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特開2022-125033多層球形複合粒子及びUV遮蔽剤に基づく組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125033
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】多層球形複合粒子及びUV遮蔽剤に基づく組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/25 20060101AFI20220819BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20220819BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220819BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
A61K8/25
A61Q1/00
A61Q19/00
A61Q17/04
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022091576
(22)【出願日】2022-06-06
(62)【分割の表示】P 2020118415の分割
【原出願日】2015-09-16
(31)【優先権主張番号】1458871
(32)【優先日】2014-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】長松 康子
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ・カンドー
(72)【発明者】
【氏名】アンジェリーナ・ルドー
(72)【発明者】
【氏名】ヤニック・ジョリー
(57)【要約】
【課題】光防護において効果的であり、良好な安定性、並びにまた簡単な伸び、べとつかない感触、及び良好な滑らかさ等の良好な化粧料特性を有し、且つ上に提示された欠点を有しない、少なくとも複合粒子と、遊離形態の少なくとも1つのUV遮蔽剤とを含有する新規の太陽光線保護組成物を提供する。
【解決手段】a)少なくとも多層球形複合粒子であって、i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、及びii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、及びiii)任意の、1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層を含み、組成物の総質量に対して28.0質量%未満の量で存在する、複合粒子と、b)少なくとも1つのUV遮蔽剤と、を含む、組成物を調製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも多層球形複合粒子であって、
i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、及び
ii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、及び
iii)任意の、1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、前記材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層
を含み、
前記組成物の総質量に対して28.0質量%未満の量で存在する、複合粒子と、
b)少なくとも1つのUV遮蔽剤と
を含む、組成物。
【請求項2】
前記多層球形複合粒子が、
i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、
ii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、及び
iii)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、前記材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記多層球形複合粒子が、0.05から45μmの間、好ましくは0.05から10μmの間、及び更により好ましくは0.05から1μmの間の平均直径によって特徴付けられる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記多層球形複合粒子が、前記組成物の総質量に対して1質量%~25質量%の範囲の濃度で存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記材料A、B、及びCが、有機又は無機である、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
- 前記有機材料A及びCが、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム、多糖、ポリペプチド、ポリビニル誘導体、ワックス、ポリエステル、及びポリエーテル、並びにこれらの混合物から形成される群から選択され、
- 前記無機材料A及びCが、ガラス、シリカ、炭酸カルシウム、及び酸化アルミニウム、並びにこれらの混合物から形成される群から選択され、
- 前記無機材料Bが、金属酸化物から選択され、好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及び酸化ジルコニウム、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
- 前記材料A及びCがシリカであり、
- 前記材料Bが二酸化チタン(TiO2)である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記多層球形複合粒子が、
i)シリカからなるコアと、
ii)前記コアを覆う、二酸化チタンからなる少なくとも1つの層と、
iii)前記二酸化チタン層を覆う、シリカからなる少なくとも1つの第2の層と
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
- 前記材料Aに基づく前記コアが、前記球形複合粒子の総質量に対して1質量%~99質量%で存在し、より優先的には10質量%~95質量%で存在し、
- 前記材料Bに基づく前記層が、前記球形複合粒子の総質量に対して0.5質量%~50質量%で存在し、より優先的には1質量%~40質量%で存在し、
- 前記材料Cに基づく前記層が、前記球形複合粒子の総質量に対して0.5質量%~50質量%で存在し、より優先的には1質量%~40質量%で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記UV遮蔽剤が遊離形態である、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機UV遮蔽剤が、ケイ皮酸化合物;アントラニル酸化合物;サリチル酸化合物;ジベンゾイルメタン化合物;ベンジリデンカンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物;ベンズイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;ビス-ベンゾアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;ベンゾオキサゾール化合物;遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン;α-アルキルスチレンベースのダイマー;4,4-ジアリールブタジエン化合物;メロシアニン、並びにこれらの混合物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機UV遮蔽剤が、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
2,4,6-トリス(ジフェニル)トリアジン、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
及びこれらの混合物から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記UV遮蔽剤が、無機UV遮蔽剤、より優先的には、0.5μm以下、より優先的には0.005から0.5μmの間、更により優先的には0.01から0.2μmの間、尚もより良好には0.01から0.1μmの間、及び更に特に0.015から0.05μmの間である平均一次粒径を有する被覆又は未被覆金属酸化物から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
メタクリル酸とC1~C4アルキルアクリレートとの少なくとも1つの架橋コポリマー、特にメタクリル酸/アクリル酸エチル架橋コポリマーを追加的に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
室温で固体であり、30℃以上の融点を有し、a)ポリマー骨格、並びにb)少なくとも1つの結晶性有機側鎖及び/又は前記ポリマー骨格の一部である1つの結晶性有機ブロックを含み、1000以上の数平均分子量Mnを有し、より具体的には、およそ145000の分子量及び49℃に等しい融点を有するポリ(ステアリルアクリレート)である、少なくとも1つの半結晶性ポリマーを追加的に含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
150~380nmの範囲の粒径を有する中空ラテックス粒子であって、特にスチレンと(メタ)アクリル酸又はその(C1~C20)アルキルエステルのうちの1つとのコポリマーからなる中空ラテックス粒子であり、より具体的には、11%のPEG-8ラウレート、2.5%の水、及び0.5%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの混合物中の86%のスチレン/アクリレートコポリマーの水性分散体である、中空ラテックス粒子を追加的に含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
下の式(I)
【化1】
(式中、
- R1及びR3は、互いに独立に、1~25個の炭素原子を含有するアルキル基を示し、
- R2は、1~12個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなるスペーサー基を示し、
- Xは、-(C2H4O)a-(C3H6O)bZ基を示し、
- Yは、-(C2H4O)c-(C3H6O)dZ基を示し、
ここで、
Zは、水素原子、又は-CH2-COOM、-SO3M、-P(O)(OM)2
-C2H4-SO3M、-C3H6-SO3M、若しくは-CH2(CHOH)4CH2OH基を示し、ここでM、M'は、H、又はアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムイオン、又はアルカノールアンモニウムイオンを表し、
a及びcは、互いに独立に、0~15の範囲であり、
b及びdは、互いに独立に、0~10の範囲であり、並びに
a+b+c+dの合計は、1~25の範囲であり、且つ
- nは1~10の範囲である)の少なくとも1つの界面活性剤、より具体的には以下の構造を有する化合物エチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、
【化2】
(式中、RCOはヤシ脂肪酸基を表し、m+nは平均値15を有する)
