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特開2022-125088抗FAM19A5抗体のアデノ関連ウイルス(AAV)伝達
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125088
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】抗FAM19A5抗体のアデノ関連ウイルス(AAV)伝達
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20220819BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20220819BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220819BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220819BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220819BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220819BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20220819BHJP
   C12N 1/15 20060101ALN20220819BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20220819BHJP
   C12N 1/21 20060101ALN20220819BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20220819BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N7/01
A61P25/00
A61P25/04
A61K39/395 N
A61K35/76
C12N15/13 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100587
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2020562564の分割
【原出願日】2019-05-08
(31)【優先権主張番号】62/668,634
(32)【優先日】2018-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520288331
【氏名又は名称】ニューラクル ジェネティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518156428
【氏名又は名称】ニューラクル サイエンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン-ムック
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドン シク
(72)【発明者】
【氏名】シム,ジュウォン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,スン-グ
(57)【要約】
【課題】本開示内容は、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター及びこれらの用途を提供する。
【解決手段】特定の具現例において、前記AAVベクターは、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)タンパク質に対する拮抗剤、例えば抗FAM19A5抗体、例えば抗FAM19A5 scFvをコードする核酸を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)タンパク質に対する拮抗剤をコードする核酸を含み、
前記FAM19A5拮抗剤が、前記FAM19A5タンパク質に特異的に結合する単クローン性抗体またはそれらの抗原結合断片(抗FAM19A5抗体)であって、
前記抗FAM19A5抗体は、配列番号2のアミノ酸残基46~51(すなわち、DSSQPR)、アミノ酸残基46、50及び52(すなわち、D---P-R)、アミノ酸残基46、47、48及び50(すなわち、DSS-P)、アミノ酸残基99~107(すなわち、EGCDLLINR)、アミノ酸残基102、103、105及び107(すなわち、DL-I-R)、アミノ酸残基99、100、102、103、105及び107(すなわち、EG-DL-I-R)、若しくはアミノ酸残基99、100及び107(すなわち、EG------R)に結合する;又は、
前記抗FAM19A5抗体は、EP4(ARCACRK;配列番号68)及びEP8(TCTQPGGR;配列番号72)に結合する、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター。
【請求項2】
イントロン、信号ペプチド及び/又は1つ以上のアデノ関連ウイルス逆転された末端反復(ITR)をさらに含む、請求項1に記載のAAVベクター。
【請求項3】
前記抗FAM19A5抗体がFab、Fab’、F(ab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)を含む、請求項1に記載のAAVベクター。
【請求項4】
前記抗FAM19A5抗体がscFvである、請求項3に記載のAAVベクター。
【請求項5】
前記核酸がコドン最適化された、請求項1~4のいずれかに記載のAAVベクター。
【請求項6】
前記核酸が配列番号204、配列番号205、配列番号206又は配列番号301に示すヌクレオチド配列を含む、請求項1~4のいずれかに記載のAAVベクター。
【請求項7】
前記scFvが配列番号201、配列番号202、配列番号203又は配列番号256に示すアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のAAVベクター。
【請求項8】
前記抗FAM19A5抗体が:
(a)酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)によって測定した時、Kが10nM以下である可溶性ヒトFAM19A5に結合する特性;
(b)ELISAによって測定した時、Kが10nM以下である膜結合ヒトFAM19A5に結合する特性;又は
(c)(a)及び(b)の両方、から選択された特性を示す、請求項1~4のいずれかに記載のAAVベクター。
【請求項9】
前記抗FAM19A5抗体が重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、
(i)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号14、15及び16を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号26、27及び28を含んだり;
(ii)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号17、18及び19を含み、軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号29、30及び31を含んだり;
(iii)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号212、213及び16を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号222、225及び224を含んだり;又は
(iv)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号11、12及び13を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号23、24及び25を含む、請求項1~8のいずれかに記載のAAVベクター。
【請求項10】
前記抗FAM19A5抗体が、配列番号36を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号40を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項9に記載のAAVベクター。
【請求項11】
前記抗FAM19A5抗体が、配列番号236を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号245を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項9に記載のAAVベクター。
【請求項12】
前記抗FAM19A5抗体が、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項9に記載のAAVベクター。
【請求項13】
前記抗FAM19A5抗体が、配列番号35を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号39を含む軽鎖可変ドメインを含む、請求項9に記載のAAVベクター。
【請求項14】
前記抗FAM19A5抗体が、ヒトFAM19A5に対する基準抗体の結合を結合阻害分析法によって測定した時、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%阻害する、請求項1~13のいずれかに記載のAAVベクター。
【請求項15】
(a)請求項1~13のいずれか一項のAAVベクターを用いて形質注入させた宿主細胞を培養して細胞培養物を提供する段階、及び(b)前記細胞培養物の上澄液から組換えAAV粒子を回収する段階を含む、組換えアデノ関連ウイルス(AAV)粒子を製造する方法。
【請求項16】
配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)タンパク質に対する拮抗剤(“FAM19A5拮抗剤”)を生体内伝達するための請求項1~13のいずれか一項のアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター。
【請求項17】
必要とする対象において疾患又は症状を治療するための請求項1~13のいずれか一項のアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター。
【請求項18】
前記AAVベクターが静脈内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、筋肉内、皮下、腹腔内、硝子体腔内、硬膜外、網膜下又は心室内投与される用途のための、請求項17に記載のAAVベクター。
【請求項19】
前記対象がヒトである用途のための、請求項17に記載のAAVベクター。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
電子提出された配列目録に対する参照事項
本出願と共にASCIIテキストファイル(名:3763_010PC01_SeqListing_ST25.txt;サイズ:261,643バイト;及び生成日:2019年5月8日)で電子提出された配列目録の内容は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0002】
本開示内容は、組換えアデノ関連ウイルス(AAV)ベクター及びそれらの用途に関する。より具体的に、本開示内容は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)タンパク質に対する拮抗剤をコードする核酸を含むAAVベクターに関する。特定の側面において、前記FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質を標的にする単鎖可変断片である。
[背景技術]
FAM19A5は、相同性の高い5個の小さいタンパク質で構成されているタンパク質のTAFAサブファミリーに属する一種である。Tang T.Y.et al.,Genomics 83(4):727-34(2004)。これらのタンパク質は、所定位置に保存されたシステイン残基を含有し、CCケモカインファミリーに属する一種である大食細胞炎症タンパク質1-アルファ(MIP-1-アルファ)とかすかに関連している。大部分の他のTAFAタンパク質と同様に、FAM19A5は、脳と脊髄の特定領域で主に発現する。FAM19A5は、完全な中枢神経系の発生、分化及び形成の他に、中枢神経系と関連した多くの疾患の発病にも重要な役割を担うものと考えられる。したがって、抗FAM19A5抗体の生体内投与は、中枢神経系損傷又は疾患と関連した症状を改善することが開示されているる。米国特許番号9,579,398を参照されたい。
【0003】
治療抗体は様々な疾患を治療するために成功的に使用されてきた。Ecker D.M.,et al.,MAbs 7:9-14(2015)。しかし、これらの抗体の効能にもかかわらず、抗体には周知の限界があり、抗体の広範囲な治療用途を制限している。例えば、多数の抗体は、不十分な薬動学及び組織接近性だけでなく、免疫系との損傷した相互作用を有するものとして記載されてきた。Chames P.,et al.,Br
J Pharmacol 157(2):220-223(2009)を参照されたい。そのうえ、抗体は通常、臨床効能を達成するために多量で投与されなければならず、製造コストの増加につながる。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
したがって、疾患治療のために対象に治療用抗体、例えば、抗FAM19A5抗体を伝達するための効果的且つ経済的な代替方法が要求されている。
[課題を解決するための手段]
本開示内容は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)タンパク質に対する拮抗剤をコードする核酸を含むアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターを提供する。いくつかの具現例において、前記AAVベクターは、イントロン、信号ペプチド及び/又は一つ以上のアデノ関連ウイルス逆転された末端反復(ITR)をさらに含む。
【0004】
いくつかの具現例において、前記FAM19A5拮抗剤は、抗FAM19A5抗体である。したがって、いくつかの具現例において、前記AAVベクターは、抗FAM19A5抗体をコードする核酸を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、又は単鎖Fv(scFv)を含む。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、scFvである。
【0005】
いくつかの具現例において、前記AAVベクターは、コドン最適化された核酸を含む。いくつかの具現例において、前記核酸は、配列番号204、配列番号205、配列番号206又は配列番号301に示すヌクレオチド配列を含む。いくつかの具現例において、前記scFvは、配列番号201、配列番号202、配列番号203又は配列番号256に示すアミノ酸配列を含む。
【0006】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:(a)酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)によって測定した時、Kが10nM以下である可溶性ヒトFAM19A5に結合する特性;(b)ELISAによって測定した時、Kが10nM以下である膜結合ヒトFAM19A5に結合する特性;又は(c)(a)及び(b)の両特性、から選択された特性を示す。
