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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124858
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】パイプサポートのジャッキ構造
(51)【国際特許分類】
   E04G 25/00 20060101AFI20220819BHJP
   B66F 3/08 20060101ALI20220819BHJP
   E04G 11/54 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
E04G25/00 E
B66F3/08 J
E04G11/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022738
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】505061447
【氏名又は名称】株式会社アルマックス
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博信
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150HB21
2E150JA02
2E150JC01
2E150JE11
(57)【要約】
【課題】シンプルな構造でありながら、容易にジャッキダウンすることができるパイプサポートのジャッキ構造を提供する。
【解決手段】表面に雄ネジ12aが切られたスクリュージャッキ12と、前記スクリュージャッキ12を挿入可能なパイプ13と、前記雄ネジ12aに螺合する雌ネジ14cを備えて前記スクリュージャッキ12に回転可能に取り付けられるジャッキハンドル14と、前記パイプ13の端縁13aと前記ジャッキハンドル14との間に配置されるワッシャ部材15と、を備えるようにした。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に雄ネジが切られたスクリュージャッキと、
前記スクリュージャッキを挿入可能なパイプと、
前記雄ネジに螺合する雌ネジを備えて前記スクリュージャッキに回転可能に取り付けられるジャッキハンドルと、
前記パイプの端縁と前記ジャッキハンドルとの間に配置されるワッシャ部材と、
を備える、
パイプサポートのジャッキ構造。
【請求項2】
前記ワッシャ部材は、前記パイプおよび前記ジャッキハンドルよりも硬い材料で形成されている、
請求項1に記載のパイプサポートのジャッキ構造。
【請求項3】
前記ジャッキハンドルは、前記パイプに挿入される筒部と、前記パイプの端縁に対向するフランジと、を備え、
前記ワッシャ部材は、前記パイプの端縁と前記フランジとの間に配置される、
請求項1または2のいずれか1項に記載のパイプサポートのジャッキ構造。
【請求項4】
前記ジャッキハンドルが前記パイプから脱落しないように保持するクランプ装置を備え、
前記クランプ装置は、前記ワッシャ部材の両側部を覆うように前記パイプおよび前記ジャッキハンドルに取り付けられている、
請求項1~3のいずれか1項に記載のパイプサポートのジャッキ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築工事現場において使用されるパイプサポートに関し、特に、パイプサポートの高さ調節用のジャッキ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばPC床版等を構築するための支保工において、パイプサポートが使用されている。この種のパイプサポートは、長さ調整用のジャッキ構造を備えている。支保工を解体するときにはパイプサポートをジャッキダウンする必要があるが、PC床版等による軸圧縮力を受けている状態でジャッキダウンをしなければならないため、作業に大きな力が必要となるという問題があった。
【0003】
このような問題に関し、例えば特許文献1には、鋸刃状の環状壁面部を備えた環状金具と、これに摺動可能に噛み合う下部環状壁面部を備えた下部環状金具とを設けることで、容易にジャッキダウンすることができるジャッキダウン装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-197672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記した特許文献1に記載のジャッキダウン装置は構造が複雑であるため、作業が複雑化したり、取り扱いに注意が必要となるという問題があった。
