画質画像9bを生成する。なお、ステップ103hでは、画像処理部120は、学習済モデル11を用いることなく、計算処理により、第2高画質画像9bを生成する。
【0100】
なお、変形例による画像処理部120のその他の構成は、上記実施形態による画像処理部21の構成と同様の構成である。また、変形例による放射線画像撮影装置200の効果は、上記実施形態による放射線画像撮影装置100の効果と同様である。
【0101】
また、上記実施形態では、画像処理部21が、第1放射線画像群7aとして、所定の角度範囲30内において、第1基準画像6aの撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した複数の放射線画像を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部は、所定の角度範囲30において、所定の角度間隔で連続しない複数の異なる撮影角度において撮影した複数の放射線画像を第1放射線画像群として取得するように構成されていてもよい。また、画像処理部は、所所定の角度間隔で連続しない複数の異なる撮影角度において撮影した複数の放射線画像を第2放射線画像群として取得するように構成されていてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、被写体回転機構3が、所定の角度間隔として、被写体90を20度ずつ回転させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。被写体回転機構3が被写体90を回転させる際の所定の角度間隔は、20度以外の角度でもよい。たとえば、被写体回転機構3は、所定の角度間隔として、1度ずつ被写体90を回転させてもよい。所定の角度間隔は、任意の値に設定し得る。
【0103】
また、上記実施形態では、画像処理部21が、第1ぶれ画像8aを生成する際に、1枚の第1基準画像6aと、第1放射線画像群7aに含まれる4枚のX線画像6との、合計5枚の画像を用いる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。画像処理部21は、1枚の第1基準画像6aと、第1放射線画像群7aとを用いれば、第1ぶれ画像8aを生成する際に用いる画像の枚数は何枚でもよい。たとえば、画像処理部21は、1枚の第1基準画像6aと、2枚の第1放射線画像群7aとの合計3枚の画像を用いて第1ぶれ画像8aを生成してもよい。なお。第1ぶれ画像8aを生成する際に用いる画像の数が増加するにつれて、第1ぶれ画像8aの画素値が増加する。一方、第1ぶれ画像8aを生成する際に用いる画像の数が増加するにつれて、第1ぶれ画像8aに写る被写体90のぶれが大きくなる。すなわち、第1ぶれ画像8aの画素値と被写体90のぶれとは、トレードオフの関係にある。また、第2ぶれ画像8bの画素値と被写体90のぶれとは、トレードオフの関係にある。
【0104】
また、上記実施形態では、コンピュータ2が、第1プロセッサ2aと第2プロセッサ2bとを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、コンピュータ2は、1つのプロセッサのみを含む構成であってもよい。コンピュータ2が1つのプロセッサのみを含む構成の場合、プロセッサが記憶部2cに記憶されたプログラムを実行することにより、制御部20および画像処理部21として機能するように構成すればよい。
【0105】
また、上記実施形態では、放射線画像撮影装置100が、被写体90を回転させながら撮影を行う、いわゆるCT撮影装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、放射線画像撮影装置100は、PET(Positron Emission Tomography)撮影装置、SPECT(single photon emission CT)撮影装置、トモシンセシス撮影装置として構成されていてもよい。
【0106】
また、上記実施形態では、X線検出器1bとして、照射されたX線の線量に基づいて画像信号を出力する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線検出器1bは、X線を光子として検出する、いわゆる、フォトンカウンティング型の検出器として構成されていてもよい。
【0107】
また、上記実施形態では、画像処理部21が、第1基準画像6aと、第1放射線画像群7aとを加算することにより、第1ぶれ画像8aを生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部21は、第1基準画像6aと、第1放射線画像群7aとを加算平均することにより、第1ぶれ画像8aを生成するように構成されていてもよい。また、画像処理部21は、第2基準画像6bと、第2放射線画像群7bとを加算平均することにより、第2ぶれ画像8bを生成するように構成されていてもよい。
【0108】
また、上記実施形態では、画像処理部21が、第1ぶれ画像8aを生成した後に、第2ぶれ画像8bを生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部21は、第2ぶれ画像8bを生成した後に第1ぶれ画像8aを生成するように構成されていてもよい。また、画像処理部21は、第1ぶれ画像8aと第2ぶれ画像8bとを並列的に(並列処理によって)生成するように構成されていてもよい。
【0109】
また、上記実施形態では、画像処理部21が、第1高画質画像9aを生成した後に、第2高画質画像9bを生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部21は、第2高画質画像9bを生成した後に第1高画質画像9aを生成するように構成されていてもよい。また、画像処理部21は、第1高画質画像9aと第2高画質画像9bとを並列的に(並列処理によって)生成するように構成されていてもよい。
【0110】
また、上記実施形態では、画像処理部21が、放射線画像として、X線画像6を取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、画像処理部21は、放射線画像として、PET撮影装置で撮影された画像、SPECT撮影装置で撮影された画像などを取得するように構成されていてもよい。
【0111】
また、上記実施形態では、被写体回転機構3が、被写体90を軸線80の周りの回転方向に回転させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、被写体回転機構3は、撮影部1を軸線80の周りの回転方向に回転させるように構成されていてもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、放射線画像撮影装置100を、非破壊検査用途に用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、放射線画像撮影装置100は、医用用途に用いられてもよい。すなわち、放射線画像撮影装置100は、被写体90として、患者(ヒト)を撮影する用途に用いられてもよい。