を追加的に含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の、本発明による組成物の、ケラチン物質の表面への適用を含む、前記ケラチン物質をケア及び/又はメークアップするための、化粧方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物の、及び前記ケラチン物質の表面への適用を含む、皮膚の黒ずみを制限し、且つ/又は顔肌の色調及び/若しくは均一性を改善するための、化粧方法。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物の、前記ケラチン物質の表面への適用を含む、前記ケラチン物質の老化の徴候を防止及び/又は処置するための、化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、
a)少なくとも多層球形複合粒子であって、
i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、及び
ii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、及び
iii)任意の、1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層
を含み、
前記複合粒子は、組成物の総質量に対して28.0質量%未満の量で存在する、複合粒子と、
b)少なくとも1つのUV遮蔽剤と
を含む、組成物である。
【0002】
この組成物は、局所使用のためであって、より具体的には、皮膚及び/又は毛髪を紫外線(UV)照射から光防護することを目的とする。
【背景技術】
【0003】
280nmから400nmの間の波長の照射がヒトの表皮を褐色にすること、またUVB光線として知られる280から320nmの間の波長の照射が自然な褐色化が生じるのを損なうことが知られている。曝露はまた、表皮の生体力学的性質における損傷を誘発しがちであり、これが、しわの出現に反映され、皮膚の早期老化へとつながる。
【0004】
こうした理由のために、また審美的理由のために、この自然な褐色化を制御し、これにより皮膚の色調を制御する方法には一定の需要がある。したがって、UVB照射を遮蔽すべきである。
【0005】
また、320から400nmの間の波長のUVA光線は、UVB光線より皮膚に深く浸透することが知られている。UVA光線は、皮膚の即時的且つ持続的な褐色化をもたらす。通常の条件下での日常的なUVA光線曝露は、たとえ短い時間であっても、コラーゲン線維及びエラスチンに損傷をもたらす恐れがあり、これは、皮膚のマイクロレリーフの変性、しわの出現、及び偏在する色素沈着(肝斑、顔肌の不均一性)へと反映される。
【0006】
したがって、UVA照射及びUVB照射に対する防護が必要である。効率的な光防護製品は、UVA照射とUVB照射の両方を防護しなければならない。
【0007】
これまでに、皮膚の黒ずみを制限し、顔肌の色調及び均一性を改善することを目的とした化粧用組成物が多く提案されてきた。日焼け製品の分野では周知であるが、そのような組成物は、UV遮蔽剤、特にUVB遮蔽剤を使用することによって得ることができる。一部の組成物は、UVA遮蔽剤も含有する場合がある。この遮蔽系は、全色素沈着を促進するメラニンの新合成を制限及び制御するためにUVB防護を網羅すべきであるが、皮膚の色調の黒ずみをもたらす既存のメラニンの酸化を制限及び制御するためにUVA防護も網羅しなければならない。
【0008】
しかし、皮膚を光防護し、特に皮膚の色調及びその力学的弾力性の両方に関して皮膚の質を改善するのに特に適しているであろうUV遮蔽剤の特定の組合せを含有する組成物を見出すのは極めて困難である。
【0009】
有利には、この改善は、既に色素沈着した皮膚について、色素性メラニンの負荷も皮膚に既に存在するメラニンの構造も増加させないようにすることが特に望ましい。
【0010】
UVA及び/又はUVB照射により誘発される影響を克服するために、これまでに多くの光防護性組成物が提案されてきた。それらは一般に、有機UV遮蔽剤及び/又は無機UV遮蔽剤を含有する。これらのUV遮蔽剤は、それら自体の化学的性質によって、及びそれら自体のUV照射の吸収、反射、又は散乱による特性によって機能する。それらは一般に、脂溶性有機遮蔽剤及び/又は水溶性UV遮蔽剤を、二酸化チタン又は酸化亜鉛等の金属酸化物顔料と組み合わせた混合物を含有する。
【0011】
遊離形態のUV遮蔽剤と、マトリックス及び無機UV遮蔽剤を含む、0.1μmから30μmの間の平均サイズを有する球形複合粒子とに基づく日焼け組成物が、特許出願WO2012/104161において公知である。前記文書によれば、これらの球形粒子はまた、マトリックス及び無機UV遮蔽剤を含む、0.1μmから30μmの間の平均粒径を有する小板形状の複合粒子、例えば、Myoshi Kase社によって販売されている商品名TTC 30(登録商標)を有する、タルク小板の表面上に堆積されたTiO2の超微細粒子等と組み合わされる。本出願人は、その調査研究中に、小板形状の複合粒子が存在しない場合、これらの組成物は、十分な安定性、並びにべとつかない感触、良好な伸び、及び良好な滑らかさ等の完全に満足のいく化粧料特性のどちらも有しないことを観察した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2012/104161
【特許文献2】日本国特許第3605118号
【特許文献3】US 5 624 663
【特許文献4】EP 669 323
【特許文献5】US 2 463 264
【特許文献6】US 5 237 071
【特許文献7】US 5 166 355
【特許文献8】GB 2 303 549
【特許文献9】DE 197 26 184
【特許文献10】EP 893 119
【特許文献11】EP 0 832 642
【特許文献12】EP 1 027 883
【特許文献13】EP 1 300 137
【特許文献14】DE 101 62 844
【特許文献15】WO 93/04665
【特許文献16】DE 198 55 649
【特許文献17】EP 0 967 200
【特許文献18】DE 197 46 654
【特許文献19】DE 197 55 649
【特許文献20】EP-A-1 008 586
【特許文献21】EP 1 133 980
【特許文献22】EP 133 981
【特許文献23】US 4 195 999
【特許文献24】WO 2004/006878
【特許文献25】WO 2008/090066
【特許文献26】WO 2011/113718
【特許文献27】WO 2009/027258
【特許文献28】WO 2007/071 584
【特許文献29】WO 2009/063 392
【特許文献30】US 6 225 467
【特許文献31】WO 2004/085 412
【特許文献32】WO 06/035 000
【特許文献33】WO 06/034 982
【特許文献34】WO 06/034 991
【特許文献35】WO 06/035 007
【特許文献36】WO 2006/034 992
【特許文献37】WO 2006/034 985
【特許文献38】EP-A-0 518 773
【特許文献39】EP 2 911 269
【特許文献40】US 5 663 213
【特許文献41】EP 1 092 421
【特許文献42】US 4 427 836
【特許文献43】US 4 469 825
【特許文献44】US 4 594 363
【特許文献45】US 4 677 003
【特許文献46】US 4 920 160
【特許文献47】US 4 970 241
【特許文献48】EP 267 726
【特許文献49】EP 331 421
【特許文献50】US 490 229
【特許文献51】US 5 157 084
【特許文献52】FR 2 315 991
【特許文献53】FR 2 416 008
【特許文献54】US 4 077 441
【特許文献55】US 4 850 517
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】G. Bruhat、「Cours de Physique Generale Optique」["Courses in Optical General Physics"(I2~I4頁、第6版、Masson出版)
【非特許文献2】IP COM Journal No. 000179675D、2009年2月23日
【非特許文献3】IP COM Journal No. 000182396D、2009年4月29日
【非特許文献4】IP COM Journal No. 000189542D、2009年11月12日
【非特許文献5】IP COM Journal No. IPCOM000011179D、2004年3月4日
【非特許文献6】「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM IPCOM000031257 Journal、INC、West Henrietta、NY、US(2004年9月20日)
【非特許文献7】Bangham、Standish及びWatkins、J. Mol. Biol.、13、238頁、(1965)
【非特許文献8】B. L. Diffey、J. Soc. Cosmet. Chem. 40、127~133頁、(1989)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、光防護において効果的であり、良好な安定性、並びにまた簡単な伸び、べとつかない感触、及び良好な滑らかさ等の良好な化粧料特性を有し、且つ上に提示された欠点を有しない、少なくとも複合粒子と、遊離形態の少なくとも1つのUV遮蔽剤とを含有する新規の太陽光線保護組成物を提供する必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
意外にも、有利なことに、本出願人らは、本発明による組成物によってこの必要性を満たすことができることを発見した。
【0016】
本発明の第1の主題は、
a)少なくとも多層球形複合粒子であって、
i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、及び
ii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、及び
iii)任意の、1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層
を含み、
組成物の総質量に対して28.0質量%未満の量で存在する、複合粒子と、
b)少なくとも1つのUV遮蔽剤と、を含む、組成物に関する。
【0017】
本発明による組成物は、光防護において効果的である。その上、本組成物は特に顕微鏡スケールで均質な外観を有し、皮膚に塗布したときに白色の堆積物を生じない。本発明の特定の一形態によれば、本組成物は、生理的に許容される媒体を含む。
【0018】
本発明の別の主題は、上に定義した本発明による組成物の、ケラチン物質の表面への適用を含む、ケラチン物質をケア及び/又はメークアップするための化粧方法からなる。
【0019】
本発明はまた、先に定義した組成物の、ケラチン物質の表面への適用を含む、皮膚の黒ずみを制限し、且つ/又は顔肌の色調及び/若しくは均一性を改善するための化粧方法にも関する。
【0020】
本発明はまた、先に定義した組成物の、ケラチン物質の表面への適用を含む、ケラチン物質の老化の徴候を防止及び/又は処置するための化粧方法にも関する。
【0021】
後続の説明及び例は、本発明の他の利点、態様、及び特性を表す。
【0022】
定義
以下の定義が本明細書で使用される。
【0023】
「ヒトケラチン物質」という用語は、皮膚(身体、顔、眼の周りの領域)、毛髪、唇、粘膜を意味することを意図したものである。
【0024】
「生理的に許容される」という用語は、皮膚及び/又はその付属物に適合し、心地よい色調、におい、及び感触を有し、消費者にこの組成物の使用を思いとどまらせる恐れのある許容できない不快感(チクチクする刺激、つっぱり感、発赤)を一切生じさせないことを意味するように意図したものである。
