(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125037
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】デッキ内に搭載される冷凍システム
(51)【国際特許分類】
F25B 7/00 20060101AFI20220819BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
F25B7/00 D
F25B49/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022092238
(22)【出願日】2022-06-07
(62)【分割の表示】P 2020118391の分割
【原出願日】2010-09-29
(31)【優先権主張番号】12/570,480
(32)【優先日】2009-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511080236
【氏名又は名称】サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック・(アシュヴィル)・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・ブラウン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンデル・モリス
(72)【発明者】
【氏名】トッド・スウィフト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・ホワイト
(57)【要約】
【課題】比較的高い効率で稼働する超低温冷凍庫に使用するための冷凍システムであって冷凍庫の冷却/貯蔵空間を最大化することを可能にする冷凍システムに対する必要性がある。
【解決手段】冷凍システム20は、デッキ14及びデッキ14の上にあり支持される冷凍キャビネット16を有する超低温冷凍庫10で使用するために提供される。システム20は、第1冷凍段24及び第2冷凍段26を有する。第1段24は、第1冷媒34を循環させるための第1流体回路を規定する。第1段24は、第1流体回路と流体連通する第1圧縮器50、凝縮器54及び第1膨張装置58を有する。第2段26は、第2冷媒36を循環させるための第2流体回路を規定する。第2段26は、第2流体回路と流体連通する第2圧縮器70、第2膨張装置74及び蒸発器78を有する。システム20は、デッキ14内に支持される断熱筐体150と、第1及び第2流体回路と流体連通し且つ断熱筐体150内に設置される分流熱交換器44と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ(14)及び前記デッキ(14)の上で支持される冷凍キャビネット(16)を有する超低温冷凍庫(10)に使用するための冷凍システム(20)であって、
第1冷媒(34)を循環させるための第1流体回路を規定する第1冷凍段(24)であって、該第1冷凍段(24)は、前記第1流体回路と流体連通する第1圧縮器(50)、凝縮器(54)及び第1膨張装置(58)を有する、第1冷凍段(24)と、
第2冷媒(36)を循環させるための第2流体回路を規定する第2冷凍段(26)であって、該第2冷凍段は、前記第2流体回路と流体連通する第2圧縮器(70)、第2膨張装置(74)及び蒸発器(78)を有する、第2冷凍段(26)と、
前記デッキ(14)内に支持されかつ前記冷凍キャビネットから離れて設置される断熱筐体(150)と、
前記第1及び前記第2流体回路と流体連通し、前記断熱筐体(150)内に設置される分流熱交換器(44)と、
を含み、
前記第1膨張装置(58)は、前記断熱筐体(150)内に設置されることを特徴とする冷凍システム(20)。
【請求項2】
デッキ(14)及び前記デッキ(14)の上で支持される冷凍キャビネット(16)を有する超低温冷凍庫(10)に使用するための冷凍システム(20)であって、
第1冷媒(34)を循環させるための第1流体回路を規定する第1冷凍段(24)であって、該第1冷凍段(24)は、前記第1流体回路と流体連通する第1圧縮器(50)、凝縮器(54)及び第1膨張装置(58)を有する、第1冷凍段(24)と、
