(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124882
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】本質安全防爆型検知器及び本質安全防爆型検知システム
(51)【国際特許分類】
G08C 19/00 20060101AFI20220819BHJP
G08C 17/00 20060101ALI20220819BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20220819BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220819BHJP
G08B 25/10 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G08C19/00 M
G08C17/00 Z
G08C19/00 G
G08C15/00 D
G08B17/00 A
G08B25/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022777
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000192338
【氏名又は名称】深田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平澤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】花井 佑一朗
(72)【発明者】
【氏名】石川 亮
【テーマコード(参考)】
2F073
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA03
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2F073GG06
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2F073GG08
5C087AA03
5C087BB20
5C087BB74
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5C087EE10
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5C087GG83
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5G405AB05
5G405AD05
5G405BA08
5G405CA17
5G405CA31
5G405CA52
5G405DA21
5G405DA22
5G405EA38
(57)【要約】
【課題】センサ1台当たりの価格を抑え、かつ電池寿命を長くし、低コスト化することができる本質安全防爆型検知システムを提供する。
【解決手段】本質安全防爆型検知システム100は、所定の異常を検知したか否かを判定する検知部、及び判定結果をデジタル信号として制御器72へ出力するとともに、制御器72とデジタル信号を授受する入出力部を含む検知器10を複数台備える。本質安全防爆型検知システム100は、更に、検知器10と上位装置80との間における信号の授受の中継を行う制御器72と、検知器10へ電力を供給する電源部74と、制御器72と入出力部との間を接続するように設けられた複数の信号伝送線を含むと共に、検知器10に対して電源部74からの電力供給を行うケーブル部90と、上位装置80と制御器72との間における信号の授受を無線通信により行う送受信器76とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部、及び
特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部
を含む複数台の検知器と、
前記複数台の検知器の各々へ電力を供給する電源部と、
前記電源部と前記複数台の検知器の各々との間を接続するように設けられ、前記検知器に対して前記電源部からの電力供給を行う伝送ケーブル部と、
前記第1無線方式の周波数帯域で、前記複数台の検知器の各々と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記複数の検知器の各々との間における信号の授受を行う親機送受信器と、
を含む本質安全防爆型検知システム。
【請求項2】
センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部、及び
特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信部へ送信するとともに、前記親機送受信部とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部
を含む複数台の検知器と、
前記第1無線方式の周波数帯域で、前記複数台の検知器の各々と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記複数台の検知器の各々と前記上位装置との間における信号の授受の中継を行う親機送受信器と、
前記複数台の検知器の各々へ電力を供給する電源部と、
前記電源部と前記複数台の検知器の各々との間を接続するように設けられ、前記検知器に対して前記電源部からの電力供給を行う伝送ケーブル部と、
前記複数台の検知器の各々に対して、前記検知器における前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、
を含む本質安全防爆型検知システム。
【請求項3】
前記親機送受信器は、一定時間毎にポーリングにて各検知器の状態、前記伝送ケーブル部の状態、及び判定結果を順に監視し、前記検知器の状態又は前記伝送ケーブル部の状態が異常状態である場合、若しくは前記判定結果が前記所定の異常を検知したことを示す場合、又は
前記検知器から前記所定の異常を検知したことを示す前記判定結果のデジタル信号の出力があった場合には、上位装置へ所定のメッセージを送信する請求項1又は2記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項4】
2台以上の検知器から、前記検知器の状態が異常状態であることを示す前記デジタル信号、又は前記判定結果が前記所定の異常を検知したことを示す前記デジタル信号の出力があった場合に、各検知器の状態及び判定結果を順に監視し、監視結果を上位装置へ伝送する制御器を更に含む請求項1記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項5】
前記検知器、前記電源部、前記制御器、前記親機送受信器、及び前記伝送ケーブル部のいずれか又は全部が、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される危険箇所(ZONE 0)に設置される請求項1~請求項4の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項6】
センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部と、
特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部と、
電力を供給する電源部と、
前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、
を含む本質安全防爆型検知器であって、
前記親機送受信器は、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記本質安全防爆型検知器と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記本質安全防爆型検知器との間における信号の授受を行う本質安全防爆型検知器。
【請求項7】
センサと接続するための接続端子と、
前記接続端子に接続された前記センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部と、
前記環境情報又は前記所定の異常の種類毎に、予め定められた監視周期又は検知周期を記憶した周期記憶部と、
特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部と、
電力を供給する電源部と、
前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対応する前記監視周期又は前記検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、
を含む本質安全防爆型検知器であって、
前記親機送受信器は、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記本質安全防爆型検知器と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記本質安全防爆型検知器との間における信号の授受を行う本質安全防爆型検知器。
【請求項8】
センサと接続するための接続端子と、
前記センサの種類毎に、センサ情報の取得処理が予め定められており、前記接続端子に接続された前記センサの種類に対応する前記取得処理により、前記センサによって検出されたセンサ情報を取得する取得部と、
環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部であって、前記環境情報又は前記所定の異常の種類毎に、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知処理が予め定められており、
前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対応する前記検知処理により、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部と、
特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部と、
前記環境情報又は前記所定の異常の種類毎に、予め定められた監視周期又は検知周期を記憶した周期記憶部と、
電力を供給する電源部と、
前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対応する前記監視周期又は前記検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、
を含む本質安全防爆型検知器であって、
前記親機送受信器は、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記本質安全防爆型検知器と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記本質安全防爆型検知器との間における信号の授受を行う本質安全防爆型検知器。
【請求項9】
前記上位装置は、一定時間毎に前記本質安全防爆型検知器の状態、及び判定結果を順に監視し、前記本質安全防爆型検知器の状態が異常状態である場合、若しくは前記判定結果が前記所定の異常を検知したことを示す場合、又は
前記本質安全防爆型検知器から前記所定の異常を検知したことを示す前記判定結果のデジタル信号の出力があった場合には、前記上位装置より上位の装置へ所定のメッセージを伝送する請求項6~請求項8の何れか1項記載の本質安全防爆型検知器。
【請求項10】
請求項6~請求項9の何れか1項記載の本質安全防爆型検知器を複数台含む本質安全防爆型検知システム。
【請求項11】
前記検知器は、
前記所定の異常の種類毎に、前記所定の異常を検知するための閾値を記憶したセンサ情報記憶部を更に含み、
前記検知部は、前記所定の異常を検知したか否かの判定を行う際に、前記所定の異常の種類に対応する前記閾値を用いて前記判定を行う請求項1~請求項5の何れか1項、又は請求項10記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項12】
前記検知器の待機時の消費電流は、300nA以下である請求項1~請求項5の何れか1項、請求項10、又は請求項11記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項13】
前記制御器は、クロック発生部、リアルタイムクロック、又はカウンタを有し、
前記検知器の待機時は、前記制御器の前記クロック発生部、前記リアルタイムクロック、又は前記カウンタのみが動作する請求項2、又は請求項10~請求項12の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項14】
前記検知器は、
炭酸ガス共鳴放射帯のピーク波長を含む第1帯域の赤外光を透過する第1帯域フィルター、
前記第1帯域とは異なる第2帯域の赤外光を透過させると共に、帯域中心が前記炭酸ガス共鳴放射帯の帯域中心から離れた位置に設けられた第2帯域フィルター、及び
前記第1帯域及び前記第2帯域とは異なる第3帯域の赤外光を透過させると共に、帯域中心が前記炭酸ガス共鳴放射帯の帯域中心から離れた位置に設けられた第3帯域フィルターを含む複数の帯域フィルターと、
前記複数の帯域フィルターの各々に対して設けられた、前記帯域フィルターを透過した赤外光を検出して電気信号に変換する検出素子を含む検出部であって、前記複数の帯域フィルターの少なくとも1つに対して設けられた検出素子は、2次元状に配列されたアレイセンサとして構成されている検出部と、を更に含み、
前記検知部は、各検出素子によって検出された電気信号に基づいて、温度の監視、又は炎若しくは異常温度を検知したか否かの判定を行う
請求項1~請求項5の何れか1項、又は請求項10~請求項13の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項15】
配管の表面に配置される複数の超音波振動子の各々において超音波パルスを発生させる超音波パルス発生部と、
前記複数の超音波振動子の各々において超音波パルスを発生させたときの超音波エコー信号を受信する超音波エコー信号受信部と、を更に含み、
前記検知部は、前記超音波エコー信号を解析して、前記配管の減肉状態の判定を行い、
前記電源部は、発電モジュールである請求項1~請求項5の何れか1項、又は請求項10~請求項13の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項16】
前記電源部は、一次電池、二次電池、又は発電モジュールで構成される請求項1~請求項5の何れか1項、又は請求項10~請求項15の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項17】
前記検知部は、前記環境情報として、温度、湿度、圧力、振動、衝撃、ガス濃度、音、超音波、又は回転を監視し、あるいは、前記所定の異常として、温度、湿度、圧力、振動、衝撃、ガス濃度、音、超音波、若しくは回転に関する異常、火災、減肉、ガス漏洩、又は液漏れを検知したか否かを判定する請求項1~請求項5の何れか1項、又は請求項10~請求項16の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項18】
前記センサの電気的な仕様、又は前記発電モジュールの電気的な仕様は、1.5V以下であり、100mA以下であり、かつ、25mW以下である請求項1~請求項5の何れか1項、又は請求項10~請求項17の何れか1項記載の本質安全防爆型検知システム。
【請求項19】
前記センサと前記接続端子との間でのデータ伝送を、電圧1.5V以下、かつ25mW以下のアナログ電流伝送もしくはアナログ電圧伝送で実施する請求項7又は8記載の本質安全防爆型検知器。
【請求項20】
前記センサと前記接続端子との間でのデータ伝送を、電圧1.5V以下、100mA以下、かつ、25mW以下の平衡伝送で実施する請求項7又は8記載の本質安全防爆型検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は本質安全防爆型検知器及び本質安全防爆型検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラントや工場においては、運転操業に重要な設備を中心に、異常状態を検知するセンサや環境情報を収集するセンサが設けられ、当該センサに対応した情報伝送ネットワークが構築されている。
【0003】
一方で、重要でない箇所については、当該センサが設けられていないもの、若しくはセンサ計測値が現場表示のみで上位へ伝送されないもの(例えば、ブルドン管圧力計など)が大半であり、人による巡回点検にて異常や環境確認を実施している。
【0004】
ここで、1つのプラントには当該箇所が数万~十数万箇所存在するため、この確認作業が多大なコストとなっている。例えば石油製油所等のプラントでは、数万箇所を1日あたり6~7回、毎日実施している。特に近年では、設備の老朽化によって当該箇所での異常が増加しており、また目視点検のみでは異常の規模が拡大するまで発見できない等の問題が発生している。
【0005】
上記背景から、当該箇所についても異常状態や環境情報をセンサで収集し、上位ネットワークへ蓄積する監視システムを要望する声は多く、各プラント企業で監視システムの研究がなされていたり、無線伝送機能が設けられた防爆センサが上市されている。
【0006】
また、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される危険箇所(ZONE 0)に設置されるセンサおよび監視機器類については、上位とデジタル信号の授受をおこなう方法が種々規定されている。
【0007】
