(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124833
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 37/00 20060101AFI20220819BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H01L37/00
H02N11/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022702
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】516230102
【氏名又は名称】株式会社GCEインスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】岡田 誠司
(57)【要約】
【課題】発電効率の低下を抑制することができる発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1主面12afを有する第1電極部12aと、前記第1電極部12aとは異なる仕事関数を有し、第2主面12bfを有する第2電極部12bと、前記第1主面12afと前記第2主面12bfとの間に設けられ、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部14と、前記第1主面12af、及び前記第2主面12bfの少なくとも何れかに接して設けられ、前記第1電極部12a及び前記第2電極部12bとは異なる材料を含む接触防止層15と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子であって、
第1主面を有する第1電極部と、
前記第1電極部とは異なる仕事関数を有し、第2主面を有する第2電極部と、
前記第1主面と前記第2主面との間に設けられ、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部と、
前記第1主面、及び前記第2主面の少なくとも何れかに接して設けられ、前記第1電極部及び前記第2電極部とは異なる材料を含む接触防止層と、
を備えること
を特徴とする発電素子。
【請求項2】
前記接触防止層は、高分子化合物を含むこと
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項3】
前記接触防止層は、ポリマーブラシからなること
を特徴とする請求項1又は2記載の発電素子。
【請求項4】
前記接触防止層の表面は、前記ナノ粒子の表面と同極に帯電すること
を特徴とする請求項1~3のうち何れか1記載の発電素子。
【請求項5】
前記接触防止層は、前記第1電極部及び前記第2電極部よりも前記ナノ粒子を分散させた溶媒に対して高い濡れ性を有すること
を特徴とする請求項4記載の発電素子。
【請求項6】
前記接触防止層は、前記第1電極部及び前記第2電極部よりも低い導電率を有すること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項7】
前記接触防止層は、前記第1電極部及び前記第2電極部よりも低い熱伝導率を有すること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項8】
前記接触防止層が設けられた前記第1主面及び前記第2主面の少なくとも何れかは、前記溶媒と離間すること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項9】
前記接触防止層は、0.1nm~500nmの厚みを有すること
を特徴とする請求項1記載の発電素子。
【請求項10】
請求項1記載の発電素子と、
前記第1電極部と電気的に接続された第1配線と、
前記第2電極部と電気的に接続された第2配線と、
を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項11】
請求項1記載の発電素子と、
前記発電素子を電源に用いて駆動させることが可能な電子部品と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、
第1主面を有する第1電極部を形成する第1電極部形成工程と、
前記第1電極部とは異なる仕事関数を有し、第2主面を有する第2電極部を形成する第2電極形成工程と、
前記第1主面、及び前記第2主面の少なくとも何れかに接して設けられ、前記第1電極部及び前記第2電極部とは異なる材料を含む接触防止層を形成する接触防止層形成工程と、
ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部を、前記第1主面と前記第2主面との間に形成する中間部形成工程と、
を有すること
を特徴とする発電素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、熱エネルギーを利用して電気エネルギーを生成する発電素子の開発が盛んに行われている。特に、電極の有する仕事関数の差分を利用した電気エネルギーの生成に関し、例えば特許文献1に開示された熱電素子等が提案されている。このような熱電素子は、電極に与える温度差を利用して電気エネルギーを生成する構成に比べて、様々な用途への利用が期待されている。
【0003】
特許文献1には、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子であって、第1主面を有する第1基板、及び第1主面上に設けられた第1電極部を有する第1筐体部と、第1主面と第1方向に対向する第2主面を有する第2基板、及び第2主面上に設けられ、第1電極部と離間し、第1電極部とは異なる仕事関数を有する第2電極部を有する第2筐体部と、第1電極部と、第2電極部との間に設けられ、第1電極部の仕事関数と、第2電極部の仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子を含む中間部と、を備え、第1主面は、第1電極部と接し、第2筐体部と離間する第1離間面と、第1離間面と連続して設けられ、第1電極部と離間し、第2筐体部と接する第1接合面と、を有し、第2主面は、第2電極部と接し、第1筐体部と離間する第2離間面と、第2離間面と連続して設けられ、第2電極部と離間し、第1筐体部と接する第2接合面と、を有し、第1方向から見て、中間部は、第1接合面及び第2接合面によって囲まれ、第1接合面は、第2接合面と接する第1基板接合面と、第2電極部と接する第1電極接合面と、を有し、第2接合面は、第1基板接合面と接する第2基板接合面と、第1電極部と接する第2電極接合面と、を有する発電素子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、発電素子における発電量は、電極間を移動する電子の量に応じて決定される。