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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124757
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220819BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G03G15/01 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022576
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】関口 隆士
【テーマコード(参考)】
2H270
2H300
【Fターム(参考)】
2H270KA04
2H270KA19
2H270KA21
2H270LA26
2H270LA40
2H270LA71
2H270LA77
2H270LA78
2H270LA79
2H270LA80
2H270LA94
2H270LA95
2H270LD03
2H270LD05
2H270MA16
2H270MA25
2H270MB28
2H270MB30
2H270MB39
2H270QA23
2H270QA26
2H270QA31
2H270QA33
2H270QB03
2H270RA02
2H270RA11
2H270RC05
2H270RC07
2H270RC16
2H270ZC03
2H270ZC04
2H300EA05
2H300EA07
2H300EA12
2H300EA16
2H300EA17
2H300EB18
2H300EB19
2H300EB26
2H300EF08
2H300EG02
2H300EJ09
2H300GG37
2H300GG48
2H300QQ04
2H300QQ30
2H300RR16
2H300RR24
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】像担持体の寿命を精度良く求めて有効に使用し得るようにする。
【解決手段】画像形成装置1は、濃度補正処理において得られた検出濃度OD及び現像バイアスDBを基に現像ローラ上トナー付着量Mを算出し、これを基に膜厚βを算出する。続いて画像形成装置1は、標準膜厚曲線Qにおいて膜厚βとなる標準ドラム回転数DCを求め、これとドラム回転数DCとの差分である延長可能ドラム回転数ΔDCを標準寿命ドラム回転数DCに加算して補正寿命ドラム回転数DCLRとする。これにより画像形成装置1は、現像ローラ上トナー付着量Mが比較的少なく、膜厚βNが標準よりも遅いペースで減少していた場合に、感光ドラム37の寿命を標準よりも延長させることができる。
【選択図】図9

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能であり、周側面に形成された膜に静電潜像が形成される像担持体と、
前記像担持体の回転数を計数する回転数計数部と、
現像剤を用いて前記像担持体の前記静電潜像を現像し、該像担持体に現像剤像を形成する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に現像電圧を印加する電圧印加部と、
前記像担持体上の前記現像剤像を被転写体に転写させる転写部と、
前記被転写体に転写された前記現像剤の量を表す現像剤転写量を検出する現像剤転写量検出部と、
前記現像剤転写量及び前記現像電圧を基に前記像担持体における前記膜の厚さである膜厚を算出し、該膜厚及び前記回転数を基に該像担持体の残り寿命を算出する算出部と
を具えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記算出部は、
前記現像剤転写量及び前記現像電圧を基に、前記現像剤担持体上に付着した前記現像剤の量である現像剤付着量を算出する現像剤付着量算出部と、
前記像担持体の前記回転数及び前記現像剤付着量を基に前記膜厚を算出する膜厚算出部と、
前記膜厚及び前記回転数を基に前記像担持体の残り寿命を算出する寿命算出部と
を具えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記算出部は、想定される範囲内で前記現像剤付着量が最も多い場合における前記膜厚及び前記回転数の関係を表す標準特性と、前記現像剤付着量算出部により算出された前記現像剤付着量における前記膜厚及び前記回転数の関係を表す算出特性との差異を基に、前記残り寿命を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記標準特性において前記膜厚が得られるときの前記回転数である標準回転数と前記回転数との差分を基に、前記残り寿命を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記像担持体は、前記膜厚の下限値である膜厚下限値が予め定められ、
前記標準特性は、前記膜厚が前記膜厚下限値である場合に前記回転数が標準寿命回転数となり、
前記算出部は、前記標準回転数と前記回転数との差分を前記標準寿命回転数に加算し、前記回転数を減算することにより、前記残り寿命を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記膜厚算出部は、前記像担持体の前記回転数及び前記現像剤付着量を基に、前記膜厚が以前よりも減少した量である膜減少量を算出し、前記像担持体における当初の前記膜厚から前記膜減少量を減算することにより前記膜厚を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記現像剤転写量及び前記現像電圧に加えて、周囲の環境に応じた環境係数を基に、前記膜厚を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
周囲の温度及び湿度の少なくとも一方を計測する環境検知部と
を具え、
前記環境係数は、前記環境検知部により検知された前記温度及び前記温度の少なくとも一方に応じた値である
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記現像剤転写量及び前記現像電圧に加えて、前記像担持体の経時変化に応じた経時係数を基に、前記膜厚を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記経時係数は、前記像担持体の前記回転数に応じた値である
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置に関し、例えば電子写真式プリンタ(以下、これを単にプリンタとも呼ぶ)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式のプリンタとしては、画像形成ユニットにより画像に基づいたトナー像を形成して用紙に転写し、定着部によりこの用紙にトナー像を定着させることにより、画像を印刷するものが広く普及している。このうち画像形成ユニットは、例えば感光ドラムや現像ローラ、及び露光装置等の部品を有しており、各部品に所定のバイアス電圧を印加した状態で、露光装置から感光ドラムの周側面に光を選択的に照射して感光させることにより静電潜像を形成し、現像ローラからこの静電潜像にトナーを付着させて現像することにより、トナー像を形成している。
【0003】
感光ドラムは、像担持体とも呼ばれており、例えば円筒状に形成されると共にその周側面に感光材料の膜が設けられた構成となっている。この感光ドラムの膜は、使用に伴ってその表面が僅かずつ削られ、膜厚が僅かずつ減少していく。画像形成装置では、膜厚が所定の使用限界値に達すると、トナー像を良好に形成できなくなるため、使用を中止して新たなものと交換する必要が生じる。しかしながら画像形成装置では、装置構成の小型化や低廉化等の理由から、感光ドラムの膜厚を直接計測するためのセンサ等を設けることが難しい。
【0004】
そこで画像形成装置では、感光ドラムが1回転する度に膜厚が一定量ずつ減少するものと見なし、ドラムの回転数を基に、定期的に感光ドラムを交換させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像形成装置では、例えば感光ドラムの回転数がほぼ印刷枚数に比例する、という関係を利用し、印刷枚数が所定のドラム寿命枚数に達すると通知を行い、該感光ドラムを交換させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-107578号公報(図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで画像形成装置では、感光ドラムにおける膜厚の実際の減少量が、必ずしも該感光ドラムの回転数にのみ比例しておらず、他の様々な要因により変動することも判明している。そこで上述した画像形成装置では、ドラムが1回転する際における膜厚の減少量が最も多い場合、すなわちドラムの膜厚が最も早く減少していく場合を想定して、寿命枚数が設定されている。
【0007】
このため画像形成装置では、例えば印刷枚数が寿命枚数に達すると、感光体ドラムの膜厚がまだ使用限界値に達しておらず、実際にはまだ使用可能な状態であったとしても、交換することになり、無駄が発生する恐れがある、という問題があった。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、像担持体の寿命を精度良く求めて有効に使用し得る画像形成装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため本発明の画像形成装置においては、回転可能であり、周側面に形成された膜に静電潜像が形成される像担持体と、像担持体の回転数を計数する回転数計数部と、現像剤を用いて像担持体の静電潜像を現像し、該像担持体に現像剤像を形成する現像剤担持体と、現像剤担持体に現像電圧を印加する電圧印加部と、像担持体上の現像剤像を被転写体に転写させる転写部と、被転写体に転写された現像剤の量を表す現像剤転写量を検出する現像剤転写量検出部と、現像剤転写量及び現像電圧を基に像担持体における膜の厚さである膜厚を算出し、該膜厚及び回転数を基に該像担持体の残り寿命を算出する算出部とを設けるようにした。
【0010】