例えば有線で信号伝送をおこなう場合、Fieldbusの標準規格であるPROFIBUSやFOUNDATION Fieldbusのなかに、危険箇所向け(PA向け)に物理層やデータリンク層の仕様が定められている(PROFIBUS-PA等)。また、Local Area Networkの通信規格であるイーサネットについても、物理層の規格としてEthernet Advanced Physical LayerがIEEE 802.3にて定められている。
【0008】
一方、危険箇所における無線信号伝送については主にLPWA(Low Power Wide Area)の総称で各種規格が定められている(SigFox、LoRaWAN、Wi-SUN等)。
【0009】
例えば、横河電気株式会社製の本質安全防爆型無線センサではLoRaWANが用いられており、1種類のセンサ(振動・温度・圧力のうち一つ)に無線モジュールと電池パックがセットされた、「Sushi Sensor(登録商標)」が商品化されている。
【0010】
また、新コスモス電機株式会社やアズビル金門株式会社より、危険箇所において無線伝送できるセンサ機器が提案されている。
【0011】
また、上記横河電気株式会社製「Sushi Sensor(登録商標)」については、環境情報の取得及び上位へのデータ伝送を任意時間間隔(分~日単位)で実施する。本センサは内蔵の塩化チオニルリチウム電池のみで上記動作をおこなうため、省電力通信を採用するなどの省電力化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開1993-227569号公報
【特許文献2】特開1997-64796号公報
【特許文献3】特開1997-65441号公報
【特許文献4】特開2006-11642号公報
【特許文献5】特開2010-182174号公報
【特許文献6】特開2013-211829号公報
【特許文献7】特開2016-71460号公報
【特許文献8】特開2018-10346号公報
【特許文献9】特開2018-41125号公報
【特許文献10】特開2018-128911号公報
【特許文献11】特開2019-193362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、現在上市されているセンサ機器は価格が高く、上記点検箇所すべてに導入する場合、初期費用がかさむ問題があった。また、上記機器は主に電池がセンサに内蔵される前提で小型の電池が選定されていることから寿命が短く(数年~最大でも10年程度)、設置台数が多くなるほど交換に係るランニングコストが無視できない問題があった。
【0014】
本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、センサ1台当たりの価格を抑え、かつ電池寿命を長くし、低コスト化した本質安全防爆型検知器及び本質安全防爆型検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の態様に係る本質安全防爆型検知システムは、センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部、及び特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部を含む複数台の検知器と、前記複数台の検知器の各々へ電力を供給する電源部と、前記電源部と前記複数台の検知器の各々との間を接続するように設けられ、前記検知器に対して前記電源部からの電力供給を行う伝送ケーブル部と、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記複数台の検知器の各々と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記複数の検知器の各々との間における信号の授受を行う親機送受信器と、を含んで構成されている。
【0016】
第2の態様に係る本質安全防爆型検知システムは、センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部、及び特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信部へ送信するとともに、前記親機送受信部とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部を含む複数台の検知器と、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記複数台の検知器の各々と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記複数台の検知器の各々と前記上位装置との間における信号の授受の中継を行う親機送受信器と、前記複数台の検知器の各々へ電力を供給する電源部と、前記電源部と前記複数台の検知器の各々との間を接続するように設けられ、前記検知器に対して前記電源部からの電力供給を行う伝送ケーブル部と、前記複数台の検知器の各々に対して、前記検知器における前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、を含んで構成されている。
【0017】
第3の態様に係る本質安全防爆型検知器は、センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部と、特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部と、電力を供給する電源部と、前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、を含む本質安全防爆型検知器であって、前記親機送受信器は、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記本質安全防爆型検知器と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記本質安全防爆型検知器との間における信号の授受を行う。
【0018】
第4の態様に係る本質安全防爆型検知器は、センサと接続するための接続端子と、前記接続端子に接続された前記センサによって検出されたセンサ情報に基づいて、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部と、前記環境情報又は前記所定の異常の種類毎に、予め定められた監視周期又は検知周期を記憶した周期記憶部と、特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部と、電力を供給する電源部と、前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対応する前記監視周期又は前記検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、を含む本質安全防爆型検知器であって、前記親機送受信器は、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記本質安全防爆型検知器と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記本質安全防爆型検知器との間における信号の授受を行う。
【0019】
第5の態様に係る本質安全防爆型検知器は、センサと接続するための接続端子と、前記センサの種類毎に、センサ情報の取得処理が予め定められており、前記接続端子に接続された前記センサの種類に対応する前記取得処理により、前記センサによって検出されたセンサ情報を取得する取得部と、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部であって、前記環境情報又は前記所定の異常の種類毎に、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知処理が予め定められており、前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対応する前記検知処理により、環境情報の監視、又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う検知部と、特定小電力無線である第1無線方式の周波数帯域で、前記検知部による監視結果又は判定結果をデジタル信号として親機送受信器へ送信するとともに、前記親機送受信器とデジタル信号を送受信する特定小電力無線通信部と、前記環境情報又は前記所定の異常の種類毎に、予め定められた監視周期又は検知周期を記憶した周期記憶部と、電力を供給する電源部と、前記環境情報又は前記所定の異常の種類に対応する前記監視周期又は前記検知周期に応じて、前記電源部からの電力の供給を制御する制御器と、を含む本質安全防爆型検知器であって、前記親機送受信器は、前記第1無線方式の周波数帯域で、前記本質安全防爆型検知器と信号の送受信を行うと共に、前記第1無線方式とは異なる特定小電力無線又はLTE(Long Term Evolution)方式無線である第2無線方式の周波数帯域で、上位装置と信号の送受信を行うことにより、前記上位装置と前記本質安全防爆型検知器との間における信号の授受を行う。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様である本質安全防爆型検知器及び本質安全防爆型検知システムによれば、センサ1台当たりの価格を抑え、かつ電池寿命を長くし、低コスト化することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係るケーブル部の構成を示す概略図である。
【
図3】マンチェスタ符号化バス給電を用いた伝送方式における電流の変化を示すグラフである。
【
図4】検知器をツリー接続した場合のイメージ図である。
【
図5】マンチェスタ符号化バス給電を用いた伝送方式における電圧の変化を示すグラフである。
【
図6】本発明の第1の実施の形態に係る検知器の構成を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態に係る検知器の演算処理部の構成を示すブロック図である。
【
図8】検知器からの伝送信号のデータ構成を示す図である。
【
図9】通常時の本質安全防爆型検知システムの上位装置と信号変換器と検知器との間の信号のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図10】異常時の本質安全防爆型検知システムの上位装置と信号変換器と検知器との間の信号のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図11】(A)単独の火災信号の電流の変化を示すグラフ、(B)単独の火災信号の電流の変化を示すグラフ、(C)2つの火災信号を重ね合わせた信号の電流の変化を示すグラフである。
【
図12】火災信号が同時に出力された場合における本質安全防爆型検知システムの上位装置と信号変換器と検知器との間の信号のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図13】ケーブル部の断線又は短絡が発生した場合のイメージ図である。
【
図14】本発明の第2の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図15】ケーブル部の断線又は短絡が発生した場合のイメージ図である。
【
図16】本発明の実施の形態の他の例に係る検知器の構成を示すブロック図である。
【
図18】本発明の第3の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図19】本発明の第3の実施の形態に係る検知器の構成を示す概略図である。
【
図20】本発明の第3の実施の形態に係る検知器の動作を示すタイムチャートである。
【
図21】本発明の第3の実施の形態に係る検知器の演算処理部の構成を示すブロック図である。
【
図22】本発明の第3の実施の形態に係る信号送受信器の構成を示すブロック図である。
【
図23】各検知器の動作タイミングを示すシーケンス図である。
【
図24】本発明の第3の実施の形態に係る検知器の他の例の構成を示す概略図である。
【
図25】検知器の動作タイミングを示すシーケンス図である。
【
図26】ポーリング時の本質安全防爆型検知システムの上位装置と信号送受信器と検知器との間の信号のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図27】検知器単体が周期制御を行う時の本質安全防爆型検知システムの上位装置と信号送受信器と検知器との間の信号のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図28】伝送データが混信した場合における本質安全防爆型検知システムの上位装置と信号送受信器と検知器との間の信号のやりとりを示すシーケンス図である。
【
図29】本発明の第5の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムの構成を示すブロック図である。
【
図30】本発明の第5の実施の形態に係る検知器の構成を示す概略図である。
【
図31】本発明の第5の実施の形態に係る検知器の接続端子の構成を示す図である。
【
図32】本発明の第5の実施の形態に係る検知器の演算処理部の構成を示すブロック図である。
【
図33】各検知器の動作タイミングを示すシーケンス図である。
【
図34】本発明の第5の実施の形態に係る検知器の動作を示すタイムチャートである。
【
図35】本発明の実施の形態に係る検知器とセンサ部との間の信号のやりとりを示すタイムチャートである。
【
図36】本発明の第5の実施の形態に係る検知器の動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
<本発明の実施の形態の概要>
本発明の実施の形態は、危険箇所(可燃性ガス蒸気場所、可燃性粉じん場所)で火災又は異常温度を検知し、当該情報を上位装置へ無線通信により送信する本質安全防爆型検知システムの構成及び動作に係るものである。
【0024】
また、各検知器は大半をスリープモード(消費電流:400nA程度)にて動作し、設置箇所の環境データ(温度、振動、圧力、ガス濃度、音、衝撃、回転速度、液面高さ等)の取得時のみにランニングモード(消費電流:数μA~数100μA)となる。
【0025】
上記環境データの取得にかかる時間は検知器によって異なるものの、1回あたり約60~90[s]程度であり、1日6~8回程度実施した場合でも、1日あたりのランニングモードは5分程度であり、大半をスリープモードにて過ごす。
【0026】
ランニングモードへの切り替わりは、各検知器のマイコンの内蔵タイマを使用する方法や、信号送受信器からのポーリングによる割り込みで実施する方法があり、環境データを取得して信号送受信器へ伝送した後、スリープモードへ再移行する。
【0027】
例えば上記マイコンにおいて、CPUやフラッシュ、ほとんどの周辺機能を停止させ、クロックのみを動作させることで上記動作を極低消費電力で実行できる。
【0028】
また、各検知器に順送り回路等を設けておき、信号送受信器からその動作開始を制御する手法も有効である。これにより、電源部(電池ユニット)からみてケーブル部上に接続される検知器は1個となり、当該検知器の動作電流のみが消費電流となる。
【0029】
また各検知器と無線親機との間の信号伝送には、特定小電力無線の周波数帯域を使用する。具体的には、特定小電力無線のテレメーター用、テレコントロール用、及びデータ伝送用の周波数帯域であって、サブGHz帯を使用する。
【0030】
更に、無線親機と上位装置との間の信号伝送には、LTE(Long Term Evolution)方式無線の周波数帯域を使用する。
【0031】
ここで、検知器による監視周期又は検知周期の一例を、以下に列挙する。下記の通り、収集する情報によってはプレアラームの判定にて検知器の種類に応じた検知周期を短くしたり、反対に長期間正常状態が継続する場合は、更に長い検知周期へ移行できるようにする等の対応をおこなう。したがって、最も検知周期の長い検知器によってネットワーク周期が決定される。
【0032】
検知内容の種類が、炎検知である場合には、高速検出型では、検知周期が50msである。この場合、3sで炎の判定を行い、30sで復旧する。標準型では、検知周期が500msである。この場合、1~2周期連続で炎が検知された場合にプレアラームへ移行し、その後、上記高速検出型と同じ検知周期に移行する。
【0033】
また、検知器10が、炎の位置も検出する場合には、上記の炎判定の後、10sで位置判定を行う。
【0034】
また、検知内容の種類が炎用異常検知の場合で、異常温度検知(高温度型)であり、240~480℃の範囲の温度を監視する場合には、検知周期が60sである。監視された温度が設定値以上の場合、高温物体であると判断し、1~2周期連続で高温物体であると判断されるとプレアラームへ移行し、例えば10min連続で高温物体であると判断されると、異常温度であると判定する。
【0035】
検知内容の種類が炎用異常検知の場合で、異常温度検知(低温度型)であり、80~200℃の範囲の温度を監視する場合には、検知周期が1hである。監視された温度が設定値以上の場合、異常温度物体であると判断し、1~2周期連続で異常温度物体であると判断されるとプレアラームへ移行し、例えば3h連続で異常温度物体であると判断されると、異常温度であると判定する。
【0036】
また、検知内容の種類が温度用検知の場合で、温度監視(高温度型)であり、240~480℃の範囲の温度を監視する場合には、監視周期が60sである。また、検知内容の種類が、温度監視(低温度型)であり、80~200℃の範囲の温度を監視する場合には、監視周期が1hである。