また、電極間の電子の移動は、中間部に配置された溶媒中に分散するナノ粒子を介して行われる場合がある。そのため、ナノ粒子が溶媒に分散される状態を保つことは、発電効率に影響すると考えられている。これに対し、例えばナノ粒子と電極との接触に伴い、ナノ粒子が電極に付着し、溶媒中にナノ粒子が適度に分散されない等の状況が生じる場合がある。この場合には、電子の移動が抑制され、発電効率の低下を引き起こす恐れがあった。この点、特許文献1の開示技術においても、上述した懸念点があげられる。このため、十分な発電量を確保することが求められていた。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、発電効率の低下を抑制することができる発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る発電素子は、熱源から発生する熱を利用して発電する発電素子であって、第1主面を有する第1電極部と、前記第1電極部とは異なる仕事関数を有するとともに、第2主面を有する第2電極部と、前記第1主面と前記第2主面との間に設けられ、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部と、前記第1主面と前記第2主面の少なくとも何れか一方に設けられ、前記第1電極部及び前記第2電極部とは異なる材料を含む接触防止層と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る発電素子は、第1発明において、前記接触防止層は、高分子化合物を含むことを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る発電素子は、第1発明又は第2発明において、前記接触防止層は、ポリマーブラシからなることを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る発電素子は、第1発明~第3発明の何れかにおいて、前記接触防止層の表面は、前記ナノ粒子の表面と同極に帯電することを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る発電素子は、第4発明において、前記接触防止層は、前記第1電極部及び前記第2電極部よりも前記ナノ粒子を分散させた溶媒に対して高い濡れ性を有することを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る発電素子は、第1発明~第5発明の何れかにおいて、前記接触防止層は、前記第1電極部及び前記第2電極部よりも低い導電率を有することを特徴とする。
【0013】
第7発明に係る発電素子は、第1発明~第6発明の何れかにおいて、前記接触防止層は、前記第1電極部及び前記第2電極部よりも低い熱伝導率を有することを特徴とする。
【0014】
第8発明に係る発電素子は、第1発明~第7発明の何れかにおいて、前記接触防止層が設けられた前記第1電極部及び前記第2電極部の少なくとも何れか一方は、前記溶媒と離間することを特徴とする。
【0015】
第9発明に係る発電素子は、第1発明~第8発明の何れかにおいて、前記接触防止層は、0.1nm~500nmの厚みを有することを特徴とする。
【0016】
第10発明に係る発電装置は、第1発明の発電素子と、前記一対の電極と電気的に接続された一対の配線と、を備えることを特徴とする。
【0017】
第11発明に係る電子機器は、第1発明の発電素子と、前記発電素子を電源に用いて駆動させることが可能な電子部品と、を備えることを特徴とする。
【0018】
第12発明に係る発電素子の製造方法は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子の製造方法であって、第1主面を有する第1電極部を形成する第1電極部形成工程と、前記第1電極部とは異なる仕事関数を有し、第2主面を有する第2電極部を形成する第2電極形成工程と、前記第1主面、及び前記第2主面の少なくとも何れかに接して設けられ、前記第1電極部及び前記第2電極部とは異なる材料を含む接触防止層を形成する接触防止層形成工程と、ナノ粒子を分散させた溶媒を含む中間部を、前記第1主面と前記第2主面との間に形成する中間部形成工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
第1発明~第8発明によれば、接触防止層は、第1主面、及び第2主面の少なくとも何れかに接して設けられる。このため、ナノ粒子と電極との接触が抑制され、ナノ粒子が電極に付着する可能性を低減することができ、ナノ粒子が溶媒に分散される状態を保つことができる。これにより、発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【0020】
特に第2発明によれば、接触防止層は、高分子化合物を含む。このため、接触防止層の表面を任意に設計することができる。これにより、ナノ粒子の粒径等の特徴に適した接触防止層を設けることが可能となる。
【0021】
特に第3発明によれば、接触防止層は、ポリマーブラシからなる。このため、接触防止層にナノ粒子の侵入を抑制した状態で、溶媒を浸透させ易くすることができる。このため、電極間のギャップ内において、電子享受の妨げとなる空隙の発生を抑制することができるとともに、ナノ粒子が電極に付着する可能性を低減することができる。これにより、発電効率の向上を図ることが可能となる。
【0022】
特に第4発明によれば、接触防止層の表面は、ナノ粒子の表面と同極に帯電する。このため、接触防止層と、ナノ粒子との接触を抑制することができ、ナノ粒子が接触防止層に付着することを抑制することができる。これにより、電極部へのナノ粒子の吸着を防止でき、発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【0023】
特に第5発明によれば、接触防止層は、第1電極部及び第2電極部よりもナノ粒子を分散させた溶媒に対して高い濡れ性を有する。このため、電極間のギャップ内において、電子享受の妨げとなる空隙の発生を抑制することができるとともに、ナノ粒子が電極に付着する可能性を低減することができる。これにより、発電効率の向上を図ることが可能となる。
【0024】
特に第6発明によれば、接触防止層は、第1電極部及び第2電極部よりも低い導電率を有する。この場合、ナノ粒子と電極部との間における電子の享受が、接触防止層を経由せずにトンネル効果によって優先的に行われることが期待できる。このため、電子の享受が接触防止層を経由した場合に比べて、接触防止層と電極との接触抵抗の影響が抑制される。これにより、発電時における抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0025】