そこで、本発明は、シンプルな構造でありながら、容易にジャッキダウンすることができるパイプサポートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明は、表面に雄ネジが切られたスクリュージャッキと、前記スクリュージャッキを挿入可能なパイプと、前記雄ネジに螺合する雌ネジを備えて前記スクリュージャッキに回転可能に取り付けられるジャッキハンドルと、前記パイプの端縁と前記ジャッキハンドルとの間に配置されるワッシャ部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の通りであり、パイプの端縁とジャッキハンドルとの間にワッシャ部材が配置されている。このような構成によれば、ワッシャ部材を介在させることで摩擦が低減されるため、ジャッキハンドルが回りやすくなっており、シンプルな構造でありながら、容易にジャッキダウンすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】パイプサポートの外観図である。
図2】パイプサポートを正面から見た一部拡大図である。
図3】パイプサポートの構成部品を説明する図である。
図4】ジャッキハンドルの(a)正面図、(b)平面図、(c)A-A線断面図である。
図5】ワッシャ部材の(a)正面図、(b)平面図である。
図6】クランプ装置の(a)正面図、(b)平面図、(c)B-B線端面図である。
図7】パイプサポートを側面から見た一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
本実施形態に係るパイプサポート10は、建築工事現場において支保工に使用されるものであり、例えばPC床版等の構築時に使用される。このパイプサポート10は、図1に示すように、受部材11と、スクリュージャッキ12と、パイプ13と、ジャッキハンドル14と、ワッシャ部材15と、クランプ装置20と、を備える。
【0010】
受部材11は、天井や床などを支えるために支柱の上下端部に固定される部材である。本実施形態においては、天井や床を面で支持するプレート状の受部材11を使用しているが、これに限らず、梁(ビーム)を支持する大引受を受部材11として使用してもよいし、躯体を狭持するクランプを受部材11として使用してもよい。
【0011】
スクリュージャッキ12は、後述するパイプ13の内部に繰り出し可能に挿入された棒状の部材である。本実施形態に係るスクリュージャッキ12は、アルミ合金製である。このスクリュージャッキ12の表面(外周面)には、図3に示すように雄ネジ12aが切られている。また、このスクリュージャッキ12の開放端部(パイプ13に挿入されていない側の端部)には、受部材11が固定されている。
【0012】
パイプ13は、上記したスクリュージャッキ12を挿入可能な筒状部材である。本実施形態に係るパイプ13はアルミ合金製である。このパイプ13の開放端部(スクリュージャッキ12が挿入されていない方の端部)には、受部材11が固定されている。
【0013】
なお、図1においては、パイプ13の一方の端にのみスクリュージャッキ12を挿入しているが、これに限らず、パイプ13の両方の端部にスクリュージャッキ12を挿入してもよい(すなわち、パイプ13の両側でパイプサポート10の長さ調節をできるようにしてもよい)。この場合は、パイプ13に受部材11を固定せず、両側のスクリュージャッキ12の先端に受部材11を固定すればよい。
【0014】
また、上記したパイプ13の長さは、使用する条件に応じて変更可能である。また、パイプ13の長さが足りない場合は、パイプ13を継ぎ足して使用することも可能である。
【0015】
ジャッキハンドル14は、パイプサポート10を伸縮させるためにスクリュージャッキ12に回転可能に取り付けられる部材である。本実施形態に係るジャッキハンドル14は鋼製である。このジャッキハンドル14は、図4に示すように、筒部14aと、ハンドル部14dと、を備える。
【0016】
筒部14aは、円筒状に形成されており、内部にスクリュージャッキ12を貫通可能となっている。この筒部14aの内周面には、スクリュージャッキ12の雄ネジ12aに螺合する雌ネジ14cが設けられている。このため、ジャッキハンドル14を回転させることで、ジャッキハンドル14がスクリュージャッキ12の軸方向に進退するようになっている。
【0017】
ハンドル部14dは、上記した筒部14aから側方に張り出して設けられている。このハンドル部14dを操作することで(例えば、ハンドル部14dを把持して回転操作したり、ハンドル部14dをハンマーなどで叩いて回転操作することで)、スクリュージャッキ12を軸としてジャッキハンドル14を回転させることができる。
【0018】
