(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125018
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】単一の凝固反応でループス抗凝固因子を決定する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/86 20060101AFI20220819BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G01N33/86
G01N33/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022020938
(22)【出願日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】21157263
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・ツァンダー
(72)【発明者】
【氏名】カリーナ・ゲルラッハ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・ティンメ
(72)【発明者】
【氏名】レギーナ・ゲバウアー
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA26
2G045DA37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】体液サンプル中のループス抗凝固因子の間接的な機能的検出のための方法を提供する。
【解決手段】ループス抗凝固因子感受性APTT試薬を用いて実施される単一の凝固反応の凝固時間の決定および反応曲線の特定のパラメータの評価によって、ループス抗凝固因子を検出する方法。該方法は、・血漿サンプルにループス抗凝固因子感受性のAPTT試薬を添加することによって反応混合物を提供し、凝固反応を開始する工程、・反応混合物の測定変数Sを経時的に測定し、時間依存性の測定値の関数S(t)を得る工程、および・凝固時間を決定する工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の血漿サンプル中のループス抗凝固因子を検出するための方法であって、以下の工程:
・血漿サンプルにループス抗凝固因子感受性のAPTT試薬を添加することによって反応混合物を提供し、凝固反応を開始する工程、
・反応混合物の測定変数Sを経時的に測定し、時間依存性の測定値の関数S(t)を得る工程、および
・凝固時間を決定する工程
を含み、さらに
a)関数S(t)の最大反応速度vmaxおよび/または最大反応加速度amaxを決定し、そして
b)測定開始時の第1測定値SBと測定終了時の第2測定値SEとの差の絶対値(|デルタS|)を確認し、次に
c)極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relを、それぞれ、以下の式:
vmax rel = vmax / |デルタS| および
amax rel = amax / |デルタS|
を用いて決定し、凝固時間が所定の基準値と比較して延長され、極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relが所定のループス抗凝固因子に特有な値の範囲にある場合、ループス抗凝固因子が検出されること
を特徴とする、方法。
【請求項2】
ループス抗凝固因子感受性APTT試薬が、リン脂質、接触活性化剤、および場合によりカルシウムイオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最大反応速度vmaxが、時間依存性の測定値の関数S(t)の一次導関数の最大または最小に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
最大反応加速度amaxが、時間依存性の測定値の関数S(t)の二次導関数の最大または最小に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(i)反応混合物を調製するために、サンプル量および少なくとも1つの試薬量を反応容器に移すための1つまたはそれ以上の分注装置、
(ii)反応容器中の反応混合物の測定変数Sを時間(t)にわたって測定するための測定装置、
(iii)サンプルまたは反応混合物について測定された、時間依存性の測定値の関数S(t)を記憶するためのデータメモリ、および
(iv)凝固時間を計算するために、データメモリからの時間依存性の測定値の関数S(t)を使用するように構成された評価装置
を含む自動分析装置であって、
評価装置が、さらに以下:
a)関数S(t)の最大反応速度vmaxおよび/または最大反応加速度amaxを決定し、そして
b)測定開始時の第1測定値SBと測定終了時の第2測定値SEとの差の絶対値(|デルタS|)を確認し、次に
c)極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relを、それぞれ、以下の式:
