IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図1
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図2
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図3
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図4
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図5
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図6
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図7
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図8
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図9
  • 特開-橋梁とその高欄姿勢変更システム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124761
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】橋梁とその高欄姿勢変更システム
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/10 20060101AFI20220819BHJP
   E01D 1/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
E01D19/10
E01D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022584
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大熊 潔
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA21
2D059GG33
(57)【要約】
【課題】床版から立設している高欄が漂流物や波圧により破損することを抑制できる、橋梁とその高欄姿勢変更システムを提供すること。
【解決手段】橋軸方向に延設する床版10と、床版10の幅方向である橋軸直角方向の両端部11に立設する高欄30とを少なくとも有する橋梁50において、高欄30が、高さが低くなるように変位自在に床版10に取り付けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋軸方向に延設する床版と、前記床版の幅方向である橋軸直角方向の両端部に立設する高欄とを少なくとも有し、
前記高欄が、高さが低くなるように変位自在に前記床版に取り付けられていることを特徴とする、橋梁。
【請求項2】
前記橋軸方向に延設する橋桁をさらに有し、前記橋桁に前記床版が支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の橋梁。
【請求項3】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが、前記橋軸直角方向に回動することにより、前記両端部にある双方の前記高欄が前記床版の上に折り畳まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項4】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが、河川水の遡上によって前記橋軸直角方向に回動することにより、前記両端部にある双方の前記高欄が前記河川水の流れる方向に折り畳まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項5】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが、前記橋軸方向に回動することにより、前記両端部にある双方の前記高欄が前記橋軸方向に折り畳まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項6】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
四本の前記リンクがパンタグラフを形成し、複数の前記パンタグラフが前記橋軸方向に折り畳まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項7】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
二本の前記リンクが回動軸を中心にX状に組み付けられたX状体を形成し、複数の前記X状体が前記橋軸方向へ折り畳まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項8】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが下方へ降下することにより、前記手摺りが前記床版に当接もしくは近接することを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項9】
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが下方へ短縮することにより、前記手摺りが前記床版に当接もしくは近接することを特徴とする、請求項1又は2に記載の橋梁。
【請求項10】
