(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124867
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】センサ装置及びセンサシステム
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20220819BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
H04M11/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022757
(22)【出願日】2021-02-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 〔1〕 販売日(公開日) 令和02年07月13日~令和03年02月08日 販売・出荷(納品)先 センスウェイ株式会社他(全8社)〔別紙:販売・出荷(納品)先企業一覧〕 <資 料>〔別紙:販売・出荷(納品)先企業一覧〕 〔2〕 貸出(公開日) 令和03年02月03日 貸出(納品)先 株式会社三井E&Sマシナリー(東京都中央区築地5丁目6番4号)
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126882
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 光永
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】高山 直樹
(72)【発明者】
【氏名】塩入 達也
(72)【発明者】
【氏名】関 康行
【テーマコード(参考)】
2F073
5K201
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA19
2F073AA40
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
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2F073CC12
2F073CD11
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2F073EE01
2F073EE13
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG08
2F073GG09
5K201AA03
5K201BA02
5K201CC08
5K201EB06
5K201EC06
5K201ED09
5K201EE14
(57)【要約】
【課題】余分なデータの処理や送信を削減することで、従来よりも消費電力を削減することができるセンサ装置及びセンサシステムを提供する。
【解決手段】センサ装置11は、少なくとも1つのセンサを備えるセンサ部21と、無線信号の送信を行う無線通信部23と、センサ部21及び無線通信部23を制御する制御部22と、センサ部21、無線通信部23、及び制御部22に電力を供給する電源部24と、を備え、制御部22は、センサ部21の測定結果を用いて予め規定された環境情報を算出する場合にエラーが得られたときには、エラーを示すエラー情報を無線通信部23に送信させてから電源部24の電力消費を低減する待機状態に移行する移行制御を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサを備えるセンサ部と、
無線信号の送信を行う無線通信部と、
前記センサ部及び前記無線通信部を制御する制御部と、
前記センサ部、前記無線通信部、及び前記制御部に電力を供給する電源部と、
を備え、
前記制御部は、前記センサ部の測定結果を用いて予め規定された環境情報を算出する場合にエラーが得られたときには、前記エラーを示すエラー情報を前記無線通信部に送信させてから前記電源部の電力消費を低減する待機状態に移行する移行制御を行う、
センサ装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記エラーが前記センサ部のエラーであるときには、前記環境情報の算出を行わずに前記移行制御を行い、
前記エラーが前記環境情報の算出の途中で発生したエラーであるときには、前記環境情報の算出に係る以降の処理を行わずに前記移行制御を行う、
請求項1記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記センサ部は、複数のセンサを備えており、
前記制御部は、前記複数のセンサのうちの特定のセンサの測定結果が予め規定された条件を満たさない場合には、前記環境情報を算出して前記無線通信部に送信させる処理を実行しない、
請求項1又は請求項2記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記センサ部は、温度センサ、湿度センサ、及び黒球温度センサを備えており、
