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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124719
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20220819BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G08B17/06 F
G08B17/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022511
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002169
【氏名又は名称】彩雲国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松田 大造
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085BA12
5C085FA13
5G405AA01
5G405AB01
5G405AB02
5G405FA07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】天井や壁等を破損するのを防ぐことができる、埋込型の火災感知器を提供する。
【解決手段】火災感知器1において、本体2が天井や壁等の取付対象Tに設けられる取付穴Hに埋め込まれた状態で、鍔部3が取付ばね7の弾性力により取付穴H側の部分に圧接して取り付けられる。取付ばね7は、線ばねであり、かつ、火災感知器1を取り外す際に取付穴H側の部分と接触する外側部7aaが平滑な形状をなす。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体が天井や壁等の取付対象に設けられる取付穴に埋め込まれた状態で、鍔部が取付ばねの弾性力により前記取付穴側の部分に圧接して取り付けられる、埋込型の火災感知器であって、
前記取付ばねは、線ばねであり、かつ、火災感知器を取り外す際に前記取付穴側の部分と接触する部分が平滑な形状をなすものであることを特徴とする火災感知器。
【請求項2】
前記線ばねは、コイル部から延びるアーム部が前記鍔部の背面側に向けて弾性変形する配置で設けられる、ねじりコイルばねであることを特徴とする請求項1に記載の火災感知器。
【請求項3】
前記ねじりコイルばねは、前記アーム部が前記取付穴の背面側開口の縁部に接触して、前記鍔部を取付穴の前面側開口の周辺部に圧接させるものであることを特徴とする請求項2に記載の火災感知器。
【請求項4】
前記アーム部は、先端側を弾性変形する側に傾斜させる鈍角の折曲部を有するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
火災感知器は、防護対象の建築物内等で発生する火災を感知するものとして設けられる。熱感知器と煙感知器に大別される。いずれも、主に建築物内の天井や壁等に取り付けられる。
【0003】
火災感知器において、埋込型のものの場合、天井や壁等の取付対象に設けられる取付穴に埋め込まれた状態で取り付けられる。その取り付けの構造としては、鍔部を取付ばねの弾性力により取付穴前面側の開口の周辺部分に圧接させて取り付ける態様のものが採用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-20845号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、埋込型の火災感知器における取付ばねは、前記の特許文献1に開示の取付ばねのような、先端側に鉤状の引っ掛かり部分を有する板ばねが用いられている。
【0006】
しかしながら、一旦取り付けた火災感知器を取り外す際に、鉤状の引っ掛かり部分の先端が取付穴の内面部分等、取付穴側の部分に鋭利に接触して、その部分を削ってしまうことがあり、天井や壁等を破損してしまうことがある。特に、天井や壁等が石膏ボード等の削れやすい板材からなるものである場合、その破損の可能性が高くなる。
【0007】
