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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124772
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/22 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
H02K9/22 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022604
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾花 功一
(72)【発明者】
【氏名】深町 勝嗣
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB12
5H609PP01
5H609PP05
5H609PP17
5H609QQ23
5H609RR61
(57)【要約】
【課題】省スペース化を実現しつつ、電動モータ10の昇温を抑制する。
【解決手段】アクチュエータ100は、電動モータ10と、電動モータ10の回転力を出力する出力部30と、電動モータ10の回転力を出力部30へ伝える輪列を含む伝達機構21と、伝達機構21を収容する収容部221と、電動モータ10の回転軸が延びる方向に沿うように収容部221から突出する排熱部222と、を少なくとも含むハウジング22と、電動モータ10で生じた熱を排熱部222に伝える伝熱経路を構成する伝熱部材40と、を有する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータの回転力を出力する出力部と、
前記電動モータの回転力を前記出力部へ伝える輪列を含む伝達機構と、
前記伝達機構を収容する収容部と、前記電動モータの回転軸が延びる方向に沿うように前記収容部から突出する排熱部と、を少なくとも含むハウジングと、
前記電動モータで生じた熱を前記排熱部に伝える伝熱経路を構成する伝熱部材と、
を有するアクチュエータ。
【請求項2】
前記排熱部は、前記電動モータの側面に沿う板状である、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記電動モータの側面のうち前記排熱部に対向する領域は、前記排熱部に対向していない領域よりも大きい、
請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記排熱部は、前記電動モータの側面を囲む筒状である、
請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記電動モータのうち前記排熱部に囲まれている領域は、前記排熱部に囲まれていない領域よりも大きい、
請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記伝熱部材は、前記電動モータと前記排熱部の双方に接触して設けられている、
請求項1~5のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記排熱部と前記電動モータの側面との間には隙間が形成されており、
前記伝熱部材は、前記隙間に設けられている、
請求項1~6のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記排熱部と前記電動モータの側面との間には隙間が形成されており、
前記伝熱部材は、前記隙間の少なくとも一部を覆うように前記排熱部と前記電動モータとを跨って設けられている、
請求項1~7のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記伝熱部材はシート状である、
請求項8に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記伝熱部材は、前記排熱部及び前記収容部に接触して設けられている、
請求項9に記載のアクチュエータ。
【請求項11】
前記伝達機構は、前記電動モータの回転を減速させて前記出力部に伝える機構である、
請求項1~10のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項12】
前記排熱部には、前記ハウジングの位置決めをする第1の位置決め部及び第2の位置決め部の少なくとも一方が設けられており、
前記第1の位置決め部と前記第2の位置決め部とは、前記電動モータの回転軸が延びる方向において互いに離間して設けられている、
請求項1~11のいずれか1項に記載のアクチュエータ。
【請求項13】
前記第1の位置決め部及び第2の位置決め部のいずれか一方は前記排熱部に設けられており、いずれか他方は前記収容部に設けられている、