第2冷媒(36)を循環させるための第2流体回路を規定する第2冷凍段(26)であって、該第2冷凍段は、前記第2流体回路と流体連通する第2圧縮器(70)、第2膨張装置(74)及び蒸発器(78)を有する、第2冷凍段(26)と、
前記デッキ(14)内に支持されかつ前記冷凍キャビネットから離れて設置される断熱筐体(150)と、
前記第1及び前記第2流体回路と流体連通し、前記断熱筐体(150)内に設置される分流熱交換器(44)と、
を含み、
前記第1冷凍段(24)は、第1蓄積器(116)が前記断熱筐体(150)内に設置される第1蓄積器(116)であって前記第1流体回路と流体連通する第1蓄積器(116)をさらに有することを特徴とする冷凍システム(20)。
【請求項3】
前記分流熱交換器(44)は、前記分流熱交換器(44)を通る前記第1及び前記第2冷媒(34,36)のための流路を規定する複数の積み重ねたプレート(160)を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の冷凍システム(20)。
【請求項4】
前記分流熱交換器(44)は、ろう付けプレート熱交換器を含むことを特徴とする請求項3に記載の冷凍システム(20)。
【請求項5】
前記分流熱交換器(44)は、前記分流熱交換器(44)の長手方向が鉛直方向となるように前記断熱筐体(150)内に配置されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍システム(20)。
【請求項6】
前記第1冷媒(34)は、前記第1冷媒(34)が前記分流熱交換器(44)内で全体として上方向に流れるように、前記分流熱交換器の下部に近接して前記分流熱交換器(44)に流入し、前記分流熱交換器の上部に近接して前記分流熱交換器(44)から流出することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の冷凍システム(20)。
【請求項7】
前記第2冷媒(36)は、前記第2冷媒(36)が前記分流熱交換器(44)内で全体として下方向に流れるように、前記分流熱交換器の上部に近接して前記分流熱交換器(44)に流入し、前記分流熱交換器の下部に近接して前記分流熱交換器(44)から流出することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の冷凍システム(20)。
【請求項8】
前記分流熱交換器(44)は、逆流タイプからなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の冷凍システム(20)。
【請求項9】
超低温冷凍庫(10)であって、
デッキ(14)と、
前記デッキ(14)の上で支持される冷凍キャビネット(16)と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の冷凍システム(20)と、
を含むことを特徴とする超低温冷凍庫(10)。
【請求項10】
デッキと、前記デッキ(14)の上で支持される冷凍キャビネット(16)と、前記デッキ(14)内にありかつ前記冷凍キャビネットから離れて設置される断熱筐体と、を有する超低温冷凍庫(10)を稼働させる方法であって、
第1冷媒(34)を冷凍システム(20)の第1段(24)における第1圧縮器(50)、凝縮器(54)及び第1膨張装置(58)を通って循環させる工程と、
第2冷媒(36)を前記冷凍システム(20)の第2段(26)における第2圧縮器(70)、第2膨張装置(74)及び蒸発器(78)を通って循環させる工程と、
前記第1及び前記第2冷媒(34,36)間で熱交換するために、前記超低温冷凍庫(10)の前記デッキ(14)内の前記断熱筐体内で、前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方の流れを前記第1または前記第2冷媒の他方の1つ以上の流れ(34a,36a)に対して配置される複数の流れ(34a,36a)に分ける工程と、
を含み、