この発明は、前記の事情に鑑み、天井や壁等を破損するのを防ぐことができる埋込型の火災感知器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、本体が天井や壁等の取付対象に設けられる取付穴に埋め込まれた状態で、鍔部が取付ばねの弾性力により前記取付穴側の部分に圧接して取り付けられる、埋込型の火災感知器であって、前記取付ばねは、線ばねであり、かつ、火災感知器を取り外す際に前記取付穴側の部分と接触する部分が平滑な形状をなすものであることを特徴とする火災感知器、である。
【0009】
この発明において、前記線ばねの平滑な形状は、全く平滑な形状か、略平滑な形状とすることができる。前記線ばねは、コイル部から延びるアーム部が前記鍔部の背面側に向けて弾性変形する配置で設けられる、ねじりコイルばねとすることができる。前記ねじりコイルばねは、前記アーム部が前記取付穴の背面側開口の縁部に接触して、前記鍔部を取付穴の前面側開口の周辺部に圧接させるものとすることができる。前記ねじりコイルばねは、前記コイル部が2つあるダブルトーションばねとすることができ、前記アーム部は、前記コイル部から逆U字状に延びるものとすることができる。前記コイル部は、前記鍔部の背面側に接触するか、近接する位置に設けられるものとすることができる。前記アーム部は、前記鍔部の背面側に接触するか、近接する位置まで弾性変形可能に設けられるものとすることができる。前記アーム部は、先端側を弾性変形する側に傾斜させる鈍角の折曲部を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明においては、取付ばねとして、火災感知器を取り外す際に取付穴側の部分と接触する部分が平滑な形状をなす、線ばねが用いられる。そのため、一旦取り付けた火災感知器を取り外す際に、取付ばねが取付穴の内面部分等、取付穴側の部分に接触したとしても、その部分を削ってしまうのを防ぐことができる。
【0011】
したがって、この発明によれば、天井や壁等を破損するのを防ぐことができる埋込型の火災感知器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】この発明の火災感知器の実施形態の一例である熱感知器を示したものであり、取付ばね(鍔板の背面側に接触している状態)の長さ方向の側方から視た感知器全体の側面図である。
図2図1を右方から視た図である。
図3図1を下方から視た図であり、感知器前面側を示している。
図4図1を上方から視た図であり、感知器背面側を示している。
図5】同上の熱感知器が、天井や壁等の取付対象の板材が厚く、取付穴の深さが深い取付穴に取り付けられる場合の、取り付け状態(取付ばねが取付穴の背面側開口の縁部に接触している状態)を断面視で示した図である。
図6】同上の熱感知器が、天井や壁等の取付対象の板材が薄く、取付穴の深さが浅い取付穴に取り付けられる場合の、図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施形態の一例について、熱感知器に適用する場合を例に、図1乃至6を参照しつつ説明する。なお、この発明は、埋込型のものであれば、煙感知器にも適用することができるものである。
【0014】
ここで、この発明において、「前」、「背(後)」等の前後の向きや位置を示す語は、熱感知器の取り付け時の状態における、監視対象の建築物内等の空間に対する各構成部分の向きや位置に従って用いているものである。例えば、熱感知器が天井に取り付けられる場合、監視対象の下方の空間の側を「前」、その反対側を「背(後)」として用いているものである。
【0015】
[基本構成]
図1乃至6に示したように、熱感知器1は、火災感知器として用いられるものであり、ハウジング2(本体の一例)と、ハウジング2の前部側に設けられる鍔板3(鍔部の一例)と、鍔板3の前部側に設けられるプロテクタ4を有する。ハウジング2の内部には、各種電気部品が設けられる回路基板5が収納されており、その回路基板5に、感熱手段として機能するサーミスタ6が、前方に向けて縦立すると共に、感熱部6aが設けられる先端側の部分を鍔板3の前方に露出させた状態で接続、固定されて設けられている(図5及び6参照)。プロテクタ4は、外部からサーミスタ6の熱感知部6aへの熱気流の流入を確保しつつ、サーミスタ6の先端側の部分を外力から保護するものであり、その先端側の部分を前方から保護する天板部4aと、側方から保護する複数の支柱部4bを有する。