前記床版の前記両端部において、高さが低くなるように変位した状態の前記高欄における前記橋軸直角方向の両側もしくは外側に、前記高欄の少なくとも手摺りを河川水から目隠しする防護材が立設していることを特徴とする、請求項1,2,5乃至9のいずれか一項に記載の橋梁。
【請求項11】
前記リンクを回動もしくは変位させるアクチュエータをさらに備え、
前記アクチュエータにより、前記高欄を自動変位制御することを特徴とする、請求項3乃至9,請求項5乃至9に従属する請求項10のいずれか一項に記載の橋梁。
【請求項12】
請求項11に記載の橋梁と、
ユーザ端末と、を有し、
前記アクチュエータは、第一通信部と、アクチュエータ駆動部とを備え、
前記ユーザ端末は、前記第一通信部に無線通信自在な第二通信部と、前記アクチュエータ駆動部の駆動制御を実行する駆動制御部とを備えていることを特徴とする、橋梁の高欄姿勢変更システム。
【請求項13】
前記ユーザ端末は、前記橋梁が跨ぐ河川の水位モニタリング情報もしくは津波情報を取得する、情報取得部をさらに備えていることを特徴とする、請求項12に記載の橋梁の高欄姿勢変更システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁とその高欄姿勢変更システムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁には、単純桁橋や吊橋、斜張橋、トラス橋、連続ラーメン橋、アーチ橋など、様々な形態が存在するが、いずれの形態の橋梁であっても、通行人や自転車、車両等の安全性を担保するために、橋梁を構成する床版の幅方向の両端部には、橋軸方向に延設する高欄が設けられているのが一般的である。尚、高欄を備えていない橋梁としては、例外的に沈下橋等が存在する。
【0003】
ところで、台風や大雨により河川の水位が上昇することに伴い、あるいは、津波の襲来に伴い、流木等の漂流物や波圧による橋梁の破損が問題となる。例えば、橋梁を構成する橋桁と、橋桁により支持される床版に破損が無い場合であっても、河川の流れ方向(例えば水平方向)に対して交差する(例えば直交する)ように立設している高欄は、橋桁等に比べて低剛性であることに加えて、床版から上方に延設する片持ち構造であることから、漂流物の衝突や波圧によって床版と接続される脚元部(根元部)に曲げやせん断が生じ易く、これらの断面力に起因する破損の可能性が高くなり易い。
【0004】
ここで、特許文献1には、津波等による水流が橋梁の高さを超えて襲ってきた際に、下向きの大きな揚力によって上部構造が押し潰されるように損壊する被害を軽減する橋梁が提案されている。具体的には、橋梁の上部構造において、上下に貫通する筒材を配置して複数の流体流通孔を形成し、橋梁下の水面が上昇して上部構造を押し上げる際に、上部構造の下部の空気を流体流通孔から逃がして上部構造の浮力が減少するように構成された橋梁である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-197495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の橋梁によれば、上部構造の構成部材である床版が流体流通孔を備えていることにより、水流による床版や橋桁の破損を抑制することができる。しかしながら、床版から立設している高欄が漂流物や波圧により破損する課題を解消するものではない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、床版から立設している高欄が漂流物や波圧により破損することを抑制できる、橋梁とその高欄姿勢変更システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による橋梁の一態様は、
橋軸方向に延設する床版と、前記床版の幅方向である橋軸直角方向の両端部に立設する高欄とを少なくとも有し、
前記高欄が、高さが低くなるように変位自在に前記床版に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、高欄が高さが低くなるように変位自在に床版に取り付けられていることにより、高さが低くなるように変位した高欄は、床版から上方に延設する片持ち構造が解消もしくは緩和される(高欄の高さが低くなることにより解消もしくは緩和される)ため、漂流物や波圧が高欄に作用した場合でも高欄の脚元部に過大な曲げやせん断は発生せず、これらの過大な断面力に起因する破損を抑制することができる。
【0010】
ここで、「高さが低くなるように変位自在」とは、高欄の構成部材が折り畳まれること、高欄が降下すること、高欄の構成部材が短縮すること等を含んでいる。
【0011】
また、高欄の脚元部と床版との接続構造は特に限定されるものでないが、例えば、高欄の構成部材が折り畳まれる形態では、高欄が折り畳み自在となるように回動部を介して床版と接続され、常時においてはストッパーにより回動不可とされることで高欄が立設姿勢を保持し、河川の水位が上昇したり津波が襲来する際(いずれも、非常時)には、手動もしくは自動にてストッパーが解除されることにより、高欄が折り畳まれるように構成することができる。
【0012】
また、本発明による橋梁の他の態様は、
前記橋軸方向に延設する橋桁をさらに有し、前記橋桁に前記床版が支持されていることを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、橋桁に床版が支持されることにより高剛性の橋梁が形成され、河川水や津波による波圧等に対する耐久性が向上するとともに、高欄は高さが低くなるように変位することにより過大な断面力に起因する破損が抑制され、従って橋梁全体としての破損が抑制できる。
【0014】