【0007】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体が、ヒトFAM19A5エピトープに結合するために、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む基準抗体(reference antibody)と交差競合し、(i)前記重鎖CDR1は、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号18に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号30に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含んだり;(ii)前記重鎖CDR1は、配列番号14に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号16に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号26に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号28に示すアミノ酸配列を含んだり;(iii)前記重鎖CDR1は、配列番号11に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号12に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号13に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号24に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号25に示すアミノ酸配列を含んだり;又は(iv)前記重鎖CDR1は、配列番号212のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号213のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号222のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号225のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号224のアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体が、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む基準抗体と同じFAM19A5エピトープに結合し、(i)前記重鎖CDR1は、配列番号17に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号18に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号19に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号29に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号30に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号31に示すアミノ酸配列を含んだり;(ii)前記重鎖CDR1は、配列番号14に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号15に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号16に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号26に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号27に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号28に示すアミノ酸配列を含んだり;(iii)前記重鎖CDR1は、配列番号11に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号12に示すアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号13に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号23に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号24に示すアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号25に示すアミノ酸配列を含んだり;(iv)前記重鎖CDR1は、配列番号212のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号213のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号222のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号225のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号224のアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号6又は配列番号9である少なくとも一つのFAM19A5エピトープに結合する。他の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号6又は配列番号9であるFAM19A5エピトープにのみ結合する。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、追加FAM19A5エピトープにさらに結合する。いくつかの具現例において、前記追加FAM19A5エピトープは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10及びこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる。
【0010】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体が、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号19、配列番号16又は配列番号13に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体の重鎖CDR1は、配列番号17、配列番号14、配列番号11又は配列番号212に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体の重鎖CDR2は、配列番号18、配列番号15、配列番号12又は配列番号213に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体の軽鎖CDR1は、配列番号29、配列番号26、配列番号23又は配列番号222に示すアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体の軽鎖CDR2は、配列番号30、配列番号27、配列番号24又は配列番号225に示すアミノ酸配列を含む。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体の軽鎖CDR3は、配列番号31、配列番号28、配列番号25又は配列番号224に示すアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体が、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含み、(i)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号17、18及び19を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号29、30及び31を含んだり;(ii)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号14、15及び16を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号26、27及び28を含んだり;(iii)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号11、12及び13を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号23、24及び25を含んだり;又は(iv)前記重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号212、213及び16を含み、前記軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号222、225及び224を含む。
【0012】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号37、配列番号36、配列番号35又は配列番号236を含む重鎖可変ドメイン及び/又は配列番号41、配列番号40、配列番号39又は配列番号245を含む軽鎖可変ドメインを含む。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号37を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号41を含む軽鎖可変ドメインを含む。他の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号36を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号40を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号35を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号39を含む軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号236を含む重鎖可変ドメイン及び配列番号245を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0013】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含み、前記重鎖可変ドメインは、配列番号37、36、35又は236に示すアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号41、40、39又は245に示すアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号37、36、35又は236に示すアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号41、40、39又は245に示すアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、ヒトFAM19A5に対する基準抗体の結合を、結合阻害分析法によって測定した時、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%阻害する。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、星状細胞株(例えば、C8-D1A)を含む培養培地内FAM19A5タンパク質の濃度を、ELISAによって測定した時、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%減少させる。
【0015】
本明細書はまた、(a)本明細書に開示のAAVベクターを用いて形質注入させた宿主細胞を培養して細胞培養物を提供する段階、及び(b)前記細胞培養物の上澄液から組換えAAV粒子を回収する段階を含む、組換えアデノ関連ウイルス(AAV)粒子を製造する方法を開示する。
【0016】
本開示内容はまた、FAM19A5タンパク質に対する拮抗剤を、これを必要とする対象に生体内伝達するための方法であり、前記対象に本明細書に記載のAAVベクターを投与することを含む方法を提供する。
【0017】
本開示内容はまた、必要とする対象において疾患又は症状を治療する方法であり、前記対象に本明細書に開示のAAVベクターを投与することを含む方法を提供する。
【0018】
本明細書はまた、必要とする対象において神経病症性疼痛を治療する方法であり、前記対象に本開示内容のAAVベクターを投与することを含む方法を開示する。いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、末梢神経病症性疼痛である。
【0019】
本開示内容は、必要とする対象において外部刺激に対する閾値又は潜時(latency)を増加させる方法であり、前記対象に本明細書に開示のAAVベクターを投与することを含む方法を提供する。いくつかの具現例において、前記外部刺激は、機械的刺激である。他の具現例において、前記外部刺激は、熱刺激である。
【0020】
いくつかの具現例において、本開示内容のAAVベクターは、静脈内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、筋肉内、皮下、腹腔内、硝子体腔内、硬膜外、網膜下又は心室内投与される。いくつかの具現例において、前記対象はヒトである。
[図面の簡単な説明]
図1は、実施例に記載されている抗FAM19A5 scFv AAV構造体(construct)を生成するために用いたpscAAV構造体のマップを提供している。図1に示すように、前記pscAAV構造体は、次のような核心要素を含む:(i)CMVプロモーター下のヒトベータグロビン;(ii)3-2、1-65又は2-13 scFvをコードする転移遺伝子(transgene)、及び(iii)左右逆転された末端反復(ITR)。
【0021】
図2A図2B及び図2Cは、次のようなAAV構造体のいずれか一つでHEK293細胞を形質導入させた後、抗FAM19A5 scFvの発現レベルを示している:(i)scAAV8-CMV-3-2-ScFv;(ii)scAAV9-CMV-3-2-ScFv;(iii)scAAV9-CMV-1-65-ScFv;又は(iv)scAAV9-2-13-ScFv。図2Aで、HEK293細胞を、2個の異なるMOI:5×10(白色棒)又は1×10(黒色棒)のscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた。抗体濃度は、形質導入後1日、4日及び8日に測定した。図2Bで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-3-2-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)で形質導入させた。抗体濃度は、単一時点、すなわち形質導入後8日目に測定した。図2Cで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-1-65-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)又はscAAV9-2-13-ScFv(ドット付き白色棒:MOI=1×10;ドット付き黒色棒=2×10)で形質導入させた。
