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特開2022-124956買い物カゴ洗浄方法及び買い物カゴ洗浄装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022124956
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】買い物カゴ洗浄方法及び買い物カゴ洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/04 20060101AFI20220819BHJP
   B08B 3/10 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B08B3/04 A
B08B3/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022908
(22)【出願日】2021-02-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年2月1日に発行されたセルフサービス2021年2月号(NO.739) 令和3年2月10日に配信されたFood Engineering Times Ver.632 令和3年2月11日に発行された食料新聞第5048号 令和3年2月15日に発行された月刊低温流通2021年3月号
(71)【出願人】
【識別番号】396013329
【氏名又は名称】株式会社クレオ
(71)【出願人】
【識別番号】305034889
【氏名又は名称】株式会社キサミツ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
(72)【発明者】
【氏名】大久保 豪
(72)【発明者】
【氏名】喜屋武 眞司
【テーマコード(参考)】
3B201
【Fターム(参考)】
3B201AA26
3B201AB03
3B201AB34
3B201AB43
3B201BB02
3B201BB94
3B201CB12
3B201CC01
3B201CD43
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数個の買い物カゴをまとめて洗浄でき、洗浄中に買い物カゴを傷つけることなく、買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去できるようにする。
【解決手段】洗浄ドラム、蓋部、洗浄ドラム内に取り付けられた回転板8、回転板8を回転させるギヤードモータ9、洗浄液を貯蔵するタンク10、タンク10から洗浄ドラム内に洗浄液を供給するポンプ11及び制御部を備え、回転板8には、積み重ね買い物カゴを保持するカゴ保持具が取り付けられ、制御部は、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すようにして、積み重ね買い物カゴの本洗浄を行うように、ギヤードモータ9の動作を制御し、蓋部には、積み重ね買い物カゴの回転の増速の際に、積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられるように最上段の買い物カゴを上下方向に押えるカゴ押え部18が取り付けられている買い物カゴの洗浄装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄槽、該洗浄槽内に取り付けられた回転体、該回転体を回転させる回転体回転手段及び前記洗浄槽内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を備えた買い物カゴ洗浄装置を使用して、複数の買い物カゴを上下方向に積み重ねた積み重ね買い物カゴを前記洗浄槽内で洗浄する買い物カゴ洗浄方法であって、
前記積み重ね買い物カゴの最下段の買い物カゴが前記回転体に対してその回転方向に動かないように前記積み重ね買い物カゴを前記回転体に載置した状態で、前記洗浄液供給手段から前記洗浄槽内に前記洗浄液を供給し、前記積み重ね買い物を前記洗浄液に浸漬させる洗浄液供給工程と、
前記回転体回転手段により、前記回転体を介して、前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記積み重ね買い物カゴの回転を増速させて、前記洗浄液に前記積み重ね買い物カゴの各買い物カゴを持ち上げる力を生じさせ、前記積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられた後、前記積み重ね買い物カゴの回転を減速させて、前記一定の距離持ち上げられた前記積み重ね買い物カゴを元の位置に下降させ、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返して前記積み重ね買い物カゴの各買い物カゴを洗浄する本洗浄工程と
を備えたことを特徴とする買い物カゴ洗浄方法。
【請求項2】
前記回転体回転手段により、前記回転体を介して、前記積み重ね買い物カゴを時計回りに回転させる正転と前記積み重ね買い物カゴを反時計回りに回転させる逆転を交互に繰り返し、前記正転又は前記逆転の開始後に前記積み重ね買い物カゴの回転を増速させて、前記積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられるようにし、前記積み重ね買い物カゴの回転を減速させて、前記正転から前記逆転に切り換えるとき又は前記逆転から前記正転に切り換えるときに、前記一定の距離持ち上げられた前記積み重ね買い物カゴが元の位置に下降するようにして、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すようにしたことを特徴とする請求項1記載の買い物カゴ洗浄方法。
【請求項3】
前記買い物カゴ洗浄装置は、前記回転体に載置された前記積み重ね買い物カゴの最上段の買い物カゴを上下方向に押える買い物カゴ押え手段を備え、
前記本洗浄工程において、前記積み重ね買い物カゴが前記一定の距離持ち上げられるときに、前記買い物カゴ押え手段により、前記最上段の買い物カゴを前記持ち上げる力より小さい力で押えるようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の買い物カゴ洗浄方法。
【請求項4】
前記買い物カゴ洗浄装置は、さらに、前記洗浄槽内にすすぎ液を供給するすすぎ液供給手段を備え、
前記本洗浄工程の後に、前記洗浄槽から前記洗浄液を排出し、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記すすぎ液供給手段により前記積み重ね買い物カゴに前記すすぎ液をかけて前記積み重ね買い物カゴのすすぎを行うすすぎ工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載した買い物カゴ洗浄方法。
【請求項5】
前記すすぎ工程の後に、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを高速回転させ、前記積み重ね買い物カゴに付着した前記すすぎ液を除去する脱水工程を備えたことを特徴とする請求項4記載の買い物カゴ洗浄方法。
【請求項6】
開口が設けられた洗浄槽、前記開口を塞ぐ蓋部、前記洗浄槽内に取り付けられた回転体、前記回転体を回転させる回転体回転手段、洗浄液を貯蔵する洗浄液タンク、前記洗浄液タンクから前記洗浄槽内に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段及び洗浄制御手段を備えた買い物カゴ洗浄装置であって、