請求項12に記載のアクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電動モータと減速機を備えるアクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-119566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、電動モータはその駆動に伴い熱を生じるため、電動モータが過度に昇温しないように熱を逃がす必要がある。特許文献1には、ヒートシンクを電動モータの近傍に設けることにより、電動モータの昇温を抑制する構成が採用されている。また、一般的に、電動の放熱ファン等を用いて放熱する構成が採用される場合がある。しかしながら、そのような構成においては、省スペース化の観点から問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案するアクチュエータは、電動モータと、前記電動モータの回転力を出力する出力部と、前記電動モータの回転力を前記出力部へ伝える輪列を含む伝達機構と、前記伝達機構を収容する収容部と、前記電動モータの回転軸が延びる方向に沿うように前記収容部から突出する排熱部と、を少なくとも含むハウジングと、前記電動モータで生じた熱を前記排熱部に伝える伝熱経路を構成する伝熱部材と、を有する。このアクチュエータによると、省スペース化を実現しつつ、電動モータの昇温を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。
図2】第1の実施形態に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。
図3】第1の実施形態に係るアクチュエータを前方から見た正面図である。
図4】第1の実施形態に係るアクチュエータを下方から見た下面図である。
図5】第1の実施形態の変形例に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。
図6】第1の実施形態の変形例に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。
図7】第2の実施形態に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。
図8】第2の実施形態に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。
図9】第2の実施形態に係るアクチュエータを前方から見た正面図である。
図10】第3の実施形態に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。
図11】第3の実施形態に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明において、各図の矢印X1が示す方向を右方とし、矢印X2が示す方向を左方とし、矢印Y1が示す方向を前方とし、矢印Y2が示す方向を後方とし、矢印Z1が示す方向を上方とし、矢印Z2が示す方向を下方とする。なお、第1の実施形態を示す各図においては、電動モータ10の回転軸ax1が前後方向に延びており、出力部30がアクチュエータ100の前部に位置する例を示している。ただし、アクチュエータ100が使用される際の姿勢はこれら図示するものに限られるものではない。すなわち、電動モータ10の回転軸ax1が左右方向に延びていてもよいし、上下方向に延びていてもよい。他の実施形態や変形例においても同様である。
【0008】
[第1の実施形態]
図1図4を参照して、第1の実施形態に係るアクチュエータ100について説明する。図1は、第1の実施形態に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。図2は、第1の実施形態に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。図3は、第1の実施形態に係るアクチュエータを前方から見た正面図である。図4は、第1の実施形態に係るアクチュエータを下方から見た下面図である。
【0009】
アクチュエータ100は、電動モータ10と、減速機20と、出力部30とを有している。
【0010】
電動モータ10は、その外装を構成する外装ケース11に少なくともコイル、ロータ、ステータ、及びシャフトを収容して成り、回転軸ax1を回転中心とする回転力を発生させる装置である。なお、電動モータ10のコイル、ロータ、及びステータの構成や配置は特に限定されないため、それらの詳細な説明は省略する。図1図2においては、電動モータ10を外部から見た様子、すなわち、電動モータ10の外装ケース11のみを示すこととし、その内部構成の図示については省略している。
【0011】
図1図2においては、上側面10T、下側面10B、左側面10L、右側面10Rを側面とする略立方体形状の外装ケース11を備える電動モータ10を示している。
【0012】
出力部30は、電動モータ10の回転力を、アクチュエータ100の外部に出力する。出力部30は、回転軸ax2を回転中心として回転する軸部を含むとよい。第1の実施形態においては、出力部30が、電動モータ10の回転軸ax1と同軸上にある回転軸ax2を回転中心として、電動モータ10の回転力を出力する例を示す。出力部30は、減速機20と別部材であってもよいし、減速機20の一部を構成するものであってもよい。
【0013】
減速機20は、電動モータ10の回転力を減速して出力部30へ伝える伝達機構21と、伝達機構21を収容するハウジング22とを含む。伝達機構21は、複数の歯車等からなる輪列を含んで構成されるものである。なお、図1においては、伝達機構21の具体的な構成の図示については省略し、伝達機構21が配置される領域を破線で示している。ハウジング22は、伝達機構21を収容する収容部221を含む。図1においては、収容部221が、電動モータ10の前方に設けられており、収容部221の後面が電動モータ10の回転軸ax1が延びる方向に対して直交するように設けられる例を示している。
【0014】
ここで、電動モータ10は、その駆動に伴い熱を生じる。そこで、第1の実施形態においては、伝熱部材40を用いて、電動モータ10で生じた熱を、ハウジング22へ逃がすことにより、電動モータ10の昇温を抑制する構成を採用した。