前記制御部は、温度センサ、湿度センサ、及び黒球温度センサの測定結果を用いて、前記環境情報としてWBGTを算出する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記無線通信部は、無線信号の受信が可能であり、
前記制御部は、前記無線通信部で受信された無線信号の内容に応じて、処理すべきデータ及び送信すべきデータを選択する、
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
請求項5記載のセンサ装置と、
前記センサ装置が処理すべきデータ及び送信すべきデータを示す指示信号を、前記センサ装置に向けて送信するサーバ装置と、
を備えるセンサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置及びセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサ機能、無線通信機能、及び独立電源を備えており、センサ機能によって得られた各種測定データ(例えば、環境データ)を、無線通信機能によって無線信号にして送信するセンサ装置の開発が盛んに行われている。このようなセンサ装置は、電源配線及び通信線が不要であるため、測定を行いたい場所に安価且つ即時に設置することが可能であるという特徴を有する。尚、上記の独立電源は、例えば、一次電池、二次電池、キャパシタ、又は太陽電池をはじめとする環境発電素子を用いた電源である。
【0003】
以下の特許文献1には、無線通信機能を有するものではないが、温度センサ、湿度センサ、及び黒球温度センサを備えており、これらセンサの測定結果からWBGT(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)を求める装置が開示されている。尚、WBGTは、熱中症を予防することを目的として提案された指標である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した独立電源で動作するセンサ装置は、消費電力が大きいと動作可能時間が短くなるため、消費電力を削減することが重要になる。消費電力を削減するために、各種データの測定時、測定されたデータの処理時、及び処理されたデータの送信時以外は、不要な機能を停止又は待機状態にするようにしたセンサ装置も案出されている。しかしながら、このようなセンサ装置であっても、データの処理に要する時間が長くなったり、データの送信に要する時間が長くなったりすると、消費電量が増大してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、余分なデータの処理や送信を削減することで、従来よりも消費電力を削減することができるセンサ装置及びセンサシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様によるセンサ装置(11)は、少なくとも1つのセンサを備えるセンサ部(21)と、無線信号の送信を行う無線通信部(23)と、前記センサ部及び前記無線通信部を制御する制御部(22)と、前記センサ部、前記無線通信部、及び前記制御部に電力を供給する電源部(24)と、を備え、前記制御部が、前記センサ部の測定結果を用いて予め規定された環境情報を算出する場合にエラーが得られたときには、前記エラーを示すエラー情報を前記無線通信部に送信させてから前記電源部の電力消費を低減する待機状態に移行する移行制御を行う。
【0008】
本発明の一態様によるセンサ装置では、制御部が、センサ部の測定結果を用いて予め規定された環境情報を算出する場合にエラーが得られたときには、エラーを示すエラー情報を無線通信部に送信させてから電源部の電力消費を低減する待機状態に移行する移行制御を行うようにしている。これにより、エラーが得られたときには、環境情報の算出に係る処理や送信が削減されるため、従来よりも消費電力を削減することができるという効果がある。
【0009】
また、本発明の一態様によるセンサ装置は、前記制御部が、前記エラーが前記センサ部のエラーであるときには、前記環境情報の算出を行わずに前記移行制御を行い、前記エラーが前記環境情報の算出の途中で発生したエラーであるときには、前記環境情報の算出に係る以降の処理を行わずに前記移行制御を行う。
【0010】
また、本発明の一態様によるセンサ装置は、前記センサ部が、複数のセンサを備えており、前記制御部が、前記複数のセンサのうちの特定のセンサの測定結果が予め規定された条件を満たさない場合には、前記環境情報を算出して前記無線通信部に送信させる処理を実行しない。
【0011】
また、本発明の一態様によるセンサ装置は、前記センサ部が、温度センサ(21a)、湿度センサ(21b)、及び黒球温度センサ(21c)を備えており、前記制御部が、温度センサ、湿度センサ、及び黒球温度センサの測定結果を用いて、前記環境情報としてWBGTを算出する。
【0012】
また、本発明の一態様によるセンサ装置は、前記無線通信部が、無線信号の受信が可能であり、前記制御部が、前記無線通信部で受信された無線信号の内容に応じて、処理すべきデータ及び送信すべきデータを選択する。
