(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125011
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】送信電圧の適応的な制御を備える無線両耳聴覚装置システム
(51)【国際特許分類】
H04R 1/10 20060101AFI20220819BHJP
H04R 25/00 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
H04R1/10 104E
H04R25/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022016496
(22)【出願日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】PA202170072
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】503021401
【氏名又は名称】ジーエヌ ヒアリング エー/エス
【氏名又は名称原語表記】GN Hearing A/S
【住所又は居所原語表記】Lautrupbjerg 7, 2750 Ballerup, Denmark
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン リース ニールセン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ダム ペダーセン
【テーマコード(参考)】
5D005
【Fターム(参考)】
5D005BB02
5D005BB08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】送信電圧を適応的に動作させる無線両耳聴覚装置システム及び該システムを動作させる方法並びに無線聴覚装置を提供する。
【解決手段】無線両耳聴覚装置システム100において、第1聴覚装置10R及び第2聴覚装置10Lは、無線通信部16R,16L及びアンテナ22R、22Lと、一次電圧源及び一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源14R、14Lと、第1聴覚装置と第2聴覚装置の間の無線リンク200の品質を示す品質インジケータを提供する検出器装置18R、18Lとを備える。聴覚装置夫々の制御部は、各聴覚装置を、品質インジケータが閾値を超える場合、各聴覚装置がその二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信が駆動される低電力モードで動作させ、品質インジケータが閾値を下回る場合、各聴覚装置がその一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信が駆動される通常電力モードで動作させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの第1耳および第2耳のそれぞれに配置される、および/またはそれぞれの内部に配置される、第1聴覚装置および第2聴覚装置であって、各聴覚装置が、前記ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、前記第1聴覚装置と第2聴覚装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、前記無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および前記一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、を備える、第1聴覚装置および第2聴覚装置と、
前記無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定するように構成された検出器装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
・前記品質インジケータが閾値を超える場合、前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置が、その二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、同期的に前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの受信側の装置の前記ゲインレベルを上げる低電力モードに切り替え、
・前記品質インジケータが前記閾値を下回る場合、前記送信側の聴覚装置がその一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、好ましくは同期的に前記受信側の装置の前記ゲインレベルを下げる通常電力モードに切り替える、
ように構成されている、無線両耳聴覚装置システム。
【請求項2】
前記聴覚装置システムは、前記無線リンクを通じて切り替え信号を送信するように構成され、前記切り替え信号は、
・前記品質インジケータを含む、および/または前記品質インジケータに基づく品質データ、
・前記低電力モードまたは前記通常電力モードに切り替える、または前記ゲインレベルを変更する指示を備える指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載の聴覚装置システム。
【請求項3】
前記カウントダウンデータは、2以上のビットを備える、請求項2に記載の聴覚装置システム。
【請求項4】
前記聴覚装置システムは、前記切り替え信号を複数回送信するように構成される、請求項2または3に記載の聴覚装置システム。
【請求項5】
前記カウントダウンデータは、前記切り替え信号が送信される度に更新される、請求項4に記載の聴覚装置システム。
【請求項6】
ユーザの第1耳および第2耳のそれぞれに配置される、および/またはそれぞれの内部に配置される、第1聴覚装置および第2聴覚装置を備える、無線両耳聴覚装置システムを動作させる方法であって、各聴覚装置が、前記ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、前記第1聴覚装置と第2聴覚装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、前記無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および前記一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、を備えており、前記方法は、
前記無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定する工程と、
・前記品質インジケータが閾値を超える場合、前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置が、その二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、同期的に前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの受信側の装置の前記増幅器の前記ゲインレベルを上げる、低電力モードに、または、
・前記品質インジケータが前記閾値を下回る場合、前記送信側の聴覚装置がその一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、好ましくは同期的に前記受信側の装置の前記増幅器の前記ゲインレベルを下げる、通常電力モードに、
切り替える工程と、
を備える方法。
【請求項7】
前記無線リンクを通じて切り替え信号を送信する工程をさらに備えており、前記切り替え信号は、
・前記品質インジケータを含む、および/または前記品質インジケータに基づく品質データ、
・前記低電力モードまたは前記通常電力モードに切り替える、または前記ゲインレベルを変更する指示を含む指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記カウントダウンデータは、2以上のビットを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記切り替え信号を送信する工程が繰り返される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記カウントダウンデータは、前記切り替え信号が送信される度に更新される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ユーザの耳に配置される、および/またはその内部に配置される、無線聴覚装置であって、