【0015】
具体的には、ハウジング22に、電動モータ10の回転軸ax1が延びる方向に沿うように収容部221から突出する排熱部222を形成した。排熱部222は、電動モータ10の側面に沿う板状である。図1図4においては、排熱部222が、電動モータ10の下側面10Bの下方に設けられており、下側面10Bに沿うように延びている例を示している。なお、第1の実施形態においては、排熱部222は、伝達機構21の輪列等の部品を収容しない部分である。
【0016】
また、排熱部222と電動モータ10の下側面10Bとの間に隙間Gを形成した。そして、隙間Gに伝熱部材40を設けた。伝熱部材40は、電動モータ10の下側面10Bと、ハウジング22の排熱部222との双方に接触して設けられている。
【0017】
伝熱部材40は、電動モータ10及び減速機20と別部材である。伝熱部材40は、電動モータ10で生じた熱を排熱部222に伝える熱伝導性の高い部材であり、例えば、伝熱シリコンから成るとよい。ただし、これは一例であり、伝熱部材40は、熱伝導性の高い他の合成樹脂等からなるものであってもよい。伝熱部材40の熱伝導率は、例えば、4[W/(m・K)]以上であるとよい。
【0018】
また、減速機20のハウジング22は、アルミニウム等、熱伝導性の高い金属から成るとよい。なお、ハウジング22のうち少なくとも排熱部222が、アルミニウム等、熱伝導性の高い金属から成るとよい。排熱部222の熱伝導率は、例えば、100[W/(m・K)]以上であるとよい。
【0019】
第1の実施形態のアクチュエータ100においては、電動モータ10で生じた熱は、伝熱部材40を通じて、ハウジング22の排熱部222へ伝わり、排熱部222において空気中に放射されることとなる。その結果、電動モータ10の昇温が抑制される。なお、図1図2においては、電動モータ10で生じた熱の伝熱経路を矢印で示している。
【0020】
第1の実施形態のアクチュエータ100においては、電動の放熱ファン等を別途設けることなく電動モータ10の昇温を抑制できる。すなわち、排熱のための電力が不要である。また、放熱ファンを駆動することによる騒音が生じることもないため、静音性が求められる箇所においてもアクチュエータ100を適用することができる。また、放熱ファン等を用いることなく簡易な構成で電動モータ10の昇温を抑制でき、その結果製造コストを抑制することもできる。また、電動モータ10の近傍に配置される減速機20の一部に熱を伝える構成を採用することより、省スペース化を実現できる。
【0021】
電動モータ10及びハウジング22に対する伝熱部材40の接触面積が大きいほど、排熱効果が高くなる。電動モータ10は、回転軸ax1が延びる方向が長手方向である形状である。そのため、電動モータ10は、その側面のうち、回転軸ax1が延びる方向に沿う面の面積が比較的大きい。第1の実施形態においては、電動モータ10の表面のうち比較的面積の大きい面である下側面10Bに、伝熱部材40を接触させる構成を採用するため、高い排熱効果を得ることができる。
【0022】
また、電動モータ10の表面のうち比較的面積の大きい下側面10Bに沿うように排熱部222を形成することより、排熱部222の体積を大きくとることができる。そのため、排熱部222の熱容量を大きくでき、排熱部222において高い排熱効果を得られる。なお、第1の実施形態においては、電動モータ10の下側面10Bの全領域が排熱部222に対向している例を示すが、これに限られるものではない。電動モータ10のうち排熱部222に対向している領域は、少なくとも排熱部222に対向していない領域よりも大きいとよい。
【0023】
また、第1の実施形態においては、電動モータ10の近傍に配置される減速機20のハウジング22の一部を排熱部222としたことより、伝熱部材40の厚みを抑制しつつ、伝熱経路を形成することができる。具体的には、電動モータ10の下側面10Bに沿うように排熱部222を形成したことにより、電動モータ10の下側面10Bと排熱部222との間の隙間Gを埋める厚みの伝熱部材40を設けることで、伝熱経路を形成することができる。それにより、伝熱部材40の材料の量を抑制しつつ、高い排熱効果を得ることができる。
【0024】
また、伝熱部材40は、電動モータ10のうち昇温しやすい部分に接触して設けられることが好ましい。電動モータ10は、特にコイルが昇温しやすい。コイルは、電動モータ10の回転軸ax1の径方向の外側であって、周方向に並んで配置されている。そのため、電動モータ10は、回転軸ax1の径方向の外側に位置する側面において特に昇温しやすい。第1の実施形態においては、昇温しやすい電動モータ10の下側面10Bに伝熱部材40を接触させる構成を採用するため、電動モータ10で生じた熱をより効率よく排熱することができる。
【0025】
また、ハウジング22には、アクチュエータ100の外部の他の部材に対するハウジング22の位置決めをする位置決め部が設けられているとよい。他の部材は、例えば、アクチュエータ100が収容される装置のハウジングや、アクチュエータ100の近傍に設けられる各種機器等であるとよい。第1の実施形態においては、収容部221の下側面に第1の位置決め部221aが設けられており、排熱部222の下側面に第1の位置決め部222aが設けられる例を示している。第1の位置決め部221aと第2の位置決め部222aは、電動モータ10の回転軸ax1の延びる方向に離間して配置されている。排熱部222は、上述のように、第1の実施形態においては、電動モータ10の回転軸ax1が延びる方向を長手方向とする形状であることより、第1の位置決め部221aと第2の位置決め部222aとの間の距離を長くとることができる。そのため、他の部材に対するハウジング22の位置決め精度を良くすることができる。ただし、これに限られず、2つの位置決め部は共に排熱部222の下面に設けられていてもよい。