【0037】
また、検知内容の種類が、ガス漏れ検知である場合には、炎の高速検出型と同様に、検知周期が50msであるか、標準型と同様に、検知周期が500msである。
【0038】
また、検知内容の種類が、液漏れ検知である場合には、検知周期が1hである。監視された抵抗値が5h連続して閾値以下の場合、プレアラームへ移行し、10h~24h連続で監視された抵抗値が閾値以下であると判断されると、液漏れを検知したと判定する。
【0039】
また、検知内容の種類が、衝撃検知である場合には、検知周期が1msである。監視された加速度が5ms連続して閾値以上の場合、プレアラームへ移行し、10ms~24ms連続で監視された加速度が閾値以上であると判断されると、衝撃を検知したと判定する。
【0040】
[第1の実施の形態]
<システム構成>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムについて説明する。
【0041】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム100は、複数の検知器10と、無線親機68と、上位装置80とを備えている。複数の検知器10と、無線親機68とからなるセットが、複数セット設けられている。無線親機68は、バリア70と、制御器72と、電源部74と、送受信器76と、を備えている。送受信器76が、親機送受信器の一例である。
【0042】
電源部74と、複数の検知器10とはケーブル部90で接続されている。
【0043】
上位装置80は、ホストコンピュータ82、DCS/PLC84、及び制御盤86の何れか一つ又は複数と、無線送受信器88とを備えている。上位装置80と、制御器72とはLTE(Long Term Evolution)方式無線の周波数帯域を用いた無線通信を介して接続されている。検知器10と、無線親機68とは、危険箇所に設置され、上位装置80は、非危険箇所に設置されている。
【0044】
制御器72は、検知器10と送受信器76との間におけるデジタル信号の授受の中継および変換を行う。電源部74は、ケーブル部90を介して各検知器10へ電力を供給する。電源部74は、一次電池又は二次電池で構成される。
【0045】
送受信器76は、上位装置80と制御器72との間における信号の授受をLTE方式無線の周波数帯域を用いた無線通信により行うLTE無線モジュール761と、検知器10と制御器72との間における信号の授受を特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信により行う特定小電力無線モジュール762と、を備えている。
【0046】
危険箇所に複数台設置された検知器10は、ケーブル部90にT分岐コネクタ90Cを介して接続されており、バリア70及びケーブル部90を介して、電源部74からの電源供給を受ける。ここでバリア70は、検知器10へ供給されるエネルギーを制限し、断線又は短絡時に生じる過電圧や過電流を、着火に至る火花が発生しないレベルに抑える役割を担う。また制御器72は、検知器10と上位装置80間の伝送信号を変換する役割を担うとともに、ケーブル部90の状態の監視(ケーブル部90の断線及び短絡監視等)を行う。
【0047】
なお、
図1は一本のケーブル部90を中心としたバス接続となっているが、ツリー構造も可能である。また、検知器10は、2Pコネクタで、ケーブル部90と接続されてもよい。
【0048】
<信号伝送(検知器→信号変換器)>
ケーブル部90は、
図2に示すように、デジタル信号を伝送すると共に検知器10に対して電源部74からの電力供給を行うための信号伝送線90Bを備えている。
【0049】
検知器10は、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信と、信号伝送線90Bとにより、信号(固有アドレス/火災信号/異常温度信号/状態情報等)を、それぞれ制御器72へ伝送する。ここで、信号伝送線90Bでの伝送方式には、電源ライン上にマンチェスタ符号化した伝送信号を載せる、マンチェスタ符号化バス給電(Manchester-coded Bus Powered:MBP)を用いる。MBPでは、各検知器10へ基本消費電流を供給するとともに、信号伝送を行う検知器10に対して通信用電流(例えば6[mA])を供給し、当該検知器10での電流変調(例えば±6[mA])にて電流信号を伝送する(
図3参照)。
【0050】
データ伝送は、最大でも30kbps程度の低い伝送速度で実施する。例えば、デジタル信号の伝送速度を、10kbps~30kbpsとする。上記速度であれば、長距離伝送(数10km~)を除いてインピーダンス整合を考慮する必要がなく(伝送ラインの分岐による信号反射を考慮する必要が無く)、検知器10をツリー状に配置することもできる(
図4参照)。
【0051】
検知器10からそれぞれ別個に送信された信号は、制御器72にて任意の伝送信号に変換され、LTE無線モジュール761により上位装置80へ送信される。
【0052】
<信号伝送(信号変換器→検知器)>
本実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム100においては、制御器72から検知器10へ伝送される信号(アドレス/状態確認信号等)についても、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信と、信号伝送線90Bでの伝送とを併用して伝えられる。ただし危険箇所においては供給できる最大電流には制限があり、MBP伝送のための電流を全ての検知器10へ供給した場合、ケーブル部90へ接続される検知器10の台数には大きな制限がかかる。例えば危険箇所(ZONE0)に設置された検知器10(機器グループIIC、保護レベルia)に対するFISCO電源の許容出力電流は183mA(@出力電圧14[V])であり、接続可能台数は最大でも9台となる。そこで第1の伝送方式は、検知器10へ印加される電圧の変調により、信号伝送を行う。例として、非伝送時に検知器10へ印加される電圧が3[V]の場合、伝送時は2.5Vまで電圧を降下させ、電圧変調(通信用電圧±0.5[V])にてマンチェスタ符号化した電圧を伝送する(
図5参照)。この際、印加される電流は異常検知の動作に必要な基本消費電流を設置台数で積算した値となる(例えば1[mA/台]×32台=32[mA])。本手法により、MBP伝送ラインと同一ラインで通信時の消費電流を抑えることが可能であり、検知器10の設置可能台数を増加させることができる。本方式では、全検知器10に対して同時に信号伝送が可能となる。ただし上記手法は一例であり、0.75~1.0[V]の高周波電圧変調にて信号形成する伝送手法等も可能である。
【0053】
<検知器の構成>
図6に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る検知器10は、炎が発する炭酸ガス共鳴放射帯の4.5μm近傍の帯域の赤外光を検出する第1センサ12と、炭酸ガス共鳴放射帯より短い波長の帯域の4.0μm近傍の帯域の赤外光を検出する第2センサ14と、炭酸ガス共鳴放射帯より長い波長の帯域の5.0μm近傍の帯域の赤外光を検出する第3センサ16と、上記の3つの帯域より短い帯域の3.0μm近傍のバンドの光を監視窓331を介して検出する第4センサ319とを備えている。また、検知器10は、第1センサ12からの信号を増幅する増幅部18と、第2センサ14からの信号を増幅する増幅部21と、第3センサ16からの信号を増幅する増幅部22と、第4センサ319からの信号を増幅する増幅部321と、増幅部18、21、22、321からの信号を切り替えるスイッチ24と、スイッチ24からの信号をデジタル値に変換するAD変換部26とを備えている。また、検知器10は、炎又は異常温度を検知する処理を行う演算処理部29と、入出力部32とを備えている。
【0054】
入出力部32は、演算処理部29によって炎又は異常温度を検知したことをデジタル信号として特定小電力無線モジュール34及びケーブル部90を用いて制御器72へ出力するとともに、制御器72とデジタル信号を授受する。
【0055】
また、上記
図6に示すように、検知器10は、筐体110Aの一部に監視窓331が設けられている。
【0056】
第1センサ12は、炎が発する炭酸ガス共鳴放射帯の4.5μm近傍の帯域の赤外光を透過するフィルター12Aと、フィルター12Aを透過した赤外光を検出して直流成分の電気信号に変換する検出素子を2次元状に配列させたアレイセンサ12Bと、フィルター12Aの前に配置された光学レンズ12Cとを備えている。
【0057】
第2センサ14は、炭酸ガス共鳴放射帯より短い波長の帯域の4.0μm近傍の帯域の赤外光を透過させるフィルター14Aと、フィルター14Aを透過した赤外光を検出して直流成分の電気信号に変換する検出素子を2次元状に配列させたアレイセンサ14Bと、フィルター14Aの前に配置された光学レンズ14Cとを備えている。
【0058】
第3センサ16は、炭酸ガス共鳴放射帯より長い波長の帯域の5.0μm近傍の帯域の赤外光を透過させるフィルター16Aと、フィルター16Aを透過した赤外光を検出して直流成分の電気信号に変換する検出素子を2次元状に配列させたアレイセンサ16Bと、フィルター16Aの前に配置された光学レンズ16Cとを備えている。
【0059】
第4センサ319は、監視窓331を透過した自然光のうち、4.0μm以下の可視光域を含む範囲の少なくとも一部である短波長域の光を透過させるフィルター318Aと、フィルター318Aを透過した光を検出して直流成分の電気信号に変換する検出素子318Bとを備えている。
【0060】
アレイセンサ12Bの各検出素子は、アレイセンサ14Bの各検出素子及びアレイセンサ16Bの各検出素子と対応するように配置されている。
【0061】
また、アレイセンサ12B、14B、16Bは、予め定められた監視角度(例えば、90度)で、赤外光を検出しており、対応するアレイセンサ12Bの検出素子、アレイセンサ14Bの検出素子、及びアレイセンサ16Bの検出素子は、予め定められた同じ領域からの赤外光を検出している。
【0062】
また、光学レンズ12C、14C、16Cは、各々1枚以上のレンズで構成されている。なお、光学レンズ12C、14C、16Cは、各々2枚以上のレンズで構成されていることが望ましい。これは、アレイセンサ12Bの検出素子、アレイセンサ14Bの検出素子、及びアレイセンサ16Bの検出素子の広い監視角度に対して、フラットな面にできる限り焦点を結ばせるためである。また、レンズの反射によりロスを少なくする為に、レンズに反射防止膜(ARコート)を蒸着することにより、検出素子の感度を増加させることも可能である。レンズ材料は、サファイア、カルコゲナイドガラス、シリコン、ゲルマニウムなどである。
【0063】
なお、炭酸ガス共鳴放射帯の4.5μm近傍の帯域の赤外光を検出する弱い電気信号を確実に捉えるために、第1センサ12と同じセンサを更に設けてもよい。
【0064】
第1センサ12~第4センサ319の検出素子は、サーモパイルで構成されているが、InAsSb素子など、他の光起電力タイプの素子や、抵抗変化を利用したマイクロボロメータ素子、PbSeなどの光導電タイプの素子で構成することもある。なお、サーモパイルやマイクロボロメータと比較して、他の素子は、赤外線検出速度が極めて速い。このため、回路構成は同じでも、AD変換速度を速くする事で、極めて高速に炎を検出することが出来る検知器を構成することが可能となる。
【0065】
増幅部18、21、22、321は、第1センサ12の各検出素子の電気信号、第2センサ14の各検出素子の電気信号、第3センサ16の各検出素子の電気信号、及び第4センサ319の検出素子318Bの電気信号をそれぞれ独立して増幅する。
【0066】
スイッチ24は、増幅部18、21、22、321によって個別に増幅された電気信号を、一定の時間で順次切り替えて一つの電気信号に集約するスイッチ部(図示省略)を含み、当該スイッチ部により一つに集約された電気信号を出力する。なお、スイッチ24を設けずに、増幅部18、20、22、322のそれぞれに対して、AD変換部を設けて、増幅された電気信号をデジタル値に個別に変換して演算処理部29に出力するようにしてもよい。
【0067】
演算処理部29は、CPUで構成されている。演算処理部29を、機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、
図7に示すように、演算処理部29は、信号取得部40、検知部44、及び入出力制御部46を備えている。
【0068】
信号取得部40は、AD変換部26から出力された信号から、第1センサ12の各検出素子からの電気信号の値、第2センサ14の各検出素子からの電気信号の値、第3センサ16の各検出素子からの電気信号の値、及び第4センサ319の検出素子318Bからの電気信号の値を取得する。
【0069】
検知部44は、信号取得部40によって取得された、第1センサ12の各検出素子からの電気信号の値、第2センサ14の各検出素子からの電気信号の値、及び第3センサ16の各検出素子からの電気信号の値に基づいて、アレイセンサ12Bの各検出素子に対し、炎又は異常温度を検知したか否かを判定する。なお、判定方法については特許文献(国際公開第2018/198504号)に記載の手法と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
また、検知部44は、アレイセンサ12Bの検出素子のうち、炎を検知したと判定された検出素子に対して予め定められた位置を、火災位置として判定する。
【0071】
検出素子に対して予め定められる位置は、検知器10を設置するときに、位置計測器を用いて、検出素子毎に実空間上の検出位置を計測して設定しておけばよい。
【0072】
検知部44は、炎を検知したと判定された検出素子からの電気信号の値に基づいて、炎の空間的な大きさである規模Wを判定する。
【0073】
検知部44は、災を検知したと判定された場合、火災位置を報知するように入出力制御部46を制御する。例えば、入出力制御部46は、火災信号を特定小電力無線モジュール34及びケーブル部90を介して制御器72へ送信させる。
【0074】
また、検知部44は、第3センサ16の検出素子からの電気信号の値と、第4センサ319の検出素子318Bからの電気信号の値とが、予め定められた条件を満たした場合に、監視窓331、第3センサ16、第4センサ319、増幅部18、21、22、321、スイッチ24、AD変換部26、又は演算処理部29が異常状態であると判定し、異常状態を報知するように入出力制御部46を制御する。例えば、入出力制御部46は、窓汚れ又はその他異常を示す信号を特定小電力無線モジュール34及びケーブル部90を介して制御器72へ送信させる。
【0075】
<本質安全防爆型検知システムの作用>
次に、本発明の第1の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム100の作用について説明する。
【0076】
まず、本質安全防爆型検知システム100に設置される検知器10に対しては、それぞれに個別のアドレスが付与される。これにより、検知器10と制御器72との間のデータ伝送では、アドレスと各種情報を併せた信号の授受がなされる。例として、ケーブル部90上に32台の検知器10が接続される場合、アドレス部は5bitで表現され、その後ろに数bitの状態情報(火災信号、異常温度、窓汚れ、火災位置等)が付け加えられる(
図8)。なお本アドレスは、上位装置80からの信号伝送や、検知器10内に設けられたディップスイッチ等で任意に変更可能である。
【0077】
また、検知器10によって、炎又は異常温度を検知する処理が、一定の周期毎に繰り返し実行される。また、検知器10によって、検知器10の異常状態を判定する処理が、一定の周期毎に繰り返し実行される。
【0078】
このとき、本質安全防爆型検知システム100において、通常時、以下のデータの授受が行われる。
【0079】
<データの授受(通常時)>
本質安全防爆型検知システム100では、通常時、ポーリング形式にて各検知器10の状態チェックが行われる。具体的には、制御器72から各検知器10(各アドレス)に対して順に状態情報要求信号を出力し(S1)、指定された検知器10が当該情報(アドレス及び異常なし/窓汚れ/その他異常等)を出力する(S2)。これをアドレス順に各検知器10に対して実施し、1サイクルが完了した時点で収集した状態情報を上位装置80へ無線通信により送信する。これを一定時間サイクルで繰り返す(
図9)。
【0080】
なお本状態チェックにより、後述する断線箇所の特定が可能である。制御器72からの状態情報要求信号に対して返答がない検知器10の数やアドレスにより、断線箇所の特定が可能となる。
【0081】
上記のように、検知器10およびネットワークの機能を定期的に診断し診断結果を上位装置80へ無線通信により伝送することにより、本質安全防爆型検知システム100の信頼性を向上できるだけでなく、メンテナンスコスト等を低減できる。
【0082】
また、検知器10によって炎又は異常温度が検知され、あるいは、検知器10が異常状態であると判定されると、本質安全防爆型検知システム100において、以下のデータの授受が行われる。
【0083】
<データの授受(火災検知時、異常温度検知時、異常状態判定時)>
任意の検知器10にて異常状態が検知された場合、