前記回転体には、複数の買い物カゴが上下方向に積み重ねられた積み重ね買い物カゴの最下段の買い物カゴを、前記回転体に対してその回転方向に動かないように保持するカゴ保持具が取り付けられ、
前記洗浄制御手段は、前記洗浄液供給手段により前記洗浄槽に前記洗浄液を供給し、前記カゴ保持具に保持されて前記回転体に載置された前記積み重ね買い物カゴを前記洗浄液に浸漬させ、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すようにして、前記積み重ね買い物カゴの本洗浄を行うように、前記洗浄液供給手段と前記回転体回転手段の動作を制御し、
前記蓋部には、前記回転体に載置された前記積み重ね買い物カゴの最上段の買い物カゴを上下方向に押えるカゴ押え手段が取り付けられ、
前記カゴ押え手段は、前記本洗浄において、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速の際に、前記積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられるようにし、前記積み重ね買い物カゴの回転の減速の際に前記一定の距離持ち上げられた前記積み重ね買い物カゴが元の位置に下降するように前記最上段の買い物カゴを押えることを特徴とする買い物カゴの洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄制御手段は、前記積み重ね買い物カゴを時計回りに回転させる正転と前記積み重ね買い物カゴを反時計回りに回転させる逆転を交互に繰り返すことにより、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すよう前記回転体回転手段の動作を制御することを特徴とする請求項6記載の買い物カゴの洗浄装置。
【請求項8】
前記カゴ押え手段は、前記蓋部の下面に対して移動可能な押え部材と、該押え部材を前記最上段の買い物カゴに押し付ける弾性部材を備えていることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の買い物カゴの洗浄装置。
【請求項9】
前記買い物カゴ洗浄装置は、さらに前記洗浄槽内の前記洗浄液を排出する洗浄液排出手段と前記洗浄槽内にすすぎ液を供給するすすぎ液供給手段を備え、
前記洗浄制御手段は、前記本洗浄の後に、前記洗浄液排出手段により前記洗浄槽から前記洗浄液を排出し、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記すすぎ液供給手段により前記積み重ね買い物カゴに前記すすぎ液をかけて前記積み重ね買い物カゴのすすぎを行うように、前記洗浄液排出手段と前記回転体回転手段と前記すすぎ液供給手段の動作を制御することを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載した買い物カゴ洗浄装置。
【請求項10】
前記洗浄制御手段は、前記すすぎの後に、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを高速回転させ、前記積み重ね買い物カゴに付着した前記すすぎ液を除去する脱水を行うように、前記回転体回転手段の動作を制御することを特徴とする請求項9記載の買い物カゴ洗浄装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター、ドラッグストア等で使用される買い物カゴを洗浄する買い物カゴ洗浄方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター、ドラッグストア等では、多数の買い物かごが使用される。
この買い物カゴは、生鮮食品を始めとする種々の商品が入れられて使用されて、汚れたり雑菌が付着したり等することから、使用された買い物カゴは、定期的に、例えば、1日1回、作業者により手洗浄される。
この場合、スーパーマーケット等の大型店では、使用される買い物カゴの数も多く、それを手洗浄する作業者の負荷は相当なものとなるばかりか、作業者による手洗浄では、汚れや雑菌等が完全に除去できないという問題がある。
このため、買い物カゴを手洗浄する作業者の負荷を軽減し、買い物カゴの汚れや雑菌等を完全に落とすため、種々の買い物カゴ用の洗浄装置が提案されている。
例えば、特許文献1(特開2000-93913号公報)には、洗浄対象となる篭状や箱状のケースをガイドレールに上に載せて水平移動させ、洗浄ノズルからケースの底面と側面に洗浄水を噴射してケースを洗浄し、噴射した洗浄水をパンにより回収するようにした洗浄装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1の洗浄装置では、ガイドレール上を水平移動するケースを1個ずつ洗浄するため、多数ケースを洗浄するのに時間がかかるのみならず、ケースを水平移動させるためにモータ、プーリ、チェーン、ガイドレール、ガイドバー等を備えた移動装置が必要となり、装置が大掛かりとなり、装置の設置スペースを要するという問題がある。
【0003】
また、特許文献2(特開2005-52783号公報)には、スーパーカゴを押し付け可能な縦型回転ブラシおよび横型回転ブラシと洗浄液供給源とを有するブラシ掛け予備洗浄機、回転駆動源および高圧水ノズルを有する水圧予備洗浄機、および、水平軸心周りであって、三箇所以上の複数箇所に、各々所定量のスーパーカゴを格納可能とした洗浄籠を配し、各洗浄籠を該水平軸心周りに回転駆動可能な回転駆動源と、該水平軸心の真下方向に移動した際の洗浄籠を液面下に没しさせ得るだけの量の洗浄液を供給可能とする洗浄液供給源と配設すると共に、回転駆動される洗浄籠に対して高圧水を吹き付けて濯ぎ洗い可能とする高圧水ノズルと、各洗浄籠に温風を吹き付けて乾燥可能とする温風供給源とを設けた回転型洗浄機を夫々順次配置し、ブラシ掛け予備洗浄、水圧予備洗浄、本洗浄、濯ぎ、脱水、乾燥の各工程を実行可能とする洗浄システム。
しかしながら、特許文献2の洗浄システムでは、ブラシ掛け予備洗浄、水圧予備洗浄、本洗浄を別々の機械で行うため、各機械へのスーパーカゴの取り付け取り外しが必要となり、スーパーカゴの洗浄開始から終了までに時間がかかるのみならず、ブラシ掛け予備洗浄機、水圧予備洗浄機、三箇所以上の複数箇所に各々所定量のスーパーカゴを格納する回転型洗浄機を設置する必要があり、特許文献1の洗浄装置以上に、装置が大掛かりとなり、装置の設置スペースを要するという問題がある。
しかも、特許文献2の洗浄システムの回転型洗浄機においては、所定量のスーパーカゴを格納した洗浄籠を回転させて本洗浄、濯ぎ、脱水、乾燥を行うため、回転中にスーパーカゴが洗浄籠の壁面に衝突してスーパーカゴが傷つくという問題がある。
【0004】
この点、特許文献3(特開平7-227582号公報)には、注排水手段により洗浄室内に洗浄水を注入し、同水中に浸漬した被洗浄物に無数の気泡を衝突させて水中洗浄を行なう装置であって、被洗浄物を載置して回転可能な回転台を洗浄室の底部に設置し、回転台上に載置されている被洗浄物を回転台に押えつけかつその状態で回転可能な回転押え盤を洗浄室上部に位置する部材に回転台に対向するようにして設置し、被洗浄物に前記気泡と水流を高速で衝突させるため、回転台と回転押え盤によって固定したまま被洗浄物を回転させる回転機構を設けた回転式水中洗浄装置が開示されている。
この特許文献3の回転式水中洗浄装置において、被洗浄物を買い物カゴとした場合、特許文献3の回転式水中洗浄装置には洗浄後の被洗浄物のすすぎを行う手段がなく、洗浄した後買い物カゴに付着した洗浄液を取り除く作業が必要となる。
また、特許文献3の回転式水中洗浄装置は、被洗浄物を1個ずつ洗浄するため、多数の買い物カゴを洗浄するには長時間かかるという問題がある。