vmax rel = vmax / |デルタS| および
amax rel = amax / |デルタS|
を用いて決定し、
d)決定された凝固時間を予め定められた基準値と比較し、そして
e)極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relをそれぞれ予め定められたループス抗凝固因子に特有な値の範囲と比較し、そして
f)凝固時間が所定の基準値よりも延長され、極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relがそれぞれの所定のループス抗凝固因子に特有な値の範囲内にある場合、サンプル中のループス抗凝固因子の存在を結果として出力する
ように構成されることを特徴とする、自動分析装置。
【請求項6】
測定装置が、反応混合物の光学的測定変数Sの測定に適している、請求項5に記載の自動分析装置。
【請求項7】
反応混合物の光学的測定変数Sを測定するための測定装置が光度計である、請求項6に記載の自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝固診断の分野にあり、ループス抗凝固因子を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ループス抗凝固因子(LA)は、免疫グロブリンであり、後天性自己抗体のタイプに属している。それは、最も一般的な自己免疫疾患の1つ、抗リン脂質症候群(APS)を引き起こし、血栓症、再発性流産、および妊娠中の合併症を誘発する。ループス抗凝固因子免疫グロブリンは、いわゆる抗リン脂質抗体(APA)であり、これはアニオン性リン脂質、タンパク質、タンパク質/リン脂質複合体に結合する。抗リン脂質抗体は、特定のタンパク質およびリン脂質と複合体を形成し、例えば、抗原の多様性に対して、例えばアポリポタンパク質、β2-糖タンパク質I(β2GPI)、カルジオリピン、プロトロンビン、プロテインC、プロテインS、トロンボモジュリン、第XII因子およびその他に対して、ならびにこれらのタンパク質とリン脂質の複合体に対して指向することができる非常に異質な群の自己抗体である。
【0003】
いわゆるループス抗凝固因子は、定義上、例えばAPTTの、特定の凝固検査の凝固時間を延長させる抗リン脂質抗体である。逆説的であるが、ループス抗凝固因子はin vitroで凝固反応を抑制するのに対して、in vivoで増大した凝固反応(凝固亢進)は、抗リン脂質症候群(APS)と関連がある。
【0004】
抗リン脂質症候群(APS)の臨床検査診断は、抗リン脂質抗体の異質性により複雑になっている。抗体の直接検出には、免疫学的方法が用いられる。しかし、ここではin vivoで血栓形成促進作用を持たない多くの抗体も検出される。抗体の間接的な機能的検出には、凝固検査が用いられる。凝固検査では、典型的には、患者の血漿サンプルを凝固活性化剤、リン脂質、カルシウムイオンと混合し、測定されるのは血栓が形成されるまでの時間である。特にDRVVT(希釈ラッセルクサビヘビ蛇毒時間)の測定に基づく検査では、抗リン脂質抗体の血栓形成促進作用との比較的良好な相関を示す。ループスの診断は、各患者のサンプルが複数の分析段階を経なければならないため、非常に複雑である(総説については、非特許文献1を参照のこと)。
【0005】
典型的には、ループス抗凝固因子を診断するために、患者サンプルは少なくとも1つの凝固検査の2つの変法を用いて分析される。ループス抗凝固因子に感受性である第1の変法では、比較的低濃度のリン脂質の存在下で検査が行われ(スクリーニング検査)、ループス抗凝固因子に非感受性である第2の変法では、同じ検査が比較的高濃度のリン脂質の存在下で行われる(確認検査)。第1検査変法(スクリーニング検査)で正常なサンプル(ループス抗凝固因子を含まない)と比較して凝固時間が延長し、第2検査変法(確認検査)で正常なサンプルと比較して凝固時間が正常であれば、ループス抗凝固因子の存在を示している。
【0006】
特に一般的に用いられる検査はDRVVT検査であり、ループス抗凝固因子に感受性のある第1の変法はラッセルクサリヘビ蛇毒および比較的低濃度のリン脂質を含む活性化試薬(LA1スクリーニング試薬)を用いて実施され、ループス抗凝固因子に非感受性の第2の変法はラッセルクサリヘビ蛇毒および高濃度のリン脂質を含む活性化試薬(LA2確認試薬)を用いて実施される。LA1検査が陰性、すなわち比較標準と比較して凝固の延長が測定されなければ、LA2検査を実施する必要はない。もう1つの一般的に使用される検査はAPTT検査である。
【0007】