【0022】
図3A図3B及び図3Cは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液が存在又は不在する状態でU87MG細胞に対するヒトFAM19A5-Fc結合の平均蛍光強度(MFI)を示している。図3Aは、scAAV9-CMV-1-65-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は1-65scFvを示す。図3Bは、scAAV9-2-13-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は2-13 scFvを示す。図3Cは、scAAV8-CMV-3-2-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(PBS)を示し、数字“2”は3-2scFvを示す。
【0023】
図4A及び図4Bは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液で処理した後、C8-D1A細胞培養物内ヒトFAM19A5タンパク質の濃度を示している。図4Aは、C8-D1A細胞をscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた細胞の上澄液又はPBS単独と共に培養時に、FAM19A5タンパク質濃度を比較したものである。図4Bは、C8-D1A細胞をscAAV9-2-13-ScFv、scAAV9-CMV-1-65-ScFv又は対照群構造体(scAAV9-CMV-GFP)と共に培養時に、FAM19A5濃度を比較したものである。図4A及び図4Bで、“未投与(naive)”は、活性化されず、最小FAM19A5タンパク質を培養物に生産するC8-D1A細胞を表す。
【0024】
図5は、scAAV8-CMV-3-2-ScFvをC57BL/6マウスに髄腔内投与して1週(上段行)及び2週(下段行)後に脳内抗FAM19A5(3-2)scFvの発現を示している。左列の写真は未投与動物の写真である(非投与)。右列の写真は、AAV構造体が投与されたマウスの写真である。上段右列の写真において、矢印は陽性染色を意味する。
【0025】
図6A及び図6Bは、末梢神経損傷後、機械的異質痛(図6A)と熱的痛覚過敏(図6B)に対するscAAV8-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図6Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物がVon Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図6Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(paw withdrawal latency、動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
【0026】
図7A及び図7Bは、末梢神経損傷後、機械的異質痛(図7A)と熱的痛覚過敏(図7B)に対するscAAV9-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図7Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物がVon Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図7Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
【0027】
図8A及び図8Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV1-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図8Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10回の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図8Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
【0028】
図9A及び図9Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV9-CMV-2-13-ScFvの投与効果を示している。図9Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10回の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図9Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
【0029】
図10A及び図10Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV9-CMV-1-30-ScFvの投与効果を示している。図10Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10個の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図10Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
【0030】
図11A図11B及び図11Cは、互いに異なる抗FAM19A5 scFv AAV構造体単独又は他の治療剤と組み合わせた効果を比較して提供している。図11Aで、動物は、次のいずれか一つが投与された:(i)scAAV1-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV1-CMV-3-2-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV1-CMV-3-2-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Bで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-2-13-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-2-13-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Cで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-1-30-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-1-30-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
[発明を実施するための形態]
本明細書は、配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5(FAM19A5)タンパク質に対する拮抗剤をコードする核酸を含む組成物、例えば、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクターを開示する。本明細書はまた、疾患又は障害、例えば、神経病性疼痛を治療するための遺伝子治療法として、上記の組成物を使用する方法を提供する。
【0031】
本明細書に提供される開示内容の理解を容易にするために、多数の用語及び語句を定義する。追加定義は、詳細な説明全般にわたって与えられている。
【0032】
<I.定義>
本開示内容全般にわたって、用語“一つの”又は“ある”実体は、その実体の1つ以上をいうもので、例えば、“一つの抗体”は1つ以上の抗体を表すものと理解される。このように、用語“一つ”(又は“ある”)、“1つ以上の”及び“少なくとも1つの”は、本明細書で同じ意味で使われる。
【0033】
また、本明細書で使う“及び/又は”は、2個の特定された特徴又は構成要素のそれぞれ一つを、もう一つの特徴又は構成要素と共に又は単独で具体的に開示するものと見なされるべきである。したがって、本明細書で“A及び/又はB”のような語句において使われる用語“及び/又は”は、“A及びB”、“A又はB”、“A”(単独)及び“B”(単独)を含むものとして意図される。同様に、“A、B及び/又はC”のような語句において使われる用語“及び/又は”は、次のような態様のそれぞれを含むものとして意図される:A、B及びC;A、B又はC;A又はC;A又はB;B又はC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0034】
本明細書において、態様を、用語“含む”で記載すれば、“なる”及び/又は“本質的になる”の観点で記載された他の類似の態様も提供されるものと理解される。
【0035】
特に定義しない限り、本明細書で使われる全ての技術及び科学用語は、本開示内容と関連した技術分野における通常の技術者にとって通常理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and
Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford
University Pressは、当業者に、本開示内容で使われている用語の多数を提供している。
【0036】
単位、接頭辞及び記号は、これらのSysteme International de Unites(SI)で認めた形態で表示される。数値範囲は、当該範囲を限定する数字を含む。特に表示されない限り、アミノ酸配列は、アミノからカルボキシに向かって左側から右側に書かれる。本明細書で提供された表題は、開示内容の様々な態様の制限ではなく、それらは全体的に明細書を参照したものであり得る。したがって、次に定義された用語は、明細書全般を参照してより完全に定義される。
【0037】
本明細書において用語“約”は、ほぼ、概略、程度又はその領域内を意味するものとして使われる。用語“約”が数値範囲と共に使われる場合、記載されている数値の上と下へ境界を拡張して当該範囲を変更する。一般に、用語“約”は、明示された値の上と下の数値を、例えば、上又は下の(より高かいかより低い)10%の変化量だけ変更可能である。
【0038】
本明細書で使う用語“アデノ関連ウイルス”又は“AAV”とは、遺伝子治療法で用いる全てのアデノ関連ウイルスを、それらの誘導体、ウイルス亜型及び自然発生及び組換え形態も含めて指す。AAVの様々な血清型は、多数の異なる細胞類型を形質導入するための組換え遺伝子伝達ウイルスとして使用可能である。AAV血清型の非制限的な例は、AAV1型(AAV-1)、AAV2型(AAV-2)、AAV3型(AAV-3)、AAV4型(AAV-4)、AAV5型(AAV-5)、AAV6型(AAV-6)、AAV7型(AAV-7)、AAV8型(AAV-8)、AAV9型(AAV-9)、鳥類のAAV、ウシのAAV、イヌのAAV、ウマのAAV、霊長類のAAV、非霊長類のAAV及びヒツジのAAVを含む。いくつかの具現例において、前記AAVは、AAV8型(AAV-8)又はAAV9型(AAV-9)である。
【0039】
知られた全てのAAV血清型のゲノム組織は、非常に類似している。AAVのゲノムは、長さが約5,000個未満のヌクレオチド(nt)である線形単鎖DNA分子である。前記ゲノムは、3個の遺伝子rep(複製)、cap(カプシド)及びaap(アセンブリー)を含む。これら3個の遺伝子は、3個のプロモーター、代案翻訳開始部位及び差次的スプライシング(differential splicing)の使用によって少なくとも9個の遺伝子産物を生成する。本開示内容のAAVベクターは、シス又はトランスとして作用する追加要素を含むことができる。特定の具現例において、ベクターゲノムを含むAAVベクターはまた、ドナー配列の5’又は3’末端に隣接している1つ以上の逆転された末端反復(ITR)配列;構成的又は調節可能な調節要素、組織特異的発現調節要素、イントロン配列、スタッファー又はフィラーポリヌクレオチド配列と共にドナー配列を転写させる発現調節要素(例えば、プロモーター又はエンハンサー);及び/又はドナー配列の3’に位置しているポリアデニン配列を有する。
【0040】
AAVは、細胞に外来DNAを伝達するためのベクターとして魅力的なものとする独特の特徴を有する。培養物において細胞のAAV感染は一般に非細胞変性であり、ヒト及び他の動物の自然感染は、無症候性且つ無症状である。さらに、AAVは、異なる類型の多数の哺乳類細胞を感染させ、生体内の個別の多数組織を標的にする可能性がある。AAVはまた、他の形態の遺伝子伝達に比べて弱い免疫反応を促進し、分裂及び停止細胞のいずれにおいても非統合ベクター(non-integrating vector)として持続発現することを含め、遺伝子伝達のための特に魅力的なウイルスシステムにさせる更なる長所を有する。また、AAVは、アデノウイルスを非活性化させるのに用いられる条件(数時間において56℃~65℃)に耐えるので、rAAV基盤ワクチンの低温保存はあまり重要でなくなる。いくつかの具現例において、本開示内容のAAVは、これら特徴のいずれか1つ以上を含む。
【0041】
本明細書に使われている用語“AAVベクター”は、アデノ関連ウイルス(AAV)の成分を含んだり、これらの成分から由来し、脳、心臓、肺、骨格筋、肝、腎臓、脾臓又は膵臓のような任意の多い組織類型のヒト細胞を含む哺乳類細胞を、試験管内又は生体内にを問わずに感染させるのに適した任意のベクターを指す。用語“AAVベクター”は、関心タンパク質をコードする少なくとも核酸分子を含むAAV型ウイルス粒子(又は、ビリオン)を指すために使われ得る。いくつかの具現例において、前記AAVベクターは、AAV起源ではなくポリヌクレオチド配列(すなわち、AAVと異種であるポリヌクレオチド、例えば、抗FAM19A5抗体)、典型的に細胞の遺伝子変形のための関心配列を含むAAVベクターを意味する“組換えAAVベクター”である。一般に、前記異種ポリヌクレオチドの側部に少なくとも1個、一般には2個のAAV逆転された末端反復配列(ITR)がある。用語AAVベクターは、AAVベクター粒子とAAVベクタープラスミドの両方を含む。
【0042】
本明細書に使われている用語“ITR”とは、逆転された末端反復のことを指す。典型的に、ITRは、原核プラスミドからパルボウイルス(例えば、AAV)DNA複製及び救出(rescue)又は切除に関与する(Daya,S.,et al,Clin Microbiol Rev 21(4):583-593(2008))。ITRは一般に、AAVプロウイルス統合及びAAV DNAをビリオンにパッケージングするのに要求される最小配列であると考えられる。したがって、これらの要素は、パルボウイルスゲノムの効率的な増殖に必須である。
【0043】
本明細書に使われている用語“血清型”とは、血清学的又はDNA配列分析方法によって同定でき、その抗原特性によって区別可能なAAVの細分された一部分を意味する。また、用語“分離”をAAVと関連して使用する時には、所定の供給源から得た特定AAV血清型を意味する。当業者であれば、前記用語が使われる文脈から、AAVサンプルの相対的純度を意味する“分離されたAAV”と特定AAV血清型のクローン由来製剤を意味する“AAV分離物”との違いが容易に認識されるであろう。