前記断熱筐体(150)内で液体形態の前記第1冷媒(34)または液体形態の前記第2冷媒(36)を蓄積する工程をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方の流れを分ける工程は、前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方を複数の全体として平行な流れ(34a,36a)に沿うように向ける工程を含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方の流れを分ける工程は、前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方に乱流を生じさせることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び前記第2冷媒(34,36)それぞれの流れを第1及び第2それぞれの複数の流れ(34a,36a)に沿って分ける工程であって、前記第1及び第2の複数の流れ(34a,36a)は、前記第1及び第2冷媒(34,36)間で熱交換するために、互いに対して配置される、工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方の流れを分ける工程は、前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方を互いに間隔を空けられる複数の平行なプレート(160)に沿うように向ける工程を含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方の流れを分ける工程は、前記第1冷媒(34)を全体として上方向に流す工程を含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1または前記第2冷媒(34,36)の少なくとも一方の流れを分ける工程は、前記第2冷媒(36)を全体として下方向に流す工程を含むことを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として冷凍システム、より具体的に、超低温冷凍庫に使用するための冷凍システムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍システムは、“超低温冷凍庫”(“ULT”)として知られている種類の冷凍庫に使用することに関して公知であり、この冷凍システムは、冷凍庫の内部の貯蔵空間を例えば約-80℃以下など相対的に低温に冷却するために使用される。
【0003】
この種類の公知の冷凍システムは、第1及び第2冷媒それぞれを循環させる2つの段を含有する。第1段は、第1冷媒から凝縮器を通じて周辺環境にエネルギー(すなわち熱)を移動させると同時に、第2段の第2冷媒は、蒸発器を通じて冷却空間(例えばキャビネット内部)からエネルギーを受ける。熱は、冷凍システムの2つの段と流体連通する熱交換器を通じて第2冷媒から第1冷媒へ移動される。
【0004】
上述した種類の冷凍システムにおいて、熱交換器は、コイル型の単一の流路からなる。しかしながら、この種類の熱交換器は、通常、冷媒間における所望の形式の熱交換を可能にするために、広い空間を占有する。これらの熱交換器のための空間及び方向の関係の必要条件は、設計者に対して、外側の冷凍庫キャビネットの前方に、内部の冷凍庫チャンバーの壁と平行にまたは壁の後方にそれらを設置させることを強制し、通常、有益な冷却/貯蔵空間を占め、それゆえに冷却するために利用できない。
【0005】
上記に加えて、これらの熱交換器の達成できる効率は、断熱材が比較的少量であることによって制限され、この断熱材は、内側の冷凍庫チャンバーの壁と外側の冷凍庫キャビネットとの間でそれらの周囲に配置される。具体的に、比較的少量の断熱材は、この種類の冷凍システムの熱交換器の周囲に設置され、熱交換器に消費される冷却/貯蔵空間の量を最小化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2011/0072836号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、比較的高い効率で稼働する超低温冷凍庫に使用するための冷凍システムであって冷凍庫の冷却/貯蔵空間を最大化することを可能にする冷凍システムに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの実施形態において、冷凍システムは、デッキ及びデッキの上にあり支持される冷凍キャビネットを有する超低温冷凍庫で使用するために提供される。