前記ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、
前記聴覚装置と外部装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、
前記無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、
一次電圧源および前記一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、
前記無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定するように構成された検出器部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は前記聴覚装置を、
・前記品質インジケータが閾値を超える場合、前記二次電圧源を使用して前記アンテナによる送信が駆動される低電力モードで動作させ、
・前記品質インジケータが閾値を下回る場合、前記一次電圧源を使用して前記アンテナによる送信が駆動される通常電力モードで動作させるように構成され、
前記聴覚装置は、
前記低電力モードに切り替える前に、前記無線リンクを通じて、前記低電力モードへの切り替えの情報を備える切り替え信号を送信するように構成され、
好ましくは、前記通常電力モードへ切り替える前に、前記無線リンクを通じて、前記通常電力モードへの切り替えの情報を含む第2切り替え信号を送信するように構成される、無線聴覚装置。
【請求項12】
前記切り替え信号は、
・前記品質インジケータを含む、および/または前記品質インジケータに基づく品質データ、
・前記低電力モードまたは前記通常電力モードに切り替える、または前記ゲインレベルを変更する指示を含む指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
のうちの少なくとも1つを備える、請求項11に記載の聴覚装置。
【請求項13】
前記カウントダウンデータは、2以上のビットを備える、請求項12に記載の聴覚装置。
【請求項14】
前記聴覚装置は、前記切り替え信号を複数回送信するように構成される、請求項12または13に記載の聴覚装置。
【請求項15】
前記カウントダウンデータは、前記切り替え信号が送信される度に更新される、請求項14に記載の聴覚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送信電圧の適応的な制御を備える、2つの無線接続された聴覚装置を備える無線両耳聴覚装置システムに関する。さらに、本開示は、無線両耳聴覚装置システムにおいて送信電圧を適応的に動作させる方法に関する。さらに、本開示は、送信電圧の適応的な制御を備える、聴覚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
耳内ヘッドホン、補聴器、または人工内耳装置などの2つの無線接続された聴覚装置を備える無線両耳聴覚装置システムにおいて、適切な動作のために、2つの聴覚装置間の無線データ通信は不可欠である。聴覚装置が理想的に機能するために、それらの間で安定した無線リンクを維持することができることが重要である。
【0003】
無線両耳聴覚装置において、ユーザが聴覚装置を装着した状態で、無線リンク品質に影響を及ぼし得る要因が多々ある。頭部および耳の形状が、聴覚装置間の距離、およびアンテナ配置を決定する。したがって、聴覚装置がユーザに装着され動作する前に、リンク品質を予測するのは困難である。
【0004】
このため、聴覚装置に対しては通常、無線リンクのエネルギー収支の規模が過剰に大きく設定される。これにより、ユーザの頭部の形状または外部要因、例えば干渉またはクロックドリフトに関わらず、ある程度のリンク品質が保証される。この過剰なエネルギー収支は一方で、維持するのにより大きなエネルギー量を要し、したがって動作時間、即ち充電と充電の間の時間または電池交換と電池交換の間の時間が短くなる。これに対する従来技術の解決方法は、無線リンク品質が許容する場合に、送信強度を下げることができる聴覚装置を提供することによる、動的な送信強度を使用することによって実現される。
【0005】
米国特許第2008/0226107A1は、聴覚装置および聴覚装置付属品における誘導送信のための送信方法に関する。これは、信号をトランスミッタからレシーバに対して、特定の送信電力で送信するものである。
【0006】
欧州特許第2211579A1は、第1通信装置および第2通信装置を備える通信システムに関する。各装置は、装置間で無線リンクを構築するための送信部および受信部を備える。少なくとも第1通信装置が、リンク品質の測定に基づいて、その送信部の送信電力を動的に調整する制御部を備える。
【0007】
米国特許第2010/0054512A1は、互いに無線通信するように構成された複数の装置を備える、各種システムの実施形態に関する。複数の装置は、人に装着されるように構成された、電池駆動の聴覚補助装置を含む。聴覚補助装置は、マイクロフォンとレシーバに接続された信号処理回路を備える。複数の装置のうちの少なくとも1つは、第1無線通信チャネルのリンク品質を評価し、第1無線通信チャネルについて評価された品質を示すチャネル測定値を提供し、第1無線通信チャネルに対するチャネル測定値を使用して、第1無線通信チャネルを通じた無線通信を調整するように構成された、リンク品質管理装置を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の問題点は、送信電力を下げることによる不十分なリンク品質により、データパッケージが喪失するリスクにある。したがって、この問題を解決するより良い電力管理を備える無線聴覚装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、ユーザの第1耳および第2耳のそれぞれに配置される、および/またはそれぞれの内部に配置される、第1聴覚装置および第2聴覚装置であって、各聴覚装置が、ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、第1聴覚装置と第2聴覚装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、を備える、第1聴覚装置および第2聴覚装置と、無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定するように構成された検出器装置と、制御装置と、を備える無線両耳聴覚装置システムに関する。
制御装置は、
品質インジケータが閾値を超える場合、第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置がその二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、同期的に第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの受信側の装置のゲインレベルを上げる低電力モードに切り替え、
品質インジケータが閾値を下回る場合、送信側の聴覚装置がその一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、好ましくは同期的に受信側の装置のゲインレベルを下げる通常電力モードに切り替える、ように構成される。
【0010】
本発明の第2の態様は、ユーザの第1耳および第2耳のそれぞれに配置される、および/またはそれぞれの内部に配置される、第1聴覚装置および第2聴覚装置を備える無線両耳聴覚装置システムを動作させる方法に関する。各聴覚装置は、ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、第1聴覚装置と第2聴覚装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源とを備える。その方法は、無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定する工程と、
・品質インジケータが閾値を超える場合、第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置が、その二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、同期的に第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの受信側の装置の増幅器のゲインレベルを上げる、低電力モードに、または、
