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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125008
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】洗濯用洗剤シート
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/06 20060101AFI20220819BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20220819BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220819BHJP
   C11D 3/12 20060101ALI20220819BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20220819BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20220819BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C11D17/06
C11D1/14
C11D3/20
C11D3/12
C11D1/04
C11D1/52
D06F35/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022014472
(22)【出願日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2021022814
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】514003005
【氏名又は名称】株式会社九州フラワーサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田中 正文
【テーマコード(参考)】
3B168
4H003
【Fターム(参考)】
3B168AE02
3B168AE04
3B168BA48
3B168BA52
4H003AB03
4H003AB27
4H003AC13
4H003AD04
4H003AE05
4H003BA19
4H003DA01
4H003EA16
4H003EA27
4H003EB02
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB06
4H003EB08
4H003EB16
4H003EB30
4H003EB33
4H003EB36
4H003EB37
4H003EB41
4H003ED02
4H003ED04
4H003ED28
4H003ED29
4H003EE05
4H003FA04
4H003FA14
4H003FA16
4H003FA21
4H003FA26
(57)【要約】
【課題】洗い上がりを白く柔らかに仕上げることができ、また、一定量の製剤を手軽に洗濯機に投入でき、更には洗濯物の色移りを可及的に防止可能な洗濯用洗剤シートを提供する。
【解決手段】洗濯物と共に洗濯機内に投入し、水洗時の洗濯物の汚れ落ちを促進させる洗濯用洗剤シートであって、界面活性剤と柔軟剤と漂白剤とを布体に担持してなり、同布体は、前記界面活性剤に由来して前記洗濯物から溶出した色素を捕捉する素材により構成した。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗時の洗濯物の汚れ落ちを促進させる洗濯用洗剤シートであって、
7.2~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、0.135~6.05重量部のグリセロールよりなるベース組成物と、前記洗濯用洗剤シートを所定状況下に特化させるべく配合した特化用組成物と、の混合組成物を含み、
前記特化用組成物は、前記ベース組成物の10~500重量%に相当する量としたことを特徴とする所定状況下に特化させた洗濯用洗剤シート。
【請求項2】
前記所定状況下は、前記洗濯物の色落ちが懸念される状況下であり、
前記ベース組成物と同ベース組成物の450~500重量%に相当する量の特化用組成物との前記混合組成物であって界面活性剤と柔軟剤と漂白剤とを含む前記混合組成物を布体に担持してなり、同布体は、前記界面活性剤に由来して前記洗濯物から溶出した色素を捕捉する素材により構成したことを特徴とする洗濯用洗剤シート。
【請求項3】
前記柔軟剤は、ベントナイトであることを特徴とする請求項2に記載の洗濯用洗剤シート。
【請求項4】
前記界面活性剤は、
前記ベース組成物に由来する7.2~8.8重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、
前記特化用組成物に由来する14.4~17.6重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、4.5~5.5重量部のテトラデセンスルホン酸ナトリウムと、2.25~2.75重量部のラウリルアルコールと、4.5~5.5重量部のドデカン酸カリウムと、1.8~2.2重量部のコカミドメチルMEAと、
で構成したことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の洗濯用洗剤シート。
【請求項5】
前記布体は複数のパイル構成糸の撚糸であるパイル糸にてパイルが形成された織布であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載の洗濯用洗剤シート。
【請求項6】
前記パイル糸は、副構成糸をZ撚りしてなるパイル構成糸と、副構成糸をS撚りしてなるパイル構成糸との撚糸であることを特徴とする請求項4に記載の洗濯用洗剤シート。
【請求項7】
前記洗濯用洗剤シートは、
9~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、1.8~6.05重量部のグリセロールと、よりなるベース組成物と、
9~32.56重量部のポリビニルアルコールと、0.9~3.3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルよりなる副ベース組成物と、
前記シート状洗剤を所定の洗浄対象物に特化させるべく配合した特化用組成物と、よりなり、
前記特化用組成物は、前記ベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量としたことを特徴とする請求項1に記載の洗濯用洗剤シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯用洗剤シートに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯は、日々の生活を衛生的に過ごす上で欠かすことのできない家事の一つである。
【0003】
洗濯機を使用した洗濯では、洗濯槽の中に投入された洗濯物を水の渦流に巻き込みながら撹拌し洗浄が行われ、手洗いによる洗濯ならば手でもみ洗いしたり洗濯板などに擦りつけることで洗浄が行われるのであるが、この時、繊維の間に入り込んだ汚れを落としやすくするために、洗浄水には予め洗濯洗剤が投入される。
【0004】
家庭などで一般に使用される洗濯洗剤は、ほとんどが液状や粉状の剤形で提供されている。そして、衣類やタオルなど洗濯物の量に合わせ、必要となる洗剤の量を洗剤容器に添付のキャップやスプーンにて1杯や2分の1、3分の1の如く計量して使用している。
【0005】
しかし、このような液状や粉状の洗剤は嵩や重量が大きいため、例えば旅行時などにおける携帯性の点では劣っているのが現状である。
【0006】
勿論、洗剤の濃度を高めることにより、少量でも洗浄効果が期待できる洗濯洗剤が製造できると考えられるが、この場合、先述の如く使用量を目分量で行うと、その誤差で洗剤が足りなかったり、多すぎたりするなど振れ幅が大きくなるため現実的ではない。
【0007】
そこで、洗濯洗剤の使用時における定量性を確保すべく、濃縮洗剤をシートに担持してなるシート状洗剤が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
このようなシート状洗剤によれば、洗濯物の量に応じて1枚、2枚のように容易且つ正確に洗剤を使用することができ、高濃度の洗剤であっても過不足なく洗濯を行え、更には携帯性の問題も回避可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実用新案登録第3181791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、洗濯用の洗剤は、洗濯物に付着している汚れや、洗濯が行われる状況により、異なる機能が求められる場合がある。
【0011】
例えば、メイク汚れが付着している場合は、その付着しているメイク汚れの除去をより積極的行うのが望ましく、また、旅先では部屋干しを強いられることから、部屋干しに伴う臭気発生を抑制できるのが望ましい。
【0012】
勿論、ベースとなる洗浄成分に添加することで、これらのような状況に特化させるための成分群(以下、特化用組成物ともいう。)はこれまでに幾つか提案は成されている。
【0013】
しかしながら、形態をシート状としつつ特化用組成物を添加するためには、そのバランスが重要であり、これらバランスを失するとシート状を維持できなくなったり、また所定の状況に対する特化が鈍ることとなる。
【0014】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、シート状の形態を保つことが可能でありながら、汚れの種類や洗濯を行う場所など所定状況下に特化した洗濯用洗剤シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る洗濯用洗剤シートでは、(1)水洗時の洗濯物の汚れ落ちを促進させる洗濯用洗剤シートであって、7.2~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、0.135~6.05重量部のグリセロールよりなるベース組成物と、前記洗濯用洗剤シートを所定状況下に特化させるべく配合した特化用組成物と、の混合組成物を含み、前記特化用組成物は、前記ベース組成物の10~500重量%に相当する量とした。
【0016】
また、本発明に係る洗濯用洗剤シートでは、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記所定状況下は、前記洗濯物の色落ちが懸念される状況下であり、前記ベース組成物と同ベース組成物の450~500重量%に相当する量の特化用組成物との前記混合組成物であって界面活性剤と柔軟剤と漂白剤とを含む前記混合組成物を布体に担持してなり、同布体は、前記界面活性剤に由来して前記洗濯物から溶出した色素を捕捉する素材により構成したこと。
