(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022012494
(43)【公開日】2022-01-17
(54)【発明の名称】点検システムおよび非常用照明器具
(51)【国際特許分類】
H05B 47/20 20200101AFI20220107BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20220107BHJP
H05B 45/385 20200101ALI20220107BHJP
H05B 45/52 20200101ALI20220107BHJP
H05B 45/54 20200101ALI20220107BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20220107BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20220107BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20220107BHJP
【FI】
H05B47/20
H05B45/10
H05B45/385
H05B45/52
H05B45/54
H05B47/105
H05B47/165
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020114357
(22)【出願日】2020-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】江口 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】今▲吉▼ ちづる
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA21
3K273QA38
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA13
3K273TA15
3K273TA28
3K273TA41
3K273TA42
3K273TA54
3K273TA66
3K273UA15
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】
【課題】コストを抑制して複数の被点検器具の点検が可能な点検システムおよび非常用照明器具を得ることを目的とする。
【解決手段】本開示に係る点検システムは、携帯電話網によって点検コマンドを送信する第1管理装置と、該携帯電話網を介して該点検コマンドを受信し、該点検コマンドに応じて自動点検を行い、該携帯電話網を用いて該自動点検の点検結果を該第1管理装置に送信する被点検器具と、を備え、該第1管理装置と該被点検器具との間の該携帯電話網による通信には、頻度の上限値またはデータ容量の上限値の少なくとも一方を含む予め定められた制限が課されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話網によって点検コマンドを送信する第1管理装置と、
前記携帯電話網を介して前記点検コマンドを受信し、前記点検コマンドに応じて自動点検を行い、前記携帯電話網を用いて前記自動点検の点検結果を前記第1管理装置に送信する被点検器具と、
を備え、
前記第1管理装置と前記被点検器具との間の前記携帯電話網による通信には、頻度の上限値またはデータ容量の上限値の少なくとも一方を含む予め定められた制限が課されていることを特徴とする点検システム。
【請求項2】
前記被点検器具は、非常用照明器具であることを特徴とする請求項1に記載の点検システム。
【請求項3】
前記制限は、前記通信の前記頻度の上限値を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の点検システム。
【請求項4】
前記点検コマンドの送信の頻度は半年に1回以下に制限されることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項5】
前記制限は、前記通信の前記データ容量の上限値を含むことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項6】
前記通信の1回当たりのデータ容量は256バイト以下であることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項7】
前記制限は、前記通信が可能な時間帯を含むことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項8】
前記通信は夜間に実施されることを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項9】