・品質インジケータが閾値を下回る場合、送信側の聴覚装置が、その一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、好ましくは同期的に受信側の装置の増幅器のゲインレベルを下げる、通常電力モードに、
切り替える工程と、を備える。
【0011】
本発明の第3の態様は、ユーザの耳に配置されるように、および/またはその内部に配置されるように、構成された無線聴覚装置であって、ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、聴覚装置と外部装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定するように構成された検出器部と、制御部とを備える聴覚装置に関する。
制御部は聴覚装置を、
・品質インジケータが閾値を超える場合、二次電圧源を使用してアンテナによる送信が駆動される低電力モードで動作させ、
・品質インジケータが閾値を下回る場合、一次電圧源を使用してアンテナによる送信が駆動される通常電力モードで動作させるように構成されている。
聴覚装置は、低電力モードに切り替える前に、無線リンクを通じて、低電力モードへの切り替えの情報を含む切り替え信号を送信するように構成され、
好ましくは、通常電力モードへ切り替える前に、無線リンクを通じて、通常電力モードへの切り替えの情報を含む第2切り替え信号を送信するように構成される。
【0012】
外部装置は、ユーザの反対側の耳に配置されるように、および/またはその内部に配置されるように、構成された別の聴覚装置であり得る。外部装置は、スマートフォン、スパウスマイクロフォン、または補聴器付属品であり得る。
【0013】
この文脈において、同期的にとは、略同時にと解されるべきである。このために、聴覚装置システムは、聴覚装置が、電力モードの変更、即ち送信側の装置での電源の変更および受信側の装置でのゲインレベルの変更にタイミングを合わせ得るように、両方の聴覚装置に、または聴覚装置と外部装置に、来るべき電力モードの変更について通知する必要がある。以下の説明から明らかなように、これは、全て本発明の範囲に含まれる様々な方法で解決可能である。
【0014】
したがって、第1聴覚装置のアンテナと、第2聴覚装置または外部装置のアンテナとが近接配置されている、ノイズ/干渉が少ない、またはより適切に位置合わせされている、のいずれかの理由で、本発明の聴覚装置が、適切な送信のために完全なリンク収支を要さない場合、より低電圧、即ち二次電圧源を使用して、アンテナを駆動可能である。本発明の利点として、低電力モード、および好ましくはさらに通常電力モードへの切り替えが、2つの聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置での送信強度変更だけでなく、2つの聴覚装置のうちの受信側の聴覚装置の増幅器のゲイン設定の調整を同期的に行うこと、すなわち、通常電力モードへの切り替え時にはゲイン設定を下げ、特に低電力モードへの切り替え時にはゲイン設定を上げること、を備えることが挙げられる。したがって、受信側の増幅器のゲイン設定が低電力モードでの信号送信に対して低く設定されるために送信データパッケージが喪失し得ることが避けられる。
【0015】
無線リンクの品質インジケータに基づいて、各アンテナの送信を駆動するのにどの電圧源を使用するべきかを決定することで、聴覚装置は、反対側の聴覚装置に無線信号が到達するのに必要以上の電力で無線信号を送信することが避けられ、消費電力が低減され得る。さらに、検出器装置により無線信号品質を継続的に監視することで、聴覚装置は条件変更時に電力モード間を適応的に切り替え得る。
【0016】
無線リンクは、双方向通信を可能にする。したがって、第1聴覚装置および第2聴覚装置は、いずれも送信側の聴覚装置および受信側の聴覚装置として機能し得る。聴覚装置は、無線リンクを通じた通信時に、時分割多重化(TDM)を使用するように構成され得る。したがって、第1聴覚装置および第2聴覚装置は交互に送信側の聴覚装置および受信側の聴覚装置となる。TDMを使用すると、時間領域は長さが固定されたいくつかの周期的時間スロット、即ちフレームに分割される。ここで第1聴覚装置および第2聴覚装置は順番に送信側の聴覚装置および受信側の聴覚装置となり、その後の時間スロットでは交互にそれら聴覚装置となる。したがって、聴覚装置はその送信(TX)スロット/フレームにおいて送信側の装置となり、その受信(RX)スロット/フレームにおいて受信側の装置となる。
【0017】
聴覚装置は、無線イヤホンであり得る。聴覚装置は補聴器であり得る。補聴器は、周辺音を表す電気入力信号を提供する、1つまたは複数のマイクロフォンと、ユーザの聴力損失を補うことで、電気入力信号を処理し、電気出力信号を提供するように構成された信号プロセッサと、電気出力信号をユーザが知覚可能な信号に変換する出力トランスデューサとを備える聴覚装置である。聴覚装置は人工内耳装置であり得る。出力トランスデューサは、音声出力を提供するように構成されたラウドスピーカであり得る。出力トランスデューサは、電気刺激出力を提供するように構成された人工内耳であり得る。
【0018】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、第1聴覚装置および第2聴覚装置のアンテナは、磁気アンテナ、即ち、近距離磁気誘導(NFMI)通信用に構成されたコイルである。本発明の適応的な電圧制御方式は、NFMIアンテナの場合に特に有効である。近距離送信の電力密度は極めて限定的で、距離の6乗の逆数に比例した割合で減衰するためである。磁気アンテナはコイルを含み得る。コイルは、磁芯に巻き付けられ得る。磁気アンテナは、1MHzから100MHz、好ましくは5MHzから30MHz、より好ましくは10MHzから15MHzの周波数で送信、受信するように構成され得る。
【0019】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、各聴覚装置の電源は、第3電圧を提供するための電池を含む。電池は充電式であり得る。電池は空気亜鉛電池であり得る。第1電圧源の電圧は、第3電圧よりも高くてもよい。一次電圧源は、好ましくは電圧ダブラーである、電圧増倍器を備えてもよい。一次電圧源または第2電圧源の電圧は、第3電圧±10%、好ましくは第3電圧に等しくなり得る。二次電圧源は、降圧コンバータまたはステップダウントランスフォーマを含み得る。
【0020】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、一方または両方の聴覚装置は、スマート装置、スマートフォン、またはスパウスマイクなどの二次外部装置との間に二次無線リンクを提供するように構成された二次アンテナを含む。二次アンテナは、ループアンテナ、パッチアンテナ、モノポールアンテナ、またはダイポールアンテナなどの電気アンテナであり得る。二次アンテナは、0.9GHzから6GHzの周波数での送信および受信するように構成され得る。二次アンテナは、915±13MHz、2.45±0.05GHz、5.8±0.075GHzなどのISM周波数での通信用に構成されたアンテナであり得る。二次アンテナも、一次電圧源または二次電圧源により駆動され得る。
【0021】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、聴覚装置は、入ってくる音を対応する電気入力信号に変換するように構成されたマイクロフォンなどの入力トランスデューサを含む。聴覚装置は、電気入力信号、および/または無線リンクを通じて受信した信号、および/または二次無線リンクを通じて受信した信号に基づいて、電気出力信号を提供するように構成された信号処理部を備え得る。出力トランスデューサは、電気出力信号を出力に変換するように構成され得る。信号処理部は、ユーザの聴力損失を補償、即ち、ユーザの周波数依存聴力損失に応じて周波数依存ゲインを適用するように構成され得る。したがって、出力は、周辺音、または無線リンクおよび/または二次無線リンクからストリーミングされた音声データ、あるいはこれらの任意の組み合わせに基づき得る。
【0022】
検出器装置は、第1聴覚装置内に配置された第1検出器部を含み得る。本発明の1つまたは複数の実施形態において、検出器装置は第2聴覚装置内に配置された第2検出器部を含む。適応的な電圧制御は、第1聴覚装置内に配置された1つの検出器部で実現され得る。そのような実施形態において、第1聴覚装置は、品質インジケータおよび/または指示データを備える切り替え信号を、無線リンクを通じて第2聴覚装置に提供する。これにより、第2聴覚装置は、どの電力モードで動作するか決定し得る。この手法の利点は、第2聴覚装置は検出器部を要さないため、その電子装置が単純化され得ることである。あるいは、両方の聴覚装置が検出器部を含んでもよい。その場合、各聴覚装置が、品質インジケータを決定し得、それぞれの制御部が、それぞれに設けられた検出器部により提供された品質インジケータに基づいて、どのモードで動作するか決定し得る。