(3)前記柔軟剤は、ベントナイトであること。
(4)前記界面活性剤は、前記ベース組成物に由来する7.2~8.8重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、前記特化用組成物に由来する14.4~17.6重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、4.5~5.5重量部のテトラデセンスルホン酸ナトリウムと、2.25~2.75重量部のラウリルアルコールと、4.5~5.5重量部のドデカン酸カリウムと、1.8~2.2重量部のコカミドメチルMEAと、で構成したこと。
(5)前記布体は複数のパイル構成糸の撚糸であるパイル糸にてパイルが形成された織布であること。
(6)前記パイル糸は、副構成糸をZ撚りしてなるパイル構成糸と、副構成糸をS撚りしてなるパイル構成糸との撚糸であること。
(7)前記洗濯用洗剤シートは、9~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、1.8~6.05重量部のグリセロールと、よりなるベース組成物と、9~32.56重量部のポリビニルアルコールと、0.9~3.3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルよりなる副ベース組成物と、前記シート状洗剤を所定の洗浄対象物に特化させるべく配合した特化用組成物と、よりなり、前記特化用組成物は、前記ベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量としたこと。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る洗濯用洗剤シートによれば、水洗時の洗濯物の汚れ落ちを促進させる洗濯用洗剤シートであって、7.2~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、0.135~6.05重量部のグリセロールよりなるベース組成物と、前記洗濯用洗剤シートを所定状況下に特化させるべく配合した特化用組成物と、の混合組成物を含み、前記特化用組成物は、前記ベース組成物の10~500重量%に相当する量としたため、シート状の形態を保つことが可能でありながら、汚れの種類や洗濯を行う場所など所定状況下に特化させた洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0018】
また、前記所定状況下は、前記洗濯物の色落ちが懸念される状況下であり、前記ベース組成物と同ベース組成物の450~500重量%に相当する量の特化用組成物との前記混合組成物であって界面活性剤と柔軟剤と漂白剤とを含む前記混合組成物を布体に担持してなり、同布体は、前記界面活性剤に由来して前記洗濯物から溶出した色素を捕捉する素材により構成すれば、洗い上がりを白く柔らかに仕上げることができ、また、一定量の洗剤を手軽に洗濯に使用することができ、更には洗濯物の色移りを可及的に防止可能な洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0019】
また、前記柔軟剤は、ベントナイトであることとすれば、洗濯物を洗い上げた際に、効果的に柔軟効果を発揮させることができる。
【0020】
また、前記界面活性剤は、前記ベース組成物に由来する7.2~8.8重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、前記特化用組成物に由来する14.4~17.6重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、4.5~5.5重量部のテトラデセンスルホン酸ナトリウムと、2.25~2.75重量部のラウリルアルコールと、4.5~5.5重量部のドデカン酸カリウムと、1.8~2.2重量部のコカミドメチルMEAと、で構成すれば、界面活性剤に由来して洗濯物より溶出した色素を布体にてより堅実に捕捉することができ、色移りを更に防止することができる。
【0021】
また、前記布体は複数のパイル構成糸の撚糸であるパイル糸にてパイルが形成された織布であることとすれば、各種洗濯用製剤をより堅実に担持させることができる。
【0022】
また、前記パイル糸は、副構成糸をZ撚りしてなるパイル構成糸と、副構成糸をS撚りしてなるパイル構成糸との撚糸であることとすれば、シート状キャリアを柔軟なものとすることができ、各種洗濯用製剤を更に担持しやすくすることができる。
【0023】
また、前記洗濯用洗剤シートは、9~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、1.8~6.05重量部のグリセロールと、よりなるベース組成物と、9~32.56重量部のポリビニルアルコールと、0.9~3.3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルよりなる副ベース組成物と、前記シート状洗剤を所定の洗浄対象物に特化させるべく配合した特化用組成物と、よりなり、前記特化用組成物は、前記ベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量とすれば、シート全体が水に溶解可能であってシート状の形態を保つことが可能でありながら、汚れの種類や洗濯を行う場所など所定状況下に特化させた洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】パイル織の生地の断面を示した模式図である。
図2】パイル糸の構成を示した説明図である。
図3】第1の態様に係る洗濯用洗剤シートの製造過程を示すフローである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は洗濯用洗剤シートに関するものであり、より具体的には、水洗時の洗濯物の汚れ落ちを促進させる洗濯用洗剤シートに関するものである。
【0026】
本実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、どのような洗濯においても使用可能であり、例えば手作業でもみ洗いする際にも使用可能であるし、また、洗濯機による洗濯にて使用されることも想定し得る。
【0027】
洗濯機は、洗濯槽内で水と洗濯物とを混合状態としつつ洗浄するタイプの洗濯機であれば特に限定されるものではなく、洗濯物と共に洗濯機内に投入することで、二槽式洗濯機や一槽式の自動洗濯機であったり、ドラム式洗濯機でも使用することができる。
【0028】
本実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、所定状況下に特化させた洗濯用洗剤シートである。この所定状況下は、特に限定されるものではないが、例えば、洗濯物の状態に由来する状況や洗濯が行われる環境に由来する状況に大別することができる。
【0029】
洗濯物の状態に由来する状況としては、例えば、洗濯物が色落ちしやすいものである状況や、洗濯物が衣類等であってメイク汚れが付着している状況、洗濯物がマスクであって会話や咳くしゃみ等に伴う体液飛沫が付着している状況、洗濯物がランジェリーであって皮脂や血液、おりもの等が付着している状況、洗濯物が運動着であって泥や汗染みが付着している状況など、その他多くの状況が挙げられる。
【0030】
また洗濯が行われる環境に由来する状況としては、例えば、梅雨時期や旅行時の如く部屋干しを強いられる状況や、その他多くの状況が挙げられる。
【0031】
本出願では、本発明に係る洗濯用洗剤シートの態様を第1~第5実施形態としてそれぞれ説明する。
【0032】
[ I.第1の実施形態について]
まず、第1実施形態は、洗濯物が色落ちしやすいものである状況下に特化させた洗濯用洗剤シートである。
【0033】
先述したように、従来、洗濯洗剤の使用時における定量性を確保すべく、濃縮洗剤をシートに担持してなるシート状洗剤が提案されている。
【0034】
ところが、通常行われる洗濯では、洗濯洗剤の他にも、洗濯物の洗い上がりを柔らかくするために柔軟剤を投入したり、白色を際立たせるために漂白剤を投入するなど、必要に応じて更なる製剤の投入が行われる。
【0035】
しかしながら、上記従来のシート状洗剤では、これら柔軟剤や漂白剤については何ら考慮されておらず、更に別途投入する必要があり煩雑であった。
【0036】
また、洗濯にまつわる一般的なトラブルとして、衣類の色が他の衣類に移行してしまう色移りが挙げられる。これを防止するためには、比較的色の濃い衣類を白物の衣類と一緒に洗濯しないよう留意するのが一般的であるが、判断に迷うことも多く、これもまた洗濯を行う際に気遣いを要する煩雑な一側面といえる。
【0037】
斯かる事情に鑑み、本第1実施形態では、洗い上がりを白く柔らかに仕上げることができ、また、一定量の製剤を手軽に洗濯機に投入でき、更には洗濯物の色移りを可及的に防止可能な洗濯用洗剤シートを提供する。
【0038】
本第1実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、シート状キャリアである布体に各種洗濯用製剤を担持させることで構成している。
【0039】
布体は特に限定されるものではなく、不織布又は織布とすることができる。
【0040】
不織布は、所定の原料繊維を織らずに絡み合わせてシート状としたものであれば特に限定されるものではない。
【0041】
また不織布には、生地の厚薄による繰り返しパターンの如き地模様が施されていても良い。例えば、格子状の模様であって、不織布の厚みを区画線の部分だけ少し薄めに形成しやや透けることで線が視認できるような態様がこれにあたる。
【0042】
このような構成とすれば、洗濯用洗剤シートに意匠性を付与できると共に、吸着させた色素の不織布上での伝搬を制御することができ、より効率的な色素吸着を実現することができる。
【0043】
また布体は織布とすることも可能である。織布は所定の原料繊維を織って調製したものであり、平織りの布であっても良いが、パイル織りとすることもできる。
【0044】
図1は、本第1実施形態に係る洗濯用洗剤シートのシート状キャリアとして使用可能なパイル織の生地の断面を示した模式図である。図1に示すようにパイル生地10は、経糸11及び横糸12からなるベース生地13を備えており、このベース生地13の目部からパイル糸14aをループ状に突出させることで複数のパイル14が形成されている。
【0045】
パイル糸14aは、図1の右上に拡大して示すように、複数本(本第1実施形態では2本)のパイル構成糸15(パイル構成糸15a,15b)をZ撚りに撚って構成している。
【0046】
このパイル14を構成するパイル糸14aは、例えば、特徴的な撚りを施すことで新たな機能性を付加することも可能である。具体的には、糸の撚りを片撚りとし、また撚り方は弛緩状態の甘撚りとする方法が挙げられる。
【0047】