なお、上記した筒部14aは、図4(a)に示すように、パイプ13側に突出しており、この突出した先端部が、図2および図3に示すように、パイプ13に挿入される。また、この筒部14aの外周面には、筒部14aの軸に対して垂直なフランジ14bが設けられている。このフランジ14bは、パイプ13の内径よりも大きく径方向に張り出しているため、筒部14aの先端をパイプ13に挿入したときに、フランジ14bがパイプ13の端縁13aに突き当たる(対向する)ようになっている。なお、後述するように、パイプ13の端縁13aとフランジ14bとの間にはワッシャ部材15が配置されているため、パイプ13の端縁13aとフランジ14bとは接触しておらず、ワッシャ部材15を挟んで対向するようになっている。
【0019】
ワッシャ部材15は、図2に示すように、ジャッキハンドル14の滑りを良くして回転しやすくするために、パイプ13の端縁13aとジャッキハンドル14(フランジ14b)との間に配置されるものである。このワッシャ部材15は、図5に示すような円盤状の部材である。本実施形態に係るワッシャ部材15は、パイプ13およびジャッキハンドル14よりも硬い材料(ロックウェル硬さ)で形成されており、例えばステンレス製である。
【0020】
本実施形態においては、ジャッキハンドル14とパイプ13とが異なる材料で形成されており、ジャッキハンドル14の方が硬いため、ワッシャ部材15を使用しない場合、ジャッキハンドル14の粗面がパイプ13の端面に食い込み、ジャッキハンドル14を回転させるときの摩擦が大きくなる(特に、ジャッキハンドル14が銅メッキなどで粗面化されている場合に、食い込みが顕著となる)。しかしながら、パイプ13およびジャッキハンドル14の間に、両者よりも硬いワッシャ部材15を介在させているため、ジャッキハンドル14の粗面がパイプ13の端面に食い込まないので、ジャッキハンドル14を回転させるときの摩擦が小さくなっている。
【0021】
なお、このワッシャ部材15の内径W1は、ジャッキハンドル14を貫通できるように、ジャッキハンドル14の筒部14aの外径よりも大きく形成されている。また、このワッシャ部材15の外径W2は、フランジ14bの外径よりも小さく形成されている。このため、後述するクランプ装置20を取り付けた場合でも、ワッシャ部材15とクランプ装置20とが干渉しないようになっている。
【0022】
クランプ装置20は、ジャッキハンドル14がパイプ13から脱落しないように保持するためのものである。このクランプ装置20は、パイプサポート10が支保工として荷重を受て立ってる状態では必要のない部品であるが、パイプサポート10の運搬作業を容易とするものである。すなわち、このクランプ装置20を使用することで、パイプサポート10を一体化した状態で移動することができるので、手渡しで上階に荷揚げする作業などを効率的に行うことができる。
【0023】
このクランプ装置20は、図6に示すように、第1保持片21および第2保持片22を備えており、この第1保持片21と第2保持片22とが開閉ヒンジ30によって開閉可能に結合されている。この第1保持片21および第2保持片22は、協働してパイプ13の外周を狭持可能となっている。この第1保持片21および第2保持片22は、それぞれ、パイプ保持部23と、延設部24と、を備える。
【0024】
パイプ保持部23は、パイプ13の外周を保持するために半円筒状に形成された部位である。第1保持片21および第2保持片22のパイプ保持部23が円筒状に組み合わさることで、パイプ13を挟み込んで保持するようになっている。このパイプ保持部23の周面には、内方へ突出した内凸部23aが形成されている。パイプ保持部23でパイプ13を保持したときに、この内凸部23aがパイプ13の表面に食い込んで、パイプ13を強固に保持できるようになっている。
【0025】
延設部24は、ジャッキハンドル14を両側から抱えて保持するための部位であり、パイプ保持部23から舌状に延出している。この延設部24は、パイプサポート10の長手方向に沿って設けられており、先端部がジャッキハンドル14のフランジ14bに引っ掛けられている。第1保持片21および第2保持片22は、それぞれ互いに対向する延設部24を備えており、これにより、両側の延設部24によってフランジ14bを保持することができる。この延設部24は、図7に示すように、ワッシャ部材15の側部を覆うように取り付けられるとともに、ワッシャ部材15に干渉しないように構成されている。
なお、この延設部24は、図6(c)に示すように、拡開部24aとジャッキハンドル保持部24bとを備えている。
【0026】
拡開部24aは、パイプサポート10の長手方向に対して傾斜しており、先端に行くに従って次第にテーパ状に拡開するように形成されている。本実施形態においては、パイプ13の外径よりもフランジ14bの外径の方が大きいため、この差を埋めるために拡開部24aが設けられている(図7参照)。