【0023】
各聴覚装置は、増幅器を備える。増幅器は、増幅器のゲインレベルに応じて、無線リンクを通じて受信した信号を増幅するように構成される。増幅器は、2段階より多いゲインレベル、好ましくは10段階より多いゲインレベルを備えていてもよい。検出器部は、増幅器の下流に配置され得る。検出器部は、増幅器に対して、フィードバック制御信号を提供するように構成され得る。聴覚装置に増幅器を設けることで、受信信号強度は、より一定のレベルに維持され得る。したがって、無線リンクがより安定し、検出器部が品質インジケータを決定するための基礎がより良くなる。検出器部を増幅器にフィードバック信号を提供するように構成することで、ゲインレベルが増幅された受信信号の強度に応じて検出器部によって設定され得る。これにより、増幅器は、出力される信号のレベルをより安定して維持できる。
【0024】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、聴覚装置は、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)を備える。聴覚装置のADCは、聴覚装置の増幅器に対して、下流に配置され得る、即ち信号経路後段で接続および配置され得る。聴覚装置のADCは、当該聴覚装置の検出器部に対して、上流に配置され得る、即ち信号経路前段で接続および配置され得る。ADCは、2ビット以上の解像度を有し得る。2ビット以上の解像度を有するADCを検出器部の前段に設けることが特に有用である。これにより、無線信号の品質のより正確な推定、したがって聴覚装置のよりよい動作が保証される。
【0025】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、聴覚装置は、所定の期間に信号が受信されない場合に、通常電力モードでの動作に切り替えるように構成される。この利点は、聴覚装置が低電力モードにおいて十分な強度で無線リンクを維持できない場合、したがって、品質インジケータを決定できない場合、自動で通常電力モードに切り替えることである。所定の期間は、1つの時間スロットであり得る。
【0026】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、検出器装置は、一方または両方の増幅器のゲインレベル、アンテナが受信した無線信号の信号強度、受信した信号におけるビットエラーレート、増幅器による増幅後の信号強度、ADCの出力、受信信号のフレームエラーレートの内の1つまたは複数、あるいはその任意の組み合わせに基づいて、品質インジケータを決定するように構成さる。
【0027】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、聴覚装置は、無線リンクを通じて切り替え信号を送信するように構成され、切り替え信号は、
・品質インジケータを含む、および/または品質インジケータに基づく品質データ、
・低電力モードまたは通常電力モードに切り替える、またはゲインレベルを変更する指示を含む指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
の内の少なくとも1つを備える。
【0028】
切り替え信号は、送信側の聴覚装置のアンテナドライバ(即ち、アンテナを駆動するのに一次電圧源または二次電圧源のいずれを使用するか)と、受信側の聴覚装置の増幅器との同期的な動作を可能にする。装置(即ち聴覚装置または外部装置)のうちの受信側の装置が、品質インジケータを決定し、当該受信側の聴覚装置が送信側の装置となる順番となると、反対側の聴覚装置が電力モード/ゲインレベルの同期的な切り替えを行うのに必要とするデータを送信し得る。このために、品質データは受信側の装置に信号品質について通知可能である。
【0029】
聴覚装置は、そのTXフレームの少なくとも一部において、例えば少なくともTXフレームの10%において、例えば少なくともTXフレームの25%において、例えば少なくともTXフレームの50%において、例えば少なくともTXフレームの75%において、例えば少なくともTXフレームの90%において、例えばTXフレームの100%において、来るべき電力モードの切り替えおよび/または後続の時間フレームにおいてどの電力モードが使用されるべきかを示す切り替えデータを送信するように構成され得る。カウントダウンデータは、来るべき電力モードの切り替えまでに経過すべき時間フレームの数を示し得る。
【0030】
指示データは、受信側の聴覚装置に、送信側の聴覚装置が、電圧源、具体的には一次電圧源と二次電圧源を切り替えることを通知する情報データを含み得る。これに応じて、受信側の聴覚装置は、自身の増幅器のゲインレベルを設定可能である。指示データは、受信側の聴覚装置に、来るべき受信側の聴覚装置からの送信に対して、即ち、聴覚装置が受信側の聴覚装置と送信側の聴覚装置で交代する時に、電圧源、具体的には一次電圧源と二次電圧源を切り替えること、を指示するデータを含み得る。したがって、指示データは、現状では受信側の聴覚装置に、その後続の送信スロットの1つにおいて、その一次電圧源と二次電圧源の切り替えを可能とする。
【0031】
聴覚装置は、来るべき低電力モードと通常電力モードとの間の切り替えが、所定のタイミングで実施されるように構成され得る。一方で、好ましい実施形態において、切り替え信号は、カウントダウンデータを含む。これは、送信側の聴覚装置による電圧源の切り替えと、受信側の聴覚装置によるそれに応じたゲインレベルの設定との間の同期を可能とする。これにより、同期的な電力モードの切り替えのタイミングがより正確にできる。カウントダウンデータは、電力モードを切り替えるまでに、いくつの時間スロット数を経過すべきかを示し得る。切り替え信号が複数回送信される場合、カウントダウンデータは、来るべき切り替えのタイミングを正しく示すように、送信毎に更新される。好ましい実施形態において、カウントダウンデータは2以上のビットを備える。これにより、カウントダウンデータはより多くのデータを伝送可能となり、来るべき切り替えよりもより早く信号で知らせることができる。特に、切り替え信号が複数回送信される場合、2以上のビットを備えるカウントダウンデータは、より多くのカウントダウンを可能とする。この利点は、受信側の聴覚装置がいくつか切り替え信号を受信できなくても、1つ受信できれば、電力モードの同期的な切り替えを実現できることである。
【0032】
TDMを使用する場合、カウントダウンビットは、聴覚装置が受信した切り替え信号に対して動作する必要があるまでに、いくつの時間スロット数を経過すべきかを示し得る。カウントダウンデータは、2から4のカウントダウンビット、好ましくは3のカウントダウンビットを含み得る。これにより、聴覚装置は、反対側の聴覚装置に電力モードの変更を求める、および/または反対側の聴覚装置に当該聴覚装置が電力モードを変更することを通知し、反対側の聴覚装置がそれに応じてゲインレベルを変更するように求める際に、このことを数フレーム、具体的には2N(Nはカウントダウンビット数)フレーム前に、信号で知らせることができる。
【0033】
TDMを使用する場合、一方または両方の聴覚装置は、その送信(TX)フレーム後に、当該聴覚装置がどの電力モードとなるかを示す1つまたは複数の情報ビットを送信するように構成され得る。これにより、反対側の聴覚装置は、情報ビットに応じてその増幅器のゲインレベルを設定可能となる。即ち、低電力モードで送信する聴覚装置から信号を受信する場合にはゲインレベルを高くし、高電力モードで送信する聴覚装置から信号を受信することが予期される場合はゲインレベルを低くする。一方または両方の聴覚装置は、反対側の聴覚装置のTXフレーム後に、反対側の聴覚装置がどの電力モードで動作すべきかを示す1つまたは複数の制御ビットを送信するように構成され得る。これにより、各聴覚装置は、反対側の聴覚装置がどの電力モードで送信するか把握し得るので、制御ビットに応じてその増幅器のゲインレベルを設定可能となる。好ましくは、情報および/または制御ビットは、ミラーリングされる。即ち、ビット喪失を避けるため、複数回送信される。好ましくは、情報および/または制御ビットは3度送信される。これにより、大幅な帯域を要さずにデータ検証が可能となる。
【0034】