特に第7発明によれば、接触防止層は、第1電極部及び第2電極部よりも低い熱伝導率を有する。このため、中間部に比べて電極に熱エネルギーを保持し易くなる。これにより、熱エネルギーにより得られる熱電子の発生効率を向上させることが可能となる。
【0026】
特に第8発明によれば、接触防止層が設けられた第1電極部及び第2電極部の少なくとも何れかは、溶媒と離間する。このため、ナノ粒子が電極に接触及び付着することを防止することができる。これにより、発電効率の低下を容易に抑制することができる。
【0027】
第9発明によれば、接触防止層は、0.1nm~500nmの厚みを有する。このため、電極間における電子の享受に与える影響を最小限に抑えることができる。これにより、発電時における抵抗の低減を図ることができる。
【0028】
第10発明によれば、発電効率の低下を抑制することができる発電装置を実現することが可能となる。
【0029】
第11発明によれば、発電効率の低下を抑制することができる電子機器を実現することが可能となる。
【0030】
第12発明によれば、接触防止層形成工程は、第1主面、及び第2主面の少なくとも何れかに接して設けられる接触防止層を形成する。このため、ナノ粒子と電極との接触が抑制され、ナノ粒子が電極に付着する可能性を低減することができ、ナノ粒子が溶媒に分散される状態を保つことができる。これにより、発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1(a)は、第1実施形態における発電素子及び発電装置の一例を示す模式断面図であり、
図1(b)は、
図1(a)のA-Aに沿った模式平面図である。
【
図2】
図2は、中間部の一例を示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(a)~
図4(f)は、第1実施形態における発電素子の製造方法の一例を示す模式断面図である。
【
図5】
図5(a)は、第1実施形態における発電素子の変形例を示す模式断面図であり、
図5(b)は、第1実施形態における発電素子の第2変形例を示す模式断面図である。
【
図6】
図6(a)~
図6(d)は、発電素子を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図であり、
図6(e)~
図6(h)は、発電素子を含む発電装置を備えた電子機器の例を示す模式ブロック図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、第1実施形態における発電素子の他の変形例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態としての発電素子、発電装置、電子機器、及び発電素子の製造方法それぞれの一例について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、発電素子の高さ方向を第1方向Zとし、第1方向Zと交差、例えば直交する1つの平面方向を第2方向Xとし、第1方向Z及び第2方向Xのそれぞれと交差、例えば直交する別の平面方向を第3方向Yとする。また、各図における構成は、説明のため模式的に記載されており、例えば各構成の大きさや、構成毎における大きさの対比等については、図とは異なってもよい。
【0033】
(第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態における発電素子1、発電装置100の一例を示す模式図であり、
図1(b)は、
図1(a)のA-Aに沿った模式平面図である。
図1(a)に示すように、発電装置100は、発電素子1と、第1配線101と、第2配線102とを備える。発電素子1は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する。このような発電素子1を備えた発電装置100は、例えば、図示せぬ熱源に搭載又は設置され、熱源の熱エネルギーを元として、発電素子1が発生させた電気エネルギーを、第1配線101及び第2配線102を介して負荷Rへ出力する。負荷Rは、例えば電気的な機器を示している。負荷Rの一端は第1配線101と電気的に接続され、他端は第2配線102と電気的に接続される。負荷Rは、発電装置100を主電源又は補助電源に用いて駆動される。
【0034】
発電素子1の熱源としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の電子デバイス又は電子部品、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子、自動車等のエンジン、工場の生産設備、人体、太陽光、及び環境温度等を利用することができる。例えば、電子デバイス、電子部品、発光素子、エンジン、及び生産設備等は人工熱源である。人体、太陽光、及び環境温度等は自然熱源である。発電素子1を備えた発電装置100は、例えばIoT(Internet of Things)デバイス及びウェアラブル機器等のモバイル機器や自立型センサ端末の内部に設けることができ、電池の代替又は補助として用いることができる。さらに、発電装置100は、太陽光発電等のような、より大型の発電装置への応用も可能である。
【0035】
<発電素子1>
発電素子1は、例えば、上記人工熱源が発した熱エネルギー、又は上記自然熱源が持つ熱エネルギーを電気エネルギーに変換し、電流を生成する。発電素子1は、発電装置100内に設けるだけでなく、発電素子1自体を、上記工場における排熱パイプの側面や、モバイル機器の内部等に設けることもできる。この場合、発電素子1自体が、上記モバイル機器又は上記自立型センサ端末等の、電池の代替部品又は補助部品となる。
【0036】
発電素子1は、電極部12と、中間部14と、接触防止層15とを備える。なお、発電素子1は、基板11及び支持部13を含んでもよい。
【0037】
<基板11>
基板11は、第1基板11aと、第2基板11bとを有する。一対の第1基板11aと、第2基板11bとは、電極部12を挟んで設けられる。第1基板11aは、第1方向Zと交わる第1対向面11afを有する。第1対向面11afは、第1基板11aにおいて、第2基板11b側に位置する。第2基板11bは、第1方向Zと交わる第2対向面11bfを有する。第2対向面11bfは、第2基板11bにおいて、第1基板11a側に位置する。なお、以下の説明では、第1方向Zにおいて第2基板11bが第1基板11aよりも下方側にあることとする。
【0038】
基板11の材料としては、絶縁性を有する板状の材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。なお、基板11には、鉄、タングステン、アルミニウム等の導電性を有する金属材料、Si、GaN等の導電性を有する半導体の他、導電性高分子材料を用いてもよい。基板11の形状は、正方形、長方形、その他、円盤状であってもよい。また、基板11は、絶縁性の材料、半導体材料、金属材料が混合された構成であってもよい。
【0039】