ここで撚りについて簡単に説明すると、糸の撚り方としては、甘撚り、普通撚り、強撚りの三種が知られている。甘撚りとは、生糸1mあたり約300回以下の撚り数(300個の撚り部)の撚り方であり、普通撚りとは、生糸1mあたり約500~600回の撚り数(500~600個の撚り部)の撚り方であり、強撚りとは、生糸1mあたり約800回以上の撚り数(800個以上の撚り部)の撚り方を指す。
【0048】
かかる撚り数の違いは、織物の物性に影響を与える。すなわち、パイル織の製織において使用する繊維を所定の甘撚りとすることにより各種洗濯用製剤をより多く保持でき、また、洗濯物より色落ちした色素を効率的に吸着できるという特徴が発揮される。
【0049】
後述の各種繊維による片撚り撚糸を用いてパイル織物を製織すると共に、繊維の片撚りに際し弛緩状の甘撚りとした織布製シート状キャリアとしたことにより、パイルのループ先端でバラバラになりがちな片撚りの撚糸に対し各種洗濯用製剤がたっぷりと付着した状態でパイル織の形状を強固に保型しながら定着する。
【0050】
したがって、パイルのループ先端で撚糸がやや解れることでより多くの量の各種洗濯用製剤を繊維の間に保持することができる。
【0051】
更には、片撚りの甘撚り状態としたことにより、パイル織とした場合に隣接するパイル間が均等に整順した並びとなって緻密なパイル地となりパイル形態の安定性、すなわちパイル先端が柔らかく解れた状態を保持し、洗浄液中に溶出した色素の吸着が大面積により極めて効率的に行われる。
【0052】
特に片撚りの繊維において撚り方を緊締した状態ではなく、弛緩状態の甘撚りとしたことにより、上述のような効果がより顕著に発揮される。
【0053】
また、パイル糸14aを構成する複数本のパイル構成糸15は、これ自体も副構成糸16で構成しても良い。図2はパイル糸14aの構成を示した説明図である。
【0054】
図2の略上半部に示すように、本第1実施形態ではパイル糸14aを2本のパイル構成糸15にて構成しているため、撚りを解すとパイル構成糸15aと、パイル構成糸15bとに分けられる。
【0055】
また、それぞれのパイル構成糸15a,15bは、図2の下半部に示すように、複数本の副構成糸16(本第1実施形態では2本の副構成糸16a,16b)に撚りをかけることで構成している。
【0056】
ここで特に着目すべきは、その撚りの向きである。本第1実施形態においてパイル糸14aは先述の通りZ撚りにて構成しているが、パイル構成糸15aは副構成糸16a,16bをS撚りにて構成したものとし、パイル構成糸15bは副構成糸16a,16bをS撚りにて構成したものとしている。付言すると、パイル糸14aは、副構成糸16a,16bに対しパイル糸14aとは逆の方向の撚りを施したパイル構成糸15aと、副構成糸16a,16bに対しパイル糸14aと同じ方向の撚りを施したパイル構成糸15bとを甘撚りとした混合撚糸としている。
【0057】
そして、このような構成を備えることで、シート状キャリアを柔軟なものとすることができ、各種洗濯用製剤を担持しやすくなる。
【0058】
また、このような混合撚糸状態とすることで、パイル糸14aの表面には極めて微細な産毛状のケバが植生する構造(以下、微毛植生構造ともいう。)が出現する。この微毛植生構造によれば、各種洗濯用製剤を担持する上で有利なのは勿論のこと、表面積が大きくなることで色落ちした色素の吸着を良好に行うことができる。
【0059】
また特に、一方のパイル構成糸15の撚りをパイル糸14aの撚りと逆撚りとしているため、洗濯機の撹拌方向に沿って順方向に植生した微毛が倒れても、逆方向に植生した微毛は逆毛立つこととなるため、洗濯機の撹拌方向によらず表面積を大きく保つことができる。なお、本第1実施形態ではパイル糸14aをZ撚りとしたが、S撚りとしても良いのは勿論である。また、パイル糸14aは2本のパイル構成糸15a,15bにて構成した例を示したがこれに限定されるものではなく、Z撚りのパイル構成糸とS撚りのパイル構成糸とが含まれる構成であれば特に限定されない。このような態様の一例としては、例えば、いずれか一方の撚りのパイル構成糸を多く含むようにしたり、おおよそ半々とする構成が挙げられる。およそ半々とする場合に関し敢えて限定的に表現するならば、例えば、m本(ただし、mは正の整数。)のZ撚りのパイル構成糸と、n本(ただし、nはm=1のとき1であり、m≠1のときm-1≦n≦m+1である正の整数。)のS撚りのパイル構成糸とで構成しても良い。
【0060】
織布、不織布に関わらず、布体を構成する繊維は、少なくとも、後述の界面活性剤や柔軟剤、漂白剤を担持できるものであって、且つ、担持させた界面活性剤に由来して洗濯物から溶出した色素を吸着して捕捉できる素材であるのが望ましい。
【0061】
すなわち、本第1実施形態に係る洗濯用洗剤シートの布体(シート状キャリア)は、一例として、衣類やタオルなどに用いられる染料のうち、洗濯用洗剤シートにて使用する界面活性剤に由来して洗濯物から溶出する染料を吸着可能な繊維素材にて形成されたものから選択することもできる。
【0062】
原料繊維の一例としては、例えば、アラミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、低密度ポリエチレン樹脂繊維、エチレン酢酸ビニル樹脂繊維、合成ゴム繊維、共重合ポリアミド樹脂繊維、共重合ポリエステル樹脂繊維などが挙げられる。
【0063】
布体に担持される洗濯用製剤としての界面活性剤は、一般に洗濯用洗剤として使用される界面活性剤であれば公知のものを使用することができる。
【0064】
また、布体に担持させる界面活性剤の一例として、例えば、界面活性剤によって洗濯物から色素が溶出してしまうことは好ましいことではないものの、洗濯用洗剤シートに採用した布体により吸着可能な色素を洗濯物より溶出させる界面活性剤を使用すれば、他の衣類への色移りを抑制することが可能となる。
【0065】
界面活性剤の一例を敢えて挙げるならば、例えば、通常使用されている陰イオン界面活性剤や非イオン界面活性剤、両性界面活性剤とすることができ、またこれらの二つ以上が混合された形態であっても良い。
【0066】
前記陰イオン界面活性剤としては、せっけんのようなカルボン酸塩化合物、高級アルコール、高級アルキルエステル、オレフィンを硫酸化した硫酸エステル塩化合物、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩を含む硫酸塩化合物、高級アルコールをリン酸化したリン酸塩化合物が代表的に挙げられる。
【0067】
例えば、これらに限定されないが、ラウリルベンゼンスルホン酸、α-オレフィンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エトキシル化ナトリウム(sodium lauryl ethoxylated sulfate)、sec-アルカンスルホン酸塩(secondary alkanesulfonate)及びメチルエステルスルホン酸塩(methyl ester sulfonate)などが挙げられ、これらを単独または2以上の混合物で使用することができる。望ましくは、前記陰イオン界面活性剤のうち、ラウリル硫酸ナトリウムを使用することができる。
【0068】
また、前記非イオン性界面活性剤としては、これらに限定されないが、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、コカミドモノメチルアミン、コカミドジメチルアミン、コカミドモノエチルアミン、脂肪酸アルカノールアミン、アミンオキサイド、アルキルポリグルコシド、メチルポリエチレンアルキルエーテルまたは糖エーテルなどが挙げられ、これらを単独または2以上の混合物で使用することができる。
【0069】
また、更なる具体的な一例としては、例えば、ラウレス硫酸ナトリウムやラウリル硫酸ナトリウム、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール、ドデカン酸カリウム、コカミドメチルMEAなどを挙げることができる。
【0070】
また、これらを洗濯用洗剤シートの洗浄成分である界面活性剤として採用する場合、各界面活性剤の混合比率は、1重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、0.45~0.55重量部のラウリル硫酸ナトリウムと、0.29~0.34重量部のテトラデセンスルホン酸ナトリウムと、0.15~0.17重量部のラウリルアルコールと、0.29~0.34重量部のドデカン酸カリウムと、0.12~0.13重量部のコカミドメチルMEAとで構成しても良い。
【0071】
このような構成とすることで、布体に吸着困難な色素の溶出は可及的抑制することができ、より効率的な色移りの防止を実現することができる。
【0072】
また、布体に担持される各種洗濯用製剤としては、柔軟剤が挙げられる。柔軟剤は、洗い上げた洗濯物の風合いを柔らかくするための製剤である。すなわち、柔軟剤としては、布体に担持した他の製剤と反応して何れかの機能が実用性無きまでに失われなければ特に限定されるものではない。但し、洗濯用柔軟剤として陽イオン系の界面活性剤を主成分とするものが広く使用されているが、界面活性剤として陰イオン系界面活性剤を採用した場合には、何らかの手段を講じなければ何れかの機能が失われるので留意すべきである。
【0073】
洗浄成分として陰イオン系界面活性剤を採用した場合に、これと反応しない柔軟成分(柔軟剤)としては、例えば、ベントナイトを利用することができる。
【0074】
また、布体に担持される別の洗濯用製剤としては、漂白剤が挙げられる。漂白剤(漂白成分)もまた、本第1実施形態に係る洗濯用洗剤シートを構成する他の成分と反応し、非実用的な程度にまで機能が失われるものでなければ特に限定されない。例えば、塩素系漂白剤は、忌避すべきである。
【0075】
漂白剤として選択される好ましい材料は、例えば酸素系漂白剤であり、具体的には、過ホウ酸塩や過炭酸塩、過リン酸塩、ジアシル、テトラアシルペルオキサイドなどが挙げられる。
【0076】
第1実施形態に係る洗濯用洗剤シートの製造例や実験例を参照しつつ更に説明する。
【0077】
〔1.洗濯用洗剤シートの作成〕
(1-1.含浸剤調製工程)
本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートを作成すべく、まず、布体に含浸させる洗濯用製剤(以下、含浸剤という。)の調製を行った。具体的には、1kgの含浸剤を調製するために、表1に示す各原料の計量を行った(原料計量工程;ステップS1)。
【表1】
【0078】
次に、計量した原料をステンレス製の2L容器内に投入し、ミキサーを用いて均一に混合撹拌することで含浸剤の調製を行った(混合工程;ステップS2)。
【0079】
(1-2.製剤含浸工程)
次に、上記混合工程を経て調製した含浸剤を布体上に均一に流し広げて含浸させる製剤含浸工程を行った(ステップS3)。
【0080】