本発明の実施形態において、聴覚装置は、受信(RX)フレームにおいて切り替え信号を受信した場合に、制御部が当該RXフレーム後の、例えば、1番目、2番目、3番目などの所定のTXフレームにおいて、制御信号に応じて電力モードを設定するように構成され得る。聴覚装置は、第1RXフレームにおいて情報信号を受信した場合に、制御部が第1RXフレーム後の、例えば、1番目、2番目、3番目のRXフレームなどの所定の第2RXフレームにおいて、制御信号に応じて増幅器のゲインレベルを設定するように構成され得る。
【0035】
TDMを使用して、一方または両方の聴覚装置に、ゲインレベルおよび電力モードの変更の同期用の制御および/または情報ビットを送信する機能を与えることは、より単純に実現され得る。聴覚装置は、後続の時間フレームにおいて、制御および/または情報ビットに応じて動作するべきと推定できるため、聴覚装置間で同期信号が暗に共有され得るためである。あるいは、同期信号は、聴覚装置が受信した制御および/または情報信号に対して動作するまでに、いくつのフレームを経過すべきであるかの情報を含み得る。
【0036】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、聴覚装置システムは品質インジケータを複数、すなわち2以上の時間フレームに亘って総合的に使用するように構成され得る。聴覚装置システムは、品質インジケータが複数の連続した時間フレームに亘って閾値を越えた場合にのみ、低電力モードに切り替えるように構成され得る。
【0037】
本発明の1つまたは複数の実施形態において、閾値は、各聴覚装置がどの電力モードで動作するかに依存する。閾値は、聴覚装置が低電力モードで動作する場合に、聴覚装置が通常電力モードで動作する場合よりも低くなり得る。本発明の1つまたは複数の実施形態において、制御部は、聴覚装置が一定期間無線リンクを通じて信号を一切受信していなければ、通常電力モードに切り替える、および/または増幅器のゲインレベルを上げるように構成され得る。この場合、聴覚装置が低電力モードにある際に、無線リンクの品質要件が厳しくなり、低電力モードへの切り替えが無線リンクの障害につながる場合に、聴覚装置が通常電力モードに戻ることが保証される。さらに、品質インジケータが閾値近傍で変動する場合に、変わりやすい適応に対して一定のヒステリシスが導入されるため、過度なモード間切り替えを防止するのにも供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の例示的実施形態に係る無線聴覚装置システムの概略図を示す。
【
図2】本発明の例示的実施形態に係る無線聴覚装置システムの概略図を示す。
【
図3】本発明の例示的実施形態に係る、聴覚装置の送信(TX)システムの図を示す。
【
図4】本発明の例示的実施形態に係る、聴覚装置の受信(RX)システムの図を示す。
【
図5】本発明の例示的実施形態に係る、補聴器の概略図を示す。
【
図6】本発明の2つの無線聴覚装置間のあり得る通信状況を示す。
【
図7】本発明の2つの無線聴覚装置間のあり得る通信状況を示す。
【
図8】本発明の2つの無線聴覚装置間のあり得る通信状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本両耳補聴器システムの様々な例示的実施形態を、添付の図面を参照にして説明する。当業者であれば、添付図面は概略的で、明確さのために単純化されており、したがって、本発明の理解に必須の詳細のみを示し、その他詳細については省略していることを理解するであろう。全体を通して、同様の参照符号は同様の要素を示す。したがって、同様の要素は、各図について必ずしも詳細に説明されない。
【0040】
図1は、無線リンク200を通じて互いに無線接続された第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lを備える無線聴覚装置システム100の概略図を示す。無線リンク200は、音声データまたはシステムデータなどのデータを、第1聴覚装置10Rと第2聴覚装置10Lの間で共有するのに使用される。第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lは、それぞれ、電気入力信号を処理して、電気出力信号を提供する信号処理部12R、12Lを備える。第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lは、それぞれ、電気出力信号を、ユーザが知覚可能な出力に変換する出力トランスデューサ24R、24Lを備える。
【0041】
本発明の用途の多くにおいて、出力トランスデューサ24R、24Lは、聴覚装置10R、10Lの使用時に、電気出力信号をユーザの各外耳道に提供される可聴出力に変換するように構成されたレシーバ、即ちラウドスピーカの形態となる。本発明の一部の用途において、出力トランスデューサ24R、24Lは、聴覚神経を直接電気刺激することで通常の音声聴覚プロセスを介さずユーザに音の知覚を提供するように構成された、外科手術により埋め込まれる神経機能代理装置である人工内耳により提供される。図示の実施形態の聴覚装置10R、10Lは、それぞれさらに、マイクロフォン装置26R、26Lの形態の入力トランスデューサを備える。マイクロフォン装置26R、26Lは、それぞれ、少なくとも1つのマイクロフォンを備える。聴覚装置10R、10Lが補聴器であれば、入力トランスデューサは、聴覚装置10R、10Lに周辺音声信号を取得することを可能にし、それを電気入力信号に変換することを可能にする。聴覚装置10R、10Lがヘッドセットの2つの無線イヤホンであれば、入力トランスデューサは、聴覚装置10R、10Lに、通話音声などの音声信号を、または、ユーザがより周辺に注意を払うように、出力トランスデューサ24R、24Lに提供されるべき周辺音などの音声信号を取得可能とする。
【0042】
第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lは、それぞれの聴覚装置10R、10Lに電力供給するように構成された、電源14R、14Lを備える。電源14R、14Lは、多くの用途において、充電式または交換可能な電池により提供されるが、一部の用途では燃料電池により提供され得る。電源14R、14Lは、それぞれ、一次電圧源14Ra、14Laおよび二次電圧源14Rb、14Lbを備える。一次電圧源14Ra、14Laは、それぞれ、対応する二次電圧源14Rb、14Lbよりも高い電圧を提供する。
【0043】
第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lは、それぞれ、電波などの無線通信信号を変調/復調可能な無線通信部16R、16Lを備える。無線通信信号を送信/受信するために、第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lは、それぞれ、アンテナ22R、22Lを備える。これらにより、聴覚装置10R、10Lは、聴覚装置10R、10L間の無線通信用の無線リンク200を維持できる。アンテナ22R、22Lは、ループアンテナ、モノポールアンテナ、ダイポールアンテナなどの電気的アンテナ、または磁気的アンテナ、即ち近距離磁気誘導(NFMI)通信用のコイルにより提供され得る。
【0044】
聴覚装置システム100はさらに、無線リンク200の品質を評価し、無線リンク品質を示す品質インジケータを提供するように構成された、検出器装置18を備える。
図1において、検出器装置18は、第1聴覚装置10R内の検出器部18Rにより提供される。聴覚装置システム100はさらに、制御装置20を備える。制御装置20は、第1聴覚装置10R内に配置された制御部20Rと、第2聴覚装置10L内に配置された制御部20Lとを備える。
【0045】
制御装置20は、品質インジケータに基づいて、送信時に一次電圧源14Ra、14Laまたは二次電圧源14Rb、14Lbにより、各アンテナ22R、22Lを駆動するように構成される。品質インジケータが閾値を超える、即ち、無線リンク200が強い場合、制御装置20は、二次電圧源14Rb、14Lbにより送信が駆動される低電力モードに切り替える。これにより、聴覚装置10R、10Lの電力消費が抑えられるが、無線リンク200の信号強度と引き換えとなる。しかし、二次電圧源14Rb、14Lbを使用して、無線リンク200を許容可能な品質に維持できれば、これは許容可能なトレードオフとなる。一方、品質インジケータが閾値未満、即ち無線リンク200が弱い場合、制御装置20は、一次電圧源14Ra、14Laにより送信が駆動される通常電力モードに切り替える。
【0046】