この場合、特許文献2の回転型洗浄機では、スタッキングしたスーパーカゴを洗浄することから、特許文献3の回転式水中洗浄装置においても、複数個の買い物カゴをスタッキングした状態(積み重ねた状態)で洗浄することも考えられる。
しかしながら、特許文献3の回転式水中洗浄装置では、回転押え盤で被洗浄物(スタッキングした買い物カゴ)を回転台に押えつけた状態で洗浄するため、スタッキングされた買い物カゴ同士が重なり合う部分(接触する部分)の汚れや雑菌等を落とすことができず、買い物カゴの洗浄が不完全になるという問題がある。
【0005】
次に、特許文献4(特開平8-19764号公報)には、箱型の本体内に空隙を設けて洗浄ワークを形成し、この洗浄ワーク内にて回転する洗浄篭内に被洗浄物を収容し、洗浄篭近傍に各ノズルを配置し、このノズルから洗浄液、すすぎ液、空気、蒸気を噴出させて洗浄・すすぎ・殺菌・水切りの一連の作業を行なうようにした物品洗浄装置が開示されている。
この特許文献4の物品洗浄装置において、被洗浄物を買い物カゴとした場合、買い物カゴが回転する洗浄篭内に収納されて洗浄・すすぎ・殺菌・水切りの一連の作業が行われることから、洗浄篭の回転により買い物カゴが洗浄篭の篭部分に衝突して買い物カゴが傷つくという問題がある。
また、特許文献4の物品洗浄装置で、スタッキングした状態の買い物カゴを洗浄することも考えられるが、洗浄篭の回転により、買い物カゴのスタッキングが崩れて、買い物カゴがばらばらの状態で洗浄篭の篭部分に衝突して買い物カゴが傷つくばかりか、洗浄・すすぎ・殺菌・水切りの一連の作業が終了した後、ばらばらとなった買い物カゴを洗浄篭から取り出すのに手間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-93913号公報
【特許文献2】特開2005-52783号公報
【特許文献3】特開平7-227582号公報
【特許文献4】特開平8-19764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、洗浄装置により買い物カゴを洗浄するに際し、装置が大掛かりにならずに設置スペースを要することなく、また、複数個の買い物カゴをまとめて洗浄できるようにし、洗浄中に買い物カゴを傷つけることなく、買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去でき、洗浄が終了した複数個の買い物カゴを容易に取り出せるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、洗浄槽、該洗浄槽内に取り付けられた回転体、該回転体を回転させる回転体回転手段及び前記洗浄槽内に洗浄液を供給する洗浄液供給手段を備えた買い物カゴ洗浄装置を使用して、複数の買い物カゴを上下方向に積み重ねた積み重ね買い物カゴを前記洗浄槽内で洗浄する買い物カゴ洗浄方法であって、前記積み重ね買い物カゴの最下段の買い物カゴが前記回転体に対してその回転方向に動かないように前記積み重ね買い物カゴを前記回転体に載置した状態で、前記洗浄液供給手段から前記洗浄槽内に前記洗浄液を供給し、前記積み重ね買い物を前記洗浄液に浸漬させる洗浄液供給工程と、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して、前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記積み重ね買い物カゴの回転を増速させて、前記洗浄液に前記積み重ね買い物カゴの各買い物カゴを持ち上げる力を生じさせ、前記積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられた後、前記積み重ね買い物カゴの回転を減速させて、前記一定の距離持ち上げられた前記積み重ね買い物カゴを元の位置に下降させ、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返して前記積み重ね買い物カゴの各買い物カゴを洗浄する本洗浄工程とを備えた買い物カゴ洗浄方法を提供して、上記課題を解決するものである。
【0009】
請求項2の発明は、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して、前記積み重ね買い物カゴを時計回りに回転させる正転と前記積み重ね買い物カゴを反時計回りに回転させる逆転を交互に繰り返し、前記正転又は前記逆転の開始後に前記積み重ね買い物カゴの回転を増速させて、前記積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられるようにし、前記積み重ね買い物カゴの回転を減速させて、前記正転から前記逆転に切り換えるとき又は前記逆転から前記正転に切り換えるときに、前記一定の距離持ち上げられた前記積み重ね買い物カゴが元の位置に下降するようにして、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すようにした買い物カゴ洗浄方法を提供して、上記課題を解決するものである。
【0010】
請求項3の発明は、前記買い物カゴ洗浄装置は、前記回転体に載置された前記積み重ね買い物カゴの最上段の買い物カゴを上下方向に押える買い物カゴ押え手段を備え、前記本洗浄工程において、前記積み重ね買い物カゴが前記一定の距離持ち上げられるときに、前記買い物カゴ押え手段により、前記最上段の買い物カゴを前記持ち上げる力より小さい力で押えるようにした買い物カゴ洗浄方法を提供して、上記課題を解決するものである。
【0011】
請求項4の発明は、前記買い物カゴ洗浄装置は、さらに、前記洗浄槽内にすすぎ液を供給するすすぎ液供給手段を備え、
前記本洗浄工程の後に、前記洗浄槽から前記洗浄液を排出し、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記すすぎ液供給手段により前記積み重ね買い物カゴに前記すすぎ液をかけて前記積み重ね買い物カゴのすすぎを行うすすぎ工程を備えた買い物カゴ洗浄方法を提供して、上記課題を解決するものである。
【0012】
請求項5の発明は、前記すすぎ工程の後に、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを高速回転させ、前記積み重ね買い物カゴに付着した前記すすぎ液を除去する脱水工程を備えた買い物カゴ洗浄方法を提供して、上記課題を解決するものである。
【0013】
請求項6の発明は、開口が設けられた洗浄槽、前記開口を塞ぐ蓋部、前記洗浄槽内に取り付けられた回転体、前記回転体を回転させる回転体回転手段、洗浄液を貯蔵する洗浄液タンク、前記洗浄液タンクから前記洗浄槽内に前記洗浄液を供給する洗浄液供給手段及び洗浄制御手段を備えた買い物カゴ洗浄装置であって、前記回転体には、複数の買い物カゴが上下方向に積み重ねられた積み重ね買い物カゴの最下段の買い物カゴを、前記回転体に対してその回転方向に動かないように保持するカゴ保持具が取り付けられ、前記洗浄制御手段は、前記洗浄液供給手段により前記洗浄槽に前記洗浄液を供給し、前記カゴ保持具に保持されて前記回転体に載置された前記積み重ね買い物カゴを前記洗浄液に浸漬させ、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すようにして、前記積み重ね買い物カゴの本洗浄を行うように、前記洗浄液供給手段と前記回転体回転手段の動作を制御し、前記蓋部には、前記回転体に載置された前記積み重ね買い物カゴの最上段の買い物カゴを上下方向に押えるカゴ押え手段が取り付けられ、前記カゴ押え手段は、前記本洗浄において、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速の際に、前記積み重ね買い物カゴが一定距離持ち上げられるようにし、前記積み重ね買い物カゴの回転の減速の際に前記一定の距離持ち上げられた前記積み重ね買い物カゴが元の位置に下降するように前記最上段の買い物カゴを押える買い物カゴの洗浄装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0014】