本第1の実施形態において布体は、不織布とパイルを有する織布を使用した。不織布は、波線(周期約15mm、振幅約5mm)を複数本並行配置してなる繰り返しパターンの地模様を備えた不織布を採用した。地模様を構成する波線は、隣り合う波線の頂部同士が接するよう波を半周期ずつシフトさせており、網目模様を形成している。また波線部は、不織布の厚みを区画線の部分だけ少し薄めに形成しやや透けることで線が視認できるようになっている。また織布は図1及び図2を参照しつつ説明した構成と同様の構成を備えたパイル生地である。
【0081】
布体上への含浸剤の塗布量は、乾燥重量で0.005~0.03g/cm2、例えば0.010~0.028g/cm2とした。
【0082】
(1-3.乾燥工程)
次に、含浸剤を含ませた布体の乾燥を行った(乾燥工程;ステップS4)。本製造例では、温風を吹き付けることで乾燥を行ったが、より大量に製造する場合には、含浸剤を含む長帯状の布体を熱ローラーに供することで乾燥を行うこととしても良い。
【0083】
(1-4.切断及び包装工程)
次に、乾燥工程を経たシートを所定の大きさに切断することで、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートを得た。本製造例では1枚を19cm×14.5cmの大きさにカットし、この1枚の洗濯用洗剤シートで約9枚のTシャツの洗濯を可能とした。
【0084】
このようにして作成した洗濯用洗剤シートは二つ折りにし、例えば3枚~30枚を1セットとして包装し製品とした(切断及び包装工程;ステップS5)。以下、不織布にて製造したものを洗濯用洗剤シートA1と称し、パイル生地にて製造したものを洗濯用洗剤シートB1と称する。
【0085】
〔2.効果確認試験〕
次に、〔1.洗濯用洗剤シートの作成〕にて作成した各洗濯用洗剤シートA1,B1について、汚れ落ち、柔軟、漂白、色移り防止の各観点に関する試験を行った。
【0086】
(2-1.汚れ落ち確認試験)
10枚の新品タオルに土汚れとゴマ油染みとをそれぞれ形成し、全自動式洗濯機にて洗濯した際の汚れ落ちの様子を確認した。試験は、洗濯槽に1枚の洗濯用洗剤シートA1,B1のいずれかを投入した場合と、市販の洗濯用粉洗剤(花王株式会社製 アタック)を使用した場合とで比較した。洗濯に使用する水の量は洗濯機の判断によるものとし、市販の洗濯用粉洗剤の量は同粉洗剤の用法に従った。
【0087】
その結果、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1を用いた洗濯物からは、いずれも土汚れとゴマ油染みの両方が除去されているのが確認された。また、これら両者の汚れの除去の程度は、市販の洗濯用粉洗剤を用いた場合と概ね同等であることが確認された。
【0088】
これらのことから、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1は、実用的な洗浄力を有していることが示された。また、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1は、1枚のシートを洗濯槽に投入するのみで洗剤の投入作業が終了するため、市販の洗濯用粉洗剤に比して極めて簡便であることが確認された。
【0089】
(2-2.柔軟性確認試験)
次に、10枚の新品タオルを全自動式洗濯機にて洗濯し、天日乾燥後に四つ折りにしたタオル10枚分の厚みを確認することで柔軟成分が機能しているかについて確認を行った。試験は、洗濯槽に1枚の洗濯用洗剤シートA1,B1のいずれかを投入した場合と、柔軟成分を含まない市販の洗濯用粉せっけん(シャボン玉石けん株式会社製 シャボン玉 粉石けん スノール)を使用した場合とで比較した。洗濯に使用する水の量は洗濯機の判断によるものとし、市販の洗濯用粉せっけんの量は同粉せっけんの用法に従った。
【0090】
その結果、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1にて洗濯したタオル10枚分の厚みは、市販の洗濯用粉石けんで洗濯したタオル10枚分の厚みと比較して2倍近く大きいことが確認された。
【0091】
また、手触りを確認したところ、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1にて洗濯したタオルは、市販の洗濯用粉石けんで洗濯したタオルと比較して、ふっくらとした風合いを有していることが確認された。
【0092】
これらのことから、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1は、実用的な柔軟剤効果を発揮できることが示された。
【0093】
(2-3.黄ばみ防止試験)
次に、タオルの繰り返し使用による黄ばみの程度を確認することで、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1の漂白成分の機能確認を行った。
【0094】
30~50歳代の男性5名にそれぞれ1枚ずつバスタオルを与え、1ヶ月の第1試験期間と、1ヶ月の第2試験期間と、1ヶ月の第3試験期間との計3ヶ月に亘って毎日の風呂上がりに使用させ、タオルの黄ばみの程度を目視比較することで確認した。
【0095】
毎日使用したタオルは出勤時に回収し、社内にて被験者以外の者が洗濯を行い乾燥させた。乾燥は、晴れの日は天日にて行い、雨の日はガス乾燥機で行った。なお、休日前の入浴時はタオルは使用させず、出勤前日にのみ使用させた。
【0096】
第1試験期間は本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1にて洗濯が行われた。第1試験期間終了後タオルは新品に交換され、その後、第2試験期間は漂白成分を含まない市販の洗濯用粉せっけん(シャボン玉石けん株式会社製 シャボン玉 粉石けん スノール)を使用して洗濯が行われた。また第2試験期間終了後タオルは新品に交換され、第3試験期間は本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートB1にて洗濯が行われた。但し、5名の被験者には、第1~第3試験期間中に使用される洗剤の種類は秘密とした。
【0097】
最終的に回収されたタオルは、各試験期間のものを使用者別に対比することで黄ばみの確認を行った。
【0098】
その結果、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1にて洗濯したタオル(第1試験期間及び第3試験期間のタオル)の黄ばみは殆ど見られなかったのに対し、市販の洗濯用粉石けんで洗濯したタオル(第2試験期間のタオル)はやや黄ばんだ、くすんだ白色になっていることが確認された。
【0099】
これらのことから、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1,B1は、実用的な漂白効果を発揮できることが示された。
【0100】
(2-4.色移り防止試験)
全自動洗濯機に色落ちが予想される生地と白色のタオルとを投入して洗濯し、タオルに色移りがあるか否かについて確認を行った。試験は、洗濯槽に1枚の洗濯用洗剤シートA1,B1のいずれかを投入した場合と、市販の洗濯用粉せっけん(シャボン玉石けん株式会社製 シャボン玉 粉石けん スノール)を使用した場合とで比較した。洗濯に使用する水の量は洗濯機の判断によるものとし、市販の洗濯用粉せっけんの量は同粉せっけんの用法に従った。
【0101】
その結果、市販の洗濯用粉石けんで洗濯したタオルには、色柄物の生地から溶出した色素が付着しているのが確認されたのに対し、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートA1又は洗濯用洗剤シートB1にて洗濯したタオルには色素の付着は確認されなかった。また、洗濯用洗剤シートA1,B1を構成する布体には、色柄物から溶出した色素の付着が確認された。特に、色素の付着は、パイル生地を使用した洗濯用洗剤シートB1の方が多く、洗濯排水中の色素も薄いのが確認された。
【0102】
これらのことから、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、実用的な色移り防止効果を有していることが示された。
【0103】
上述してきたように、本第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートによれば、洗濯物と共に洗濯機内に投入し、水洗時の洗濯物の汚れ落ちを促進させる洗濯用洗剤シートであって、界面活性剤と柔軟剤と漂白剤とを布体に担持してなり、同布体は、前記界面活性剤に由来して前記洗濯物から溶出した色素を捕捉する素材により構成したため、洗い上がりを白く柔らかに仕上げることができ、また、一定量の製剤を手軽に洗濯機に投入でき、更には洗濯物の色移りを可及的に防止可能な洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0104】
[ II.他の実施形態について]
次に、他の実施形態、すなわち、第2~第5の実施形態に係る洗濯用洗剤シートについて説明する。
【0105】
先述した第1の実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、シート状キャリアである布体に各種洗濯用製剤を担持させて構成した点が特徴的であったが、これから説明する第2~第5の実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、不溶性のシート状キャリアを有せずシート全体が水に溶解可能でありながらも、シート状の形態を保つことのできる洗濯用洗剤シートである。このような洗濯用洗剤シートは、シート状キャリアを備えていないため、特化用組成物の添加量等によりシート形状を保持することが困難となる場合があるが、本発明はこれを解消している点で特徴的である。
【0106】
具体的には、第2~第5の実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、9~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、1.8~6.05重量部のグリセロールと、よりなるベース組成物と、9~32.56重量部のポリビニルアルコールと、0.9~3.3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルよりなる副ベース組成物と、前記シート状洗剤を所定の洗浄対象物に特化させるべく配合した特化用組成物と、よりなり、前記特化用組成物は、前記ベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%、好ましくは14~100重量%、より好ましくは14~68重量%、更に好ましくは14~25重量%に相当する量としている。
【0107】
このような構成とすることにより、シート全体が水に溶解可能でありながらも、シート状の形態を保つことができ、更には汚れの種類や洗濯を行う場所など所定状況下に特化した洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0108】