【0026】
第1の位置決め部221a及び第2の位置決め部222aは、ハウジング22の下側面から突出するピンであるとよい。ただし、これに限られず、第1の位置決め部221a及び第2の位置決め部222aは、ピンが嵌る穴等であってもよい。また、位置決め部の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。
【0027】
[第1の実施形態の変形例]
図5図6を参照して、第1の実施形態の変形例について説明する。図5は、第1の実施形態の変形例に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。図6は、第1の実施形態の変形例に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。なお、第1の実施形態に係るアクチュエータ101は、伝熱部材の構成を除き、他の構成については図1図4で説明したアクチュエータ100と同様である。また、図5においては、図1図2と同様に、電動モータ10で生じた熱の伝熱経路を矢印で示している。
【0028】
図1図4においては、伝熱部材40である伝熱シリコンを電動モータ10とハウジング22の排熱部222との隙間Gに設ける例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、図5図6に示すように、伝熱部材である伝熱シート140が、電動モータ10の側面とハウジング22の排熱部222を跨って貼り付けられる構成を採用してもよい。なお、伝熱シート140は、熱伝導性の高い材料からなるとよく、例えば、グラファイトシートであるとよい。
【0029】
また、例えば、伝熱シート140は可撓性を有するとよい。それにより、電動モータ10とハウジング22の形状や配置に関わらず、伝熱シート140を貼り付けることができる。図6においては、電動モータ10の左側面10Lと排熱部222の左側面とが面一ではない構成を示すが、このような構成においても、伝熱シート140がその形状を変えることで、電動モータ10及びハウジング22の双方に接触することができる。
【0030】
図5図6に示すように、第1の実施形態の変形例のアクチュエータ101においては、伝熱シート140が電動モータ10の左側面10L及び排熱部222の左側面に貼り付けられている。同様に、伝熱シート140が電動モータ10の右側面10R及び排熱部222の右側面に貼り付けられている。このような構成を採用することより、電動モータ10で生じた熱は、伝熱シート140を通じて排熱部222へ伝わる。それにより、電動モータ10の昇温を抑制できる。
【0031】
また、伝熱シート140は、排熱部222の側面のみでなく、収容部221の側面にも接触するように貼り付けられているとよい。これにより、電動モータ10で生じた熱は、排熱部222のみでなく収容部221へも直接伝わることとなる。その結果、電動モータ10の昇温をより効率的に抑制することができる。
【0032】
なお、第1の実施形態と同様に、電動モータ10の下側面10Bと、排熱部222との間には隙間Gが形成されているとよい。これにより、電動モータ10とハウジング22との間の通気性が良くなり、電動モータ10で生じた熱が空気中へ放射されやすくなる。また、伝熱シート140は、隙間Gの少なくとも一部を覆うように、電動モータ10と排熱部222とを跨って設けられているとよい。
【0033】
なお、第1の実施形態の変形例においては、電動モータ10の下側面10Bと、排熱部222を接触させてもよいが、電動モータ10の外装ケース11と排熱部222は共に剛体であることより、面接触させるのが困難である。そのため、図5図6に示すように、通気性を向上するため隙間Gを形成すると共に、伝熱シート140を通じて電動モータ10で生じた熱を排熱部222へ伝える構成を採用することにより、より効率よく電動モータ10の昇温を抑制することができる。
【0034】
なお、第1の実施形態の構成と、その変形例の構成は組み合わせてもよい。すなわち、図1図4に示した隙間Gに設けられる伝熱部材40を有するアクチュエータ100において、伝熱部材である伝熱シート140をさらに設けてもよい。
【0035】
[第2の実施形態]
次に、図7図9を参照して、第2の実施形態に係るアクチュエータ200について説明する。図7は、第2の実施形態に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。図8は、第2の実施形態に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。図9は、第2の実施形態に係るアクチュエータを前方から見た正面図である。なお、第1の実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を用い、その詳細な説明については省略する。また、図7図8においては、図1図2と同様に、電動モータ10で生じた熱の伝熱経路を矢印で示している。また、図7においては、排熱部222の内周面と、排熱部222に囲まれる電動モータ10の外形を破線にて示している。
【0036】
第2の実施形態において、減速機220のハウジング2200は、伝達機構21を収容する収容部2201と、回転軸ax1が延びる方向に沿うように収容部2201から突出する排熱部2202とを含む。