請求項7の発明は、前記洗浄制御手段は、前記積み重ね買い物カゴを時計回りに回転させる正転と前記積み重ね買い物カゴを反時計回りに回転させる逆転を交互に繰り返すことにより、前記積み重ね買い物カゴの回転の増速と減速を交互に繰り返すよう前記回転体回転手段の動作を制御する買い物カゴの洗浄装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0015】
請求項8の発明は、前記カゴ押え手段は、前記蓋部の下面に対して移動可能な押え部材と、該押え部材を前記最上段の買い物カゴに押し付ける弾性部材を備えている買い物カゴの洗浄装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0016】
請求項9の発明は、前記買い物カゴ洗浄装置は、さらに前記洗浄槽内の前記洗浄液を排出する洗浄液排出手段と前記洗浄槽内にすすぎ液を供給するすすぎ液供給手段を備え、前記洗浄制御手段は、前記本洗浄の後に、前記洗浄液排出手段により前記洗浄槽から前記洗浄液を排出し、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを回転させ、前記すすぎ液供給手段により前記積み重ね買い物カゴに前記すすぎ液をかけて前記積み重ね買い物カゴのすすぎを行うように、前記洗浄液排出手段と前記回転体回転手段と前記すすぎ液供給手段の動作を制御する買い物カゴ洗浄装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【0017】
請求項10の発明は、前記洗浄制御手段は、前記すすぎの後に、前記回転体回転手段により、前記回転体を介して前記積み重ね買い物カゴを高速回転させ、前記積み重ね買い物カゴに付着した前記すすぎ液を除去する脱水を行うように、前記回転体回転手段の動作を制御する買い物カゴ洗浄装置を提供して、上記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明の買い物カゴ洗浄方法においては、洗浄装置により買い物カゴを洗浄するに際し、複数個の買い物カゴをまとめて洗浄でき、洗浄中に買い物カゴを傷つけることなく、買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去できるという効果を奏する。
【0019】
請求項2に記載の発明の買い物カゴ洗浄方法においては、さらに、積み重ね買い物カゴの回転が正転から逆転に切り換わるとき又は逆転から正転に切り換わるときに、洗浄液の流れの変化が大きくなり、買い物カゴの汚れや雑菌をより完全に除去できという効果を奏する。
【0020】
請求項3に記載の発明の買い物カゴ洗浄方法においては、さらに、簡易な手段で買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去できるという効果を奏する。
【0021】
請求項4に記載の発明の買い物カゴ洗浄方法においては、さらに、買い物カゴ洗浄装置から買い物カゴを取り出すことなく、本洗浄工程からすすぎ工程に移行できるという効果を奏する。
【0022】
請求項5に記載の発明の買い物カゴ洗浄方法においては、さらに、買い物カゴ洗浄装置から買い物カゴを取り出すことなく、すすぎ工程から脱水工程に移行でき、洗浄が終了した複数個の買い物カゴを容易に取り出せるという効果を奏する。
【0023】
請求項6に記載の発明の買い物カゴの洗浄装置においては、装置が大掛かりにならずに設置スペースを要することなく、また、複数個の買い物カゴをまとめて洗浄でき、洗浄中に買い物カゴを傷つけることなく、買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去できるという効果を奏する。
【0024】
請求項7に記載の発明の買い物カゴ洗浄方法においては、さらに、積み重ね買い物カゴの回転が正転から逆転に切り換わるとき又は逆転から正転に切り換わるときに、洗浄液の流れの変化が大きくなり、買い物カゴの汚れや雑菌をより完全に除去できるという効果を奏する。
【0025】
請求項8に記載の発明の買い物カゴの洗浄装置においては、さらに、簡易な手段で買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去できるという効果を奏する。
【0026】
請求項9に記載の発明の買い物カゴの洗浄装置においては、買い物カゴ洗浄装置から買い物カゴを取り出すことなく、本洗浄からすすぎに移行できるという効果を奏する。
【0027】
請求項10に記載の発明の買い物カゴの洗浄装置においては、買い物カゴ洗浄装置から買い物カゴを取り出すことなく、すすぎから脱水に移行でき、洗浄が終了した複数個の買い物カゴを容易に取り出せるというという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の買い物カゴ洗浄装置の蓋部を90度開いた状態の外観斜視図である。
図2図1に示す買い物カゴ洗浄装置の平面図である。
図3図1に示す買い物カゴ洗浄装置の左側面図である。
図4図2のAA断面図である。
図5図1のカゴ洗浄装置における洗浄ドラム部分の分解斜視図である。
図6図1のカゴ洗浄装置における外カバー内下部の分解斜視図である。
図7図1のカゴ洗浄装置における外カバーの分解斜視図である。
図8図1のカゴ洗浄装置における蓋部とカゴ押え部の分解斜視図ある。
図9】買い物カゴ洗浄装置1の配管系と制御系を示した配管制御図である。
図10】買い物カゴ洗浄装置1で洗浄される買い物カゴの斜視図と正面図である。
図11】買い物カゴ30を上下方向に10個積み重ねた積み重ね買い物カゴの斜視図、正面図及び左右方向(X方向)拡大縦断面図である。
図12】積み重ね買い物カゴ40をカゴ保持具7にセットして蓋板3aを閉じた状態の買い物カゴ洗浄装置のX方向縦断面図である。
図13】1サイクルにおける回転板8(出力軸9a)の回転数の時間変化の例を示したグラフである。
図14】積み重ね買い物カゴ40が一定の距離だけ持ち上げられた状態の買い物カゴ洗浄装置のX方向縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[買い物カゴ洗浄装置の構成]
図1は、本発明の買い物カゴ洗浄装置の蓋部を90度開いた状態の外観斜視図、図2は、図1に示す買い物カゴ洗浄装置の平面図、図3は、図1に示す買い物カゴ洗浄装置の左側面図、図4は、図2のAA断面図、図5は、図1のカゴ洗浄装置における洗浄ドラム部分の分解斜視図、図6は、図1のカゴ洗浄装置における外カバー内下部の分解斜視図、図7は、図1のカゴ洗浄装置における外カバーの分解斜視図、図8は、図1のカゴ洗浄装置における蓋部とカゴ押え部の分解斜視図である。