また、本願は第2~第5の実施形態に関し、洗浄対象物に特化させた洗濯用洗剤シートの製造方法を提供するものでもある。
【0109】
具体的には、熱ロールに薄層状に塗着したドウ状又は液状の洗濯用組成物を前記熱ロールから剥離してシート状の洗剤とする洗濯用洗剤シートの製造方法において、前記洗濯用組成物は、9~32.56重量部のポリビニルアルコールと、9~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、0.9~3.3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルと、1.8~6.05重量部のグリセロールよりなる混合ベース組成物と、前記洗濯用洗剤シートを所定の洗浄対象物に特化させるべく配合した特化用組成物と、よりなり、前記特化用組成物は、前記混合ベース組成物の10~100重量%に相当する量としたことを特徴とする所定の洗浄対象物に特化させた洗濯用洗剤シートの製造方法を提供する。なお、混合ベース組成物は、上述のベース組成物と副ベース組成物とを合わせた概念である。
【0110】
そして、このような製造方法によれば、汚れの種類や洗濯を行う場所など所定状況下に特化させても、シート全体が水に溶解可能でありながらシート状の形態を保つことができる洗濯用洗剤シートの安定した製造を可能とすることができる。
【0111】
[ III.第2の実施形態について]
第2の実施形態として説明する洗濯用洗剤シートは、マスクの洗濯に特化したマスク洗濯用洗剤シートである。すなわち、第2実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、洗濯物がマスクであり会話や咳くしゃみ等に伴う体液飛沫が付着している状況に特化した洗濯用洗剤シートである。
【0112】
マスク洗濯用洗剤シートを構成するための特化用組成物は特に限定されるものではなく、添加量がベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量であり、特化用組成物を添加しない場合、すなわち、特化用組成物が添加されるべき量をベース組成物と副ベース組成物により配合比を維持しつつ代替した組成物(以下、比較用組成物ともいう。)と比較して、特化用組成物の添加によりマスクの汚れ落ちが良好となる組成物であれば良い。
【0113】
また、より具体的な処方を例示するならば、ベース組成物は、36~44重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、1.8~2.2重量部のグリセロールとで構成し、また、副ベース組成物は、26.64~32.56重量部のポリビニルアルコールと、2.7~3.3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとで構成し、更に特化用組成物は、7.2~8.8重量部のデンプンと、2.7~3.3重量部のポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルと、0.9~1.1重量部のポリエチレングリコールと、0.9~1.1重量部のポリジメチルシロキサンと、1.8~2.2重量部のクエン酸三ナトリウムと、0.09~0.11重量部のクエン酸と、0.27~0.33重量部のジブチルヒドロキシトルエン (BHT)と、で構成しても良い。
【0114】
このような構成とすることで、マスクに付着しがちな汚れをより堅実に落とすことに特化したマスク洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0115】
次に、第2実施形態に係るマスク洗濯用洗剤シートの実施例について述べる。
【0116】
〔1.マスク洗濯用洗剤シートの作成〕
マスク洗濯用洗剤シートを作成するために、まず、ベース組成物、副ベース組成物、特化用組成物の原料を計量した。
【0117】
具体的には、ベース組成物の原料として、40重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、2重量部のグリセロールとを計量した。
【0118】
また、副ベース組成物は、29.6重量部のポリビニルアルコールと、3重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとを計量した。
【0119】
更に特化用組成物は、8重量部のデンプンと、3重量部のポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルと、1重量部のポリエチレングリコールと、1重量部のポリジメチルシロキサンと、2重量部のクエン酸三ナトリウムと、0.1重量部のクエン酸と、0.3重量部のジブチルヒドロキシトルエン (BHT)を計量した。
【0120】
そして、これらの原料を10重量部±10%(=9~11重量部)、例えば10重量部の水と共にニーダーにて混合(混練)し、ドウ状の洗濯用組成物を得た。
【0121】
次いで、複数のロールを備えるロール圧延機にドウ状の洗濯用組成物を供給し、シート状に加工した。具体的には、互いに相反する方向に回転するように設計された複数本(例えば、3本)のステンレスロールのクリアランスが、供給位置から順次狭隘(例えば、3.5mm→1.5mm)となるよう調整して配置された圧延装置を使用し、クリアランスを通過させて圧延しつつ所定形状に整えることでマスク洗濯用洗剤シートA2(以下、ベース組成物と副ベース組成物との合計量(混合ベース組成物の量)に対する特化用組成物の量の割合を明確にするためにマスク洗濯用洗剤シートA2_21%とも表現する。)を得た。なお、圧延装置のロール表面はドウが焼き付かないながらも、ある程度の水分の蒸発を促す温度(例えば、40~70℃程度)に加熱されている。また、必要に応じ加熱されたシートを冷却するロールを備えても良い。また、各ロールの温度が段階的に低くなるよう構成することもできる。
【0122】
〔2.効果確認試験〕
次に、〔1.マスク洗濯用洗剤シートの作成〕にて作成したマスク洗濯用洗剤シートA2について、形態保持性の確認及び汚れ落ち確認試験を行った。
【0123】
(2-1.形態保持性の確認試験)
マスク洗濯用洗剤シートA2が、製品として数ヶ月間(例えば6ヶ月間)に亘りシート状の形態を保つことが可能であるか否かについて確認の試験を行った。
【0124】
また本試験では、比較のために、上述のベース組成物と副ベース組成物との合計量(混合ベース組成物の量)に対する特化用組成物の量を、特化用組成物中の構成原料の比はそのままに、5重量%、10重量%、17重量%、25重量%、100重量%、500重量%、600重量%とした洗剤シート(それぞれ、比較用洗剤シートX2_5%、マスク洗濯用洗剤シートA2_10%、マスク洗濯用洗剤シートA2_17%、マスク洗濯用洗剤シートA2_25%、マスク洗濯用洗剤シートA2_100%、マスク洗濯用洗剤シートA2_500%、比較用洗剤シートX2_600%ともいう。)を製造し、形態保持性の確認を行った。なお、確認は目視によって行い、ヒビや破れが見られたら、シート状の形態は保てないものと判断した。
【0125】
その結果、マスク洗濯用洗剤シートA2(マスク洗濯用洗剤シートA2_21%)は、製造直後から6ヶ月間に亘りひび割れ等も確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。
【0126】
また、比較用洗剤シートX2_5%、マスク洗濯用洗剤シートA2_10%、マスク洗濯用洗剤シートA2_17%、マスク洗濯用洗剤シートA2_25%、マスク洗濯用洗剤シートA2_100%、マスク洗濯用洗剤シートA2_500%についても、ひび割れ等は確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。ただし、マスク洗濯用洗剤シートA2_500%については、形態保持性は有するものの6ヶ月経過後において製造直後に比して僅かに脆くなった感じが確認されたため、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の500重量%に相当する量よりも少ない量とするのが好ましいと考えられた。
【0127】
またこれらに対し、比較用洗剤シートX2_600%では製造後2ヶ月程度でひび割れが確認された。
【0128】
(2-2.汚れ落ち確認試験)
次に、マスク洗濯用洗剤シートA2について、使用済みマスクを対象に汚れ落ち確認試験を行った。本試験では、比較用組成物にて形成した比較用洗剤シートX2_0%、及び上述した比較用洗剤シートX2_5%、マスク洗濯用洗剤シートA2_10%、マスク洗濯用洗剤シートA2_17%、マスク洗濯用洗剤シートA2_25%、マスク洗濯用洗剤シートA2_100%、マスク洗濯用洗剤シートA2_500%、比較用洗剤シートX2_600%についても、対比のために試験を行った。
【0129】
その結果、汚れ落ちが良好な順に、マスク洗濯用洗剤シートA2_21%>マスク洗濯用洗剤シートA2_17%≒マスク洗濯用洗剤シートA2_25%>マスク洗濯用洗剤シートA2_100%>マスク洗濯用洗剤シートA2_10%>マスク洗濯用洗剤シートA2_500%>比較用洗剤シートX2_5%≒比較用洗剤シートX2_600%>比較用洗剤シートX2_0%であることが分かった。
【0130】
具体的には、マスク洗濯用洗剤シートA2(マスク洗濯用洗剤シートA2_21%)は、比較用洗剤シートX2_0%に比して汚れ落ちが良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX2_0%よりもマスクの洗濯に特化していることが確認された。
【0131】
また、マスク洗濯用洗剤シートA2_10%、マスク洗濯用洗剤シートA2_17%、マスク洗濯用洗剤シートA2_25%、マスク洗濯用洗剤シートA2_100%、マスク洗濯用洗剤シートA2_500%についても、比較用洗剤シートX2_0%に比して汚れ落ちが良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX2_0%よりもマスクの洗濯に特化していることが確認された。
【0132】
一方、比較用洗剤シートX2_5%については、比較用洗剤シートX2_0%に比して良好な汚れ落ちは確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が少ないためであると考えられた。
【0133】
また、比較用洗剤シートX2_600%についても、比較用洗剤シートX2_0%に比して良好な汚れ落ちは確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が多く、混合ベース組成物の含有割合が少なくなったためであると考えられた。
【0134】
これらの結果から、シート状の形態を保つことが可能でありながら、マスクに付着しがちな汚れをより堅実に落とすことに特化したマスク洗濯用洗剤シートとするためには、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の10~500重量%、好ましくは10~100重量%、より好ましくは17~100重量%、更に好ましくは17~25重量%に相当する量とすべきであることが確認された。