したがって、ループス抗凝固因子の間接的な機能的検出は、常に少なくとも2つの凝固検査を実施する必要があり、必要な材料、時間および作業の増加を伴うという欠点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Devreese,K.and Hoylaerts,M.F.,「抗リン脂質症候群の診断における課題(Challenges in the diagnosis of the antiphospholipid syndrome)」Clin. Chem.2010,56(6):930-940.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、体液サンプル中のループス抗凝固因子の間接的な機能的検出のための方法を提供することであり、この方法は前述の欠点を回避する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ループス抗凝固因子感受性APTT試薬を用いて実施される単一の凝固反応の凝固時間の決定および反応曲線の特定のパラメータの評価によって、ループス抗凝固因子を検出することが可能であることを見出した。
【0011】
したがって、本発明は、患者の血漿サンプル中のループス抗凝固因子を検出するための方法を提供する。方法は、以下の工程:
・血漿サンプルへのループス抗凝固因子感受性APTT試薬の添加により反応混合物を提供し、凝固反応を開始させる工程、
・反応混合物の測定変数Sを時間(t)にわたって測定し、時間依存性の測定値の関数S(t)を得る工程、および
・凝固時間を決定する工程
を含む。
【0012】
本発明によれば、本方法においてさらに実施されるのは、
a)関数S(t)の最大反応速度vmaxおよび/または最大反応加速度amaxを決定し、そして
b)測定開始時の第1測定値SBと測定終了時の第2測定値SEとの差の絶対値(|デルタS|)を確認し、次に
c)極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relを、それぞれ、以下の式:
vmax rel = vmax / |デルタS| および
amax rel = amax / |デルタS|
を用いて決定することである。
【0013】
凝固時間が所定の基準値と比べて延長され、極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relが所定のループス抗凝固因子に特有の範囲内にある場合に、最終的にループス抗凝固因子が検出される。
【0014】
患者の血漿サンプルは、好ましくは、ヒトの低血小板数血漿サンプルである。好ましくは、低血小板数血漿サンプルは、クエン酸処理された全血から得られる。
【0015】
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)は、内在性血液凝固系を確認するための検査である。検査すべきサンプルに添加される、APTT試薬は、典型的には、リン脂質(「部分トロンボプラスチン」)、界面活性物質(いわゆる「接触活性剤」)、例えばエラグ酸、カオリンまたはシリカなど、および場合によりカルシウムイオンを含む。ループス抗凝固因子感受性APTT試薬は、典型的には、ループス抗凝固因子非感受性APTT試薬と比較して、低下した濃度のリン脂質を含んでおり、このような試薬を用いてループス抗凝固因子を含むサンプルの凝固時間を測定すると、正常(ループス抗凝固因子を含まない)サンプルと比較して凝固時間の延長がもたらされることを意味する。ループス抗凝固因子感受性APTT試薬は、例えば、特定の2価金属イオン生成物質など、凝固時間延長作用の効果を高める成分をさらに含むことができる(例えば、EP3076178A1参照)。あるいは、ループス抗凝固因子感受性APTT試薬に加えて、検査すべきサンプルに添加される別の試薬においてカルシウムイオンを提供することができる。カルシウムイオンの添加により、反応混合物中で凝固反応が開始される。
【0016】
時間(t)にわたる反応混合物の測定変数Sの測定は、時間依存性の測定変数の関数S(t)をもたらし、典型的には、カルシウムイオンの添加により、または添加の直後もしくはすぐに開始される。
【0017】
凝固反応の結果として経時的に変化する反応混合物の典型的な測定変数Sは、例えば、反応混合物中のフィブリン形成の結果として反応混合物の濁度または粘度であり、それらは光学的または機械的方法の助けを借りて定量的に決定することができる。ある期間にわたる測定変数の連続的な決定により、時間依存性の測定値の関数S(t)、すなわち反応曲線が得られる。測定変数の性質に応じて、測定変数は凝固反応に比例または反比例して変化することができる。
【0018】
反応混合物の凝固時間の決定は、なんらかの慣用の評価方法を用いて実施することができる。典型的には、用語「凝固時間」は、サンプルへの関連試薬の添加による凝固反応の開始から、フィブリン塊の明らかな形成までの期間を秒で意味するものと理解される。凝固時間は、好ましくは、反応曲線および適切な評価方法に基づいて決定される。
【0019】
サンプルまたは反応混合物について決定された凝固時間は、正常な凝固時間と延長された凝固時間とを区別する所定の基準値と比較される。上記基準値は、例えば、ループス抗凝固因子感受性APTT試薬を用いて、統計的に有意な数の正常(ループス抗凝固因子を含まない)血漿サンプルおよび/または1つもしくはそれ以上の正常血漿プールの凝固時間を決めることによって予め決定される。
