(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124903
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】カバー構造
(51)【国際特許分類】
B63H 20/32 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
B63H20/32 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022815
(22)【出願日】2021-02-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】金原 匡利
(72)【発明者】
【氏名】松本 心吾
(72)【発明者】
【氏名】竹内 良樹
(57)【要約】
【課題】アッパユニットの意匠を容易にカスタマイズすることができ、他の船舶に自船舶の所在を知らせることができるカバー構造を提供する。
【解決手段】
船外機の電動モータ(動力源)が配置されるアッパユニット2のモータカバー10(カバー構造)は、船舶の進行方向に対して左右方向に分割可能な一対の分割カバー31を連結することで形成される本体カバー30と、一対の分割カバー31の外面の一部に着脱可能に設けられ、一部に光を透過させる光透過部43を有する着脱カバー40と、着脱カバー40の装着位置に設けられ、光源を有する発光部と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船外機の動力源が配置されるアッパユニットのカバー構造であって、
船舶の進行方向に対して左右方向に分割可能な一対の分割カバーを連結することで形成される本体カバーと、
一対の前記分割カバーの少なくとも1つの前記分割カバーの外面の一部に着脱可能に設けられ、少なくとも一部に光を透過させる光透過部を有する着脱カバーと、
前記着脱カバーの装着位置に設けられ、光源を有する発光部と、を備えていることを特徴とするカバー構造。
【請求項2】
前記着脱カバーは、前記本体カバーに装着された状態で、前記船外機における左右方向の頂部となる部分を含むことを特徴とする請求項1に記載のカバー構造。
【請求項3】
前記発光部は、前記分割カバーと前記着脱カバーとの間に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のカバー構造。
【請求項4】
一対の前記分割カバーは、前記着脱カバーの装着位置に設けられる少なくとも1つの第1の締結部材と、前記着脱カバーの装着位置よりも下方に外れて前記着脱カバーから露出する位置に設けられる少なくとも1つの第2の締結部材と、を用いて組み付けられることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカバー構造。
【請求項5】
前記着脱カバーは、前記分割カバーとの間に収納空間を形成して装着されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカバー構造。
【請求項6】
一対の前記分割カバーの少なくとも1つの前記分割カバーには、前記本体カバーの内側を目視するための窓部と、所定の物品を保持する保持部と、電力供給を必要とする外部機器との接続口とのうち少なくとも1つが設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカバー構造。
【請求項7】
前記発光部は、外部通信端末からの指示を受け、前記光源の発光状態を変更可能であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカバー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船外機の動力源が配置されるアッパユニットのカバー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、上下方向に二分割にすることができるトップカウリング等を含む船外機が開示されている。この船外機では、吸気口の位置、面積の設計自由度を増大させることや、エンジンから上方に伝達する音を遮断することを目的として、トップカウリングの上面全体にモールディングを配置して二重構造としていた。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、左右方向に二分割にすることができるアッパユニットを含む船外機が開示されている。
【0004】
さらに、例えば、特許文献3には、アッパカバーの前面が半透明部材で形成され、半透明部材の内側に警報表示ユニットが設けられた船外機が開示されている。警報表示ユニットは、複数の発光ダイオード(LED)を有し、各種センサが異常を感知した場合にLEDを点灯するように構成されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2-63995号公報
【特許文献2】米国特許第4600396号公報
【特許文献3】実開平1-175498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、レジャー目的で使用されることの多い小型の船外機では、人の目に触れ易いアッパユニットのカバーを、ユーザの好みに応じてカスタマイズしたいという要望があった。製造者として、複数種のアッパユニット(カバー)を製造することは、上記のようなユーザ志向に応えることになるものの、製造コストの増加や製品管理の煩雑化等の問題が生じるため、現実的とは言えなかった。
【0007】
また、レジャー用の小型の船外機を装着した船舶の場合、夜間や霧等で視界が悪い状況では、予防安全上、他の船舶に対し自船舶の所在を知らせることが重要になる。他の船舶に自船舶の所在を知らせる手段(所在報知手段)として、照明灯を船舶に備えることが一般的であった。
【0008】
上記した特許文献に記載の船外機では、ユーザの好みに応じたカバーのカスタマイズについて十分に考慮されていなかった。また、上記した船外機には、所在報知手段が備えられていなかった。
【0009】