【0016】
[取付ばね]
熱感知器1は、ハウジング2が天井や壁等の取付対象Tに設けられる取付穴Hに埋め込まれた状態で取り付けられる、埋込型のものであり(図5及び6参照)、その取付穴Hへの取付部材として、鍔板3の背面3aを取付穴Hの前面側開口FOの周辺部FPに圧接させて、取付穴Hへの取り付け状態を保持する取付ばね7を備える。
【0017】
熱感知器1においては、その取付ばね7として、ハウジング2を取付穴Hから取り外す際に、取付穴Hの内面部分IP等の取付穴H側の部分に接触する部分(例えば、後記で説明するアーム部7aの外側部7aaの部分)が平滑な形状をなす、線ばねが用いられる。そのため、一旦取り付けた熱感知器1を取り外す際に、取付ばね7が取付穴H側の部分に接触したとしても、その部分を削ってしまうのを防ぐことができる。すなわち、天井や壁等の取付対象Tを破損するのを防ぐことができる。
【0018】
[取付ばねの具体例]
・ねじりコイルばね
取付ばね7に用いられる線ばねとしては、ねじりコイルばねとするのが好適である。ねじりコイルばねとしては、コイルが1つのものを用いてもよいが、ダブルトーションばねと呼ばれる、コイルが2つあるタイプのものを用いるのが好適である。コイルが2つあるものとすることにより、弾性変形時の変形部分(例えば、後記で説明するアーム部7a)の回転トルクを大きくすることができる。
【0019】
・構造、配置
取付ばね7は、図示の例の場合、コイルが2つあるタイプのねじりコイルばねが用いられており、同軸に並ぶ2つのコイル部7bと、それら2つのコイル部7bから逆U字状に延びて両者を連結する、逆U字状のアーム部7aを有する。アーム部7aは、熱感知器1を取付穴Hに取り付けた状態において、先端部7abの位置が取付穴Hの背面側開口BOの縁部BEを越える長さを有する(図5参照)。例えば、アーム部7aはハウジング2の高さの約2倍の長さを有するものとし、これにより天井厚が厚い場合も熱感知器1を取付可能とする。ハウジング2に対しては、ハウジング2を間に両側に一対をなす配置で2つ設けられており、また、それぞれが、2つのコイル部7bがハウジング2の長さ方向に直交する方向に同軸に並び、2つのコイル部7bの中心軸回りに回転するアーム部7aが鍔板3の背面3a側に向けて弾性変形する配置で設けられている。
【0020】
・取り付け時の状態
図5及び6に示したように、取付ばね7は、熱感知器1を取付穴Hに取り付ける際、アーム部7aの弾性変形する方向に向かう側の外側部7aaの部分が、取付穴Hの背面側開口BOの縁部BEに接触する。それにより、アーム部7aの回転方向の弾性力が感知器全体を引き上げる方向の力として作用し、前記の通り、鍔板3の背面3aが取付穴Hの前面側開口FOの周辺部FPに圧接して、熱感知器1が取付穴Hに取り付けられた状態に保持される。
【0021】
・取り外し時の状態
取付ばね7は、取り付けられた熱感知器1を取付穴Hから取り外す際、熱感知器1を下方向に引き抜くと、アーム部7aの弾性変形する方向に向かう側の外側部7aaが、背面側開口BOの縁部BE、内面部分IP、前面側開口FOの縁部FE等の取付穴H側の部分に接触しながら、取付穴Hから引き抜かれることになる。
【0022】
・平滑な形状
アーム部7aは、その取付穴H側の部分に面して接触することになる外側部7aaが平滑な形状をなすものとして形成される。また、アーム部7aは、線ばねの一部をなすものとして、例えば、断面円形の線材から形成されるものであり、外側部7aaが円滑な外面をなすものとして形成される。これによっても、熱感知器1を取付穴Hから取り外す際に、取付穴H側の部分を破損するのを防ぐことができる。
【0023】
外側部7aaの前記の平滑な形状としては、側面視の形状(長さ方向の側方から視た形状。以下同じ)として、曲がった部分のない、一直線状の全く平滑なものとするか、或いは、曲がった部分があったとしても、先端部7abの向きの基端部7adの向きに対する偏向角αが90度以上になっておらず(図1参照)、先端部7ab側の部分が取付穴H側の部分に対して鉤状の引っ掛かりを形成するほどに曲がったものになっていなければ、そのような曲がった部分を含む、連続直線状の略平滑なものとすることができる。