【0013】
本発明の一態様によるセンサシステム(1)は、上記のセンサ装置と、前記センサ装置が処理すべきデータ及び送信すべきデータを示す指示信号を、前記センサ装置に向けて送信するサーバ装置(13)と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、余分なデータの処理や送信を削減することで、従来よりも消費電力を削減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態によるセンサシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるセンサ装置の要部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるセンサ装置から送信されるデータの概要を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるセンサ装置の第1動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態によるセンサ装置の第2動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態によるセンサ装置及びセンサシステムについて詳細に説明する。
【0017】
〈センサシステム〉
図1は、本発明の一実施形態によるセンサシステムの全体構成を示すブロック図である。
図1に示す通り、本実施形態のセンサシステム1は、センサ装置11、基地局12、及びサーバ装置13を備えており、センサ装置11で得られた各種測定データを、サーバ装置13で収集するシステムである。このようなセンサシステム1は、例えば、熱中症を予防する用途に用いられる。
【0018】
センサ装置11は、設置場所における各種物理量を測定し、その測定結果を示す情報(センサデータ)を無線信号にして送信する。また、センサ装置11は、得られたセンサデータを用いて予め規定された環境情報を算出し、算出した環境情報を送信することも可能である。このセンサ装置11は、バッテリ等の独立電源を備えており、独立電源から供給される電力によって動作する。尚、センサ装置11は、無線信号の送信のみを行うものであっても良く、無線信号の送信及び受信を行うものであっても良い。本実施形態において、センサ装置11は、無線信号の送信及び受信を行うものであるとする。
【0019】
センサシステム1が熱中症を予防する用途に用いられるものである場合には、センサ装置11は、例えば、学校、工事現場、介護施設内等に設置されて、温度、湿度、黒球温度等を測定する。また、センサ装置11は、上記の環境情報として、例えば、熱中症を予防するための指標であるWBGT(Wet-Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)や絶対湿度等を算出可能である。本実施形態では、上記の環境情報として、WBGTを算出するものとする。センサ装置11の設置場所は、任意の場所であって良い。また、
図1では、複数のセンサ装置11を図示しているが、センサ装置11は少なくとも1つ設けられていれば良い。尚、センサ装置11の詳細については後述する。
【0020】
基地局12は、センサ装置11から無線信号で送信されてくるセンサデータ、WGBT等(以下、センサデータ等という)を受信する。この基地局12は、ネットワークNを介してサーバ装置13に接続されており、受信したセンサデータ等を、ネットワークNを介してサーバ装置13に向けて送信する。尚、基地局12は、無線信号の受信のみを行うものであっても良く、無線信号の受信及び送信を行うものであっても良い。本実施形態において、基地局12は、無線信号の受信及び送信を行うものであるとする。ネットワークNは、例えば、インターネットであっても良い。
【0021】
サーバ装置13は、ネットワークNを介して基地局12に接続されており、ネットワークNを介して基地局12から送信されてくるセンサデータ等を収集する。このサーバ装置13は、例えば、スタンドアローンのコンピュータで実現されても良く、クラウドコンピューティングシステムによって実現されても良い。尚、基地局12とサーバ装置13とは、必ずしもインターネットを介して接続されている必要はなく、例えば、一体化されていても良い。尚、サーバ装置13は、センサ装置11に向けて各種信号を送信することも可能である。
【0022】
〈センサ装置〉
図2は、本発明の一実施形態によるセンサ装置の要部構成を示すブロック図である。
図2に示す通り、本実施形態のセンサ装置11は、センサ部21、制御部22、無線通信部23、及び電源部24(バッテリ等の独立電源)を備える。センサ部21は、少なくとも1つのセンサを備えており、制御部22の制御の下で、センサ装置11の設置場所における少なくとも1つの物理量を測定する。
【0023】