図中、1は買い物カゴ洗浄装置、2は外カバー、2aは上面板、2amは窓、2bは側面板、2cは底面板、3は蓋部、3aは蓋板、3bは枠材、3cは取っ手、3d、3eは蝶番、4は仕切板、4aは軸穴、4b、4cはパイプ穴、4dは排水穴、5は洗浄ドラム、5aは口部、5akは開口、5bは胴部、5bhは穴、5bmは流入口、5cは底部、5chは軸穴、5ckは排水口、6は蓋受け部材、6aは平板、6akは開口、6bは受枠、7はカゴ保持具、7aは上枠、7bは下枠、7cは側枠、7dは格子棒、7eは取付板、8は回転板、9はギヤードモータ、9aは出力軸、10はタンク、10aは穴、10bは落下口、10cは穴、11はポンプ、11aは吸入口、11bは吐出口、11cはパイプ、12は洗浄パイプ、12aは流出口、13は連結パイプ、14はすすぎパイプ、14aはすすぎ口、14bは供給口、15は排水ダンパー、15aはボックス、15bはモータ、16はオーバーフローパイプ、18はカゴ押え部、18aは押え部材、18a1は外リング、18a2~18a5は格子棒、18bはスプリング、18cは支持軸、18d、18eは挟持板、18dh、18ehは軸孔、18fは羽根板、118f1は基板、18f2~18f5は羽根、8fhは軸孔、18gは円板、19は制御ボックスであり、図において、Xは左右方向、YはX方向と水平方向に垂直な方向(前後方向)、Zは水平面(XY面)と垂直な方向(上下方向)である。
図に示すように買い物カゴ洗浄装置1は、外カバー2、蓋部3、仕切板4、洗浄ドラム5、蓋受け部材6、カゴ保持具7、回転板8、ギヤードモータ9、タンク10、ポンプ11、洗浄パイプ12、連結パイプ13、すすぎパイプ14、排水ダンパー15、オーバーフローパイプ16、給水パイプ17、カゴ押え部18及び制御ボックス19を備えている。
【0030】
外カバー2は、洗浄ドラム5やタンク10等を収納する略立方体形状の箱体であり、図1図7等に示すように上面板2a、側面板2b及び底面板2cを備え、上面板2aには窓2amが設けられている。
蓋部3は、外カバー2の窓2am等の開閉を行うもので、蓋板3a、枠材3b、取っ手3cを備え、蓋板3aは上面板2aに蝶番3d、3eで取り付けられ、蓋板3aの下面に枠材3bが取り付けられ、蓋板3aの上面には取っ手3cが取り付けられている。
仕切板4は、外カバーの内部空間を上下に仕切る板であり、図4に示すように側面板2bの内面に取り付けられ、仕切板4には、図6に示すように軸穴4a、パイプ穴4b、4c、排水穴4dが設けられている。
洗浄ドラム5は、買い物カゴの洗浄等を行う本発明の洗浄槽となるもので、図4図5に示すように口部5a、胴部5b、底部5cからなり、口部5aには開口5akが設けられ、胴部5bには、流入口5bmと複数個の穴5bhが設けられ、底部5cには図2図4に示すように軸穴5ch、排水口5ckが設けられ、底部5cは、軸穴5chが軸穴4aの位置にきて、排水口5ckが排水穴4dの位置にくるように仕切板4に固定されている。
蓋受け部材6は、蓋部3の受け部材となるもので、略正方形状の平板6a、平板6aの周縁に設けられた受枠6bを備え、平板6aには、開口6akが設けられ、平板6aは、洗浄ドラム5の口部5aに固定されている。
【0031】
カゴ保持具7は、複数の買い物カゴが上下方向に積み重ねられた積み重ね買い物カゴの最下段の買い物カゴを保持するもので、図5に示すように略長方形状の上枠7a、上枠7aと相似して各辺の長さが上枠7aより少し短い下枠7b、上枠7aと下枠7bを連結する8本の側枠7c、下枠7bの対向する辺を連結する4本の格子棒7d、格子棒7dで形成される中央の矩形の枠に固定された取付板7eを備えている。
上枠7a、下枠7b、側枠7c、格子棒7dは、例えば、金属棒等の線状部材からなり、溶接等により互いに接合される。
回転板8は、本発明の回転体となるもので、その上面にはカゴ保持具7の取付板7eの下面が固定される。
ギヤードモータ9は、本発明の回転体回転手段となるもので、外カバー2の底面板2c上に取り付けられた設置台(図示せず)に設置され、出力軸9aは、仕切板4の軸穴4aと底部5cの軸穴5chを貫通し、洗浄ドラム5内に位置する出力軸9aの先端には回転板8が取り付けられており、回転板8が出力軸9aを介して洗浄ドラム5内に取り付けられることとなる。
これより、ギヤードモータ9が作動して出力軸9aが回転すると、洗浄ドラム5内で回転板8とそれに固定されたカゴ保持具7が回転することとなる。
この場合、出力軸9aと軸穴5chの間にはシール部材(図示せず)が設けられ、洗浄ドラム5内の洗浄液等軸穴5chから外カバー2の内部に漏れないようにされている。
【0032】
タンク10は、本発明の洗浄液タンクとなるもので、買い物カゴを洗浄する洗浄液を貯蔵し、図6に示すように水平断面形状がL字状の箱体であり、外カバー2の底面板2cに固定され、タンク10の各面において、上面には、落下口10bが設けられ、X方向に垂直な右側の側面には穴10aが設けられ、左側の側面の上部には穴10cが設けられている。
また、タンク10内には、貯蔵する洗浄液を加温するヒータ(図示せず)が取り付けられている。
ポンプ11は、タンク10内の洗浄液を洗浄ドラム5内に供給するもので、外カバー2の底面板2c上に取り付けられた設置台(図示せず)に設置され、ポンプ11の吸入口11aは、パイプ11cを介して、タンク10の穴10aに接続されている。
洗浄パイプ12は、洗浄ドラム5内に洗浄液を供給するパイプであり、外カバー2と洗浄ドラム5の間に取り付けられている。
洗浄パイプ12の流出口12aは、洗浄ドラム5の流入口5bmに接続され、洗浄パイプ12の下部は、仕切板4の穴4bを貫通して、仕切板4の下側に突出している。
連結パイプ13は、ポンプ11と洗浄パイプ12を連結するパイプであり、連結パイプ13の一端は、ポンプ11の吐出口11bに接続され、連結パイプ13の他端は、仕切板4の下側に突出している洗浄パイプ12に接続されている。
これより、ポンプ11、洗浄パイプ12及び連結パイプ13により本発明の洗浄液供給手段が構成され、ポンプ11が作動すると、タンク10内の洗浄液が吸入口11aから吸い込まれ、吐出口11bから吐出される洗浄液は、連結パイプ13を介して洗浄パイプ12に運ばれ、流出口12a(流入口5bm)から洗浄ドラム5内に洗浄液が供給される。
すすぎパイプ14は、洗浄ドラム5内にすすぎ液を供給するパイプであり、すすぎパイプ14のZ方向に延びるパイプ部には、図4に示すように複数個のすすぎ口14aが設けられ、すすぎ口14aは、洗浄ドラム5の胴部5bの穴5bhに接続されている。
また、すすぎパイプ14の供給口14bは、水道水供給管(後述する)に電磁弁(後述する)を介して接続されている。
これより、水道水供給管、電磁弁及びすすぎパイプ14により本発明のすすぎ液供給手段が構成され、電磁弁を作動させて水道水供給管から水道水をすすぎパイプ14に流入させると、すすぎ口14aから洗浄ドラム5内にすすぎ液となる水道水が供給される。
なお、タンク10と上面を開放して、タンク10の開放された上面を仕切板4で塞ぐようにしてもよく、その場合は、落下口10bは不要となる。
【0033】
排水ダンパー15は、本発明の洗浄液排出手段となるもので、ボックス15a、モータ15b、パイプ15cを備え、ボックス15a内には、水平位置(閉じた位置)と傾斜した位置(開いた位置)の間を回転移動する開閉板(図示せず)が取り付けられている。
ボックス15aは、洗浄ドラム5の排水口5ckと仕切板4の排水穴4dにはめ込まれて洗浄ドラム5の底部5cに取り付けられ、モータ15bは、ボックス15aの正面に取り付けられて開閉板を回転移動させ、タンク10の落下口10bと向き合う開口を形成する。
これより、洗浄ドラム5内が洗浄液で満たされて買い物カゴが洗浄されているときは、排水ダンパー15は作動せずにボックス15a内の開閉板は水平位置(閉じた位置)にあり、買い物カゴの洗浄が終了して洗浄ドラム5内の洗浄液を排出するとき、排水ダンパー15が作動してモータ15bにより開閉板が傾斜した位置(開いた位置)に回転移動して開口し、洗浄ドラム5内の洗浄液が落下口10bに落下してタンク10内に移動する。