図10に示すように、当該検知器10から制御器72に対して当該情報(アドレス及び火災信号/異常温度信号等)が出力される(S3)。この本信号入力を受け、制御器72は送受信器76、88を介して上位装置80へ火災信号、異常温度信号、又は異常状態信号等を送信する(S4)。加えて制御器72は、上記信号のうちアドレス部の情報が伝送された時点で、全ての検知器10に対して当該アドレスの検知器10から信号伝送されている旨を信号出力する(S5)。上記信号伝送を受け、当該検知器10を除くすべての検知器10は任意時間経過後まで火災信号、異常温度信号、又は異常状態信号の出力が停止され、任意時間(ミリ秒オーダー)が経過するまでに異常を検知していた検知器10が存在する場合は、当該任意時間経過後、火災信号、異常温度信号、又は異常状態信号の出力がなされる。これにより、複数の検知器10から僅かな時間差で出力された信号について、重なりによる喪失や通信失敗を防ぐことができる。なお上記時間は、伝送する信号量に応じて任意に変更可能である(出力される情報が火災信号、異常温度信号、又は異常状態信号のみの場合は短く、異常位置情報や温度情報等を併せて出力する場合は長くする等)。
【0084】
なお、検知器10は、一定時間を経過しても制御器72から承諾信号が伝送されてこない場合、火災信号等を再度出力し、承諾信号が伝送されるまでこれを繰り返し実行する。なお、同時刻に2台以上の検知器10から火災信号等が出力された場合や、検知器10の状態チェック中に任意の検知器10から火災信号等が出力された場合、2つ以上の信号が合成された信号が制御器72へ入力される(
図11)。この場合、条件によっては信号の復元ができず喪失する可能性があるため、ポーリング形式にて各検知器10の状態チェックを行う。具体的には、
図12に示すように、制御器72側で複数の検知器10から出力があったと判定された場合、全ての検知器10に対して順にアドレスおよび状態情報要求信号を出力し(S6)、指定された各検知器10が当該情報(アドレス及び異常なし/火災信号等)を出力する(S7)。これをアドレス順に各検知器10に対して実施し、火災信号、異常温度信号、又は異常状態信号が確認された時点で、当該情報を上位装置80へ無線通信により送信する(S8)。なお、複数台の検知器10から出力がなされたと制御器72にて判定する手法としては、MBP伝送で、例えば電源からの出力電流を監視し、当該電流の増加量によって判定を行う方法がある。
【0085】
したがって、当該伝送方式にて何らかの信号が入力した場合は、上記MBPと同様にポーリング形式にて各検知器10の状態チェックを行うことで、確実な伝送を行う。ただし本手法は一例であり、搬送波感知多重アクセス/衝突検出(CSMA/CD)のように、検知器10同士でケーブル部90を流れる信号の状況を監視し、回線の使用権を調整する手法も適用可能である。以上のように、簡素かつ伝送の確実性が高いポーリングを用いることにより、検知器10からの火災信号の喪失や通信失敗を防ぎ、両伝送方式におけるデータの授受に対する信頼性を向上できる。
【0086】
<断線/短絡対策>
ケーブル部90において断線又は短絡時が発生した場合、任意の検知器10で監視不可状態(電源供給がなされない状態、信号伝送がなされない状態等)が発生する可能性がある(
図13)。本質安全防爆型検知システム100では、以下の手法にて断線及び短絡の監視を行い、上位装置80へ断線/短絡警報を無線通信により送信する。
【0087】
(断線監視)
本質安全防爆型検知システム100では、上述したように、検知器10の状態チェックが一定周期でなされる。従って、制御器72からの状態情報要求信号に対して応答がない場合、断線の発生を疑う。ここで、検知器10に対しては固有のアドレスが付与されるため、
図13(A)に示すように、ケーブル部90上で断線が発生した場合や、
図13(B)に示すように、ケーブル部90の支線上で断線が発生した場合には、1サイクルの状態チェックを経て応答がないアドレスを基に、制御器72にて断線箇所の特定が可能である。
【0088】
(短絡監視)
本質安全防爆型検知システム100では、
図13(C)に示すように、ケーブル部90上で短絡が発生した場合や、
図13(D)に示すように、ケーブル部90の支線上で短絡が発生した場合には、短絡箇所の特定は行えないものの、制御器72ないし電源部74にて短絡電流を監視することで、短絡を検知することが可能である。
【0089】
<電源部の電池メンテナンス>
本質安全防爆型検知システム100では、定期的に、電源部74の一次電池の交換または二次電池の充電を行う。このとき、検知器10の数に対して、電源部74の数が少ないため、電源部74の電池のメンテナンスの手間が少なくて済む。なお、電源部74は、本質安全性を担保すれば外部電源であってもよく、その場合には、電池のメンテナンスが不要なため、管理コストが更に少なくて済む。
【0090】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムによれば、信号伝送線を介して、電源部から複数台の検知器に対して電力を供給することにより、電源部の数を低減することができるため、電源部の管理コストを低減することができる。
【0091】
また、検知器及び無線親機の各々は、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信及びケーブル部を用いてデジタル信号の授受を行うことにより、簡易な構成で、信頼性の高い本質安全防爆型検知システムを提供することができる。
【0092】
また、ケーブル部により、検知器で検知した火災又は異常温度を、ケーブル部の不具合(断線や短絡)が発生した場合でも確実に上位装置へ伝送させ、安全度水準の高い本質安全防爆型検知システムを実現できる。
【0093】
また、最も技術要求の厳しい危険箇所(ZONE0)での火災/異常温度監視環境を、低コストで実現できる。
【0094】
また、危険箇所に複数台設置された検知器は、一本のケーブル部にT分岐で接続されており、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信及びケーブル部を介して、非危険箇所に設けられた上位装置と半二重通信を行う。具体的には、検知器から信号変換器へ伝送される信号(固有アドレス/火災信号/異常温度信号/状態情報等)は、マンチェスタ符号化バス給電による電流信号と、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信の信号の2種類の信号として、冗長化されて伝えられる。また、信号変換器から検知器へ伝送される信号(アドレス/状態確認信号等)は、検知器へ印加する電圧の変調によって生成される電圧伝送と、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信信号の2種類の信号として、冗長化されて伝えられる。これにより、火災信号又は異常温度を確実に上位装置へ伝達することができる。
【0095】
また、上記電圧変調による電圧伝送を用いることにより、危険箇所へ供給される電流を抑えることが可能であり、危険箇所へ設置される検知器の数を増やすことができる。
【0096】
また、電圧変調による電圧伝送を数10kbps程度の低い伝送速度で実施することで、ツリー分岐も可能なネットワークとすることができる。
【0097】
また、信号変換器からのポーリングにより、検知器およびネットワークの機能を定期的に診断し、無線通信により上位装置へ伝送することにより、本質安全防爆型検知システムの信頼性を向上させ、かつメンテナンスコスト等を低減する。
【0098】
また、複数台の検知器から火災信号等が同時出力された場合に、信号変換器からのポーリングを行うことで火災信号の通信失敗を防ぎ、データの授受に対する信頼性を向上させる。
【0099】
[第2の実施の形態]
<システム構成>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムについて説明する。なお、第1の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
図14に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム200は、複数の検知器10と、無線親機68A、68Bと、上位装置80とを備えている。複数の検知器10と、無線親機68A、68Bとからなるセットが、複数セット設けられている。無線親機68Aは、バリア70Aと、制御器72Aと、電源部74Aと、送受信器76Aと、を備えている。また、無線親機68Bは、バリア70Bと、制御器72Bと、電源部74Bと、送受信器76Bと、を備えている。
【0101】
制御器72Aと、複数の検知器10とはケーブル部290Aで接続され、制御器72Bと、複数の検知器10とはケーブル部290Bで接続されている。電源部74A、74Bは、一次電池又は二次電池で構成される。
【0102】
このように、本実施の形態では、ケーブル部290A及び無線親機68Aを含む第1中位構成と、ケーブル部290B及び無線親機68Bを含む第2中位構成と、が設けられている。これに合わせて、各検知器10は、入出力部32及び特定小電力無線モジュール34を2つずつ備え、一方の入出力部32は、第1中位構成と接続され、ケーブル部290Aを介して、演算処理部29によって炎を検知したことをデジタル信号として制御器72Aへ出力するとともに一方の特定小電力無線モジュール34により演算処理部29によって炎を検知したことをデジタル信号として制御器72Aへ送信し、制御器72Aとデジタル信号を授受する。また、他方の入出力部32は、第2中位構成と接続され、ケーブル部290Bを介して、演算処理部29によって炎を検知したことをデジタル信号として制御器72Bへ出力するとともに他方の特定小電力無線モジュール34により演算処理部29によって炎を検知したことをデジタル信号として制御器72Bへ送信し、制御器72Bとデジタル信号を授受する。
【0103】
ケーブル部290A、290Bは、上記第1の実施の形態のケーブル部90と同様に、信号伝送線90Bを備えている。
【0104】
本質安全防爆型検知システム200では、ケーブル部290A、290Bから送受信器76A、76Bまでのラインを2重化する。このように、ネットワーク二重化を行うことで、断線又は短絡時に監視不可となる状態を回避できる(
図15)。具体的には、第1の実施の形態と同様の手法で一方のネットワークでの断線/短絡を制御器72A又は72Bにて検知した場合、無線通信により上位装置80へ短絡警報を送信すると共に、伝送ラインを自動的にもう一方のネットワークへ切替える。これにより、断線又は短絡による火災/異常温度監視不可となる状態を回避でき、信頼性の高い火災監視環境を構築できる。
【0105】
なお、検知器10に対しては固有のアドレスが付与されるため、
図15(A)に示すように、ケーブル部290B上で断線が発生した場合や、
図15(B)に示すように、ケーブル部290Bの支線上で断線が発生した場合には、1サイクルの状態チェックを経て応答がないアドレスを基に、制御器72Bにて断線箇所の特定が可能である。また、
図15(C)に示すように、ケーブル部290B上で短絡が発生した場合や、
図15(D)に示すように、ケーブル部290Bの支線上で短絡が発生した場合には、短絡箇所の特定は行えないものの、制御器72Bないし電源部74Bにて短絡電流を監視することで、短絡を検知することが可能である。
【0106】
以上説明したように、第2の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムによれば、検知器と無線親機との間の通信を2重化することにより更なる冗長化が図れ、火災又は異常温度監視のための、信頼性の高いネットワークを低コストで実現する。この場合、信号伝送という点では4重系統となる。二重化により、断線や短絡が発生した場合でも、火災又は異常温度の監視環境を継続できる。なお実際の運用においては、ケーブル接続用コネクタを2個設けた検知器を標準品とし、顧客の要求する安全度水準(SIL)やコストに応じて二重化の有無を選択可能とすることも可能である。
【0107】
<変形例>
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0108】
例えば、検知器10が、炎又は異常温度を検知する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、検知器10が、プラントの配管の減肉状態を検知するようにしてもよい。この場合には、
図16に示すように、検知器10Aは、消費電力を制御する機能を有するCPUである演算処理部112Aと、センサ部20Aと接続するための接続端子18Aと、バリア69A、70Aと、超音波パルス発生部22Aと、超音波エコー信号受信部24Aと、切替スイッチ26Aと、外部電源部28Aを接続するための電源接続端子73Aと、入出力部32Aと、特定小電力無線モジュール34Aとが含まれる。
【0109】
外部電源部28Aは、熱電発電モジュールであり、熱電素子による温度差発電を行い、検知器10Aに給電する。なお、外部電源部28Aは、熱電発電以外の発電モジュールであってもよく、例えば、太陽電池であってもよい。
【0110】
センサ部20Aは、複数の超音波振動子20Bを備えている。超音波振動子20Bは、プラントの配管の直径に応じた数量だけ配置され、例えば、プラントの配管が細いものであれば、2~3個の超音波振動子20Bを配置し、プラントの配管が太いものであれば、10数個の超音波振動子20Bを配置する。また、
図17に示すように、プラント配管PHの表面に、超音波振動子20Bが取り付けられる。また、プラント配管PHの表面に、外部電源部28Aの熱電素子28Bが取り付けられる。また、超音波振動子20B及び熱電素子28Bを覆うように、保温材HOが、プラント配管PHに取り付けられている。なお、
図17は、保温材HOを透過させて示したプラント配管PHの斜視図である。また、保温材HOの表面に、外部電源部28Aの熱電素子28Bを取り付けるようにしてもよい。また、外部電源部28Aと電源部74とを併用してもよい。
【0111】
超音波パルス発生部22Aは、切替スイッチ26Aにより接続された複数の超音波振動子20Bの何れかにおいて超音波パルスを発生させる。
【0112】
超音波エコー信号受信部24Aは、切替スイッチ26Aにより接続された複数の超音波振動子20Bの何れかにおいて超音波パルスを発生させたときの超音波エコー信号を受信する。
【0113】
演算処理部112Aを、機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、演算処理部112Aは、パルス制御部40A、エコー信号解析部44A、及び切替制御部46Aを備えている。
【0114】
パルス制御部40Aは、超音波パルス発生部22Aにより超音波パルスを発生させるように制御する。
【0115】
エコー信号解析部44Aは、超音波振動子20Bから受信した超音波エコー信号を解析して、当該超音波振動子20Bが配置された箇所におけるプラント配管PHの減肉状態の判定を行う。
【0116】
上記の構成により、外部電源部28Aの温度差発電にて検知器10Aに給電を行うため、電池レス又は長期間電池交換不要とし、ランニングコストを減らすことができる。減肉状態の判定対象となるプラント配管に、超音波振動子20Bだけでなく、外部電源部28Aの熱電素子28Bを取り付けるため、外部電源部28Aの設置が容易である。
【0117】
また、ガス検知器や温度センサのように定められた閾値以上で所定の異常を検知したことを示す警報を出力するようなシステムに、本発明を適用してもよい。例えば、センサによって検出された湿度、圧力、振動、衝撃、ガス濃度、音、超音波、若しくは回転が、閾値以上である場合に、所定の異常を検知したことを示す警報を出力するシステムに、本発明を適用してもよい。また、センサによって検出されたセンサ情報によって、液漏れが検知された場合に、警報を出力するシステムに、本発明を適用してもよい。また、検知器として、危険箇所に複数台が連なって設置されるフィールド機器を用いた本質安全防爆型検知システムに本発明を適用してもよい。
【0118】
また、ケーブル部の伝送方式として、MBPを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、電圧変調によるマンチェスタ符号や、イーサネット(登録商標)を使用してもよい。第1の伝送方式として、イーサネット(登録商標)を使用する場合には、PoE(Power over Ethernet)という技術で通信線にて給電が可能である。
【0119】
[第3の実施の形態]
<本発明の実施の形態の概要>
本発明の実施の形態は、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される危険箇所にて、検知器により、環境情報の監視(温度、振動、圧力、ガス濃度、音、衝撃、回転速度等)、ならびに各種異常状態の検知(火災、温度異常、危険物の漏洩、ガス漏れ等)をおこない、同危険箇所にて当該信号を上位へ無線伝送する本質安全防爆型検知システムに係るものである。
【0120】
本システムは、以下に列挙される性質を有する。
【0121】
(1)1本のバスラインに複数個(数個から100個程度)の検知器が接続され、環境情報/異常状態を上位へ伝送する。
【0122】
(2)上記検知器を1台の信号送受信器、電源部(電池ユニット)ならびに無線送受信器にて束ねることにより、検知器単体のコストを抑えると共に、無線機器に係る通信量や使用料の低減を図る。
【0123】
(3)1台の電源部(電池ユニット)に対して、各種センサ部を接続した検知器、信号送受信器、ならびに無線送受信器の動作を、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様であって、さらに極低消費電流(μAオーダー)で実行することにより、電源部を含めた系全体が危険箇所に設置される。
【0124】
(4)上記低消費電流によって電池寿命を15~20年程度まで伸ばし、電池交換に係るランニングコストも低減させる。
【0125】
(5)無線と有線を併せ持つことにより、プラント内の無線が届きにくい場所においても信頼性の高い有線伝送を実施できる。
【0126】