前記通信は前記携帯電話網の管理者が指定した時間に実施されることを特徴とする請求項1から8の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項10】
前記被点検器具は、前記通信で使用する前記携帯電話網の基地局が固定されていることを特徴とする請求項1から9の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項11】
前記第1管理装置に前記点検コマンドを送信する第2管理装置を備え、
前記第1管理装置は、前記点検コマンドを受信すると、前記携帯電話網のトラフィック量に応じて決まる時刻に前記携帯電話網によって前記点検コマンドを送信することを特徴とする請求項1から10の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項12】
前記第2管理装置は、前記被点検器具に前記点検コマンドを送信する期限を、前記第1管理装置に通知することを特徴とする請求項11に記載の点検システム。
【請求項13】
前記被点検器具は、複数の種類の携帯電話網の電波を受信可能であることを特徴とする請求項1から12の何れか1項に記載の点検システム。
【請求項14】
光源と、
前記光源を点灯させ、点検コマンドに応じて自動点検を行う点灯装置と、
携帯電話網を介して外部から前記点検コマンドを受信し、前記携帯電話網を用いて前記自動点検の点検結果を外部に送信する通信モジュールと、
を備え、
前記通信モジュールの前記携帯電話網による通信には、頻度の上限値またはデータ容量の上限値の少なくとも一方を含む予め定められた制限が課されていることを特徴とする非常用照明器具。
【請求項15】
前記制限は、前記通信の前記頻度の上限値を含むことを特徴とする請求項14に記載の非常用照明器具。
【請求項16】
前記点検結果の送信の頻度は半年に1回以下に制限されることを特徴とする請求項14または15に記載の非常用照明器具。
【請求項17】
前記制限は、前記通信の前記データ容量の上限値を含むことを特徴とする請求項14から16の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【請求項18】
前記通信の1回当たりのデータ容量は256バイト以下であることを特徴とする請求項14から17の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【請求項19】
前記制限は、前記通信が可能な時間帯を含むことを特徴とする請求項14から18の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【請求項20】
前記通信は夜間に実施されることを特徴とする請求項14から19の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【請求項21】
前記通信は前記携帯電話網の管理者が指定した時間に実施されることを特徴とする請求項14から20の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【請求項22】
前記通信モジュールは、前記通信で使用する前記携帯電話網の基地局が固定されていることを特徴とする請求項14から21の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【請求項23】
前記通信モジュールは、複数の種類の携帯電話網の電波を受信可能であることを特徴とする請求項14から22の何れか1項に記載の非常用照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、点検システムおよび非常用照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通信サービス提供方法が開示されている。この通信サービス提供方法において、統計演算部は、所定の期間内において移動通信ネットワークにおけるトラフィック量が最少となる時刻を判定する。また、統計演算部は、その時刻に通信を行っていた移動機を特定する。加入者情報管理部は、統計演算部によって特定された移動機の契約者に対して、所定の特典を付与する処理を行う。WEBサーバは、統計演算部によって判定された最少トラフィック量時刻をインターネット上に公開する処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、誘導灯、非常灯などの非常用照明器具は、半年に一回の点検を行い、行政、消防署などに定期的に報告することが必要とされる。ここで、複数の非常用照明器具に対して点検を行う場合、人手による点検が困難となることが考えられる。これに対し、集中制御などを用いて自動で点検を行うことが考えられる。しかし、非常用照明器具に専用の通信手段が必要となり、自動点検のためのコストが上昇するおそれがある。このため、大規模な需要家以外は自動点検の採用が難しい。