図2に示す例では、センサ部21は、温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cを備える。温度センサ21aは、センサ装置11の設置場所における温度を測定する。湿度センサ21bは、センサ装置11の設置場所における湿度を測定する。黒球温度センサ21cは、センサ装置11の設置場所における黒球温度を測定する。
【0024】
尚、センサ部21に設けられるセンサは、上記の温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cに限られる訳ではなく、任意のものを設けることができる。例えば、上記の温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21c以外に、人感センサ、照度センサ、気圧センサ、風速計、風向計、距離センサ、熱電対、開閉センサ、電流センサ等の物理量や状態検出を行うセンサを設けることもできる。本実施形態では、上記の温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cに加えて、人感センサ、照度センサ、気圧センサ、及び蓄電センサ(電源部24の蓄電量を測定するセンサ)がセンサ部21に設けられているとする。
【0025】
制御部22は、センサ装置11の動作を統括して制御する。制御部22は、例えば、予め規定された時間間隔(例えば、1分~1日程度の時間間隔)でセンサ部21を制御してセンサデータを取得させ、取得されたセンサデータを、無線通信部23を制御して無線信号にして送信させる。また、制御部22は、取得されたセンサデータを用いて、予め規定された環境情報としてのWBGTを算出する。
【0026】
また、制御部22は、センサ装置11の消費電力を低減するために、電源部24の電力消費を低減する待機状態に移行する制御を行う。例えば、制御部22は、センサデータ等の取得及び送信を行った後に、センサ部21や無線通信部23に対する電力供給を停止させる制御を行ったり、自身を省電力モード(自己の消費電力を低減させる動作モード)に移行させたりする制御を行う。
【0027】
加えて、制御部22は、WBGTを算出する場合にエラーが得られたときには、そのエラーを示すエラー情報を無線通信部23に送信させてから電源部24の電力消費を低減する待機状態に移行する移行制御を行う。このような移行制御を行うのは、余分なデータの処理や送信を削減することで、従来よりも消費電力を削減するためである。
【0028】
具体的に、制御部22は、上記のエラーがセンサ部21のエラーであるときには、WBGTの算出を行わずに上記の移行制御を行う。また、制御部22は、上記のエラーがWBGTの算出の途中で発生したエラーであるときには、WBGTの算出に係る以降の処理を行わずに上記の移行制御を行う。これにより、エラーが生じた場合に、WBGTを算出する処理の全部又は一部が省略されることから、従来よりも消費電力を削減することができる。
【0029】
また、制御部22は、センサ部21に設けられたセンサのうちの特定のセンサの測定結果が予め規定された条件を満たさない場合には、WBGTを算出して無線通信部23に送信させる処理を実行しない。このようにするのは、特定のセンサの測定結果に応じて余分なデータの処理や送信を削減することで、従来よりも消費電力を削減するためである。
【0030】
また、制御部22は、無線通信部23で受信された無線信号の内容(サーバ装置13から送信されてくる指示の内容)に応じて、WBGTを算出して無線通信部23に送信させる処理を実行するか否かを切り替え可能である。このようにするのは、サーバ装置13からの指示に応じて余分なデータの処理や送信を削減することで、従来よりも消費電力を削減するためである。
【0031】
無線通信部23は、制御部22の制御の下で、センサデータ等を無線信号にして送信する。無線通信部23は、例えば、ELTRES(登録商標)の通信規格に準拠して無線信号の送信のみを行うものであっても良く、LoRa(登録商標)やNB-IoT等の通信規格に準拠して無線信号の送信及び受信を行うものであっても良い。本実施形態において、無線通信部23は、無線信号の送信及び受信を行うものであるとする。尚、上記のELTRES(登録商標)、LoRa(登録商標)、NB-IoTは何れも、低消費電力長距離無線通信(LPWA:Low Power Wide Area)を実現する通信規格である。
【0032】
電源部24は、バッテリ等の独立電源を備えており、センサ部21、制御部22、及び無線通信部23に電力を供給する。上記のバッテリ等の独立電源は、例えば、一次電池、二次電池、キャパシタ、又は太陽電池をはじめとする環境発電素子(所謂、エネルギーハーベスト)を用いた電源である。
【0033】
〈送信データ〉
図3は、本発明の一実施形態によるセンサ装置から送信されるデータの概要を示す図であり、
図4は、
図3に示すデータの詳細を示す図である。尚、
図3に示すデータは、センサ装置11から送信されるデータのうちのペイロードを抜き出したものである。
図3に示す通り、センサ装置11から送信されるデータは、1バイトの通信識別データと、複数バイト(