システムは、第1冷凍段及び第2冷凍段を有する。第1段は、第1冷媒を循環させるための第1流体回路を規定する。第1段は、第1流体回路と流体連通する第1圧縮器、凝縮器及び第1膨張装置を有する。第2段は、第2冷媒を循環させるための第2流体回路を規定する。第2段は、第2流体回路と流体連通する第2圧縮器、第2膨張装置及び蒸発器を有する。システムは、デッキ内に支持される断熱筐体と、第1及び第2流体回路と流体連通し且つ断熱筐体内に設置される分流熱交換器と、を含む。
【0009】
1つの実施形態では、熱交換器は、熱交換器を通る第1及び第2冷媒のための流路を規定する複数の積み重ねたプレートを有する。特別な実施形態において、熱交換器は、ろう付けプレート熱交換器の形態である。熱交換器は、その長手方向の寸法が全体として垂直に方向付けられるように、断熱筐体内に方向付けられる。第1冷媒は、第1冷媒が熱交換器内で全体として上方向に流れるように、熱交換器の下部に近接して熱交換器に流入し、熱交換器の上部に近接して熱交換器から流出する。さらに、または代わりに、第2冷媒は、第2冷媒が熱交換器内で全体として下方向に流れるように、熱交換器の上部に近接して熱交換器に流入し、熱交換器の下部に近接して熱交換器から流出する。
【0010】
特別な実施形態では、熱交換器は、逆流タイプからなる。同様に、第1膨張装置は、断熱筐体内に設置される。さらに、第1膨張装置は、少なくとも1つの毛管またはバルブを含んでもよい。第1冷凍段は、第1流体回路と流体連通する第1蓄積器を有する。例えば、第1蓄積器は、断熱筐体内に設置される。第1冷凍段は、デッキ内に支持され、第1流体回路と流体連通する第1フィルター/乾燥機を有する。いくつかの実施形態では、第1フィルター/乾燥機は、断熱筐体の外部に設置される。第2膨張装置は、断熱筐体の外部に設置されてもよい。さらに、または代わりに、第2膨張装置は、少なくとも1つの毛管またはバルブを含んでもよい。特別な実施形態において、第2冷凍段は、第2流体回路と流体連通する第2蓄積器を有する。例えば、第2蓄積器は、断熱筐体の外部に設置される。代わりに、第2蓄積器は、断熱筐体の内部に設置されてもよい。
【0011】
別の実施形態では、冷凍システムは、デッキ及びデッキの上にあり支持される冷凍キャビネットを有する超低温冷凍庫で使用するために提供される。システムは、第1冷凍段及び第2冷凍段を含む。第1段は、第1冷媒を循環させるための第1流体回路を規定するとともに、第1段は、第1流体回路と流体連通する第1圧縮器、凝縮器、第1フィルター/乾燥機、第1膨張装置及び第1蓄積器を有する。第2段は、第2冷媒を循環させるための第2流体回路を規定し、第2流体回路と流体連通する第2圧縮器、第2フィルター/乾燥機、第2膨張装置、蒸発器及び第2蓄積器を有する。システムは、デッキ内に支持される断熱筐体と、第1及び第2流体回路と流体連通する分流熱交換器と、を同様に含む。熱交換器、膨張装置、第1蓄積器及び第2フィルター/乾燥機は、断熱筐体内に設置される。
【0012】
さらに別の実施形態では、超低温冷凍庫は、デッキと、デッキの上にあり支持される冷凍キャビネットと、冷凍キャビネットと熱的につながる冷凍システムと、を有して提供される。冷凍システムは、第1冷媒を循環させるための第1流体回路を規定する第1冷凍段を含むとともに、第1段は、第1流体回路と流体連通する第1圧縮器、凝縮器及び第1膨張装置を有する。システムは、第2冷媒を循環させるための第2流体回路を規定する第2冷凍段を同様に含むとともに、第2段は、第2流体回路と流体連通する第2圧縮器、第2膨張装置及び蒸発器を有する。冷凍システムの断熱筐体は、デッキ内に支持され、分流熱交換器は、第1及び第2流体回路と流体連通し、断熱筐体内に設置される。
【0013】