また、上記した船外機では、簡単なメンテナンスを行うために必要な工具類を収納することができなかった。このため、工具類を収納したケース等を持ち運はなければならなかった。また、上記した船外機には、例えば、釣針、釣糸および小型ライト等の釣り目的に使用する小道具類等を収納するスペースも存在しなかった。さらに、上記した船外機には、例えば、魚群探知機、集魚灯、排水ポンプ等に電力を供給するための装備が存在しなかった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、アッパユニットの意匠を容易にカスタマイズすることができ、他の船舶に自船舶の所在を知らせることができるカバー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、船外機の動力源が配置されるアッパユニットのカバー構造であって、船舶の進行方向に対して左右方向に分割可能な一対の分割カバーを連結することで形成される本体カバーと、一対の前記分割カバーの少なくとも1つの前記分割カバーの外面の一部に着脱可能に設けられ、少なくとも一部に光を透過させる光透過部を有する着脱カバーと、前記着脱カバーの装着位置に設けられ、光源を有する発光部と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アッパユニットの意匠を容易にカスタマイズすることができ、他の船舶に自船舶の所在を知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る船外機を左方から示す側面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る船外機のモータカバー(アッパユニットのカバー構造)を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施例に係るモータカバーの本体カバーを右方から示す側面図である。
【
図4】本発明の実施例に係るモータカバーの本体カバーを左方から示す側面図である。
【
図6】本発明の実施例に係るモータカバーの左方の着脱カバーを示す斜視図である。
【
図7】本発明の実施例に係るモータカバーの光透過部を示す斜視図である。
【
図8】本発明の実施例に係るモータカバーの右方の着脱カバーの一部を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施例に係るモータカバーの発光部および外部通信端末を示すブロック図である。
【
図10】本発明の実施例に係る船外機を保管姿勢にした状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るカバー構造は、船外機の動力源が配置されるアッパユニットのカバーである。カバー構造は、船舶の進行方向に対して左右方向に分割可能な一対の分割カバーを連結することで形成される本体カバーと、一対の分割カバーの少なくとも1つの分割カバーの外面の一部に着脱可能に設けられ、少なくとも一部に光を透過させる光透過部を有する着脱カバーと、着脱カバーの装着位置に設けられ、光源を有する発光部と、を備えている。
【0015】
着脱カバーが分割カバーに対して着脱可能であるため、例えば、ユーザは、既存の着脱カバーを取り外し、自分の好みのデザインが施された着脱カバーを装着することができる。また、発光部からの光は着脱カバーに設けられた光透過部を通して外部に放出されるため、例えば、光透過部の形状や大きさを変更することで、ユーザの好みに応じた電飾を構成することができる。これにより、アッパユニットの一部の意匠を容易に変更することができるため、アッパユニットのカバー(の意匠)をカスタマイズしたいというユーザの志向に対応することができる。また、着脱カバーのみを交換するため、アッパユニットのカバー全体を交換する場合に比べて、交換(意匠変更)に係るコストを低減することができる。また、発光部を、動力源の稼働情報、バッテリや燃料の残量、その他の様々な船外機の制御情報を表示する手段(ユーザに報知する手段)として利用することができる。さらに、アッパユニットの側面を発光させる発光部を、他の船舶に自船舶の所在を知らせる手段として利用することができる。
【実施例0016】
以下、本発明の実施例に係る船外機のアッパユニットのカバー構造について図面を用いて説明する。なお、実施例の説明において、上(Ud)、下(Dd)、前(Fd)、後(Bd)、左(Ld)、右(Rd)は、船外機が取り付けられた船舶に乗って船舶の進行方向を向いている乗員の上、下、前、後、左、右を基準とする。各図に示す矢印はこれらの方向を示している。
【0017】
図1を参照して、船外機1の全体構成について説明する。
図1は船外機1を左方から示す側面図である。
【0018】
船外機1は、船舶5のトランサムボード6に取り付けられ、船舶5を推進させる装置である。また、本実施例に係る船外機1は、電動モータ11を動力源とする電動式の船外機1であり、小型の船舶5に適した小出力の船外機である。なお、実施例の説明では、
図1に示すように、船外機1を船舶5に取り付けて使用する状態を基準とし、請求項で言う「船舶の進行方向」とは前方を指す。
【0019】
船外機1は、アッパユニット2と、ミドルユニット3と、ロアユニット4と、を備えている。アッパユニット2は船外機1の上部を構成し、アッパユニット2には動力源の一例としての電動モータ11が配置されている。ロアユニット4は船外機1の下部を構成し、ロアユニット4にはプロペラ26が設けられている。ミドルユニット3は、アッパユニット2とロアユニット4との間に設けられている。
【0020】
[アッパユニット]
アッパユニット2は、モータカバー10と、電動モータ11と、インバータ12等と、を備えている。
【0021】
モータカバー10は、電動モータ11およびインバータ12を覆い、アッパユニット2の外観を構成するカバー構造である。モータカバー10は、概ね球体を前後方向に引き伸ばしたような卵型に形成されている(
図2も参照)。詳細は後述するが、モータカバー10は、一部分を二重構造とし、その一部分を着脱することができるように構成されている。
【0022】