【0044】
用語“無カプシド”又は“カプシドがない”(又は、その変形)ベクター又は核酸分子とは、カプシドのないベクター構造体を指す。いくつかの具現例において、前記カプシドのないベクター又は核酸分子は、例えば、AAV Repタンパク質をコードする配列を含まない。
【0045】
いくつかの具現例において、本明細書に開示のAAVは、ヘルパーウイルスを用いて複製する。本明細書で使うAAVに対する“ヘルパーウイルス”とは、AAV(例えば、野生型AAV)が哺乳類細胞によって複製及びパッケージングされるようにするウイルスのことを指す。当業界には、アデノウイルス、ヘルペスウイルス及びワクシニア(vaccina)のようなフォックスウイルスを含むAAVに対する様々な前記ヘルパーウイルスが公知されている。サブファミリーCのアデノウイルス5型が最も普遍的に用いられているが、前記アデノウイルスは多数の異なる下位群を含む。ヒト、非ヒト哺乳類及び鳥類起源の数多くのアデノウイルスが知られており、ATCCのような寄託機関から入手可能である。ヘルペス科ウイルスの例には、ATCCのような寄託機関からも得られる巨大細胞ウイルス(CMV)及び仮性狂犬病ウイルス(PRV)だけでなく、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びエプスタインバーウイルス(EBV)を含む。
【0046】
いくつかの具現例において、本開示内容のAAVは、明確な組織標的化能力(例えば、組織向性(tissue tropisms)を有する。いくつかの具現例において、前記AAVは、1つ以上のヒト幹細胞類型において非変異体親カプシド(non-variant parent capsid)ポリペプチドに比べて増加した形質導入又は向性をさらに示す。いくつかの具現例において、前記ヒト幹細胞類型は、胚幹細胞、成体組織幹細胞(すなわち、体細胞幹細胞)、骨髄、前駆細胞、誘導多能性幹細胞及び逆分化幹細胞(reprogrammed stem cell)を含むが、これに限定されるものではない。いくつかの具現例において、成体幹細胞は、オルガノイド幹細胞(すなわち、身体内任意の関心器官又は器官系から由来した幹細胞)を含むことができる。いくつかの具現例において、AAVの標的組織は、生殖腺、横隔膜、心臓、胃、肝、脾臓、膵臓又は腎臓である。いくつかの具現例において、前記AAVの標的身体器官は、皮膚、毛髪、爪、感覚受容体、汗腺(sweat gland)、脂腺(oil gland)、骨、筋肉、脳、脊髄、神経、脳下垂体、松果腺、視床下部、甲状腺、副甲状腺、胸腺、副腎、膵臓(島組織)、心臓、血管、リンパ節、リンパ管、胸腺、脾臓、扁桃腺、鼻、咽頭、喉頭、気道、気管支、肺、口、咽頭、食道、胃、小腸、大腸、直腸、肛門管、歯牙、唾液腺、舌、肝、胆嚢、膵臓、虫垂、腎臓、尿管、膀胱、尿道、皐丸、精管、尿道、前立腺、陰茎、陰嚢、卵巣、子宮、卵管(ラッパ管)、膣、外陰部及び乳腺(乳房)を含むが、これに限定されるものではない。身体の器官系としては、外皮系、骨格系、筋肉系、神経系、内分泌系、心血管系、リンパ系、呼吸系、消化系、泌尿器系及び生殖系を含むが、これに限定されるものではない。いくつかの具現例において、形質導入及び/又は向性が約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約99%又は約100%増加する。いくつかの具現例において、形質導入及び/又は向性が約5%~約80%、約10%~約70%、約20%~約60%又は約30%~約60%増加する。
【0047】
語句“向性”及び“形質導入”は、相互関連しているが、差異点がある。本明細書で使う用語“向性”は、1つ以上の特定細胞類型を感染させるAAVベクター又はビリオンの能力を意味するが、ベクターが1つ以上の特定細胞類型に細胞を形質導入するように機能するかどうかも含むところ;すなわち、向性は、特定細胞又は組織類型へのAAVベクター又はビリオンの優先的な導入及び/又は特定細胞又は組織類型への進入を容易にする細胞表面との優先的な相互作用後、場合によってそして好ましくは細胞においてAAVベクター又はビリオンによって運搬される配列の発現(例えば、転写、及び場合によって翻訳)、例えば、組換えウイルスの場合には、異種ヌクレオチド配列の発現を意味する。本明細書で使う用語“形質導入”は、1つ以上の特定細胞類型を感染させるAAVベクター又はビリオンの能力を意味するところ;すなわち、形質導入は、AAVベクター又はビリオンを細胞内導入し、AAVベクター又はビリオン内に含まれている遺伝物質を細胞に伝達してベクターゲノムから発現を得ることを意味する。全ての場合ではないが、一部の場合では形質導入と向性は相関関係があってもよい。
【0048】
本明細書で使う用語“感染多重度”又は“MOI”は、宿主細胞の形質注入又は形質導入中に用いられる統合ベクター対宿主細胞の比を意味する。例えば、100,000個の宿主細胞を形質導入するために1,000,000個のベクターを使用する場合には、感染多重度が10である。この用語の使用は、形質導入を伴う場合に限らず、その代わりにリポフェクション、微細注入、リン酸カルシウム沈殿及び電気穿孔のような方法によって宿主にベクターを導入することを含む。
【0049】
用語“神経病症性疼痛”は、中枢神経系(CNS)及び/又は末梢神経系の任意のレベルに影響を及ぼす傷害、損傷及び/又は不適切な機能による疼痛を意味する。用語“神経病性疼痛”は、神経病症性疼痛の原因と一部及び全ての症状に関係なく、一部及び全ての類型の神経病性疼痛を含む。
【0050】
神経病性疼痛は、中枢神経病性疼痛及び末梢神経病性疼痛を含む。本願で使われている用語“中枢神経病性疼痛”は、障害、先天的欠陥又は中枢神経系(すなわち、脳又は脊髄)損傷に起因する疼痛を指す。本明細書で使う用語“末梢神経病性疼痛”は、末梢感覚神経の損傷又は感染に起因する疼痛のことを指す。
【0051】
神経病性疼痛の症状は、持続性/慢性疼痛、自発性疼痛だけでなく、異質痛(例えば、平常時には疼痛がない刺激に対する疼痛反応)、痛覚過敏(例えば、一般に、ピンで刺すような単なる軽症の不便を引き起こす疼痛性刺激に対する際立った反応)、感覚過敏(例えば、刺激、特に皮膚の刺激に対する過度な身体的過敏性)又は痛覚過敏(例えば、短い不便さが長期間重症の疼痛になる場合)を含むことができる。いくつかの具現例において、症状は、長く持続することがあり、1次原因が存在する場合、それを解決した後に持続することがある。Merck Manual,Neuropathic Pain,merckmanuals.com/professional/neurologic-disorders/pain/neuropathic-painから入手可能;Campbell J.N.and Meyer R.A.Neuron 52(1):77-92(2006)。
【0052】
いくつかの具現例において、神経病性疼痛の類型は、(1)神経痛、(2)求心路遮断疼痛症候群(deafferentation pain syndrome)、(3)複合部位疼痛症候群(CRPS)、及び(4)神経病症(中枢又は末梢)を含むことができる。
【0053】
いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は一般に、神経構造のいかなる明白な病理学的変化無しで1つ以上の特定神経(例えば、脳神経)の経路に沿って広がる疼痛を意味する神経痛である。神経痛には三叉神経痛(TN)、非定型三叉神経痛(ATN)、喉頭神経痛、舌咽神経痛、疱疹後神経痛(帯状疱疹又はヘルペスによって誘発される)、末梢神経損傷疼痛、座骨神経痛、腰痛及び非定型顔面痛を含むが、これに限定されない。化学的刺激、慢性腎臓疾患、糖尿病、炎症、外傷(手術を含む)、近隣構造(例えば、腫瘍)による神経圧迫、特定薬物(例えば、シスプラチン、パクリタキセル又はビンクリスチン)、ポルフィリン症(血液障害)、及び感染(例えば、ヘルペス疱疹(帯状疱疹)、HIV/AIDS、ライム病又は梅毒)はいずれも神経痛につながることがある。
【0054】
いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、身体一部から感覚入力(sensory input)の喪失(例えば、末梢感覚線維又は中枢神経系の神経遮断によって引き起こされる)に起因し得る求心路遮断疼痛症候群である。求心路遮断疼痛症候群は、脳又は脊髄損傷、脳卒中後疼痛、幻肢痛(phantom pain)、下肢麻痺、腕神経叢剥離性損傷及び腰推部神経根病変を含むが、これに限定されるものではない。
【0055】
いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、腕又は脚に最も一般的に影響を及ぼす慢性疼痛症状である“複合部位疼痛症候群”(CRPS)である。いくつかの具現例において、前記CRPSは、傷害、手術、脳卒中又は心臓麻痺後に発病する。特定の具現例において、前記CRPSは、I型CRPS(CRPS-I)(反射交感神経異常症症候群とも知られている)である。神経損傷が確診されていない個人は、しばしばCRPS-1を持つものと分類される。他の具現例において、前記CRPSは、確診された神経損傷と関連があるII型CRPS(CRPS-II)(灼熱痛とも知られている)である。
【0056】
いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、神経の機能的又は病理学的変化(例えば、疾患又は損傷)に起因する疼痛を意味する神経病症である。神経病症は通常、臨床的に感覚又は運動神経細胞異常を特徴とし得る。特定の具現例において、前記神経病症は、中枢神経病症(例えば、中枢神経系の機能的又は病理学的変化)である。他の具現例において、前記神経病症は、末梢神経病症(例えば、運動神経、感覚神経、自律神経又はこれらの組合せを含む1つ以上の末梢神経の機能的又は病理学的変化)である。いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は、単一神経又は神経群に対する機能的又は病理学的変化を伴う(すなわち、単一神経病症)。いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は様々な神経(局所的又は全身的に)に影響を及ぼす機能的又は病理学的変化を伴う(すなわち、多発神経病症)。いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は、身体の両側に略同一に影響を及ぼす(すなわち、対称性多発神経病症)。いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は、身体の全く異なる領域に影響を及ぼす(例えば、多発性単一神経炎、多焦点単一神経病症又は多発性単一神経病症)。
【0057】
本明細書で使う“単一神経病症”は、単一末梢神経又は神経群の損傷又は破壊によって引き起こされた領域に対する運動又は感覚の喪失を伴う末梢神経病症である。単一神経病症は、局所部位の損傷又は外傷によって最も頻繁に発生し、これは、例えば、単一神経に長期間の圧力/圧迫を招く。しかし、特定全身障害(例えば、多発性単一神経炎)また単一神経病症を起こすことがある。いくつかの具現例において、前記局所部位に対する損傷又は外傷は、神経の髄鞘(外皮)又は神経細胞(軸索)の一部破壊を引き起こして神経を通じた刺激の伝導を遅延又は防止することができる。いくつかの具現例において、前記単一神経病症は、身体のいかなる部分にも影響を及ぼし得る。単一神経病性疼痛の例は、座骨神経機能障害、一般の鼻骨神経機能障害、腰骨神経機能障害、脊骨神経機能障害、頭蓋骨単一神経病症VI、頭蓋骨単一神経病症VII、頭蓋骨単一神経病症III(圧迫型)、頭蓋骨単一神経病症III(糖尿病型)、腋窩神経機能障害、手首トンネル症候群、大腿神経機能障害、脛骨神経機能障害、顔面神経痲痺(Bell’s palsy)、胸部出口症候群、手首トンネル症候群及び第6(外転)神経痲痺を含むが、これに限定されるものではない。Finnerup N B et al.,Pain 157(8):1599-1606(2016);ninds.nih.gov/disorders/peripheralneuropathy/detailj3eripheralneuropathy.htmから入手可能なNational Institute of Neurological Disorders and Stroke,Peripheral Neuropathy Fact Sheet。いくつかの具現例において、前記単一神経病症性疼痛は、座骨神経痛である。
【0058】
本明細書で使う“多発神経病症”は、多数の末梢神経の損傷又は破壊によって引き起こされた領域に対する運動又は感覚の喪失を伴う末梢神経病症である。多発神経病性疼痛は、小児痲痺後症候群、乳房切除後症候群、糖尿病性神経病症、アルコール神経病症、アミロイド、毒素、AIDS、甲状腺機能低下症、尿毒症、ビタミン欠乏症、化学療法誘発疼痛、2’,3’-ジデオキシシチジン(ddC)治療、ギランバレー症候群又はファブリー病を含むが、これに限定されるものではない。Finnerup N.B.et al.,Pain 157(8):1599-1606(2016);National Institute of Neurological Disorders and Stroke,ninds.nih.gov/disorders/peripheralneuropathy/detail3eripheralneuropathy.htmから入手可能なPeripheral Neuropathy Fact Sheet.いくつかの具現例において、前記多発神経病症は、糖尿病性末梢神経病症である。特定の具現例において、前記糖尿病性末梢神経病症は、糖尿病被験者の血液内高い血中グルコース濃度(血糖)及び/又は高い濃度の脂肪(例えば、トリグリセリド)によって引き起こされ、これは、患者の末梢神経を損傷させる。
【0059】
いくつかの具現例において、本明細書に開示の末梢神経病症は、損傷又は影響を受ける神経細胞の部分(例えば、軸索、髄鞘又は細胞体)に基づいて分類可能である。いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は、軸索の代謝又は毒性異常に起因する遠位軸索病症である。いくつかの具現例において、前記代謝異常は、糖尿病、腎不全症、栄養失調のような欠乏症候群及びアルコール中毒を含む。いくつかの具現例において、前記代謝異常は、糖尿病であり、前記遠位軸索病症は、糖尿病性神経病症である。
【0060】
いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は、刺激伝導の急性不全を起こす髄鞘又は髄鞘化シュワン細胞に対する主要攻撃による髄鞘病症である。最も一般的な原因は、急性炎症性脱髄鞘性多発神経病症(AIDP、ギランバレー症候群とも知られている。)であるが、他の原因としては、慢性炎症性脱髄鞘性症候群(CIDP)、遺伝的代謝障害(例えば、大脳白質萎縮症(leukodystrophy))又は毒素を含む。
【0061】
いくつかの具現例において、前記末梢神経病症は、末梢神経系(PNS)神経細胞の破壊による神経病症である。いくつかの具現例において、前記神経病症は、運動神経細胞疾患、感覚神経病症(例えば、ヘルペス帯状疱疹)、毒素又は自律神経機能障害によって誘発される。いくつかの具現例において、前記神経病症は、化学治療剤ビンクリスチンのような神経毒によって誘発される。
【0062】