【0024】
図示の例の場合、アーム部7aは、後記で説明する鈍角の折曲部7acが長さ方向の途中に設けられており、その折曲部7acを介して基端部7ad側の直線状の部分と、先端部7ab側の直線状の部分が連続する形状をなすものとしている。側面視の形状において、先端部7ab側の部分が、鈍角の折曲部分7acによって弾性変形する側に傾斜するように曲がってはいるが、先端部7abの向きの基端部7adの向きに対する偏向角αが90度以上になっておらず(図1参照)、取付穴H側の部分に対する鉤状の引っ掛かりを形成するほどには曲がっていない。すなわち、アーム部7aは、それ自体の側面視の形状として、先端部7ab側の部分が弾性変形する側に曲がってはいるものの、取付穴H側の部分に対する鉤状の引っ掛かりを形成するほどには曲がってはいない、連続直線状の略平滑な形状をなすものとしており、それにより、取付穴H側の部分に接触することになる外側部7aaが、側面視の形状として、そのような連続直線状の略平滑な形状をなすものとしている。
【0025】
・先端部の形状
アーム部7aは、前記の通り、逆U字状をなすものとしている。すなわち、先端部7abの部分で折り返されて連続するものとし、その先端部7abの部分に線材の切断部分がないものとしている(図2参照)。図示の例の場合、熱感知器1を取付穴Hから取り外す際に、先端部7abも取付穴H側の部分に接触することになるが、線材の切断部分がないものとしていることにより、先端部7abが鋭利に取付穴H側の部分に接触するのを防ぐことができる。すなわち、アーム部7aを、逆U字状をなすものとしていることによっても、熱感知器1を取付穴Hから取り外す際に、取付穴H側の部分を削ってしまうのを防ぐことができる。
【0026】
なお、取付ばね7として、コイルが一つのタイプのねじりコイルばねを用いる場合、アームの先端に線材の切断部分があるものを用いることになる。しかしながら、アームの先端側を弾性変形する側とは反対側に曲げる加工をする等、線材の切断部分があっても、取付穴H側の部分に鋭利に接触することがないようにすれば、その部分を削ってしまうのを防ぐようにすることは可能である。
【0027】
・板部材の厚さへの対応
天井や壁等の取付対象Tに用いられる板部材は、厚みが厚い場合もあれば、薄い場合もある。図5及び6は、熱感知器1の取付対象Tへの取り付け状態を示したものであるが、図5が取付対象Tの板部材が厚い場合の状態を示したものであり、図6が取付対象Tの板部材が薄い場合の状態を示したものである。取付ばね7は、いずれの場合においても、良好に使用可能なものである。
【0028】
・鈍角の折曲部
アーム部7aは、先端部7ab側の部分を弾性変形する側に傾斜させる鈍角の折曲部7acが長さ方向の途中に設けられるものとしている。それにより、熱感知器1を取付穴Hに取り付ける際に、取付対象Tの板部材が厚い場合でも、良好に、取付穴Hへの取り付け状態を保持することができる。
【0029】
具体的には、例えば、図5に示したように取付対象Tの板部材が厚い場合、熱感知器1を取付穴Hに取り付ける際、取付穴Hの背面側開口BOの縁部分BEに、先端部7ab側の部分の外側部7aaが接触することになる。その際、先端部7ab側の部分が弾性変形する側に曲がっていることにより、アーム部7aの回転方向の弾性力を、感知器全体を引き上げる方向の力としてより大きく作用させることができる。すなわち、図5に示したように取付対象Tの板部材が厚い場合でも、鍔板3の背面3aを取付穴Hの前面側開口FOの周辺部FPに十分に圧接させることができ、良好に、取付穴Hへの取り付け状態を保持することができる。
【0030】
そして、このような折曲部7acが設けられるものとしていても、先端部7ab側の部分が取付穴H側の部分に対する鉤状の引っ掛かりを形成するほどに曲がったものとはしていないので、熱感知器1を取付穴Hから取り外す際には、前記の通り、取付穴H側の部分を削るなどの破損を防ぐことができる。
【0031】