【0025】
本発明によれば、「防止する(preventing)」又は「防止(prevention)」という用語は、所与の現象、即ち本発明によれば、ケラチン物質の老化の徴候の出現のリスクの低減又はその出現の減速を意味することを意図したものである。
【0026】
粒子の「平均サイズ」という用語は、電子顕微鏡像、例えば走査型電子顕微鏡像の画像解析によって測定した、粒子の直径を意味することを意図したものである。
【0027】
多くの場合nで示される「屈折率」という用語は、ある物質における光の挙動を説明する、該物質の無次元の振幅特性を意味することを意図したものである。
【0028】
透明媒質の屈折率nは、真空中での光の伝播の速度cと、その媒質中での光の速度v1との間の比によって定義される。
n=c/v1
【0029】
実際には、物質の屈折率は、空気に対して測定される。屈折率nは、入射光の波長λと、測定が行われる際の温度とに左右される。吸光性の媒質においては、屈折率は複素数であり、その虚数部分は、波の消衰について述べたものである。
【0030】
屈折率nは、特に、屈折率の比に関与するスネル-デカルトの法則に干渉する。
【0031】
それぞれ屈折率(n1)及び(n2)の2つの透明媒質を分離する面を通過する光線について考える。この面に対する法線と入射光線との間で角度iを取る。屈折光線の角度rは以下によって得られる。
n1×Sin(i)=n2×Sin(r)
【0032】
本発明によれば、屈折率は、屈折率計を用いて室温(20~25℃)で測定する。屈折率計のモデルの大部分は、屈折率の制限角度の測定値を取る。この方法は、G. Bruhatによる「Cours de Physique Generale Optique」["Courses in Optical General Physics"(I2~I4頁、第6版、Masson出版)に記載されている。
【0033】
「UV遮蔽剤」という用語は、290から400nmの間のUV照射を遮蔽可能な分子を意味することを意図したものである。
【0034】
「平均一次サイズ」という用語は、凝集していない粒子のサイズを意味することを意図したものである。
【0035】
「球形」という用語は、粒子が1.2未満の球形度指数、即ちその最大直径とその最小直径との間の比を有することを意味するように意図したものである。
【0036】
複合粒子
本発明による多層球形複合粒子は、
i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、
ii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、
iii)任意の、1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層
を含む。
【0037】
本発明の特定の一形態によれば、多層球形複合粒子は、
i)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Aを含むコア、
ii)1.9~3.1の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Bを含む、前記コアを覆う少なくとも1つの層、及び
iii)1.3~1.8の範囲の屈折率を有する少なくとも1つの材料Cを含む、材料Bを覆う少なくとも1つの第2の層
を含む。
【0038】
本発明による球形複合粒子の様々な層は、概して同心性である。
【0039】
本発明による球形複合粒子は、好ましくは、0.05~45μmの範囲、より優先的には0.05~10μmの範囲、及び更により好ましくは0.05~1μmの範囲の平均直径によって特徴付けられる。
【0040】
本発明による球形複合粒子は、組成物の総質量に対して28.0質量%未満の濃度で、及び好ましくは組成物の総質量に対して0.5質量%~25質量%の範囲の濃度で存在する。
【0041】
材料A、B、及びCは、有機物質及び/又は無機物質からなってもよい。
【0042】
1.3~1.8の屈折率を有する有機材料A及びCは、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム、多糖、ポリペプチド、ポリビニル誘導体、ワックス、ポリエステル、及びポリエーテル、並びにこれらの混合物から形成される群から選択され得る。
【0043】
1.3~1.8の屈折率を有する無機材料A及びCは、ガラス、シリカ、炭酸カルシウム、及び酸化アルミニウム、並びにこれらの混合物から形成される群から選択され得る。
【0044】
より具体的には、シリカが材料A及びCについて使用されることになる。
【0045】
1.9~3.1の屈折率を有する無機材料Bは、金属酸化物から選択することができる。
【0046】
金属酸化物は、好ましくは酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、及び酸化ジルコニウム、又はこれらの混合物から選択され、並びにより具体的には二酸化チタン及び酸化亜鉛、並びにこれらの混合物から選択される。
【0047】
特に好ましくは、二酸化チタン(TiO2)が使用されることになる。特に、二酸化チタン(TiO2)は、ルチル及び/若しくはアナターゼ形態、並びに/又は非晶質形態でもよい。
【0048】
これらの金属酸化物は、概して0.01から0.20μmの間の平均一次粒径を有する粒子の形態であってもよい。有利には、使用される金属酸化物粒子は、0.10μm未満、更に尚もより良好には0.01から0.1μmの間、より具体的には0.015から0.05μmの間の平均粒径を有する。
【0049】
本発明の特定の一形態によれば、本発明による多層球形複合粒子は、
i)シリカからなるコアと、
ii)前記コアを覆う、二酸化チタンからなる少なくとも1つの層と、
iii)前記二酸化チタン層を覆う、シリカからなる少なくとも1つの第2の層と、を含む。
【0050】
優先的には、材料Aに基づくコアは、球形複合粒子の総質量に対して1質量%~99質量%で存在し、より優先的には10質量%~95質量%で存在する。
【0051】
優先的には、材料Bに基づく層は、球形複合粒子の総質量に対して0.5質量%~50質量%で存在し、より優先的には1質量%~40質量%で存在する。
【0052】
優先的には、材料Cに基づく層は、球形複合粒子の総質量に対して0.5質量%~50質量%で存在し、より優先的には1質量%~40質量%で存在する。
【0053】
本発明に従って使用することができる複合粒子のうち、より具体的には、0.6μmの平均直径を有し、82質量%のシリカコア、5質量%の二酸化チタンの第1の層、及び13質量%のシリカの第2の層からなる多層球形複合材料、例えば商品名STM ACS-0050510で販売されている、JGC Catalysts and Chemical社が供給する製品等が使用され得る。
【0054】
本発明による複合粒子はこのように公知である。その定義及び複合粒子を調製する方法については、日本国特許第3605118号に記載されている。
【0055】
複合粒子は、以下の工程を含む調製方法に従って得ることができる。第1の工程では、アルコキシシランのエタノール溶液(即ち、モノメチルトリエトキシシラン)の加水分解を、アンモニア水の存在下で撹拌しながら実行し、その後球形シリカ粒子を得るために焼成する。金属酸化物アルコキシドのアルコール溶液(即ち、チタンイソプロポキシドのイソプロパノール溶液)を用いて、窒素媒質中で撹拌することで金属加水分解物(即ち、チタン加水分解物)を調製し、次いで、濾過及び水洗の後、結果として得られた粉末を300℃で4時間加熱して、室温まで冷ます。結果として得られた加水分解物を、複合粒子の金属酸化物内部コーティングの第1の層を得るために、アルコールの存在下で球形シリカ粒子の表面に付着させる。濾過及び水洗を実行し、結果として得られた粉末を300℃で4時間加熱して、室温まで冷ます。その後、このようにしてコーティングされた粉末を、塩酸の存在下で、アルコキシシラン(即ち、テトラエトキシシラン)のエタノール溶液と接触させ、24時間撹拌する。このようにして、シリカの第2の外部層が形成され、その後任意に、続いて焼成する。
【0056】
a)UV遮蔽剤
本発明による組成物は、水溶性、脂溶性、若しくは不溶性有機UV遮蔽剤、及び/又は1種若しくは複数の無機UV遮蔽剤から選択される、1種又は複数のUV遮蔽剤を含む。
【0057】
本発明の特定の一形態によれば、使用されるUV遮蔽剤は遊離形態である。
【0058】
「遊離形態のUV遮蔽剤」という用語は、280から400nmの間のUV照射を遮蔽可能であり、且つ複合粒子中のマトリックスに結合していない分子を意味することを意図したものである。
【0059】
「水溶性有機UV遮蔽剤」という用語は、水性相に分子形態で完全に溶解され得るか、若しくは混和され得るか、又は別様に水性相にコロイド形態で(例えばミセル形態で)溶解され得る、UV照射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味することを意図したものである。
【0060】
「脂溶性有機UV遮蔽剤」という用語は、油性相に分子形態で完全に溶解され得るか、若しくは混和され得るか、又は別様に油性相にコロイド形態で(例えばミセル形態で)溶解され得る、UV照射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味することを意図したものである。
【0061】
「不溶性有機UV遮蔽剤」という用語は、水への溶解度が0.5質量%未満であり、且つほとんどの有機溶媒、例えば、流動パラフィン、脂肪アルコールベンゾエート、及び脂肪酸トリグリセリド、例えばDynamit Nobel社によって販売されているMiglyol 812(登録商標)中の溶解度が0.5質量%未満である、UV照射を遮蔽するための任意の有機化合物を意味することを意図したものである。この溶解度は70℃で判定され、室温に戻した後に懸濁液中の過剰な固体と平衡状態にある、溶媒中に溶解している生成物の量と定義される。それは、実験室で容易に評価することができる。
【0062】
有機UV遮蔽剤は、特に、ケイ皮酸化合物;アントラニル酸化合物;サリチル酸化合物;ジベンゾイルメタン化合物;ベンジリデンカンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物、特に特許US 5 624 663に挙げられているもの;ベンズイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;特許EP 669 323及びUS 2 463 264に記載されているビス-ベンズアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;特許出願US 5 237 071、US 5 166 355、GB 2 303 549、DE 197 26 184、及びEP 893 119に記載されているメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;特許出願EP 0 832 642、EP 1 027 883、EP 1 300 137、及びDE 101 62 844に記載されているベンゾオキサゾール化合物;遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、例えば特に特許出願WO 93/04665に記載されているもの等;α-アルキルスチレンベースのダイマー、例えば特許出願DE 198 55 649に記載されているもの等;特許出願EP 0 967 200、DE 197 46 654、DE 197 55 649、EP-A-1 008 586、EP 1 133 980、及びEP 133 981に記載されている4,4-ジアリールブタジエン化合物;特許US 4 195 999、特許出願WO 2004/006878、特許出願WO 2008/090066、WO 2011/113718、及びWO 2009/027258、並びに2009年2月23日に出版された文書IP COM Journal No. 000179675D、2009年4月29日に出版されたIP COM Journal No. 000182396D、2009年11月12日に出版されたIP COM Journal No. 000189542D、及び2004年3月4日に出版されたIP COM Journal No. IPCOM000011179Dに記載されているメロシアニン、並びにこれらの混合物から選択される。