本発明は、現像剤転写量検出部により検出した現像剤転写量を用いることで、像担持体の膜厚の予測値を精度良く算出できる。このため本発明は、この膜厚及び回転数を用いることで、像担持体の残り寿命も精度良く算出でき、該像担持体を無駄に交換させることなく、残り寿命に達するまで有効に使用させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、像担持体の寿命を精度良く求めて有効に使用し得る画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置の全体構成を示す略線図である。
図2】画像形成ユニットの構成を示す略線図である。
図3】濃度センサの構成を示す略線図である。
図4】画像形成装置の回路構成を示す略線図である。
図5】現像ローラ上トナー付着量及び膜減少係数の関係を示す略線図である。
図6】現像バイアス、検出濃度及び現像ローラ上トナー付着量の関係を示す略線図である。
図7】ドラム回転数及び膜厚の関係を示す略線図である。
図8】画像形成ユニット着脱対応処理手順を示すフローチャートである。
図9】第1の実施の形態による感光ドラム寿命算出処理手順を示すフローチャートである。
図10】ドラム寿命表示画面の構成を示す略線図である。
図11】温度及び湿度が異なる場合における現像バイアス及び現像ローラ上トナー付着量の関係を示す略線図である。
図12】高温高湿環境における現像バイアス、検出濃度及び現像ローラ上トナー付着量の関係を示す略線図である。
図13】低温低湿環境における現像バイアス、検出濃度及び現像ローラ上トナー付着量の関係を示す略線図である。
図14】ドラム回転数が異なる場合における現像バイアス及び現像ローラ上トナー付着量の関係を示す略線図である。
図15】ドラム回転数ごとの現像バイアス及び現像ローラ上トナー付着量の関係を示す略線図である。
図16】第2の実施の形態による感光ドラム寿命算出処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真式のプリンタであり、媒体としての用紙Pにカラーの画像を形成する(すなわち印刷する)ことができる。因みに画像形成装置1は、原稿を読み取るイメージスキャナ機能や電話回線を使用した通信機能等を有しておらず、プリンタ機能のみを有する単機能のSFP(Single Function Printer)となっている。
【0015】
画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0016】
画像形成装置1は、制御部3により全体を統括制御するようになっている(詳しくは後述する)。算出部としての制御部3は、図示しないコンピュータ装置等の上位装置と接続されており、この上位装置から印刷指示や印刷データを受信すると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
【0017】
筐体2の上面前寄りには、種々の情報を表示すると共に操作入力を受け付ける表示操作部4が設けられている。この表示操作部4は、例えば液晶パネルのような表示パネルとタッチセンサとが組み合わされたタッチパネルであり、制御部3の制御に基づき種々の情報を表示する他、使用者からの操作入力を受け付ける。
【0018】
筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する用紙カセット5が設けられている。用紙カセット5の前上方には、給紙部6が設けられている。給紙部6は、ピックアップローラ7、搬送ガイド8及び搬送ローラ対9の他、図示しない複数のローラ等を有している。このうちピックアップローラ7等の各ローラは、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、それぞれ回転可能に支持されている。また一部のローラには、図示しない給紙モータから駆動力が伝達されている。
【0019】
給紙部6は、制御部3の制御に基づいて各ローラを適宜回転させることにより、用紙カセット5に集積された状態で収容されている用紙Pを1枚ずつ分離しながらピックアップし、搬送ガイド及び搬送ローラ対により搬送路Wに沿って前上方へ進行させ、やがて後上方へ折り返して後方へ送り出す。
【0020】
給紙部6における搬送ローラ対9の後側では、搬送路Wが後方へ向かう直線状に形成されており、その下側に中搬送部10が配置されている。中搬送部10は、前側に配置された前ローラ11及び後側に配置された後ローラ12の周囲に無端ベルトでなる転写ベルト13が張架された構成となっている。説明の都合上、以下では転写ベルト13を被転写体とも呼ぶ。
【0021】
この中搬送部10は、図示しないベルト駆動モータから後ローラ12に駆動力が伝達されると、該後ローラ12を矢印R2方向へ回転させ、これに伴って転写ベルト13を走行させる。このとき転写ベルト13は、搬送路Wに沿った上側部分を後方向へ進行させると共に、下側部分を前方向へ走行させる。中搬送部10は、給紙部6から用紙Pが引き渡されると、該転写ベルト13の上側に用紙Pを載置した状態で、該転写ベルト13の走行に伴って該用紙Pを後方向へ進行させる。
【0022】
中搬送部10の上側には、4個の画像形成ユニット15(15K、15C、15M及び15Y)が前後方向に沿って整列するように配置されており、各画像形成ユニット15に対してLEDヘッド16(16K、16C、16M及び16Y)がそれぞれ設けられている。
【0023】
各色の画像形成ユニット15は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色にそれぞれ対応しているものの、色のみが相違しており、何れも同様に構成されている。露光装置としての各LEDヘッド16は、多数のLED(Light Emitting Diode)素子が左右方向に沿って配置されており、制御部3から供給される信号を基に、各LEDを適宜発光させる。
【0024】
画像形成ユニット15は、図2に模式的な側面図を示すように、画像形成部31及びトナーカートリッジ32により構成されており、該画像形成部31の後ろ寄りにおける上側にLEDヘッド16を位置させている。因みに画像形成ユニット15及びこれを構成する各部品は、用紙Pにおける左右方向の長さに応じて、左右方向に十分な長さを有している。このため多くの部品は、前後方向や上下方向の長さに対して左右方向の長さが比較的長くなっており、左右方向に沿って細長い形状に形成されている。
【0025】
トナーカートリッジ32は、内部にトナーを収容しており、画像形成部31の上側に取り付けられている。このトナーカートリッジ32は、収容しているトナーを画像形成部31のトナー収容部33へ供給する。画像形成部31には、トナー収容部33の他、供給ローラ34、現像ローラ35、現像ブレード36、感光ドラム37、帯電ローラ38及びクリーニングブレード39が組み込まれている。
【0026】
供給ローラ34は、いわゆるスポンジローラであり、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、その周側部分に連続気泡からなるシリコーン発泡ゴムの層が形成されている。また供給ローラ34は、周側部分の表面に複数の微細な凹部であるセルが形成されており、該周側部分における外径が13.0[mm]となっている。この供給ローラ34は、現像ローラ35の表面(周側面)に対し、所定の押し付け量(例えば0.7[mm])で押し付けられるよう、画像形成部31内に配設されている。
【0027】
現像剤担持体としての現像ローラ35は、金属製のシャフトと、その外周に設けられた弾性体とにより構成されている。このうちシャフトは、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されている。弾性体は、例えば半導電性ウレタンゴムで構成されており、弾性や導電性を有している。
【0028】
現像ブレード36は、例えば所定厚さのステンレス鋼板でなり、僅かに弾性変形させた状態で、その一部を現像ローラ35の周側面に当接させている。像担持体としての感光ドラム37は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成されており、その周側面に薄膜状の電荷発生層及び電荷輸送層(以下、これらをまとめて単に膜と呼ぶ)が順次形成され、帯電し得るようになっている。
【0029】
帯電ローラ38は、中心軸を左右方向に沿わせた円柱状に形成され、その周側面に導電性の弾性体が被覆されており、この周側面を感光ドラム37の周側面に当接させている。クリーニングブレード39は、所定の樹脂材料による薄板状の部材であり、前下側の端辺近傍を感光ドラム37の周側面に当接させている。
【0030】
この画像形成部31は、後述するドラムモータから所定のギア等を介して駆動力が供給されることにより、供給ローラ34、現像ローラ35及び帯電ローラ38を矢印R2方向(図中の反時計回り)へ回転させると共に、感光ドラム37を矢印R1方向(図中の時計回り)へ回転させる。さらに画像形成部31は、供給ローラ34、現像ローラ35、現像ブレード36及び帯電ローラ38にそれぞれ所定のバイアス電圧を印加することにより、それぞれ帯電させる。
【0031】
供給ローラ34は、帯電によりトナー収容部33内のトナーを周側面に付着させ、回転によりこのトナーを現像ローラ35の周側面に付着させる。現像ローラ35は、現像ブレード36によって周側面から余分なトナーが除去されることにより、該周側面に一定の厚さのトナー層が形成された状態で、この周側面を感光ドラム37の周側面に当接させる。
【0032】
一方、帯電ローラ38は、帯電した状態で感光ドラム37と当接することにより、当該感光ドラム37の周側面を一様に帯電させる。LEDヘッド16は、制御部3(図1)から供給される画像データに基づいた発光パターンで、所定の時間間隔毎に発光することにより、感光ドラム37を露光する。これにより感光ドラム37は、その上端近傍において周側面に静電潜像が形成される。
【0033】
続いて感光ドラム37は、矢印R1方向へ回転することにより、この静電潜像を形成した箇所を現像ローラ35と当接させる。これにより感光ドラム37の周側面には、静電潜像に基づいて現像ローラ35からトナーが付着し、画像データに基づいたトナー像が現像される。説明の都合上、以下ではトナーを現像剤とも呼び、トナー像を現像剤像とも呼ぶ。