神経病性疼痛は、様々な原因(例えば、身体的傷害(例えば、外傷又は反復的なストレス)、疾患又は障害、有毒物質への露出又はこれらの組合せ)によって発生したり、或いはそれと関連があり得る。いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、例えば、神経圧迫損傷(例えば、神経挫滅、神経伸長、神経捕捉又は不完全な神経切開);脊髄損傷(例えば、脊髄の半切断);末梢神経(例えば、運動神経、感覚神経又は自律神経、又はこれらの組合せ)の傷害又は損傷、四肢切断;打撲傷;炎症(例えば、脊髄炎症);又は外科的処置のような外傷性傷害又は損傷によって発生したり、或いはそれと関連がある。いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、例えば、長期間に特定群の関節の運動を必要とする反復的で、不便で/又は強制的な活動を含む反復的なストレスに起因したり、或いはこれと関連がある。これによって生じる刺激は、いずれか一つの理論に拘束されることはないが、靭帯、腱及び筋肉に炎症を起こして腫れ上がらせ、神経の通る狭い通路を収縮させることがある(例えば、肘又は手首で閉じ込められたり圧迫された神経の神経病症である脊骨神経病症及び手首トンネル症候群)。いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、例えば、虚血事例(例えば、脳卒中又は心臓麻痺)、多発性硬化症、代謝及び/又は内分泌疾患又は障害(例えば、糖尿病、代謝性疾患及び成長ホルモンの過剰生産によって誘発され、神経捕捉及び疼痛を起こす関節を含む骨格の一部が異常に大きくなることを特徴とする症状である末端肥大症)、神経組織損傷(例えば、血管炎、すなわち血管炎症)、自己免疫疾患(例えば、シェーグレン症候群、ループス、リウマチ関節炎及びギランバレー症候群とも知られた急性炎症性脱髄鞘性神経病症)につながる末梢神経に供給される酸素の減少を引き起こす小血管疾患、腎臓障害、癌又は腫瘍(例えば、血管新生腫瘍、神経腫、腫瘍随伴症候群(paraneoplastic syndrome)、癌治療時化学治療剤と放射線の毒性、感染(例えば、ヘルペス水痘疱疹(帯状疱疹)、エプスタインバーウイルス、ウエストナイルウイルス、巨大細胞ウイルス及び単純ヘルペスウイルス、後天性免疫欠乏症候群(AIDS)のようなウイルス又はライム病、ジフテリア及びハンセン病のようなバクテリアによる感染)、炎症性障害、末梢神経障害(例えば、神経腫)、先天的に又は新たに(de novo)発生する遺伝的障害(例えば、シャルコーマリートゥース(Charcot-Marie-Tooth)障害は、下腿と足筋肉の深刻な弱化及び損失、歩行異常、腱反射の喪失、下肢麻痺を含む)、単一神経病症又は多発神経病症を含む疾患又は障害に起因したり、或いはこれと関連がある。いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、感染源(例えば、ダニ媒介感染、ヘルペス水痘疱疹、エプスタインバーウイルス、ウエストナイルウイルス、巨大細胞ウイルス、単純疱疹ウイルス、AIDS)に起因したり、或いはこれと関連がある。いくつかの具現例において、前記神経病症性疼痛は、例えば、薬物、アルコール、重金属(例えば、鉛、ヒ素、水銀)、産業用物質(例えば、接着剤から出る溶媒、煙)又は亜酸化窒素を含む有毒物質への露出に起因したり、或いはこれと関連がある。
【0063】
疾患又は障害と“関連がある神経病症性疼痛”とは、疾患又は障害(例えば、、本明細書に開示のもの)を随伴したり、疾患又は障害(例えば、本明細書に開示のもの)によって引き起こされたり、或いはこれに起因する神経病性疼痛のことを指す。
【0064】
本明細書で使う用語“治療する(treat)”、“治療する(treating)”及び“治療(treatment)”は、疾患関連症候群、合併症、症状又は生化学的徴候の進行、発達、重症度又は再発を反転、緩和、改善、阻害又は遅延又は予防しようとする目的で対象に行われた任意類型の介入又は過程、又は対象に活性剤を投与することを指す。治療は、疾患のある対象又は疾患のない対象(例えば、予防用)に対して行われ得る。
【0065】
本明細書で使う“投与”は、当業者に公知の様々な方法と伝達系のうち任意のものを用いて対象に治療剤又は治療剤を含む組成物を物理的に導入することを指す。本明細書に記載の抗体に対する好ましい投与経路は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄、硝子体内、又は例えば注射又は注入による他の非経口投与経路を含む。本明細書で使う用語“非経口投与”は一般に、注射による腸内及び局所投与以外の投与方式を意味し、これに制限されないが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病変内、被膜内、眼窩内、心臓内、血内、経気管、皮下、表皮下、硝子体内、関節内、皮膜下、蜘蛛膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入だけでなく、生体内電気穿孔を含む。これと違い、本明細書に記載の抗体は、非経口経路、例えば、局所、表皮又は粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣内、直腸、舌下又は局所投与され得る。投与はまた、例えば1回、複数回及び/又は1回以上の延長された期間にわたって行われ得る。
【0066】
本明細書で使う用語“治療有効量”は、対象の疾患又は障害を“治療”したり、疾患又は障害(例えば、神経病性疼痛)の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させるのに効果的な薬物単独又は他の治療剤と組み合わせた薬物の量を指す。“治療有効量”は、疾患又は障害(例えば、本明細書に開示の神経病性疼痛)を有するか、有する危険のある対象に、一部の改善又は実益を提供する薬物又は治療剤の量を含む。これによって、“治療有効量”は、疾患又は障害の危険、潜在性、可能性又は発生を減少させたり、又は一部緩和、軽減を提供し/又は少なくとも1つの指標(例えば、神経病性疼痛)を減少させ/又は疾患又は障害の少なくとも1つの臨床症状を減少させる量である。
【0067】
本明細書で使う用語“対象”は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。用語“非ヒト動物”は、全ての脊椎動物、例えば哺乳類及び非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両棲類、爬虫類などのような非哺乳類を含む。
【0068】
用語“配列類似性19を持つファミリー、メンバーA5”又は“FAM19A5”は、相同性の高い5個のタンパク質のTAFAファミリー(FAM19ファミリーとも知られている)に属し、主に脳と脊髄で発現するタンパク質を指す。FAM19A5は、TAFA5又はケモカイン様タンパク質TAFA-5とも知られている。
【0069】
ヒトにおいてFAM19A5をコードする遺伝子は、染色体22に位置している。選択的スプライシングによって生産されるとみられる、次のような複数のヒトFAM19A5(UniProt:Q7Z5A7)アイソ型(isoform)がある:132個のアミノ酸からなるアイソ型1(UniProt:Q7Z5A7-1)、125個のアミノ酸からなるアイソ型2(UniProt:Q7Z5A7-2)及び53個のアミノ酸からなるアイソ型3(UniProt:Q7Z5A7-3)。ヒトFAM19A5タンパク質は、膜結合及び可溶性(分泌)の形態で存在するとみられる。アイソ型1は、一つの膜貫通領域を持つ膜であるとみられる。Tang T.Y.et al.,Genomics 83(4):727-34(2004)に、分泌されたタンパク質(可溶性)として報告されたアイソ型2は、アミノ酸位置1-25番に信号ペプチドを含有している。アイソ型1は、膜タンパク質であるとみられる。次は、3個の公知されたヒトFAM19A5アイソ型のアミノ酸配列である。
【0070】
(I)アイソ型1(UniProt:Q7Z5A7-1、膜貫通タンパク質):このアイソ型を標準配列として選定した。
【0071】
MAPSPRTGSR QDATALPSMS STFWAFMILA SLLIAYCSQL AAGTCEIVTL DRDSSQPRRT IARQTARCAC RKGQIAGTTR ARPACVDARI IKTKQWCDML PCLEGEGCDL LINRSGWTCT QPGGRIKTTT VS(配列番号1)
(II)アイソ型2(UniProt:Q7Z5A7-2、可溶性タンパク質):
MQLLKALWAL AGAALCCFLV LVIHAQFLKE GQLAAGTCEI VTLDRDSSQP RRTIARQTAR CACRKGQIAG TTRARPACVD ARIIKTKQWC DMLPCLEGEG CDLLINRSGW TCTQPGGRIK TTTVS(配列番号2)
(III)アイソ型3(UniProt:Q7Z5A7-3):
MYHHREWPAR IIKTKQWCDM LPCLEGEGCD LLINRSGWTC TQPGGRIKTT TVS(配列番号3)
用語“FAM19A5”は、細胞によって自然的に発現するFAM19A5の任意の変異体又はアイソ型を含む。したがって、本明細書に記載された抗体は、同一種内の異なるアイソ型(例えば、ヒトFAM19A5の異なるアイソ型)と交差反応したり、或いはヒト以外の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)と交差反応し得る。これと違い、前記抗体は、ヒトFAM19A5に特異的であり得、異なる種とはいかなる交差反応も示さないことがある。FAM19A5又はその任意の変異体及びアイソ型は、これらを自然的に発現させる細胞又は組織から分離されたり、或いは組換えによって生産され得る。ヒトFAM19A5をコードするポリヌクレオチドは、GenBank受託番号BC039396、及び次のような配列を有する:
【0072】
【表1】
【0073】
用語“FAM19A5タンパク質に対する拮抗剤”は、FAM19A5タンパク質の発現を抑制する全ての拮抗剤のことを指す。このような拮抗剤は、ペプチド、核酸又は化合物であり得る。より具体的に、前記拮抗剤は、FAM19A5を標的にするアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、miRNA、dsRNA、アプタマー、PNA(ペプチド核酸)又はこれを含むベクターであり得る。いくつかの具現例において、前記拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体又はその抗原結合部分であり得る。
【0074】
用語“抗体(antibody)”及び“抗体(antibodies)”は、当業界の用語であり、本明細書で互換して使用可能であり、抗原に特異的に結合する抗原結合部位を持つ分子を指す。本明細書で使う用語は、全抗体及びこれらの任意の抗原結合断片(すなわち、“抗原結合部分”)又は単鎖を含む。いくつかの具現例において、“抗体”は、二硫化結合によって互いに連結された少なくとも2個の重(H)鎖及び2個の軽(L)鎖を含む糖タンパク質又はその抗原結合部分を指す。他の具現例において、“抗体”は、単一可変ドメイン、例えばVHHドメインを含む単鎖抗体を指す。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではVHと略す。)及び重鎖定常領域からなっている。特定の自然発生抗体において、前記重鎖定常領域は3個のドメインCH1、CH2及びCH3からなっている。特定の自然発生抗体においてそれぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと略す。)及び軽鎖定常領域からなっている。前記軽鎖定常領域は、一つのドメインCLからなっている。
【0075】
前記VH及びVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称する、より保存された領域が散在している、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性領域にさらに細分化できる。VH及びVLのそれぞれは、アミノ末端からカルボキシ末端まで次のような順序で配置されている3個のCDR及び4個のFRからなっている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3及びFR4。前記重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。前記抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、効果器細胞)及び古典的補体系の第1成分(Clq)をはじめとする宿主組織又は因子に免疫グロブリンが結合することを媒介できる。
【0076】
用語“Kabat番号表記(Kabat numbering)”及び類似の用語は、当業界で認定されており、抗体又はその抗原結合部分の重鎖及び軽鎖可変領域においてアミノ酸残基の番号を表記する体系のことを指す。特定の側面において、抗体のCDRはKabat番号表記体系にしたがって決定され得る(例えば、Kabat EA & Wu
TT(1971)Ann NY Acad Sci 190:382-391 and
Kabat EA et al,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242参照)。Kabat番号表記体系を用いると、抗体重鎖分子内CDRは、典型的に、アミノ酸位置31~35番(CDR1)(場合によって35番以降に1個又は2個の追加アミノ酸を含んでもよい(Kabat番号表記方式では35A及び35Bと称する。)、アミノ酸位置50~65番(CDR2)及びアミノ酸位置95~102番(CDR3)に存在する。Kabat番号表記体系用いると、抗体軽鎖分子内CDRは、典型的に、アミノ酸位置24~34番(CDR1)、アミノ酸位置50~56番(CDR2)及びアミノ酸位置89~97番(CDR3)に存在する。特定の具現例において、本明細書に記載の抗体のCDRは、Kabat番号表記方式によって決定している。
【0077】
語句“Kabatにおけると同じアミノ酸位置番号表記”、“Kabat位置”及びこれらの文法的変形は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)において抗体コンピレーションの重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに対して使われる番号表記体系のことを指す。この番号表記体系を用いると、実際の線形アミノ酸配列は、可変ドメインのFW又はCDRの短縮又はこれに挿入することに該当するものに該当する追加アミノ酸を含有することができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52番以降に挿入された単一アミノ酸(Kabatによれば、残基52a番)及び重鎖FW残基82番以降に挿入された残基(例えば、Kabatによれば、残基82a番、82b番及び82c番など)を含むことができる。表1Bを参照されたい。
【0078】
【表2】
【0079】
所定の抗体に対する残基のKabat番号表記は、“標準”Kabat番号表記された配列と前記抗体の配列の相同性の領域において整列によって決定され得る。代わりに、Chothiaは、構造ループの位置のことを指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat番号表記慣例を用いて番号表記した時、Chothia CDR-H1ループの末端は、ループの長さによってH32~H34の間で変わる(これは、Kabat番号表記方式がH35AとH35Bで挿入(insertions)を置くためである;35Aも35Bもないと、ループは32で終わる;35Aだけあると、ループは33で終わる;35Aと35Bの両方があると、ループは34で終わる)。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループ間の折衝を代弁するもので、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって用いられる。