この折曲部7acの角度βについては、取付穴Hの口径等、取付穴H側の部分の寸法を考慮した上で、先端部7abの向きの基端部7adの向きに対する偏向角αが90度以上にならず、先端部7ab側の部分が取付穴H側の部分に対する鉤状の引っ掛かりを形成するほどに曲がったものにはならない鈍角の範囲で、適宜の角度とすることができる。ただし、取付穴H側の部分の破損を防ぐという点では、鈍角の範囲内でも大きい角度(例えば約120度以上)とした方が好適である。
【0032】
なお、折曲部7acの数については、図示の例の場合、1つとしているが、全体として、先端部7abの向きの基端部7adの向きに対する偏向角αが90度以上にならず、先端部7ab側の部分が取付穴H側の部分に対する鉤状の引っ掛かりを形成するほどに曲がったものにならなければ、複数としてもよい。
【0033】
・コイル部の位置、アーム部の弾性変形の範囲
コイル部7bは、鍔板3の背面3a側に前記の配置で設けられるものであるが、鍔板3の背面3a側に接触するか、近接する位置に設けられるものとし、アーム部7aを鍔板3の背面3a側に接触するか、近接する位置まで弾性変形可能に設けられるものとすることにより、熱感知器1を取付穴Hに取り付ける際に、取付対象Tの板部材が薄い場合でも、良好に、取付穴Hへの取り付け状態を保持することができる。
【0034】
具体的には、図示の例の場合、コイル部7bは、鍔板3の背面3aに接触する位置に設けられるものとしており、また、アーム部7aは、外側部7aaが鍔板3の背面3aに接触する位置まで弾性変形可能に設けられるものとしている。それにより、例えば、図6に示したように取付対象Tの板部材が薄い場合でも、取付穴Hの背面側開口BOの縁部BEに、アーム部7aの基端部7ad側の部分の外側部7aaを接触させることができ、アーム部7aの回転方向の弾性力を、感知器全体を引き上げる方向の力として作用させることができる。すなわち、図6に示したように取付対象Tの板部材が薄い場合でも、鍔板3の背面3aを取付穴Hの前面側開口FOの周辺部FPに十分に圧接させることができ、良好に、取付穴Hへの取り付け状態を保持することができる。
【0035】
そして、このように、コイル部7bを鍔板3の背面3aに接触する位置に設けられるものとし、アーム部7aを外側部7aaが鍔板3の背面3aに接触する位置まで弾性変形可能に設けられるものとしていても、外側部7aaを前記のような連続直線状の略平滑な形状をなすものとしていることに変わりはない。すなわち、熱感知器1を取付穴Hから取り外す際には、前記の通り、取付穴H側の部分を削ってしまうのを防ぐことができる。
【0036】
[構成の変更例]
以上、この発明の実施形態について、熱感知器に適用する場合を例に図面を参照しつつ説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含むものである。
【0037】
例えば、アーム部7aは、先端部7ab側の部分を弾性変形する側に傾斜させる鈍角の折曲部7acが長さ方向の途中に設けられているものとしているが、傾斜の角度や折曲部の位置は図示の例に限られるものではない。また、折曲部を先端部7ab側の部分を弾性変形に逆らう向きに傾斜させるように設けてもよい。また、コイル部7bの位置については、鍔板3の背面3a側に接触するか、近接する位置に設けられるものとしたが、これに限らず、本体であるハウジング2の胴体に接するように設けてもよい。また、上記の実施形態では、熱感知器1に直接、取付ばね7を設けたものを示したが、感知器取付用ベースなどの取付面への取付手段に同様な取付ばねを設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:熱感知器(火災感知器) 2:ハウジング(本体) 3:鍔板(鍔部)
3a:背面 4:プロテクタ 4a:天板部 4b:支柱部 5:回路基板
6:サーミスタ 6a:感熱部 7:取付ばね 7a:アーム部
7aa:外側部 7ab:先端部 7ac:折曲部 7ad:基端部
7b:コイル部
T:取付対象 H:取付穴 BO:背面側開口 BE:縁部(背面側)
FO:前面側開口 FE:縁部(前面側) FP:周辺部(前面側)
IP:内面部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6