【0034】
転写部としての転写ローラ17は、感光ドラム37の真下に位置しており、その周側面における上端近傍と該感光ドラム37の下端近傍との間に、転写ベルト13の上側部分を挟んでいる。この転写ローラ17は、所定のバイアス電圧が印加されると共に、図示しないドラムモータから駆動力が供給されて矢印R2方向へ回転する。これにより画像形成ユニット15は、搬送路Wに沿って用紙Pが搬送されていた場合、感光ドラム37の周側面に現像されたトナー画像をこの用紙Pに転写することができる。また転写ローラ17は、搬送路Wに沿って用紙Pが搬送されていなかった場合、転写ベルト13の表面にトナー像を転写することができる。
【0035】
また画像形成部31では、感光ドラム37の表面におけるクリーニングブレード39との当接箇所にトナーが残っていた場合、該クリーニングブレード39により該トナーを掻き落とす。ここで掻き落とされたトナーは、図示しない搬送機構により所定の廃トナー収容部へ搬送される。
【0036】
このようにして各画像形成ユニット15は、搬送路Wに沿って前方から搬送されて来る用紙Pに対し、それぞれの色によるトナー画像を順次転写して重ねながら、後方へ進行させていく。
【0037】
因みに画像形成装置1では、画像形成ユニット15の構造上、消耗品である感光ドラム37を交換する場合、画像形成部31ごと交換するようになっている。また画像形成部31及びトナーカートリッジ32は、所定の無線タグが組み込まれると共に、個体ごとに一意の識別番号がそれぞれ割り当てられている。一方、筐体2には、画像形成ユニット15の着脱を検出する着脱センサ(図示せず)が設けられると共に、装着された画像形成部31及びトナーカートリッジ32と対応する位置に、それぞれの無線タグから情報を読み取って制御部3に通知する無線タグ読取部(何れも図示せず)が設けられている。
【0038】
中搬送部10(図1)における転写ベルト13の下側部分のさらに下側には、濃度センサ18及びクリーニング部19が設けられている。現像剤転写量検出部としての濃度センサ18は、図3に示すように、その内部に発光ダイオード18A並びにフォトトランジスタ18B及び18Cが設けられている。
【0039】
発光ダイオード18Aは、制御部3(図1)の制御に基づき、転写ベルト13の表面に対して所定の波長の光、例えば赤外光を射出する。フォトトランジスタ18B及び18Cは、転写ベルト13上のトナーにより拡散反射された光(例えば赤外光)を受光し、その受光量を検出すると共に、この受光量を基にOD(Optical Density:光学濃度)値を生成して制御部3へ出力する。
【0040】
なおフォトトランジスタ18Bは、転写ベルト13の表面に形成されたトナー像に含まれる、イエロー、マゼンタ及びシアンのトナー濃度に応じたOD値を生成する。またフォトトランジスタ18Cは、転写ベルト13の表面に形成されたトナー像に含まれる、ブラックのトナー濃度に応じたOD値を生成する。以下では、濃度センサ18により生成されたOD値を、検出濃度OD又は現像剤転写量とも呼ぶ。
【0041】
ところで、一般にトナー濃度を測定する場合、例えばX-Rite社製の分光濃度計X-Rite528のような専用の測定装置を用い、測定条件を以下に示すように設定し、白色校正板を用いてキャリブレーションを行った後に、用紙P等の媒体に印刷された画像に対してトナー濃度を測定し、測定結果としてOD値を得ることになる。
【0042】
[測定条件]
・測定モード:濃度測定モード
・ステータス:ステータスI
・白色基準:絶対白色基準
・偏光フィルタ:無し
【0043】
このうち、「ステータスI」は、評価する波長領域の設定であり、「ISO5-3“Photography and graphic technology - Density measurements -Part 3: Spectral conditions”」において規定されている。また、このようにトナー濃度を測定する場合、印刷物の裏側に重ねる媒体、いわゆる「下敷き」として、黒色の紙媒体(すなわち黒色紙)を使用した。この黒色紙は、具体的に、L*a*b表色系におけるL*値、a*値及びb*値をそれぞれL*(B)、a*(B)及びb*(B)としたときに、次の(1)~(3)式を満たすものであり、具体的には「色上質紙・黒」(北越紀州製紙株式会社製)を使用した。
【0044】
25.1≦L*(B)≦25.9 ……(1)
0.2≦a*(B)≦0.3 ……(2)
0.5≦b*(B)≦0.7 ……(3)
【0045】
画像形成装置1では、濃度センサ18により得られるOD値が、このようにして測定装置を用いてトナー濃度を測定した場合に得られるOD値と同等の値となるよう、予め種々の値が適切に設定又は調整されている。
【0046】
クリーニング部19は、画像形成処理において用紙Pの搬送不良等が生じた場合や、後述する濃度補正処理が行われた場合等に、転写ベルト13の表面に付着しているトナーを該転写ベルト13の表面から掻き落として清掃する。これにより中搬送部10では、次に搬送される用紙Pの裏面、すなわち搬送路Wにおいて下方を向いている面でありトナー画像が転写されない面にトナーが付着して汚損させてしまう、いわゆる裏写りを防止できる。
【0047】
各画像形成ユニット15は、転写ベルト13により搬送路Wに沿って用紙Pが搬送されてくると、該用紙Pに対してそれぞれの色のトナー画像を順次重ねるように転写する。
【0048】
中搬送部10(図1)の後端近傍には、定着器21が設けられている。定着器21は、搬送路Wに沿って搬送される用紙Pに熱及び圧力を加えることにより、該用紙Pにトナー画像を定着させる定着処理を行い、さらに後方へ引き渡す。
【0049】
また画像形成装置1には、温湿度センサ22及び内部温度センサ23が設けられている。環境検知部としての温湿度センサ22は、筐体2の内部において定着器21により発生する熱の影響を受けにくい箇所、例えば前上端近傍に設けられており、外気の温度及び湿度を検知して外気温度R及び外気湿度Rを生成し、これらを制御部3(図1)へ出力する。内部温度センサ23は、やはり定着器21により発生する熱の影響を受けにくい箇所、例えば転写ベルト13の下側に設けられており、筐体2の内部の温度を検知して制御部3(図1)へ出力する。
【0050】
定着器21の後上側には、排紙部25が配置されている。排紙部25は、給紙部6の一部と類似した構成となっており、用紙Pを案内する搬送ガイド26や複数の搬送ローラ対27等を有している。この排紙部25は、制御部3の制御に従って各搬送ローラを適宜回転させることにより、定着器21から引き渡される用紙Pを後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、筐体2の上面に形成された排出トレイ28へ排出する。
【0051】
次に、画像形成装置1の回路構成について、図4を参照しながら説明する。画像形成装置1の回路は、制御部3を中心に構成されている。制御部3は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、印刷に関する種々の処理を行う。
【0052】
制御部3には、上述した濃度センサ18、温湿度センサ22や内部温度センサ23等の各種センサの他、記憶部41、ドラムカウンタ42に加えて、帯電用電源45、現像用電源46、転写用電源47及び供給用電源48等の各種電源回路、並びに露光制御部51、定着制御部52及びドラムモータ制御部53といった各種制御部等が接続されている。
【0053】
また制御部3は、記憶部41から各種プログラムを読み出して実行することにより、その内部に濃度補正制御部61、トナー付着量算出部62、ドラム膜厚算出部63、ドラム寿命補正処理部64及びドラム寿命管理部65といった複数の機能ブロックを形成する。
【0054】
濃度補正制御部61は、濃度補正処理に関する各種制御を行うことにより、濃度センサ18により検出された検出濃度ODを基に、トナー濃度が所定の目標値に近付くよう、現像ローラ35に印加する電圧(以下これを現像バイアスDBと呼ぶ)やLEDヘッド16による露光時間等を補正する。
【0055】
現像剤付着量算出部としてのトナー付着量算出部62は、濃度補正処理において検出された検出濃度OD及び現像バイアスDBを基に、現像ローラ35に付着するトナー量の予測値を算出する。膜厚算出部としてのドラム膜厚算出部63は、現像ローラ35に付着するトナー量の予測値を基に、感光ドラム37における膜の厚さ(すなわち膜厚)を算出する。寿命算出部としてのドラム寿命補正処理部64は、算出された感光ドラム37の膜厚を基に、該感光ドラム37の寿命を補正する。ドラム寿命管理部65は、補正された感光ドラムの寿命を基に、感光ドラム37における残り寿命の割合を使用者に提示する処理や、該感光ドラム37が寿命に達した場合に交換を促す処理等を行う。なお、これらの処理の詳細については後述する。
【0056】
記憶部41は、例えばRAM(Random Access Memory)のような揮発性の記憶媒体や、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等のような不揮発性の記憶媒体等によって構成されており、種々の情報を記憶する。この記憶部41は、各種プログラム等を記憶する他、その内部に各種定数のような固定された値を記憶する固定値記憶部71、各種設定値等を記憶する設定値記憶部72、各種センサ等により得られた検出値等を記憶する検出値記憶部73、及び各種演算処理により算出された算出値等を記憶する算出値記憶部74等を有している。
【0057】
回転数計数部としてのドラムカウンタ42は、各画像形成ユニット15における感光ドラム37の回転数をそれぞれ計数(カウント)すると共に記憶する。
【0058】
帯電用電源45、現像用電源46、転写用電源47及び供給用電源48は、それぞれ制御部3の制御に基づいてそれぞれのバイアス電圧を生成し、これらを帯電ローラ38、現像ローラ35、転写ローラ17及び供給ローラ34にそれぞれ供給する。説明の都合上、以下では現像用電源46を電圧印加部と呼び、該現像用電源46から現像ローラ35に印加される電圧(すなわち現像バイアスDB)を現像電圧とも呼ぶ。
【0059】
露光制御部51は、上位装置(図示せず)から供給される印刷データを基に制御部3により生成された画像データが供給されると、この画像データに基づいた画像データ信号をLEDヘッド16に供給する。これによりLEDヘッド16は、画像データ信号に基づいた発光パターンで発光する。