ここで、橋桁は、橋軸方向に延設し、橋軸直角方向に間隔を置いて配設される複数の主桁と、主桁同士を橋軸直角方向に繋ぐ横桁等により構成され、全体としては長手方向である橋軸方向に延設している。
【0015】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが、前記橋軸直角方向に回動することにより、前記両端部にある双方の前記高欄が前記床版の上に折り畳まれることを特徴とする。
【0016】
本態様によれば、高欄が橋軸方向に延設する手摺りと手摺りを支持する複数のリンクとを備え、リンクが橋軸直角方向に回動して、床版の両端部にある双方の高欄が床版の上に折り畳まれることにより、折り畳まれた高欄が床版の上に載置されることで折り畳み姿勢の高欄を床版にて安定的に支持しながら、漂流物や波圧による高欄の破損を抑制することができる。
【0017】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが、河川水の遡上によって前記橋軸直角方向に回動することにより、前記両端部にある双方の前記高欄が前記河川水の流れる方向に折り畳まれることを特徴とする。
【0018】
本態様によれば、高欄が橋軸方向に延設する手摺りと手摺りを支持する複数のリンクとを備え、リンクが河川水の遡上によって橋軸直角方向に回動して、床版の両端部にある双方の高欄が河川水の流れる方向に折り畳まれることにより、高欄が河川水の波圧に抵抗することなく折り畳まれることから、波圧による高欄の破損を抑制することができる。ここで、河川水は、大雨等による増水の場合は山側の橋軸直角方向から流れ、津波による場合は逆に海側の橋軸直角方向から流れてくることから、高欄は橋軸直角方向の左右いずれの方向へも折り畳まれるように構成される必要がある。
【0019】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが、前記橋軸方向に回動することにより、前記両端部にある双方の前記高欄が前記橋軸方向に折り畳まれることを特徴とする。
【0020】
本態様によれば、高欄が橋軸方向に延設する手摺りと手摺りを支持する複数のリンクとを備え、リンクが橋軸方向に回動して、床版の両端部にある双方の高欄が橋軸方向に折り畳まれることにより、折り畳み姿勢の高欄を床版にて安定的に支持しながら、漂流物や波圧による高欄の破損を抑制することができる。また、この形態では、折り畳まれた高欄が床版の中央側へ張り出さないことから、床版の中央の通行領域を確保することができ、原則的には橋梁の使用を停止しながらも、例えば緊急車両等の通行が可能になる。
【0021】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
四本の前記リンクがパンタグラフを形成し、複数の前記パンタグラフが前記橋軸方向に折り畳まれることを特徴とする。
【0022】
本態様によれば、高欄が橋軸方向に延設する手摺りと手摺りを支持する複数のリンクとを備え、四本のリンクがパンタグラフを形成し、複数のパンタグラフが橋軸方向に折り畳まれることにより、高欄を鉛直下方へ折り畳んで(手摺りを鉛直下方へ降下させて)床版にて安定的に支持させながら、漂流物や波圧による高欄の破損を抑制することができる。また、この形態でも、折り畳まれた高欄が床版の中央側へ張り出さないことから、原則的には橋梁の使用を停止しながらも、例えば緊急車両等の通行が可能になる。
【0023】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
二本の前記リンクが回動軸を中心にX状に組み付けられたX状体を形成し、複数の前記X状体が前記橋軸方向へ折り畳まれることを特徴とする。
【0024】
本態様によれば、高欄が橋軸方向に延設する手摺りと手摺りを支持する複数のリンクとを備え、二本のリンクが回動軸を中心にX状に組み付けられたX状体を形成し、複数のX状体が橋軸方向へ折り畳まれることにより、高欄を鉛直下方へ折り畳んで(手摺りを鉛直下方へ降下させて)床版にて安定的に支持させながら、漂流物や波圧による高欄の破損を抑制することができる。また、この形態でも、折り畳まれた高欄が床版の中央側へ張り出さないことから、原則的には橋梁の使用を停止しながらも、例えば緊急車両等の通行が可能になる。
【0025】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが下方へ降下することにより、前記手摺りが前記床版に当接もしくは近接することを特徴とする。
【0026】
本態様によれば、リンクが下方へ降下して手摺りが床版に当接もしくは近接することにより、高欄の高さが可及的に短くなることで漂流物や波圧による高欄の破損を抑制することができる。例えば、各リンクの脚元部が床版に開設されている落とし込み孔に挿通されており、常時においてはストッパーによりリンクが床版に固定され、非常時にはストッパーが解除されることにより、各リンクが対応する落とし込み孔を介して下方へ落とし込まれ、リンクが落とし込まれることにより手摺りが床版に当接もしくは近接するような形態が挙げられる。
【0027】
また、本発明による橋梁の他の態様において、
前記高欄は、前記橋軸方向に延設する手摺りと、前記手摺りを支持する複数のリンクとを備え、
前記リンクが下方へ伸縮することにより、前記手摺りが前記床版に当接もしくは近接することを特徴とする。
【0028】
本態様によれば、リンクが下方へ伸縮して手摺りが床版に当接もしくは近接することにより、高欄の高さが可及的に短くなることで漂流物や波圧による高欄の破損を抑制することができる。例えば、各リンクが二重管等の多重管により構成され、非常時には内管が外管の内部に収容されることにより、リンクの長さ(高さ)が短縮されるように構成することができる。