【0020】
関数S(t)の最大反応速度vmaxは、測定変数が凝固反応に比例して、または反比例して変化するかに応じて、関数S(t)の一次導関数(dS(t)/dt)の最大または最小を決めることによって決定することができる。
【0021】
関数S(t)の最大反応加速度amaxは、測定変数が凝固反応に比例して、または反比例して変化するかに応じて、関数S(t)の二次導関数(d2S(t)/dt2)の最大または最小を決めることによって決定することができる。
【0022】
さらに、測定開始時の第1測定値SBと測定終了時の第2測定値SEとの差の絶対値(|デルタS|)を確認する。一般に知られているように、凝固反応は本質的に3段階で進行する。第1段階では、測定開始時、すなわちサンプルが凝固時間試薬(coagulation-time reagent)およびカルシウムイオンと混合され、こうして凝固反応が開始された時点から、一定期間にわたって、信号における著しい変化がなく、すなわち測定変数Sの変化を確認することができず、すなわち反応曲線はx軸(t)に実質的に平行になる。続く第2段階で、確認することができるのは、信号における変化であり、その変化率は、最初に増加した後、最大に達した後に減少する。続く第3段階では、測定終了時に信号レベルが最大に達し、もはや信号のさらなる変化はなく、すなわち、反応曲線は、第1段階とは異なる信号レベルであるが、再びx軸(t)と平行になる。このように、第1測定値SBは凝固反応の第1段階からの測定値であり、そのため第2測定値SEは凝固反応の第3段階からの測定値である。第1測定値SBおよび第2測定値SEの両方は、それぞれの場合において、個々の測定値またはそれぞれの反応段階内の複数(例えば、2、3、4、5またはそれ以上)の連続した測定値の平均であり得る。
【0023】
さらに、サンプルまたは反応混合物について決定された極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relが、所定のループス抗凝固因子に特有な値の範囲内にあるかどうかについてチェックが行われる。上記ループス抗凝固因子に特有な値の範囲は、例えば、工程a)~c)において上述したように、ループス抗凝固因子感受性APTT試薬の添加によって、統計的に有意な数のループス抗凝固因子含有血漿サンプルおよび正常(ループス抗凝固因子を含まない)血漿サンプルにおいて(および/または1つまたはそれ以上の正常血漿プールについて)凝固反応を開始し、時間(t)にわたって反応混合物の測定変数Sを測定し、これにより時間依存性の測定値の関数S(t)が得られ、次に極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relを決めることによって予め決定される。このやり方で決定することができるのは、ループス抗凝固因子を含有するサンプルに特有な値の範囲である。
【0024】
本発明による方法により、ループス抗凝固因子を含有するサンプルを、正常なサンプル、および例えばヘパリン、凝固因子欠乏、直接経口抗凝固剤などの凝固時間を延長する他の因子を含有するサンプルと確実に区別できることが見出された。単一の凝固反応の評価によってこの区別が可能となり、その結果、従来技術に従って必要となるような、異なる試薬を含む第2の凝固反応を省略することができることは特に有益である。
【0025】
本発明はさらに、本発明による上述の方法を実施するように構成された自動分析装置を提供する。
【0026】
凝固試験の自動処理および評価を目的とする、知られている自動分析装置は、少なくとも(i)反応混合物の調製のため反応容器中にサンプル量および少なくとも1つの試薬量を移すための1つまたはそれ以上のピペット装置、(ii)反応容器中の反応混合物の測定変数Sを時間(t)にわたって測定するための測定装置、(iii)サンプルまたは反応混合物について測定した時間依存性の測定値の関数S(t)を記憶するためのデータメモリ、および(iv)凝固時間を計算するために、データメモリからの時間依存性の測定値の関数S(t)を使用するように構成された評価装置を含む。
【0027】
本発明による自動分析装置は、評価装置が、さらに以下:
a)関数S(t)の最大反応速度vmaxおよび/または最大反応加速度amaxを決定し、そして
b)測定開始時の第1測定値SBと測定終了時の第2測定値SEとの差の絶対値(|デルタS|)を確認し、次に
c)極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relを、それぞれ、以下の式:
vmax rel = vmax / |デルタS| および
amax rel = amax / |デルタS|
を用いて決定し、
d)決定された凝固時間を予め定められた基準値と比較し、そして
e)極大反応速度vmax relおよび/または極大反応加速度amax relを、それぞれ予め定められたループス抗凝固因子に特有な値の範囲と比較し、そして
f)凝固時間が所定の基準値より長く、極大反応速度vmax relおよび/また極大反応加速度amax relがそれぞれの所定のループス抗凝固因子に特有な値の範囲内にある場合、サンプル中のループス抗凝固因子の存在を結果として出力する