【0135】
[ IV.第3の実施形態について]
第3の実施形態として説明する洗濯用洗剤シートは、部屋干しに特化した部屋干し洗濯用洗剤シートである。すなわち、第3実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、洗濯物自体は特に限定されないが、例えば梅雨時や旅行先など屋外での物干しが困難で部屋干しが強いられる場合であっても、部屋干し特有の臭気の発生を効果的に抑制できることに特化した洗濯用洗剤シートである。以下では、本第3の実施形態に係る洗濯用洗剤シートを便宜上、部屋干し洗濯用洗剤シートと称する。
【0136】
部屋干し洗濯用洗剤シートを構成するための特化用組成物は特に限定されるものではなく、添加量がベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量であり、比較用組成物と比較して、特化用組成物の添加により部屋干しによる臭気の発生が抑制できる組成物であれば良い。
【0137】
また、より具体的な処方を例示するならば、ベース組成物は、16.2~19.8重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、3.6~4.4重量部のグリセロールとで構成し、また、副ベース組成物は、13.5~16.5重量部のポリビニルアルコールと、1.35~1.65重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとで構成し、更に特化用組成物は、1.35~1.65重量部のポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルと、1.35~1.65重量部のポリジメチルシロキサンと、1.8~2.2重量部のコカミドMEAと、1.35~1.65重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、で構成しても良い。
【0138】
このような構成とすることで、部屋干しした場合であっても臭気(部屋干し臭)の発生抑制に特化した部屋干し洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0139】
次に、第3実施形態に係る部屋干し洗濯用洗剤シートの実施例について述べる。
【0140】
〔1.部屋干し洗濯用洗剤シートの作成〕
部屋干し洗濯用洗剤シートを作成するために、まず、ベース組成物、副ベース組成物、特化用組成物の原料を計量した。
【0141】
具体的には、ベース組成物の原料として、18重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、4重量部のグリセロールとを計量した。
【0142】
また、副ベース組成物は、15重量部のポリビニルアルコールと、1.5重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとを計量した。
【0143】
更に特化用組成物は、1.5重量部のポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルと、1.5重量部のポリジメチルシロキサンと、2重量部のコカミドMEAと、1.5重量部のラウレス硫酸ナトリウムを計量した。
【0144】
そして、これらの原料を55重量部±10%(=49.5~60.5重量部)、例えば55重量部の水と共にニーダーにて混合(混練)し、ドウ状の洗濯用組成物を得た。
【0145】
次いで、第2実施形態にて説明したロール圧延機にドウ状の洗濯用組成物を供給し、部屋干し洗濯用洗剤シートA3(以下、混合ベース組成物の量に対する特化用組成物の量の割合を明確にするために部屋干し洗濯用洗剤シートA3_17%とも表現する。)を得た。
【0146】
〔2.効果確認試験〕
次に、〔1.部屋干し洗濯用洗剤シートの作成〕にて作成した部屋干し洗濯用洗剤シートA3について、形態保持性の確認及び汚れ落ち確認試験を行った。
【0147】
(2-1.形態保持性の確認試験)
部屋干し洗濯用洗剤シートA3が、製品として数ヶ月間(例えば6ヶ月間)に亘りシート状の形態を保つことが可能であるか否かについて確認の試験を行った。
【0148】
また本試験では、比較のために、上述のベース組成物と副ベース組成物との合計量(混合ベース組成物の量)に対する特化用組成物の量を、特化用組成物中の構成原料の比はそのままに、5重量%、10重量%、14重量%、20重量%、100重量%、500重量%、600重量%とした洗剤シート(それぞれ、比較用洗剤シートX3_5%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_10%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_14%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_20%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_100%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_500%、比較用洗剤シートX3_600%ともいう。)を製造し、形態保持性の確認を行った。なお、確認は目視によって行い、ヒビや破れが見られたら、シート状の形態は保てないものと判断した。
【0149】
その結果、部屋干し洗濯用洗剤シートA3(部屋干し洗濯用洗剤シートA3_17%)は、製造直後から6ヶ月間に亘りひび割れ等も確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。
【0150】
また、比較用洗剤シートX3_5%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_10%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_14%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_20%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_100%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_500%についても、ひび割れ等は確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。ただし、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_500%については、形態保持性は有するものの6ヶ月経過後において製造直後に比して僅かに脆くなった感じが確認されたため、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の500重量%に相当する量よりも少ない量とするのが好ましいと考えられた。
【0151】
またこれらに対し、比較用洗剤シートX3_600%では製造後3ヶ月程度でひび割れが確認された。
【0152】
(2-2.部屋干し臭抑制確認試験)
次に、部屋干し洗濯用洗剤シートA3について、部屋干し臭の抑制確認試験を行った。本試験では、比較用組成物にて形成した比較用洗剤シートX3_0%、及び上述した比較用洗剤シートX3_5%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_10%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_14%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_20%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_100%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_500%、比較用洗剤シートX3_600%についても、対比のために試験を行った。
【0153】
その結果、部屋干し臭の抑制効果が良好な順に、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_17%>部屋干し洗濯用洗剤シートA3_14%≒部屋干し洗濯用洗剤シートA3_20%>部屋干し洗濯用洗剤シートA3_100%>部屋干し洗濯用洗剤シートA3_10%>部屋干し洗濯用洗剤シートA3_500%>比較用洗剤シートX3_5%≒比較用洗剤シートX3_600%>比較用洗剤シートX3_0%であることが分かった。
【0154】
具体的には、部屋干し洗濯用洗剤シートA3(部屋干し洗濯用洗剤シートA3_17%)は、比較用洗剤シートX3_0%に比して部屋干し臭が極めて良好に抑制されており、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX3_0%よりも臭気(部屋干し臭)の発生抑制に特化していることが確認された。
【0155】
また、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_10%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_14%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_20%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_100%、部屋干し洗濯用洗剤シートA3_500%についても、比較用洗剤シートX3_0%に比して部屋干し臭の発生抑制が良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX3_0%よりも部屋干しに特化していることが確認された。
【0156】
一方、比較用洗剤シートX3_5%については、比較用洗剤シートX3_0%に比して良好な部屋干し臭の発生抑制は確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が少ないためであると考えられた。
【0157】
また、比較用洗剤シートX3_600%についても、比較用洗剤シートX3_0%に比して部屋干し臭の発生抑制は確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が多く、混合ベース組成物の含有割合が少なくなって汚れ落ち自体が低下したためであると考えられた。
【0158】
これらの結果から、シート状の形態を保つことが可能でありながら、部屋干し(部屋干し臭の発生抑制)に特化した部屋干し洗濯用洗剤シートとするためには、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の10~500重量%、好ましくは10~100重量%、より好ましくは14~100重量%、更に好ましくは14~20重量%に相当する量とすべきであることが確認された。