電動モータ11およびインバータ12は、モータカバー10の内部に収容されている。電動モータ11の出力軸には、ドライブシャフト14の上端部が接続されている。ドライブシャフト14は、電動モータ11から下方に向かって伸長している。ドライブシャフト14は、電動モータ11の動力によって軸周りに回転し、電動モータ11の動力をプロペラ26に伝達する。インバータ12は、電動モータ11の上方に配置されており、電動モータ11の駆動の電流を制御する。モータカバー10には、例えば、小出力の電動モータ11の場合、充電することで繰り返し使用可能な高性能の二次電池等のバッテリ13(
図9参照)が収容されてもよい。バッテリ13は、電動モータ11やインバータ12等に電気的に接続され、これらに電力を供給する。なお、一般的には、バッテリ13は、アッパユニット2(モータカバー10)外部に設けられ、外部ケーブル等を介して電動モータ11等と接続されている場合が多い。
【0023】
[ミドルユニット]
ミドルユニット3は、ドライブシャフトハウジング15と、クランプブラケット16と、スイベルブラケット17と、ヒートシンク18と、を備えている。
【0024】
<ドライブシャフトハウジング>
ドライブシャフトハウジング15は、モータカバー10の下方に設けられ、上下方向に長い略円筒状に形成されている。ドライブシャフトハウジング15は、ドライブシャフト14を内包している。
【0025】
<クランプブラケット>
クランプブラケット16は、船外機1を船舶5のトランサムボード6に固定するために設けられている。クランプブラケット16は、側面から見ると上下反転した略U字状に形成され、上方からトランサムボード6に被せられ、トランサムボード6を挟み込む。また、
図1からは明らかではないが、クランプブラケット16は平面から見ると左右一対のアーム状に形成されている。
【0026】
<スイベルブラケット>
スイベルブラケット17は、クランプブラケット16の左右一対のアーム部分に架設されたチルト軸S1を介して回動可能に支持されている。チルト軸S1を中心にスイベルブラケット17を上下方向に回動(揺動)することで、船外機1が船舶5に対してチルト(チルトアップ、チルトダウン)される。また、スイベルブラケット17は、ドライブシャフトハウジング15を囲むように配置され、ドライブシャフトハウジング15を軸周りに回動可能に支持している。
【0027】
(ハンドル)
船外機1には、ドライブシャフトハウジング15を回動(揺動)操作するハンドル20が設けられている。ハンドル20は、アタッチメント21を介してドライブシャフトハウジング15の前側に取り付けられている。ハンドル20の基端部は、左右方向に延びたハンドル軸S2を介してアタッチメント21に連結され、ハンドル20は、ハンドル軸S2を中心に上下方向に回動可能に設けられている。ハンドル20の先端部には、電動モータ11の回転数を操作するためのスロットルグリップGが設けられている。
【0028】
<ヒートシンク>
ヒートシンク18は、冷却水通路(図示せず)と冷却水をリザーバー用として貯留するタンク22とポンプ23と共に、電動モータ11やインバータ12を冷却するための冷却装置を構成する。ヒートシンク18は、ドライブシャフトハウジング15よりも前後方向に幅広い筒状に形成され、ドライブシャフトハウジング15の下端に連結されている。冷却水通路は、電動モータ11、インバータ12およびヒートシンク18を循環するようにモータカバー10やドライブシャフトハウジング15等の内部に設けられている。タンク22およびポンプ23は、モータカバー10の内部に設けられている。ポンプ23は冷却水通路を流通する冷却水を循環させる。ヒートシンク18は、冷却水通路を循環する冷却水を冷却する。なお、冷却水は、例えばエチレングリコールを主成分とする不凍液を用いることができる。
【0029】
[ロアユニット]
ロアユニット4は、ギヤケース24と、ギヤ機構25と、プロペラ26と、を備えている。
【0030】
<ギヤケース>
ギヤケース24は、ヒートシンク18の下端に連結されている。ギヤケース24は、正面視で、上端部から、ギヤ機構25を収容するギヤ機構収容部24Aにかけての部分が細く括れた形状となっている。また、ギヤ機構収容部24Aよりも下方に延びた部分は、舵として機能するように板状に形成されている。また、上記したドライブシャフトハウジング15の下端部、つまりギヤケース24との境界付近には、アンチベンチレーションプレート28が後方に向かって延びている。アンチベンチレーションプレート28は、水面からのプロペラ26への空気の流入を抑制する。
【0031】
<ギヤ機構>
ギヤ機構25は、ギヤケース24のギヤ機構収容部24Aに収容されている。ドライブシャフト14の下側はギヤケース24内に進入しており、ギヤ機構25に接続されている。ギヤ機構25は前後方向に延びたプロペラシャフト27を含み、プロペラシャフト27の後部はギヤケース24から後方に突き出している。プロペラシャフト27の後部には、プロペラ26が取り付けられている。ギヤ機構25は、ドライブシャフト14の軸周りの回転を、プロペラシャフト27(プロペラ26)へ伝達する。プロペラ26は、水中において軸周りに回転して船舶5を推進させる推進力を生成する。
【0032】
ところで、小型の船外機1はレジャー目的で使用されることの多く、人の目に触れ易いアッパユニット2のモータカバー10を、好みに応じてカスタマイズしたいというユーザからの要望があった。このような要望に応えるために、製造者が複数種のモータカバー10を製造した場合、製造コストの増加や製品管理の煩雑化等の別の問題が生じる。
【0033】
また、レジャー用の小型の船外機1を装着した船舶5の場合、夜間や霧等で視界が悪い状況では、予防安全上、他の船舶に対し自船舶の所在を知らせることが重要であるため、所在報知手段として照明灯を備えることが一般的であった。
【0034】
そこで、本実施例に係る船外機1では、アッパユニット2のモータカバー10の一部が交換可能に構成され、且つ所在報知手段としての機能を有している。
【0035】
[モータカバーの構造]
図2ないし
図10を参照して、モータカバー10の構造(アッパユニット2のカバー構造)について説明する。
図2はモータカバー10(アッパユニット2のカバー構造)を示す斜視図である。
図3はモータカバー10の本体カバー30を右方から示す側面図である。
図4はモータカバー10の本体カバー30を左方から示す側面図である。
図5は、
図3のV-V断面図である。
図6はモータカバー10の左方の着脱カバー40を示す斜視図である。
図7は光透過部43を示す斜視図である。