ように構成されていることによって区別される。
【0028】
サンプル中のループス抗凝固因子の存在の結果は、表示媒体、好ましくは、例えばモニター、携帯機器またはプリンターに出力され、それによって結果をユーザに伝達することができる。
【0029】
反応混合物の測定変数Sを測定するための測定装置は、例えば吸収のような光学的特性を測定するための装置、例えば光度計であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】Sysmex CS-2100分析器における典型的なAPTT凝固曲線を示す図である。曲線1は、反応混合物の光透過率(optical transmissivity)/透過(transmission)(S)を人工単位[AU]で180秒間にわたって経時的に示す。測定終了時(時点t=180秒の測定値SE)と測定開始時(時点t=0秒の測定値SB)の透過率の差デルタS(ΔS)は、ソフトウェアで読み取ることができる。APTT凝固時間は、測定値が差デルタS(ΔS)の50%に相当する時点を決めることによって決定される。曲線2は、時間に関する数値的な一次導関数(dS/dt)を示しており、これは反応の速度vの指標である。それは、最も速い反応速度v
maxで最小となる。曲線3は、時間に関する数値的な二次導関数(d
2S/dt
2)を示しており、これは反応の加速度aの指標である。それは、最も大きい反応加速度a
maxで最小となる。最大反応速度v
maxと最大反応加速度a
maxの数値は、ソフトウェアで読み取ることができる。極大速度v
max relおよび極大加速度a
max relの数値は、最大速度および最大加速度の絶対値をデルタSの絶対値で割ることによって得られる。
【0031】
以下、本発明を例示的な実施形態に基づいて説明する。
【0032】
実施例:本発明による各場合の単一のAPTT凝固混合物におけるループス抗凝固因子陽性サンプルの同定
以下のタイプの低血小板数血漿サンプルを検査した。
【表1】
【0033】
APTTの測定には、Sysmex CS-2100(Sysmex Corp.)で承認された検査設定を使用する。サンプル50μLを、活性化剤としてリン脂質およびエラグ酸を含むループス抗凝固因子感受性APTT試薬(アクチンFSL試薬、Siemens Healthcare Diagnostics Products GmbH)50μLと混合する。37℃で180秒インキュベート後、25mM CaCl2 50μLを加えて反応を開始し、測定値の取得を開始する。
【0034】
APTT凝固時間は、反応混合物の光透過率の測定値が、測定終了時(時点t=180秒の測定値SE)と測定開始時(時点t=0秒の測定値SB)の透過率の差デルタSの50%となる時点を確認することにより決定される。30秒を超える凝固時間の結果は、延長されたとみなす。
【0035】
極大反応速度vmax relは、最初に時間に関する反応速度論の一次導関数の最小値(dS/dt)を決定することによって最大反応速度vmaxを確認し、最後にvmaxをデルタSの絶対値で割ることによって決定される。
【0036】
極大反応加速度amax relは、最初に時間に関する反応速度論の二次導関数の最小値(d2S/dt2)を決定することによって最大反応加速度amaxを確認し、最後にamaxをデルタSの絶対値で割ることによって決定される。
【0037】
各サンプルの結果を表1に示す。
【0038】
【0039】
予想通り、延長された凝固時間(>30秒)は、ヘパリンサンプル、第VIII因子欠乏サンプル(内在系の因子の欠乏を有する)、ループス抗凝固因子陽性サンプルで認められたのに対して、正常サンプルでは延長された凝固時間は示していない。ループス抗凝固因子のスクリーニング検査として、本実験におけるAPTTは100%の感受性を有している。
【0040】
さらに、ループス抗凝固因子陽性サンプルでは、上記パラメータvmax relが1.1~2.3 10-3秒-1の値の範囲にあり、この範囲がループス抗凝固因子陽性サンプルに特有であることが明らかとなっている。さらに、ループス抗凝固因子陽性のサンプルでは、同様に上記パラメータamax relが1.3~2.3 10-5秒-2の値の範囲にあることが明らかになり、この範囲は同様にループス抗凝固因子陽性のサンプルに特有であることが明らかとなっている。他のサンプル(正常サンプル、ヘパリンサンプル、第VIII因子欠乏サンプル)は、それぞれ、より大きなパラメータvmax relおよびamax relの数値を有し、この数値はvmax relおよびamax relの数値のループス抗凝固因子に特有な範囲外にある。
【0041】
したがって、1回のAPTT測定のみに由来し、凝固時間の決定ならびにパラメータvmax relおよび/またはamax relの決定を含む、二段階法がループス抗凝固因子の証明として適している。
【0042】
本実験において、ループス抗凝固因子の検出方法は、感受性100%および特異性100%である。
【外国語明細書】