図3に示す例では6バイト)のセンサデータとを含むデータである。
【0034】
1バイトの通信識別データには、駆動モードを示す2ビットのデータ(D)、及び電池交換通知を示す1ビットのデータ(B)が含まれる。上記駆動モードは、センサ装置11の駆動モードが、「EH(エネルギーハーベスト)モード(蓄電駆動)」であるのか、「EHモード(電池駆動)」であるのか、「USBモード」であるのか、「電池モード」であるのかを示すものである。上記の電池交換通知は、電池交換が必要か否かを示すものである。
【0035】
複数バイトのセンサデータには、センサ部21に設けられる各種センサの測定結果を示すデータが含まれる。具体的には、人感センサの測定結果を示す3ビットのデータ(人感)、温度センサ21aの測定結果を示す10ビットのデータ(温度)、湿度センサ21bの測定結果を示す7ビットのデータ(湿度)が含まれる。また、照度センサの測定結果を示す12ビットのデータ(照度)、及び気圧センサの測定結果を示す10ビットのデータ(照度)、及び蓄電センサの測定結果を示す6ビットのデータ(蓄電)が含まれる。
【0036】
ここで、センサ部21に設けられる各種センサは、センサ毎にセンサ状態を有効又は無効に設定することができる。センサ状態が無効にされているセンサのセンサデータには、「無効」である旨を示す情報が格納される。例えば、温度センサ21aのセンサ状態が無効に設定されている場合には、温度センサ21aのセンサデータ(温度)には、無効である旨を示す値「1022(10進数)」が格納される。
【0037】
また、センサ状態が有効に設定されているにも拘わらず、センサに何らかの異常が生じている場合(例えば、センサが故障している場合)には、そのセンサの本来のセンサデータを得ることができない。このようなセンサのセンサデータには、「測定異常」である旨を示す情報が格納される。例えば、温度センサ21aに異常が生じている場合には、温度センサ21aのセンサデータ(温度)には、測定異常である旨を示す値「1023(10進数)」が格納される。
【0038】
このように、本実施形態では、センサ状態が無効にされている場合には、センサ状態が無効にされている旨を示す情報がセンサデータに格納されて送信される。また、センサが異常である場合には、センサが測定異常である旨を示す情報がセンサデータに格納されて送信される。このため、本実施形態では、センサデータとは別に上記の情報(無効や測定異常を示す情報)を送信する場合に比べて、送信すべきデータの量を削減することができる。
【0039】
〈センサ装置の動作例〉
《第1動作例》
図5は、本発明の一実施形態によるセンサ装置の第1動作例を示すフローチャートである。本動作例は、センサ部21の測定結果を取得し、取得した測定結果からWBGTを算出し、必要なデータを送信し、待機状態に移行するというセンサ装置11の基本的な動作例である。尚、
図5に示すフローチャートは、予め規定された時間間隔(例えば、1分~1日程度の時間間隔)で繰り返される。
【0040】
図5に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、センサ部21の測定結果を取得する処理が制御部22で行われる(ステップS11)。具体的には、制御部22の制御によって、電源部24からセンサ部21に対して電力が供給される。電力が供給されると、センサ部21は動作状態になり、センサ部21に設けられた各種センサで測定が行われる。そして、センサ部21と制御部22との間で通信が行われ、センサ部21に設けられた各種センサの測定結果が制御部22に取得される。
【0041】
次に、センサエラーの有無が制御部22で判断される(ステップS12)。具体的には、センサ部21に設けられた各種センサの測定結果の有無を判断する処理が制御部22で行われる。例えば、WBGTを算出するために最低限必要な温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cの測定結果の有無を判断する処理が制御部22で行われる。
【0042】
尚、より正確なWBGTを算出するために、温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cの測定結果に加えて、気圧や風速の測定結果が用いられる場合がある。このような場合には、温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cの測定結果に加えて、気圧センサや風速計の測定結果の有無を判断するようにしても良い。
【0043】
また、黒球温度センサ21cの測定結果をサーバ装置13に送信しない場合には、最初に黒球温度センサ21cの測定結果の有無を判断し、その後に他のセンサ(例えば、温度センサ21aや湿度センサ21b)の測定結果の有無を判断するようにしても良い。
図3に示す通り、温度センサ21aや湿度センサ21bの測定結果はセンサデータとして送信されるため、異常のあるセンサを特定することができる。
【0044】