【0063】
有機光防護剤の例として、以下にそのINCI名で示すものを挙げることができる。
【0064】
ケイ皮酸化合物:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、特にDSM Nutritional Products社によってParsol MCX(登録商標)の商品名で販売されているもの、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
p-メトキシケイ皮酸イソアミル、Symrise社によってNeo Heliopan E 1000(登録商標)の商品名で販売されているもの、
メトキシケイ皮酸DEA、
メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
エチルヘキサン酸ジメトキシケイ皮酸グリセリル。
【0065】
ジベンゾイルメタン化合物:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、特に、DSM Nutritional Products社によってParsol 1789(登録商標)の商品名で販売されているもの、
イソプロピルジベンゾイルメタン。
【0066】
パラ-アミノ安息香酸化合物:
PABA、
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
ジメチルPABAエチルヘキシル、特にISP社によってEscalol 507(登録商標)の名称で販売されているもの、
グリセリルPABA、
PEG-25 PABA、BASF社によってUvinul P 25(登録商標)の名称で販売されているもの。
【0067】
サリチル酸化合物:
ホモサレート、Rona/EM Industries社によってEusolex HMS(登録商標)の名称で販売されているもの、
サリチル酸エチルヘキシル、Symrise社によってNeo Heliopan OS(登録商標)の名称で販売されているもの、
サリチル酸ジプロピレングリコール、Scher社によってDipsal(登録商標)の名称で販売されているもの、
サリチル酸TEA、Symrise社によってNeo Heliopan TS(登録商標)の名称で販売されているもの。
【0068】
β,β-ジフェニルアクリレート化合物:
オクトクリレン、特にBASF社によってUvinul N 539(登録商標)の商品名で販売されているもの、
エトクリレン、特にBASF社によってUvinul N 35(登録商標)の商品名で販売されているもの。
【0069】
ベンゾフェノン化合物:
ベンゾフェノン-1、BASF社によってUvinul 400(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-2、BASF社によってUvinul D 50(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、BASF社によってUvinul M 40(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-4、BASF社によってUvinul MS 40(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-5、
ベンゾフェノン-6、Norquay社によってHelisorb 11(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-8、American Cyanamid社によってSpectra-Sorb UV-24(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-9、BASF社によってUvinul DS 49(登録商標)の商品名で販売されているもの、
ベンゾフェノン-12、
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、BASF社によってUvinul A Plus(登録商標)の商品名で、又はメトキシケイ皮酸オクチルとの混合物としてUvinul A Plus B(登録商標)の商品名で販売されているもの、
特許出願WO 2007/071 584に記載されている、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン](CAS 919803-06-8);この化合物は、微粉化形態(平均サイズが0.02~2μm)で有利には使用され、例えば特許出願GB-A-2 303 549及びEP-A-893 119に記載されている微粉化方法に従って、特に水性分散体の形態で得ることができる。
【0070】
ベンジリデンカンファー化合物:
3-ベンジリデンカンファー、Chimex社によってMexoryl SD(登録商標)の名称で製造されているもの、
4-メチルベンジリデンカンファー、Merck社によってEusolex 6300(登録商標)の名称で販売されているもの、
ベンジリデンカンファースルホン酸、Chimex社によってMexoryl SL(登録商標)の名称で製造されているもの、
カンファーベンズアルコニウムメトスルフェート、Chimex社によってMexoryl SO(登録商標)の名称で製造されているもの、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、Chimex社によってMexoryl SX(登録商標)の名称で製造されているもの、
ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、Chimex社によってMexoryl SW(登録商標)の名称で製造されているもの。
【0071】
フェニルベンズイミダゾール化合物:
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、特にMerck社によってEusolex 232(登録商標)の商品名で販売されているもの。
【0072】
ビスベンズアゾリル化合物:
フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、Symrise社からNeo Heliopan AP(登録商標)の商標名で販売されているもの。
【0073】
フェニルベンゾトリアゾール化合物:
ドロメトリゾールトリシロキサン、Rhodia Chimie社によってSilatrizole(登録商標)の名称で販売されているもの。
【0074】
メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物:
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、特に固体状の形態のもの、例えばFairmount Chemical社によってMixxim BB/100(登録商標)の商品名で販売されている製品等、又は特許GB-A-2 303 549に記載されており、特にBASF社によってTinosorb M(登録商標)の商品名で販売されている、平均粒径が0.01~5μm、より優先的には0.01~2μm、より具体的には0.020~2μmの範囲の微粒子化した粒子と、構造CnH2n+1O(C6H10O5)xH、[式中、nは8~16の整数であり、xは(C6H10O5)単位の平均重合度で、1.4~1.6の範囲である]を有する少なくとも1つのアルキルポリグリコシド界面活性剤との水性分散体の形態のもの、又はグリセロール重合度が少なくとも5である少なくとも1つのポリグリセリルモノ(C8~C20)アルキルエステルの存在下での、平均粒径が0.02~2μm、より優先的には0.01~1.5μm、より具体的には0.02~1μmの範囲の微粒子化した粒子の水性分散体の形態のもの、例えば特許出願WO 2009/063 392に記載されている水性分散体等。
【0075】
トリアジン化合物:
- ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、BASF社によってTinosorb S(登録商標)の商品名で販売されているもの、
- エチルヘキシルトリアゾン、特にBASF社によってUvinul T 150(登録商標)の商品名で販売されているもの、
- ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、Sigma 3V社によってUvasorb HEB(登録商標)の商品名で販売されているもの、
- 2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
- 2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
- 2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
- 2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
- ナフタレニル基又はポリフェニル基で置換された対称トリアジン遮蔽剤[特許US 6 225 467、特許出願WO 2004/085 412(化合物6及び9を参照)、又は文献「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM IPCOM000031257 Journal、INC、West Henrietta、NY、US(2004年9月20日)に記載されている]、特に2,4,6-トリス(ジフェニル)トリアジン及び2,4,6-トリス(テルフェニル)トリアジン[これは、特許出願WO 06/035 000、WO 06/034 982、WO 06/034 991、WO 06/035 007、WO 2006/034 992、及びWO 2006/034 985にも挙げられており、これらの化合物は微粒子化形態(平均粒径0.02~3μm)で有利に使用され、例えば、特許出願GB-A-2 303 549及びEP-A-893 119に記載されている微粒子化方法に従って、特に水性分散体の形態で得ることができる]、
- 2つのアミノベンゾエート基で置換されたシリコーントリアジン、特許EP 0 841 341に記載されているもの、特に2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン。
【0076】
アントラニル化合物:
アントラニル酸メンチル、Symrise社によってNeo Heliopan MA(登録商標)の商品名で販売されているもの。
【0077】
イミダゾリン化合物:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0078】
ベンザルマロネート化合物:
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例えば、DSM Nutritional Products社によってParsol SLX(登録商標)の商品名で販売されているポリシリコーン-15。
【0079】
4,4-ジアリールブタジエン化合物:
- 1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0080】