オーバーフローパイプ16は、タンク10の穴10cからオーバーフローする洗浄液(すすぎ液)をタンク10の外に排出するパイプであり、オーバーフローパイプ16の一端は穴10cに接続される。
【0034】
カゴ押え部18は、本発明のカゴ押え手段となるもので、図8に示すように押え部材18a、スプリング18b、支持軸18c、挟持板18d、18e、羽根板18f及び円板18gを備えている。
押え部材18aは、円形の外リング18a1と4本の格子棒18a2~18a5からなり、格子棒18a2~18a5で形成される中央の矩形の枠には、挟持板18eが固定されている。
外リング18a1と格子棒18a2~18a5は、例えば、金属棒等の線状部材からなり、溶接等により互いに接合される。
スプリング18bは、本発明の弾性部材となるもので、有効巻数が2~20、自由長さが10~200mmの圧縮コイルバネである。
挟持板18d、18eは、スプリング18bを挟持する正方形状の板であり、中心部に支持軸18cが挿通する軸孔18dh、18ehが設けられている。
羽根板18fは、脱水時に蓋部3の内側面等から落下するすすぎ液がを飛ばす板であり、基板18f1と基板18f1の上面(蓋板3a側の面)に取り付けられた4枚の羽根18a2~18f5を備え、基板18f1の中心部には支持軸18cが挿通する軸孔18fhが設けられ、基板18f1は挟持板18eにボルトとナット等で固定されている。図4では、作図上羽根板18fを灰色で表している。
羽根18a2~18f5は、矩形の薄板をくの字に折り曲げて、片側の面を基板18f1に貼り付けることにより形成され、羽根18a2~18f5の基板18f1から突き出ている面が上側(蓋部3側)を向くようにされる。
そして、カゴ押え部18においては、図4に示すように、支持軸18cの上端が蓋部3(蓋板3a)の下面の中央部に固定され、支持軸18cに挟持板18d、スプリング18b、挟持板18e、羽根板18fがこの順で挿通されて、支持軸18cの下端に円板18gが取り付けられ、羽根板18fの基板18f1を押し付けている。
この場合、蓋部3(蓋板3a)の下面と円板18gに挟まれた挟持板18d、スプリング18b、挟持板18e及び羽根板18fが一体となって支持軸18cの回りに自由に回転できるように、支持軸18と挟持板18d、18e等の間にはベアリング(図示せず)取り付けられている。
これより、洗浄ドラム5内のカゴ保持具7に保持された積み重ね買い物カゴが、その洗浄中に回転して最上段の買い物カゴが持ち上げられて押え部材18aの外リング18a1を押し付けると、スプリング18bが圧縮されて積み重ね買い物カゴが持ち上げられると共に、挟持板18d、スプリング18b、挟持板18e及び羽根板18fが一体となって積み重ね買い物カゴと共に支持軸18cの回りに回転する。
なお、羽根板18fは、押え部材18aと挟持板18eの間に取り付けてもよい。
【0035】
図9は、買い物カゴ洗浄装置1の配管系と制御系を示した配管制御図であり、図中、19aは制御部、19bは入力表示部、19cは記憶部、20は電磁弁、21は水道管であり、図において、電気配線を二点鎖線で表す。
配管系について説明すると、洗浄ドラム5には、洗浄パイプ12とすすぎパイプ14が接続され、すすぎパイプ14は電磁弁20を介して水道管21と接続され、また、洗浄ドラム5には排水ダンパー15が取り付けられている。
タンク10には、ポンプ11の吸入口11a、オーバーフローパイプ16が接続され、ポンプ11の吐出口11bは、連結パイプ13を介して洗浄パイプ12に接続されている。
これより、タンク10内の洗浄液は、ポンプ11により洗浄パイプ12に運ばれて、洗浄パイプ12から洗浄ドラム5に洗浄液が供給され、洗浄ドラム5内の洗浄液は、排水ダンパー15から落下口10bに落下してタンク10に戻される。
また、水道管21からは、電磁弁20を介してすすぎパイプ14に水道水(すすぎ液)が供給され、すすぎパイプ14から洗浄ドラム5に水道水(すすぎ液)が供給され、洗浄ドラム5内の水道水(すすぎ液)は、排水ダンパー15からパイプ15cを介してタンク10に戻され、タンク10内でオーバーフローした水道水(すすぎ液)乃至洗浄液は、オーバーフローパイプ16からタンク10の外に排出される。
【0036】
制御系について説明すると、制御ボックス19は、制御部19a、入力表示部19b、記憶部19cを備え、制御部19aは、ギヤードモータ9、ポンプ11、モータ15b、電磁弁20と接続されている。
制御部19aは、本発明の洗浄制御手段となるもので、買い物カゴの本洗浄、すすぎ、脱水におけるギヤードモータ9の動作を制御して回転板8の回転を制御し、ポンプ11の動作を制御して、洗浄ドラム5への洗浄液の供給開始、供給停止を制御し、排水ダンパー15(モータ15b)の動作を制御して、洗浄ドラム5からタンク10に洗浄液(すすぎ液)を戻すことを制御し、電磁弁20の動作を制御して、洗浄ドラム5への水道水(すすぎ液)を供給開始、供給停止を制御する。
また、入力表示部19bは、タッチパネル式の表示画面を有し、買い物カゴ洗浄装置1を操作等するための各種画面を表示する。
記憶部19cは、制御部19aが、ギヤードモータ9、ポンプ11、モータ15b、電磁弁20等の動作を制御するための各種パラメータを記憶する。
【0037】
[買い物カゴ、積み重ね買い物カゴ]
図10(a)は、買い物カゴ洗浄装置1で洗浄される買い物カゴの斜視図、同図(b)は同図(a)に示す買い物カゴの正面図であり、図中、30は買い物カゴ、31はカゴ本体、31aは上フレーム、31bは下フレーム、31cはサイドフレーム、32a、32bは取っ手、33a~33dは取っ手取付部であり、図において、Xは左右方向、YはX方向と水平方向に垂直な方向(前後方向)、Zは水平面(XY面)と垂直な方向(上下方向)である。
図10に示すように、買い物カゴ30は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製であり、カゴ本体31、取っ手32a、32b、取っ手取付部33a~33dを備えている。
カゴ本体31は、略長方形状の上フレーム31a、上フレーム31aと相似して各辺の長さが上フレーム31aより少し短い下フレーム31b、上フレーム31aの四隅と下フレーム31bの四隅を連結する4本のサイドフレーム31cを備え、上フレーム31a、下フレーム31b及びサイドフレーム31cで形成される6面のうち、上面を除く面は、網状乃至格子状となっており、上面は開口している。
カゴ本体31の上フレーム31aには、取っ手取付部33a~33dが設けられ、取っ手取付部33a、33bに左側の取っ手32aが取り付けられ、取っ手取付部33c、33dに右側の取っ手32bが取り付けられている。
なお、買い物カゴ30の大きさは、通常、幅(X方向の長さ)が450~570mm、奥行き(Y方向の長さ)が330~370mm、高さ(Z方向の長さ)が230~260mmである。
【0038】
図11(a)は、図10に示す買い物カゴ30を上下方向に10個積み重ねた積み重ね買い物カゴの斜視図、同図(b)は同図(a)に示す積み重ね買い物カゴの正面図、同図(c)は同図(a)に示す積み重ね買い物カゴの左右方向(X方向)拡大縦断面図であり、図中、30A~30Jは買い物カゴ、40は積み重ね買い物カゴである。
買い物カゴ30(30A~30J)においては、上フレーム31aと下フレーム31bは相似形であり、各辺の長さは、上フレーム31aより下フレーム31bが少し短くなっており、すなわち、縦断面形状が等脚台形となっており、上下に積み重ねると、下側の買い物カゴの中に上側の買い物カゴがほぼすっぽりと入り込み、図11(b)に示すように、10個の買い物カゴ30A~30Jを上下に積み重ねた積み重ね買い物カゴ40の増加する高さh(最下段の買い物カゴ30Aの最上面から最上段の買い物カゴ30Jの最上面までの高さ)は、買い物カゴ1個の高さH以下となる。