図8は右方の着脱カバー40の一部を示す断面図である。
図9は発光部50および外部通信端末56を示すブロック図である。
図10は船外機1を保管姿勢Pにした状態を示す側面図である。
【0036】
モータカバー10は、例えば、合成樹脂製で概ね卵型に形成されている(
図2参照)。モータカバー10の後方下部は、側面視で前側部分よりも下方に突き出すように形成されている。また、モータカバー10の下部は、正面視(背面視)で下方に向かって左右方向に幅狭くなるように括れた形状を成している。
【0037】
図2に示すように、モータカバー10(カバー構造)は、本体カバー30と、2つの着脱カバー40(
図2では右方のみを図示)と、を備えている。また、
図3に示すように、モータカバー10(カバー構造)は、発光部50(第1~第3の光源51A~51C)と、接続口57と、を備えている。
【0038】
<本体カバー>
図2に示すように、本体カバー30は、船舶5の進行方向に対して左右方向に分割可能な一対の分割カバー31で構成される。本体カバー30は、左右割構造となっており、電動モータ11を挟んで左右方向に対向する一対の分割カバー31を連結することで形成される。
【0039】
(分割カバー)
一対の分割カバー31は、それぞれ対向する面を開口させたバスタブ状(トレイ状)に形成されている(
図5参照)。
図3ないし
図5に示すように、各々の分割カバー31の外面(外側面)の一部には、着脱カバー40を装着するための装着凹部32が凹設されている。各々の装着凹部32は、側面視で分割カバー31の中央を含む領域において略楕円形状に形成されている。なお、一対の分割カバー31には異なる部分もあるが、概ね同じ外形を有しているため、以下、一対の分割カバー31に共通する説明では1つの分割カバー31に着目して説明する。
【0040】
図3および
図4に示すように、分割カバー31の外側面には、装着凹部32の範囲内において、後述する着脱カバー40を固定する面ファスナのフック面部F1が複数固定されている。複数のフック面部F1は、装着凹部32の楕円形状の輪郭に沿って所定の間隔で配置されている。なお、フック面部F1の数は自由に変更してもよい。
【0041】
分割カバー31の外側面には、装着凹部32の範囲内において、一対の位置決め凹部33と横倒し用凹部34とが凹設されている。各々の位置決め凹部33は、略半球状の窪みである(
図5も参照)。右方の分割カバー31では、一対の位置決め凹部33が側面視で装着凹部32の前後方向の中央上部と後方下部とに形成されている(
図3参照)。左方の分割カバー31では、一対の位置決め凹部33が側面視で装着凹部32の前方上部と後方下部とに形成されている(
図4参照)。詳細は後述するが、一対の位置決め凹部33には、着脱カバー40に形成された一対の位置決め凸部41が嵌合するようになっている。横倒し用凹部34は、側面視で装着凹部32のやや前側下部(一対の位置決め凹部33の間)に形成された略円柱状の窪みである(
図5も参照)。
図5に示すように、横倒し用凹部34は、分割カバー31の内側に向かって突出した横倒し用ボス34Aを構成する。横倒し用ボス34Aには、例えば合成ゴム等の弾性体から成るクッション部材34Bが覆設されている。一対の分割カバー31を連結して本体カバー30が形成された状態で、一対の横倒し用ボス34Aは、クッション部材34Bを介して電動モータ11の左右方向の両側面に当接する。
【0042】
(窓部)
図3に示すように、右方の分割カバー31には、本体カバー30の内側、具体的にはタンク22(
図1参照)に貯留した冷却水の残量を目視するための窓部35が設けられている。窓部35は、装着凹部32の範囲内において後方上部(後方下部の位置決め凹部33の上方)に配置されている。窓部35は、例えば、透明または半透明の合成樹脂やガラス等で略円板状に形成され、分割カバー31に開口した略円形状の穴を閉塞している。窓部35は、径方向外側に向かってアーム部35Aの先端部を貫通したビス35Bを介して分割カバー31に固定されている。
【0043】
(保持部)
図4に示すように、左方の分割カバー31には、簡単なメンテナンス用の工具(所定の物品)を保持する2つの保持部36が上下方向に並んで設けられている。各々の保持部36は、装着凹部32の範囲内において一対の位置決め凹部33や横倒し用凹部34を避けるように凹設されている。2つの保持部36は、例えば、スパナと六角レンチ(図示せず)の外形を成すような窪みであり、スパナや六角レンチ等の工具は、保持部36に嵌合して保持される。
【0044】
図3に示すように、右方の分割カバー31には、3つの第1のボルト穴37Aと2つの第2のボルト穴38Aが穿設されている。3つの第1のボルト穴37Aは、装着凹部32の範囲内において、上部に2つ、後部に1つ穿設されている。2つの第2のボルト穴38Aは、装着凹部32の範囲外となる分割カバー31の下部(括れた部分)に左右方向に離間して穿設されている。
図4に示すように、左方の分割カバー31には、3つの第1のインサートナット37Bと2つの第2のインサートナット38Bが埋設されている。第1および第2のインサートナット37B,38Bは、一対の分割カバー31を連結した状態で第1および第2のボルト穴37A,38Aに対向するように埋め込まれている(
図5参照)。
【0045】
図5に示すように、一対の分割カバー31は、左右両側から電動モータ11を覆うように組み付けられる。具体的には、一対の分割カバー31の継目にシール部材(図示せず)を挟み込み、各々の第1の締結部材37を第1のボルト穴37Aに差し込み、その先端部を第1のインサートナット37Bに螺合させる。また、各々の第2の締結部材38を第2のボルト穴38Aに差し込み、その先端部を第2のインサートナット38Bに螺合させる。以上のように、一対の分割カバー31は、着脱カバー40の装着位置に設けられる3つの第1の締結部材37と、着脱カバー40の装着位置よりも下方に外れて着脱カバー40から露出した位置(露出位置)に設けられる2つの第2の締結部材38と、を用いて組み付けられる(
図3も参照)。これにより、一対の分割カバー31が連結されて本体カバー30を構成する。
【0046】
<着脱カバー>
2つの着脱カバー40は、一対の分割カバー31の外面(外側面)の一部、具体的には装着凹部32に着脱可能に設けられている(