別の実施形態において、方法は、超低温冷凍庫を稼働するために提供される。方法は、第1冷媒を冷凍システムの第1段における第1圧縮器、凝縮器及び第1膨張装置を通って循環させる工程を含む。第2冷媒は、システムの第2段における第2圧縮器、第2膨張装置及び蒸発器を通って循環される。第1または第2冷媒の少なくとも一方の流れは、冷凍庫のデッキ内で第1または第2冷媒の他方の1つ以上の流れに対して配置される複数の流れに分かれ、第1及び第2冷媒間で熱交換する。方法は、複数の流れを再結合する工程と、冷凍庫におけるデッキの上にある冷凍キャビネットを支持する工程と、を含む。
【0014】
特別な実施形態では、方法は、第1または第2冷媒の少なくとも一方の流れを複数の全体として平行な流れに沿うように向ける工程を含む。方法は、第1または第2冷媒の少なくとも一方の流れを分ける工程が第1または第2冷媒の少なくとも一方を荒く流す工程を含むようであってもよい。さらに、または代わりに、第1または第2冷媒の少なくとも一方の流れを分ける工程は、第1または第2冷媒の少なくとも一方を互いから間隔を空けられる複数の平行なプレートに沿って向ける工程を含む。方法は、第1冷媒を全体として上方向に流す工程及び/または第2冷媒を全体として下方向に流す工程を含んでもよい。
【0015】
特別な実施形態において、方法は、複数の流れを断熱する断熱筐体内で液体形態の第1冷媒または液体形態の第2冷媒を蓄積する工程を含む。方法は、バルブまたは毛管の一方内で第1冷媒または第2冷媒を膨張させる工程を含んでもよい。
【0016】
それゆえに、本明細書で説明されるシステム及び関連する方法は、冷凍庫のデッキ内の熱交換器によって、熱交換器の周囲における適切な量の断熱材の位置決めを可能にし、それによって、従来型の超低温冷凍庫で観測されるよりもより高い効率を達成する。その上、冷凍庫のデッキ内に熱交換器を有することは、デッキの上にあるキャビネット内部の空間を最大化させることを可能にする。
【0017】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、上述した本発明の全体的な説明及び下記の実施形態の詳細な説明とともに本発明の実施形態を示し、本発明の原理を説明することに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態における超低温冷凍庫における部分的に壊れた斜視図である。
【
図2】
図1の冷凍庫で使用される冷凍システムの略図である。
【
図4】
図2のデッキの内部の一部を示す斜視図である。
【
図5】
図2及び
図3のデッキ内の断熱筐体における内部の一部の斜視図である。
【
図6】
図2のシステムの例示的な熱交換器を通る第1及び第2冷媒の流れを示す分解略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面、より具体的に
図1を参照すると、本発明の1つの実施形態による例示的な冷凍ユニットが示される。
図1のユニットは、デッキ14を有する超低温冷凍庫(“ULT”)10の形態であり、このデッキ14は、例えば約-80℃以下の温度に冷却することを必要とする品目を保存するために、その上にあるキャビネット16を支持する。次に、キャビネット16は、キャビネット16の内部16cへのアクセスをもたらすキャビネットハウジング16a及びドア16bを含む。デッキ14は、2段カスケードシステム20を共同で規定する(
図2)1つ以上の構成要素を支持し、この冷凍システムは、キャビネット16と熱的に相互作用し、その内部16cを冷却する。本明細書に使用されるように、用語“デッキ”は、キャビネット16の下に設置されるまたはキャビネット16を支持する構造組立体または骨格を称する。システム20と同様の例示的な冷凍システムは、本出願の指定代理人が担当し且つ本出願と同時に出願された可変速度圧縮機を有する冷凍システムと題される米国特許出願第12/570348号(代理人整理番号TFLED-226AUS)で説明される。この同一出願人による出願の開示は、その全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0020】
図2から
図5を参照すると、例示的な冷凍システム20の詳細が示される。システム20は、第1冷媒34及び第2冷媒36を循環させるために、第1及び第2回路をそれぞれ規定する第1段24及び第2段26で構成される。複数のセンサーS
1からS