【0159】
[ V.第4の実施形態について]
第4の実施形態として説明する洗濯用洗剤シートは、ランジェリーの洗濯に特化したランジェリー洗濯用洗剤シートである。すなわち、第4実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、洗濯物がランジェリーであり皮脂や血液、おりもの等が付着している状況に特化した洗濯用洗剤シートである。
【0160】
ランジェリー洗濯用洗剤シートを構成するための特化用組成物は特に限定されるものではなく、添加量がベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量であり、特化用組成物を添加しない場合、すなわち、比較用組成物と比較して、特化用組成物の添加によりランジェリーの汚れ落ちが良好となる組成物であれば良い。
【0161】
また、より具体的な処方を例示するならば、ベース組成物は、9~11重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、4.5~5.5重量部のグリセロールとで構成し、また、副ベース組成物は、9~11重量部のポリビニルアルコールと、0.9~1.1重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとで構成し、更に特化用組成物は、1.35~1.65重量部のポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルと、0.54~0.66重量部のコカミドMEAと、7.2~8.8重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、2.7~3.3重量部のコカミドプロピルベタインと、0.9~1.1重量部の炭酸ナトリウムと、4.5~5.5重量部のテトラデセンスルホン酸ナトリウムと、1.8~2.2重量部のラウリン酸カリウムと、0.27~0.33重量部の塩化ベンザルコニウムと、で構成しても良い。
【0162】
このような構成とすることで、ランジェリーに付着しがちな皮脂や血液、おりもの等の汚れをより堅実に落とし、また微生物的に清浄化することに特化したランジェリー洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0163】
次に、第4実施形態に係るランジェリー洗濯用洗剤シートの実施例について述べる。
【0164】
〔1.ランジェリー洗濯用洗剤シートの作成〕
ランジェリー洗濯用洗剤シートを作成するために、まず、ベース組成物、副ベース組成物、特化用組成物の原料を計量した。
【0165】
具体的には、ベース組成物の原料として、10重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、5重量部のグリセロールとを計量した。
【0166】
また、副ベース組成物は、10重量部のポリビニルアルコールと、1重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとを計量した。
【0167】
更に特化用組成物は、1.5重量部のポリエチレングリコールトリメチルノニルエーテルと、0.6重量部のコカミドMEAと、8重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、3重量部のコカミドプロピルベタインと、1重量部の炭酸ナトリウムと、5重量部のテトラデセンスルホン酸ナトリウムと、2重量部のラウリン酸カリウムと、0.3重量部の塩化ベンザルコニウムを計量した。
【0168】
そして、これらの原料を52.6重量部±10%(=47.34~57.86重量部)、例えば52.6重量部の水と共にニーダーにて混合(混練)し、ドウ状の洗濯用組成物を得た。
【0169】
次いで、第2実施形態にて説明したロール圧延機にドウ状の洗濯用組成物を供給し、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4(以下、混合ベース組成物の量に対する特化用組成物の量の割合を明確にするためにランジェリー洗濯用洗剤シートA4_82%とも表現する。)を得た。
【0170】
〔2.効果確認試験〕
次に、〔1.ランジェリー洗濯用洗剤シートの作成〕にて作成したランジェリー洗濯用洗剤シートA4について、形態保持性の確認及び汚れ落ち確認試験を行った。
【0171】
(2-1.形態保持性の確認試験)
ランジェリー洗濯用洗剤シートA4が、製品として数ヶ月間(例えば6ヶ月間)に亘りシート状の形態を保つことが可能であるか否かについて確認の試験を行った。
【0172】
また本試験では、比較のために、上述のベース組成物と副ベース組成物との合計量(混合ベース組成物の量)に対する特化用組成物の量を、特化用組成物中の構成原料の比はそのままに、5重量%、10重量%、68重量%、100重量%、500重量%、600重量%とした洗剤シート(それぞれ、比較用洗剤シートX4_5%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_10%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_68%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_100%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_500%、比較用洗剤シートX4_600%ともいう。)を製造し、形態保持性の確認を行った。なお、確認は目視によって行い、ヒビや破れが見られたら、シート状の形態は保てないものと判断した。
【0173】
その結果、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4(ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_82%)は、製造直後から6ヶ月間に亘りひび割れ等も確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。
【0174】
また、比較用洗剤シートX4_5%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_10%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_68%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_100%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_500%についても、ひび割れ等は確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。ただし、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_500%については、形態保持性は有するものの6ヶ月経過後において製造直後に比して僅かに脆くなった感じが確認されたため、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の500重量%に相当する量よりも少ない量とするのが好ましいと考えられた。
【0175】
またこれらに対し、比較用洗剤シートX4_600%では製造後2ヶ月程度でひび割れが確認された。
【0176】
(2-2.汚れ落ち確認試験)
次に、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4について、血液等の疑似汚れを付着させたランジェリー生地を対象に汚れ落ち確認試験を行った。本試験では、比較用組成物にて形成した比較用洗剤シートX4_0%、及び上述した比較用洗剤シートX4_5%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_10%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_68%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_100%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_500%、比較用洗剤シートX4_600%についても、対比のために試験を行った。
【0177】
その結果、汚れ落ちが良好な順に、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_82%>ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_68%≒ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_100%>ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_10%>ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_500%>比較用洗剤シートX4_5%≒比較用洗剤シートX4_600%>比較用洗剤シートX4_0%であることが分かった。
【0178】
具体的には、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4(ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_82%)は、比較用洗剤シートX4_0%に比して汚れ落ちが良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX4_0%よりもランジェリーの洗濯に特化していることが確認された。
【0179】
また、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_10%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_68%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_100%、ランジェリー洗濯用洗剤シートA4_500%についても、比較用洗剤シートX4_0%に比して汚れ落ちが良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX4_0%よりもランジェリーの洗濯に特化していることが確認された。
【0180】
一方、比較用洗剤シートX4_5%については、比較用洗剤シートX4_0%に比して良好な汚れ落ちは確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が少ないためであると考えられた。