【0060】
定着制御部52は、制御部3の制御に基づき、定着器21における温度や各種ローラの回転等を制御する。ドラムモータ制御部53は、制御部3の制御に基づき、ドラムモータ55の回転を制御することにより、感光ドラム37を回転又は停止させる。
【0061】
制御部3は、電源が投入されると、記憶部41から所定の基本プログラムや各種プログラムを読み出して実行することにより、所定の起動処理等を行う。また制御部3は、所定の上位装置(図示せず)から印刷ジョブを受信すると、この印刷ジョブに含まれる印刷指示等に従い、各部を制御しながら印刷処理を実行する。
【0062】
例えば制御部3は、温湿度センサ22から得られる外気温度R及び外気湿度Rや、内部温度センサ23から得られる内部温度の値等を基に、帯電用電源45等の各電源回路におけるバイアス電圧や、定着制御部52における温度等を制御する。また制御部3は、印刷ジョブに含まれる画像データに対して所定の変換処理等を行った上で、露光制御部51に供給する。
【0063】
ところで画像形成装置1(図1)では、例えば電源投入後やスリープからの復帰後、或いは所定枚数の印刷処理を行った場合等のタイミングで、制御部3の濃度補正制御部61(図4)の制御に基づき、各色の画像形成ユニット15におけるトナー濃度を補正する濃度補正処理を行うようになっている。
【0064】
具体的に濃度補正制御部61は、まず所定の濃度補正パターンを表すトナー像を各画像形成ユニット15により生成させ、これを転写ベルト13に転写させる。続いて画像形成装置1は、濃度センサ18により、転写ベルト13上のトナー像(すなわち濃度補正パターン)からトナー濃度を検出し、得られた検出結果を制御部3に出力する。濃度補正制御部61は、このとき得られたトナー濃度の値を、検出濃度ODとして記憶部41に記憶させる。このトナー濃度は、転写ベルト13に付着しているトナーの量に応じた値となる。
【0065】
濃度補正制御部61は、このとき得られたトナー濃度を、予め設定されている理想的なトナー濃度に近づけるよう、現像ローラ35に印加する電圧バイアス値や露光時間をそれぞれ補正する。これにより濃度補正制御部61は、画像形成ユニット15により生成するトナー像を、理想的なトナー濃度に近づけることができる。また濃度補正制御部61は、このとき補正した現像ローラの電圧バイアス値を現像バイアスDB(現像電圧とも呼ぶ)とし、感光ドラム37が最後に交換された後に実行された濃度補正処理の累積回数を濃度補正回数Nとして、それぞれ記憶部41に記憶させる。説明の都合上、以下では、ドラム回転数DCNを単に回転数とも呼び、検出濃度ODを現像剤転写量とも呼び、現像バイアスDBを現像電圧とも呼ぶ。
【0066】
[1-2.感光ドラムの寿命の算出]
ところで画像形成ユニット15(図2)では、感光ドラム37が帯電ローラ38、現像ローラ35及びクリーニングブレード39等に当接しているため、印刷処理を行う度に、該感光ドラム37の外周面に形成された膜の表面が摩耗して僅かずつ削れるため、その膜厚が減少していく。感光ドラム37では、膜厚が所定の膜厚下限値を下回ると帯電保持性が悪化し、形成するトナー画像の品質を大幅に低下させてしまう。
【0067】
そこで従来の画像形成装置では、例えば事前の計測作業等により、感光ドラムが1回転する間に該感光ドラムの膜が削られる量、すなわち膜厚の減少量を計測し、この減少量を基に、該感光ドラムの使用開始から膜厚が膜厚下限値に到達するまでのドラム回転数を算出し、これを該感光ドラムの寿命としていた。因みに感光ドラムの寿命は、例えばA4サイズの用紙Pに対する印刷枚数に換算して表される。
【0068】
また感光ドラムの寿命を算出する場合、算出したドラム寿命に達する前に該感光ドラムの膜厚が膜厚下限値に達し、トナー画像の品質が低下した状態で印刷処理が継続される、といった事態を回避する必要がある。そこで感光ドラムの寿命は、該感光ドラムにおける膜厚の減少量が最も多く、該感光ドラムにより印刷可能な枚数が最も少ない場合を前提として決定されていた。
【0069】
しかしながら実際の画像形成ユニットでは、ドラムが1回転する間に削られる膜の量、すなわち膜厚の減少量が必ずしも一定ではなく、種々の要因により変動する。そうすると画像形成装置では、仮に膜厚の減少量が比較的小さい場合、印刷枚数がドラムの寿命に相当する印刷枚数に達したとしても、感光ドラムの膜厚が膜厚下限値よりも大きく、当該感光ドラムがまだ使用可能であり、無駄を発生することになる。
【0070】
そこで本実施の形態による画像形成装置1では、現像ローラ35におけるトナーの付着量が、感光ドラム37における膜厚の減少量に影響する、といった関係にあることを利用するようにした。すなわち画像形成装置1は、まず現像ローラ35におけるトナーの付着量の予測値を求め、次にこれを用いて該感光ドラム37の膜厚の予測値を算出し、さらに該感光ドラム37の寿命を算出及び補正するようにした。
【0071】
ここでは、まず画像形成ユニット15における現像ローラ35のトナー付着量を現像ローラ上トナー付着量M[mg/cm]と定義し、また感光ドラム37における1回転あたりの膜厚の減少量を膜減少係数a[μm/回転]と定義した。そのうえで、画像形成装置1を用いた事前の計測作業等により、現像ローラ上トナー付着量M[mg/cm]と膜減少係数a[μm/回転]との関係を調べたところ、図5に示すような特性曲線が得られた。
【0072】
この図5から、画像形成ユニット15では、現像ローラ上トナー付着量Mが小さいほど膜減少係数aも小さくなる、といった相関性があり、両者の関係を表す特性曲線が概ね直線状、すなわち概ね1次関数となっている。説明の都合上、以下では現像ローラ上トナー付着量Mを現像剤付着量とも呼ぶ。
【0073】
次に、画像形成ユニット15における、現像ローラ35に印加される電圧である現像バイアスDB[V]と、濃度センサ18により検出される検出濃度ODと、現像ローラ上トナー付着量M[mg/cm]との関係を調べたところ、図6に示すような特性曲線が得られた。
【0074】
この図6から、画像形成ユニット15では、検出濃度ODが一定であれば、現像バイアスDBの値が大きくなる(絶対値が小さくなる)ほど、現像ローラ上トナー付着量Mの値が大きくなる、といった相関性があり、両者の関係を表す特性曲線が概ね直線状、すなわち1次関数により近似可能な形状となっている。また画像形成ユニット15では、現像バイアスDBの値が一定であれば、検出濃度ODの値が大きくなるほど、現像ローラ上トナー付着量Mの値が大きくなる、といった相関性もある。
【0075】
これらの関係から、画像形成ユニット15では、検出濃度ODの値及び現像バイアスDBの値を基に、現像ローラ上トナー付着量Mの値を得ること、すなわち感光ドラム37に関して実際には計測できない膜厚について、取得可能な他の種々の値を基に予測値を算出することが可能となっている。
【0076】
そこで画像形成装置1では、現像ローラ上トナー付着量Mの値を算出するに際して、各種演算に用いる関数等を予め定義すると共に、必要となる係数等を予め設定し、記憶部41の固定値記憶部71(図4)に予め記憶させている。
【0077】
具体的に画像形成装置1では、図5の関係を基に、膜減少係数aを現像ローラ上トナー付着量Mの1次関数と見なし、係数J及びJを用いて、次に示す(4)式を定義した。
【0078】
a=J・M+J ……(4)
【0079】
この(4)式において、係数J及びJは、図5に示した関係を基に予め算出された値であり、記憶部41の固定値記憶部71(図4)に予め記憶されている。
【0080】
また画像形成装置1では、図6の関係を基に、現像ローラ上トナー付着量Mを現像バイアスDBの1次関数と見なし、係数K及びKを用いて、次に示す(5)式を定義した。
【0081】
M=K・DB+K ……(5)
【0082】
この(5)式において、係数K及びKは、次の表1に示すように、検出濃度ODごとに、図6に示した関係を基にそれぞれ導き出されており、係数テーブルT1として記憶部41の固定値記憶部71(図4)に記憶されている。
【0083】
【表1】
【0084】
さらに画像形成装置1では、図7に標準膜厚曲線Q(標準特性とも呼ぶ)として示すように、標準的な膜厚βの変遷として、感光ドラム37の使用開始時に膜厚βが膜厚初期値β(例えば20[μm])であるものとし、この膜厚βがドラム回転数DCの増加に応じて所定の割合で減少していくものとしている。この標準膜厚曲線Qでは、膜厚βが減少して膜厚下限値β(例えば6[μm])になった時点で、すなわちドラム回転数DCが標準寿命ドラム回転数DC(例えば30000、以下これを標準寿命回転数とも呼ぶ)になった時点で、感光ドラム37が寿命に達するものとなっている。
【0085】
標準膜厚曲線Qとして表される膜厚βは、ドラム回転数DCの一次関数となっており、その傾きが標準膜減少係数aとなっている。この標準膜減少係数aは、例えば図5において現像ローラ上トナー付着量Mが最も大きい標準現像ローラ上トナー付着量Mとなる場合に、膜減少係数aが最も大きくなるときの値(例えば0.000467[μm/回転])に設定されている。
【0086】
すなわち標準膜厚曲線Qは、標準現像ローラ上トナー付着量Mであるために、感光ドラム37が1回転する間に膜厚βが減少する度合が最も大きく、該感光ドラム37の寿命が最も短い(すなわち印刷可能な枚数が最も少ない)場合に相当する。
【0087】
この標準膜厚曲線Qは、膜厚β、ドラム回転数DC、膜厚初期値β及び標準膜減少係数aにより、次の(6)式として表すことができる。
【0088】
β=β0-a・DC ……(6)
【0089】
この(6)式に関し、標準現像ローラ上トナー付着量M、膜厚初期値β及び標準膜減少係数a等の定数や係数は、記憶部41の固定値記憶部71(図4)に予め記憶されている。
【0090】
また画像形成装置1では、仮に現像ローラ35における現像ローラ上トナー付着量Mが標準現像ローラ上トナー付着量Mよりも小さい場合、膜減少係数aが標準膜減少係数aよりも小さい値となるため、図7において標準膜厚曲線Qとは異なる膜厚曲線Q(以下これを算出特性とも呼ぶ)を描くことになる。そこで画像形成装置1では、現像ローラ35の現像ローラ上トナー付着量Mを算出し、これを用いて膜厚曲線Qを求めた上で、感光ドラム37の寿命を補正するようになっている。
【0091】