図2および
図5参照)。なお、2つの着脱カバー40には異なる部分もあるが、概ね同じ外形を有しているため、以下、2つの着脱カバー40に共通する説明では1つの着脱カバー40に着目して説明する。
【0047】
図2および
図6に示すように、着脱カバー40は、分割カバー31の装着凹部32に嵌め込まれるように側面視で略楕円形状に形成されている。着脱カバー40は、内側から外側に膨らむような湾曲面を有し、深さの浅い略ボウル状(椀状)に形成されている。なお、
図2等に示す着脱カバー40の表面(外側面)には、絵柄や装飾等が示されていないが、着脱カバー40にはユーザの好みに応じて絵柄や装飾等を施してもよい。
【0048】
図6に示すように、着脱カバー40の内面には、面ファスナのループ面部F2が複数固定されている。複数のループ面部F2は、着脱カバー40の輪郭に沿って所定の間隔で配置されている。複数のループ面部F2は、着脱カバー40を装着凹部32に嵌め込んだ状態で、分割カバー31に設けられた複数のフック面部F1に対向するように配置されている。また、着脱カバー40の内面には、分割カバー31に凹設された一対の位置決め凹部33に嵌合可能な一対の位置決め凸部41が突設されている。
【0049】
<右方の着脱カバーの構造>
図2に示すように、右方の着脱カバー40は、着脱本体部42と、光透過部43と、を有している。着脱本体部42は、光を透過しない素材で、側面視で略楕円形状(略ボウル状)に形成されている。光透過部43は、例えば、透明または半透明の合成樹脂やガラス等の光を透過させる素材で形成されている。
【0050】
図2および
図7に示すように、光透過部43は、第1透光部43Aと、第2透光部43Bと、第3透光部43Cと、を有している。第1透光部43Aは、着脱カバー40の外周部を構成するように着脱本体部42よりも一回り大きな略楕円環状に形成されている。第2透光部43Bは、第1透光部43Aを前後方向に横断するように略直線状に形成されている。第3透光部43Cは、第2透光部43Bの前寄りにおいて第2透光部43Bを挟んで上下両方に延びる略四角形状に形成されている。第3透光部43Cには、ブランドロゴ等の所定の文字が形成されている。第2透光部43Bと第3透光部43Cとは一体に形成され、第1透光部43Aは第2~第3透光部43B,43Cとは別体で形成されている。
【0051】
光透過部43は、着脱本体部42に対して着脱可能に取り付けられている。
図8に示すように、第1透光部43Aの内周縁にはフック45が形成されており、第1透光部43Aが着脱本体部42の外側から嵌め込まれると、フック45が着脱本体部42の外周縁に係止される。着脱本体部42には、第2透光部43Bと第3透光部43Cとの形状に合わせて発光開口部44が穿設されている(
図2参照)。第3透光部43Cに対応する発光開口部44は、第3透光部43Cに形成された所定の文字の輪郭に沿って開口している。第2~第3透光部43B,43Cは、着脱本体部42の内側から発光開口部44に嵌め込まれ、着脱本体部42の外面に露出する。なお、
図8では、面ファスナのループ面部F2の図示を省略しているが、ループ面部F2は、着脱本体部42と第1透光部43Aとを跨ぐように配置され、着脱本体部42の裏面に固定されている。
【0052】
<発光部>
図3に示すように、発光部50は、右側の着脱カバー40の装着位置(装着凹部32)に設けられている。発光部50は、光を発する第1~第3の光源51A~51Cと、本体カバー30に設けられ、第1~第3の光源51A~51Cの発光を制御する発光制御部52(
図9参照)と、を有している。なお、本実施例の説明では、第1~第3の光源51A~51Cに共通する説明では、単に光源51と呼び、符号に算用数字のみを付す。
【0053】
(光源)
光源51は、例えば、発光色を変更可能な発光ダイオード等である。光源51は、右方の分割カバー31の装着凹部32の範囲内に配置されている。光源51は、発光部分を外部に露出させるように右方の分割カバー31に支持されている。具体的には、第1の光源51Aは、装着凹部32の輪郭に沿って略楕円環状に配置されている。第2の光源51Bは、装着凹部32を前後方向に横断する略直線状に配置されている。第3の光源51Cは、装着凹部32の前寄りにおいて第2の光源51Bを挟んで上下両方に配置され、略四角形状に配置されている。すなわち、第1~第3の光源51A~51Cは、着脱カバー40を装着凹部32に嵌め込んだ状態で着脱カバー40の第1~第3透光部43A~43C(発光開口部44)に対向するように配置されている。
【0054】
(発光制御部)
図9の上段に示すように、発光制御部52は、プログラムやデータ等を記憶(格納)する記憶部53と、プログラム等に従って演算処理を実行する演算処理部54と、外部の外部通信端末56との間で相互に通信を行う通信部55と、を有している。詳細は後述するが、演算処理部54は、光源51の発光状態を変更する制御や、発光状態を船外機1の状態に同期させる制御を実行する。通信部55は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信技術を用いて外部通信端末56と相互に通信を行う。また、発光制御部52は、バッテリ13に接続され、光源51に対して電力の供給を制御する。
【0055】
発光部50は、外部通信端末56からの指示を受け、光源51の発光状態を変更可能に構成されている。
図9の下段に示すように、外部通信端末56は、例えば、専用のアプリケーションソフト(以下「専用ソフト」と呼ぶ。)がインストールされたスマートフォンである。専用ソフトを起動させると、外部通信端末56のディスプレイには、
図9の下段左側に示すような画面が表示される。専用ソフトでは、第1~第3の光源51A~51Cそれぞれの発光状態や、第1~第3の光源51A~51Cの発光状態を同期させる対象を変更することができる。なお、本明細書で「発光状態」とは、例えば、第1~第3の光源51A~51Cの発光色(カラー)、明るさ、発光パターン(点灯・消灯のタイミング、周期的な色変化等)等を意味している。また、発光状態を同期させる対象は、例えば、電動モータ11の出力、バッテリ13の残量、音楽等である。なお、音楽のデータは、外部通信端末56に記憶され、且つ再生される。
【0056】