ベンゾオキサゾール化合物:
2,4-ビス[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、Sigma 3V社によってUvasorb K2A(登録商標)の名称で販売されているもの。
【0081】
優先的な遊離形態の有機遮断剤は、以下から選択される:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
ベンゾフェノン-3、
ベンゾフェノン-4、
ベンゾフェノン-5、
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、
4-メチルベンジリデンカンファー、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-6-(アミノプロピルトリシロキサン)-s-トリアジン、
2,4-ビス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-(n-ブチル4'-アミノベンゾエート)-s-トリアジン、
2,4,6-トリス(ジフェニル)トリアジン、
2,4,6-トリス(テルフェニル)トリアジン、
2,4-ビス(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ポリシリコーン-15、
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
2,4-ビス[5-(1,1-ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、
及びこれらの混合物。
【0082】
特に好ましい遊離形態の有機遮蔽剤は、以下から選択される:
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、
2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸n-ヘキシル、
テレフタリリデンジカンファースルホン酸、
メチレンビス(ベンゾトリアゾリル)テトラメチルブチルフェノール、
2,4,6-トリス(ジフェニル)トリアジン、
ビス(エチルヘキシルオキシフェノール)メトキシフェニルトリアジン、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
及びこれらの混合物。
【0083】
本発明に従って使用される無機UV遮蔽剤は、金属酸化物顔料である。より優先的には、本発明の無機UV遮蔽剤は、0.5μm以下、より優先的には0.005から0.5μmの間、更により優先的には0.01から0.2μmの間、更に良好には0.01から0.1μmの間、より具体的には0.015から0.05μmの間である平均一次粒径を有する金属酸化物粒子である。
【0084】
それらは、特に、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、及び酸化セリウム、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0085】
こうした被覆又は未被覆の金属酸化物顔料は、特に、特許出願EP-A-0 518 773に記載されている。挙げることができる市販の顔料には、Sachtleben Pigments社、テイカ株式会社、Merck社、及びDegussa社によって販売されている製品がある。
【0086】
金属酸化物顔料は、被覆又は未被覆であってよい。
【0087】
被覆された顔料は、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩、鉄塩、若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムのアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、又はヘキサメタリン酸ナトリウム等の化合物を用いて、化学的、電子的、機械化学的、及び/又は機械的な性質の1つ又は複数の表面処理を施された顔料である。
【0088】
被覆された顔料は、より具体的には:
- シリカで被覆された酸化チタン、例えば、池田物産株式会社の製品Sunveil(登録商標)等、
- シリカ及び酸化鉄で被覆された酸化チタン、例えば、池田物産株式会社の製品Sunveil F(登録商標)等、
- シリカ及びアルミナで被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 500 SA(登録商標)及びMicrotitanium Dioxide MT 100 SA、並びにTioxide社の製品Tioveil等、
- アルミナで被覆された酸化チタン、例えば、石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(B)(登録商標)及びTipaque TTO-55(A)(登録商標)、並びにSachtleben Pigments社の製品UVT 14/4等、
- アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 T(登録商標)、MT 100 TX(登録商標)、MT 100 Z(登録商標)、MT-01(登録商標)、及びMT700Z(登録商標)、Uniqema社の製品Solaveil CT-10 W(登録商標)及びSolaveil CT 100(登録商標)、並びにMerck社の製品Eusolex T-AVO(登録商標)等、
- シリカ、アルミナ、及びアルギン酸で被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品MT-100 AQ(登録商標)等、
- アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 S(登録商標)等、
- 酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 100 F(登録商標)等、
- 酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品BR 351(登録商標)等、
- シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 600 SAS(登録商標)、Microtitanium Dioxide MT 500 SAS(登録商標)、又はMicrotitanium Dioxide MT 100 SAS(登録商標)等、
- シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、チタン工業株式会社の製品STT-30-DS(登録商標)等、
- シリカで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、Sachtleben Pigments社の製品UV-Titan X 195(登録商標)等、
- アルミナで被覆され、シリコーンで処理された酸化チタン、例えば、石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(S)(登録商標)、又はSachtleben Pigments社の製品UV Titan M 262(登録商標)等、
- トリエタノールアミンで被覆された酸化チタン、例えばチタン工業株式会社からの製品STT-65-S等
- ステアリン酸で被覆された酸化チタン、例えば、石原産業株式会社の製品Tipaque TTO-55(C)(登録商標)等、
- ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆された酸化チタン、例えば、テイカ株式会社の製品Microtitanium Dioxide MT 150W(登録商標)等、
- Degussa Silices社によってT 805(登録商標)の商品名で販売されている、オクチルトリメチルシランで処理されたTiO2
- Cardre社によって70250 Cardre UF TiO2SI3(登録商標)の商品名で販売されている、ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO2
- Color Techniques社によってMicrotitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic(登録商標)の商品名で販売されている、ポリジメチル水素シロキサンで処理されたアナターゼ/ルチルTiO2である。
【0089】
未被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカ株式会社によってMicrotitanium Dioxide MT 500 B又はMicrotitanium Dioxide MT 600 B(登録商標)の商品名で、Degussa社によってP 25の名称で、Wackherr社によってTransparent titanium oxide PW(登録商標)の名称で、三好化成株式会社によってUFTR(登録商標)の名称で、Tomen社によってITS(登録商標)の名称で、及びTioxide社によってTioveil AQ(登録商標)の名称で販売されている。
【0090】
未被覆酸化亜鉛顔料は、例えば:
- Sunsmart社によってZ-Coteの名称で販売されているもの、
- Elementis社によってNanox(登録商標)の名称で販売されているもの、
- Nanophase Technologies社によってNanogard WCD 2025(登録商標)の名称で販売されているものである。
【0091】
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば:
- Toshibi社によってZinc Oxide CS-5(登録商標)の名称で販売されているもの(ポリメチル水素シロキサンで被覆されたZnO)、
- Nanophase Technologies社によってNanogard Zinc Oxide FN(登録商標)の名称で販売されているもの(Finsolv TN(登録商標)、安息香酸C12~C15アルキル中40%分散体として)、
- 大東化成工業株式会社によってDaitopersion Zn-30(登録商標)及びDaitopersion Zn-50(登録商標)の名称で販売されているもの(シリカ及びポリメチル水素シロキサンで被覆された酸化亜鉛を30%又は50%含有する、シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン中分散体)、
- Daikin社によってNFD Ultrafine ZnO(登録商標)の名称で販売されているもの(シクロペンタシロキサン中分散体としての、ペルフルオロアルキルホスフェート及びペルフルオロアルキルエチル系コポリマーで被覆されたZnO)、
- 信越化学工業株式会社によってSPD-Z1(登録商標)の名称で販売されているもの(シクロジメチルシロキサン中に分散した、シリコーングラフト化アクリル系ポリマーで被覆されたZnO)、
- ISP社によってEscalol Z100(登録商標)の名称で販売されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物中に分散した、アルミナで処理されたZnO)、
- 富士色素株式会社によってFuji ZnO-SMS-10(登録商標)の名称で販売されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO)、
- Elementis社によってNanox Gel TN(登録商標)の名称で販売されているもの(安息香酸C12~C15アルキルとヒドロキシステアリン酸との重縮合物中55%の濃度で分散されたZnO)である。
【0092】