[1-3.感光ドラム寿命算出処理]
次に、画像形成装置1において感光ドラム37の寿命を算出して補正する感光ドラム寿命算出処理について説明する。画像形成装置1の制御部3(図4)は、所定の開始条件が満たされると、まず画像形成ユニット着脱対応処理手順RT1(図8)を開始して最初のステップSP1に移る。ここで開始条件は、例えば画像形成装置1の電源が投入されて所定の起動処理が終了した場合や、累積印刷枚数が所定の枚数に達した場合、及び濃度補正処理を行った場合等が予め設定されている。
【0092】
ステップSP1において制御部3は、筐体2内に設けられた着脱センサ(図示せず)から得られる検出結果を基に、画像形成ユニット15の交換を検知したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは感光ドラム37が交換されているため、濃度補正回数Nを初期化する必要があることを表している。このとき制御部3は、次のステップSP2に移る。
【0093】
ステップSP2において制御部3は、タグ読取部(図示せず)により画像形成部31等から識別情報等を読み取り、これを記憶部41(図4)に記憶させた後、次のステップSP3に移る。ステップSP3において制御部3は、濃度補正回数Nを値「0」に初期化し、次のステップSP4に移る。
【0094】
一方、ステップSP1において否定結果が得られると、このことは画像形成ユニット15(図2)及びその一部である感光ドラム37が交換されていないため、現在の濃度補正回数Nをそのまま維持すべきであることを表している。このとき制御部3は、次のステップSP4に移る。
【0095】
ステップSP4において制御部3は、画像形成ユニット着脱対応処理手順RT1を終了する。引き続き制御部3は、感光ドラム寿命算出処理手順RT2(図9)を開始して最初のステップSP11に移る。
【0096】
ステップSP11において制御部3は、記憶部41(図4)を参照し、感光ドラム寿命算出処理手順RT2を前回実行した後に濃度補正処理が実行されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは濃度補正処理が新たに実行されておらず、新たな検出濃度ODの値を取得していないことから現像ローラ上トナー付着量Mを算出できず、膜厚βも算出し得ないため、新たな感光ドラム37の寿命を算出し得ないことを表している。このとき制御部3は、次のステップSP25に移る。
【0097】
一方、ステップSP11において肯定結果が得られると、このことは、得られた検出濃度ODを基に現像ローラ上トナー付着量Mを算出でき、現在の膜厚βを算出した上で新たな感光ドラム寿命を算出できることを表している。このとき制御部3は、次のステップSP12に移る。
【0098】
ステップSP12において制御部3は、濃度補正回数Nに値「1」を加算してインクリメントし、次のステップSP13に移る。ステップSP13において制御部3は、記憶部41から最新の現像バイアスDB、検出濃度OD及び現在のドラム回転数DCをそれぞれ読み出して現像バイアスDB、検出濃度OD及び現在のドラム回転数DCとし、次のステップSP14に移る。
【0099】
ステップSP14において制御部3は、トナー付着量算出部62(図4)により、現像ローラ上トナー付着量Mを算出し、次のステップSP15に移る。具体的にトナー付着量算出部62は、まず記憶部41の係数テーブルT1(表1)から検出濃度ODに対応する係数K及びKを読み出す。続いてトナー付着量算出部62は、上述した(5)式に現像バイアスDB、係数K及びKをそれぞれ代入することにより、現像ローラ上トナー付着量Mを算出する。ステップSP15において制御部3は、算出した現像ローラ上トナー付着量Mを記憶部41に記憶させ、次のステップSP16に移る。
【0100】
ステップSP16において制御部3は、濃度補正回数Nが1以外、すなわち2以上であるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは現在の感光ドラム37に交換された後に初回の濃度補正処理が行われた段階であり、「前回の濃度補正処理」が存在しないため、膜減少係数aを算出できず、膜厚βも算出できないことを表している。このとき制御部3は、次のステップSP25に移る。
【0101】
一方、ステップSP16において肯定結果が得られると、このことは現在の感光ドラム37に交換された後に濃度補正処理が1回以上行われ、現像ローラ上トナー付着量MN-1が既に算出されていることを表している。またこのことは、図7において、ドラム回転数DC及び膜厚βを座標とする座標点(図中に白丸で示す)を2箇所以上プロットでき、これらを結ぶことにより新たな特性曲線(すなわち算出特性)を生成し得ることを表している。このとき制御部3は、次のステップSP17に移る。
【0102】
ステップSP17において制御部3は、直前の(N-1)回目の濃度補正処理において得られた現像ローラ上トナー付着量MN-1と、今回新たに得られた現像ローラ上トナー付着量Mとを平均した平均現像ローラ上トナー付着量MNaveを算出し、次のステップSP18に移る。
【0103】
ステップSP18において制御部3は、トナー付着量算出部62(図4)により、上述した(4)式に平均現像ローラ上トナー付着量MNaveを代入することにより、膜減少係数aを算出し、次のステップSP19に移る。この膜減少係数aは、感光ドラム37が1回転する間に減少する膜厚に関し、直前の濃度補正処理から今回の濃度補正処理に至る間の平均的な値を表している。
【0104】
ステップSP19において制御部3は、ドラム膜厚算出部63(図4)により、前回の濃度補正処理の時点における膜厚βN-1を用いて、現時点、すなわちN回目の濃度補正処理を行った時点における膜厚βを算出し、次のステップSP20に移る。具体的にドラム膜厚算出部63は、まず記憶部41から前回(すなわちN-1回目)の濃度補正処理において得られた膜厚βN-1及びそのときのドラム回転数DCN-1を読み出す。
【0105】
ここで、感光ドラム37における、前回の濃度補正処理の時点から今回の濃度補正処理の時点までの間における膜厚βの減少量(以下これを膜減少量とも呼ぶ)は、膜減少係数a及びドラム回転数DCを用いると、a(DC-DCN-1)といった演算式により算出できる。そこでドラム膜厚算出部63は、次の(7)式に従い、現時点の膜厚βを算出する。
【0106】
β=βN-1-a(DC-DCN-1) ……(7)
【0107】
ステップSP20において制御部3は、ドラム寿命補正処理部64(図4)により、図7の標準膜厚曲線Qにおいて膜厚βが得られるときの標準ドラム回転数DC(以下これを標準回転数とも呼ぶ)を求め、次のステップSP21に移る。この場合、上述した(6)式において、膜厚β及びドラム回転数DCをそれぞれ膜厚β及び標準ドラム回転数DCに置き換え、該標準ドラム回転数DCについて整理すると、次の(8)式が得られる。
【0108】
DC=(β-β)/a ……(8)
【0109】
そこでドラム寿命補正処理部64は、この(8)式に現在の膜厚β、膜厚初期値β及び標準膜減少係数aを代入することにより、標準ドラム回転数DCを算出する。
【0110】
ステップSP21において制御部3は、引き続きドラム寿命補正処理部64により、現時点のドラム回転数DCと標準ドラム回転数DCとの差分を算出して延長可能ドラム回転数ΔDCとし、次のステップSP22に移る。この延長可能ドラム回転数ΔDCは、標準膜厚曲線Q図7)に従いドラム回転数の増加に連れて膜厚βが減少する標準特性の場合と比較して、当該膜厚βに至るまでの実際のドラム回転数DCが多かった場合の差分を表している。
【0111】
ステップSP22において制御部3は、引き続きドラム寿命補正処理部64により、延長可能ドラム回転数ΔDCを用いて標準寿命ドラム回転数DCを補正した補正寿命ドラム回転数DCLRを生成し、次のステップSP23に移る。具体的にドラム寿命補正処理部64は、標準寿命ドラム回転数DCに延長可能ドラム回転数ΔDCを加算することにより補正寿命ドラム回転数DCLRを算出し、これを感光ドラム37の新たな寿命として取り扱う。
【0112】
因みに、このとき算出された補正寿命ドラム回転数DCLRは、図7において、ドラム回転数DC及び膜厚βにより表される座標Cを通り、且つ標準膜厚曲線Qと同じ傾き(すなわち標準膜減少係数a)の予想特性Q(図中に太破線で示す)を描いた場合に、該予想特性Qが膜厚下限値βに達するときのドラム回転数DCとなっている。
【0113】
ステップSP23において制御部3は、引き続きドラム寿命補正処理部64により、補正寿命ドラム回転数DCLRを基に、感光ドラム37における寿命全体に対する残りの割合を表す残り寿命割合を算出し、次のステップSP24に移る。具体的にドラム寿命補正処理部64は、補正寿命ドラム回転数DCLRからドラム回転数DCを減算し、これを当該補正寿命ドラム回転数DCLRで除算すると共に値「100」を乗じることにより、残り寿命割合[%]を算出する。
【0114】
ステップSP24において制御部3は、引き続きドラム寿命補正処理部64により、残り寿命割合[%]を記憶部41に記憶させ、次のステップSP25に移る。ステップSP25において制御部3は、感光ドラム寿命算出処理手順RT2を終了する。
【0115】
ここで、具体的な数値の例を示す。例えば、上述したように標準膜減少係数aが0.000467[μm/回転]、膜厚初期値βが20[μm]、標準寿命ドラム回転数DCが30000[回転]であり、現時点のドラム回転数DCが13000[回転]、膜厚βが14.96[μm]、であったとする。この場合、標準ドラム回転数DCの値は、(8)式を用いて次のように計算される。
【0116】
DC=(20-14.96)/0.000467=10791
【0117】
また延長可能ドラム回転数ΔDCの値は、ドラム回転数DCNからこの標準ドラム回転数DCを減算することにより、次のように計算される。
【0118】
ΔDC=13000-10791=2209
【0119】
さらに補正寿命ドラム回転数DCLRの値は、標準寿命ドラム回転数DCにこの延長可能ドラム回転数ΔDCを加算することにより、32209と計算される。
【0120】
また制御部3は、表示操作部4(図1及び図4)を介して使用者から所定の操作を受け付けると、記憶部41に記憶している各色の感光ドラム37における残り寿命割合をそれぞれ読み出し、図10に示すようなドラム寿命表示画面D1を該表示操作部4に表示させる。