【0029】
また、本発明による橋梁の他の態様は、
前記床版の前記両端部において、高さが低くなるように変位した状態の前記高欄における前記橋軸直角方向の両側もしくは外側に、前記高欄の少なくとも手摺りを河川水から目隠しする防護材が立設していることを特徴とする。
【0030】
本態様によれば、高さが低くなるように変位した状態の高欄における橋軸直角方向の両側もしくは外側に、高欄の少なくとも手摺りを河川水から目隠しする防護材が立設していることにより、変位姿勢の高欄を河川水から防護することができ、高欄の高さが低くなるように変位することと相俟って、漂流物や波圧による高欄の破損抑制効果をより一層高めることができる。
【0031】
ここで、「高欄の少なくとも手摺りを河川水から目隠しする」とは、高さが低くなるように変位した高欄のうち、手摺りのみを河川水から目隠しする形態、手摺りとリンクの一部を河川水から目隠しする形態、手摺りとリンクの全体を河川水から目隠しする形態を含む意味である。例えば橋軸方向に延設する壁状の防護材により、変位姿勢の高欄の一部もしくは全部が目隠しされる。
【0032】
また、「橋軸直角方向の両側もしくは外側に防護材が立設している」とは、床版の幅方向の両端部にあるそれぞれの高欄の外側にのみ防護材が立設している形態、それぞれの高欄の左右両側に各高欄を包囲するように二列の防護材が立設している形態を含んでいる。また、高欄の外側にのみ防護材が立設している形態では、高欄の内側において、床版の通行面が防護材と同程度の高さに嵩上げされていてもよく、この形態では、外側の防護材と内側の床版嵩上げ部により高欄の左右両側が包囲されることになる。
【0033】
また、本発明による橋梁の他の態様は、
前記リンクを回動もしくは変位させるアクチュエータをさらに備え、
前記アクチュエータにより、前記高欄を自動変位制御することを特徴とする。
【0034】
本態様によれば、リンクを変位(回動、降下、短縮)させるアクチュエータが高欄を自動変位制御することにより、河川水の水位上昇や津波の襲来等、緊急を要する非常時における高欄の高さを低くする姿勢変更を可及的短時間に行うことができる。ここで、アクチュエータには、電動機、サーボモータやリニアモータを含むモータ、油圧シリンダや空圧シリンダ、水圧シリンダ、電動シリンダ等、様々な形態が含まれる。
【0035】
また、本発明による橋梁の高欄姿勢変更システムの一態様は、
前記橋梁と、
ユーザ端末と、を有し、
前記アクチュエータは、第一通信部と、アクチュエータ駆動部とを備え、
前記ユーザ端末は、前記第一通信部に無線通信自在な第二通信部と、前記アクチュエータ駆動部の駆動制御を実行する駆動制御部とを備えていることを特徴とする。
【0036】
本態様によれば、橋梁が、高欄を自動変位制御するアクチュエータを備え、ユーザ端末からアクチュエータに対して無線通信にてアクチュエータの駆動制御を実行することにより、例えば遠隔にある管理棟から、管轄内にある単数もしくは複数の橋梁の備える高欄を速やかに変位制御して、高欄の高さを低くする姿勢変更を実行することが可能になる。
【0037】
また、本発明による橋梁の高欄姿勢変更システムの他の態様において、
前記ユーザ端末は、前記橋梁が跨ぐ河川の水位モニタリング情報もしくは津波情報を取得する、情報取得部をさらに備えていることを特徴とする。
【0038】
本態様によれば、ユーザ端末が、橋梁が跨ぐ河川の水位モニタリング情報もしくは津波情報を取得する情報取得部をさらに備えていることにより、河川の水位が危険水位になる前や津波が襲来する前に、高欄の高さを低くする姿勢変更を確実に実行することができる。
【発明の効果】
【0039】
以上の説明から理解できるように、本発明の橋梁とその高欄姿勢変更システムによれば、床版から立設している高欄が漂流物や波圧により破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】第1実施形態に係る橋梁の斜視図であって、常時の高欄の状態を示す図である。
図2】第1実施形態に係る橋梁の一例の斜視図であって、非常時の高欄の状態を示す図である。
図3】第2実施形態に係る橋梁の一例の正面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
図4】第3実施形態に係る橋梁の一例の側面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
図5】第4実施形態に係る橋梁の一例の側面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
図6】第5実施形態に係る橋梁の一例の側面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
図7】第6実施形態に係る橋梁の一例の正面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
図8】第7実施形態に係る橋梁の一例の正面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
図9】実施形態に係る高欄姿勢変更システムの一例の全体構成を示すとともに、高欄を姿勢変更するアクチュエータとユーザ端末の機能構成の一例を示す図である。
図10】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、各実施形態に係る橋梁と高欄姿勢変更システムの一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0042】
[第1実施形態に係る橋梁]