未被覆酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulenc社によってColloidal Cerium Oxide(登録商標)の名称で販売されているものでもよい。
【0093】
未被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によってNanogard WCD 2002(登録商標)[FE 45B(登録商標)]、Nanogard Iron FE 45 BL AQ(登録商標)、Nanogard FE 45R AQ(登録商標)、及びNanogard WCD 2006(登録商標)[FE 45R(登録商標)]の名称で、又はMitsubishi社によってTY-220(登録商標)の名称で販売されている。
【0094】
被覆された酸化鉄顔料は、例えば、Arnaud社によってNanogard WCD 2008(FE 45B FN)(登録商標)、Nanogard WCD 2009(登録商標)[FE 45B 556(登録商標)]、Nanogard FE 45 BL 345(登録商標)、及びNanogard FE 45 BL(登録商標)の名称で、又はBASF社によってTransparent Iron Oxide(登録商標)の名称で販売されている。
【0095】
金属酸化物の混合物、特に二酸化チタンと二酸化セリウムとの混合物、例えば、池田物産株式会社によってSunveil A(登録商標)の名称で販売されている、シリカで被覆された二酸化チタンと二酸化セリウムとの等質量混合物、並びにまたアルミナ、シリカ、及びシリコーンで被覆された二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えば、Sachtleben Pigments社によって販売されている製品M 261(登録商標)等、又はアルミナ、シリカ、及びグリセロールで被覆された二酸化チタンと二酸化亜鉛との混合物、例えば、Sachtleben Pigments社によって販売されている製品M 211(登録商標)等を挙げることもできる。
【0096】
本発明によれば、被覆又は未被覆酸化チタン顔料が特に好ましい。
【0097】
本発明による遊離形態のUV遮蔽剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して好ましくは0.1質量%~45質量%、及び特に5質量%~30質量%の範囲の含有量で存在する。
【0098】
油性相
本発明による組成物は、少なくとも1つの油性相を含有してもよい。
【0099】
本発明の目的のために、「油性相」という用語は、少なくとも1つの油と、本発明の組成物の配合に使用される脂溶性及び親油性成分、並びに脂肪性物質の全てとを含む相を意味することを意図したものである。
【0100】
用語「油」は、室温(20~25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体形態の任意の脂肪性物質を意味することを意図したものである。
【0101】
本発明での使用にとって好適な油は、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0102】
本発明での使用にとって好適な油は、炭化水素系油、シリコーン油、及びフッ素化油、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0103】
本発明での使用にとって好適な炭化水素系油は、動物性炭化水素系油、植物性炭化水素系油、鉱物系炭化水素系油、又は合成炭化水素系油であり得る。
【0104】
本発明での使用にとって好適な油は、有利には、鉱物系炭化水素系油、植物性炭化水素系油、合成炭化水素系油、及びシリコーン油、並びにこれらの混合物から選択されてもよい。
【0105】
本発明の目的のために、「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子、及び特に少なくとも1つのSi-O基を含む油を意味することを意図したものである。
【0106】
「炭化水素系油」という用語は、主に水素原子及び炭素原子を含有する油を意味することを意図したものである。
【0107】
「フッ素化油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味することを意図したものである。
【0108】
本発明での使用にとって好適な炭化水素系油はまた、任意に、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、及び/又はリン原子を、例えばヒドロキシル基、アミン基、アミド基、エステル基、エーテル基、又は酸性基の形態で、並びに特にヒドロキシル基、エステル基、エーテル基、又は酸性基の形態で含むことができる。
【0109】
油性相は、概して、親油性UV遮蔽剤に加えて、少なくとも1つの揮発性若しくは不揮発性の炭化水素系油、並びに/又は1つの揮発性及び/若しくは不揮発性のシリコーン油を含む。
【0110】
本発明の目的のためには、「揮発性油」という用語は、皮膚又はケラチン繊維と接触させておくと、室温及び大気圧下において1時間未満で蒸発することができる油を意味することを意図したものである。本発明の揮発性油は、室温で液体であり、且つ室温及び大気圧下において、特に0.13Pa~40000Pa(10-3~300mmHg)の範囲、特に1.3Paから13000Pa(0.01~100mmHg)の範囲、より具体的には1.3Pa~1300Pa(0.01~10mmHg)の範囲の、ゼロ以外の蒸気圧を有する揮発性化粧用油である。
【0111】
「不揮発性油」という用語は、室温及び大気圧下において、皮膚又はケラチン繊維上に少なくとも数時間は残り、且つ特に蒸気圧が10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を意味することを意図したものである。
【0112】
本発明に従って使用することができる不揮発性炭化水素系油の中でも、グリセリドトリエステル、及び特にカプリル/カプリル酸トリグリセリド、例えばStearineries Dubois社によって販売されているもの、又はDynamit Nobel社によってMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)、及び818(登録商標)の商品名で販売されているもの等、N-ラウロイルサルコシン酸イソプロピル等の脂肪アミド、例えばAjinomoto社からEldew SL 205(登録商標)の商品名で販売されている製品等、合成エステル、及び特にイソノナン酸イソノニル、セバシン酸ジイソプロピル、例えばStearineries Dubois社によってDub Disの商品名で販売されている製品等、炭酸ジカプリル、例えばBASF社によってCetiol CC(登録商標)の商品名で販売されている製品等、安息香酸C12~C15アルキル、例えばWitco社によってFinsolv TN(登録商標)若しくはWitconol TN(登録商標)の商品名で販売されている製品、又はEvonik Goldschmidt社によってTegosoft TN(登録商標)の商品名で販売されている製品等、2-エチルフェニルベンゾエート、例えばISP社によってX-Tend 226(登録商標)の名称で販売されている商品、並びに脂肪アルコール、特にオクチルドデカノールを挙げることができる。
【0113】
本発明に従って使用することができる揮発性炭化水素系油として、特に、8~16個の炭素原子を有する炭化水素系油、及び特に分岐鎖状C8~C16アルカン、例えば石油由来のC8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン又はイソヘキサデカン、Isopar又はPermethylの商品名で販売されている油、分岐状C8~C16エステル、ネオペンタン酸イソヘキシル、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0114】
不揮発性シリコーン油の中でも、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントであり、且つ/又はシリコーン鎖の末端にあるアルキル基又はアルコキシ基(これらの基は、それぞれ2~24個の炭素原子を含有する)を含むポリジメチルシロキサン、又はフェニルシリコーン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニル(メチルジフェニル)トリシロキサン、若しくはトリメチルシロキシケイ酸(2-フェニルエチル)を挙げることができる。
【0115】
挙げることができる揮発性シリコーン油の例としては、揮発性の直鎖状又は環状シリコーン油、特に粘度≦8センチストークス(8×10-6m2/s)であり、及び特に2~7個のケイ素原子を含有するものが挙げられ、これらのシリコーンは、任意に、1~10個の炭素原子を含有するアルキル基又はアルコキシ基を含む。本発明において使用することができる揮発性シリコーン油として、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサン、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0116】
揮発性フッ素化油の中でも、ノナフルオロメトキシブタン、デカフルオロペンタン、テトラデカフルオロヘキサン、及びドデカフルオロペンタン、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0117】
本発明の特定の一形態によれば、油性相全体は、この同じ相に溶解され得る、組成物の全ての親油性物質を含み、組成物の総質量に対して、5質量%~95質量%、及び優先的には10質量%~80質量%で存在する。
【0118】
水性相
本発明による組成物はまた、少なくとも1つの水性相を含むこともできる。
【0119】
水性相は、水、及び任意に他の水溶性又は水混和性の有機溶媒を含有する。
【0120】
本発明での使用にとって好適な水性相は、例えば、La Roche-Posay水、Vittel水、若しくはVichy水等の天然の湧き水、又はフローラルウォーターから選択される水を含み得る。
【0121】
本発明における使用にとって好適な水溶性又は水混和性の溶媒は、短鎖モノアルコール、例えばエタノール又はイソプロパノール等のC1~C4モノアルコール、ジオール又はポリオール、例えばエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-エトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセロール、及びソルビトール、並びにこれらの混合物を含む。
【0122】
好ましい実施形態によれば、より具体的には、エタノール、プロピレングリコール、グリセロール、及びこれらの混合物を使用することができる。
【0123】
本発明の特定の一形態によれば、水性相全体は、この同じ相に溶解され得る、組成物の全ての親水性物質を含み、組成物の総質量に対して、5質量%~95質量%、及び優先的には10質量%~80質量%で存在する。
【0124】
添加剤:
本発明による水性組成物はまた、特に有機溶媒、イオン性若しくは非イオン性の、親水性若しくは親油性の増粘剤、軟化剤、湿潤剤、不透明剤、安定剤、軟化剤、シリコーン、消泡剤、香料、保存剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性イオン性、若しくは両性界面活性剤、活性剤、充填剤、ポリマー、噴射剤、酸性化剤若しくは塩基性化剤、又は化粧品中において且つ/若しくは皮膚科学において通常使用される任意の他の成分から選択される標準的な化粧品アジュバントを含んでもよい。
【0125】
酸性化剤の中では、挙げることができる例としては、無機又は有機酸、例えば塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸、若しくは乳酸、及びスルホン酸が含まれる。