<第1電極部12a、第2電極部12b>
電極部12は、それぞれ仕事関数の異なる第1電極部12aと、第2電極部12bとを有する。第1電極部12aと第2電極部12bとは、一対の接触防止層15を挟んで設けられる。第1電極部12aは、第2電極部12b側において第1方向Zと交わる第1主面12afを有する。第2電極部12bは、第1電極部12a側において第1方向Zと交わる第2主面12bfを有する。第1電極部12aは、第1対向面11af上に接して設けられる。第1電極部12aは、第2基板11bと離間する。第2電極部12bは、第2対向面11bf上に接して設けられる。第2電極部12bは、第1基板11a及び第1電極部12aと離間して対向する。第2電極部12bは、第1電極部12aとは異なる仕事関数を有する。
【0040】
第1電極部12aは、例えば第1基板11aに挿通された図示しない配線を介して第2配線102と電気的に接続される。第2電極部12bは、例えば図示しない第2基板11bに挿通された配線を介して第1配線101と電気的に接続される。また、図示しない配線の配置箇所等は、任意である。
【0041】
発電素子1では、仕事関数差を有する第1電極部12aと第2電極部12bとの間に発生する、絶対温度による電子放出現象が利用できる。このため、発電素子1は、絶対温度が高いほど、第1電極部12aあるいは第2電極部12bから放出される電子の量が増加する。
【0042】
第1電極部12aの材料、及び第2電極部12bの材料は、例えば、以下に示す金属から選ぶことができる。
白金(Pt)
タングステン(W)
アルミニウム(Al)
チタン(Ti)
ニオブ(Nb)
モリブデン(Mo)
タンタル(Ta)
レニウム(Re)
発電素子1では、第1電極部12aと第2電極部12bとの間に仕事関数差が生じればよい。したがって、第1電極部12a及び第2電極部12bの材料には、上記以外の金属を選ぶことが可能である。第1電極部12a及び第2電極部12bの材料として、金属のほか、合金、金属間化合物、及び金属化合物を選ぶことも可能である。金属化合物は、金属元素と非金属元素とが化合したものである。このような金属化合物の例としては、例えば六ホウ化ランタン(LaB6)を挙げることができる。
【0043】
<支持部13>
支持部13は、一対の基板である第1基板11a及び第2基板11b、又は一対の電極である第1電極部12a、第2電極部12bの間に接して設けられる。支持部13は、例えば第1対向面11af及び第2対向面11bfと連接する。支持部13は、例えば第2方向Xにおいて第1電極部12a及び第2電極部12bと接しているが、第1電極部12a及び第2電極部12bと離間してもよい。
【0044】
なお、支持部13は、基板11の一部が酸化したものであってもよい。具体的には、シリコンより構成された基板11を酸化させて形成されたシリコン酸化膜の一部を支持部13としてもよい。この場合、新たに支持部13を形成する場合に比べて、支持部13の高さを高精度に制御することができ、電極間ギャップGの大きさを高精度に設定することができる。これにより、発電効率の安定化を図ることが可能となる。
【0045】
支持部13の材料としては、絶縁性を有する材料を選ぶことができる。絶縁性の材料の例としては、シリコン、石英、パイレックス(登録商標)等のガラス、及び絶縁性樹脂等を挙げることができる。上記のほか、支持部13は、例えば、フレキシブルなフィルム状でもよく、PET(polyethylene terephthalate)、PC(polycarbonate)、及びポリイミド等を用いることができる。
【0046】
<中間部14>
図2は、中間部14の一例を示す模式断面図である。
図1(a)に示すように、中間部14は、第1接触防止層15aと第2接触防止層15bとの間に設けられる。中間部14は、第1電極部12aの仕事関数と第2電極部12bの仕事関数との間の仕事関数を有するナノ粒子141を含む。中間部14は、例えば
図1(b)に示すように、支持部13と、第1封止部31と、第2封止部32により発電素子1内に保持される。
【0047】
第1電極部12aと第2電極部12bとの間には、第1方向Zに沿って電極間ギャップGが設定される。発電素子1では、電極間ギャップGは、支持部13の第1方向Zに沿った厚さによって設定される。電極間ギャップGの幅の一例は、例えば、10μm以下の有限値である。電極間ギャップGの幅は狭いほど、発電素子1の発電効率が向上する。また、電極間ギャップGの幅は狭いほど、発電素子1の第1方向Zに沿った厚さを薄くできる。このため、例えば、電極間ギャップGの幅は狭い方がよい。電極間ギャップGの幅は、例えば、10nm以上100nm以下であることがより好ましい。なお、電極間ギャップGの幅と、支持部13の、第1方向Zに沿った厚さとは、ほぼ等価である。
【0048】
中間部14は、例えば、複数のナノ粒子141と、溶媒142と、を含む。複数のナノ粒子141は、溶媒142内に分散されている。中間部14は、例えば、ナノ粒子141が分散された溶媒142を、ギャップ部G内に充填することで得られる。ナノ粒子141の粒子径は、電極間ギャップGよりも小さい。ナノ粒子141の粒子径は、例えば、電極間ギャップGの1/10以下の有限値とされる。ナノ粒子141の粒子径を、電極間ギャップGの1/10以下とすると、ギャップ部140内に、ナノ粒子141を含む中間部14を形成しやすくなる。これにより、発電素子1の生産に際し、作業性が向上する。
【0049】
ナノ粒子141は、例えば導電物を含む。ナノ粒子141の仕事関数の値は、例えば、第1電極部12aの仕事関数の値と、第2電極部12bの仕事関数の値との間にあるが、第1電極部12aの仕事関数の値と第2電極部12bの仕事関数の値との間に無くてもよい。例えば、ナノ粒子141の仕事関数の値は、3.0eV以上5.5eV以下の範囲とされる。これにより、中間部14内にナノ粒子141がない場合に比較して、電気エネルギーの発生量を、さらに増加させることが可能となる。
【0050】
ナノ粒子141の材料の例としては、金及び銀の少なくとも1つを選ぶことができる。なお、ナノ粒子141の材料には、金及び銀以外の導電性材料を選ぶことも可能である。
【0051】
ナノ粒子141の粒子径は、例えば、2nm以上10nm以下である。また、ナノ粒子141は、例えば、平均粒径(例えばD50)3nm以上8nm以下の粒子径を有してもよい。平均粒径は、例えば粒度分布計測器を用いることで、測定することができる。粒度分布計測器としては、例えば、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布計測器(例えばMicrotracBEL製Nanotrac WaveII-EX150等)を用いればよい。
【0052】