<システム構成>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムについて説明する。
【0127】
図18に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム300は、複数台の検知器310と、複数の無線親機368と、上位無線送受信器378と、上位装置380とを備えている。また、複数台の検知器310と、無線親機368と、からなるバスライン388が、複数設けられている。無線親機368は、バリア370と、制御器372と、電源部373と、送受信器374とを備えている。
【0128】
制御器372と、複数台の検知器310とはケーブル部90で接続されている。送受信器374は、上位装置380と制御器372との間における信号の授受をLTE方式無線の周波数帯域を用いた無線通信により行うLTE無線モジュール3741と、検知器310と制御器372との間における信号の授受を特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信により行う特定小電力無線モジュール3742と、を備えている
【0129】
上位装置380は、ホストコンピュータ382と、DCS/PLC384と、リレー盤386との何れか一つ又は複数を備えている。上位装置380は、上位無線送受信器378に接続されており、上位無線送受信器378は、上位装置380と無線親機368との間における信号の授受をLTE方式無線の周波数帯域を用いた無線通信により行う。検知器310と、無線親機368とは、危険箇所に設置され、上位無線送受信器378と、上位装置380とは、非危険箇所に設置されている。
【0130】
制御器372は、検知器310と上位装置380との間におけるデジタル信号の授受の中継を行う。電源部373は、ケーブル部90を介して各検知器310へ電力を供給する。
【0131】
また、
図18に示すように、危険箇所に複数台設置された検知器310は、一本のケーブル部90にT分岐コネクタ90Cを介して接続されており、同じく危険箇所に設けられた無線親機368を介して上位装置380へ信号伝送をおこなう。また、検知器310は、同じく危険箇所に設けられた電源部373(電池ユニット)からケーブル部90を介して給電を受ける。
【0132】
ここでバリア370は、検知器310へ供給されるエネルギーを制限し、断線又は短絡時に生じる過電圧や過電流を、着火に至る火花が発生しないレベルに抑える役割を担う。また制御器372は、各検知器310と送受信器374間の伝送信号を変換する役割を担うとともに、ネットワーク状態の監視(ケーブル部90の断線及び短絡監視等)をおこなう。
【0133】
また、複数のバスライン388の無線親機368に集められた情報は、上位無線送受信器378へ伝送され、イーサネット等を経由してホストコンピュータ382やクラウド上へ集約される。
【0134】
なお、バスライン388のケーブル部90には様々な検知器310が複数個(数個~100個程度)接続され、検知する内容の種類に応じて、環境情報(温度、振動、圧力、ガス濃度、音、超音波、衝撃、回転速度、液面高さ等)、ならびに各種異常状態(火災、温度異常、危険物の漏洩、ガス漏れ等)を上位装置380へ伝送する。
【0135】
なお、
図18は一本のケーブル部90を中心としたバス接続となっているが、ツリー構造も可能である。
【0136】
ケーブル部90は、上記
図2に示すように、制御器372と検知器310の後述する入出力部との間を接続するように設けられた、デジタル信号を伝送すると共に検知器310に対して電源部373からの電力供給を行うための信号伝送線90Bを備えている。
【0137】
検知器310は、信号伝送線90Bを介して、信号(固有アドレス/火災信号/異常温度信号/状態情報等)を制御器372へ伝送すると共に、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信で、信号(固有アドレス/火災信号/異常温度信号/状態情報等)を制御器372へ伝送する。
【0138】
<検知器の構成>
各検知器310には、消費電力を制御する機能を有するCPUである演算処理部312、入出力部314、操作部316、センサ部320と接続するための接続端子318、及び特定小電力無線モジュール327が含まれる(
図19参照)。入出力部314には、アドレス識別部324及びバリア322が含まれる。各検知器310は、大半をスリープモード(消費電流:数百nA)又はCPU停止、電源断状態で過ごし、環境情報の取得時にのみランニングモード(消費電流:数μA~数100μA)へ移行する。また、上記環境情報の取得サイクルは検知器310によって異なるものの、ランニングモードとなるのは1回あたり約60~90[s]程度であり、1日の大半を待機モードにて過ごす(
図20参照)。また同図の通り、各検知器310は上記の周期ごとに検知器310自体の診断をおこない、取得情報と共に機能情報(診断情報)を制御器372に出力するようにしてもよい。なお、上記消費電力を制御する機能を有するCPUとしてルネサスエレクトロニクス株式会社製のREマイコン(SOTB)がある。
【0139】
<検知器の演算処理部の構成>
検知器310の演算処理部312は、CPUで構成されている。演算処理部312を、機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、
図21に示すように、演算処理部312は、信号取得部326、検知部群328、検知内容種設定部330、入出力制御部332、及びセンサ情報記憶部334を備えている。
【0140】
信号取得部326は、センサ部320からの信号を取得する。
【0141】
検知部群328は、温度用異常検知部328A、炎用異常検知部328B、ガス漏れ用異常検知部328C、液漏れ用異常検知部328D、振動衝撃用異常検知部328E、及び温度用検知部328Fを備えている。
【0142】
温度用異常検知部328Aは、接続されたセンサ部320が、各々波長域が異なる赤外線を検出する複数の検出素子である場合に、信号取得部326によって取得されたセンサ情報に基づいて、温度を監視する。例えば、各々波長域が異なる赤外線を検出する2つの検出素子の信号量を結んで得られる直線の傾きを求め、求められた傾きから、当該傾きと温度との関係を用いて、温度を監視する。そして、温度用異常検知部328Aは、監視された温度が閾値以上である場合に、異常温度を検知したと判定する。なお、センサ部320が、熱電対センサであってもよい。
【0143】
炎用異常検知部328Bは、接続されたセンサ部320が、各々波長域が異なる赤外線を検出する複数の検出素子である場合に、信号取得部326によって取得されたセンサ情報に基づいて、炎を検知したか否かを判定する。なお、判定方法については特許文献(国際公開第2018/198504号)に記載の手法と同様であるため、説明を省略する。
【0144】
ガス漏れ用異常検知部328Cは、接続されたセンサ部320が、所定のガスを検知するガスセンサである場合に、信号取得部326によって取得されたセンサ情報に基づいて、所定のガスの濃度を監視する。そして、ガス漏れ用異常検知部328Cは、監視されたガス濃度が閾値以上である場合に、ガス漏れを検知したと判定する。
【0145】
液漏れ用異常検知部328Dは、例えば接続されたセンサ部320が漏れた液体に触れることにより抵抗値が変化する等の場合に、信号取得部326によって取得されたセンサ情報に基づいて、抵抗値の変化を監視する。そして、液漏れ用異常検知部328Dは、抵抗値が閾値以下である場合に、液漏れを検知したと判定する。
【0146】
振動衝撃用異常検知部328Eは、接続されたセンサ部320が、加速度センサである場合に、信号取得部326によって取得されたセンサ情報に基づいて、加速度を監視する。そして、振動衝撃用異常検知部328Eは、監視された加速度が閾値以上である場合に、衝撃を検知したと判定する。
【0147】
温度用検知部328Fは、接続されたセンサ部320が、熱電対等の検出素子である場合に、信号取得部326によって取得されたセンサ情報に基づいて、温度用異常検知部328Aと同様に、温度を監視する。
【0148】
検知内容種設定部330は、操作部316の操作に応じて、温度用異常検知部328A、炎用異常検知部328B、ガス漏れ用異常検知部328C、液漏れ用異常検知部328D、振動衝撃用異常検知部328E、及び温度用検知部328Fの何れかを、作動対象として設定する。
【0149】
入出力制御部332は、ケーブル部90を介して、検知部群328による検知内容をデジタル信号として制御器372へ出力するとともに、特定小電力無線モジュール327により検知部群328による検知内容をデジタル信号として制御器372へ送信し、制御器372とデジタル信号を授受する。
【0150】
センサ情報記憶部334は、温度用異常検知部328A、炎用異常検知部328B、ガス漏れ用異常検知部328C、液漏れ用異常検知部328D、及び振動衝撃用異常検知部328Eの各々で用いられる、検知内容の種類に応じた閾値を記憶している。
【0151】
<制御器の構成>
制御器372は、
図22に示すように、信号送受信部352、周期記憶部354と、検知内容種設定部356と、周期管理部358と、を備えている。なお、周期管理部358が、電源制御部の一例である。
【0152】
信号送受信部352は、各検知器310と上位装置380との間におけるデジタル信号の授受の中継を行う。
【0153】
周期記憶部354は、検知器310による検知内容の種類毎に、監視周期又は検知周期を記憶している。
【0154】
検知内容種設定部356は、制御器372に設けられた操作部(図示省略)の操作を受け付けて、各検知器310による検知内容の種類を設定する。
【0155】
ここで、検知内容の種類毎の監視周期又は検知周期の一例を、以下に列挙する。下記の通り、収集する情報によってはプレアラームの判定にて検知器の種類に応じた検知周期を短くしたり、反対に長期間正常状態が継続する場合は、更に長い検知周期へ移行できるようにする等の対応をおこなう。したがって
図23のように、最も検知周期の長い検知器310によってネットワーク周期が決定される。
【0156】
検知内容の種類が、炎検知である場合には、高速検出型では、検知周期が50msである。この場合、3sで炎の判定を行い、30sで復旧する。標準型では、検知周期が500msである。この場合、1~2周期連続で炎が検知された場合にプレアラームへ移行し、その後、上記高速検出型と同じ検知周期に移行する。
【0157】
また、検知器310が、炎の位置も検出する場合には、上記の炎判定の後、10sで位置判定を行う。
【0158】
また、検知内容の種類が炎用異常検知の場合で、異常温度検知(高温度型)であり、200~480℃の範囲の温度を監視する場合には、検知周期が60sである。監視された温度が設定値以上の場合、高温物体であると判断し、1~2周期連続で高温物体であると判断されるとプレアラームへ移行し、例えば10min連続で高温物体であると判断されると、異常温度であると判定する。
【0159】
検知内容の種類が炎用異常検知の場合で、異常温度検知(低温度型)であり、80~200℃の範囲の温度を監視する場合には、検知周期が1hである。監視された温度が設定値以上の場合、異常温度物体であると判断し、1~2周期連続で異常温度物体であると判断されるとプレアラームへ移行し、例えば3h連続で異常温度物体であると判断されると、異常温度であると判定する。
【0160】
また、検知内容の種類が温度用検知の場合で、温度監視(高温度型)であり、200~480℃の範囲の温度を監視する場合には、監視周期が60sである。また、検知内容の種類が、温度監視(低温度型)であり、80~200℃の範囲の温度を監視する場合には、監視周期が1hである。
【0161】
また、検知内容の種類が、ガス漏れ検知である場合には、炎の高速検出型と同様に、検知周期が50msであるか、標準型と同様に、検知周期が500msである。
【0162】
また、検知内容の種類が、液漏れ検知である場合には、検知周期が1hである。監視された抵抗値が5h連続して閾値以下の場合、プレアラームへ移行し、10h~24h連続で監視された抵抗値が閾値以下であると判断されると、液漏れを検知したと判定する。
【0163】
また、検知内容の種類が、振動衝撃検知である場合には、検知周期が1msである。監視された加速度が5ms連続して閾値以上の場合、プレアラームへ移行し、10ms~24ms連続で監視された加速度が閾値以上であると判断されると、振動衝撃を検知したと判定する。
【0164】
周期管理部358は、複数台の検知器310の各々に対して、検知器310の検知内容の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、電源部373からの電力の供給を制御する。
【0165】
なお、上記では監視結果又は判定結果の情報を一定周期毎に制御器372へ伝送することとしているが、緊急性の高い情報(火災情報等)を即座に伝送することも可能である。
【0166】
ここで、各検知器310について、
図20では制御器372からの指令によりランニングモードへ移行するとしているが、各検知器10に順送り回路等を設けておき、制御器372からその動作開始を制御する手法も有効である。この場合、見かけ上、ケーブル部90上に接続される検知器310は1個となり、当該検知器310の動作電流のみが消費電流となるため、システム全体の消費電流をより低減できる。
【0167】
また、種々の検知器310について、消費電流が大きい場合や、1個の検知器のみをケーブル部90から離れた位置に設置したい場合等もあり、この場合は、当該1個の検知器を、
図24に示す検知器310Aとして構成すればよい。
【0168】
<検知器の他の例に係る構成>
検知器310Aには、演算処理部312、特定小電力無線モジュール327A、周期管理部316A、操作部316、接続端子318と、バリア322、322Aと、電源部326Aと、周期記憶部354Aとが含まれる(
図24参照)。特定小電力無線モジュール327Aには、無線受信部228と、無線送信部330Aと、アンテナ332Aとが含まれる。なお、周期管理部316Aが、制御器の一例である。また、消費電流を制御する機能を有するCPUが、演算処理部312として機能する。当該CPUとしてルネサスエレクトロニクス株式会社製のREマイコン(SOTB)がある。
【0169】
周期管理部316Aは、内部にクロック発生部、リアルタイムクロック、又はカウンタを有し、検知内容の種類に応じて定められた監視周期又は検知周期の間隔で演算処理部312を起動して上位装置380へ各種情報を伝送し、その後、演算処理部312を停止させる。検知器310Aの待機時は、周期管理部316Aのクロック発生部、リアルタイムクロック、又はカウンタのみが動作する。
【0170】
電源部326Aは、バリア322及び周期管理部316Aを介して、検知器310Aの各部に電力を供給する。また、電源部326Aは、バリア322を介して、無線受信部228に電力を供給する。
【0171】
無線受信部228は、アンテナ332Aにより上位装置380からLTE方式無線の周波数帯域を用いた無線通信で受信した信号を取得し、演算処理部312へ出力する。
【0172】
無線送信部330Aは、演算処理部312から出力された信号を、アンテナ332Aにより上位装置380へLTE方式無線の周波数帯域を用いた無線通信で送信する。
【0173】
周期記憶部354Aは、検知器310による検知内容の種類毎に、監視周期又は検知周期を記憶している。
【0174】
なお、異常状態を検知する検知器のように、異常判定のために装置にセンサ情報(ライブ情報)の蓄積が必要な場合もある。この場合、
図20のようにCPUの停止又は電源断に併せて当該マイコン内のRAM情報が削除されるため、ROM内への書き込みプロセスが追加される(
図25)。
【0175】
<バスラインの構成>
本発明の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム300では、各検知器310と制御器372間の信号(固有アドレス/環境情報/異常情報等)の授受を、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信と、信号伝送線90Bとによりおこなう。
【0176】
ここで信号伝送線90Bを用いた伝送方式は、電源ライン上にマンチェスタ符号化した伝送信号を載せる、マンチェスタ符号化バス給電(Manchester-coded Bus Powered:MBP)を用いる。MBPでは、各検知器10へ基本消費電流/電圧を供給するとともに、当該電流/電圧を変調させて、マンチェスタ符号のデジタル信号を形成する。例として、非伝送時に検知器310へ印加される電圧が3.0[V]の場合、伝送時は2.0Vまで電圧を降下させ、電圧変調(±0.5[V])にてデジタル信号を形成する(
図5)。電流を変調する場合も同様であり、通信用電流(例えば6[mA])を供給し、当該検知器での電流変調(例えば±6[mA])にてデジタル信号を形成する(
図3)。上記変調については、検知器310から制御器372への伝送を電流変調にて、反対に制御器372から検知器310への伝送を電圧変調にて実施する等、使い分けても良い。
【0177】
更にデータ伝送は、最大でも30kbps程度の低い伝送速度で実施する。上記速度であれば、インピーダンス整合を考慮する必要がなく(伝送ラインの分岐による信号反射を考慮する必要が無く)、検知器310をツリー状に配置することもできる(
図4)。なお、本ネットワークを往復するデータ伝送量は数10bit程度であり、上記伝送速度でも充分に実用に足る仕様である。
【0178】
このように、2種類の異なる伝送方式にて信号伝送を冗長化することにより、本ネットワークの信頼性を向上させることができる。
【0179】