【0121】
このドラム寿命表示画面D1には、各色の残り寿命割合が縦方向の棒グラフとして表されると共に各色が横方向に並べて配置されている。またドラム寿命表示画面D1には、各棒グラフの下側にブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンをそれぞれ意味する「Bk」、「Y」、「M」及び「C」の文字がそれぞれ配置され、さらにその下側に残り寿命割合を表す百分率の数字がそれぞれ配置されている。
【0122】
さらに制御部3は、ドラム寿命管理部65(図4)により、感光ドラム37の寿命に関する種々の処理を行っている。例えばドラム寿命管理部65は、各色の感光ドラム37に関し、補正寿命ドラム回転数DCLRに対する最新のドラム回転数DCの割合が所定の警告割合(例えば90[%]等)を超えると、表示操作部4に所定の警告画面(図示せず)を表示し、当該色の感光ドラム37の寿命が近付いていることを通知する。またドラム寿命管理部65は、最新のドラム回転数DCが補正寿命ドラム回転数DCLRに達すると、新たな印刷処理の受付を中止すると共に、表示操作部4に所定の通知画面を表示し、当該色の感光ドラム37の交換を促す。
【0123】
[1-4.効果等]
以上の構成において、第1の実施の形態による画像形成装置1は、感光ドラム37を交換してからN回目の濃度補正処理において得られた検出濃度ODと、現像ローラ35に印加する現像バイアスDBとを基に現像ローラ上トナー付着量Mを算出する。続いて画像形成装置1は、この現像ローラ上トナー付着量Mを基に膜減少係数aを算出し、この膜減少係数aや現在のドラム回転数DC等を用いて、現在の膜厚βを算出する(図8及び図9)。
【0124】
その後、画像形成装置1は、標準膜厚曲線Q図7)において膜厚βが得られるときの標準ドラム回転数DCを求め、ドラム回転数DCと該標準ドラム回転数DCとの差分を延長可能ドラム回転数ΔDCとし、これを標準寿命ドラム回転数DCに加算して補正寿命ドラム回転数DCLRを算出する(図9)。
【0125】
このため画像形成装置1は、現像ローラ上トナー付着量Mが比較的小さく膜厚βの減少の度合が比較的小さい場合、すなわち図7において膜厚β及びドラム回転数DCを表す座標が標準膜厚曲線Qの右上側に位置している場合に、感光ドラム37の寿命を延長し、印刷可能な枚数を増加することができる。
【0126】
これにより画像形成装置1は、膜厚βが膜厚下限値βに達すると予想される時点まで感光ドラム37を使用できるため、従来のように該感光ドラム37の膜厚βが十分に残っており使用可能であるにも関わらず、標準寿命ドラム回転数DCに達したために当該感光ドラム37を交換する、といった無駄の発生を未然に防止できる。
【0127】
また画像形成装置1は、濃度センサ18により実際に検出された検出濃度ODや実際の現像バイアスDB等を用いることにより、直接的な測定値では無いものの、精度の高い予測値として、現像ローラ上トナー付着量Mを算出できる。これに伴い画像形成装置1は、この現像ローラ上トナー付着量Mを用いることにより、感光ドラム37において膜厚βが減少する割合を表す膜減少係数aも精度良く算出でき、その結果として現在の膜厚βも精度良く算出できる。
【0128】
さらに画像形成装置1は、現像バイアスDB、検出濃度OD及び現像ローラ上トナー付着量Mの関係(図6)を基に、(5)式のように現像ローラ上トナー付着量Mを現像バイアスDBの1次関数とした上で、表1のように係数K及びKを検出濃度ODの範囲ごとに異なる値とした。これにより画像形成装置1は、検出濃度ODに関わらず係数K及びKを一定の値とする場合と比較して、現像ローラ上トナー付着量Mの算出精度をさらに高めることができる。
【0129】
また画像形成装置1は、現在の膜厚βを算出し、ドラム回転数DC及び標準ドラム回転数DCの差分である延長可能ドラム回転数ΔDCを算出した後、標準寿命ドラム回転数DCに延長可能ドラム回転数ΔDCを加算することにより、補正寿命ドラム回転数DCLRを算出するようにした(図7)。すなわち画像形成装置1は、この時点において、感光ドラム37の寿命が変動し得る範囲で最も短かった場合に相当する補正寿命ドラム回転数DCLRを算出するようにした。
【0130】
このため画像形成装置1は、N回目の濃度補正処理を行った後、仮に現像ローラ上トナー付着量Mが最も多い状態が続き、膜厚βが最も早いペースで減少していったとしても、少なくとも補正寿命ドラム回転数DCLRに達するまでは、現在の感光ドラム37を確実に使用させることができる。
【0131】
以上の構成によれば、第1の実施の形態による画像形成装置1は、濃度補正処理において得られた検出濃度OD及び現像バイアスDBを基に現像ローラ上トナー付着量Mを算出し、これを基に膜厚βを算出する。続いて画像形成装置1は、標準膜厚曲線Qにおいて膜厚βとなる標準ドラム回転数DCを求め、これとドラム回転数DCとの差分である延長可能ドラム回転数ΔDCを標準寿命ドラム回転数DCに加算して補正寿命ドラム回転数DCLRとする。これにより画像形成装置1は、現像ローラ上トナー付着量Mが比較的少なく、膜厚βが標準よりも遅いペースで減少していた場合に、感光ドラム37の寿命を標準よりも延長させることができる。
【0132】
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態による画像形成装置201(図1及び図4)は、第1の実施の形態による画像形成装置1と比較して、制御部3及び記憶部41に代わる制御部203及び記憶部241を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
【0133】
制御部203は、その内部に、第1の実施の形態による制御部3(図4)と同様の濃度補正制御部61、ドラム膜厚算出部63、ドラム寿命補正処理部64及びドラム寿命管理部65といった複数の機能ブロックを形成すると共に、トナー付着量算出部62に代わるトナー付着量算出部262を形成する。このトナー付着量算出部262は、第1の実施の形態と一部異なる手法により、現像ローラ上トナー付着量Mを算出するようになっている(詳しくは後述する)。
【0134】
記憶部241は、その内部に、第1の実施の形態による記憶部41と同様の設定値記憶部72、検出値記憶部73及び算出値記憶部74を有すると共に、固定値記憶部71に代わる固定値記憶部271を有している。この固定値記憶部271は、第1の実施の形態とは一部異なる係数等を記憶している(詳しくは後述する)。
【0135】
[2-1.感光ドラムの寿命の算出]
次に、第2の実施の形態において感光ドラム37の寿命を算出する際の基本原理について説明する。この第2の実施の形態では、温度及び湿度、並びに感光ドラム37の経時変化も考慮した補正を行い、該感光ドラム37の寿命を算出するようになっている。
【0136】
[2-1-1.温度及び湿度による補正]
図6の一部と対応する図11は、検出濃度ODの値が1.45~1.55の範囲内である場合を例に、温湿度センサ22(図1及び図4)により検知される外気温度R及び外気湿度Rの値が異なる3通りの環境について、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を表したものである。
【0137】
図11の関係特性線XNNは、外気温度Rが標準的な22.5[℃]であり、外気湿度Rも標準的な55[%]の環境(以下これを標準環境又はNN環境と呼ぶ)における現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係である。また図11の関係特性線XLLは、外気温度Rが比較的低い10[℃]であり、外気湿度Rも比較的低い20[%]の環境(以下これを低温低湿環境又はLL環境と呼ぶ)における現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係である。さらに図11の関係特性線XHHは、外気温度Rが比較的高い27[℃]であり、外気湿度Rも比較的高い80[%]の環境(以下これを高温高湿環境又はHH環境と呼ぶ)における現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係である。
【0138】
この図11から分かるように、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係は、外気温度R及び外気湿度Rの値(以下両者をまとめて環境値とも呼ぶ)に応じて変動している。そこで第2の実施の形態では、感光ドラム37の寿命を算出する際に、温湿度センサ22により検出される外気温度R及び外気湿度Rの影響を反映させるようにした。
【0139】
ところで、第1の実施の形態において説明した図6は、外気温度Rが22.5[℃]、外気湿度Rが55[%]の標準環境における現像バイアスDB、検出濃度OD及び現像ローラ上トナー付着量Mの関係を表したものである。また、この図6における検出濃度ODごとの波形は、(5)式として示したように、現像ローラ上トナー付着量Mを現像バイアスDBの1次関数と見なし、係数K及びKを用いて近似的に表される。
【0140】
一方、図6と対応する図12は、外気温度Rが27[℃]、外気湿度Rが80[%]の高温高湿環境である場合における、現像バイアスDB、検出濃度OD及び現像ローラ上トナー付着量Mの関係を表したものである。また図13は、外気温度Rが10[℃]、外気湿度Rが20[%]の低温低湿環境である場合における、現像バイアスDB、検出濃度OD及び現像ローラ上トナー付着量Mの関係を、図6と同様に表したものである。
【0141】
図12及び図6において、互いに同一の検出濃度ODにおける特性曲線同士を比較してみると、何れも直線状であり1次関数に近似的に表し得るものの、その傾き及び切片が互いに相違していることが分かる。このような関係は、図13及び図6における各特性曲線同士の間にも成立している。
【0142】
そこで、検出濃度ODごとに、高温高湿環境(図12)の波形又は低温低湿環境(図13)を標準環境(図6)の波形に補正するために、傾きを補正する環境係数αenv1と、切片を補正する環境係数αenv2とを定義し、これらを(5)式に適用すると、次の(9)式が得られる。
【0143】
M=αenv1・K・DB+K+αenv2 ……(9)
【0144】