【0080】
IMGT(ImMunoGeneTics)も、CDRを含む免疫グロブリン可変領域に対する番号表記体系を提供する。例えば、本明細書に参考として含まれるLefranc,M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.27:55-77(2003)を参照されたい。IMGT番号表記体系は、5,000個を超える配列の整列、構造データ及び超可変ループの特性分析に基づくものであり、全ての種に対して可変及びCDR領域の比較を容易にする。IMGT番号表記スキーマによれば、VH-CDR1は26番~35番位置にあり、VH-CDR2は位置51番~57番位置にあり、VH-CDR3は93番~102番位置にあり、VL-CDR1は27番~32番位置にあり、VL-CDR2は50番~52番位置にあり、VL-CDR3は89番~97番位置にある。
【0081】
本開示内容で論議される全ての重鎖定常領域アミノ酸位置に対して、番号表記は、配列化された最初のヒトIgG1である骨髄腫タンパク質EUのアミノ酸配列を記載したEdelman et al.,1969,Proc.Natl.Acad.Sci.USA
63(1):78-85)に最初に記載されたEUインデックスに従う。Edelman et al.のEUインデックスはまた、Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesdaに提示されている。これによって、語句“Kabatに提示されたEUインデックス”又は“KabatのEUインデックス”及び“Kabatに提示されたEUインデックスに従う位置...”及びこれらの文法的変形は、Kabat 1991に提示されたEdelman et al.のヒトIgG1EU抗体に基づく残基番号表記体系のことを指す。
【0082】
可変ドメイン(重鎖及び軽鎖両方)及び軽鎖定常領域アミノ酸配列に用いられた番号表記体系は、Kabat 1991に提示されているものである。
【0083】
抗体は、免疫グロブリン分子の任意の類型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY)、任意の類型(例えば、IgD、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1又はIgA2)、又は任意の亜型(例えば、ヒトにおいてIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4;及びマウスにおいてIgG1、IgG2a、IgG2b及びIgG3)を有することができる。免疫グロブリン、例えば、IgG1は、最大限でいくつかのアミノ酸において互いに異なる様々な同種異因子型(allotype)で存在する。本明細書に開示の抗体は、通常知られたアイソ型、類型、亜型又は同種異因子型のいずれかからなり得る。特定の具現例において、本明細書に開示の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4亜型又はこれらの任意の混成型である。特定の具現例において、前記抗体は、ヒトIgG1亜型又はヒトIgG2又はヒトIgG4亜型を有する。
【0084】
“抗体”は、例えば、自然発生及び非自然発生抗体;単クローン性及び多クローン性抗体;キメラ及びヒト化抗体;ヒト及び非ヒト抗体、全合成抗体;単鎖抗体;単一特異的抗体;多重特異的抗体(二重特異的抗体を含む);2個の重鎖と2個の軽鎖分子を含むテトラマー抗体;抗体軽鎖モノマー;抗体重鎖モノマー;抗体軽鎖ダイマー;抗体重鎖ダイマー;抗体軽鎖-抗体重鎖対;細胞内抗体(intrabody);ヘテロコンジュゲート(heteroconjugate)抗体;1価抗体;単鎖抗体;ラクダ化(camelized)抗体;アフィボディ(affybody);抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、及び完全に抗原結合可能な単一モノマー可変抗体ドメイン(例えば、VHドメイン又はVLドメイン)からなる結合分子を含む単一ドメイン抗体(sdAb)を含む(Harmen M.M.and Haard H.J.Appl
Microbiol Biotechnol.77(1):13-22(2007))。
【0085】
本明細書で使う用語、抗体の“抗原結合部分”及び“抗原結合断片”は互換的であり、抗原(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する能力を保有した抗体の1つ以上の断片を指す。このような“断片”は、例えば、約8~約1500個のアミノ酸長であり、好適には、約8~約745個アミノ酸長、好適には約8~約300個、例えば、約8~約200個アミノ酸又は約10個~約50個又は100個アミノ酸長である。抗体の抗原結合機能は全長抗体の断片によって行われ得るということが明らかにされた。抗体、例えば、本明細書に開示の抗FAM19A5抗体の“抗原結合部分”という用語に含まれる結合断片の例は、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる1価断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域で二硫化連結部によって連結された2個のFab断片を含む2価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一腕のVL及びVHドメイン及び二硫化連結されたFvs(sdFv)からなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,(1989)Nature 341:544-546);及び(vi)分離された相補性決定領域(CDR)又は(vii)場合によって合成リンカーによって接合され得る2個以上の分離されたCDRの組合せを含む。また、Fv断片の2個のドメインであるVLとVHは、別個の遺伝子によってコードされるが、これらは、組換え方法を用いてこれらをVLとVH領域が対をなして1価分子を形成する単一タンパク質鎖(単鎖Fv(scFv)として知られている)として作り得る合成リンカーによって接合され得る;例えば、Bird et al.,(1988)Science 242:423-426;及びHuston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883参照。このような単鎖抗体はまた、抗体の“抗原結合部分”という用語内に含まれる。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来技術を用いて得られ、前記断片は、無損傷抗体と同じ方式で有用性に対してスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって又は無損傷免疫グロブリンの酵素的又は化学的切断によって生成され得る。
【0086】
本明細書で使われる用語“可変領域”と“可変ドメイン”は互換され、当業界において普遍的である。前記可変領域とは、典型的に抗体の一部、一般に軽鎖又は重鎖の一部を指すものであり、典型的に、前記成熟した重鎖内には約アミノ末端110~120個のアミノ酸があり、前記成熟した軽鎖内には約90~115個のアミノ酸があり、これらは、抗体間において配列が広範囲に異なり、特定抗体の特定抗原に対する結合と特異性において使用される。前記配列可変性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中するが、前記可変ドメインにおいてより高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。
【0087】
特定機転又は理論に限定されるわけではないが、前記軽鎖及び重鎖のCDRは、抗原と抗体の相互作用及び特異性を主に担当するものとみられる。特定の具現例において、前記可変領域は、ヒト可変領域である。特定の具現例において、前記可変領域は、齧歯類又はネズミ科のCDRとヒトフレームワーク領域(FR)を含む。特定の具現例において、前記可変領域は、霊長類(例えば、非ヒト霊長類)可変領域である。特定の具現例において、前記可変領域は、齧歯類又はネズミ科のCDRと霊長類(例えば、非ヒト霊長類)フレームワーク領域(FR)を含む。
【0088】
本明細書で使う用語“重鎖(HC)”は、抗体と関連して用いたとき、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてIgGの亜型、例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4を含み、それぞれ抗体のIgA、IgD、IgE、IgG及びIgM類型を発生させる任意の別個のタイプ、例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指すことができる。
【0089】
本明細書で使う用語“軽鎖(LC)”は、抗体と関連して用いたとき、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて任意の別個のタイプ、例えば、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のことを指すことができる。軽鎖アミノ酸配列は、当業界によく公知されている。特定の具現例において、前記軽鎖は、ヒト軽鎖である。
【0090】
用語“VL”及び“VLドメイン”は、抗体の軽鎖可変領域のことを指すために互換的に使われる。
【0091】
用語“VH”及び“VHドメイン”は、抗体の重鎖可変領域のことを指すために互換的に使われる。
【0092】
本明細書で使う用語“定常領域”又は“定常ドメイン”は互換的であり、当業界における通常の意味を有する。前記定常ドメインは、抗体部分、例えば、抗原に対する抗体の結合に直接関与することはないが、Fc受容体との相互作用のような様々な効果器機能を示し得る軽鎖及び/又は重鎖のカルボキシ末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は一般に、免疫グロブリン可変ドメインに比べてより保存されたアミノ酸配列を有する。
【0093】
“Fc領域”(断片結晶化可能な領域)又は“Fcドメイン”又は“Fc”は、免疫系の様々な細胞(例えば、効果器細胞)上に位置しているFc受容体又は古典的補体系の第1成分(C1q)に対する結合を含み、宿主組織又は因子に免疫グロブリンが結合することを媒介する抗体の重鎖のC末端領域のことを指す。これによって、Fc領域は、第1定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1又はCL)を除く抗体の定常領域を含む。IgG、IgA及びIgD抗体アイソ型において、Fc領域は、抗体の2個の重鎖の第2(CH2)及び第3(CH3)定常ドメインから由来した2個の同じタンパク質断片を含み;IgM及びIgE Fc領域は、それぞれのポリペプチド鎖にある3個の重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を含む。IgGの場合、Fc領域は免疫グロブリンドメインCγ2とCγ3との間及びCγ1とCγ2との間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は変わり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は一般に、C226番又はP230番の位置にあるアミノ酸残基(又は、これら2個のアミノ酸の間のアミノ酸)から重鎖のカルボキシ末端まで伸長されるものに限定されるが、番号表記は、Kabatにおけると同様にEUインデックスに従う。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは、約アミノ酸231番から約アミノ酸340番に延長されており、CH3ドメインは、Fc領域においてCmドメインのC末端側に位置しているところ、すなわち、IgGの約アミノ酸341番から約アミノ酸447番に延長されている。本明細書で使うFc領域は、任意の同種異因子型変異体を含む天然配列Fc、又は変異体Fc(例えば、非自然発生Fc)であり得る。Fcはまた、この領域が分離状態にあるか、又は“Fc融合タンパク質”(例えば、抗体又は免疫癒着(immunoadhesion))とも呼ばれる“Fc領域を含む結合タンパク質”のようなFc含有タンパク質ポリペプチドと関連して意味するものであり得る。
【0094】
“天然配列Fc領域”又は“天然配列Fc”は、自然から発見されたFc領域のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域は、天然配列ヒトIgG1 Fc領域;天然配列ヒトIgG2 Fc領域;天然配列ヒトIgG3 Fc領域;及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域だけでなく、これらの自然発生変異体も含む。天然配列Fcは、Fcの様々な同種異因子型を含む(例えば、Jefferis et al.(2009)mAbs 1:1;Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
【0095】
“Fc受容体”又は“FcR”は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRは、Fcγファミリーの受容体とこれら受容体の対立遺伝子変異体及び他の方式でスプライシングされた形態を含む。前記Fcγファミリーは、3個の活性化受容体(マウスのFcγRI、FcγRIII及びFcγRIV;ヒトのFcγRIA、FcγRIIA及びFcγRIIIA)と一つの阻害受容体(FcγRIIB)からなっている。ヒトIgG1は、大部分のヒトFc受容体と結合し、最も強いFc効果器機能を導き出す。ヒトIgG1は、それが結合する活性化Fc受容体の類型と関連してネズミのIgG2aと同等なものと見なすことができる。逆に、ヒトIgG4は、最小のFc効果器機能を導き出す(Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)参照)。
【0096】
前記定常領域は、1つ以上の効果器機能を除去するために、例えば組換え技術によって操作され得る。“効果器機能”は、抗体Fc領域とFc受容体又はリガンドの相互作用又はそれから生じる生化学的反応を指す。例示的な“効果器機能”は、C1q結合、補体依存性細胞毒性(CDC)、Fc受容体結合、ADCC及び抗体依存性細胞媒介食作用(ADCP)のようなFcγR媒介効果器機能及び細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体;BCR)の下向き調節を含む。このような効果器機能は一般に、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイン)と組み合わせられることを必要とする。したがって、用語 “Fc機能のない定常領域”は、Fc領域によって媒介された1つ以上の効果器機能が減
少したり又は存在しない定常領域を含む。
【0097】