なお上記伝送手法は一例であり、例えばその他の手法として、2.0~3.0[V]の高周波電圧変調にて信号形成する伝送手法等も可能である。
【0180】
<低消費電流>
本発明の実施の形態においては、検知器310、310Aの省電力制御や、省電力化された各種通信を用いる。これにより、各検知器310、310Aだけでなく、無線親機368についても、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様を満たすことができ、本質安全防爆型検知システム300全体が当該箇所へ設置される。
【0181】
ここで、以下に、100台の検知器310を1本のケーブル部90に接続した場合の、1日あたりに本質安全防爆型検知システム300で要する全消費電流の計算例を示す。
【0182】
まず、計算条件は、以下の通りとする。
有線通信はLVDS(350mV、3.5mA、30kbps)であり、無線通信はLPWA(20mW、4.4kbps)である。検知器の動作消費電力は2V、0.5mAであり、検知器のスリープ時電力は2V、3.5[μA]である。検知器の通信容量は大凡100bitであり、接続台数は約100台である。また、通信は1日8回(3時間に1回)であり、電池容量を5Ahとする。
【0183】
電池容量については、電池電力量が5[Ah]×3[V]=15[Wh]である。
【0184】
1日あたり有線通信(LVDS)の消費電力量は、以下のように計算される。
1伝送に要する時間は、100[bit]÷30[kbps]=3.33[ms]である。100台全て往復通信を行うと、要する時間は、3.33[ms]×100台×2=0.67[s]である。なお、1回のポーリングを想定し「×2」をしている。
上記を1日8回実施すると、0.67[s]×8[回]=5.36[s]≒5.5[s]である。消費電力量は、5.0[s]÷3600[s/h]×3.5[mA]×350[mA]×350[mV]=1.9×10-6[Wh]である。
【0185】
そして、1日当たりの検知器の消費電力量は以下のように計算される。
1台あたりの1日消費電力量は、動作時電力量+待機時電力量=[0.5[mA]×2[V]×90s/86400s×8回)]+[3.5[μA]×2[V]×24h]=8.33×10-6[Wh]+1.68×10-4[Wh]=1.77×10-4[Wh]である。
従って、100台あたりの1日消費電力量は、1.77×10-4[Wh]×100≒1.8×10-2[Wh]である。
【0186】
1日あたりの無線通信(LPWA)の消費電流は以下のように計算される。
まず、伝送量は、100[bit]×100[台]=10000[bit]である。伝送に要する時間は、10000[bit]÷4.4[kbps]×2.5=4.5[s]である。なお、1回のポーリングを想定し「×2」をしている。
上記を1日8回実施すると、4.5[s]×8[回=36[s]である。消費電力量は、31.5[s]÷3600[s/h]×20「mW]=2.0×10-4[Wh]である。
待機電力を考慮すると、2.0×10-4[Wh]×1.01=2.02×10-4[Wh]である。つまり、常時、通信電力の1/100程度の待機電力が必要となる。
【0187】
1日あたり消費電力は、LVDS消費電流+検知器消費電力+LPWA消費電流=1.9×10-6[Wh]+1.8×10-2[Wh]+2.02×10-4[Wh]=18.2×10-3[Wh]となる。
【0188】
従って、上記の計算条件での動作時間は、15[Wh]÷(18.2×10-3[Wh])÷365=2.2年となる。
【0189】
上記の計算例において、各動作別(有線通信/検知器動作/検知器待機/無線通信)での消費電流を比較すると、検知器待機時の消費電流が支配的であり、当該電流を如何に低減できるかが、本質安全防爆型検知システム300の動作年数となる。
【0190】
上記の計算例の通り、例えば待機電力が3.5[μA]の場合、市販の電池(フッ化黒煙リチウム電池、電池容量[5Ah]、単2)を1本使用することで、約2年間、電池交換不要で本質安全防爆型検知システム300を動作させることができる。一方、上記待機電力を400[nA]まで低減させた場合(ルネサスエレクトロニクス REマイコンを使用し、ディープソフトウェアスタンバイモードにてクロックのみ動作させた場合)、同環境にて約14年間、電池交換不要で本質安全防爆型検知システム300を動作させることができる。
【0191】
上記本質安全防爆の仕様では、本質安全性を損なわない対処を施すことで電池の並列接続が認められており、電池2本を並列接続すれば、約20年間、電池交換不要で本質安全防爆型検知システム300を動作させることができる。
【0192】
<本質安全防爆型検知システムの作用>
次に、本発明の第3の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム300の作用について説明する。
【0193】
まず、本質安全防爆型検知システム300に設置される検知器310に対しては、それぞれに個別のアドレスが付与される。これにより、検知器310と制御器372との間のデータ伝送では、アドレスと各種情報を併せた信号の授受がなされる。例として、ケーブル部90上に100台の検知器310が接続される場合、アドレス部は7bitで表現され、その後ろに数bitの環境情報が付け加えられる。
【0194】
また、各検知器310、310Aに、各種のセンサ部320が接続されると共に、操作部316によって、検知内容の種類が設定される。
【0195】
また、制御器372においても、制御器372に設けられた操作部の操作を受け付けて、各検知器310による検知内容の種類を設定する。
【0196】
また、検知器310、310Aによって、環境情報の監視又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う処理が、検知内容の種類に応じた監視周期又は検知周期毎に繰り返し実行される。
【0197】
具体的には、制御器372の周期管理部358は、複数台の検知器310の各々に対して、検知器310の検知内容の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、電源部373からの電力の供給を制御する。電力が供給された検知器310は、
図20に示すように、まず、演算処理部312を起動し(S41)、受信した信号に含まれるアドレスを収納し(S42)、センサ部320からのセンサ情報を取り込む(S43)。センサ情報に基づいて、センサ部320の状態を点検すると共に、演算を行い(S44)、検知内容の種類が、所定の異常の検知である場合には、演算値を、検知内容の種類に対して予め定められた閾値と比較して、当該所定の異常であるか否かを判定する(S45)。そして、検知内容の種類に応じた、環境情報の監視結果、又は所定の異常が検知されたか否かの判定結果を、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信と、ケーブル部90とを介して、制御器372に対して送信する(S46)。そして、演算処理部312を停止させる(S47)。そして、制御器372の周期管理部358は、当該検知器310に対する電力の供給を停止させ、次の監視周期又は検知周期になると、再び、電源部373からの電力を当該検知器310に供給する。
【0198】
また、検知器310Aでは、
図25に示すように、周期管理部316Aが有するクロック発生部を用いて、検知内容の種類に応じて定められた監視周期又は検知周期に到達したと判断すると、電源部326Aからの電力を供給して、演算処理部312を起動する(S51、S52)。そして、受信した信号に含まれるアドレスが、本アドレスと一致した場合、受信した信号に含まれるアドレスを収納する(S53)。センサ部320からのセンサ情報を取り込み、センサ情報に基づいて、センサ部320の状態を点検すると共に、演算を行い、検知内容の種類が、所定の異常の検知である場合には、演算値を、検知内容の種類に対して予め定められた閾値と比較して、当該所定の異常であるか否かを判定する。そして、検知内容の種類に応じた、環境情報の監視結果、又は所定の異常が検知されたか否かの判定結果を、無線送信部330Aにより、無線親機368に対して送信する(S54)。そして、環境情報の監視結果、又は所定の異常が検知されたか否かの判定結果を、ROMに書き込み(S55)、周期管理部316Aが有するクロック発生部をリセットし、タイマ設定を行う(S56)。そして、周期管理部316Aは、電源部326Aからの電力の供給を停止し、演算処理部312を停止させる(S57)。そして、周期管理部316Aは、クロック発生部を用いて、次の監視周期又は検知周期になったと判断すると、再び、電源部326Aからの電力を供給して、演算処理部312を起動する。
【0199】
<データの授受(ポーリング)>
伝送の方法については、監視周期又は検知周期の制御方法によって異なる。例えば制御器372で周期制御をおこなう場合は、当該制御器372からのポーリング(問いかけ)にてデータ伝送をおこなう(
図26)。
【0200】
具体的には、制御器372から各検知器310(各アドレス)に対して順に情報取得要求信号を出力し(S181)、指定された検知器310が当該情報(アドレス及び環境情報/異常なし/異常あり等)を出力する(S182)。これをアドレス順に各検知器310に対して実施し、1サイクルが完了した時点で収集した情報を上位装置380へ出力する。これを一定時間サイクルで繰り返す。
【0201】
なお本情報取得により、後述する断線箇所の特定が可能である。制御器372からの情報取得要求信号に対して返答がない検知器310の数やアドレスにより、断線箇所の特定が可能となる。
【0202】
上記のように、検知器310およびネットワークの機能を定期的に診断し上位装置380へ伝送することにより、本質安全防爆型検知システム300の信頼性を向上できるだけでなく、メンテナンスコスト等を低減できる。
【0203】
<データの授受(データ受信失敗時)>
一方、検知器310A単体ごとに周期制御をおこなう場合、各検知器310Aから制御器372へ任意周期毎にデータを伝送する(
図27)。ただし本手法では各検知器310Aが単独でデータ伝送をおこなうため、伝送データの混信や消失等のリスクが生じる。したがって、制御器372にてデータ受信を正常にできなかった場合、当該制御器372からのポーリングにてデータの再伝送を検知器310Aへ指令する。
【0204】
具体的には、
図28に示すように、制御器372側で複数台の検知器310から出力があったと判定された場合、全ての検知器310に対して順にアドレスおよび情報取得要求信号を出力し(S201)、指定された各検知器310が当該情報(アドレス及び監視情報/異常なし/異常あり等)を出力する(S202)。これをアドレス順に各検知器310に対して実施し、当該情報を上位装置380へ出力する。
【0205】
なお、本情報取得要求信号を全ての検知器310Aへ伝送する必要はなく、重要度の高いものや、各検知器310Aの周期を基に衝突しやすいと判断したものに対してのみ実施してもよい。例えば、
図28では、制御器372から検知器310(1)、310(3)、310(4)に対してポーリングを実施している。
【0206】
<断線/短絡対策>
ケーブル部90において断線又は短絡時が発生した場合、任意の検知器310で監視不可状態(電源供給がなされない状態、信号伝送がなされない状態等)が発生する可能性がある(上記
図13と同様)。本質安全防爆型検知システム300では、以下の手法にて断線及び短絡の監視を行い、上位装置380へ断線/短絡警報を出力する。
【0207】
(断線監視)
本質安全防爆型検知システム300では、上述したように、検知器310の情報取得要求が一定周期でなされる。従って、制御器372からの情報取得要求信号に対して応答がない場合、断線の発生を疑う。ここで、検知器310に対しては固有のアドレスが付与されるため、上記
図13(A)と同様に、ケーブル部90上で断線が発生した場合や、上記
図13(B)と同様に、ケーブル部90の支線上で断線が発生した場合には、1サイクルの情報取得要求を経て応答がないアドレスを基に、制御器372にて断線箇所の特定が可能である。
【0208】
(短絡監視)
本質安全防爆型検知システム300では、上記
図13(C)と同様に、ケーブル部90上で短絡が発生した場合や、上記
図13(D)と同様に、ケーブル部90の支線上で短絡が発生した場合には、短絡箇所の特定は行えないものの、制御器372ないし電源部373にて短絡電流を監視することで、短絡を検知することが可能である。
【0209】
以上説明したように、第3の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム300によれば、複数台の検知器310の各々に対して、検知器310において監視する環境情報又は検知する異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、電源部373からの電力の供給を制御することにより、長期間、電池交換不要で本質安全防爆型検知システム300を動作させることができ、電源部の管理コストを低減することができる。
【0210】
また、自身の周期管理を行う検知器310Aによれば、監視する環境情報又は検知する異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、電源部からの電力の供給を制御することにより、長期間、電池交換不要で本質安全防爆型検知システム300を動作させることができ、電源部の管理コストを低減することができる。
【0211】
また、検知器及び無線親機の各々は、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信と、ケーブル部とを用いてデジタル信号の授受を行うことにより、簡易な構成で、信頼性の高い本質安全防爆型検知システムを提供することができる。
【0212】
また、ケーブル部により、検知器で検知した火災又は異常温度を、ケーブル部の不具合(断線や短絡)が発生した場合でも確実に上位装置へ伝送させ、安全度水準の高い本質安全防爆型検知システムを実現できる。
【0213】
また、最も技術要求の厳しい危険箇所(ZONE0)での火災/異常温度監視環境を、低コストで実現できる。
【0214】
また、危険箇所に複数台設置された検知器は、一本のケーブル部にT分岐で接続されており、非危険箇所に設けられた無線親機を介して上位装置と半二重通信を行う。具体的には、検知器から無線親機へ伝送される信号(固有アドレス/火災信号/異常温度信号/状態情報等)は、マンチェスタ符号化バス給電による電流信号と、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信の信号の2種類の信号として、冗長化されて伝えられる。また、無線親機から検知器へ伝送される信号(アドレス/状態確認信号等)は、検知器へ印加する電圧の変調によって生成される電圧伝送と、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信との2種類の信号として、冗長化されて伝えられる。これにより、火災信号又は異常温度を確実に上位装置へ伝達することができる。
【0215】
また、上記電圧変調による電圧伝送を用いることにより、危険箇所へ供給される電流を抑えることが可能であり、危険箇所へ設置される検知器の数を増やすことができる。
【0216】
また、ケーブル部の信号伝送を数10kbps程度の低い伝送速度で実施することで、ツリー分岐も可能なネットワークとすることができる。
【0217】
また、信号送受信器からのポーリングにより、検知器およびネットワークの機能を定期的に診断し上位装置へ伝送することにより、本質安全防爆型検知システムの信頼性を向上させ、かつメンテナンスコスト等を低減する。
【0218】
また、複数台の検知器から火災信号等が同時出力された場合に、信号送受信器からのポーリングを行うことで火災信号の通信失敗を防ぎ、データの授受に対する信頼性を向上させる。
【0219】
[第4の実施の形態]
<システム構成>
以下、本発明の第4の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムについて説明する。なお、第3の実施の形態と同様の構成となる部分については、同一符号を付して説明を省略する。
【0220】
上記
図14と同様に、本発明の第4の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム400は、複数台の検知器310と、無線親機368A、368Bと、上位装置380とを備えている。無線親機368Aは、バリア370A、制御器372A、電源部373A、及び送受信器374Aを備えている。無線親機368Bは、バリア370B、制御器372B、電源部373B、及び送受信器374Bを備えている。
【0221】
制御器372Aと、複数台の検知器310とはケーブル部490Aで接続され、制御器372Bと、複数台の検知器310とはケーブル部490Bで接続されている。
【0222】
このように、本実施の形態では、ケーブル部490A及び無線親機368Aを含む第1中位構成と、ケーブル部490B及び無線親機368Bを含む第2中位構成と、が設けられている。これに合わせて、各検知器310は、入出力部314を2つ備え、一方の入出力部314は、第1中位構成と接続され、ケーブル部490Aを介して、演算処理部312による監視結果又は判定結果をデジタル信号として制御器372Aへ出力するとともに、特定小電力無線モジュール327により演算処理部312によって炎を検知したことをデジタル信号として制御器372Aへ送信し、制御器372Aとデジタル信号を授受する。また、他方の入出力部314は、第2中位構成と接続され、ケーブル部490Bを介して、演算処理部312による監視結果又は判定結果をデジタル信号として制御器372Bへ出力するとともに、特定小電力無線モジュール327により演算処理部312によって炎を検知したことをデジタル信号として制御器372Bへ送信し、制御器372Bとデジタル信号を授受する。