この場合、重ね買い物カゴ40においては、図11(c)に示すように、下側の買い物カゴの側面の内側面と上側の買い物カゴの側面の外側面、例えば、買い物カゴ30Aの側面の内側面と買い物カゴ30Bの側面の外側面が密着乃至接触(近接)することとなる。
【0039】
[買い物カゴ洗浄装置1を使用した買い物カゴの洗浄方法]
次に、買い物カゴ洗浄装置1を使用して、買い物カゴ30(重ね買い物カゴ40)を洗浄する方法を説明する。
買い物カゴ30の洗浄方法は、買い物カゴ30に付着した汚れや雑菌等を洗浄液で洗い落す本洗浄工程、本洗浄工程で買い物カゴ30に付着した洗浄液をすすぎ液で洗い落すすすぎ工程、すすぎ工程で買い物カゴ30に付着したすすぎ液を除去する脱水工程からなる。
以下、本洗浄工程、すすぎ工程及び脱水工程について説明する。
[本洗浄工程]
まず、排水ダンパー15を開いて洗浄ドラムから洗浄液を落下口10b落下させタンク10内に洗浄液を注入した後、洗浄する買い物カゴを上下方向に積み重ねて積み重ね買い物カゴを用意する。
具体的には、買い物カゴ30を10個(買い物カゴ30A~30J)積み重ねた積み重ね買い物カゴ40を用意する。
次いで、買い物カゴ洗浄装置1の蓋部3の蓋板3aを開いて、窓2amを開口し、洗浄ドラム5の開口5akから積み重ね買い物カゴ40を洗浄ドラム5の中に入れて、カゴ保持具7にセットし、蓋板3aを閉じて蓋部3が開かないようにロックする。
図12は、積み重ね買い物カゴ40をカゴ保持具7にセットして蓋板3aを閉じた状態の買い物カゴ洗浄装置のX方向縦断面図であり、図中、CLは洗浄液である。
図12に示すように、積み重ね買い物カゴ40の最下段の買い物カゴ30Aが、カゴ保持具7の枠(上枠7a、下枠7b、側枠7c)内に入れられ、取付板7e上に載せられており、最下段の買い物カゴ30Aは、カゴ保持具7の枠に対して動かいないようなっている。
また、カゴ押え部18の押え部材18aが、積み重ね買い物カゴ40の最上段の買い物カゴ30Jの上面を軽く押さえ、スプリング18bは圧縮されている状態となっているが、押え部材18aが買い物カゴ30Jの上面から離れていて、スプリング18bが買い物カゴ30Jを押し付けず、圧縮されていなくてもよい。
このとき、積み重ね買い物カゴ40においては、最下段の買い物カゴ30Aの上面のZ方向(上下方向)の位置をPA1、最上段の買い物カゴ30Jの上面のZ方向の位置をPJ1とすると、位置PA1と位置PJ1の関係は図12に示すようになり、両位置の距離はhとなり(図11(b)参照)、図11(c)に示すように、上下に重なり合う2個の買い物カゴ同士で、下側の買い物カゴの側面の内側面と上側の買い物カゴの側面の外側面が密着乃至接触(近接)している。
ここで、作業者が制御ボックス19の入力表示部19bを操作して、スタートボタンを押すと、制御部19aがタンク10内に設置されたヒータ(図示せず)を作動させてタンク10内の洗浄液CLを加温する。
洗浄液CLの温度が設定温度、例えば、60度に達すると、温度センサー(図示せず)が検知信号を制御部19aに送り、制御部19aは、ポンプ11を作動させる。
ポンプ11は、タンク10内の洗浄液CLを汲み上げ、連結パイプ13を介して洗浄パイプ12まで洗浄液CLを運び、洗浄パイプ12から洗浄ドラム5内に洗浄液CLを供給する。
タンク10内の洗浄液CLが洗浄ドラム5に所定量供給されると、タンク10内に設置された水位計(図示せず)が検知信号を制御部19aに送り、制御部19aはポンプ11の動作を停止させ、洗浄ドラム内への洗浄液CLの供給が停止される。
このとき、洗浄ドラム5内には洗浄液CLが充満し、積み重ね買い物カゴ40全体が洗浄液CLに浸漬している。
【0040】
次いで、制御部19aは、ギヤードモータ9を動作させて出力軸9aを回転させ、洗浄ドラム5内の回転板8とそれに固定されたカゴ保持具7が回転させ、これにより、積み重ね買い物カゴ40が回転する。
このとき、最下段の買い物カゴ30Aは、カゴ保持具に対して動かないことから、回転板8に対してその回転方向に動かないようになっている。
図13は、1サイクルにおける回転板8(出力軸9a)の回転数の時間変化の例を示したグラフであり、同図(a)は、回転板8が同一方向のみに回転する場合を示し、同図(b)は、回転板8が回転方向を変えて回転する場合を示し、縦軸は回転数(rpm)、横軸は経過時間(秒)である。
回転板8が同一方向のみに回転(時計回りに回転する正転)する場合、図13(a)に示すように、回転板8の回転は増速していき、t1秒経過後Nrpmに到達すると、その回転数で回転を継続し、t2秒経過後に減速し、t3秒経過後に回転数は0となって、1サイクルを終了する。
そして、本洗浄工程では、回転板8が、一定方向に回転して増速、一定速、減速というサイクルを所定回数繰り返すこととなる。 また、回転板8が回転方向を変えて回転する場合、図13(b)に示すように、回転板8は、最初時計回りに回転する正転をし、その回転は増速していき、t1秒経過後Nrpmに到達すると、その回転数で正転を継続し、t2秒経過後に減速し、t3秒経過後に回転数は0となって、反時計回りに回転する逆転を開始し、その回転は増速していき、t4秒経過後-Nrpmに到達すると、その回転数で逆転を継続し、t5秒経過後に減速し、t6秒経過後に回転数は0となって、1サイクルを終了する。
この場合、Nは50~200程度が望ましく、t1~t6は、1~10程度が望ましい。
そして、本洗浄工程では、回転板8が、正転して増速、一定速、減速した後、逆転して増速、一定速、減速するというサイクルを所定回数繰り返すこととなる。
この場合、回転板8の回転に伴って積み重ね買い物カゴ40も回転するが、積み重ね買い物カゴ40が回転(正転又は逆転)しているとき、各買い物カゴ30A~30Jの側面はZ方向に対して少し傾斜していることから、洗浄液CLから各買い物カゴ30A~30Jの側面を持ち上げようとする力(以下「持上げ力」という。)が作用し、この持上げ力は、積み重ね買い物カゴ40の回転数が大きいほど、すなわち、積み重ね買い物カゴ40に対する洗浄液CLの流れが速いほど大きくなる。
一方、積み重ね買い物カゴ40が持ち上げられると、カゴ押え部18において押え部材18aが持ち上げられスプリング18bが圧縮され、積み重ね買い物カゴ40を押し下げようとする力(以下「押下げ力」という。)が作用する。
これより、積み重ね買い物カゴ40の回転(正転又は逆転)が増速し、積み重ね買い物カゴ40に作用する持上げ力が増加し、この持上げ力が押え部材18aの押下げ力より大きくなると、積み重ね買い物カゴ40は、スプリング18bが縮む量だけ持ち上げられることとなる。
買い物カゴ洗浄装置1の本洗浄工程においては、持上げ力が押下げ力より大きくなるまで、積み重ね買い物カゴ40の回転が増速され、積み重ね買い物カゴ40が、一定の距離、すなわち、スプリング18bの最大縮み量だけ持ち上げられる。
図14は、積み重ね買い物カゴ40が一定の距離だけ持ち上げられた状態の買い物カゴ洗浄装置のX方向縦断面図である。
積み重ね買い物カゴ40が持ち上げられたとき、最下段の買い物カゴ30Aの上面のZ方向(上下方向)の位置をPA2、最上段の買い物カゴ30Jの上面のZ方向の位置をPJ2とすると、積み重ね買い物カゴ40が持ち上げられる前の位置PA1、PJ1と位置PA2、PJ2の関係は図14に示すようになり、積み重ね買い物カゴ40は一定の距離δだけ持ち上げられている。
【0041】
このように積み重ね買い物カゴ40の回転(正転又は逆転)が増速するとき、積み重ね買い物カゴ40は一定の距離δだけ持ち上げられるが、積み重ね買い物カゴ40の回転(正転又は逆転)が一定速となったときは、一定の距離δだけ持ち上げられた状態が継続する。