18がシステム20のさまざまな状態及び/またはシステム20内の冷媒34、36の特性を感知するように構成される一方で、制御装置130は、制御装置インターフェース132を通じてアクセス可能であり、システム20の稼働を制御することを可能にする。第1段24は、第1冷媒34から周辺環境40へエネルギー(すなわち熱)を移動させる一方で、第2段26の第2冷媒36は、キャビネット内部16cからエネルギーを受ける。熱は、冷凍システム20の第1及び第2段24、26と流体連通する熱交換器44を通じて第2冷媒36から第1冷媒34へ移動される(
図5)。
【0021】
第1段24は、順に、第1圧縮器50、凝縮器54及び第1膨張装置58を含む。ファン62は、フィルター54aを通して凝縮器54を横断するように周囲の空気を向け、第1冷媒34から周辺環境40への熱の移動を促進する。第2段26は、同様に順に、第2圧縮器70、第2膨張装置74及び蒸発器78を含む。蒸発器78は、熱が内部16cから蒸発器78に移動されるように、キャビネット16の内部16cと熱的につながり(
図1)、それによって内部16cを冷却する。熱交換器44は、第1膨張装置58と第1圧縮器50との間で第1段24と流体連通する。さらに、熱交換器44は、第2圧縮器70と第2膨張装置74との間で第2段26と流体連通する。通常、第1冷媒34は、凝縮器54内で凝縮され、熱交換器44内のある位置で蒸発するまで液相のままである。第1冷媒の蒸気は、凝縮器54に戻る前に、第1圧縮器50によって圧縮される。
【0022】
稼働において、第2冷媒36は、蒸発器78を通じて内部16cから熱を受けて、導管90を通って蒸発器78から第2圧縮器70へ流れる。蓄積装置92は、導管90と流体連通し、ガス形態にある第2冷媒36を第2圧縮器70へ通過させる一方で、液体形態にある過量の第2冷媒を蓄積し、制御された比率でそれを第2圧縮器70へ送る。第2圧縮器70からの圧縮された第2冷媒36は、導管96を通って、第1及び第2段24、26に互いに熱的につながる熱交換器44内へ流入する。第2冷媒36は、ガス形態で熱交換器44に入り、熱を第1冷媒34へ移動させると同時に、液体形態に凝縮する。この点において、例えば第1冷媒34の流れは、第2冷媒36に対して逆向きの流れであり、伝熱速度を最大化させる。1つの特別な限定的でない実施例において、熱交換器44は、デッキ14内に垂直に方向付けられ(
図1)且つ熱交換器44内の第1及び第2冷媒34、36の乱流の量を最大化させるように設計された分流ろう付けプレート式熱交換器の形態であり、この熱交換器は、第2冷媒36から第1冷媒34への熱移動を同様に最大化させる。別の種類または構成の熱交換器は同様に可能性がある。
【0023】
図2から
図5を継続して参照すると、第2冷媒36は、液体形態で熱交換器44からその出口44aを通って流出し、導管102を通って、フィルター/乾燥機ユニット103を通って、次に、第2膨張装置74を通って、その後、第2段26の蒸発器78に戻るように流れ、この蒸発器では、第2冷媒がガス形態に蒸発する一方で、キャビネット内部16cから熱を吸収する。この例示的な実施形態の第2段26は、第2圧縮器70を潤滑化するためのオイルループ104を同様に含有する。具体的に、オイルループ104は、導管96と、第2圧縮器70内へ戻すようにオイルを向けるオイル復帰ライン108と、と流体連通するオイル分離機106を含有する。さらにまたは代わりに、第2段26は、過熱度低減器110を含有してもよく、第2冷媒36の吐出流を冷却し、この過熱度低減器は、熱交換器44の上流の導管96と流体連通する。
【0024】
上記のように、第1冷媒34は、第1段24を通して流れる。具体的に、第1冷媒34は、熱交換器44を通って流れる第2冷媒36から熱を受けて、ガス形態で熱交換器44からその出口44bを通って流出し、一組の導管114,115に沿って第1圧縮器50に向かって流れる。蓄積装置116は、導管114及び115間に位置決めされ、ガス形態にある第1冷媒34を第1圧縮器50に通過させる一方で、液体形態にある過量の第1冷媒を蓄積して、制御された速度でそれを第1圧縮器50へ送る。第1圧縮器50からの圧縮された第1冷媒34は、導管118を通って凝縮器54内に流れる。凝縮器54内の第1冷媒34は、導管122,123に沿ってフィルター/乾燥器ユニット126を通り、そして第1膨張装置58内に流れる前に、それがガスから液体形態へ凝縮するにしたがって、熱を周辺環境40へ移動させ、この膨張装置では、第1冷媒34は、圧力損失を受ける。第1膨張装置58から、第1冷媒34は、導管127を通って、液体形態にある第1冷媒が流入する熱交換器44内に戻るように流れる。