ナノ粒子141は、その表面に、例えば絶縁膜141aを有する。絶縁膜141aの材料の例としては、絶縁性金属酸化物及び絶縁性有機化合物の少なくとも1つを選ぶことができる。絶縁性金属酸化物の例としては、例えば、シリコン酸化物及びアルミナ等を挙げることができる。絶縁性有機化合物の例としては、アルカンチオール(例えばドデカンチオール)等を挙げることができる。絶縁膜141aの厚さは、例えば20nm以下の有限値である。このような絶縁膜141aをナノ粒子141の表面に設けておくと、電子eは、例えば、第1電極部12aとナノ粒子141との間、並びにナノ粒子141と第2電極部12bとの間を、トンネル効果を利用して移動できる。このため、例えば、発電素子1の発電効率の向上が期待できる。
【0053】
溶媒142には、例えば、沸点が60℃以上の液体を用いることができる。このため、室温(例えば15℃~35℃)以上の環境下において、発電素子1を用いた場合であっても、溶媒142の気化を抑制することができる。これにより、溶媒142の気化に伴う発電素子1の劣化を抑制することができる。液体の例としては、有機溶媒及び水の少なくとも1つを選ぶことができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、トルエン、キシレン、テトラデカン、及びアルカンチオール等を挙げることができる。なお、溶媒142は、電気的抵抗値が高く、絶縁性である液体がよい。
【0054】
なお、中間部14は、溶媒142を含まず、ナノ粒子141のみを含むようにしてもよい。中間部14が、ナノ粒子141のみを含むことで、例えば、発電素子1を、高温環境下で用いる場合であっても、溶媒142の気化を考慮する必要が無い。これにより、高温環境下における発電素子1の劣化を抑制することが可能となる。また、中間部14は、例えば溶媒142の代わりに、ナノ粒子141を支持する絶縁体を含んでもよい。
【0055】
<接触防止層15>
接触防止層15は、
図1(a)に示すように、一対の第1電極部12a、第2電極部12b間に設けられる。接触防止層15は、例えば第1接触防止層15aと第2接触防止層15bとを有する。第1接触防止層15aは第1主面12afに接して設けられ、第2接触防止層15bは第2主面12bfに接して設けられる。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、いずれも第2方向Xにおいて支持部13に接した状態で配置される。第1接触防止層15aは第1主面12af全体を覆うように配置され、第2接触防止層15bは第2主面12bf全体を覆うように配置される。接触防止層15を設けることで、ナノ粒子141が第1主面12af及び第2主面12bfに接触することを防止することができる。また、接触防止層15を設けることで、第1電極部12a及び第2電極部12bが溶媒142と離間するようにしてもよい。
【0056】
なお、接触防止層15は、例えば第2方向Xにおいて支持部13と離間して配置されてもよい。また、接触防止層15及び電極部12は、第2方向Xにおいて何れも支持部13と離間してもよい。接触防止層15と、支持部13とを離間させることで、例えば接触防止層15の帯電状態を維持し易くすることができる。
【0057】
更に、第2方向Xにおいて、電極部12が支持部13と離間し、接触防止層15が電極部12と支持部13との間に設けられてもよい。即ち、第2方向Xにおいて、基板11の一部が接触防止層15と接してもよい。この場合、各主面12af、12bfに加え、電極部12の側面にナノ粒子141が接触することを防止することができる。
【0058】
第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、絶縁性物質により形成される。具体的には、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは高分子化合物を含んで構成されてもよい。特に、高分子化合物としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、及びそれらの共重合体、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン及びポリキノキサリン、並びに、これらの誘導体;芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体等の導電性高分子が挙げられる。
【0059】
第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、例えば数nmから数百nm程度の厚みを有する。特に、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bの厚みは、0.1nm以上500nm以下であることが好ましい。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bが0.1nm未満の場合、接触防止層の形成が難しい。また、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bが500nmより大きい場合、ナノ粒子141-電極部12間における電子の享受が難しい。従って、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bが0.1nm~500nmであれば、第1電極部12aと第2電極部12bとの間における電子の享受に与える影響を最小限に抑えることができる。
【0060】
なお、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、ポリマーブラシにより形成されてもよい。具体的には、
図5(a)に示すように、第1接触防止層15aは第1主面12af全体を覆うように設けられ、第2接触防止層15bは第2主面12bf全体を覆うように設けられる。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、複数のポリマー鎖から形成される。各ポリマー鎖は、第1主面12af及び第2主面12bfから第1方向Zに延びる。ポリマー鎖は、ナノ粒子141の第1主面12af及び第2主面12bfへの侵入を許容しない程度の密度で配置される。
【0061】
また、第1接触防止層15aの表面及び第2接触防止層15bの表面は、ナノ粒子141の表面と同極に帯電してもよい。第1接触防止層15aの表面及び第2接触防止層15bの表面が、ナノ粒子141の表面と同極に帯電しない場合、例えば第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bとナノ粒子141とが接触し易くなり、ナノ粒子141が第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bに付着する可能性が高くなる。
【0062】