【0005】
また、携帯電話の普及により、高速、大容量の通信システムが構築されている。特許文献1では、移動通信システムにおける通信設備の有効利用を図っている。しかし、携帯電話網は、一般に回線当たりの契約料が高価である。このため、照明器具のような台数が多い機器の通信に携帯電話網を使用すると、通信コストが高額となるおそれがある。
【0006】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、コストを抑制して複数の被点検器具の点検が可能な点検システムおよび非常用照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る点検システムは、携帯電話網によって点検コマンドを送信する第1管理装置と、該携帯電話網を介して該点検コマンドを受信し、該点検コマンドに応じて自動点検を行い、該携帯電話網を用いて該自動点検の点検結果を該第1管理装置に送信する被点検器具と、を備え、該第1管理装置と該被点検器具との間の該携帯電話網による通信には、頻度の上限値またはデータ容量の上限値の少なくとも一方を含む予め定められた制限が課されている。
【0008】
本開示に係る非常用照明器具は、光源と、該光源を点灯させ、点検コマンドに応じて自動点検を行う点灯装置と、携帯電話網を介して外部から該点検コマンドを受信し、該携帯電話網を用いて該自動点検の点検結果を外部に送信する通信モジュールと、を備え、該通信モジュールの該携帯電話網による通信には、頻度の上限値またはデータ容量の上限値の少なくとも一方を含む予め定められた制限が課されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る点検システムおよび非常用照明器具では、携帯電話網による通信に予め定められた制限が課された状態で、点検コマンドと点検結果の送受信が行われる。従って、コストを抑制して複数の被点検器具の点検が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る点検システムの構成を説明する図である。
【
図2】実施の形態1に係る非常用照明器具の回路ブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る管理装置の機能ブロック図である。
【
図4】実施の形態1に係る管理装置のハードウェア構成図である。
【
図5】実施の形態1に係る通信費の例を示す図である。
【
図6】実施の形態2に係る点検システムの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
各実施の形態に係る点検システムおよび非常用照明器具について図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る点検システム100の構成を説明する図である。点検システム100は、管理装置1と非常用照明器具5、6を備える。非常用照明器具5、6は点検システム100における被点検器具である。管理装置1はパソコン等である。管理装置1は点検システム100の管理者が管理する。非常用照明器具5、6はユーザ7が使用する。
図1には2台の非常用照明器具5、6が示されているが、点検システム100が備える非常用照明器具は1台以上であれば良い。
【0013】
管理装置1と非常用照明器具5、6は、携帯電話網4を介して通信する。携帯電話網4は、携帯電話、スマートフォンによる通信に用いられる通信網である。携帯電話網4は基地局を介した通信である。非常用照明器具5、6は、携帯電話網4によって管理装置1と通信するための通信モジュール30を有する。通信モジュール30は、携帯電話またはスマートフォン用の通信モジュールであっても良い。
【0014】
次に、点検システム100の動作について説明する。通信1として、管理装置1は、携帯電話網4によって点検コマンドおよび個体識別情報を非常用照明器具5に送信する。個体識別情報は、携帯電話網4において被点検器具を特定可能な情報である。個体識別情報は、非常用照明器具5の電話番号等である。
【0015】
非常用照明器具5は、携帯電話網4を介して点検コマンドを受信する。非常用照明器具5は、点検コマンドに応じて自動点検を行う。さらに非常用照明器具5は、通信2として、携帯電話網4を用いて個体識別情報と自動点検の点検結果を管理装置1に送信する。
【0016】
同様に、管理装置1と非常用照明器具6との間でも点検コマンドと点検結果の送受信が実施される。このように、管理装置1からのリモートコントロールで非常用照明器具5、6の点検が実施される。
【0017】