例えば、ユーザが第1~第3の光源51A~51Cの何れかの変更したい項目(「カラー」、「明るさ」、「パターン」または「同期」)をタップすると、
図9の下段右側に示すような、複数の選択肢が表示される。なお、
図9に示す選択肢は、一例であって、自由に変更・追加してもよい。ユーザが表示された複数の選択肢の中から1つの選択肢をタップ(選択)すると、第1~第3の光源51A~51Cの何れかの発光状態または同期対象が変更(設定)される。外部通信端末56は設定された情報を、通信部55を介して発光制御部52に送信し、発光制御部52は受信した情報を記憶部53に記憶する。演算処理部54は、受信(記憶)された情報に基づいて、第1~第3の光源51A~51Cの発光状態を変更する制御や、発光状態を対象に同期させる制御を実行する。例えば、演算処理部54は、第1~第3の光源51A~51Cの何れかを、設定された色、明るさ、パターンで点灯(または消灯)させる制御を実行する。また、例えば、演算処理部54は、電動モータ11の出力やバッテリ13の残量の増減に応じて発光状態を変化させたり、再生された音楽に合わせて発光状態を変化させたりする。すなわち、発光部50は、電飾としての機能と、船外機1のステータスを表示(またはユーザに提示)する機能と、を兼ね備えている。
【0057】
<接続口>
図3に示すように、右方の分割カバー31には、電力供給を必要とする外部機器(図示せず)との接続口57が設けられている。接続口57は、第2の光源51Bの上方、且つ第3の光源51Cの後方に配置されている。接続口57は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子であって、発光制御部52に実装されたUSBコントローラ(図示せず)に電気的に接続されている。なお、接続口57に接続される外部機器の一例としては、魚群探知機、集魚灯、排水ポンプ等が挙げられる。
[着脱カバーの装着]
【0058】
次に、本体カバー30に装着した着脱カバー40および着脱カバー40の装着手順について説明する。
【0059】
図5に示すように、着脱カバー40は、分割カバー31との間に収納空間SPを形成して装着される。なお、収納空間SPとは、着脱カバー40を本体カバー30に装着した状態で、着脱カバー40と分割カバー31との間に形成される隙間(空間)のことである。収納空間SPには、例えば、釣針、釣糸および小型ライト等の釣り目的に使用する小道具類等を収納することができる。
【0060】
着脱カバー40を本体カバー30に装着する手順について説明する。ユーザ(作業者)は、本体カバー30(分割カバー31)の装着凹部32に着脱カバー40を嵌め込む。なお、小道具類を収納空間SPに収納したい場合には、着脱カバー40を嵌め込む前に、装着凹部32に小道具類を配置する。着脱カバー40を装着凹部32に嵌め込む過程において、着脱カバー40に突設された一対の位置決め凸部41(
図6参照)は、分割カバー31に凹設された一対の位置決め凹部33(
図3および
図4参照)に進入し、装着凹部32に対する着脱カバー40の装着をガイドする。これにより、ユーザは円滑に着脱カバー40を装着凹部32に嵌め込むことができる。
【0061】
着脱カバー40が装着凹部32に嵌め込まれると、着脱カバー40の各ループ面部F2(
図6参照)が分割カバー31の各フック面部F1(
図3および
図4参照)に貼り付く。これにより、着脱カバー40が本体カバー30に装着された状態に保持される(着脱カバー40の装着が完了する)。着脱カバー40が本体カバー30に装着された状態で、第1~第3透光部43A~43Cは第1~第3の光源51A~51Cに対向しているため、第1~第3の光源51A~51Cの発光状態を外部から確認することができる。
【0062】
図2および
図5に示すように、着脱カバー40は、本体カバー30に装着された状態で、船外機1における左右方向の頂部40Tとなる部分を含んでいる。すなわち、船外機1では、モータカバー10(アッパユニット2)が左右方向に最も張り出しており、左右一対の着脱カバー40の湾曲面の頂部40Tが左右方向で最も外側に位置している。なお、頂部40Tは、任意の位置に設定して構わないが、例えば、着脱カバー40を本体カバー30に装着した状態で横倒し用凹部34(横倒し用ボス34A)に対向するように配置されることが好ましい(
図5参照)。また、頂部40Tとは、頂点として捉えてもよいが、所定の範囲を有する面として捉えてもよい。
【0063】
既に説明したが、
図10に示すように、未使用時の船外機1は船舶5から取り外され、横に寝かせた保管姿勢Pで地面GLに置かれる。保管姿勢Pにされた船外機1は、プロペラ26(ギヤケース24等)と着脱カバー40の頂部40Tとを地面GLに接触させている。地面GLに接する下側の着脱カバー40には電動モータ11等の重さ(荷重)が加わり、その荷重は本体カバー30(分割カバー31)の横倒し用ボス34Aを介して電動モータ11に支持される(
図5参照)。横倒し用ボス34Aに覆設されたクッション部材34Bは、本体カバー30および着脱カバー40(または電動モータ11)に加わる荷重を緩衝する。
【0064】
[着脱カバーの分離]
次に、着脱カバー40を本体カバー30から分離する手順について説明する。ユーザ(作業者)は、着脱カバー40の縁に指を掛け、左右方向の外側に引っ張る。着脱カバー40の各ループ面部F2が分割カバー31の各フック面部F1から剥がされ、着脱カバー40が本体カバー30から分離する。
【0065】
着脱カバー40を取り外すことで、収納空間SPに収納された小道具類を取り出すことができる。また、右方の着脱カバー40を取り外すことで、窓部35が露出し、ユーザは窓部35を通して冷却水の残量を確認することができる。また、接続口57が露出するため、ケーブル等を介して外部機器を接続口57に接続し、外部機器を動作させることができる。さらに、左方の着脱カバー40を取り外すことで、保持部36に保持された工具が露出し、ユーザは工具を用いて簡単なメンテナンスを行うことができる。
【0066】