WBGTのエラーとして、「黒球温度センサの測定エラー」と、「センサデータ不足エラー」との2つを定義することで、黒球温度センサ21cに異常があるかどうかを識別できるようにしても良い。ここで、「黒球温度センサの測定エラー」は、少なくとも黒球温度センサ21cに異常があることを意味する。「センサデータ不足エラー」は、黒球温度センサ21cを除いたWBGTの計算に必要なセンサのデータを得ることができないことを意味する。例えば、温度センサと黒球温度センサとにエラーがある場合は、「黒球温度センサの測定エラー」となる。温度センサのみにエラーがある場合は、「センサデータ不足エラー」となる。
【0045】
センサエラーが無いと判断された場合(ステップS12の判断結果が「NO」の場合)には、WBGTを算出する処理が制御部22で行われる(ステップS13)。例えば、温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cの測定結果を用いてWBGTを算出する処理が制御部22で行われる。尚、温度センサ21a、湿度センサ21b、及び黒球温度センサ21cの測定結果に加えて、気圧センサや風速計の測定結果を用いてより正確なWBGTを算出しても良い。
【0046】
WBGTの算出方法としては、例えば、JIS規格であるJIS B 7922又はJIS Z 8504に規定されている算出方法を用いることができる。ここで、WBGTを解析的に解く(WBGTの厳密解を求める)のが困難な場合には、例えば、ニュートン法を用いてWBGTの近似解を求めても良い。
【0047】
次に、WBGTの算出途中におけるエラー発生の有無が制御部22で判断される(ステップS14)。WBGTの算出途中で発生するエラーとしては、例えば、0で除算する演算(0除算検知)、ニュートン法の収束エラー等が挙げられる。ここでは、このようなエラーが発生したか否かが制御部22によって判断される。
【0048】
WBGTの算出途中におけるエラー発生が無いと判断された場合(ステップS14の判断結果が「NO」の場合)には、データを送信する処理が行われる(ステップS15)。具体的には、制御部22の制御によって電源部24から無線通信部23に対して電力が供給され、制御部22の制御の下で、例えば、
図3に示すデータ(各種センサの測定結果を含むデータ)が無線通信部23から送信される。
【0049】
尚、無線通信部23からは、
図3に示すデータ(各種センサの測定結果を含むデータ)に加えて、制御部22で算出されたWBGTも送信される。制御部22で算出されたWBGTは、例えば、
図3に示す蓄電センサの測定結果を示す6ビットのデータ(蓄電)の後に続く10ビットのデータ(第8~9バイト目のデータ)として無線通信部23から送信されても良い。無線通信部23から送信されたデータは、基地局12及びネットワークNを解してサーバ装置13に収集される。
【0050】
以上の処理が終了すると、制御部22の制御によって待機状態に移行する処理が行われる(ステップS16)。例えば、制御部22は、センサ部21や無線通信部23に対する電力供給を停止させたり、自身を省電力モードに移行させたりすることで、待機状態に移行する。待機状態への移行が完了すると、前述した予め規定された時間間隔が経過するまで待機状態が継続される。
【0051】
一方、ステップS12の処理にてセンサエラーが有ると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、センサエラーを示すエラー情報を格納する処理が行われる(ステップS17)。尚、この場合には、WBGTを算出する処理(ステップS13)は行われない。例えば、センサ部21に設けられた温度センサ21aのセンサエラーがあると判断された場合には、
図3に示す温度センサ21aの測定結果を示す10ビットのデータ(温度)に測定異常である旨を示す値「1023(10進数)」を格納する処理が行われる。
【0052】
また、黒球温度センサ21cのセンサエラーがあると判断されたときには、例えば、WBGTの算出結果を示す10ビットのデータに測定異常である旨を示す値「1023(10進数)」を格納する処理が行われる。尚、WBGTの算出結果を示す10ビットのデータは、例えば、
図3に示す蓄電センサの測定結果を示す6ビットのデータ(蓄電)の後に続く10ビットのデータである。
【0053】
ステップS17の処理が終了すると、制御部22によって無線通信部23が制御され、エラー情報を含むデータを送信する処理が行われる(ステップS15)。尚、この処理では、センサエラーが生じてないセンサの測定結果も送信されるが、WBGTは送信されない点に注意されたい。データ送信が終了すると、制御部22の制御によって待機状態に移行する処理が行われる(ステップS16)。
【0054】
他方、ステップS14の処理にて、WBGTの算出途中におけるエラー発生が有ると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、そのエラーを示すエラー情報を格納する処理が行われる(ステップS17)。尚、この場合には、WBGTの算出に係る処理は中断され、WBGTの算出に係る以降の処理は行われない。