管理装置1の管理者は、点検結果を確認し、通信3としてユーザ7および被報告機関8に点検結果を報告する。被報告機関8は例えば政令等で定められた機関である。被報告機関8は、行政機関または消防署等である。ユーザ7および被報告機関8への点検結果の報告は、管理装置1が行っても良いし、管理装置1を用いずに管理者が行っても良い。また、被報告機関8への点検結果の報告は、ユーザ7が行っても良い。
【0018】
図2は、実施の形態1に係る非常用照明器具5の回路ブロック図である。ここでは、非常用照明器具5の構成について説明するが、非常用照明器具6の構成も同様である。非常用照明器具5は防災灯とも呼ばれる。非常用照明器具5は例えば誘導灯である。非常用照明器具5は非常灯であっても良い。非常用照明器具5は、点灯装置10と光源モジュール21と通信モジュール30を備える。
【0019】
」
点灯装置10は、光源20を点灯させ、点検コマンドに応じて自動点検を行う。通信モジュール30は、携帯電話網4を介して外部から点検コマンドを受信し、携帯電話網4を用いて自動点検の点検結果を外部に送信する。
【0020】
光源モジュール21は直列に接続された複数の光源20を備える。光源20はLED等の発光素子である。複数の光源20は並列接続されても良いし、直並列に接続されても良い。
【0021】
点灯装置10は、整流回路DB、フライバック回路11、充電回路12、放電回路14、点灯回路15および制御回路16を備える。整流回路DBは、外部電源ACから供給される電圧を整流する。整流回路DBの出力には、平滑コンデンサC1が接続される。
【0022】
平滑コンデンサC1と並列に、フライバック回路11が接続される。フライバック回路11の出力には、点灯回路15を介して光源モジュール21が接続される。また、フライバック回路11の別の出力には、充電回路12が接続される。充電回路12の出力には、電池13が接続される。電池13には、放電回路14の入力が接続される。放電回路14の出力には点灯回路15が接続される。点灯回路15の出力には、光源モジュール21が接続される。
【0023】
また、フライバック回路11、充電回路12、放電回路14、点灯回路15には、制御回路16が接続される。制御回路16は、フライバック回路11、充電回路12、放電回路14を制御する。また、制御回路16は、例えば点灯回路15が有するスイッチング素子のオンオフを制御して、光源モジュール21の明るさを制御する。
【0024】
平滑コンデンサC1で平滑された電圧は、フライバック回路11で降圧される。フライバック回路11の出力電圧は、点灯回路15、充電回路12に供給される。点灯回路15は、外部電源ACが供給される常用時は、フライバック回路11の出力電圧を供給され光源20を常用点灯させる。また、常用時において電池13は、充電回路12によって充電される。
【0025】
外部電源ACが遮断されると停電となる。このとき、電池13から電源を供給されて放電回路14が動作する。放電回路14は、点灯回路15に電源を供給する。これにより、点灯回路15は光源20を非常点灯させる。
【0026】
制御回路16は、例えばマイコンである。制御回路16は処理部16aと記憶部16bを有する。処理部16aは例えばプロセッサである。記憶部16bは例えば不揮発性メモリである。制御回路16には、通信モジュール30が受信した点検コマンドが入力される。処理部16aは、点検コマンドに応じて非常用照明器具5の自動点検を実施する。記憶部16bには、自動点検に用いられるプログラムおよびデータが記憶されている。
【0027】
自動点検では、一定時間、光源モジュール21を非常点灯させ、電池13および光源20が劣化していないかが点検される。
【0028】
また、点検コマンドとともに、自動点検の動作開始時刻または点検結果の返信時刻が送信されても良い。この場合、制御回路16は、指定時刻に自動点検を実施し、指定時刻に通信モジュール30に点検結果を送信させる。
【0029】
図3は、実施の形態1に係る管理装置1の機能ブロック図である。
図4は、実施の形態1に係る管理装置1のハードウェア構成図である。管理装置1は、第1通信部1a、処理部1b、記憶部1c、第2通信部1dを有する。
【0030】
第1通信部1aは、携帯電話網を介して非常用照明器具5、6に点検コマンドを送信する。また、第1通信部1aは、携帯電話網4を介して自動点検の点検結果を非常用照明器具5、6から受信する。第1通信部1aの機能は、携帯電話網4を介して非常用照明器具5、6と通信するための第1通信モジュール103で実現される。
【0031】
第2通信部1dは、点検結果を被報告機関8およびユーザ7に送信する。第2通信部1dの機能は、インターネット等のネットワークを介して被報告機関8およびユーザ7と通信するための第2通信モジュール104で実現される。
【0032】