そのうえで、図6図12及び図13の各特性曲線を基に、高温高湿環境(HH環境)及び低温低湿環境(LL環境)における環境係数αenv1及びαenv2を、検出濃度ODごとに算出したところ、次の表2に示すような値が得られた。この表2は、記憶部241の固定値記憶部271(図4)に環境係数テーブルT2として予め記憶されている。
【0145】
【表2】
【0146】
因みに表2では、標準環境(NN環境)において(9)式が(5)式と一致することから、この標準環境における環境係数αenv1を値「1」とし、また環境係数αenv2を値「0」とし、高温高湿環境及び低温低湿環境の各値と同様に記載している。
【0147】
[2-1-2.感光ドラムの経時変化による補正]
次に、図6の一部と対応する図14は、検出濃度ODの値が1.45~1.55の範囲内である場合を例に、感光ドラム37のドラム回転数DCが大きく異なる2通りの状態における、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を表したものである。
【0148】
図14の関係特性線XDLは、感光ドラム37のドラム回転数DCが比較的小さく消耗の程度が低い状態(以下これを低消耗状態と呼ぶ)における、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係である。また図14の関係特性線XDHは、感光ドラム37のドラム回転数DCが比較的大きく消耗の程度が高い状態(以下これを高消耗状態と呼ぶ)における、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係である。
【0149】
この図14から分かるように、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係は、ドラム回転数DCに応じて変動している。このような変動は、感光ドラム37の使用に従って各部が摩耗していくことに伴い、現像バイアスDB、検出濃度OD及び現像ローラ上トナー付着量Mの関係が変化することを表していると推測される。そこで第2の実施の形態では、感光ドラム37の寿命を算出する際に、ドラム回転数DCの影響も反映させるようにした。
【0150】
また、図6の一部と対応する図15は、検出濃度ODの値が1.45~1.55の範囲内である場合を例に、感光ドラム37が使用により劣化していく複数の段階、すなわちドラム回転数DCが異なる複数の段階について、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を表したものである。
【0151】
この図15から分かるように、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係は、ドラム回転数DCが増加するに連れて、傾きを殆ど維持したまま下方へ変位している。そこで第2の実施の形態では、感光ドラム37の寿命を算出する際に、ドラム回転数DCの値を反映させるようにした。
【0152】
具体的には、ドラム回転数DCが「0」であるときの波形の切片を補正し、各ドラム回転数DCの各波形に合わせるための経時係数αDC1を定義し、これを(9)式に適用すると、次の(10)式が得られる。
【0153】
M=αenv1・K・DB+K+αenv2+αDC1 ……(10)
【0154】
そのうえで、図15の各特性曲線を基に、ドラム回転数DCの値ごとの経時係数αDC1を算出したところ、次の表3に示すような値が得られた。この表3は、記憶部241の固定値記憶部271(図4)に経時係数テーブルT3として予め記憶されている。
【0155】
【表3】
【0156】
このように第2の実施の形態では、現像ローラ上トナー付着量Mを算出する際に、第1の実施の形態における(5)式において用いた現像バイアスDB、係数K及びKに加えて、環境係数αenv1及びαenv2、並びに経時係数αDC1を用い、(10)式により算出するようになっている。
【0157】
[2-2.感光ドラム寿命算出処理]
画像形成装置201では、感光ドラム37の寿命を算出して補正する場合、制御部203により、図8に示した画像形成ユニット着脱対応処理手順RT1を実行した後、図9と対応する図16に示す感光ドラム寿命算出処理手順RT22を実行するようになっている。
【0158】
制御部203は、感光ドラム寿命算出処理手順RT22を開始すると、ステップSP211及びSP222において感光ドラム寿命算出処理手順RT2(図9)のステップSP11及びSP12と同様の処理をそれぞれ行い、次のステップSP213に移る。
【0159】
ステップSP213において制御部203は、記憶部241から最新の現像バイアスDB、検出濃度OD及び現在のドラム回転数DCをそれぞれ読み出して現像バイアスDB、検出濃度OD及び現在のドラム回転数DCとする。また制御部203は、温湿度センサ22により取得された最新の外気温度R及び外気湿度Rを記憶部241からそれぞれ取得し、次のステップSP214に移る。
【0160】
ステップSP214において制御部203は、記憶部241の固定値記憶部271に格納されている環境係数テーブルT2(表2)を参照し、検出濃度OD、外気温度R及び外気湿度Rと対応する環境係数αenv1及びαenv2をそれぞれ読み出す。また制御部203は、記憶部241の固定値記憶部271に格納されている経時係数テーブルT3(表3)を参照し、ドラム回転数DCと対応する経時係数αDC1を読み出して、次のステップSP215に移る。
【0161】
ステップSP215において制御部203は、トナー付着量算出部262(図4)により、現像ローラ上トナー付着量Mを算出し、次のステップSP216に移る。具体的にトナー付着量算出部62は、まず記憶部241の係数テーブルT1(表1)から検出濃度ODに対応する係数K及びKを読み出す。続いてトナー付着量算出部262は、上述した(10)式に現像バイアスDB、係数K及びK、環境係数αenv1及びαenv2、並びに経時係数αDC1をそれぞれ代入することにより、現像ローラ上トナー付着量Mを算出する。
【0162】
その後、制御部203は、ステップSP216~SP226において、感光ドラム寿命算出処理手順RT2(図9)のステップSPSP15~SP25とそれぞれ同様の処理を行うことにより、現時点の膜厚βや延長可能ドラム回転数ΔDC等を順次算出し、さらに補正寿命ドラム回転数DCLRや残り寿命割合も算出する。
【0163】
さらに制御部203は、第1の実施の形態と同様に、使用者からの操作指示等を受け付けると、ドラム寿命表示画面D1(図10)を表示操作部4に表示させる。また制御部203は、第1の実施の形態と同様に、補正寿命ドラム回転数DCLRに対する最新のドラム回転数DCの割合等に応じて、警告画面の表示や感光ドラム37の交換に関する通知等を行う。
【0164】
[2-3.効果等]
以上の構成において、第2の実施の形態による画像形成装置201は、検出濃度OD、現像バイアスDBに加えて、環境係数αenv1及びαenv2、並びに経時係数αDC1を用いて現像ローラ上トナー付着量Mを算出する。続いて画像形成装置201は、この現像ローラ上トナー付着量Mを基に膜減少係数aを算出し、この膜減少係数aや現在のドラム回転数DC等を用いて、現在の膜厚βを算出する(図8及び図16)。
【0165】
その後、画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様、膜厚βを基に標準ドラム回転数DCを求め、延長可能ドラム回転数ΔDCを算出し、これを標準寿命ドラム回転数DCに加算して補正寿命ドラム回転数DCLRを算出する(図16)。
【0166】
このため画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様、現像ローラ上トナー付着量Mが比較的小さく膜厚βの減少の度合が比較的小さい場合、該膜厚βが膜厚下限値βに達すると予想される時点まで感光ドラム37を使用できるため、印刷可能な枚数を増加でき、該感光ドラム37の無駄な交換を排除できる。
【0167】
特に画像形成装置201は、現像ローラ上トナー付着量Mを算出する際に、検出濃度OD、外気温度R及び外気湿度Rに応じた環境係数αenv1及びαenv2と、ドラム回転数DCに応じた経時係数αDC1とにより補正するようにした。このため画像形成装置201は、第1の実施の形態と比較して、膜厚βの算出精度をさらに高めることができ、その結果として補正寿命ドラム回転数DCLRの精度もさらに高めることができる。
【0168】
その他の点においても、第2の実施の形態による画像形成装置201は、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏し得る。
【0169】
以上の構成によれば、第2の実施の形態による画像形成装置201は、濃度補正処理において得られた検出濃度OD及び現像バイアスDBを基に、環境係数αenv1及びαenv2並びに経時係数αDC1による補正をしながら、現像ローラ上トナー付着量Mを算出し、これを基に膜厚βを算出する。続いて画像形成装置201は、標準膜厚曲線Qにおいて膜厚βとなる標準ドラム回転数DCを求め、これとドラム回転数DCとの差分である延長可能ドラム回転数ΔDCを標準寿命ドラム回転数DCに加算して補正寿命ドラム回転数DCLRとする。これにより画像形成装置201は、現像ローラ上トナー付着量Mが比較的少なく、膜厚βが標準よりも遅いペースで減少していた場合に、感光ドラム37の寿命を標準よりも延長させることができる。
【0170】
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、感光ドラム寿命算出処理手順RT2(図9)のステップSP17において、現像ローラ上トナー付着量MN-1及びMの単純平均を算出して平均現像ローラ上トナー付着量MNaveとする場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、過去の現像ローラ上トナー付着量M(1≦i≦N-1)の一部又は全部と最新の現像ローラ上トナー付着量Mとの平均を算出して平均現像ローラ上トナー付着量MNaveとしても良い。またこの場合、例えば過去の現像ローラ上トナー付着量Mに比較的小さい係数を乗じ、最新の現像ローラ上トナー付着量Mに比較的大きい係数を乗じる等して、重み付け平均を算出しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0171】