図1の実施形態においては、第1聴覚装置10Rのみに検出器部18Rが設けられている。後述の実施形態で示すように、検出器装置18は、第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lの両方に設けられた、検出器部18R、18Lを含み得る。しかし、これは必須ではない。第1聴覚装置10R内に配置される検出器部18Rが無線リンク品質を評価し、無線リンク200を通じて第2聴覚装置10Lの制御部20Lに品質インジケータを提供可能であるためである。
【0047】
図1に示される実施形態においては、第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lがそれぞれ、電気入力信号を提供するための入力トランスデューサ26R、26Lを備える。本発明の多くの用途において、入力トランスデューサ26R、26Lは、それぞれ、各聴覚装置10R、10Lにおいて、受信される音声入力を対応する電気信号、即ち電気入力信号に変換するように構成されたマイクロフォン装置、即ち1つまたは複数のマイクロフォンにより提供される。あるいは、電気入力信号は、第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10L間の無線リンク200を通じて、または例えば外部マイクロフォン、スマートフォン、またはその他スマート装置のような外部装置との第2の無線リンクを通じて、無線で提供され得る。
【0048】
図2は、
図1に示すものと同様の無線聴覚装置システム100を示す。図示の実施形態において、検出器装置は、聴覚装置10R、10Lのそれぞれにおける検出器部18R、18Lを含む。聴覚装置10R、10Lのそれぞれに検出器部18R、18Lが設けられることで、検出器装置は、聴覚装置10R、10Lのそれぞれにおける局所的状況を検出し得る。状況が許せば、第1聴覚装置10Rと、第2聴覚装置20Lとで、制御を非同期とすることが可能であり得る。即ち、一方が通常電力モードで動作され、他方が低電力モードで動作され得る。これは、一方の聴覚装置が、他方よりも高い干渉/ノイズに曝される状況において有利となる。
【0049】
聴覚装置10R、10Lのそれぞれに検出器部18R、18Lを設けることでさらに、聴覚装置システム100は無線リンク200における変化により早く、より効率的に適応し得る。これは、特に、各聴覚装置10R、10Lに、それぞれ重複しない送信用および受信用タイムフレームが割り当てられた、時分割多重化(TDM)を無線聴覚装置システム100が利用する場合に適応し得る。それぞれの聴覚装置の検出器部は、当該聴覚装置の増幅器のゲインレベルに基づいて、品質インジケータを決定し得る。即ち、高増幅は、低無線リンク品質を意味する。このために、ゲインレベルの初期設定は、受信信号強度、ビットエラーレートおよび/または同様のものから決定され得る。
【0050】
図3は、本発明の聴覚装置10、即ち第1聴覚装置10Rおよび/または第2聴覚装置10Lの受信(RX)システムを示す。RXシステムは、図示の実施形態では磁気アンテナ、即ち磁気誘導通信用に構成されたコイルであるアンテナ22と、検出器部18とを備える。検出器部は、無線リンク200の品質を検出し、品質インジケータを提供し得るように、アンテナ22に接続される。
【0051】
図示の実施形態において、RXシステムは増幅器28を備える。増幅器28は、増幅器のゲインレベルに合わせて、無線リンク200を通じて受信した信号を増幅するように構成されている。ゲインレベルは、連続的または離散的のいずれであってもよい。ゲインレベルが離散的である場合、2段階より多いことが好ましく、10段階より多いことがさらに好ましい。品質インジケータは、受信信号強度、増幅器28のゲインレベル、ビットエラーレートのうちの1つまたは複数に基づき得る。検出器部18は、増幅器28とのフィードバックループ内に配置される。これにより、増幅器28のゲインレベルは、検出器部18により制御され得る。
【0052】
図示の実施形態はさらに、RX信号経路における増幅器28の下流側で増幅器28に接続され、RX信号経路における検出器部18の上流で検出器部18に接続される、アナログ―デジタルコンバータ(ADC)30を備える。ADC30は、受信したアナログの増幅信号をデジタル信号に変換するように構成される。ADC30は2以上の解像度を有することが好ましい。その場合、受信信号についてより多くの情報が検出器部18に提供され、したがって低電力モードおよび通常電力モード間の適応的な切り替えが向上するためである。
【0053】
検出器部18による評価後、デジタル信号は無線通信部16(
図3において不図示)に送られる。検出器部18は、無線通信部16内に組み込まれるか、品質インジケータを決定するのにビットエラーについての情報が利用され得るように、当該情報を無線通信部16から受信し得る。
【0054】
図4は、本発明の聴覚装置10、即ち第1聴覚装置10Rおよび/または第2聴覚装置10Lの送信(TX)システムを示す。図示の実施形態において、アンテナ22は、アンテナドライバ34に接続された磁気アンテナ、即ちコイルにより提供される。アンテナドライバ34は、送信時に、アンテナ22を駆動するのに使用される。RXおよびTXシステムは、個別に独自のアンテナを有し得るが、本発明の多くの用途においては、1つの共通アンテナ22を共有するものと見做される。聴覚装置は、アンテナ22および聴覚装置10全体への電力供給用に、電源14を有する。電源14は、多くの実施形態において、使い捨て電池または充電式電池により提供されるが、これは燃料電池の形態であってもよい。
【0055】
電源14は、2つの電圧源14a、14bである一次電圧源14aと、二次電圧源14bとを含む。一次電圧源14aは、二次電圧源14bよりも高電圧を提供する。したがって、アンテナ22は、一次電圧源14aにより駆動された場合により強い信号を送信可能であることを意味する。図示の実施形態において、一次電圧源14は、例えば電圧ダブラーのような電圧増倍器32、あるいはDC-DCステップアップコンバータまたはスイッチモードコンバータであるその他昇圧器を含む。一方、二次電圧源14bは電源14に直接接続される。したがって、二次電圧源14bの電圧は、電源14(電池)のものと等しくなる一方、一次電圧源14aは、より高電圧となる。
【0056】
あるいは一次電圧源14aおよび二次電圧源14bは、可変電圧出力を提供可能なスイッチモードコンバータにより提供され得る。または、一次電圧源14aが、例えば電圧増倍器のような昇圧器を有し、二次電圧源14bが降圧器を有し得る。あるいは、電源14の電圧が、二次電圧源14bが必要とするよりも高い場合、二次電圧源14bが降圧器を有し、一次電圧源14aが電源14に直接接続され得る。
【0057】
コイルドライバ34は、検出器部16からの品質インジケータに基づき、聴覚装置10が通常電力モードで動作するか、低電力モードで動作するかを決定する制御部20に接続される。通常電力モードにおいて、アンテナドライバ34は、一次電圧源14aに接続される。低電力モードにおいて、アンテナドライバ34は、二次電圧源14bに接続される。TXシステムは、アンテナ22に送信される信号を供給する無線通信部16(
図4において不図示)に結合される。
【0058】
図5は、本発明に係る聴覚装置10の図を示す。図示の聴覚装置10は、耳後方(Behind The Ear:BTE)部分を含む、BTE補聴器である。図示の実施形態は、BTE補聴器を示すが、本明細書の内容は、その他の種類の補聴器にも適用される。例えば、ユーザの外耳道内に配置される補聴器、または耳内ヘッドホンとしても知られるイヤホンなど、ユーザの耳に配置されるその他の可搬型聴覚装置などである。図示のBTE補聴器は、出力トランスデューサ24が耳内(In The Ear:ITE)部分に配置されるタイプである。
【0059】
聴覚装置10は、2つマイクロフォンの形態の、2つの入力トランスデューサ26を備える。これらは、ユーザの周囲の音を取得し、取得した音を表すマイクロフォン信号を生成するように構成される。聴覚装置10はさらに、送信用信号を変調し、受信信号を復調する、トランスミッタとレシーバのペアまたはトランシーバを備える無線通信部16を備える。聴覚装置はさらに、入力トランスデューサ26に動作可能に結合される信号処理部12を備える。信号処理部12は、マイクロフォン信号を処理し、取得された音を表す出力信号を生成し、個別ユーザの周波数依存聴力損失を補償するように構成される。
【0060】
聴覚装置は、好ましくは充電式電池である、電池により提供される電源14を備える。電源は、電池の電圧を昇圧するように構成された電圧増倍器32に結合される。電圧増倍器32は、一次電圧源14aに結合され、一方二次電圧源14bは電源14に結合される。したがって、一次電圧源14aは電池よりも高電圧となる一方、二次電圧源14bの電圧は、電池とほぼ同一となる。