また、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、第1電極部12a及び第2電極部12bよりも低い導電率を有してもよい。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bが、第1電極部12a及び第2電極部12b以上の導電率を有する場合、接触防止層15を経由して電極部12に電子が流れ易くなり得る。この際、接触防止層15と電極部12との接触抵抗の影響を受けるため、発電時における抵抗増大の要因となり得る。
【0063】
また、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、第1電極部12a及び第2電極部12bよりも低い熱伝導率を有してもよい。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、第1電極部12a及び第2電極部12b以上の熱伝導率を有する場合、第1接触防止層15a又は第2接触防止層15bを介して、電極部12から中間部14に熱エネルギーを伝達し易くなり得る。これにより、電極部12において熱エネルギーにより得られる熱電子の発生効率を向上させることが難しくなる。
【0064】
また、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、第1電極部12a及び第2電極部12bよりも薄くてもよい。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、第1電極部12a及び第2電極部12b以上の厚さを有する場合、ナノ粒子141と電極部12との間におけるトンネル効果が発生し難くなる。このため、電極部12間における電子の享受に与える影響を最小限に抑えることが難しくなる。これにより、発電時における抵抗の低減を図り難い。
【0065】
第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bは、第1電極部12a及び第2電極部12bよりもナノ粒子141が分散した溶媒142に対して高い濡れ性を有する。即ち、溶媒142は、第1接触防止層15a及び第2接触防止層15b上に広がり易く、第1電極部12a及び第2電極部12bに広がり難い。第1接触防止層15a及び第2接触防止層15bが、溶媒142に対して第1電極部12a及び第2電極部12bよりも低い濡れ性を有する場合、接触防止層15上に溶媒142が広がり難い傾向となり、電子享受の妨げとなる空隙が発生し得る。
【0066】
なお、
図1(a)には、第1主面12af及び第2主面12bfに接触防止層15が設けられる例を示したが、接触防止層15は、第1主面12af又は第2主面12bfのいずれか一方にのみ設けられてもよい。この場合、接触防止層15が設けられていない第1電極部12a又は第2電極部12bが溶媒142と離間する。但し、第1主面12af又は第2主面12bfの両方に接触防止層15が設けられた場合の方が、何れか一方にのみ接触防止層15が設けられた場合よりも発電効率の低下を抑制することができる。
【0067】
また、
図7(a)に示すように、第1接触防止層15a又は第2接触防止層15bは、第1主面12af又は第2主面12bf上で、第2方向Xにおいて異なる厚みを有するように形成されてもよい。また、
図7(b)に示すように、第1接触防止層15aは、第1主面12af上で複数に分割されてもよく、第2接触防止層15bは、第2主面12bf上で複数に分割されてもよい。
【0068】
<発電素子1の動作>
熱エネルギーが発電素子1に与えられると、第1電極部12aと第2電極部12bとの間に電流が発生し、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。第1電極部12aと第2電極部12bとの間に発生する電流量は、熱エネルギーに依存する他、第1電極部12aの仕事関数と、第2電極部12bの仕事関数との差に依存する。
【0069】
発生する電流量は、例えば、第1電極部12aと第2電極部12bとの仕事関数差を大きくすること、電極間ギャップを小さくすること等により増加させることができる。
【0070】
<発電素子1の製造方法>
次に、発電素子1の製造方法の一例を説明する。
図3は、第1実施形態における発電素子1の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図4(a)~
図4(f)は、本実施形態における発電素子1の製造方法の一例を示す模式断面図である。
【0071】
<<第1電極部形成工程S110>>
先ず、例えば
図4(a)に示すように、第1基板11aの第1対向面11af上に、第1主面12afを有する第1電極部12aを形成する(第1電極部形成工程S110)。第1電極部12aは、例えば第1方向Zから見て、四角形状に形成され、第1対向面11af上に複数形成されてもよい。
【0072】
<<第2電極部形成工程S120>>
次に、例えば
図4(b)に示すように、第1電極部12aとは異なる仕事関数を有し、第2主面12bfを有する第2電極部12bを形成する(第2電極部形成工程S120)。第2電極部12bは、第2基板11bの第2対向面11bf上に、第1電極部12aと離間して形成される。第2電極部12bは、例えば第1方向Zから見て、四角形状に形成され、第2対向面11bf上に複数形成されてもよい。
【0073】
なお、第1電極部形成工程S110と、第2電極部形成工程S120とを実施する順番は、任意である。第1電極部形成工程S110及び第2電極部形成工程S120では、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いて、各電極部12a、12bを形成するほか、例えばスクリーン印刷法、インクジェット法、及びスプレー印刷法等を用いて形成してもよい。例えば、第1電極部12aとして白金が用いられ、第2電極部12bとしてアルミニウムが用いられるほか、それぞれ上述した材料が用いられてもよい。
【0074】
<<接触防止層形成工程S130>>
次に、第1主面12af、及び第2主面12bfの少なくとも何れかに接して設けられ、第1電極部12a及び第2電極部12bとは異なる材料を含む接触防止層15を形成する(接触防止層形成工程S130)。接触防止層形成工程S130は、例えば
図4(c)に示すように、第2主面12bf上に第2接触防止層15bを形成する。なお、図示は省略するが、例えば第1主面12af上にも第1接触防止層15aが形成される。接触防止層15は、例えば、スプレー、刷毛塗り、ディップコーティング、スピンコーティング、ロールコーティング、スクリーン印刷、蒸着、または表面開始原子移動ラジカル重合により形成される。
【0075】
なお、接触防止層15として、ポリマーブラシ等の高分子化合物を用いる場合、接触防止層形成工程S130は、例えば