処理部1bは、第1通信部1aに点検コマンドを送信させる。また、処理部1bは、自動点検の点検結果を記憶部1cに保存する。さらに処理部1bは、第2通信部1dに点検結果を送信させる。
【0033】
処理部1bの機能は、
図4に示されるプロセッサ101等の制御装置により実現される。記憶部1cの機能はメモリ102で実現される。
【0034】
非常用照明器具をリモートで検査するには、管理装置1との通信手段が必要となる。しかし、ユーザが通信手段を有しているとは限らない。また、セキュリティ等の問題により、非常用照明器具と管理装置1とを容易に接続できないおそれがある。
【0035】
これに対し、本実施の形態では非常用照明器具5、6を携帯電話網4と接続することで、管理装置1との通信環境を確保できる。また、例えば大手キャリヤの携帯電話網4を使用することで、国内の大部分のエリアにおいて、通信環境を確保できる。
【0036】
また、非常用照明器具5、6の通信モジュール30として、携帯電話またはスマートフォンの通信モジュールをそのまま流用できる。このため、非常用照明器具5、6の通信モジュール30のコストを抑制できる。また、非常用照明器具5、6の消費電力を低減できる。また、ユーザ7の負担を抑制して、点検システム100を導入できる。
【0037】
ここで、一般に携帯電話網4を用いた通信では、常時接続が前提とされ、回線当たりの契約料が高価である。照明器具のような台数が多い被点検器具について、このような契約を行うと、通信コストが高額となるおそれがある。国内の非常用照明器具の年間出荷台数は350万台程度である。非常用照明器具1台あたりに4000円/月の契約料を支払う場合、140億円/月の通信コストが必要となる。このように、非常用照明器具に限らず、数量が大規模で微小容量の通信を行う機器において、携帯電話網4を使用すると通信コストが高額となるおそれがある。
【0038】
これに対し本実施の形態では、管理装置1と非常用照明器具5、6との間の携帯電話網4による通信には、予め定められた制限が課されている。これにより、通信コストを抑制できる。以下では、複数の非常用照明器具5、6のうち管理装置1と非常用照明器具5との通信を例に説明するが、非常用照明器具6についても同様である。
【0039】
携帯電話網4による通信に課される予め定められた制限は、例えば通信の頻度の上限値を含む。管理装置1から非常用照明器具5への点検コマンドの送信の頻度と、非常用照明器具5からの点検結果の送信の頻度は、例えば半年に1回以下に制限される。
【0040】
また、携帯電話網4による通信に課される予め定められた制限は、例えば通信のデータ容量の上限値を含む。携帯電話網4による通信の1回当たりのデータ容量は、例えば256バイト以下である。
【0041】
図5は、実施の形態1に係る通信費の例を示す図である。
図1に示される通信1において送信される情報は、例えば個体識別情報、点検コマンド、自動点検の実施日時、点検コマンドの送信日時である。各情報のデータ容量は、一例として個体識別情報が4バイト、点検コマンドが1バイト、自動点検の実施日時が5バイト、点検コマンドの送信日時が5バイトである。このため、管理装置1から非常用照明器具5へ送信する情報は15バイトとなる。
【0042】
なお、個体識別情報は被点検器具の数だけが必要になる。4バイトの場合、43億台の被点検器具の個体識別情報が確保できる。
【0043】
図1に示される通信2において送信される情報は、例えば個体識別情報、点検結果、自動点検の実施日時、点検結果の送信日時である。各情報のデータ容量は、一例として個体識別情報が4バイト、点検結果が10バイト、自動点検の実施日時の5バイト、点検結果の送信日時が5バイトである。このため、非常用照明器具5から管理装置1へ送信する情報は24バイトとなる。
【0044】
図5には、通信1、2のデータ容量を共に256バイトと仮定した場合の、現在の一般的な通信料金に基づく通信費の概算値が示されている。現時点では、一般に2Gバイト程度のデータ容量が、月あたり1000円程度で提供されることがある。この料金には、通信費以外の固定費も含まれることがある。ここでは、仮に通信費のみを考慮して、従量制で通信費が決まるものとする。
【0045】
また、非常用照明器具5では、点検は例えば半年に一回実施すれば良い。また、点検結果の報告は例えば1~3年に一回実施すれば良い。以上から、ここでは年2回、256バイトの情報が送受信されるものと仮定する。
【0046】
このとき、通信料金は1年で0.00008円程度となる。このように、本実施の形態の通信コストはほぼ固定費のみとなる。また、被点検器具の台数が多い場合、固定費の低減も可能となる。
【0047】
このように、本実施の形態では、携帯電話網4による通信に予め定められた制限が課された状態で、点検コマンドと点検結果の送受信が行われる。従って、コストを抑制して複数の被点検器具の点検が可能となる。