抗体の効果器機能は、互いに異なる接近法によって減少又は回避され得る。抗体の効果器機能は、Fc領域が欠如している抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)又はモノマーVH又はVLドメインからなるsdAbのような)を使用することによって減少又は回避され得る。これと違い、Fc領域の他の価値ある特性(例えば、長い半減期及びヘテロダイマー化)は保有しながらFc領域において特定残基に連結されている糖を除去して抗体の効果器機能を減少させることによって、いわゆる無糖化(aglycosylated)抗体が生成され得る。無糖化抗体は、例えば、糖が付着している残基を欠失又は変更することによって、糖を酵素的に除去することによって、グリコシル化阻害剤の存在の下に培養された細胞に抗体を生産することによって、又はタンパク質をグリコシル化できない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞)において抗体を発現させることによって生成され得る。例えば、米国特許公開番号20120100140を参照する。他の接近法は、効果器機能が減少したIgG亜型のFc領域を利用することであり、例えば、IgG2及びIgG4抗体は、IgG1及びIgG3に比べてより低いレベルのFc効果器機能を有することを特徴とする。Fc部分のCH2ドメインにおいてヒンジ領域の最も近くにある残基が抗体の効果器機能を担当するが、先天免疫系の効果器細胞上でC1q(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対して大きく重なった結合部位を含有しているわけである(Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開))。したがって、Fc効果器機能が減少したり或いは存在しない抗体は、例えば、IgG4アイソ型のIgG抗体のCH2ドメインとIgG1アイソ型のIgG抗体のCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2のヒンジ領域とIgG4のCH2領域を含むキメラFc領域(例えば、Lau C.et al.J.Immunol.191:4769-4777(2013)参照)、又はFc効果器機能を変更、例えばFc機能を減少させたり或いはなくす突然変異を持つFc領域を生成させることによって製造され得る。突然変異があるこのようなFc領域は、当業界に公知されている。例えば、開示内容が全体的に本明細書に参考として含まれる米国特許公開番号20120100140とそこに引用されている米国出願とPCT出願及びAn et al.,mAbs 1:6,572-579(2009)を参照する。
【0098】
“ヒンジ”、“ヒンジドメイン”又は“ヒンジ領域”又は“抗体ヒンジ領域”は、CH1ドメインをCH2ドメインと接合させてヒンジの上、中及び下部を含む重鎖定常領域のドメインのことを指す(Roux et al.,J.Immunol.1998 161:4083)。前記ヒンジは抗体の結合及び効果器領域間の可撓性のレベル変化を提供し、また2個の重鎖定常領域間の分子間二硫化結合のための部位を提供する。本明細書に開示されているように、ヒンジは、全てのIgGアイソ型に対してGlu216から始まってGly237で終わる(Roux et al.,1998 J Immunol 161:4083)。野生型IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4ヒンジの配列が当業界に知られている。例えば、Kabat EA et al.,(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)を参照する。
【0099】
用語“CH1ドメイン”は、重鎖定常ドメインにおいてヒンジに可変ドメインを連結する重鎖定常領域のことを指す。本明細書で使うCH1ドメインは、A118から始まってV215で終わる。用語“CH1ドメイン”は、野生型CH1ドメインだけでなく、その自然に存在する変異体(例えば、同種異因子型)を含む。IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4(野生型及び同種異因子型を含む)のCH1ドメイン配列は、当業界に公知されている(例えば、上のKabat EA et al.,(1991)及びVidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開参照)。例示的なCH1ドメインは、例えば、米国特許公開第20120100140号及びそこに引用されている米国特許、公開公報及びPCT公報に記載されている抗体の生物学的活性、例えば、半減期を変更する突然変異を持つCH1ドメインを含む。
【0100】
用語“CH2ドメイン”は、重鎖定常ドメインでCH3ドメインにヒンジを連結する重鎖定常領域のことを指す。本明細書で使うCH2ドメインは、P238から始まってK340で終わる。用語“CH2ドメイン”は、野生型CH2ドメインだけでなく、その自然に存在する変異体(例えば、同種異因子型)を含む。IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4(野生型及び同種異因子型を含む)のCH2ドメイン配列は、当業界に公知されている(例えば、上のKabat EA et al.,(1991)及びVidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開参照)。例示的なCH2ドメインは、例えば、米国特許公開第20120100140号及びそこに引用されている米国特許、公開公報及びPCT公報に記載されている抗体の生物学的活性、例えば、半減期及び/又は減少したFc効果器機能を変更する突然変異を持つCH2ドメインを含む。
【0101】
用語“CH3ドメイン”は、重鎖定常ドメインにおいてCH2ドメインに対してC末端である重鎖定常領域のことを指す。本明細書で使うCH3ドメインは、G341から始まってK447で終わる。用語“CH3ドメイン”は、野生型CH3ドメインだけでなく、その自然に存在する変異体(例えば、同種異因子型)を含む。IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4(野生型及び同種異因子型を含む)のCH3ドメイン配列は、当業界に公知されている(例えば、上のKabat EA et al.,(1991)及びVidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開参照)。例示的なCH3ドメインは、例えば、米国特許公開第20120100140号及びそこに引用されてい米国特許、公開公報及びPCT公報に記載されている抗体の生物学的活性、例えば半減期を変更する突然変異を持つCH3ドメインを含む。
【0102】
本明細書で使う“アイソ型”は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体類型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、及びIgE抗体)のことを指す。
【0103】
“同種異因子型”は、いくつのアミノ酸を異にする特定アイソ型グループ内自然発生変異体のことを指す(例えば、Jefferis et al.,(2009)mAbs 1:1参照)。本明細書に記載されている抗体は、任意の同種異因子型を有することができる。IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の同種異因子型は、当業界に公知されている。例えば、上のKabat EA et al.,(1991);Vidarsson G.et al.,Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開);及びLefranc MP,mAbs 1:4,1-7(2009)を参照する。
【0104】
語句“抗原を認識する抗体”及び“抗原に特異的な抗体”は、用語“抗原に特異的に結合する抗体”と本明細書で互換して使われる。
【0105】
本明細書で使う“分離された抗体”は、互いに異なる抗原特異性を持つ他の抗体が実質的にない抗体を意味する(例えば、FAM19A5に特異的に結合する分離された抗体は、FAM19A5以外の抗原に特異的に結合する抗体が実質的にない)。しかし、FAM19A5のエピトープに特異的に結合する分離された抗体は、互いに異なる種の他のFAM19A5タンパク質に交差反応性を有することができる。
【0106】
“結合親和性”は、一般に、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)間の非共有相互作用の総和の強度を意味する。別段の提示がない限り、本明細書で使う“結合親和性”は、結合対のメンバー(例えば、抗体と抗原)間1:1相互作用を反映した固有結合親和性を意味する。パートナーYに対する分子Xの親和性は、一般に、解離定数(K)によって表現され得る。親和性は、平衡解離定数(K)と平衡結合定数(K)を含むが、これに限定されない当業界に公知の多数の方法で測定及び/又は表示され得る。前記Kは、koff/konの商から計算され、モル濃度(M)で表示され、Kはkon/koffの商から計算される。konは、例えば、抗原に対する抗体の結合速度定数を意味し、koffは、例えば、抗原に対する抗体の解離を意味する。kon及びkoffは、免疫分析(例えば、酵素結合免疫吸着分析(ELISA))、BIAcore(登録商標)又は力学的排除分析(KinExA(登録商標))のように当業者に公知の技術によって決定され得る。
【0107】
本明細書で使う用語“特異的に結合”、“特異的に認識”、“特異的結合”、“選択的結合”及び“選択的に結合”は、抗体と関連して類似の用語であり、抗原(例えば、エピトープ又は免疫複合体)に結合する分子(例えば、抗体)のことを指し、結合は、当業者によって理解されるものである。例えば、抗原に特異的に結合する分子は、例えば免疫分析、BIAcore(登録商標),KinExA(登録商標) 3000機器(Sapidyne Instruments,Boise,ID)又は当業界に公知されている他の分析法によって決定したとき、通常、より低い親和度を持つ他のペプチド又はポリペプチドに結合し得る。特定の具現例において、抗原に特異的に結合する分子は、この分子が他の抗原に結合するとき、Kに比べて、少なくとも2logs、2.5logs、3logs、4logs以上さらに大きいKで前記抗原に結合する。
【0108】
抗体は典型的に、10-5~10-11M以下の解離定数(K)によって反映される高い親和度でこれらの同族抗原(cognate antigen)に特異的に結合する。約10-4Mを超える任意のKは一般に、非特異的結合を意味すると見なされる。本明細書で使う抗原に“特異的に結合する”抗体は、高い親和度で抗原及び実質的に同じ抗原に結合する抗体のことを指し、これは、例えば、前記所定の抗原を使用するBIACORETM2000機器で免疫分析(例えば、ELISA)又は表面プラズマ共鳴(SPR)技術によって決定したとき、10-7M以下、好ましくは10-8M以下、より好ましくは10-9M以下、最も好ましくは10-8M~10-10M以下のKを有することを意味するが、この抗体は、関連のない抗原には高い親和度で結合しない。
【0109】
本明細書で使う“抗原”は、タンパク質、ペプチド又はハプテン(hapten)のような任意の天然又は合成免疫原性物質のことを指す。抗原は、FAM19A5又はその断片であり得る。
【0110】
本明細書で使う“エピトープ”は、当業界の用語で、抗体が特異的に結合できる抗原の局在化された領域を指す。エピトープは、例えばポリペプチドの隣接アミノ酸(線形又は隣接エピトープ)であるか、又はエピトープは、例えばポリペプチド又はポリペプチドの2個以上の隣接しない領域が集合したもの(立体形態、非線形、不連続又は非隣接エピトープ)であり得る。隣接アミノ酸から形成されたエピトープは、いつもではないが、典型的に変性(denaturing)溶媒に露出時に維持されるのに対し、3次フォルディングによって形成されたエピトープは、典型的に変性溶媒で処理時に喪失される。エピトープは典型的に、特有の空間的立体形態内に少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は20個のアミノ酸を含む。所定の抗体によってどのエピトープが結合するかを決定するための方法(すなわち、エピトープマッピング)は、当業界によく公知されており、例えば(例えば、FMAM19A5の)重複又は隣接ペプチドを所定の抗体(例えば、抗FAM19A5抗体)との反応性に対して試験する免疫ブロットと免疫沈殿分析を含む。エピトープの空間的立体形態を決定する方法は、当業界における技術及び本明細書に記載の技術、例えばx線結晶学、2次元核磁気共鳴及びHDX-MSを含む(例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology,Vol.66,G.E.Morris,Ed.(1996)参照)。
【0111】
特定の具現例において、前記抗体が結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISA分析、質量分光分析と結合した水素/重水素交換(例えば、液体クロマトグラフィー電子噴霧質量分光分析)、アレイベースのオリゴペプチドスキャニング分析及び/又は突然変異誘発マッピング(例えば、部位指向突然変異誘発マッピング)によって決定され得る。X線結晶学の場合、決定化は当業界に公知の方法のいずれかを用いて達成され得る(例えば、Giege R et al,(1994)Acta
Crystallogr D Biol Crystallogr 50(Pt4):339-350;McPherson A(1990)Eur J Biochem 189:1-23;Chayen NE(1997)Structure 5:1269-1274;McPherson A(1976)J Biol Chem 251:6300-6303参照)。抗体:抗原結晶は、周知のX線回折技術を用いて研究でき、X-PLOR(Yale University,1992,Molecular Simulations,Inc.によって配布;例えば、Meth Enzymol(1985)volumes 114 & 115,eds Wyckoff H.W.et al.,;U.S.2004/0014194参考)及びBUSTER(Bricogne G.(1993)Acta Crystallogr D Biol Crystallogr 49(Pt1):37-60;Bricogne G.(1997)Meth Enzymol 276A:361-423,ed Carter CW;Roversi P.et al.,(2000)Acta Crystallogr D Biol
Crystallogr 56(Pt 10):1316-1323)のようなコンピュータソフトウェアを用いて精製(refine)され得る。突然変異誘発マッピング研究は、当業者に公知された任意の方法を用いて行うことができる。アラニンスキャニング突然変異誘発技術を含む突然変異誘発技術の記載については、例えば、Champe M.et al.,(1995)J Biol Chem 270:1388-1394及びCunningham B.C. & Wells J.A.(1989)Science 244:1081-1085を参考する。
【0112】
用語“エピトープマッピング”は、抗体抗原認識に対する分子決定要因の同定過程を指す。
【0113】