図5(b)に示すように、第1主面12af、及び第2主面12bfの少なくとも何れかに重合開始層16を形成したあと、表面開始原子移動ラジカル重合などにより第1電極部12a及び第2電極部12b上にポリマーブラシを形成し接触防止層15を形成してもよい。重合開始層16として、電極部12に結合可能な基と、ラジカル発生基とを有する化合物(以下ポリマーブラシ開始剤という。)が好ましく、例えば電極部12に結合可能な基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等の反応性シリル基;チオール基;ジスルフィド基;リン酸基;等が挙げられる。ラジカル発生基としては、1-ブロモエチル基、1-メチル-1-ブロモエチル基、クロロエチル基等のハロゲン化アルキル基用いられる。重合開始層16は、例えば電極部をポリマーブラシ開始剤を含む溶液に浸すことにより形成される。
【0076】
<<支持部形成工程S140>>
次に、基板11上に、支持部13を形成する。例えば
図4(d)に示すように、第2対向面11bf上に、支持部13を形成する(支持部形成工程S140)。このとき、第2接触防止層15b上には、支持部13に囲まれたスペース14sが形成される。支持部13は、例えば第1方向Zから見て、中空の四角形状に形成されていればよい。
【0077】
支持部形成工程S140は、例えば第1電極部形成工程S110、第2電極部形成工程S120、接触防止層形成工程S130よりも前に実施してもよい。支持部形成工程S140では、例えばスパッタリング法又は蒸着法を用いた真空環境下で支持部13を形成することができる。支持部13として、例えばシリコン酸化膜やシリコン窒化膜等が用いられる。
【0078】
<<積層工程S150>>
次に、例えば
図4(e)に示すように、第2対向面11bf上に、支持部13を介して第1基板11aを積層する(積層工程S150)。積層工程S150では、スペース14sを介して、第1接触防止層15aと第2接触防止層15bとが対向するように、第1基板11aが積層される。これにより、各接触防止層15a、15b及び支持部13に囲まれたギャップ部14aが形成される。
【0079】
<<中間部形成工程S160>>
次に、中間部14を形成する(中間部形成工程S160)。中間部形成工程S160では、例えば
図4(f)に示すように、第1接触防止層15aと第2接触防止層15bとの間及び支持部13の間に中間部14が形成される。
【0080】
中間部形成工程S160では、例えばインクジェット法を用いて、ナノ粒子141を分散させた溶媒142を含む中間部14を、第1主面12afと第2主面12bfとの間に形成する。
【0081】
上述した工程を経て、例えば第1封止部31、及び第2封止部32等を適宜形成し、本実施形態における発電素子1が形成される。なお、形成された発電素子1に、第1配線101及び第2配線102を接続し、更に第1配線101及び第2配線102に負荷Rを接続することで、本実施形態における発電装置100を形成することができる。
【0082】
本実施形態によれば、接触防止層15は、第1主面12afと第2主面12bfの少なくとも何れかに設けられる。このため、ナノ粒子141と電極12との接触が抑制され、ナノ粒子141が電極12に付着する可能性を低減することができ、ナノ粒子141が溶媒142に分散される状態を保つことができる。これにより、発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【0083】
また、本実施形態によれば、接触防止層15は、高分子化合物を含む。このため、接触防止層15の表面を任意に設計することができる。これにより、ナノ粒子141の粒径等の特徴に適した接触防止層15を設けることが可能となる。
【0084】
本実施形態によれば、接触防止層15は、ポリマーブラシからなる。このため、接触防止層15にナノ粒子141の侵入を抑制した状態で、溶媒142を浸透させ易くすることができる。このため、電極12間のギャップ内において、電子享受の妨げとなる空隙の発生を抑制することができるとともに、ナノ粒子141が電極12に付着する可能性を低減することができる。これにより、発電効率の向上を図ることが可能となる。
【0085】
また、本実施形態によれば、接触防止層15の表面は、ナノ粒子141の表面と同極に帯電する。このため、接触防止層15と、ナノ粒子141との接触を抑制することができ、ナノ粒子141が接触防止層15に付着することを抑制することができる。これにより、ナノ粒子141の分散性低下に伴う発電効率の低下を抑制することが可能となる。
【0086】
また、本実施形態によれば、接触防止層15は、第1電極部12a及び第2電極部12bよりもナノ粒子141が分散した溶媒142に対して高い濡れ性を有する。このため、電極間のギャップ内において、電子享受の妨げとなる空隙の発生を抑制することができるとともに、ナノ粒子141が電極に付着する可能性を低減することができる。これにより、発電効率の向上を図ることが可能となる。
【0087】
また、本実施形態によれば、接触防止層15は、第1電極部12a及び第2電極部12bよりも低い導電率を有する。この場合、ナノ粒子141と第1電極部12a及び第2電極部12bとの間における電子の享受が、接触防止層15を経由せずにトンネル効果によって優先的に行われることが期待できる。このため、電子の享受が接触防止層15を経由した場合に比べて、接触防止層15と第1電極部12a及び第2電極部12bとの接触抵抗の影響が抑制される。これにより、発電時における抵抗の低減を図ることが可能となる。
【0088】
また、本実施形態によれば、接触防止層15は、第1電極部12a及び第2電極部12bよりも低い熱伝導率を有する。このため、中間部に比べて電極に熱エネルギーを保持し易くなる。これにより、熱エネルギーにより得られる熱電子の発生効率を向上させることが可能となる。
【0089】
また、本実施形態によれば、接触防止層15が設けられた第1電極部12a及び第2電極部12bの少なくとも何れかは、溶媒142と離間する。このため、ナノ粒子141が電極に接触及び付着することを防止することができる。これにより、発電効率の低下を容易に抑制することができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、接触防止層15は、0.1nm~500nmの厚みを有する。このため、電極間における電子の享受に与える影響を最小限に抑えることができる。これにより、発電時における抵抗の低減を図ることができる。
【0091】
(第2実施形態:電子機器500)
<電子機器500>
上述した発電素子1及び発電装置100は、例えば電子機器に搭載することが可能である。以下、電子機器の実施形態のいくつかを説明する。
【0092】
図6(a)~
図6(d)は、発電素子1を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。
図6(e)~
図6(h)は、発電素子1を含む発電装置100を備えた電子機器500の例を示す模式ブロック図である。
【0093】