【0048】
本実施の形態では、携帯電話網4による通信において、通信の頻度および通信の1回当たりのデータ容量が制限される。携帯電話網4による通信に課される制限は、これに限定されない。例えば、通信の頻度または通信の1回当たりのデータ容量の一方のみが制限されても良い。
【0049】
携帯電話網4による通信に課される制限は、通信が可能な時間帯を含んでも良い。携帯電話網4による通信は、例えば夜間または深夜に実施されて良い。一般に非常用照明器具5への通信は時間を問わない。このため、夜間などの携帯電話網4のトラフィック量が少ない時間に通信を行うことで、さらに通信コストを抑制して複数の被点検器具の点検が可能となる。
【0050】
携帯電話網4による通信は、携帯電話網4の管理者が指定した時間に実施されても良い。携帯電話網4の管理者は、例えば携帯電話会社である。通信を行う時間として、予め携帯電話会社の都合に合わせた時間を指定して契約を行うことで、さらに通信コストを抑制できる。
【0051】
このように、通信が可能な時間帯が制限されることで、大量の非常用照明器具5に点検コマンドを送信する際に、トラフィックの平準化を図ることができる。
【0052】
また、非常用照明器具5は、携帯電話網4による通信で使用する携帯電話網4の基地局が固定されていても良い。一般に携帯電話、スマートフォンとは異なり、非常用照明器具は移動することがない。このため、携帯電話、スマートフォンの様なサーチ動作は不要となる。つまり、非常用照明器具5は、初期設定後は基地局を切り替えるための通信を行わなくても良い。
【0053】
例えば非常用照明器具5は設置時にエリアを登録される。非常用照明器具5は、半年に一回の点検時に登録されたエリアで通信を行う。これにより、サーチ動作を省略することができる。従って、通信のデータ容量をさらに低減することができる。
【0054】
また、エリアが固定されることで、異なるエリア間で個体識別情報がユニークである必要がなくなる。従って、個体識別情報の確保が容易となる。
【0055】
また、一般に非常用照明器具は携帯電話よりも寿命が長く、長期間使用されることが考えられる。このとき、携帯電話網4が停波すると点検が行えなくなるおそれがある。このため、非常用照明器具5は、複数の種類の携帯電話網の電波を受信可能であっても良い。非常用照明器具5は、周波数帯等が異なる複数の種類の電波を受信可能なように、複数種類の通信モジュール30が組み込まれていても良い。
【0056】
また、非常用照明器具5は、複数の携帯電話会社の通信モジュール30が組み込まれていても良い。これにより、1つの携帯電話会社の携帯電話網4で通信が不可能なエリアに非常用照明器具5が配置された場合にも、別の携帯電話会社の携帯電話網4により通信エリアを確保できる。
【0057】
また、一般に携帯電話網4が高容量化すると、周波数帯が上がり、到達距離およびエリアが制限されることがある。このため、携帯電話またはスマートフォン用の古い携帯電話網4を点検システム100用の小容量通信の専用システムとして存続させても良い。
【0058】
また、非常用照明器具5の設置時に、通常時よりもデータ容量の制限を緩和しても良い。これにより、エリア、個体識別情報等の登録情報を管理装置1との間で送受信できる。
【0059】
また、非常用照明器具5と管理装置1との間で送受信される情報は、限定されない。例えば、管理装置1は、点検コマンドの送信時に非常用照明器具5、6に時刻を同報しても良い。これにより、非常用照明器具5、6の時計をリセットできる。
【0060】
また、非常用照明器具5は、通信エリアへの在、不在確認通信、つまり、サーチ動作を行わないものとした。これに限らず、非常用照明器具5は、携帯電話、スマートフォンと比較して、基地局を切り替えるための通信の頻度が低いものとしても良い。
【0061】
また、非常用照明器具5において、通信モジュール30の電源は予め定められた期間のみ投入されるものとしても良い。例えば、通信モジュール30は、電源が週に一度投入され、携帯電話網4の管理者からのメッセージまたは情報を受け取るものとしても良い。また、通信モジュール30は、自動点検の際に電源が投入されるものとしても良い。これにより、通信モジュール30の通信頻度および消費電力を低減できる。
【0062】
また、非常時に非常用照明器具5は携帯電話として使用可能であっても良い。また、非常用照明器具5にさらにWiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等による通信モジュール30を追加しても良い。これにより、非常用照明器具5をネット端末として使用できる。
【0063】