【0055】
例えば、0で除算する演算が行われた場合には、WBGTの算出結果を示す10ビットのデータに、0除算検知を示す値「1021(10進数)」を格納する処理が行われる。また、ニュートン法の収束エラーが発生した場合には、WBGTの算出結果を示す10ビットのデータに、ニュートン法の収束エラーを示す値「1022(10進数)」を格納する処理が行われる。
【0056】
ステップS17の処理が終了すると、制御部22によって無線通信部23が制御され、エラー情報を含むデータを送信する処理が行われる(ステップS15)。尚、この処理では、センサエラーが生じてないセンサの測定結果も送信されるが、WBGTは送信されない点に注意されたい。データ送信が終了すると、制御部22の制御によって待機状態に移行する処理が行われる(ステップS16)。
【0057】
以上の通り、第1動作例では、センサエラーが有る場合には、WBGTの算出を行わずに、エラー情報を無線通信部23に送信させてから待機状態に移行している。また、WBGTの算出途中におけるエラー発生が有る場合には、WBGTの算出に係る以降の処理を行わずに、エラー情報を無線通信部23に送信させてから待機状態に移行している。このように、第1動作例では、余分なWBGTの算出や送信が削減されるため、従来よりも消費電力を削減することができる。
【0058】
《第2動作例》
図6は、本発明の一実施形態によるセンサ装置の第2動作例を示すフローチャートである。尚、
図6においては、
図5に示すステップと同様のステップには同一の符号を付してある。本動作例は、センサ部21に設けられた複数のセンサのうちの特定のセンサの測定結果が予め規定された条件を満たすか否かに応じて、WBGTを算出して無線通信部23に送信させる処理を実行するか否かを切り替えるようにした動作例である。
【0059】
一般的に、環境情報としてのWBGTは、熱中症を予防するための指標であることから、気温が高いときに求めれば十分である。このため、本実施形態では、気温が予め規定された範囲に含まれない場合にはWBGTの算出及び送信を行わないことで、消費電力を削減するようにしている。尚、
図6に示すフローチャートは、
図5に示すフローチャートと同様に、予め規定された時間間隔(例えば、1分~1日程度の時間間隔)で繰り返される。
【0060】
図6に示すフローチャートの処理が開始されると、まず、センサ部21の測定結果を取得する処理が制御部22で行われる(ステップS21)。但し、ここでは黒球温度センサ21cによる黒球温度の測定が行われない。このため、センサ部21に設けられたセンサのうち、黒球温度センサ21c以外のセンサの測定結果を取得する処理が行われる。このようにするのは、消費電力を極力削減するためである(詳細は後述する)。
【0061】
次に、センサエラーの有無を判断する処理が制御部22で行われる(ステップS12)。センサエラーが無いと判断された場合(ステップS12の判断結果が「NO」の場合)には、気温が予め規定された条件(例えば、15℃以上)を満たすか否かが制御部22で判断される(ステップS22)。
【0062】
気温が予め規定された条件を満たすと判断した場合(ステップS22の判断結果が「YES」の場合)には、黒球温度センサ21cに黒球温度の測定を行わせて、その測定結果を取得する処理が制御部22で行われる(ステップS23)。次いで、黒球温度センサ21cについてのセンサエラーの有無を判断する処理が制御部22で行われる(ステップS24)。センサエラーが無いと判断された場合(ステップS24の判断結果が「NO」の場合)には、WBGTを算出する処理が制御部22で行われる(ステップS13)。そして、第1動作例と同様に、WBGTの算出途中におけるエラー発生の有無が制御部22で判断される(ステップS14)。
【0063】
WBGTの算出途中におけるエラー発生が無いと判断された場合(ステップS14の判断結果が「NO」の場合)には、例えば、
図3に示すデータ(各種センサの測定結果を含むデータ)を送信する処理が行われる(ステップS15)。尚、この処理では、WBGTも送信される点に注意されたい。データ送信が終了すると、制御部22の制御によって待機状態に移行する処理が行われる(ステップS16)。
【0064】
一方、ステップS12,S24の処理にてセンサエラーが有ると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、センサエラーを示すエラー情報を格納する処理が行われる(ステップS17)。尚、この場合には、WBGTを算出する処理(ステップS13)は行われない。また、ステップS14の処理にて、WBGTの算出途中におけるエラー発生が有ると判断された場合(判断結果が「YES」の場合)には、そのエラーを示すエラー情報を格納する処理が行われる(ステップS17)。尚、この場合には、WBGTの算出に係る処理は中断され、WBGTの算出に係る以降の処理は行われない。
【0065】