【0027】
ジャッキハンドル保持部24bは、拡開部24aに連続するように、拡開部24aよりも先端側に設けられており、パイプサポート10の長手方向に対して平行に形成されている。このジャッキハンドル保持部24bは、フランジ14bの外周面に臨むように取り付けられ、一対のジャッキハンドル保持部24bによってフランジ14bを両側から保持するものである。このジャッキハンドル保持部24bの先端は、内側にL字形に屈折して折り返し部24cを形成している。図7に示すように、この折り返し部24cがフランジ14bを両側から覆う(必ずしも折り返し部24cがフランジ14bに接触する必要はないが、フランジ14bの抜け止めとして機能するように折り返し部24cを引っ掛ける)ことで、ジャッキハンドル14がパイプ13から脱落することを防止できる。
【0028】
上記したクランプ装置20は、図6(b)に示すように、平面視で開閉ヒンジ30の逆側に配置された固定ボルト32およびナット33を操作することで開閉することができる。具体的には、第1保持片21および第2保持片22は、ボルト取付部25またはボルト保持部26を備えており、このボルト取付部25とボルト保持部26とが互いに対向するように配置されている。ボルト保持部26には、ボルトヒンジ31を介して固定ボルト32が回動可能に取り付けられている。また、ボルト取付部25は、固定ボルト32の先端が貫通可能となっており、ボルト取付部25を貫通した固定ボルト32の先端にナット33を取り付けられるようになっている。このため、ナット33を取り外せば、ボルト保持部26とボルト取付部25とを分離できるようになり、第1保持片21と第2保持片22とを互いに開くことができる。
【0029】
クランプ装置20をパイプ13およびジャッキハンドル14に取り付けるときには、第1保持片21と第2保持片22とを開いた状態でパイプ13を抱え込むように取り付け、ジャッキハンドル保持部24bをフランジ14bに引っ掛ける。この状態で固定ボルト32をボルト取付部25に貫通させ、固定ボルト32の先端にナット33を取り付けて締結すればよい。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によれば、パイプ13の端縁13aとジャッキハンドル14との間にワッシャ部材15が配置されている。このようにワッシャ部材15を介在させることで摩擦が低減されるため、ジャッキハンドル14が回りやすくなっており、シンプルな構造でありながら、容易にジャッキダウンすることができる。
【0031】
また、ワッシャ部材15は、パイプ13およびジャッキハンドル14よりも硬い材料で形成されている。このため、パイプ13およびジャッキハンドル14がワッシャ部材15に食い込むことを防止でき、摩擦を小さく保つことができる。
【0032】
また、本実施形態に係るジャッキハンドル14はフランジ14bを備えており、このフランジ14bとパイプ13の端縁13aとの間に、ワッシャ部材15が配置されている。このような構成によれば、フランジ14bとパイプ13の端縁13aとによって安定的に支柱を支えることができる。そして、この支持面の間にワッシャ部材15を配置しているので、支柱を面で安定的に支持しつつも、ジャッキダウン時には面接触の摩擦を低減できるので、高強度と作業性とを両立することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るパイプサポート10は、ジャッキハンドル14がパイプ13から脱落しないように保持するクランプ装置20を備えているため、パイプサポート10を一体化した状態で運ぶことができる。よって、上階に荷揚げする作業などを効率的に行うことができる。このとき、クランプ装置20は、ワッシャ部材15の両側部を覆うようにパイプ13およびジャッキハンドル14に取り付けられているため、ワッシャ部材15の脱落も防止される。
【符号の説明】
【0034】
10 パイプサポート
11 受部材
12 スクリュージャッキ
12a 雄ネジ
13 パイプ
13a 端縁
14 ジャッキハンドル
14a 筒部
14b フランジ
14c 雌ネジ
14d ハンドル部
15 ワッシャ部材
20 クランプ装置
21 第1保持片
22 第2保持片
23 パイプ保持部
23a 内凸部
24 延設部
24a 拡開部
24b ジャッキハンドル保持部
24c 折り返し部
25 ボルト取付部
26 ボルト保持部
30 開閉ヒンジ
31 ボルトヒンジ
32 固定ボルト
33 ナット
W1 ワッシャ部材の内径
W2 ワッシャ部材の外径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7