本実施の形態では、携帯電話網4を使い、使用条件を限定することで、大量の非常用照明器具5、6の自動点検を、コストを抑制して可能とする。本実施の形態の点検システム100の被点検器具は、非常用照明器具5、6に限定されない。本実施の形態は、管理装置1との間で点検結果を送受信するあらゆる被点検器具に適用できる。特に、数量が大規模である一方で、小容量の点検結果を年に数回送信すれば良い機器などで、本実施の形態は有効である。被点検器具は、例えばIoT(Internet of Things)機器でも良い。
【0064】
これらの変形は、以下の実施の形態に係る点検システムおよび非常用照明器具について適宜応用することができる。なお、以下の実施の形態に係る点検システムおよび非常用照明器具については実施の形態1との共通点が多いので、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0065】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る点検システム200の構成を説明する図である。携帯電話網4によって点検コマンドを送信する管理装置2と、管理装置2に点検コマンドを送信する管理装置1を備える。管理装置1は、実施の形態1の管理装置1と同様に点検システム200の管理者が管理する装置である。また、管理装置2は、携帯電話網4の管理者が管理する装置である。携帯電話網4の管理者は、例えば携帯電話会社である。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0066】
点検システム200において、管理装置1は、通信201として、回線3によって管理装置2に点検コマンドおよび個体識別情報を送信する。回線3は、有線の回線でも無線の回線でもよい。
【0067】
次に、管理装置2は、携帯電話網4によって点検コマンドおよび個体識別情報を非常用照明器具5に送信する。非常用照明器具5は、点検コマンドに応じて自動点検を行う。さらに非常用照明器具5は、通信203として、携帯電話網4を用いて個体識別情報と自動点検の点検結果を管理装置2に送信する。同様に、管理装置2と非常用照明器具6との間でも点検コマンドと点検結果の送受信が実施される。
【0068】
次に、通信204として、管理装置2は個体識別情報と点検結果を管理装置1に送信する。管理装置1の管理者は点検結果を確認し、通信205としてユーザ7および被報告機関8に報告する。
【0069】
管理装置2は、管理装置1から点検コマンドを受け取った後、携帯電話網4の都合に合わせたタイミングで、携帯電話網4を経由して非常用照明器具5に点検コマンドを転送する。携帯電話網4の都合に合わせたタイミングは、例えば携帯電話網4のトラフィック量が少ない時刻である。つまり、管理装置2は、管理装置1から点検コマンドを受信すると、携帯電話網4のトラフィック量に応じて決まる時刻に携帯電話網4によって点検コマンドを送信する。
【0070】
本実施の形態では、点検コマンドを予め携帯電話網4の管理者が管理する管理装置2に転送しておく。これにより、携帯電話網4の管理者の都合の良いタイミングで、非常用照明器具5、6への点検コマンドの送信を行うことができる。つまり、自動点検のための通信時間を、携帯電話網4のキャリヤからのデマンドによって指定できる。従って、携帯電話網4のトラフィック量の変動に応じて、負荷の平準化を図れる。トラフィック量の変動要因は、日時によるトラフィック量の変動または携帯電話網4への接続台数の大幅な変化等である。
【0071】
また、管理装置1は、非常用照明器具5、6に点検コマンドを送信する期限を、管理装置2に通知しても良い。これにより、非常用照明器具5、6は予め定められた期限までに自動点検を実施できる。
【0072】
このとき、管理装置1は、点検コマンドとともに点検コマンドを送信する期限を示す日時情報を送信する。また、管理装置2は、点検コマンドとともに管理装置2が点検コマンドを送信した日時情報を送信する。これらの情報のデータ量は10バイト程度で足りる。このため、携帯電話網4を用いた通信のデータ容量の上限値が影響を受けることを抑制できる。
【0073】
なお、各実施の形態で説明した技術的特徴は適宜に組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 管理装置、1a 第1通信部、1b 処理部、1c 記憶部、1d 第2通信部、2 管理装置、3 回線、4 携帯電話網、5、6 非常用照明器具、7 ユーザ、8 被報告機関、10 点灯装置、11 フライバック回路、12 充電回路、13 電池、14 放電回路、15 点灯回路、16 制御回路、16a 処理部、16b 記憶部、20 光源、21 光源モジュール、30 通信モジュール、100 点検システム、101 プロセッサ、102 メモリ、103 第1通信モジュール、104 第2通信モジュール、200 点検システム、AC 外部電源、C1 平滑コンデンサ、DB 整流回路