【0181】
また、比較用洗剤シートX4_600%についても、比較用洗剤シートX4_0%に比して良好な汚れ落ちは確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が多く、混合ベース組成物の含有割合が少なくなったためであると考えられた。
【0182】
これらの結果から、シート状の形態を保つことが可能でありながら、ランジェリーに付着しがちな汚れをより堅実に落とすことに特化したランジェリー洗濯用洗剤シートとするためには、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の10~500重量%、好ましくは10~100重量%、より好ましくは68~100重量%、に相当する量とすべきであることが確認された。
【0183】
[ VI.第5の実施形態について]
第5の実施形態として説明する洗濯用洗剤シートは、手洗いの洗濯に特化した手洗い洗濯用洗剤シートである。すなわち、第5実施形態に係る洗濯用洗剤シートは、洗濯物を手洗いする状況に特化した洗濯用洗剤シートである。
【0184】
手洗い洗濯用洗剤シートを構成するための特化用組成物は特に限定されるものではなく、添加量がベース組成物と副ベース組成物との合計量の10~100重量%に相当する量であり、特化用組成物を添加しない場合、すなわち、比較用組成物と比較して、特化用組成物の添加により手洗いの汚れ落ちが良好となる組成物であれば良い。
【0185】
また、より具体的な処方を例示するならば、ベース組成物は、25.2~30.8重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、4.95~6.05重量部のグリセロールとで構成し、また、副ベース組成物は、12.6~15.4重量部のポリビニルアルコールと、1.8~2.2重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとで構成し、更に特化用組成物は、3.6~4.4重量部のコカミドMEAと、4.5~5.5重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、0.0045~0.0055重量部の色素と、0.18~0.22重量部の香料と、0.27~0.33重量部の1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オンと、で構成しても良い。
【0186】
このような構成とすることで、手洗いであっても汚れをより堅実に落とすことに特化した手洗い洗濯用洗剤シートを提供することができる。
【0187】
次に、第5実施形態に係る手洗い洗濯用洗剤シートの実施例について述べる。
【0188】
〔1.手洗い洗濯用洗剤シートの作成〕
手洗い洗濯用洗剤シートを作成するために、まず、ベース組成物、副ベース組成物、特化用組成物の原料を計量した。
【0189】
具体的には、ベース組成物の原料として、28重量部のドデシル硫酸ナトリウムと、5.5重量部のグリセロールとを計量した。
【0190】
また、副ベース組成物は、14重量部のポリビニルアルコールと、2重量部の脂肪族アルコールポリグリコールエーテルとを計量した。
【0191】
更に特化用組成物は、4重量部のコカミドMEAと、5重量部のラウレス硫酸ナトリウムと、0.005重量部の色素と、0.2重量部の香料と、0.3重量部の1,2-ベンゾイソチアゾール-3(2H)-オンを計量した。
【0192】
そして、これらの原料を40.995重量部±10%(=36.8955~45.0945重量部)、例えば40.995重量部の水と共にニーダーにて混合(混練)し、ドウ状の洗濯用組成物を得た。
【0193】
次いで、第2実施形態にて説明したロール圧延機にドウ状の洗濯用組成物を供給し、手洗い洗濯用洗剤シートA5(以下、混合ベース組成物の量に対する特化用組成物の量の割合を明確にするために手洗い洗濯用洗剤シートA5_19%とも表現する。)を得た。
【0194】
〔2.効果確認試験〕
次に、〔1.手洗い洗濯用洗剤シートの作成〕にて作成した手洗い洗濯用洗剤シートA5について、形態保持性の確認及び汚れ落ち確認試験を行った。
【0195】
(2-1.形態保持性の確認試験)
手洗い洗濯用洗剤シートA5が、製品として数ヶ月間(例えば6ヶ月間)に亘りシート状の形態を保つことが可能であるか否かについて確認の試験を行った。
【0196】
また本試験では、比較のために、上述のベース組成物と副ベース組成物との合計量(混合ベース組成物の量)に対する特化用組成物の量を、特化用組成物中の構成原料の比はそのままに、5重量%、10重量%、16重量%、23重量%、100重量%、500重量%、600重量%とした洗剤シート(それぞれ、比較用洗剤シートX5_5%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_10%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_16%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_23%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_100%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_500%、比較用洗剤シートX5_600%ともいう。)を製造し、形態保持性の確認を行った。なお、確認は目視によって行い、ヒビや破れが見られたら、シート状の形態は保てないものと判断した。
【0197】
その結果、手洗い洗濯用洗剤シートA5(手洗い洗濯用洗剤シートA5_19%)は、製造直後から6ヶ月間に亘りひび割れ等も確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。
【0198】
また、比較用洗剤シートX5_5%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_10%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_16%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_23%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_100%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_500%についても、ひび割れ等は確認されず、シート状の形態を保つことが可能であることが確認された。ただし、手洗い洗濯用洗剤シートA5_500%については、形態保持性は有するものの6ヶ月経過後において製造直後に比して僅かに脆くなった感じが確認されたため、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の500重量%に相当する量よりも少ない量とするのが好ましいと考えられた。
【0199】
またこれらに対し、比較用洗剤シートX5_600%では製造後2ヶ月程度でひび割れが確認された。
【0200】
(2-2.汚れ落ち確認試験)
次に、手洗い洗濯用洗剤シートA5について汚れ落ち確認試験を行った。本試験では、比較用組成物にて形成した比較用洗剤シートX5_0%、及び上述した比較用洗剤シートX5_5%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_10%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_16%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_23%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_100%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_500%、比較用洗剤シートX5_600%についても、対比のために試験を行った。
【0201】
その結果、汚れ落ちが良好な順に、手洗い洗濯用洗剤シートA5_19%>手洗い洗濯用洗剤シートA5_16%≒手洗い洗濯用洗剤シートA5_23%>手洗い洗濯用洗剤シートA5_100%>手洗い洗濯用洗剤シートA5_10%>手洗い洗濯用洗剤シートA5_500%>比較用洗剤シートX5_5%≒比較用洗剤シートX5_600%>比較用洗剤シートX5_0%であることが分かった。
【0202】
具体的には、手洗い洗濯用洗剤シートA5(手洗い洗濯用洗剤シートA5_19%)は、比較用洗剤シートX5_0%に比して汚れ落ちが良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX5_0%よりも手洗いの洗濯に特化していることが確認された。
【0203】
また、手洗い洗濯用洗剤シートA5_10%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_16%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_23%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_100%、手洗い洗濯用洗剤シートA5_500%についても、比較用洗剤シートX5_0%に比して汚れ落ちが良好であり、添加した特化用組成物により比較用洗剤シートX5_0%よりも手洗いの洗濯に特化していることが確認された。
【0204】
一方、比較用洗剤シートX5_5%については、比較用洗剤シートX5_0%に比して良好な汚れ落ちは確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が少ないためであると考えられた。
【0205】
また、比較用洗剤シートX5_600%についても、比較用洗剤シートX5_0%に比して良好な汚れ落ちは確認できなかった。これは、特化用組成物の添加量が多く、混合ベース組成物の含有割合が少なくなったためであると考えられた。
【0206】
これらの結果から、シート状の形態を保つことが可能でありながら、手洗いにて汚れをより堅実に落とすことに特化した手洗い洗濯用洗剤シートとするためには、特化用組成物は、ベース組成物と副ベース組成物との和の重量の10~500重量%、好ましくは10~100重量%、より好ましくは16~100重量%、更に好ましくは16~23重量%に相当する量とすべきであることが確認された。
【0207】
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0208】
10 パイル生地
11 経糸
12 横糸
13 ベース生地
14 パイル
14a パイル糸
15 パイル構成糸
16 副構成糸
A1~A5 洗濯用洗剤シート
B1 洗濯用洗剤シート
X1~X5 比較用洗剤シート
図1
図2
図3