ステップS17の処理が終了すると、制御部22によって無線通信部23が制御され、エラー情報を含むデータを送信する処理が行われる(ステップS15)。尚、この処理では、センサエラーが生じてないセンサの測定結果も送信されるが、WBGTは送信されない点に注意されたい。データ送信が終了すると、制御部22の制御によって待機状態に移行する処理が行われる(ステップS16)。
【0066】
他方、ステップS22の処理にて、気温が予め規定された条件を満たさないと判断した場合(判断結果が「NO」の場合)には、例えば、
図3に示すデータ(各種センサの測定結果を含むデータ)を送信する処理が行われる(ステップS15)。尚、この処理では、WBGTは送信されない点に注意されたい。データ送信が終了すると、制御部22の制御によって待機状態に移行する処理が行われる(ステップS16)。
【0067】
以上の通り、第2動作例では、気温が予め規定された範囲に含まれない場合にはWBGTの算出及び送信を行わないようにしている。また、第2動作例では、第1動作例と同様に、センサエラーが有る場合には、WBGTの算出を行わずに、エラー情報を無線通信部23に送信させてから待機状態に移行している。また、WBGTの算出途中におけるエラー発生が有る場合には、WBGTの算出に係る以降の処理を行わずに、エラー情報を無線通信部23に送信させてから待機状態に移行している。このように、第2動作例でも、余分なWBGTの算出や送信が削減されるため、従来よりも消費電力を削減することができる。
【0068】
また、第2動作例では、黒球温度センサ21cによる黒球温度の測定が、ステップS22の判断結果が「YES」の場合に行われ、ステップS22の判断結果が「NO」の場合には行われない。このため、第1動作例よりも消費電力を削減することができる。尚、第2動作例の変形例として、第1動作例と同様に、フローチャートが開始されたら、黒球温度センサ21cの測定結果を含めてセンサ部21の測定結果を取得するようにしても良い。このような変形例の動作を示すフローチャートは、
図6のステップS21を
図5のステップS11に置き換え、
図6中のステップS23,24を削除したものとなる。
【0069】
《第3動作例》
本動作例は、サーバ装置13からの指示に応じて、センサ装置11が、WBGTを算出して送信する処理を実行するか否かを切り替えるようにした動作例である。サーバ装置13から、WBGTの送信停止を示す指示が送信されてきた場合には、センサ装置11の制御部22は、WBGTを算出して無線通信部23に送信させる処理を実行しない。これに対し、サーバ装置13から、WBGTの送信を示す指示が送信されてきた場合には、センサ装置11の制御部22は、WBGTを算出して無線通信部23に送信させる処理を実行する。
【0070】
これにより、例えば、サーバ装置13は、気温が高い場合にはセンサ装置11で算出されたWBGTを収集し、気温が低い場合にはWBGTの収集を停止する(WBGTの算出を停止させる)といった運用を行うことができる。また、当初はデータを大量に取得する設定でセンサ装置11の動作を開始させ、様子を見ながら、過剰なデータ(例えば、WBGT)については、送信させないようにするといった高度な制御も可能になる。
【0071】
以上の通り、第3動作例では、サーバ装置13からの指示に応じて、センサ装置11が、WBGTを算出して送信する処理を実行するか否かを切り替えるようにしている。このように、第3動作例では、サーバ装置13からの指示に応じて、余分なWBGTの算出や送信が削減されるため、従来よりも消費電力を削減することができる。
【0072】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上述した第2動作例では、気温が予め規定された範囲に含まれない場合には、熱中症を予防するための指標であるWBGTの算出及び送信を行わない例について説明した。しかしながら、WBGTに加えて(又は、WBGTに代えて)、環境情報としての絶対湿度(インフルエンザの流行判定に使用することができる)の算出及び送信を行わないようにしても良い。尚、絶対湿度は、気温が低いときに求めれば十分である。
【0073】
例えば、気温が20℃以上のときには、WBGTを算出して送信する処理を行い、気温が12℃以下のときには、絶対湿度を算出して送信する処理を行うといった具合である。尚、温度が12℃よりも高く20℃よりも低い場合には、WBGTを算出して送信する処理と絶対湿度を算出して送信する処理との双方の処理を行わない。
【0074】
また、上述した第3動作例において、センサ装置11は一定の時間間隔で動作するものであるため、センサ装置11が動作状態にあるときに、サーバ装置13からの指示を受信可能にすることが望ましい。例えば、センサ装置11がデータ送信を行った後であって、待機状態に移行する前に、サーバ装置13からの指示を受信する期間を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0075】
1…センサシステム、11…センサ装置、13…サーバ装置、21…センサ部、21a…温度センサ、21b…湿度センサ、21c…黒球温度センサ、22…制御部、23…無線通信部、24…電源部