【0223】
ケーブル部490A、490Bは、上記第1の実施の形態のケーブル部390と同様に、信号伝送線390A、及び信号伝送線390Bを備えている。
【0224】
本質安全防爆型検知システム400では、ケーブル部490A、490Bから電源部373A、373Bまでのラインを2重化する。このように、ネットワーク二重化を行うことで、断線又は短絡時に監視不可となる状態を回避できる(上記
図15と同様)。具体的には、第3の実施の形態と同様の手法で一方のネットワークでの断線/短絡を制御器372A又は372Bにて検知した場合、上位装置380へ短絡警報を出力すると共に、伝送ラインを自動的にもう一方のネットワークへ切替える。これにより、断線又は短絡による火災/異常温度監視不可となる状態を回避でき、信頼性の高い火災監視環境を構築できる。
【0225】
なお、検知器310に対しては固有のアドレスが付与されるため、上記
図15(A)と同様に、ケーブル部490B上で断線が発生した場合や、上記
図15(B)と同様に、ケーブル部490Bの支線上で断線が発生した場合には、1サイクルの情報取得を経て応答がないアドレスを基に、制御器372Bにて断線箇所の特定が可能である。また、上記
図15(C)と同様に、ケーブル部490B上で短絡が発生した場合や、上記
図15(D)と同様に、ケーブル部490Bの支線上で短絡が発生した場合には、短絡箇所の特定は行えないものの、制御器372Bないし電源部373Bにて短絡電流を監視することで、短絡を検知することが可能である。
【0226】
以上説明したように、第4の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムによれば、検知器と無線親機との間の通信を2重化することにより更なる冗長化が図れ、火災又は異常温度監視のための、信頼性の高いネットワークを低コストで実現する。この場合、信号伝送という点では4重系統となる。二重化により、断線や短絡が発生した場合でも、火災又は異常温度の監視環境を継続できる。なお実際の運用においては、ケーブル接続用コネクタを2個設けた検知器を標準品とし、顧客の要求する安全度水準(SIL)やコストに応じて二重化の有無を選択可能とすることも可能である。
【0227】
<変形例>
なお、本発明は、上述した第3、第4の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0228】
例えば、検知器において、検知内容の種類毎に検知部を設けておく場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、はじめから検知器における検知内容の種類が分かっている場合には、当該検知内容の種類に対応した検知部のみを備えるように検知器を構成してもよい。
【0229】
また、検知器310、310Aによる検知内容の種類を、操作部の操作により設定する場合を例に説明したが、検知器310、310Aが、接続されたセンサ部による監視内容の種類、検知内容の種類を自動で認識するようにしてもよい。
【0230】
また、ケーブル部の伝送方式として、MBPを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、電圧変調によるマンチェスタ符号や、イーサネット(登録商標)を使用してもよい。第1の伝送方式として、イーサネット(登録商標)を使用する場合には、PoE(Power over Ethernet)という技術で通信線にて給電が可能である。
【0231】
検知器310、310Aは、環境情報として、湿度、圧力、振動、衝撃、ガス濃度、音、超音波、又は回転を監視するようにしてもよい。また、検知器310、310Aは、所定の異常として、湿度、圧力、振動、音、超音波、又は回転に関する異常を検知したか否かを判定するようにしてもよい。
【0232】
また、検知器が、超音波を監視したり、超音波に関する異常を検知したか否かを判定する場合には、上記
図16に示す検知器10Aと同様に、センサ部20Aと接続するための接続端子18Aと、バリア69A、70Aと、超音波パルス発生部22Aと、超音波エコー信号受信部24Aと、切替スイッチ26Aと、外部電源部28Aを接続するための電源接続端子73Aと、を備えればよい。また、外部電源部28Aは、熱電発電モジュールであり、熱電素子による温度差発電を行い、検知器に給電する。センサ部20Aは、複数の超音波振動子20Bを備え、プラント配管PHの表面に、超音波振動子20Bが取り付けられる。また、プラント配管PHの表面に、外部電源部28Aの熱電素子28Bが取り付けられる。エコー信号解析部44Aは、超音波振動子20Bから受信した超音波エコー信号を解析して、当該超音波振動子20Bが配置された箇所におけるプラント配管PHの減肉状態の判定を行う。
【0233】
[第5の実施の形態]
<本発明の実施の形態の概要>
本発明の実施の形態は、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される危険箇所にて、検知器により、環境情報の監視(温度、振動、圧力、ガス濃度、音、超音波、衝撃、回転速度等)、ならびに各種異常状態の検知(火災、温度異常、危険物の漏洩、ガス漏れ等)をおこない、同危険箇所にて当該信号を上位へ無線伝送する本質安全防爆型検知システムに係るものである。
【0234】
本システムは、以下に列挙される性質を有する。
【0235】
(1)1つのグループに複数個(数個から100個程度)の検知器が含まれ、それぞれが無線通信により、環境情報/異常状態を上位へ伝送する。
【0236】
(2)各種センサ部の仕様を、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様の検定対象外とすることにより、低コストで、センサ部を含めた系全体が危険箇所に設置される。
【0237】
(3)検知器の動作を、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様を満たす極低消費電流(μAオーダー)で実行することにより、電池寿命を伸ばし、電池交換に係るランニングコストも低減させる。
【0238】
<システム構成>
以下、本発明の第5の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システムについて説明する。
【0239】
図29に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム500は、複数台の検知器510と、複数の無線親機576と、上位無線送受信器578と、上位装置580とを備えている。また、複数台の検知器510からなる検知器群588が、複数設けられている。
【0240】
上位装置580は、ホストコンピュータ582と、DCS/PLC584と、リレー盤586との何れか一つ又は複数を備えている。上位装置580は、上位無線送受信器578に接続されており、上位無線送受信器578は、LTE方式無線の通信で、無線親機576と接続され、無線親機576は、特定小電力無線の通信で、特定小電力無線モジュール573と接続されている。検知器510は、危険箇所に設置され、無線親機576と、上位無線送受信器578と、上位装置580とは、非危険箇所に設置されている。なお、無線親機576は、危険箇所に設置されてもよい。
【0241】
また、検知器群588から無線親機576に集められた情報は、最終的に、上記と異なる検知器群588に無線接続される複数の無線親機576にて集められた情報と併せて上位無線送受信器578へ伝送され、イーサネット等を経由してホストコンピュータ582やクラウド上へ集約される。なお、特定小電力無線モジュール573が、無線親機576を介さずに上位無線送受信器578と直接データの授受をおこなってもよい。
【0242】
なお、検知器群588には様々な検知器510が複数個(数個~100個程度)含まれており、検知する内容の種類に応じて、環境情報(温度、振動、圧力、ガス濃度、音、超音波、衝撃、回転速度、液面高さ等)、ならびに各種異常状態(火災、温度異常、危険物の漏洩、ガス漏れ等)を上位装置580へ伝送する。
【0243】
検知器510は、特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信により、信号(固有アドレス/火災信号/異常温度信号/状態情報等)を無線親機576へ伝送する。
【0244】
無線親機576は、特定小電力無線モジュール562と、制御器564と、LTE無線モジュール566とを備えている。特定小電力無線モジュール562は、特定小電力無線モジュール573との無線通信を行う。制御器564は、検知器510と上位装置580との間におけるデジタル信号の授受の中継を行う。LTE無線モジュール566は、上位無線送受信器578との無線通信を行う。
【0245】
<検知器の構成>
各検知器510には、消費電力を制御する機能を有するCPUである演算処理部512と、操作部516と、センサ部520と接続するための接続端子518と、カウンタ部524と、バリア568、570と、アンテナ571と、外部電源を接続するための電源接続端子572と、特定小電力無線モジュール573と、電源部574と、が含まれる(
図30参照)。
【0246】
各検知器510は、大半をスリープモード又はCPU停止、電源断状態で過ごし、環境情報の取得時にのみランニングモード(消費電流:数μA~数100μA)へ移行する。また、上記環境情報の取得サイクルは検知器510によって異なるものの、ランニングモードとなるのは1回あたり約60~90[s]程度であり、1日の大半を待機モードにて過ごす。また、各検知器510は上記の周期ごとに検知器510自体の診断をおこない、取得情報と共に機能情報(診断情報)を上位装置580へ送信するようにしてもよい。なお、上記消費電力を制御する機能を有するCPUとしてルネサスエレクトロニクス株式会社製のREマイコン(SOTB)がある。
【0247】
操作部516は、センサ部520の種類や、検知器510による検知内容の種類の設定を受け付ける。
【0248】
カウンタ部524は、クロック発生部、リアルタイムクロック、又はカウンタを有し、検知内容の種類に応じて定められた監視周期又は検知周期の間隔で、電源部574又は外部電源からの電源を供給し、演算処理部512を起動して上位装置580へ各種情報を伝送させ、その後、電源の供給を停止し、演算処理部512を停止させる。検知器510の待機時は、カウンタ部524のクロック発生部、リアルタイムクロック、又はカウンタのみが動作する。
【0249】
バリア568、570は、演算処理部512へ供給されるエネルギーを制限し、断線又は短絡時に生じる過電圧や過電流を、着火に至る火花が発生しないレベルに抑える役割を担う。
【0250】
特定小電力無線モジュール573は、アンテナ571により特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信で無線親機576との間におけるデジタル信号の送受信を行う。また、特定小電力無線モジュール573は、無線親機576から無線通信で受信した信号を取得し、演算処理部512へ出力する。
【0251】
電源部574は、バリア570及びカウンタ部524を介して、検知器510の各部に電力を供給する。また、電源部574は、バリア570を介して、特定小電力無線モジュール573に電力を供給する。外部電源としては、発電モジュールを用いる。例えば、上記
図16に示す外部電源部28Aと同様に、熱電発電モジュールであり、熱電素子による温度差発電を行い、検知器510に給電する。なお、外部電源は、熱電発電以外の発電モジュールであってもよく、例えば、太陽電池であってもよい。また、プラント配管を対象とする場合には、上記
図17と同様に、外部電源の熱電素子を、プラント配管の表面に取り付けてもよい。
【0252】
なお、異常状態を検知する検知器のように、異常判定のために装置にセンサ情報(ライブ情報)の蓄積が必要な場合もある。この場合、CPUの停止又は電源断に合わせて当該マイコン内のRAM情報が削除されるため、SRAM577への書き込みプロセスが行われる。
【0253】
<検知器の接続端子の構成>
図31に示すように、接続端子518は、電源供給用端子5181、GND接続用端子5182、第1センサ入力用端子5183、第2センサ入力用端子5184、第1出力信号用端子5185、第2出力信号用端子5186、アナログ入力用端子5187、及びチップセレクト用端子5188を備えている。
【0254】
センサ部520の種類に応じて、電源供給用端子5181、GND接続用端子5182、第1センサ入力用端子5183、第2センサ入力用端子5184、第1出力信号用端子5185、第2出力信号用端子5186、アナログ入力用端子5187、及びチップセレクト用端子5188のうちの一部又は全部が、センサ部520と接続される。なお、接続端子518の各端子は、センサ部520と直接接続されてもよいし、伝送ケーブル等を介してセンサ部520と接続されてもよい。
【0255】
また、電源供給用端子5181及びGND接続用端子5182は、後述する電源制御部538と接続される。また、第1センサ入力用端子5183、第2センサ入力用端子5184、第1出力信号用端子5185、第2出力信号用端子5186、アナログ入力用端子5187、及びチップセレクト用端子5188は、後述する信号取得部526と接続される。
【0256】
<検知器の演算処理部の構成>
検知器510の演算処理部512は、CPUで構成されている。演算処理部512を、機能実現手段毎に分割した機能ブロックで説明すると、
図32に示すように、演算処理部512は、信号取得部526、検知部群528、入出力データ管理部530、周期管理部532、受信信号管理部534、送信信号管理部536、及び電源制御部538を備えている。
【0257】
信号取得部526は、接続端子518及びバリア568を介してセンサ部520からの信号を取得する。
【0258】
信号取得部526は、赤外線信号取得部526A、加速度信号取得部526B、抵抗値信号取得部526C、温度信号取得部526D、湿度信号取得部526E、ガス信号取得部526F、圧力信号取得部526G、及び超音波信号取得部526Hを備えている。
【0259】
赤外線信号取得部526Aは、接続されたセンサ部520が、各々波長域が異なる赤外線を検出する複数の検出素子である場合に、複数の検出素子から、検出した赤外線の強度を表すセンサ情報を取得する。
【0260】
加速度信号取得部526Bは、接続されたセンサ部520が、加速度センサである場合に、加速度を表すセンサ情報を取得する。
【0261】
抵抗値信号取得部526Cは、接続されたセンサ部520が、漏れた液体に触れることにより抵抗値が変化する漏液センサである場合に、抵抗値を表すセンサ情報を取得する。
【0262】
温度信号取得部526Dは、接続されたセンサ部520が、温度センサ(例えば、熱電対)である場合に、温度を表すセンサ情報を取得する。
【0263】
湿度信号取得部526Eは、接続されたセンサ部520が、湿度センサである場合に、湿度を表すセンサ情報を取得する。
【0264】
ガス信号取得部526Fは、接続されたセンサ部520が、ガスセンサである場合に、特定ガスの濃度を表すセンサ情報を取得する。
【0265】
圧力信号取得部526Gは、接続されたセンサ部520が、圧力センサである場合に、圧力を表すセンサ情報を取得する。
【0266】
超音波信号取得部526Hは、接続されたセンサ部520が、超音波センサである場合に、受信した超音波を表すセンサ情報を取得する。この場合には、センサ部520として、上記
図16に示すセンサ部20Aと同様のものを用いればよい。
【0267】
検知部群528は、炎温度用検知部528A、振動衝撃用検知部528B、液漏れ用検知部528C、温度用検知部528D、湿度用検知部528E、ガス漏れ用検知部528F、圧力用検知部528G、及び超音波用検知部528Hを備えている。
【0268】
炎温度用検知部528Aは、赤外線信号取得部526Aによって取得されたセンサ情報に基づいて、温度を監視する。例えば、各々波長域が異なる赤外線を検出する2つの検出素子の信号量を結んで得られる直線の傾きを求め、求められた傾きから、当該傾きと温度との関係を用いて、温度を監視する。そして、炎温度用検知部528Aは、監視された温度が閾値以上である場合に、異常温度を検知したと判定する。あるいは、炎温度用検知部528Aは、赤外線信号取得部526Aによって取得されたセンサ情報に基づいて、炎を検知したか否かを判定する。なお、判定方法については特許文献(国際公開第2018/198504号)に記載の手法と同様であるため、説明を省略する。
【0269】
振動衝撃用検知部528Bは、加速度信号取得部526Bによって取得されたセンサ情報に基づいて、加速度を監視する。そして、振動衝撃用検知部528Bは、監視された加速度が閾値以上である場合に、衝撃を検知したと判定する。
【0270】
液漏れ用検知部528Cは、抵抗値信号取得部526Cによって取得されたセンサ情報に基づいて、抵抗値の変化を監視する。そして、液漏れ用検知部528Cは、抵抗値が閾値以下である場合に、液漏れを検知したと判定する。
【0271】
温度用検知部528Dは、温度信号取得部526Dによって取得されたセンサ情報に基づいて、温度を監視する。そして、温度用検知部528Dは、監視された温度が閾値以上である場合に、異常温度を検知したと判定する。
【0272】
湿度用検知部528Eは、湿度信号取得部526Eによって取得されたセンサ情報に基づいて、湿度を監視する。そして、湿度用検知部528Eは、監視された湿度が閾値以上である場合に、異常湿度を検知したと判定する。