【0025】
図2から
図5を継続して参照すると、デッキ14内に支持される例示的な断熱筐体150は、上述された1つ以上の構成要素を包囲し、これらの構成要素の十分な断熱を可能にし、この断熱は、従来型の冷凍システムに対してシステム20の効率を同様に向上させる。具体的に、熱交換器44は、断熱筐体150内に支持され、十分な量の断熱材152によって囲まれており、熱交換器44における所望のレベルの効率を実現することを可能にする。その上、例えば発砲ブロックなど複数の防振装置154は、選択的な場所にある筐体150内における導管間の接触を防ぎ、筐体150が発泡剤で断熱されるときに導管及び別の構成要素を位置決めする。
【0026】
この例示的な実施形態において、熱交換器44は、全体として垂直に、さらに第1冷媒34が全体として上方向に流れる一方で、第2冷媒36が全体として下方向に流れるように方向付けられる。より具体的に、第1冷媒34は、熱交換器の下部に近接して熱交換器44に流入し、熱交換器の上部に近接して熱交換器44から流出する。同様に、第2冷媒36は、熱交換器の上部に近接して熱交換器44に流入し、熱交換器の下部に近接して熱交換器44から流出する。上記のように、第1冷媒34は、熱交換器44内で液体からガス形態へ蒸発する一方で、第2冷媒36は、熱交換器44内でガスから液体形態へ凝縮する。
【0027】
その上、
図2から
図5の例示的な実施形態において、断熱筐体150は、その内部に第1段24の第1膨張装置58を支持する。この実施形態では、第1膨張装置58は、毛管の形態であるが、考えられることは、代わりに、例えば限定なく膨張バルブ(図示せず)など他の形態を利用してもよいことである。第1膨張装置58に加えて、第1段24の蓄積装置116は、第2段26のフィルター/乾燥機ユニット103のように断熱筐体150の内部に同様に支持される。当業者は、図示された実施形態における筐体150の内部に設置されるこれらの構成要素の代わりにまたは追加的に、システム20の別の構成要素が断熱筐体150の内部に設置されてもよいことを容易に理解する。
【0028】
筐体150内に含む構成要素を決定することに当業者が使用するファクタには、第1冷媒34及び第2冷媒36の沸点及び他の特性、キャビネット内部16cを維持する所望の温度、さまざまな稼働圧力並びに同様のファクタを考慮に入れると、一定状態の稼働状況の下にある特定の構成要素の予期する稼働温度がある。例えば、約-86℃の予期されたキャビネット温度及びある一般的な冷媒を有するULT冷凍庫では、熱交換器44は、約-40℃で一定状態の状況下で稼働すると予期される。現在、説明される実施形態に対して適した例示的な冷媒は、それぞれの記号表示が第1冷媒34に対してR404A、第2冷媒36に対してR290及びA508Bの混合物である市販の冷媒を含有する。その上、特別な実施形態において、第1及び第2冷媒は、オイルと組み合わせられてもよく、それぞれの圧縮器50、70の潤滑を促進する。例えば限定なく、第1冷媒34は、モービルEALアーティック32オイルと組み合わせられてもよく、第2冷媒は、ゼロール150アルキルベンゼンオイルと組み合わせられてもよい。本開示の他の態様では、図に示される構成要素の正確な配置は、限定的よりもむしろ単になる例となることを意図する。
【0029】
上述したように、
図2から
図5の実施形態の熱交換器44は、デッキ14内、より具体的に断熱筐体150内に設置される。本発明に使用するために適した1つの例示的な熱交換器は、デンマークのノードボーグ(Nordborgvej)にあるダンフォスA/Sから市販されている型番B3-C30-14-30-HQ-Q1Q2Q3(H1/4D)/Q4 (H38D)のろう付けプレート式熱交換器である。図に示される熱交換器44は、