以上説明した本実施例に係るモータカバー10(アッパユニット2のカバー構造)によれば、着脱カバー40が分割カバー31に対して着脱可能であるため、例えば、ユーザは、既存の着脱カバー40を取り外し、自分の好みのデザインが施された着脱カバー40を装着することができる。また、発光部50からの光は着脱カバー40に設けられた光透過部43を通して外部に放出されるため、例えば、光透過部43の形状や大きさを変更することで、ユーザの好みに応じた電飾を構成することができる。これにより、アッパユニット2の一部の意匠を容易に変更することができるため、アッパユニット2のモータカバー10(の意匠)をカスタマイズしたいというユーザの志向に対応することができる。また、着脱カバー40のみを交換するため、モータカバー10全体を交換する場合に比べて、交換(意匠変更)に係るコストを低減することができる。また、発光部50を、電動モータ11の出力(稼働情報)、バッテリ13の残量、その他の様々な船外機1の情報を表示する手段(ユーザに報知する手段)として利用することができる。さらに、アッパユニット2の側面を発光させる発光部50を、他の船舶に自船舶の所在を知らせる手段として利用することができる。
【0067】
また、本実施例に係るモータカバー10では、本体カバー30に装着された着脱カバー40が船外機1における左右方向の頂部40Tを含んでいた。船外機1を保管姿勢Pにすると、着脱カバー40の頂部40Tが地面GLに接触するため(
図10参照)、着脱カバー40には傷が付きやすい。この問題に対し、本実施例に係るモータカバー10によれば、着脱カバー40が着脱可能であるため、傷が付いた着脱カバー40を、傷の無い着脱カバー40に容易に交換することができる。
【0068】
なお、船外機1は着脱カバー40を取り外した状態(図示せず)で保管姿勢Pにされてもよい。この場合、本体カバー30(分割カバー31)の装着凹部32の範囲内に存在する頂部(例えば、横倒し用ボス34Aに対応する部分)が地面GLに接触するため、分割カバー31に傷が付くことがあるが、着脱カバー40を装着することで分割カバー31に付いた傷を隠すことができる。
【0069】
また、本実施例に係るモータカバー10では、一対の分割カバー31の組み付けに用いる第1の締結部材37が装着凹部32に設けられ、第2の締結部材38が装着凹部32から下方に外れた位置に設けられていた(
図3参照)。この構成によれば、第1の締結部材37を着脱カバー40によって覆い隠すことができ、第2の締結部材38をアッパユニット2の下部の目立たない位置に配置することができる。これにより、分割カバー31を組み付けた状態で第1および第2の締結部材37,38が目立つことがなく、アッパユニット2の外観を良好なものとすることができる。
【0070】
また、本実施例に係るモータカバー10によれば、分割カバー31と着脱カバー40との間に収納空間SPが形成されるため、例えば、釣針、釣糸および小型ライト等の釣り目的用の小道具類等を収納空間SPに収納することができる。
【0071】
また、本実施例に係るモータカバー10によれば、着脱カバー40を取り外すことで窓部35が露出し、窓部35を通して冷却水の残量を簡単に点検することができる。また、保持部36に工具を保持させることができるため、工具を収納したケース等を持ち運ぶ必要が無くなり、保持部36に保持された工具を用いて簡単なメンテナンスを手軽に行うことができる。さらに、接続口57に接続された外部機器に電力を供給することができるため、電力が必要な外部機器を手軽に利用することができる。
【0072】
また、本実施例に係るモータカバー10によれば、ユーザが外部通信端末56を操作することで自由に発光状態を変更することができる。これにより、着脱カバー40や発光部50を交換することなく、ユーザの好みに応じた電飾を構成することができることに加え、発光状態を対象に同期させて船外機1のステータスをユーザに提示することができる。
【0073】
なお、本実施例に係る船外機1は、アッパユニット2、ミドルユニット3およびロアユニット4の3つの部位に分かれていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ミドルユニット3をロアユニット4の一部として捉え、船外機が上下2つのユニット(アッパユニット2、ロアユニット4)で構成されてもよい(図示せず)。
【0074】
また、本実施例に係る船外機1は、電動モータ11を動力源としていたが、電動モータ11に代えて、小型の内燃機関(例えば、排気を大気開放とする内燃機関)を動力源としてもよいし、電動モータ11と内燃機関とを組み合わせたハイブリッド型の動力源を備えていてもよい(いずれも図示せず)。
【0075】
なお、本実施例に係るモータカバー10(アッパユニット2のカバー構造)では、発光部50の発光制御部52が本体カバー30に設けられ、光源51が分割カバー31の表面に露出していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、発光制御部52と光源51とをユニット化(一体化)した発光部(図示せず)が、分割カバー31と着脱カバー40との間(収納空間SP)に配置されてもよい。この構成によれば、アッパユニット2の意匠を容易にカスタマイズすることができ、他の船舶に自船舶の所在を知らせることができる等、上記した実施例と同様の効果を得ることができる。また、着脱カバー40を取り外すだけで発光部を容易に交換することができる。
【0076】
また、本実施例に係るモータカバー10では、一対の分割カバー31にそれぞれ着脱カバー40が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、着脱カバー40は、一対の分割カバー31の少なくとも1つの分割カバー31の外面の一部に着脱可能に設けられていればよい。また、着脱カバー40は、側面視で分割カバー31の中央領域に配置されていたが、これに限らず、分割カバー31の中央領域から前後方向または上下方向にずれた位置に配置されてもよい(図示せず)。
【0077】
また、本実施例に係るモータカバー10では、着脱カバー40が湾曲面を有するボウル状に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。着脱カバー40は、例えば、円形や多角形を底面とする柱体形状や錐体形状であってもよい(図示せず)。すなわち、着脱カバー40は、頂部40Tを有する形状で、分割カバー31との間に収納空間SPを形成することのできる形状であれば如何なる形状でもよい。
【0078】