はじめに、図1及び図2を参照して、第1実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図1図2はそれぞれ、第1実施形態に係る橋梁の斜視図であって、常時の高欄の状態を示す図と、非常時の高欄の状態を示す図である。
【0043】
図1に示す橋梁50は、橋軸方向に延設する橋桁20と、橋桁20に支持される床版10とを有する。そして、床版10の幅方向である橋軸直角方向の両端部11には、高欄30が立設している。
【0044】
橋桁20は、橋軸方向に延設する複数(図示例は二本)の主桁21と、左右の主桁21を橋軸直角方向に繋ぐ横桁22とを有し、複数の横桁22が橋軸方向に間隔をおいて配設されている。図示例の橋桁20は鋼桁であり、主桁21と横桁22はいずれもH形鋼により形成されているが、H形鋼以外にもI形鋼等の他の形鋼材により形成されてもよい。また、鉄筋コンクリート桁(RC桁)、プレストレストコンクリート(PC:Prestressed Concrete)桁(PC桁)、PRC桁の他、木製桁、石桁等、様々な材料の橋桁が適用できる。また、断面形状がT型のT桁、箱桁等、様々な断面形状の橋桁が適用できる。
【0045】
一方、床版10は、鉄筋コンクリート(RC:Reinforced Concrete)床版を含むコンクリート床版、鋼製床版、石床版、木床版等、様々な材料の床版が適用でき、扁平な六面体構造の床版、箱形床版等、様々な断面形状の床版が適用できる。
【0046】
床版10の両端部11には、高欄30を形成するリンク31の途中位置まで立設する防護材15が設けられている。そして、防護材15の内側において、橋軸方向に間隔をおいて回動部39が設けられ、それぞれの回動部39にリンク31の脚元部31aが取り付けられている。
【0047】
それぞれのリンク31の天端には橋軸方向に延設する手摺り32が取り付けられており、手摺り32と複数のリンク31とにより、高さt1の高欄30が形成される。
【0048】
回動部39は、高欄30をX1方向に回動させて床版10の上へ折り畳む機能を有しており、折り畳みによって高欄30の高さを低くする(高欄30を変位させる)。図示例では、全ての回動部39ではなく、複数個(図示例は二個)飛ばしで複数の回動部39に対してモータ40(アクチュエータの一例)が取り付けられており、各モータ40は同期制御されるようになっている。
【0049】
橋梁50の下方には、不図示の河川が例えば橋軸直角方向に伸びている。台風や大雨の際には河川の水位上昇に伴い、あるいは、津波の襲来に伴い、流木等の漂流物や波圧Pにより、橋梁50を形成する高欄30が破損に至り得る。
【0050】
図1からも明らかなように、河川の流れ方向に対して直交する方向に立設している高欄30は、橋桁20や床版10に比べて低剛性であることに加えて、床版10から上方に延設する片持ち構造であることから、漂流物の衝突や波圧Pによって床版10と接続されるリンク31の脚元部31aに曲げやせん断が生じ易く、これらの断面力が高欄30の破損の主要因の一つとなる。
【0051】
そこで、河川の水位が上昇している段階や津波が襲来する前の段階において、モータ40を駆動して高欄30をX1方向に回動させることにより、図2に示すように床版10の両端部11にある高欄30を床版10の中央部12側へ折り畳み、床版10の上に載置する(高欄30の姿勢変更)。
【0052】
図2に示すように高欄30を床版10の上へ折り畳むことにより、当初は床版10から上方へ高さt1で延設していた高欄30の片持ち構造が解消され、図1に示すように橋軸直角方向からの波圧Pが高欄30に作用しなくなり、漂流物が高欄30に衝突することが解消される。
【0053】
また、図2に示すように、高欄30が床版10の上に折り畳まれた姿勢において、高欄30の全体が防護材15により、外側の河川水から目隠しされる。このことにより、津波や超波等から高欄30を防護材15にて完全に防護することができ、高欄30の破損抑制効果がより一層高められる。
【0054】
ここで、図示例は、一部の回動部39にモータ40が装備されている形態であるが、全ての回動部39にモータ40が装備されていてもよいし、例えば、橋梁50の橋軸方向の両端の回動部39のみにモータ40が装備されていてもよい。さらに、モータ以外のアクチュエータにより回動部39が回動されてもよいし、アクチュエータによる自動制御ではなく、手動にて回動部39を介して高欄30が折り畳まれる形態であってもよい。手動にて姿勢変更する形態の高欄では、例えば、常時においてはストッパー(図示せず)にて回動部が回動不可に固定され、非常時においてはストッパーが解除されることにより、高欄が折り畳まれるように構成される。
【0055】
また、非常時においては、橋梁50を通行止めにした後、高欄30が床版10の上に折り畳まれるのが好ましい。
【0056】
[第2実施形態に係る橋梁]
次に、図3を参照して、第2実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図3は、第2実施形態に係る橋梁の一例の正面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
【0057】
図3に示す橋梁50Aは、床版10の両端部にある高欄30Aが、河川水の遡上によって橋軸直角方向へX2方向に回動することにより、河川水の流れる方向であるY1方向に沿って折り畳まれるようになっている形態である。
【0058】
橋梁50Aは、橋軸直角方向に遡上する河川水から作用する波圧により、高欄30Aが抵抗することなく河川水の橋軸直角方向の流れる方向に沿って回動することにより、高欄30Aの高さが当初のt1からt2へ低くなることによってその片持ち構造が緩和される。
【0059】