【0037】
排熱部2202は、電動モータ10の側面を囲う筒状である。すなわち、排熱部2202は、電動モータ10の上側面10T、下側面10B、右側面10R、左側面10Lを囲うように設けられている。また、排熱部2202と、電動モータ10の各側面との間には隙間Gが形成されている。
【0038】
また、第2の実施形態においては、伝熱部材240が、電動モータ10の側面を囲うと共に、電動モータ10の側面と排熱部2202の双方に接触するように設けられている。
【0039】
より具体的には、伝熱部材240は、電動モータ10の上側面10T、下側面10B、右側面10R、左側面10Lのそれぞれに接触するように設けられる筒状である。また、伝熱部材240は、排熱部2202の内周面に接触するように設けられている。これにより、電動モータ10で生じた熱は、伝熱部材240を通じて排熱部2202へ伝わる。ただし、伝熱部材240は筒状に限らず、例えば、電動モータ10の上側面10T、下側面10B、右側面10R、左側面10Lに接触する伝熱部材が互いに離間して複数設けられていてもよい。
【0040】
なお、伝熱部材240は、第1の実施形態で説明した伝熱部材40と同様の材料からなるとよい。すなわち、伝熱部材240は、伝熱シリコン等、熱伝導性の高い合成樹脂等からなるとよい。
【0041】
第2の実施形態においては、伝熱部材240が電動モータ10を囲う筒状であることより、電動モータ10及び排熱部2202に対する伝熱部材240の接触面積が第1の実施形態と比較して大きい。そのため、電動モータ10で生じた熱をより効率的に排熱部2202に伝えることができる。その結果、電動モータ10の昇温をより効率的に抑制することができる。なお、図7においては、電動モータ10の後部が排熱部2202から露出する例を示しているが、電動モータ10が排熱部2202から露出する量が少ない方が、より排熱効果を高めることができる。言い換えると、電動モータ10のうち排熱部2202に囲まれている領域が大きいほど排熱効果を高めることができる。具体的には、例えば、電動モータ10のうち排熱部2202に囲まれている領域が、排熱部2202に囲まれていない領域よりも大きいとよい。
【0042】
[第3の実施形態]
次に、図10図11を参照して、第3の実施形態に係るアクチュエータ300について説明する。図10は、第3の実施形態に係るアクチュエータを左方から見た左面図である。図11は、第3の実施形態に係るアクチュエータを後方から見た背面図である。なお、第1の実施形態で説明した構成と同様の構成については同じ符号を用い、その詳細な説明については省略する。
【0043】
第3の実施形態においては、電動モータ10の回転軸ax1と、出力部30の回転軸ax2とが同一直線に無く、互いに平行に配置されている例について説明する。また、第3の実施形態においては、出力部30がアクチュエータ300の後部に設けられている例について説明する。
【0044】
第3の実施形態に係るアクチュエータ300は、電動モータ10と、減速機320とを有している。減速機320は、輪列等を含む伝達機構321と、ハウジング322とを含む。なお、図10に示す破線は、伝達機構321が配置される領域を示している。
【0045】
ハウジング322は、収容部3221と、収容部3221の上部から後方に延びる排熱部3222とを含む。ハウジング322においては、図10に示すように、収容部3221及び排熱部3222に伝達機構321が収容されている。すなわち、伝達機構321が、収容部3221のみに収容されるのではなく、収容部3221と排熱部3222とに跨って収容されている。このような構成により、電動モータ10の回転力は、伝達機構321を通じて出力部30へ伝わる。
【0046】
電動モータ10の上側面10Tと、排熱部3222の下側面との間には隙間Gが形成されている。隙間Gには、伝熱部材340が設けられている。伝熱部材340は、電動モータ10の上側面10Tと、排熱部3222の下側面との双方に接触するように設けられている。
【0047】
なお、伝熱部材340は、第1の実施形態で説明した伝熱部材40と同様の材料からなるとよい。すなわち、伝熱部材340は、伝熱シリコン等、熱伝導性の高い合成樹脂等からなるとよい。
【0048】
第3の実施形態のアクチュエータ300においては、第1の実施形態と同様に、電動モータ10で生じた熱は、伝熱部材340を通じて、ハウジング322の排熱部3222へ伝わる。そのため、電動モータ10の昇温が抑制される。
【0049】
なお、上記各実施形態及び変形例においては、電動モータ10の回転力を減速して出力部30へ伝える伝達機構21を含む減速機20を例に挙げて説明したが、これに限られない。例えば、電動モータ10の回転力を変速して出力部30へ伝える伝達機構を含む変速機を用いてもよい。この場合、変速機のハウジングの一部が排熱部であるとよい。
【符号の説明】
【0050】
10 電動モータ、10T 上側面、10B 下側面、10R 右側面、10L 左側面、11 外装ケース、20,220,320 減速機、21,321 伝達機構、22,220,322 ハウジング、221,2201,3221 収容部、222,2202,3222 排熱部、222a 位置決め部、30 出力部、40,240,340 伝熱部材、100,101,200,300 アクチュエータ、G 隙間、ax1 回転軸、ax2 回転軸。

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