また、本実施例に係るモータカバー10では、着脱カバー40と分割カバー31との間に収納空間SPが形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、収納空間SPは省略されてもよく、着脱カバー40は収納空間SPを挟まず分割カバー31に接した状態で装着されてもよい(図示せず)。
【0079】
また、本実施例に係るモータカバー10では、光透過部43が右方の着脱カバー40の一部に設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、着脱カバー40が光を透過する素材で形成され、着脱カバー40の全部が光透過部43として機能してもよい(図示せず)。また、例えば、光透過部43は、左方の着脱カバー40に設けられてもよいし、左右両方の着脱カバー40に設けられてもよい(図示せず)。この場合、発光部50の光源51も光透過部43と同じ側に設けられる(図示せず)。
【0080】
また、本実施例に係るモータカバー10では、光透過部43の第2~第3透光部43B,43Cが一体成型されていたが、これに限らず、例えば、第1~第3透光部43A~43Cが全て別々に形成されてもよいし、第1~第3透光部43A~43Cが一体に形成されてもよい(図示せず)。また、光透過部43(第1~第3透光部43A~43C)の位置や形状は、上記した位置や形状に限らず、自由に変更されてもよい。この場合、発光部50の光源51も第1~第3透光部43A~43Cの位置や形状に対応するように配置されていればよい(図示せず)。
【0081】
また、本実施例に係るモータカバー10では、光透過部43が第1~第3透光部43A~43Cを有していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、光透過部43は、第1~第3透光部43A~43Cのうち少なくとも1つを有してもよいし、これら以外の透光部を更に有していてもよい(図示せず)。この場合、発光部50の光源51も第1~第3透光部43A~43Cのうち少なくとも1つや他の透光部に対応するように配置されていればよい(図示せず)。
【0082】
また、本実施例に係るモータカバー10では、発光部50(通信部55)と外部通信端末56との通信に近距離無線通信技術が採用されていたが、本発明はこれに限定されない。通信部55と外部通信端末56との他の通信方式として、例えば、携帯電話回線、無線LAN等が採用されてもよいし、赤外線通信等が採用されてもよい。また、通信部55は、外部通信端末56と無線通信を行っていたが、これに限らず、外部通信端末56と有線通信を行ってもよい。また、外部通信端末56は、スマートフォンに限らず、タブレット端末、ノートパソコン、船外機1の専用の端末等であってもよい(図示せず)。
【0083】
また、本実施例に係るモータカバー10では、発光部50(演算処理部54)が、電動モータ11の出力やバッテリ13の残量の増減に応じて発光状態を変化させていたが、動力源として内燃機関を用いる場合には、光源51の発光状態に同期させる対象として、内燃機関の出力や燃料の残量等が選択できることとしてもよい(図示せず)。
【0084】
また、本実施例に係るモータカバー10では、一対の分割カバー31が3つの第1の締結部材37と2つの第2の締結部材38とで組み付けられていたが、これに限らず、少なくとも1つの第1の締結部材37と少なくとも1つの第2の締結部材38とを用いて一対の分割カバー31が組み付けられればよい。
【0085】
また、本実施例に係るモータカバー10では、分割カバー31に面ファスナのフック面部F1が固定され、着脱カバー40に面ファスナのループ面部F2が固定されていたが、これに限らず、分割カバー31にループ面部F2が固定され、着脱カバー40にフック面部F1が固定されてもよい(図示せず)。
【0086】
また、本実施例に係るモータカバー10では、分割カバー31に対する着脱カバー40の装着手段に面ファスナを採用したが、本発明はこれに限定されない。他の装着手段として、例えば、分割カバー31と着脱カバー40の何れか一方に設けた突起に、分割カバー31と着脱カバー40の何れか他方に設けたレバーを引っ掛けて倒すことでロックするスナップ錠(ファスナ)を採用してもよい(図示せず)。また、他の装着手段として、例えば、分割カバー31と着脱カバー40の何れか一方に爪状のフックを設け、分割カバー31と着脱カバー40の何れか他方にフックを係止させる凹部を設けてもよい(図示せず)。さらに、他の装着手段として、マグネットを採用してもよい(図示せず)。また、上記した様々な装着手段を組み合わせてもよい(図示せず)。
【0087】
また、本実施例に係るモータカバー10では、窓部35が冷却水の残量を確認するために設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、動力源として内燃機関を用いた場合、窓部35はオイル量を確認するために設けられてもよい。
【0088】
また、本実施例に係るモータカバー10では、右方の分割カバー31に窓部35および接続口57が設けられ、左方の分割カバー31に保持部36が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、これとは逆に、右方の分割カバー31に保持部36が設けられ、左方の分割カバー31に窓部35および接続口57が設けられてもよい(図示せず)。他にも、両側の分割カバー31に、窓部35と保持部36と接続口57の少なくとも1つが設けられてもよいし、窓部35、保持部36および接続口57が省略されてもよい(図示せず)。また、接続口57は2つ以上設けられてもよい(図示せず)。
【0089】
また、本実施例に係るモータカバー10では、2つの保持部36が設けられていたが、保持部36は少なくとも1つ設けられていればよい。また、保持部36は、工具の形状に合わせた窪みであったが、これに限らず、例えば、工具の一部に引っ掛かるフックであってもよい(図示せず)。また、保持部36には所定の物品の一例としての工具が保持されていたが、本発明はこれに限定されない。物品の他の例としての交換部品等が保持部36に保持されてもよい(図示せず)。
【0090】
なお、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う船外機もまた本発明の技術思想に含まれる。