高欄30Aは、回動部39を介して、橋軸直角方向の左右どちらの方向からの河川水の流れ方向に対しても当該流れ方向に沿って波圧により回動するようになっており、従って、図1、2に示す高欄30のようにアクチュエータを備えていない(アクチュエータは不要である)。
【0060】
回動部39は、高欄30Aに所定の波圧が作用した際に回動する抵抗力(例えば、静止摩擦力)を備えており、この抵抗力以上の波圧が作用しない実線で示す常時においては、高欄30Aの立設姿勢が保持される。一方、非常時において抵抗力以上の波圧が高欄30Aに作用した際に回動部39が回動し、一点鎖線で示すように高欄30AがX2方向(もしくはその逆方向)に折り畳まれるようになっている。
【0061】
高欄30Aでは、河川水の流れる方向に高欄30Aが折り畳まれた際に、高欄30Aが急激に折り畳まれて破損することを抑制するべく、高欄30Aのリンク31の脚元部31aの橋軸直角方向の左右位置に、ショックアブソーバー等(図示せず)が設けられているのが好ましい。
【0062】
[第3実施形態に係る橋梁]
次に、図4を参照して、第3実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図4は、第3実施形態に係る橋梁の一例の側面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
【0063】
図4に示す橋梁50Bは、リンク31の上下端に回動部39が設けられており、床版10の両端部11にある高欄30Bが、橋軸方向へX3方向に回動することにより、両端部11にある双方の高欄30Bが橋軸方向に折り畳まれるようになっている形態である。
【0064】
一部の回動部39にモータ40が装備されており、モータ40の駆動によって高欄30Bが実線で示す常時の状態から、X3方向に回動して一点鎖線で示すように折り畳まれることによって、高欄30Bの高さが当初のt1からt3へ低くなり、その片持ち構造が緩和される。
【0065】
図示を省略するが、高さが低くなるように変位した状態の高欄30Bにおける橋軸直角方向の外側もしくは両側には、高欄30Bを河川水から目隠しする防護材が立設しているのが好ましい。図1、2に示す高欄30と異なり、高欄30Bは橋軸方向に折り畳まれることから(床版10の中央側へ張り出さないことから)、高欄30Bの両側に防護材を配設することが可能になる。尚、高欄30Bの橋軸直角方向の外側に防護材を設け、高欄30Bの内側にある床版10の通行面を防護材と同程度の高さに嵩上げしてもよく、この形態では、橋軸方向に折り畳まれた高欄30Bが左右の防護材と床版により包囲されることになる。
【0066】
橋梁50Bでは、折り畳まれた高欄30Bが床版10の中央側へ張り出さないことから、床版10の中央の通行領域を確保することができ、非常時において原則的には橋梁50Bの使用を停止しながらも、例えば緊急車両等の通行が可能になる。尚、以下で説明する第4実施形態、第5実施形態に係る橋梁等、高欄が床版の中央側へ張り出すことなく変位する形態では、橋梁50Bと同様に緊急車両等の通行が可能になる。
【0067】
[第4実施形態に係る橋梁]
次に、図5を参照して、第4実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図5は、第4実施形態に係る橋梁の一例の側面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
【0068】
図5に示す橋梁50Cは、高欄30Cが、四本のリンク33aにより形成されるパンタグラフ33を複数備え、パンタグラフ33が橋軸方向に折り畳まれることにより、高欄30Cを形成する手摺り32が鉛直下方へ降下する形態である。
【0069】
パンタグラフ33は、床版10側にある下方の回動軸33bと手摺り32側にある上方の回動軸33cに対して、一対のリンク33aからなる上部リンク機構と下部リンク機構が回動自在に取り付けられ、上部リンク機構と下部リンク機構が別途の左右の回動軸33dに回動自在に取り付けられ、これら左右の回動軸33dに対してスクリューロッド33eが取り付けられており、スクリューロッド33eが回動操作されることにより、上部リンク機構と下部リンク機構が拡縮し得るように構成されている。
【0070】
スクリューロッド33eの一端にはモータ40が装備されており、モータ40の駆動によって上部リンク機構と下部リンク機構が側方へX4方向に広がり、実線で示す常時の状態から一点鎖線で示すように折り畳まれることにより、高欄30Cの高さが当初のt1からt4へX5方向に低くなり、その片持ち構造が緩和される。
【0071】
[第5実施形態に係る橋梁]
次に、図6を参照して、第5実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図6は、第5実施形態に係る橋梁の一例の側面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
【0072】
図6に示す橋梁50Dは、高欄30Dが、二本のリンク34aが回動軸34bを中心にX状に組み付けられた複数のX状体34を備え、X状体34が橋軸方向に折り畳まれることにより、高欄30Dを形成する手摺り32が鉛直下方へ降下する形態である。
【0073】
各リンク34aはその両端に車輪34cを備えている。また、床版10には、各リンク34aの一端にある車輪34cを橋軸方向へ移動自在に収容する案内レール34dが設けられており、同様に、手摺り32にも、各リンク34aの他端にある車輪34cを橋軸方向へ移動自在に収容する案内レール34eが設けられている。
【0074】