【0061】
聴覚装置10は、好ましくは磁気誘導通信用のコイルであるアンテナ22を備える。アンテナ22は、別の装置、好ましくは別の聴覚装置と双方向無線リンク200を構築するため、無線信号を受信および送信するように構成される。アンテナ22は、無線リンク200を通じて信号を受信するため、RXシステムに結合され、無線リンク200を通じて信号を送信するため、TXシステムに結合される。
【0062】
RXシステムは、ゲインレベルに合わせて、アンテナ22により受信された信号を増幅する増幅器28を備える。RXシステムはさらに、受信信号を、好ましくは2以上の解像度でデジタル信号に変換するADC30を備える。RXシステムはさらに、無線リンク200のリンク品質を判定するために、RSSI、ビットエラーレート、フレームエラーレートの内の少なくとも1つを検出する、および/または巡回冗長検査を行う検出器部18を備える。検出器部18はさらに、増幅器28が、フィードバックに応じてゲインレベルを調整し得るよう、増幅器にフィードバックを提供するよう構成される。
【0063】
TXシステムは、無線通信部16からアンテナ22に向かう信号を駆動するように構成されるアンテナドライバ34を備える。アンテナドライバ34は、聴覚装置10が通常電力モードまたは低電力モードのいずれで動作しているかに応じて一次電圧源14aまたは二次電圧源14bのいずれかに選択的に結合される。動作する電力モードは、検出器部18により測定され得る、または無線リンク200を通じて聴覚装置10に結合された別の装置から受信され得る、品質インジケータに基づいて選択される。
【0064】
図6は、本発明の2つの無線聴覚装置間のTDM方式でのあり得る通信状況を示す。上側のグラフは、閾値に対する品質インジケータを示す。一方、2つの下側部分は、第1聴覚装置および第2聴覚装置の、フレーム(RXまたはTX)と、アンテナを駆動するのに使用される電圧源と、増幅器のゲインレベルをそれぞれ示す。X軸は時間を示す。
【0065】
グレーにマーキングした領域に示すとおり、品質インジケータが閾値を超える、即ち無線リンク200が強い場合、聴覚装置システム100は低電力モードで動作する。これは、第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lが、それぞれのTXフレームにおいて、二次電圧源(SVS)14Bを使用してそれぞれのアンテナ22を駆動し、同様にそれぞれのRXフレームにおいて、それぞれの増幅器28のゲインレベルを上げることを意味する。
【0066】
品質インジケータが閾値を下回る、即ち無線リンク200が弱い場合、聴覚装置システム100は通常電力モードで動作する。これは第1聴覚装置10Rおよび第2聴覚装置10Lが、それぞれのTXフレームにおいて、一次電圧源(PVS)14Aを使用してそれぞれのアンテナ22を駆動し、同様にそれぞれのRXフレームにおいて、それぞれの増幅器28のゲインレベルを下げることを意味する。
【0067】
図7は、
図6と同様のTDM方式における通信状況を示す。図示の方式において、低電力モードおよび通常電力モード間の変化は、2フレーム遅延している。これは、図示の実施形態において、聴覚装置10Rまたは10Lが、そのRXフレームにおいて閾値を超える品質インジケータを検出し、その後この情報を品質データまたは情報データの形態で、その後続のTXフレームにおいて送信するからである。このため、後続のフレームにおいて、送信側の装置は二次電圧源14Bへの切り替えが可能であるという情報を受信しており、受信側の装置はそのゲインレベルを上げることができる。他の電力モードへの更新は、時間フレームにおける変化の回数であり得る。この実施形態では、更新はカウントダウンデータを含めることで行われ得る。これにより、聴覚装置10R、10Lは、数フレーム先に、電力モードの切り替えを計画できる。
【0068】
図8は、2つの本発明の無線聴覚装置間のTDM方式におけるあり得る通信状況を示す。図示の実施形態において、無線リンク200の強さが、複数フレーム(図示の実施形態では4フレーム)に亘って継続して無線リンク200が強い場合にのみ、品質インジケータが閾値を超えると判定する。これにより、電力モード間の過度の切り替えから保全される。低品質インジケータも同様に判定可能だが、図示の実施形態では、単一フレームでそれが生じた場合に、通常電力モードへ切り替えられる構成となる。これにより、聴覚装置システム100が無線リンク強度低下により迅速に対応するため、パッケージロス/データ破壊が低減される。
【0069】
概念的に、TX電圧およびゲインレベルを適応させるアルゴリズムは、以下の疑似コードで表現可能である。
TXが送信側の装置で一次電圧源により駆動される場合で:
受信側の装置での品質インジケータが閾値を超える場合:
送信側の装置で二次電圧源へ移行し;
同時に受信側の装置で増幅器のゲインを上げる。
TXが送信側の装置で二次電圧源により駆動されている場合で:
受信側の装置での品質インジケータが閾値未満で、あるいは任意で、ミラーフレームの巡回冗長検査(CRC)が数回連続して失敗した場合:
送信側の装置で一次電圧源に切り替え;
同時に受信側の装置で増幅器のゲインレベルを下げる。
【0070】
当該アルゴリズム実現には2つの機構が必要となる:
1.反対側の品質インジケータの監視、または反対側からの指示の受信。
2.両側で、電圧源と増幅器のゲインを同時変更。
(1)は、聴覚装置10R、10Lを品質データおよび/または指示データを送受信するように構成することで対応可能である。
(2)は、AGCおよびTX電圧源の更新を同期することで対応可能である。これは、カウントダウンデータの送受信、または品質の遷移および/または指示データから所定時間でゲインレベルおよび電圧源を更新することで実現可能である。これらのオプションにより、指示について極めて厳しいリアルタイム要件を課すことなく、同時更新が可能となる。
【0071】
電力モードを切り替える聴覚装置10L、10Rが、反対側の聴覚装置にある程度事前にこの変更を信号で知らせることは有利である。これは、聴覚装置10L、10Rを、来るべき電力モードの更新を示すカウントダウンデータを送受信するように構成することで実現され得る。ミラーにおいて、次のモードを示す複数のビット、例えば4ビットのフィールドを有するのが有利である。例えば1ビットが0=Vprimary(一次電圧源);1=Vsecondary(二次電圧源)を示し、例えば3ビットのカウントダウン値が、変更が実施されるまでのフレーム数を示す。
【0072】
例:
既にVsecondaryで駆動されている装置は、電力モードが不変であることを示す0b1000(1:Vsecondary、000:タイムアウトの失効)を示す。
【0073】
Vprimaryに更新しようとする装置は、変更がもうすぐ行われることを示す、0b0111、0b0110、0b0101…0b0001、0b0000というシーケンスを辿る。受信側はその場合、更新に同期するために、更新がいつ発効されるかを推定するために、これら8フレームのいずれか1つのみが正しいことを必要とする。
【0074】
低遅延モードにおける20バイトのミラーサイズの場合、この更新は実行に(768[μs]*(2+20)[フレーム]*8[カウントダウン])=135msかかる。このシステムに関して、聴覚装置システム100が定常的に電力モードを切り替えないように、秒単位の検出器部18の積分時間を有することが有利である。
【0075】
本開示に係る例示的な聴覚装置システム、方法、および聴覚装置を以下の項目に示す。
(項目1)
ユーザの第1耳および第2耳のそれぞれに配置される、および/またはそれぞれの内部に配置される、第1聴覚装置および第2聴覚装置であって、各聴覚装置が、前記ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、前記第1聴覚装置と第2聴覚装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、前記無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および前記一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、を備える、第1聴覚装置および第2聴覚装置と、
前記無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定するように構成された検出器装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