また上述した第1の実施の形態においては、感光ドラム寿命算出処理手順RT2(図9)のステップSP20~SP22において、延長可能ドラム回転数ΔDCを標準寿命ドラム回転数DCに加算して補正寿命ドラム回転数DCLRに補正する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、この段階までに算出された種々の値、すなわち膜厚βやドラム回転数DC等を利用した種々の演算により、標準寿命ドラム回転数DCを補正しても良い。例えば、直前の膜減少係数aが今後も維持された場合に膜厚下限値βに達するようなドラム回転数DC、すなわち図7において座標Cから膜減少係数aに相当する傾きの算出特性QE2(図中に一点鎖線で示す)が膜厚下限値βと交差するようなドラム回転数DCを、新たな補正寿命ドラム回転数DCLR2としても良い。この場合、演算処理としては、標準寿命ドラム回転数DCに差分値を加算して補正する手法に限らず、例えば算出特性QE2を表す数式を導き出し、この数式により補正後の補正寿命ドラム回転数DCLR2を直接的に算出しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0172】
さらに上述した第1の実施の形態においては、図6に示した検出濃度ODごとの現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を、1次関数と見なして近似した(5)式を定義し、その係数K及びKを記憶部41の固定値記憶部71(図4)に記憶させる場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を、他の種々の関数や曲線と見なして近似し、これらを表す係数等を固定値記憶部71に記憶させても良い。或いは、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係をテーブルにより表し、当該テーブルを固定値記憶部71に記憶させても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0173】
さらに上述した第1の実施の形態においては、図6において、検出濃度ODを複数の範囲に区切り、この検出濃度ODごとに、現像バイアスDBと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を2次元座標上に表し、これを1次関数と見なして各項の係数を定義する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば現像バイアスDBを複数の範囲に区切り、この現像バイアスDBごとに、検出濃度ODと現像ローラ上トナー付着量Mとの関係を2次元座標上に表し、これを1次関数等と見なして各項の係数を定義しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0174】
さらに上述した第2の実施の形態においては、環境係数テーブルT2(表2)において、外気温度R及び外気湿度Rに応じた3通りの環境(標準環境、高温高湿環境及び低温低湿環境)それぞれについて、検出濃度ODごとの環境係数αenv1及びαenv2を設定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば外気温度R及び外気湿度Rに応じた2通り又は4通り以上の環境それぞれについて、検出濃度ODごとの環境係数αenv1及びαenv2を設定しても良く、或いは例えば外気温度R及び外気湿度Rの関数として、検出濃度ODごとの環境係数αenv1及びαenv2を演算により算出しても良い。また、例えば外気温度R及び外気湿度Rの何れか一方のみに応じた複数通りの環境について、検出濃度ODごとの環境係数αenv1及びαenv2を設定しても良く、さらには例えば気圧など、他の要素も加味した複数通りの環境について、検出濃度ODごとの環境係数αenv1及びαenv2を設定しても良い。
【0175】
さらに上述した第2の実施の形態においては、経時係数テーブルT3(表3)において、ドラム回転数DCに応じて経時係数αDC1を設定する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば感光ドラム37の交換後における累積動作時間等、他の要素に代えて、若しくはこれらを適宜組み合わせて、経時係数αDC1を設定しても良い。
【0176】
さらに上述した第2の実施の形態においては、環境係数αenv1及びαenv2と経時係数αDC1との双方を用い、(10)式に従って現像ローラ上トナー付着量Mを算出する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば(9)式に示したように、経時係数αDC1を用いずに環境係数αenv1及びαenv2を用いて現像ローラ上トナー付着量Mを算出しても良く、或いは環境係数αenv1及びαenv2を用いずに経時係数αDC1を用いて現像ローラ上トナー付着量Mを算出しても良い。
【0177】
さらに上述した第1の実施の形態においては、感光ドラム寿命算出処理手順RT2(図9)のステップSP19において膜厚βの減少量をa(DC-DCN-1)により算出し、これを用いて(7)式により膜厚βを算出した後、感光ドラム37の寿命に関する値である延長可能ドラム回転数ΔDC等を算出する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば膜厚βの減少量や膜厚β等を、各種バイアス電圧の補正値のような他の種々の値に関する制御や補正等に用いても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0178】
さらに上述した第1の実施の形態においては、画像形成装置1に4個の画像形成ユニット15を設ける場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば1個以上3個以下、又は5個以上の画像形成ユニット15を画像形成装置1に設けても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0179】
さらに上述した第1の実施の形態においては、制御部3(図4)内の各機能ブロックをソフトウェアにより構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば各機能ブロックの少なくとも一部をハードウェアによって構成しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0180】
さらに上述した第1の実施の形態においては、制御部3により実行する各種プログラムを、記憶部41(図4)に予め記憶させておく場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば所定の通信処理部を設けて制御部3を各種ネットワーク(図示せず)と接続させ、このネットワークに接続されているサーバ装置等(図示せず)から各種プログラムを受信した上で、制御部3において実行しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0181】
さらに上述した実施の形態においては、本発明を単機能のプリンタである画像形成装置1に適用する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、例えば複写機やファクシミリ装置の機能を有するMFP(Multi Function Peripheral)等、他の種々の機能を有する画像形成装置に適用しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
【0182】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0183】
さらに上述した実施の形態においては、像担持体としての感光ドラム37と、回転数計数部としてのドラムカウンタ42と、現像剤担持体としての現像ローラ35と、電圧印加部としての現像用電源46と、転写部としての転写ローラ17と、現像剤転写量検出部としての濃度センサ18と、算出部としての制御部3とによって画像形成装置としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。しかし本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる像担持体と、回転数計数部と、現像剤担持体と、電圧印加部と、転写部と、現像剤転写量検出部と、算出部とによって画像形成装置を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明は、例えば電子写真方式により現像ローラから感光ドラムにトナーを付着させてトナー画像を形成し、これを用紙に転写して印刷する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0185】
1、201……画像形成装置、3、203……制御部、4……表示操作部、13……転写ベルト、15……画像形成ユニット、16……LEDヘッド、17……転写ローラ、18……濃度センサ、22……温湿度センサ、31……画像形成部、32……トナーカートリッジ、35……現像ローラ、37……感光ドラム、41、241……記憶部、42……ドラムカウンタ、46……現像用電源、61……濃度補正制御部、62、262……トナー付着量算出部、63……ドラム膜厚算出部、64……ドラム寿命補正処理部、65……ドラム寿命管理部、71、271……固定値記憶部、241……記憶部、DB……現像バイアス、DC……ドラム回転数、DC……標準寿命ドラム回転数、DC……標準ドラム回転数、K、K……係数、M……現像ローラ上トナー付着量、M……標準現像ローラ上トナー付着量、N……濃度補正回数、OD……検出濃度、P……用紙、Q……膜厚曲線、Q……標準膜厚曲線、R……外気湿度、R……外気温度、a……膜減少係数、a……標準膜減少係数、ΔDC……延長可能ドラム回転数、αDC1……経時係数、αenv1、αenv2……環境係数、β……膜厚、β……膜厚初期値、β……膜厚下限値。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16