高欄30Dは、シリンダ40aとロッド40bとにより形成される油圧シリンダ40Aをアクチュエータとして備え、シリンダ40aが床版10に固定され、ロッド40bの一端が手摺り32に固定されている。
【0075】
実線で示す常時においては、ロッド40bが張り出した状態となっており、非常時に油圧シリンダ40Aを駆動してロッド40bの一部がシリンダ40aに収容されると、各リンク34aの端部の車輪34cは案内レール34d、34eの内部で橋軸方向へX6方向に移動し、X状体34が一点鎖線で示すように折り畳まれることになる。この折り畳みにより、高欄30Dの高さが当初のt1からt5へX7方向に低くなり、その片持ち構造が緩和される。尚、適用されるアクチュエータは、図示例の油圧シリンダの他にも、エアシリンダや電動シリンダ等の他種のシリンダ機構、ボールネジ(機構)等であってもよい。
【0076】
[第6実施形態に係る橋梁]
次に、図7を参照して、第6実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図7は、第6実施形態に係る橋梁の一例の正面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
【0077】
図7に示す橋梁50Eは、高欄30Eが下方へ降下するように構成されており、高欄30Eの降下により、手摺り32が床版10に当接もしくは近接するようになっている。
【0078】
床版10の両端部11にはストッパー溝14が設けられており、さらに、手摺り30Eの備えるリンク31に対応する位置には落とし込み孔16が設けられている。そして、ストッパー溝14には側方に伸びるストッパー孔14aが開設され、床版10の防護材15側には、落とし込み孔16を介してストッパー孔14aと連通する別途のストッパー孔15aが開設されている。
【0079】
高欄30Eのリンク31の脚元部31aにもストッパー孔31bが設けられており、実線で示す常時においては、各ストッパー孔14a,31b,15aが連通して連通孔を形成し、ストッパー溝14からストッパー35が連通孔に挿通されることにより、リンク31が床版10に固定され、高さt1の高欄30Eが形成される。
【0080】
非常時にはストッパー35が連通孔から抜き取られることにより、各リンク31が対応する落とし込み孔16を介して下方へX8方向に落とし込まれ、リンク31が落とし込まれることにより手摺り32が一点鎖線で示すように床版10に当接して防護材15にて目隠しされ、高欄30Eの片持ち構造が解消される。
【0081】
[第7実施形態に係る橋梁]
次に、図8を参照して、第7実施形態に係る橋梁の一例について説明する。ここで、図8は、第7実施形態に係る橋梁の一例の正面図であって、常時と非常時の高欄の状態を示す図である。
【0082】
図8に示す橋梁50Fは、高欄30Fが下方へ短縮するように構成されており、高欄30Fの短縮により、手摺り32が床版10に当接もしくは近接するようになっている。
【0083】
高欄30Fを形成する各リンク36は、外管36bと、外管36bの内部を昇降する内管36aによって形成される二重管により構成されている。尚、リンクは、二重管以外の多重管(三重管等)であってもよい。
【0084】
外管36bにはストッパー孔が設けられており、実線で示す常時においては、ストッパー孔にストッパー37が嵌め込まれ、ストッパー37により内管36aが固定されることによって高さt1の高欄30Fが形成される。
【0085】
非常時にストッパー37が抜き取られると、外管36bの内部に内管36aがX9方向へ落とし込まれることによってリンク36が短縮し、一点鎖線で示すように手摺り32が外管36bの上端に当接して高さがt6に低くなり、高欄30Fの片持ち構造が緩和される。尚、図示を省略するが、図示例の構成以外にも、リンクが油圧シリンダやエアシリンダ等のアクチュエータにより形成され、構成部材であるロッドがシリンダへ収容されることによりリンクが短縮する形態であってもよい。
【0086】
[実施形態に係る橋梁の高欄姿勢変更システム]
次に、図9及び図10を参照して、実施形態に係る橋梁の高欄姿勢変更システムの一例について説明する。ここで、図9は、実施形態に係る高欄姿勢変更システムの一例の全体構成を示すとともに、高欄を姿勢変更するアクチュエータとユーザ端末の機能構成の一例を示す図であり、図10は、ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。尚、高欄姿勢変更システムを構成する橋梁として図1,2に示す橋梁50を取り上げ、以下説明する。
【0087】
図9に示すように、高欄姿勢変更システム100は、橋梁50と、橋梁50の備える高欄30の姿勢変更を管理する管理者等の備えるユーザ端末60とを有する。高欄30の姿勢変更を実行するアクチュエータ40とユーザ端末60がネットワーク70を介して接続されることにより、高欄姿勢変更システム100が形成される。ユーザ端末60としては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やタブレット、スマートフォン等が挙げられる。
【0088】
ネットワーク70には、インターネット等の公衆ネットワーク、携帯電話網等の無線ネットワーク、VPN(Virtual Private Network)等の専用ネットワーク、LAN(Local Area Network)等が含まれる。
【0089】
図10に示すように、ユーザ端末60は、接続バス66により相互に接続されているCPU61、主記憶装置62、補助記憶装置63、通信IF(interface)64、及び入出力IF65を備えている。主記憶装置62と補助記憶装置63は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。尚、上記の構成要素はそれぞれ個別に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。