【0113】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0114】
(項目1)
被写体と撮影部との相対角度が異なる複数の撮影角度で複数の放射線画像を撮影するステップと、
前記複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像、および、前記第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像を選択するステップと、
選択した各基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群、および、第2放射線画像群を選択するステップと、
選択した各放射線画像群に基づいて、第1ぶれ画像、および、第2ぶれ画像を生成するステップと、
前記第1基準画像と前記第1ぶれ画像とに基づいて第1高画質画像を生成するとともに、前記第2基準画像と前記第2ぶれ画像とに基づいて第2高画質画像を生成するステップと、
前記第1高画質画像および前記第2高画質画像に基づいて、前記被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するステップと、を備える、放射線画像生成方法。
【0115】
(項目2)
複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、所定の角度間隔で撮影することにより前記複数の放射線画像を撮影し、
前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成するステップにおいて、前記第1放射線画像群のうち、前記第1基準画像の撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した前記第1放射線画像群に基づいて、前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群のうち、前記第2基準画像の撮影角度と所定の角度間隔で連続する複数の異なる撮影角度で撮影した前記第2放射線画像群に基づいて、前記第2ぶれ画像を生成する、項目1に記載の放射線画像生成方法。
【0116】
(項目3)
前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成するステップにおいて、前記第1放射線画像群のうち、前記第1基準画像の撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した前記第1放射線画像群に基づいて、前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群のうち、前記第2基準画像の撮影角度の所定の角度間隔の前後の撮影角度を含む連続した複数の異なる撮影角度において撮影した前記第2放射線画像群に基づいて、前記第2ぶれ画像を生成する、項目2に記載の放射線画像生成方法。
【0117】
(項目4)
前記第1高画質画像および前記第2高画質画像を生成するステップにおいて、前記第1撮影角度および前記第2撮影角度を含む複数の撮影角度の各々の角度の前記放射線画像を順次前記基準画像とし、前記基準画像の各々に対して、高画質画像を生成する、項目1~3のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【0118】
(項目5)
前記第1高画質画像および前記第2高画質画像を生成するステップにおいて、学習済モデルに前記第1基準画像および前記第1ぶれ画像を入力することにより、前記第1高画質画像を生成するとともに、前記学習済モデルに前記第2基準画像および前記第2ぶれ画像を入力することにより、前記第2高画質画像を生成する、請求項1~4のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【0119】
(項目6)
前記第1ぶれ画像および前記第2ぶれ画像を生成するステップにおいて、前記第1放射線画像群を加算することにより、前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群を加算することにより、前記第2ぶれ画像を生成する、項目1~5のいずれか1に記載の放射線画像生成方法。
【0120】
(項目7)
複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、前記被写体と前記撮影部との前記相対角度を変更しつつ、各々の角度において撮影を行うことにより、複数の放射線画像を撮影する、項目1~6のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【0121】
(項目8)
前記複数の放射線画像を撮影するステップにおいて、前記複数の放射線画像として、複数のX線画像を撮影し、
前記再構成画像を生成するステップにおいて、前記再構成画像として、断層画像を生成する、項目1~7のいずれか1項に記載の放射線画像生成方法。
【0122】
(項目9)
被写体を撮影する撮影部と、
前記被写体と前記撮影部との相対角度が異なる複数の角度から撮影した複数の放射線画像に対して画像処理を行う画像処理部と、を備え、
前記画像処理部は、
前記複数の放射線画像から、第1撮影角度において撮影された第1基準画像、および、前記第1撮影角度とは異なる第2撮影角度において撮影された第2基準画像の撮影角度をカバーする角度範囲内において、互いに異なる撮影角度で撮影された第1放射線画像群および第2放射線画像群のうち、前記第1放射線画像群に基づいて前記第1ぶれ画像を生成するとともに、前記第2放射線画像群に基づいて、前記第2ぶれ画像を生成し、
前記第1基準画像と前記第1ぶれ画像とに基づいて、前記第1高画質画像を生成するとともに、前記第2基準画像と前記第2ぶれ画像とに基づいて、前記第2高画質画像を生成し、
前記第1高画質画像と前記第2高画質画像とに基づいて、前記被写体の3次元構造を反映するように再構成された再構成画像を生成するように構成されている、放射線画像撮影装置。
【0123】
(項目10)
前記相対角度を変更する相対角度変更機構をさらに備え、
前記撮影部は、X線を照射するX線源と、前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器とを含み、
前記画像処理部は、前記複数の放射線画像として、複数のX線画像を取得するとともに、取得した前記複数のX線画像に基づいて、前記第1ぶれ画像および第2ぶれ画像を生成し、前記再構成画像を生成するように構成されている、項目9に記載の放射線画像撮影装置。
【符号の説明】
【0124】
1 撮影部
1a X線源
1b X線検出器
3 被写体回転機構(相対角度変更機構)
6 X線画像
7a 第1放射線画像群
7b 第2放射線画像群
8a 第1ぶれ画像
8b 第2ぶれ画像
9a 第1高画質画像
9b 第2高画質画像
10 再構成画像
11 学習済モデル
21、120 画像処理部
30 所定の角度範囲
90 被写体
100、200 放射線画像撮影装置