【0273】
ガス漏れ用検知部528Fは、ガス信号取得部526Fによって取得されたセンサ情報に基づいて、特定のガスの濃度を監視する。そして、ガス漏れ用検知部528Fは、監視されたガス濃度が閾値以上である場合に、ガス漏れを検知したと判定する。
【0274】
圧力用検知部528Gは、圧力信号取得部526Gによって取得されたセンサ情報に基づいて、圧力を監視する。そして、圧力用検知部528Gは、監視された圧力が閾値以上である場合に、異常圧力を検知したと判定する。
【0275】
超音波用検知部528Hは、超音波信号取得部526Hによって取得されたセンサ情報に基づいて、超音波が受信した超音波に関する情報を監視する。この場合には、超音波用検知部528Hは、上記
図16に示す検知器10Aの超音波パルス発生部22Aと、超音波エコー信号受信部24Aと、切替スイッチ26Aと、パルス制御部40Aと、エコー信号解析部44Aと、切替制御部46Aとを備えていればよい。
【0276】
入出力データ管理部530は、操作部516の操作に応じて、センサ部520の種類の設定を受け付けて、赤外線信号取得部526A、加速度信号取得部526B、抵抗値信号取得部526C、温度信号取得部526D、湿度信号取得部526E、ガス信号取得部526F、圧力信号取得部526G、及び超音波信号取得部526Hの何れかを、作動対象として設定する。
【0277】
また、入出力データ管理部530は、操作部516の操作に応じて、検知器510による検知内容の種類の設定を受け付けて、炎温度用検知部528A、振動衝撃用検知部528B、液漏れ用検知部528C、温度用検知部528D、湿度用検知部528E、ガス漏れ用検知部528F、圧力用検知部528G、及び超音波用検知部528Hの何れかを、作動対象として設定する。
【0278】
入出力データ管理部530は、炎温度用検知部528A、振動衝撃用検知部528B、液漏れ用検知部528C、温度用検知部528D、湿度用検知部528E、ガス漏れ用検知部528F、圧力用検知部528G、及び超音波用検知部528Hの各々で用いられる、閾値を記憶する閾値記憶部(図示省略)を有している。
【0279】
また、入出力データ管理部530は、操作部516の操作に応じて、炎温度用検知部528A、振動衝撃用検知部528B、液漏れ用検知部528C、温度用検知部528D、湿度用検知部528E、ガス漏れ用検知部528F、及び圧力用検知部528Gの何れかでの異常検知が設定された場合、該当する閾値のデータを出力する。
【0280】
周期管理部532は、検知器510による検知内容の種類毎に、監視周期又は検知周期とセンサ周期とを記憶する周期記憶部(図示省略)を有し、操作部516の操作に応じて、該当する検知内容の種類に応じた監視周期又は検知周期と、該当するセンサ部520の種類に応じたセンサ周期とを、電源制御部538及び検知部群528に出力する。
【0281】
ここで、検知内容の種類毎の監視周期又は検知周期の一例を、以下に列挙する。下記の通り、収集する情報によってはプレアラームの判定にて検知器の種類に応じた検知周期を短くしたり、反対に長期間正常状態が継続する場合は、更に長い検知周期へ移行できるようにする等の対応をおこなう。例えば、
図33のように、各検知器510が、検知内容の種類に応じた監視周期又は検知周期で動作する。
【0282】
検知内容の種類が、炎検知である場合には、高速検出型では、検知周期が50msである。この場合、3sで炎の判定を行い、30sで復旧する。標準型では、検知周期が500msである。この場合、1~2周期連続で炎が検知された場合にプレアラームへ移行し、その後、上記高速検出型と同じ検知周期に移行する。
【0283】
また、検知器510が、炎の位置も検出する場合には、上記の炎判定の後、10sで位置判定を行う。
【0284】
また、検知内容の種類が炎用異常検知の場合で、異常温度検知(高温度型)であり、200~480℃の範囲の温度を監視する場合には、検知周期が60sである。監視された温度が設定値以上の場合、高温物体であると判断し、1~2周期連続で高温物体であると判断されるとプレアラームへ移行し、例えば10min連続で高温物体であると判断されると、異常温度であると判定する。
【0285】
検知内容の種類が炎用異常検知の場合で、異常温度検知(低温度型)であり、80~200℃の範囲の温度を監視する場合には、検知周期が1hである。監視された温度が設定値以上の場合、異常温度物体であると判断し、1~2周期連続で異常温度物体であると判断されるとプレアラームへ移行し、例えば3h連続で異常温度物体であると判断されると、異常温度であると判定する。
【0286】
また、検知内容の種類が温度用検知の場合で、温度監視(高温度型)であり、200~480℃の範囲の温度を監視する場合には、監視周期が60sである。また、検知内容の種類が、温度監視(低温度型)であり、80~200℃の範囲の温度を監視する場合には、監視周期が1hである。
【0287】
また、検知内容の種類が、ガス漏れ検知である場合には、炎の高速検出型と同様に、検知周期が50msであるか、標準型と同様に、検知周期が500msである。
【0288】
また、検知内容の種類が、液漏れ検知である場合には、検知周期が1hである。監視された抵抗値が5h連続して閾値以下の場合、プレアラームへ移行し、10h~24h連続で監視された抵抗値が閾値以下であると判断されると、液漏れを検知したと判定する。
【0289】
また、検知内容の種類が、振動衝撃検知である場合には、検知周期が1msである。監視された加速度が5ms連続して閾値以上の場合、プレアラームへ移行し、10ms~24ms連続で監視された加速度が閾値以上であると判断されると、振動衝撃を検知したと判定する。
【0290】
電源制御部538は、検知器510の検知内容の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、電源部574又は外部電源からの電力の供給を制御する。また、電源制御部538は、センサ部520の種類に対して予め定められたセンサ周期に応じて、センサ部520への電源部574又は外部電源からの電力の供給を制御する。
【0291】
送信信号管理部536は、検知部群28による検知内容をデジタル信号として無線送信部573Bへ出力する。
【0292】
受信信号管理部534は、上位装置580から送信されたデジタル信号の授受を行う。
【0293】
無線受信部573Aは、アンテナ571により無線親機576から特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信で受信した信号を取得し、演算処理部512へ出力する。
【0294】
無線送信部573Bは、演算処理部512から出力された信号を、アンテナ571により無線親機576へ特定小電力無線の周波数帯域を用いた無線通信で送信する。
【0295】
<特定小電力無線モジュールの構成>
本実施の形態においては、特定小電力無線モジュール562が、検知器510と無線親機576間の信号(固有アドレス/環境情報/異常情報等)の授受を、無線伝送にておこなう。
【0296】
伝送手法としては、特定小電力無線であるLPWA(Low Power Wide Area)を使用する。LPWAは、数km~10km程度の近距離を極低消費電流(20mA程度)で無線伝送する通信手法の総称であり、主にサブGHz帯を使用する。
【0297】
<低消費電流>
本発明の実施の形態においては、検知器510の省電力制御や、省電力化された各種通信を用いる。これにより、各検知器510が、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様を満たすことができ、本質安全防爆型検知システム500全体が当該箇所へ設置される。
【0298】
センサ部520として検知器510に接続される各種センサの電気的な仕様は、1.5V以下であり、100mA以下であり、かつ、25mW以下である。これにより、各種センサ部520の仕様を、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様の検定対象外とすることができる。なお、全ての種類のセンサ部520の仕様を、1.5V以下であり、100mA以下であり、かつ、25mW以下とする必要はなく、一部の種類のセンサ部520の仕様は、1.5V以上、100mA以上、又は、25mW以上であってもよい。この場合には、当該種類のセンサ部520を、工場電気設備防爆指針又はIEC(国際電気標準会議)規格で規定される本質安全防爆仕様の検定対象とすればよい。
【0299】
<本質安全防爆型検知システムの作用>
次に、本発明の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム500の作用について説明する。
【0300】
まず、本質安全防爆型検知システム500に設置される検知器510に対しては、それぞれに個別のアドレスが付与される。これにより、検知器510と上位装置580との間のデータ伝送では、アドレスと各種情報を併せた信号の授受がなされる。例として、100台の検知器510を含む場合、アドレス部は7bitで表現され、その後ろに数bitの環境情報が付け加えられる。
【0301】
また、各検知器510に、各種のセンサ部20が接続されると共に、操作部516によって、センサ部520の種類及び検知内容の種類が設定される。
【0302】
例えば、操作部516によって、センサ部520の種類として赤外線を検出する複数の検出素子が設定され、検知内容の種類として異常温度の検知が設定されると、赤外線信号取得部526A及び炎温度用検知部528Aが作動対象として設定される。
【0303】
そして、赤外線信号取得部526Aは、赤外線を検出する検出素子に対するセンサ周期毎に、検出した赤外線の強度を表すセンサ情報を取得する。また、炎温度用検知部528Aは、異常温度の検知に対する検知周期毎に、異常温度に関する閾値を用いて、異常温度であるか否かを判定する。
【0304】
また、操作部516によって、センサ部520の種類として温度センサが設定され、検知内容の種類として温度の監視が設定されると、温度信号取得部526D及び温度用検知部528Dが作動対象として設定される。
【0305】
そして、温度信号取得部526Dは、温度センサにするセンサ周期毎に、温度を表すセンサ情報を取得する。また、温度用検知部528Dは、温度の監視に対する監視周期毎に、取得した温度を表すセンサ情報を出力する。
【0306】
このように、検知器510によって、環境情報の監視又は所定の異常を検知したか否かの判定を行う処理が、検知内容の種類に応じた監視周期又は検知周期毎に繰り返し実行される。
【0307】
具体的には、検知器510では、
図34に示すように、カウンタ部524が有するクロック発生部を用いて、検知内容の種類に応じて定められた監視周期又は検知周期に到達したと判断すると、電源部574からの電力を供給して、演算処理部512を起動する(S551、S552)。そして、受信した信号に含まれるアドレスが、当該検知器510のアドレスと一致した場合、受信した信号に含まれるアドレスを収納する(S553)。センサ部520からのセンサ情報を取り込み、センサ情報に基づいて、センサ部520の状態を点検すると共に、演算を行い、検知内容の種類が、所定の異常の検知である場合には、演算値を、検知内容の種類に対して予め定められた閾値と比較して、当該所定の異常であるか否かを判定する。そして、検知内容の種類に応じた、環境情報の監視結果、又は所定の異常が検知されたか否かの判定結果を、無線送信部573Bにより、無線親機576に対して送信する(S554)。そして、環境情報の監視結果、又は所定の異常が検知されたか否かの判定結果を、SRAM577に書き込み(S555)、カウンタ部524が有するクロック発生部をリセットし、タイマ設定を行う(S556)。そして、電源制御部538は、電源部574からの電力の供給を停止し、演算処理部512を停止させる(S557)。そして、電源制御部538は、カウンタ部524のクロック発生部を用いて、次の監視周期又は検知周期になったと判断すると、再び、電源部574からの電力を供給して、演算処理部512を起動する。
【0308】
また、上記S554の動作におけるセンサ部520と検知器510との間のデータのやりとりについて、
図35を用いて説明する。
図35に示すやりとりが、センサ周期毎に繰り返し行われる。
【0309】
まず、検知器510より、センサ部520に対してデータ要求を行うと共に(S581)、センサ部520に電源を供給し、センサ部520を起動する(S582)。そして、検知器510により、センサ部520に対して、検知内容の種類に応じた条件設定を行い(S583)、センサ部520の状態を点検する(S584)。
【0310】
そして、センサ部520は、センサ情報を取得し(S585)、取得したセンサ情報を、検知器510へ出力する(S586)。
【0311】
また、検知器510から上位装置580へのデータ送信におけるデータのやりとりについて、
図36を用いて説明する。
【0312】
まず、検知器510から上位装置580へデータを送信すると(S591)、一定期間、受信モードに移行し、上位装置580からACKメッセージを受信するまで待機する(S592)。そして、上位装置580からACKメッセージを受信すると(S593)、受信モードを終了し、検知器510は電源断となる。
【0313】
なお、受信モードに移行してから一定期間経過しても、上位装置580からACKメッセージを受信しない場合には、更に、一定期間、受信モードで待機する。この一定期間の間に上位装置580からACKメッセージを受信しない場合には、受信モードを終了し、検知器510は電源断となる。そして、次の送信時に、ACKメッセージを受信しなかったデータを、その時点のデータと共に送信する。
【0314】
ACKメッセージを受信しないまま受信モードを終了することが所定回数(例えば、3回)繰り返された場合には、送信不良と判断し、検知器510は、異常状態であると判断する。
【0315】
また、上位装置580も、検知器510から連続して所定回数データを受信できなかった場合には、当該検知器510の送信不良と判断する。
【0316】
以上説明したように、第5の実施の形態に係る本質安全防爆型検知システム500によれば、検知器510が、監視する環境情報又は検知する異常の種類に対して予め定められた監視周期又は検知周期に応じて、電源部からの電力の供給を制御することにより、長期間、電池交換不要で本質安全防爆型検知システム500を動作させることができ、電源部の管理コストを低減することができる。
【0317】
また、各検知器510は、監視する環境情報の様々な種類、又は検知する異常の様々な種類に対応することができる。
【0318】
<変形例>
なお、本発明は、上述した第5の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0319】
例えば、複数台の検知器のうちの少なくとも1台が、無線親機として機能し、他の検知器の送信データを収集して、まとめて、上位装置へ送信するようにしてもよい。この場合には、各検知器が、全て無線親機となる機能を有しており、無線親機として指名された検知器が、送受信可能となり、残りの検知器が、送信専用となる。無線親機として指名された検知器は、監視周期又は検知周期が異なる他の検知器からの送信データの収集が完了し、上位装置へ送信した後は、他の検知器の中から、少なくとも1台を、次の無線親機として指名し、その後、送信専用となる。
【0320】
また、センサ部520の種類及び検知器510による検知内容の種類を、操作部の操作により設定する場合を例に説明したが、検知器510が、接続されたセンサ部の種類、監視内容の種類、検知内容の種類を自動で認識するようにしてもよい。
【0321】
検知器510は、環境情報として、音、又は回転を監視するようにしてもよい。また、検知器10は、所定の異常として、音、又は回転に関する異常を検知したか否かを判定するようにしてもよい。
【0322】
また、上述した第1の実施の形態~第5の実施の形態において、特定小電力無線の周波数帯域と、LTE方式無線の周波数帯域との組み合わせを用いる場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、方式が異なる2つの特定小電力無線の周波数帯域の組み合わせを用いるようにしてもよい。
【0323】
また、センサの電気的な仕様が、1.5V以下であり、100mA以下であり、かつ、25mW以下である場合を説明したが、これに限定されるものではない。発電モジュールの電気的な仕様が、1.5V以下であり、100mA以下であり、かつ、25mW以下であるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0324】
10、10A 検知器
20、20A センサ部
26 変換部
28 検知部群
29 演算処理部
28A 外部電源部
28B 熱電素子
34、34A 特定小電力無線モジュール
44 検知部
68、576 無線親機
72、72A、72B、372、372A、564 制御器
74、74A、74B 電源部
100、200、300、400、500 本質安全防爆型検知システム
310、310A 検知器
312 演算処理部
316A 周期管理部
320 センサ部
326A 電源部
327、327A、562、573、762、3742 特定小電力無線モジュール
328 検知部群
354、354A 周期記憶部
358 周期管理部
373、373A、373B 電源部
510 検知器
512 演算処理部
518 接続端子
520 センサ部
524 カウンタ部
526 信号取得部
528 検知部群
532 周期管理部
538 電源制御部
566、761、3741 LTE無線モジュール
574 電源部
588 検知器群
HO 保温材
PH プラント配管