図6(a)に示すように、電子機器500(エレクトリックプロダクト)は、電子部品501(エレクトロニックコンポーネント)と、主電源502と、補助電源503と、を備えている。電子機器500及び電子部品501のそれぞれは、電気的な機器(エレクトリカルデバイス)である。
【0094】
電子部品501は、主電源502を電源に用いて駆動される。電子部品501の例としては、例えば、CPU、モーター、センサ端末、及び照明等を挙げることができる。電子部品501が、例えばCPUである場合、電子機器500には、内蔵されたマスター(CPU)によって制御可能な電子機器が含まれる。電子部品501が、例えば、モーター、センサ端末、及び照明等の少なくとも1つを含む場合、電子機器500には、外部にあるマスター、あるいは人によって制御可能な電子機器が含まれる。
【0095】
主電源502は、例えば電池である。電池には、充電可能な電池も含まれる。主電源502のプラス端子(+)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。主電源502のマイナス端子(-)は、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。
【0096】
補助電源503は、発電素子1である。発電素子1は、上述した発電素子1の少なくとも1つを含む。発電素子1のアノード(例えば第1電極部12a)は、電子部品501のGND端子(GND)、又は主電源502のマイナス端子(-)、又はGND端子(GND)とマイナス端子(-)とを接続する配線と、電気的に接続される。発電素子1のカソード(例えば第2電極部12b)は、電子部品501のVcc端子(Vcc)、又は主電源502のプラス端子(+)、又はVcc端子(Vcc)とプラス端子(+)とを接続する配線と、電気的に接続される。電子機器500において、補助電源503は、例えば主電源502と併用され、主電源502をアシストするための電源や、主電源502の容量が切れた場合、主電源502をバックアップするための電源として使うことができる。主電源502が充電可能な電池である場合には、補助電源503は、さらに、電池を充電するための電源としても使うことができる。
【0097】
図6(b)に示すように、主電源502は、発電素子1とされてもよい。発電素子1のアノードは、電子部品501のGND端子(GND)と電気的に接続される。発電素子1のカソードは、電子部品501のVcc端子(Vcc)と電気的に接続される。
図6(b)に示す電子機器500は、主電源502として使用される発電素子1と、発電素子1を用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を備えている。発電素子1は、独立した電源(例えばオフグリッド電源)である。このため、電子機器500は、例えば自立型(スタンドアローン型)にできる。しかも、発電素子1は、環境発電型(エナジーハーベスト型)である。
図6(b)に示す電子機器500は、電池の交換が不要である。
【0098】
図6(c)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えてもよい。発電素子1のアノードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のGND配線と電気的に接続される。発電素子1のカソードは、例えば、回路基板(図示は省略する)のVcc配線と電気的に接続される。この場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば補助電源503として使うことができる。
【0099】
図6(d)に示すように、電子部品501が発電素子1を備えている場合、発電素子1は、電子部品501の、例えば主電源502として使うことができる。
【0100】
図6(e)~
図6(h)のそれぞれに示すように、電子機器500は、発電装置100を備えてもよい。発電装置100は、電気エネルギーの源として発電素子1を含む。
【0101】
図6(d)に示した実施形態は、電子部品501が主電源502として使用される発電素子1を備えている。同様に、
図6(h)に示した実施形態は、電子部品501が主電源として使用される発電装置100を備えている。これらの実施形態では、電子部品501が、独立した電源を持つ。このため、電子部品501を、例えば自立型とすることができる。自立型の電子部品501は、例えば、複数の電子部品を含み、かつ、少なくとも1つの電子部品が別の電子部品と離れているような電子機器に有効に用いることができる。そのような電子機器500の例は、センサである。センサは、センサ端末(スレーブ)と、センサ端末から離れたコントローラ(マスター)と、を備えている。センサ端末及びコントローラのそれぞれは、電子部品501である。センサ端末が、発電素子1又は発電装置100を備えていれば、自立型のセンサ端末となり、有線での電力供給の必要がない。発電素子1又は発電装置100は環境発電型であるので、電池の交換も不要である。センサ端末は、電子機器500の1つと見なすこともできる。電子機器500と見なされるセンサ端末には、センサのセンサ端末に加えて、例えば、IoTワイヤレスタグ等が、さらに含まれる。
【0102】
図6(a)~
図6(h)のそれぞれに示した実施形態において共通することは、電子機器500は、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する発電素子1と、発電素子1を電源に用いて駆動されることが可能な電子部品501と、を含むことである。
【0103】
電子機器500は、独立した電源を備えた自律型(オートノマス型)であってもよい。自律型の電子機器の例は、例えばロボット等を挙げることができる。さらに、発電素子1又は発電装置100を備えた電子部品501は、独立した電源を備えた自律型であってもよい。自律型の電子部品の例は、例えば可動センサ端末等を挙げることができる。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0105】
1 :発電素子
11 :基板
11a :第1基板
11af :第1対向面
11b :第2基板
11bf :第2対向面
12a :第1電極部
12af :第1主面
12b :第2電極部
12bf :第2主面
13 :支持部
14 :中間部
15 :接触防止層
15a :第1接触防止層
15b :第2接触防止層
16 :重合開始層
140 :ギャップ部
141 :ナノ粒子
142 :溶媒
31 :第1封止部
32 :第2封止部
100 :発電装置
101 :第1配線
102 :第2配線
G :ギャップ
R :負荷
S110 :第1電極部形成工程
S120 :第2電極部形成工程
S130 :接触防止層形成工程
S140 :支持部形成工程
S150 :積層工程
S160 :中間部形成工程
Z :第1方向
X :第2方向
Y :第3方向