【0090】
CPU61は、MPU(Microprocessor)やプロセッサとも呼ばれ、CPU61は、単一のプロセッサであってもよいし、マルチプロセッサであってもよい。CPU61は、コンピュータからなるユーザ端末60の全体の制御を行う中央演算処理装置である。CPU61は、例えば、補助記憶装置63に記憶されたプログラムを主記憶装置62の作業領域にて実行可能に展開し、プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことにより、所定の目的に合致した機能を提供する。
【0091】
主記憶装置62は、CPU61が実行するコンピュータプログラムや、CPU61が処理するデータ等を記憶する。主記憶装置61は、例えば、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置63は、各種のプログラム及び各種のデータを読み書き自在に記録媒体に格納し、外部記憶装置とも呼ばれる。補助記憶装置63には、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。OSは、例えば、通信IF64を介して接続される外部装置等とのデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。外部装置等には、例えば、ネットワークに接続するアクチュエータ40等が含まれる。
【0092】
補助記憶装置63は、例えば、主記憶装置62を補助する記憶領域として使用され、CPU61が実行するコンピュータプログラムや、CPU61が処理するデータ等を記憶する。補助記憶装置63は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)装置、ソリッドステートドライブ装置等である。また、補助記憶装置63として、CDドライブ装置、DVDドライブ装置、BDドライブ装置といった着脱可能な記録媒体の駆動装置が例示され、着脱可能な記録媒体として、CD、DVD、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等が例示される。
【0093】
通信IF64は、ユーザ端末60が接続するネットワーク70とのインターフェイスである。通信IF64は、ネットワーク70を介して、高欄30を構成する各アクチュエータ40に対して駆動信号や駆動停止信号を送信する。
【0094】
入出力IF65は、ユーザ端末60に接続する機器との間でデータの入出力を行うインターフェイスである。入出力IF65には、例えば、キーボード、タッチパネルやマウス等のポインティングデバイス、マイクロフォン等の入力デバイス等が接続する。ユーザ端末60は、入出力IF65を介し、入力デバイスを操作する操作者からの操作指示等を受け付ける。また、入出力IF65には、例えば、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display)や有機ELパネル(EL:Electroluminescence)等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスが接続される。
【0095】
図9に示すように、ユーザ端末60は、CPU61によるプログラムの実行により、少なくとも、第二通信部67、駆動制御部68,及び情報取得部69の各種機能を提供する。
【0096】
一方、アクチュエータ40は、第一通信部41とアクチュエータ駆動部42とを有する。
【0097】
ユーザ端末60の駆動制御部68による指令信号は、第2通信部67を介して各圧力計0の第一通信部41に送信され、アクチュエータ駆動部42により、アクチュエータ40によるリンク31の回動制御が実行され、高欄30の自動変位制御が行われる。
【0098】
また、ユーザ端末60の情報取得部69により、橋梁50が跨ぐ河川の水位モニタリング情報もしくは津波情報が随時取得されるようになっている。この情報取得部69により、河川の水位が危険水位になる前や津波が襲来する前に、アラームが発せられて管理者に注意を促すことで、非常時において高欄30の高さを低くする姿勢変更を確実に実行することが可能になる。
【0099】
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0100】
10:床版
11:両端部(端部)
12:中央部
14:ストッパー溝
14a:ストッパー孔
15:防護材
15a:ストッパー孔
16:落とし込み孔
20:橋桁
21:主桁
22:横桁
30,30A,30B,30C,30D,30E,30F:高欄
31:リンク
31a:脚元部
31b:ストッパー孔
32:手摺り
33:パンタグラフ
33a:リンク
33b、33c、33d:回動軸
33e:スクリューロッド
34:X状体
34a:リンク
34b:回動軸
34c:車輪
34d、34e:案内レール
35:ストッパー
36:二重管(リンク)
36a:内管
36b:外管
37:ストッパー
39:回動部
40:アクチュエータ(モータ)
40A:アクチュエータ(油圧シリンダ)
40a:シリンダ
40b:ロッド
41:第一通信部
42:アクチュエータ駆動部
50,50A,50B,50C,50D,50E,50F:橋梁
60:ユーザ端末
67:第二通信部
68:駆動制御部
69:情報取得部
70:ネットワーク
100:高欄姿勢変更システム
P:波圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10