・前記品質インジケータが閾値を超える場合、前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置が、その二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、同期的に前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの受信側の装置の前記ゲインレベルを上げる低電力モードに切り替え、
・前記品質インジケータが前記閾値を下回る場合、前記送信側の聴覚装置がその一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、好ましくは同期的に前記受信側の装置の前記ゲインレベルを下げる通常電力モードに切り替える、
ように構成されている無線両耳聴覚装置システム。
(項目2)
前記聴覚装置システムは、前記無線リンクを通じて切り替え信号を送信するように構成され、前記切り替え信号は、
・前記品質インジケータを含む、および/または前記品質インジケータに基づく品質データ、
・前記低電力モードまたは前記通常電力モードに切り替える、または前記ゲインレベルを変更する指示を含む指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
のうちの少なくとも1つを備える、項目1に記載の聴覚装置システム。
(項目3)
前記カウントダウンデータは、2以上のビットを備える、項目2に記載の聴覚装置システム。
(項目4)
前記聴覚装置システムは、前記切り替え信号を複数回送信するように構成される、項目2または3に記載の聴覚装置システム。
(項目5)
前記カウントダウンデータは、前記切り替え信号が送信される度に更新される、項目4に記載の聴覚装置システム。
(項目6)
ユーザの第1耳および第2耳のそれぞれに配置される、および/またはそれぞれの内部に配置される、第1聴覚装置および第2聴覚装置を備える、無線両耳聴覚装置システムを動作させる方法であって、各聴覚装置が、前記ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、前記第1聴覚装置と第2聴覚装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、前記無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、一次電圧源および前記一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、を備えており、前記方法は、
前記無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定する工程と、
・前記品質インジケータが閾値を超える場合、前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの送信側の聴覚装置が、その二次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、同期的に前記第1聴覚装置および第2聴覚装置のうちの受信側の装置の前記増幅器の前記ゲインレベルを上げる、低電力モードに、または、
・前記品質インジケータが前記閾値を下回る場合、前記送信側の聴覚装置がその一次電圧源を使用してそのアンテナによる送信を駆動し、好ましくは同期的に前記受信側の装置の前記増幅器の前記ゲインレベルを下げる、通常電力モードに、
切り替える工程と、
を備える方法。
(項目7)
前記無線リンクを通じて切り替え信号を送信する工程をさらに備えており、前記切り替え信号は、
・前記品質インジケータを含む、および/または前記品質インジケータに基づく品質データ、
・前記低電力モードまたは前記通常電力モードに切り替える、または前記ゲインレベルを変更する指示を含む指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
のうちの少なくとも1つを備える、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記カウントダウンデータは、2以上のビットを備える、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記切り替え信号を送信する工程が繰り返される、項目7または8に記載の方法。
(項目10)
前記カウントダウンデータは、前記切り替え信号が送信される度に更新される、項目9に記載の方法。
(項目11)
ユーザの耳に配置される、および/またはその内部に配置される、無線聴覚装置であって、
前記ユーザに出力を提供する出力トランスデューサと、
前記聴覚装置と外部装置の間に無線リンクを提供するように構成された無線通信部およびアンテナと、
前記無線リンクを通じて受信される信号をゲインレベルに応じて増福するように構成された増幅器と、
一次電圧源および前記一次電圧源よりも低い電圧を提供する二次電圧源を有する電源と、
前記無線リンクの品質を示す品質インジケータを決定するように構成された検出器部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は前記聴覚装置を、
・前記品質インジケータが閾値を超える場合、前記二次電圧源を使用して前記アンテナによる送信が駆動される低電力モードで動作させ、
・前記品質インジケータが閾値を下回る場合、前記一次電圧源を使用して前記アンテナによる送信が駆動される通常電力モードで動作させるように構成され、
前記聴覚装置は、
前記低電力モードに切り替える前に、前記無線リンクを通じて、前記低電力モードへの切り替えの情報を含む切り替え信号を送信するように構成され、
好ましくは、前記通常電力モードへ切り替える前に、前記無線リンクを通じて、前記通常電力モードへの切り替えの情報を含む第2切り替え信号を送信するように構成される、無線聴覚装置。
(項目12)
前記切り替え信号は、
・前記品質インジケータを含む、および/または前記品質インジケータに基づく品質データ、
・前記低電力モードまたは前記通常電力モードに切り替える、または前記ゲインレベルを変更する指示を含む指示データ、
・来るべき電力モードの切り替えのタイミングを示すカウントダウンデータ、
のうちの少なくとも1つを備える、項目11に記載の聴覚装置。
(項目13)
前記カウントダウンデータは、2以上のビットを備える、項目12に記載の聴覚装置。
(項目14)
前記聴覚装置は、前記切り替え信号を複数回送信するように構成される、項目12または13に記載の聴覚装置。
(項目15)
前記カウントダウンデータは、前記切り替え信号が送信される度に更新される、項目14に記載の聴覚装置。
【0076】
ある特徴が示され、説明されたが、それらは、特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更および修正がなされ得ることが、当業者に明らかにされることが理解されるであろう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきである。特許請求の範囲に記載された発明は、全ての代替物、修正物、および均等物を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0077】
10 聴覚装置
10R 第1聴覚装置
10L 第2聴覚装置
12 信号処理部
12R 第1聴覚装置の信号処理部
12L 第2聴覚装置の信号処理部
14 電源
14a 一次電圧源
14b 二次電圧源
14R 第1聴覚装置の電源
14Ra 第1聴覚装置の一次電圧源
14Rb 第1聴覚装置の二次電圧源
14L 第2聴覚装置の電源
14La 第2聴覚装置の一次電圧源
14Lb 第2聴覚装置の二次電圧源
16 無線通信部
16R 第1聴覚装置の無線通信部
16L 第2聴覚装置の無線通信部
18 検出器装置
18R 第1聴覚装置の検出器部
18L 第2聴覚装置の検出器部
20 制御部
20R 第1聴覚装置の制御部
20L 第2聴覚装置の制御部
22 アンテナ
22R 第1聴覚装置のアンテナ
22L 第2聴覚装置のアンテナ
24 出力トランスデューサ
24R 第1聴覚装置の出力トランスデューサ
24L 第2聴覚装置の出力トランスデューサ
26 入力トランスデューサ
26R 第1聴覚装置の入力トランスデューサ
26L 第2聴覚装置の入力トランスデューサ
28 増幅器
30 アナログーデジタルコンバータ
32 電圧増倍器
34 アンテナドライバ
100 聴覚装置システム
200 無線リンク
【外国語明細書】