一方、積み重ね買い物カゴ40の回転(正転又は逆転)が減速するとき、積み重ね買い物カゴ40に作用する持上げ力は低下して、押下げ力より小さくなり、積み重ね買い物カゴ40は、元の位置まで押し下げられて下降する。
よって、制御部19aが、ギヤードモータ9の動作を制御し、図13に示すように積み重ね買い物カゴ40を一定方向に回転させて増速と減速を繰り返したり、また、積み重ね買い物カゴ40の回転方向を変えて正転と逆転を繰り返すことにより、積み重ね買い物カゴ40は、回転しながら上下方向に一定距離δだけ持ち上げられた後、元の位置に下降するという上下動を繰り返すことなる。
そして、積み重ね買い物カゴ40が、回転しながら上下動を繰り返すと、上下に重なり合い密着乃至接触(近接)している買い物カゴ30A~30Jの側面が分離され、各買い物カゴ30A~30Jの側面に隙間が生じ、その隙間に洗浄液が入り込んで各買い物カゴ30A~30Jの側面に付着した汚れや雑菌まで洗い流すことができ、各買い物カゴ30A~30Jに付着した汚れや雑菌を完全に除去することができる。
特に、積み重ね買い物カゴ40正転と逆転を繰り返す場合、正転から逆転に切り換わるときに、積み重ね買い物カゴ40に対する洗浄液CLの流れの方向が逆方向になって流れが大きく乱されて、各買い物カゴ30A~30Jに付着した汚れや雑菌をより完全に除去することができる。
また、積み重ね買い物カゴ40はカゴ保持具7されて回転されるため、洗浄中に各買い物カゴ30A~30Jが暴れるなどして損傷することもない。
このように本洗浄工程においては、制御部19aがギヤードモータ9の動作を制御し、積み重ね買い物カゴ40を正転させた後逆転させるサイクルを所定回数繰り返した後、ギヤードモータ9の動作を停止させ、これにより本洗浄工程が終了する。
【0042】
[すすぎ工程]
本洗浄工程が終了すると、制御部19aは、排水ダンパー15のモータ15bを動作させ、ボックス15a内の開閉板を開いた位置に回転移動させる。これにより、洗浄ドラム5内の洗浄液が落下口10bに落下してタンク10内に移動し、排出される。
洗浄ドラム5内の洗浄液が全部排出されると、タンク10内に設置された水位計が検知信号を制御部19aに送り、制御部19aは、電磁弁20を作動させて開き、これにより、水道管21からすすぎパイプ14にすすぎ液として水道水が供給され、すすぎパイプ14から洗浄ドラム5への水道水の供給が開始される。
これと同時に、制御部19aは、ギヤードモータ9を動作させて出力軸9aを一定方向に一定速度で回転させ、回転板8とそれに固定されたカゴ保持具7を介して積み重ね買い物カゴ40を回転させる。
これにより、回転する積み重ね買い物カゴ40に、すすぎパイプ14から流出する水道水が当たり、積み重ね買い物カゴ40に付着した洗浄液を洗い流すすすぎが行われる。
このとき、すすぎパイプ14から流出し、積み重ね買い物カゴ40に当たって落下した水道水は、排水ダンパー15からパイプ15cを介してタンク10に戻され、タンク10内でオーバーフローした水道水と洗浄液は、オーバーフローパイプ16からタンク10の外に排出される。
そして、制御部19aは、積み重ね買い物カゴ40の回転開始から一定時間経過後、電磁弁20を作動させて閉じ、水道管21からすすぎパイプ14への水道水の供給を停止して、すすぎパイプ14から洗浄ドラム5への水道水の供給を停止し、これによりすすぎ工程が終了する。
【0043】
[脱水工程]
すすぎ工程が終了すると、制御部19aは、ギヤードモータ9の動作を制御して、出力軸9aの回転を高速にし、例えば、500rpm以上にし、回転板8とそれに固定されたカゴ保持具7を介して積み重ね買い物カゴ40を高速回転させる。
これにより、積み重ね買い物カゴ40に付着している水道水が飛ばされ、積み重ね買い物カゴ40の脱水が行われる。
また、蓋部3の内側面等を伝わって落下するすすぎ液は回転する羽根板18fで飛ばされ、積み重ね買い物カゴ40に落下するすすぎ液がかかるのが防止される。
そして、制御部19aは、積み重ね買い物カゴ40の高速回転開始から一定時間経過後、制御部19aは、ギヤードモータ9の動作を停止さて積み重ね買い物カゴ40の回転を停止させて、積み重ね買い物カゴ40を一定位置に停止させ、これにより、脱水工程が終了する。
脱水工程が終了後は、蓋部3のロックを解除し、蓋板3aを開くことにより、カゴ保持具7にセットされた積み重ね買い物カゴ40を洗浄ドラム5から容易に取り出すことができる。
【0044】
以上のように買い物カゴ洗浄装置1は、外カバー2の中に洗浄ドラム5やタンク10等が収納されたコンパクトな構造であって、装置が大掛かりにならずに設置スペースを要することなく、また、買い物カゴ洗浄装置1においては、制御部19aが、ギヤードモータ9、排水ダンパー15(モータ15b)、電磁弁20等の動作を制御して、洗浄ドラム5内のカゴ保持具7にセットされた積み重ね買い物カゴ40の本洗浄工程、すすぎ工程、脱水工程を行うため、途中で洗浄ドラム5から買い物カゴを取り出すことなく、複数個の買い物カゴをまとめて処理することができると共に、買い物カゴを損傷することなく、各買い物カゴに付着した汚れや雑菌を効率よく短時間で完全に除去することができ、洗浄が終了した複数個の買い物カゴを容易に取り出せる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の買い物カゴ洗浄方法及び買い物カゴ洗浄装置は、洗浄装置により買い物カゴを洗浄するに際し、装置が大掛かりにならずに設置スペースを要することなく、また、複数個の買い物カゴをまとめて洗浄できるようにし、洗浄中に買い物カゴを傷つけることなく、買い物カゴの汚れや雑菌を完全に除去でき、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ホームセンター、ドラッグストア等で使用される買い物カゴを洗浄するのに利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 買物カゴ洗浄装置
2 外カバー
2a 上面板
2am 窓
2b 側面板
2c 底面板
3 蓋部
3a 蓋板
3b 枠材
3c 取っ手
3d、3e 蝶番
4 仕切板
4a 軸穴
4b、4c パイプ穴
4d 排水穴
5 洗浄ドラム
5a 口部
5ak 開口
5b 胴部
5bh 穴
5bm 流入口
5c 底部
5ch 軸穴
5ck 排水口
6 蓋受け部材
6a 平板
6ak 開口
6b 受枠
7 カゴ保持具
7a 上枠
7b 下枠
7c 側枠
7d 格子棒
7e 取付板
8 回転板
9 ギヤードモータ
9a 出力軸
10 タンク
10a 穴
10b 落下口
11 ポンプ
11a 吸入口
11b 吐出口
11c パイプ
12 洗浄パイプ
12a 流出口
13 連結パイプ
14 すすぎパイプ
14a すすぎ口
14b 供給口
15 排水ダンパー
15a ボックス
15b モータ
16 オーバーフローパイプ
18 カゴ押え部
18a 押え部材
18a1 外リング
18a2~18a5 格子棒
18b スプリング
18c 支持軸
18d、18e 挟持板
18dh、18eh 軸孔
18f 羽根板
118f1 基板
18f2~18f5 羽根
8fh 軸孔
18g 円板
19 制御ボックス
19a 制御部
19b 入力表示部
19c 記憶部
20 電磁弁
21 水道管
30 買い物カゴ
30A~30J 買い物カゴ
31 カゴ本体
31a 上フレーム
31b 下フレーム
31c サイドフレーム
32a、32b 取っ手
33a~33d 取っ手取付部
40 積み重ね買い物カゴ

図1
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