【0126】
親水性増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、例えばメタクリル酸とアクリル酸C1~C4アルキルとの架橋コポリマー、例えばNoveon社によってCarbopol Aqua SF1(登録商標)の商品名で販売されているメタクリル酸/アクリル酸エチル架橋コポリマー(実施例において存在する)等を挙げることができる。
【0127】
本発明の特定の一形態によれば、本組成物は、少なくとも1つの、メタクリル酸とアクリル酸C1~C4アルキルとの架橋コポリマー、例えばNoveon社によってCarbopol Aqua SF1(登録商標)の商品名で販売されているメタクリル酸/アクリル酸エチル架橋コポリマーを追加的に含む。
【0128】
コポリマーの濃度は、好ましくは、組成物の総質量に対して、0.01質量%~10質量%の活性材料、及び好ましくは組成物の総質量に対して、0.01質量%~5質量%の活性材料の範囲である。
【0129】
本発明の特定の一形態によれば、本組成物は、室温で固体であり、30℃以上の融点を有し、a)ポリマー骨格、並びにb)少なくとも1つの結晶性有機側鎖及び/又は前記ポリマー骨格の一部である1つの結晶性有機ブロックを含み、1000以上の数平均分子量Mnを有する、少なくとも1つの半結晶性ポリマーを追加的に含む。このポリマーは、特に、特許出願EP 2 911 269において記載されている。
【0130】
本発明の目的のために、「ポリマー」という用語は、少なくとも2つの繰り返し単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返し単位、より特別には、少なくとも10個の繰り返し単位を含む化合物を意味することを意図したものである。
【0131】
本発明の目的のために、「半結晶性ポリマー」という用語は、結晶性部分、結晶性ペンダント鎖、又は骨格中の結晶性ブロックと、骨格中の非晶質部分とを含み、相温度、特に融点(固体-液体転移)の一次可逆的変化を有するポリマーを意味することを意図したものである。結晶性の部分が、ポリマー骨格の結晶性ブロックの形態である場合、ポリマーの非晶質部分は、非晶質ブロックの形態である。この場合、半結晶性ポリマーは、例えば少なくとも1つの結晶性ブロックと少なくとも1つの非晶質ブロックとを含む、ジブロック、トリブロック、又はマルチブロックタイプのブロックコポリマーである。
【0132】
用語「ブロック」は、概して、少なくとも5つの同じ繰り返し単位を意味することを意図したものである。そして、結晶性ブロックは、非晶質ブロックとは異なる化学的性質のものである。
【0133】
本発明の目的のために、「結晶性鎖又はブロック」という表現は、単独で得られた場合、融点を上回るか下回るかに応じて、可逆的に非晶質状態から結晶状態へと変化するであろう鎖又はブロックを意味することを意図したものである。本発明の目的のために、鎖は、ポリマー骨格に対してペンダントであるか、又は側方にある原子の基である。ブロックは、骨格に属する原子の基であり、この基は、ポリマーの繰り返し単位のうちの1つを構成する。有利には、「結晶性ペンダント鎖」は、少なくとも6個の炭素原子を含有する鎖であり得る。
【0134】
本発明の特定のもう1つの実施形態によれば、ポリマーは、飽和C14~C22アルキル(メタ)アクリレート、及び更により具体的にはポリ(ステアリルアクリレート)、例えばLandec社からの製品Intelimer(登録商標)IPA 13-1等、又はポリ(ベヘニルアクリレート)、例えば同社からの製品Intelimer(登録商標)IPA 16-1等から選択される、結晶性鎖を含有するモノマーから誘導される。より具体的には、Landec社からの製品Intelimer(登録商標)IPA 13-1が選択され、これは、分子量が約145000であり、融点が49℃であるポリステアリルアクリレートである。
【0135】
本発明の組成物中の半結晶性ポリマーの量は、所望される目的に従って大きな程度に異なり得る。半結晶性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して、例えば、0.1質量%~50質量%の活性材料、好ましくは0.5質量%~20質量%の活性材料、及び尚もより良好には1質量%~10質量%の活性材料の範囲であり得る。
【0136】
本発明の特定の一形態によれば、本発明の組成物は、150~380nmの範囲の粒径を有する中空ラテックス粒子、例えば特許US 5 663 213及び特許出願EP 1 092 421に記載されているもの等を追加的に含む。
【0137】
「ラテックス」という用語は、少なくとも1つの乳化剤によって概して安定化された、水性分散体の形態のポリマーの粒子を意味することを意図したものである。
【0138】
所与の粒径について、本発明によるラテックス粒子は、概して、最大中空率を有するべきである。好ましくは、ラテックス粒子は、0.1%~50%、より優先的には5%~50%の空隙率を含有する。空隙率は、同じ組成物の空隙のない粒子の体積に対して、遠心分離後の希釈分散体から圧縮された後のラテックス粒子の占める体積を比較することによって判定される。
【0139】
本発明による中空ラテックス粒子は、コア用の少なくとも1つのポリマーと、シェル用の少なくとも1つのポリマーとを含む粒子から得ることができる。コアポリマー及びシェルポリマーは、単一の重合工程又は一連の重合工程によって得ることができる。
【0140】
本発明による中空ラテックス粒子は、従来型の乳化重合技法によって調製することができる。そのような方法は、特に、特許US 4 427 836、US 4 469 825、US 4 594 363、US 4 677 003、US 4 920 160、及びUS 4 970 241に記載されているか、又は以下の特許出願及び特許、EP 267 726、EP 331 421、US 490 229、US 5 157 084に記載されている従来型の重合技法による。
【0141】
本発明の特定の一実施形態によれば、INCI名:スチレン/アクリレートコポリマーの、スチレンと(メタ)アクリル酸又はその(C1~C20)アルキルエステルのうちの1つとのコポリマーからなる中空ラテックス粒子、例えばRohm & Haas社によって商品名Sunspheres Powderで販売されている製品(これは、11%のPEG-8ラウレート、2.5%の水、及び0.5%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの混合物中の86%のスチレン/アクリレートコポリマーの水性分散体である)が使用されることになる。
【0142】
本発明による中空ラテックス粒子は、好ましくは、本発明の組成物中に、本組成物の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、より優先的には0.5質量%~10質量%の範囲の量で存在する。
【0143】
塩基性化剤の中でも、挙げることができる例には、アンモニア水、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン、例えば、モノ、ジ、及びトリエタノールアミン、並びにこれらの誘導体、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウムが含まれる。
【0144】
好ましくは、本化粧用組成物は、アルカノールアミン、特にトリエタノールアミン、及び水酸化ナトリウムから選択される、1つ又は複数種の塩基性化剤を含む。
【0145】
水性組成物の場合、本発明による組成物のpHは、概して、およそ3から12の間、好ましくはおよそ5から11の間、より具体的には6~8.5である。
【0146】
当然ながら、当業者であれば、本発明による組成物に本来付随している有利な特性が、想定される添加によって全く又は実質的に悪影響を及ぼされないように、上述の任意の追加的化合物及び/又はそれらの量を注意深く選択するであろう。
【0147】
ガレヌス形態
本発明による組成物は、当業者に周知の技法に従って調製することができる。本組成物は、特に、クリーム、乳液、又はクリームゲル等の単純な又は複雑なエマルション(O/W、W/O、O/W/O、又はW/O/W)の形態であってもよい。
【0148】
本組成物は、無水形態、例えば油の形態とすることもできる。「無水組成物」という用語は、1質量%未満の水、又は更には0.5%未満の水しか含有しない、特に水を含まない組成物を意味することを意図したものであり、この水は、本組成物の調製中に添加されるものではなく、混合される成分によってもたらされる残留水に相当する。これらは、任意に、エアロゾル形態でパッケージ化されてもよく、ムース又はスプレーの形態であってもよい。
【0149】
水中油型又は油中水型エマルション形態の組成物の場合、使用することができる乳化方法は、パドル又はプロペラ、ローターステーター、及びHPH型の方法である。
【0150】
低含有量のポリマー(油/ポリマーの比>25)で、安定性のエマルションを得るために、濃縮相中に分散体を調製し、次いで分散体を残りの水性相で希釈することが可能である。
【0151】
HPH(50から800バールの間)を用いて、液滴径をわずか100nmとすることができる、安定性の分散体を得ることも可能である。
【0152】
このエマルションは、概して、単独で又は混合物として使用される両性、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性の乳化剤から選択される、少なくとも1つの乳化剤を含有する。乳化剤は、得ようとするエマルション(W/O又はO/W)に応じて適切に選択される。
【0153】
本発明の特定の一形態によれば、乳化剤として、特許出願WO96/14926に記載されているもの等の、下の式(I)
【0154】
【化1】
【0155】
(式中、
- R1及びR3は、互いに独立に、1~25個の炭素原子を含有するアルキル基を示し、
- R2は、1~12個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖からなるスペーサー基を示し、
- Xは、-(C2H4O)a-(C3H6O)bZ基を示し、
- Yは、-(C2H4O)c-(C3H6O)dZ基を示し、
ここで、
Zは、水素原子、又は-CH2-COOM、-SO3M、-P(O)(OM)2
-C2H4-SO3M、-C3H6-SO3M、若しくは-CH2(CHOH)4CH2OH基を示し、ここでM、M'は、H、又はアルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオン、又はアンモニウムイオン、又はアルカノールアンモニウムイオンを表し、
a及びcは、互いに独立に、0~15の範囲であり、
b及びdは、互いに独立に、0~10の範囲であり、並びに
a+b+c+dの合計は、1~25の範囲であり、且つ
- nは、1~10の範囲である)の界面活性剤が使用されることになる。
【0156】
R1及びR3は、互いに独立に、好ましくは、5~21個、より具体的には7~19個の炭素原子を含有するアルキル基を示す。
【0157】
式(I)の界面活性剤は、好ましくは、R1-CO-基及びR3-CO-基のそれぞれが、8~20個の炭素原子を含み、及び好ましくはココナッツ脂肪酸残基(主に、ラウリン酸及びミリスチン酸を含む)を示すような界面活性剤である。
【0158】
好ましくは、b及びdは0に等しい。
【0159】
加えて、この界面活性剤は、好ましくは、a、b、c、及びdの合計が、10~20の範囲の平均値を有し、好ましくは12~18であり、より具体的には15に等しいような界面活性剤である。
【0160】
Zにとって好ましい基はSO3M基であり、ここでMは、好ましくはナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンである。