図6に示されるように、第1冷媒34における複数の全体として平行な流れ34aと第2冷媒36における複数の全体として平行な流れ36aとが、逆向きに流れる方法で熱交換器44を通るように向けられ、第1及び第2冷媒34、36間の熱交換を可能とするように、配置される。この目的を達成するために、例示的な熱交換器44は、複数の積み重ねた平板160を含有する分流ろう付けプレート式熱交換器の形態であり、これらの平板は、互いに間隔を空けられ、それぞれがその平坦面の一方または双方に一続きの溝160aを有する。
【0030】
隣接するプレート160間のそれぞれの体積は、チャンバー164、166を規定し、このチャンバー内で冷媒34、36の一方が流れる。さらに、チャンバー164、166は、交互に並ぶ、すなわち、隣接する2つのチャンバー164、166それぞれが異なる2つの冷媒34、36の流れを受ける方法で配置される。標準状態下では、それぞれの溝164が、第1冷媒34が上方へ移動するにしたがって蒸発するその底部と隣接する液体の第1冷媒34を有することが予期されている。標準状態下では、それぞれの溝166が、第2冷媒36が下方へ移動するにしたがって凝縮するその頂部と隣接するガスの第2冷媒36を有することが予期されている。液体冷媒に対する且つ混合された液体/ガス冷媒に対するレベルは、溝164及び溝166の間で変化してもよく、平行な溝164間で且つ平行な溝166間で同様に変化してもよい。制御装置(図示せず)は、システムの始動中を除いて、特に溝164または166が完全にガス状の冷媒か完全に液状の冷媒かで占められるという状況を最小化させるために使用される。
【0031】
例示的な熱交換器44の1つの態様において、プレート160の溝160aの形状は、熱交換器44内での乱流の発生を促進するために選択され、そして、この乱流は、冷媒34,36間の熱移動のレベルを最大化させる。限定なく例えば、溝160aは、V字形でありまたは波型のプレートのひだとして形成されてもよい。本明細書で使用されるように、用語“分流”熱交換器は、第1または第2冷媒の流動の少なくとも一方を単一の流動から複数の流動に分ける熱交換器に関連し、この複数の流動は、単一の流体流動に最終的に再結合される。
【0032】
例示的な熱交換器44は、第1及び第2冷媒34、36それぞれの複数の流動を通じてそこに受けるように構成されているものの、考えられることは、代わりに、異なる種類の分流熱交換器44が、冷媒34または36の一方のみが他方の冷媒34または36それぞれに対して多数の流動の中に流れるように配置されてもよいことである。限定なく例えば、代わりの分流熱交換器44は、円筒多管式熱交換器(tube-and-shell heat exchanger)、フィン付式熱交換器(fin-plate heat exchanger)または別の種類の熱交換器の形態を呈し、これらの熱交換器は、逆向きの流れ、交差する流れまたは平行な流れの配置の複数の流動において冷媒34,36の少なくとも一方が流れることを可能とするように構成される。これらの代わりの種類の熱交換器44を任意に使用することは、本開示の範囲内に収まるとみなされる。さらに、
図6に示される例示的な熱交換器44は、全体として互いに平行である第1冷媒34の多数の流動の流れと、同様に互いに平行である第2冷媒36の多数の流動の流れと、を可能にする。分流熱交換器44内のこの種類の流れは、限定的よりもむしろ例となることを目的とする。
【0033】
本発明は、さまざまな実施形態の説明によって示されると同時に、これらの実施形態が相当詳細にわたって説明される一方で、それは、出願人の限定する目的ではなく、添付の特許請求の範囲の適用範囲を上記詳細までまったく限定しない。さらなる利点及び修正は、当業者には容易にわかる。したがって、そのより広い態様の本発明は、特別な詳細と、代表的な装置及び方法と、示され且つ説明された実例となる実施例と、に限定されない。ゆえに、新たな試みは、出願人の全体的な発明に関する概念の精神または範囲から逸脱することなく、上記詳細からなされる。
【符号の説明】
【0034】
10 超低温冷凍庫、14 デッキ、16 キャビネット、20 冷凍システム、24 第1冷凍段、34 第1冷媒、34a 流れ、36 第2冷媒、36a 流れ、44 分流熱交換器、50 第1圧縮器、54 凝縮器、58 第1膨張装置、70 第2圧縮器、74 第2膨張装置、78 蒸発器、116 第1蓄積器、150 断熱筐体、160 プレート
【外国語明細書】