【0161】
スペーサー基R2は、有利には、直鎖状C1~C3アルキレン鎖、及び好ましくはエチレン(-CH2CH2-)鎖からなる。
【0162】
最後に、nは有利には1に等しい。
【0163】
この種類の界面活性剤は、特に、以下の構造を有する、INCI名:エチレンジコカミドPEG-15二硫酸二ナトリウムで特定されるものであり、
【0164】
【化2】
【0165】
式中、RCOはヤシ脂肪酸基を表し、m+nは平均値15を有する。
【0166】
好ましくは、界面活性剤は、その他の界面活性剤との混合物として、特に、(a)C6~C22脂肪酸(好ましくはC14~C20、例えばステアリン酸エステル等)とグリセリルとのエステル、(b)C6~C22脂肪酸(好ましくはC14~C20、例えばステアリン酸エステル等)とクエン酸及びグリセロールとのジエステル(特に、C6~C22脂肪酸及びモノクエン酸グリセリルのジエステル)、並びに(c)C10~C30脂肪アルコール(好ましくはベヘニルアルコール)との混合物として使用される。
【0167】
有利には、本発明による組成物は、エチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、ステアリン酸グリセリル、モノクエン酸ステアリン酸グリセリル、及びベヘニルアルコールの混合物を含む。
【0168】
より優先的には、本発明による式(I)の界面活性剤は、双性界面活性剤を含む界面活性剤の混合物の総質量に対して、10質量%~20質量%、及び有利には15質量%で存在し;C6~C22脂肪酸のグリセリルエステルは、30質量%~40質量%、有利には35質量%で存在し;C6~C22脂肪酸及びクエン酸及びグリセロールのジエステルは、10質量%~20質量%、有利には15質量%で存在し;並びに、C10~C30脂肪アルコールは、30質量%~40質量%、有利には35質量%で存在する。
【0169】
有利には、本発明による組成物は、双性界面活性剤を含有する界面活性剤の混合物の総質量に対して、10質量%~20質量%のエチレンジコカミドPEG-15硫酸二ナトリウムと、30質量%~40質量%(特に35質量%)のステアリン酸グリセリルと、10質量%~20質量%(特に15質量%)のモノクエン酸ステアリン酸グリセリルと、30質量%~40質量%(特に35質量%)のベヘニルアルコールとの混合物を含む。
【0170】
変形形態として、本発明による双性界面活性剤は、ラウリン酸のエステル、ラウロイル乳酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤との混合物として使用することができる。この場合、双性界面活性剤は、好ましくは、混合物の総質量に対して、30質量%~50質量%で存在し、アニオン性界面活性剤は、50質量%~70質量%で存在する。
【0171】
双性界面活性剤は、例えば、他の界面活性剤との混合物として、Sasol社によってCeralution(登録商標)の名称で販売されている製品、及び特に以下の製品の形態で使用することができる:
- Ceralution(登録商標)H、ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル、及びエチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、
- Ceralution(登録商標)F、ラウロイル乳酸ナトリウム及びエチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、
- Ceralution(登録商標)C、カプリル/カプリル酸トリグリセリド、Ceteareth-25、エチレンジコカミドPEG-15ジ硫酸二ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ベヘニルアルコール、ステアリン酸グリセリル、クエン酸ステアリン酸グリセリル、(INCI名)。
【0172】
式(I)の界面活性剤は、これらの混合物の質量の3%~50%で存在する。
【0173】
式(I)の界面活性剤は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して、0.05~10質量%の範囲、好ましくは0.1~5質量%の範囲、及び尚もより良好には0.2~2質量%の範囲の活性材料の含有量で存在し得る。
【0174】
本発明の組成物がエマルションである場合、このエマルションの水性相は、公知のプロセス(Bangham、Standish及びWatkins、J. Mol. Biol.、13、238頁、(1965)、FR 2 315 991及びFR 2 416 008)に従って調製された非イオン性のベシクル分散体(vesicular dispersion)を含んでもよい。
【0175】
本発明による組成物は、多くのトリートメント、特に、皮膚、唇、及び毛髪(頭皮を含む)の美容トリートメントにおいて、特に、皮膚、唇、及び/若しくは毛髪の保護及び/若しくはケアのための、並びに/又は皮膚及び/若しくは唇のメークアップのための用途を見出す。
【0176】
本発明の別の主題は、皮膚、唇、爪、毛髪、まつ毛、眉毛、及び/又は頭皮の美容処置のための製品、特にケア製品、日焼け止め製品、及びメークアップ製品を製造する際に、上に定義した本発明による組成物を使用することからなる。
【0177】
本発明による化粧用組成物は、例えば、メークアップ製品として使用することができる。
【0178】
本発明の別の主題は、上に定義した本発明による少なくとも1つの組成物の、ケラチン物質の表面への適用にある、前記ケラチン物質をケア及び/又はメークアップするための非治療的化粧方法からなる。
【0179】
本発明による化粧用組成物は、例えば、液体から半液体の稠度を有する顔及び/又は身体用のケア製品及び/又は日焼け止め製品として、例えば、乳液、程度の差はあるが滑らかなクリーム、クリームゲル又はペースト等として使用することができる。これらは、任意に、エアロゾル形態でパッケージ化されてもよく、ムース又はスプレーの形態であってもよい。
【0180】
本発明による蒸発性流体ローションの形態の本発明による組成物は、加圧装置によって微粒子の形態で皮膚又は毛髪に適用される。本発明による装置は、当業者にとって周知であり、ノンエアロゾル型ポンプ又は「アトマイザー」、噴射剤を含むエアロゾル容器、及び噴射剤として圧縮空気を使用するエアロゾルポンプを含む。これらの装置は、特許US 4 077 441及びUS 4 850 517に記載されている。
【0181】
本発明に従ってエアロゾルの形態でパッケージ化される組成物は、概して、従来型の噴射剤、例えばヒドロフルオロ化合物、ジクロロジフルオロメタン、ジフルオロエタン、ジメチルエーテル、イソブタン、n-ブタン、プロパン、又はトリクロロフルオロメタンを含有する。噴射剤は、好ましくは、組成物の総質量に対して、15質量%~70質量%の範囲の量で存在する。
【0182】
アセンブリ
別の態様によれば、本発明はまた、化粧料アセンブリであって、
i)閉じ部材によって閉じられ、任意に漏れ止めされていない、1つ又は複数の区画に区切ってある容器と、
ii)前記区画の内部に置かれている本発明によるメークアップ及び/又はケア組成物と、を含む、アセンブリにも関する。
【0183】
容器は、例えば、瓶又は箱の形態であってもよい。
【0184】
閉じ部材は、前記メークアップ及び/若しくはケア組成物を収容する容器に対して並動することによって、又は軸回転することによって移動できるように取り付けられたキャップを含む蓋の形態であってもよい。
【0185】
以下の実施例は、本発明を例証することに役立つが、限定された性質を示すものではない。これらの例において、組成物成分の量は、組成物の総質量に対する質量百分率として示される。
【発明を実施するための形態】
【実施例0186】
調製例A
アンモニア水溶液を、2質量%のモノメチルトリエトキシシランを含有するエタノール溶液に、3時間撹拌しながら滴加して、0.8μmの直径を有する球形シリカ粒子を得た。3質量%のチタンイソプロポキシドを含有するイソプロパノール溶液を用意して、窒素雰囲気下で撹拌し、結果として得られた粒子を濾別及び水洗し、300℃のオーブンで4時間加熱して、室温まで冷ました。5%のチタン加水分解物を含有するイソプロパノールの水和液を、シリカ粒子の表面に前記加水分解物を付着させるように、シリカ粒子と接触させた。このようにしてコーティングされた粒子を濾過し、水洗し、次いで300℃のオーブンで4時間加熱した。結果として得られた粉末を、10%のテトラエトキシシランを含有するエタノール溶液と接触させた。1Nの塩酸溶液を24時間撹拌しながら滴加して、粒子の表面上にシリカの層を形成した。その後、得られた粉末は、多層球形粒子を得るために、800℃で焼成することもできた。その後、各コーティング工程において、二酸化チタンの含有量に対応するピーク強度をX線回折によって測定した。質量%としてのシリカ(コア)/二酸化チタン(第1の層)/シリカ(第2の層)の含有量は85/5/10であり、焼成後に得られた粒子の直径は0.6μmであった。
【0187】
以下の組成物1~4を調製した。
【0188】
【表1】
【0189】
以下の組成物1及び5を調製した。
【0190】
【表2】
【0191】
エマルション調製方法:
水性相A及び油性相B1を、原料を80℃で機械的に撹拌しながら混合することによって調製する。得られた溶液は巨視的に均質である。Moritzホモジナイザーを用いて撹拌速度4000rpmで15分間撹拌しながら水性相に油性相を緩徐に導入することで、エマルションを調製する。得られたエマルションを撹拌しながら40℃まで冷却し、次いで油性相B2及びB3をそこに穏やかに撹拌しながら添加し、続いて相Cを添加する。得られたエマルションを室温まで冷却し、その後緩徐に撹拌しながら残りの相を添加する。これは、10μm未満の液滴径によって特徴付けられる。
【0192】
遮断効率のインビトロ評価のためのプロトコル
太陽光線保護指数(SPF)を、B. L. DiffeyによってJ. Soc. Cosmet. Chem. 40、127~133頁、(1989)に記載されている「インビトロ(in vitro)」法に従って判定する。測定はLabsphere社製のUV-1000S分光光度計を用いて行った。各組成物を、1mg/cm2の割合で均一且つ均等に堆積させる形態で、PMMAの素板に適用する。
【0193】
本発明の組成物の安定性を評価するためのプロトコル
本発明の組成物の安定性を、それらの外観の巨視的な観察及び顕微鏡観察によって評価する。これらの外観が経時的に変化しない場合、組成物は安定である(+)と判断される。これらの外観のうちの少なくとも1つが変化する場合、組成物は不安定である(-)と判断される。実施例は、室温における9カ月の期間のこの安定性について例証する。
【0194】
皮膚への適用後の滑らかさを評価するためのプロトコル
皮膚に配合物を適用した後の滑らかさは、前腕に2mg/cm2の割合で配合物を適用し、2分間の乾燥時間の間待ち、次いで指と前腕の表面との間で感じる摩擦力を判定することによって評価する。結果を、以下の表に示す。
【0195】
【表3】
【0196】
【表4】
【0197】
28.0質量%未満の多層球形複合粒子[STM ACS 005050510(登録商標)]を含む本発明の組成物1~3は、28.0質量%の多層球形複合粒子[STM ACS 005050510(登録商標)]を含む本発明外の組成物4よりも良好な安定性及び良好な知覚特性を有する。
【0198】
本発明による多層球形複合粒子[STM ACS 005050510(登録商標)]を含む本発明の組成物1のみが、本発明による多層球形粒子[STM ACS 005050510(登録商標)]を、TTC 30(登録商標)小板形状の複合粒子と組み合わせて含む組成物5(本発明外、WO 2012/104161による)と同等の有効性及び安定性を提示する。
【外国語明細書】