2個以上の抗体と関連して用語“同一エピトープに結合”は、所定の方法によって決定するとき、抗体がアミノ酸残基の同一セグメントに結合するということを意味する。抗体が本明細書に記載の抗体と“FAM19A5上の同一エピトープ”に結合するか否かを決定するための技術は、エピトープマッピング方法、例えばエピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のx線分析及び水素/重水素交換質量分光分析(HDX-MS)を含む。他の方法は、抗原断片又は抗原の突然変異した変異体に対する抗体の結合をモニタリングすることであり、ここで、前記抗原配列内のアミノ酸残基の変形による結合損失は、だいてい、エピトープ成分の表示として見なされる。また、エピトープマッピングのための電算組合せ法も利用可能である。これらの方法は、組合せファージディスプレイペプチドライブラリーから特定の短いペプチドを親和性分離する関心抗体の能力に依存する。同じVH及びVL又は同じCDR1、2及び3配列を有する抗体は、同じエピトープに結合すると予想される。
【0114】
“標的との結合に対して他の抗体と競合”する抗体は、前記他の抗体の標的結合を(部分的に又は完全に)阻害する抗体を指す。2個の抗体が標的との結合に対して互いに競合するか否か、すなわち一つの抗体が他の抗体の標的結合を阻害するか否か、及び阻害する程度は、公知の競合実験を用いて決定することができる。特定の具現例において、一つの抗体は他の抗体の標的結合において競合し、この結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%まで阻害する。阻害又は競合レベルは、抗体が“遮断抗体”(すなわち、標的とまず培養される低温抗体)であるかどうかによって異なり得る。競合分析は、例えば、E.d.Harlow and
David Lane,Cold Spring Harb Protoc;2006;doi:10.1101/pdb.prot 4277又はE.d.Harlow and David Lane,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,USA 1999による“Using Antibodies”の第11章に記載されたとおりに実施できる。競合抗体は、同一エピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープ(例えば、立体障害で立証される)に結合する。
【0115】
他の競合結合分析としては、固相直接又は間接放射性免疫分析(RIA)、固相直接又は間接酵素免疫分析(EIA)、サンドウィッチ競合分析(Stahli et al.,Methods in Enzymology 9:242(1983)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland et al.,J.Immunol.137:3614(1986)参照);固相直接標識化分析、固相直接標識化サンドウィッチ分析(Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press(1988)参照);1-125標識を使用する固相直接標識RIA(Morel et al.,Mol.Immunol.25(1):7(1988)参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung et al.,Virology 176:546(1990)参照);及び直接標識化RIA(Moldenhauer et al.,Scand.J.Immunol.32:77(1990)参照)を含む。
【0116】
用語“単鎖Fv”又は“scFv”は、伝統的な二本鎖抗体の重鎖と単鎖の可変ドメインが接合して1つの鎖を形成する単鎖Fv(“可変断片”)抗体のことを指す。
【0117】
“二重特異的”又は“二重機能性抗体”は、2個の異なる重鎖/軽鎖対が2個の異なる結合部位を持つ人工混成抗体である。二重特異的抗体は、ハイブリドーマの融合又はFab’断片の連結を含む様々な方法によって生産され得る。例えば、Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315-321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547-1553(1992)を参照する。
【0118】
本明細書で使う“単クローン性抗体”は、特定エピトープに対して単一結合特異性と親和性を示す抗体であるか、又は全ての抗体が特定エピトープに対して単一結合特異性と親和性を示す抗体組成のことを指す。したがって、用語“ヒト単クローン性抗体”は、単一結合特異性を示し、ヒト生殖系(germline)免疫グロブリン配列から由来した可変及び選択的定常領域を有する抗体又は抗体組成のことを指す。いくつかの具現例において、ヒト単クローン性抗体は、例えば、不滅化細胞に融合されたヒト重鎖転移遺伝子と軽鎖転移遺伝子を含むゲノムを持つ遺伝子導入(transgenic)非ヒト動物、例えば遺伝子導入マウスから得たB細胞を含むハイブリドーマによって生産される。
【0119】
本明細書で使う用語“組換えヒト抗体”は、(a)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対して遺伝子導入又は染色体導入(transchromosomal)動物(例えば、マウス)から分離された抗体又はそれから製造されたハイブリドーマ、(b)抗体を発現させるために形質転換された宿主細胞から、例えばトランスフェクトーマ(transfectoma)から分離された抗体、(c)組換え組合せヒト抗体ライブラリーから分離された抗体、及び(d)他のDNA配列にヒト免疫グロブリン遺伝子配列をスプライシングすることを伴う任意の他の手段によって製造、発現、生成又は分離された抗体、のような組換え手段によって製造、発現、生成又は分離された全てのヒト抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、生殖系遺伝子によってコードされる特定のヒト生殖系免疫グロブリン配列を用いるが、例えば、抗体成熟化中に起こる後続再配列と突然変異を含む可変及び定常領域を含む。当業界に公知された通り(例えば、Lonberg(2005)Nature
Biotech.23(9):1117-1125参照)、前記可変領域は、外来抗原に対して特異的な抗体を形成するように再配列される様々な遺伝子によってコードされる抗原結合ドメインを含有する。再配列の他にも、前記可変領域は、外来抗原に対する抗体の親和性を増加させるために多数の単一アミノ酸変化(体細胞突然変異又は超突然変異という)によってさらに変形され得る。前記定常領域は、抗原に対する追加反応にしたがって変わるだろう(すなわち、アイソ型変化)。したがって、抗原に反応して軽鎖及び重鎖免疫グロブリンポリペプチドをコードする、再配列され体細胞突然変異した核酸分子は、本来の核酸分子と配列同一性を有することはできないが、その代わりに、実質的に同一又は類似するであろう(すなわち、少なくとも80%同一性を有する)。
【0120】
“ヒト抗体(HuMAb)”は、フレームワークとCDR領域が両方ともヒト生殖系免疫グロブリン配列から由来した可変領域を有する抗体のことを指す。また、前記抗体が定常領域を含有すると、前記定常領域もヒト生殖系免疫グロブリン配列から由来する。本明細書に記載の抗体は、ヒト生殖系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、試験管内無作為又は部位特異的突然変異誘発によって又は生体内体細胞突然変異によって導入された突然変異)を含むことができる。しかし、本明細書で使用する用語“ヒト抗体”は、マウスのような他の哺乳類種の生殖系から由来したCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植された抗体を含まない。用語“ヒト”抗体と“完全なヒト”抗体は同じ意味で使われる。
【0121】
“ヒト化”抗体は、非ヒト抗体のCDRドメイン外部のアミノ酸の一部、大部分又は全部が、ヒト免疫グロブリンから由来した相応するアミノ酸に置換された抗体のことを指す。抗体のヒト化された形態のいくつかの具現例において、CDRドメイン外部のアミノ酸の一部、大部分又は全部がヒト免疫グロブリンのアミノ酸に置換されており、1つ以上のCDR領域内部のアミノ酸の一部、大部分又は全部は変わらずに残っている。アミノ酸の小さい添加、欠失、挿入、置換又は変形は、これらが特定抗原に結合する抗体の能力をなくさない限り、許容可能である。“ヒト化”抗体は、原始抗体の抗原特異性に類似する抗原特異性を維持する。
【0122】
“キメラ抗体”は、マウス抗体から可変領域が由来し、ヒト抗体から定常領域が由来した抗体のように、一つの種から可変領域が由来し、他の種から定常領域が由来した抗体のことを指す。
【0123】
本明細書で使う用語“交差反応”は、異なる種のFAM19A5に結合する本明細書に開示の抗体の能力を指す。例えば、ヒトFAM19A5に結合する本明細書に開示の抗体は、他の種のFAM19A5(例えば、マウスFAM19A5)にも結合できる。本明細書で使う交差反応性は、結合分析(例えば、SPR、ELISA)で精製された抗原との特異的反応性を検出することによって又はFAM19A5を生理学的に発現する細胞に結合したり又はそれとも前記細胞と機能的に相互作用することによって測定され得る。交差反応性を決定するための方法は、本明細書に記載されている標準結合分析、例えば、BIACORETM2000 SPR機器(Biacore AB,Uppsala、スウェーデン)を用いたBIACORETM表面プラズマ共鳴(SPR)分析、又は流細胞計数技術を含む。
【0124】
本明細書に開示の用語“自然発生”を対象体に適用時に、対象体が自然から発見され得るという事実を意味する。例えば、自然のソースから分離可能であり、実験室で人によって意図的に変形されない有機体(ウイルスを含む)内に存在するポリペプチド又はポリヌクレオチド配列は自然発生である。
【0125】
“ポリペプチド”は、少なくとも2個の連続連結されたアミノ酸残基を含む鎖のことを指し、前記鎖の長さに上限はない。タンパク質内の1つ以上のアミノ酸残基は、グリコシル化、ホスホリル化又は二硫化結合形成のような変形を含有できるが、これに限定されるものではない。“タンパク質”は、1つ以上のポリペプチドを含むことができる。
【0126】
本発明で使用する用語“核酸分子”は、DNA分子及びRNA分子を含む。核酸分子は、単鎖又は二重鎖であり得、cDNAであり得る。
【0127】
本発明で使用する用語“組換え宿主細胞”(又は、簡単に“宿主細胞”)は、細胞内自然的に存在しない核酸を含む細胞のことを指し、組換え発現ベクターが導入された細胞であり得る。このような用語は、特定の対象細胞だけでなく、このような細胞の子孫のことも指すものとして理解すべきである。突然変異や環境的な影響によって次の世代には特定の変形が起き得る点から、このような子孫は実際に親細胞と同一であるとはいえないが、本明細書で使う用語“宿主細胞”の範囲内に依然として含まれる。
【0128】
本発明で使用する用語“連結された”は、2個以上の分子の会合を指す。前記連結は、共有連結又は非共有連結であり得る。前記連結はまた、遺伝子連結(すなわち、組換えによる融合)であり得る。このような連結は、化学的コンジュゲーション及び組換えタンパク質生産のような、当業界で認める様々な技術を用いて達成され得る。
【0129】
<II.アデノ関連ウイルス(AAV)及びそれから由来したベクター>
本明細書に開示のAAVベクターは、関心タンパク質、例えばFAM19A5拮抗剤、例えば抗FAM19A5抗体をコードする核酸を含む。いくつかの具現例において、前記核酸はまた、発現、及びいくつかの具現例では例えばプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化信号、内部リポソーム導入部位(IRES)、タンパク質形質導入ドメイン(PTD)をコードする配列などのような関心タンパク質の分泌を可能にする1つ以上の調節配列を含むことができる。これによって、いくつかの具現例において、前記核酸は、感染された細胞において関心タンパク質の発現を誘発又は改善するためにコーディング配列に作動可能に連結されたプロモーター領域を含むことができる。このようなプロモーターは、例えば感染された組織においてタンパク質の効率的且つ安定した生産を可能にする、偏在性(ubiquitous)であり、細胞又は組織特異的であり、強く、弱く、調節され、キメラ性であり得る。一般に、前記開示された方法で用いるプロモーターはヒト細胞で機能的であるが、前記プロモーターは、コードされたタンパク質に相同性又は非相同性であり得る。調節されたプロモーターの例は、Tetオン/オフ要素含有プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、タモキシフェン誘導性プロモーター及びメタロチオネインプロモーターを含むが、これに限定されるものではない。使用可能な他のプロモーターには、腎臓、脾臓、膵臓、脳又は脊髄のような組織に対して組織特異的なプロモーターを含む。ユビキタスプロモーターの例には、特に、CMVプロモーター、RSVプロモーター、SV40プロモーターなどのウイルスプロモーターと、PGK(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター及びβ-アクチンプロモーターのような細胞プロモーターとが含まれる。
【0130】
本明細書に開示のAAVベクターのいくつかの具現例において、1つ以上のフィードバック要素を用いて関心タンパク質の過発現を弱化させることができる。例えば、前記AAVベクターのいくつかの具現例は、外因性転写体を標的にする1つ以上のsiRNA配列を含む。他の具現例において、前記AAVベクターは、阻害転写因子によって認識され得る1つ以上の追加プロモーターを含む。様々な具現例において、本明細書に開示のAAVベクターは、関心タンパク質の発現レベルを生理学的レベルで保持できる恒常性(homoeostatic)フィードバックループを生成できる構造体を含む。
【0131】
いくつかの具現例において、本明細書に開示のAAVベクターは、コードされたタンパク質の分泌を可能にするリーダ配列(又は、信号ペプチド)を含む核酸を含む。いくつかの具現例において、関心転移遺伝子を分泌信号ペプチド(通常、分泌されたポリペプチドのN末端に位置する)をコードする配列と融合すれば、形質導入された細胞から分泌され得る形態の治療タンパク質の生産を可能にすることができる。このような信号ペプチドの非制限的な例は、ヒトベータグロビン、アルブミン、β-グルクロニダーゼ、アルカリプロテアーゼ又はフィブロネクチン分泌信号ペプチドを含む。
【0132】
いくつかの具現例において、本開示内容のAAVベクターから発現したmRNAは、非-CNS組職から優先的に発現するmiRNAのmiRNA結合部位を含む。特定の具現例において、前記miRNA結合部位は、miR-122に対する結合部位である。特定の具現例において、前記miRNA結合部位は、miR-1に対する結合部位である。いくつかの具現例において、前記CNS関連遺伝子から発現したmRNAは、CNS組職から優先的に発現するmiRNAのmiRNA結合部位を含まない。
【0133】
パルボウイルス科に属するAAVは、4.7キロ塩基(kb)~6kbの単鎖線形DNAゲノムを持つ小さい外皮のない正20面体ウイルスである。Gonqalves,M.,Virol J2:43(2005)を参照する。この科は、2個の亜科:脊椎動物を感染させるパルボウイリネ亜科と昆虫を感染させるデンソウイリネ亜科に分けられる。パルボウイリネ亜科に属するウイルスは、本明細書でパルボウイルスといい、デンソウイルス属を含む。これらの属の名称から推論できるように、ディペンドウイルスに属するウイルスは、これらが一般に細胞培養において生産的な感染のためにアデノウイルス又はヘルペスウイルスのようなヘルパーウイルスと共感染を必要とするという点で独特である。ディペンドウイルス属は通常、ヒト(例えば、血清型1、2、3A、3B、4、5及び6)又は霊長類(例えば、血清型1及び4)を感染させるAAV及び他の温血動物を感染させる関連ウイルス(例えば、ウシ、イヌ、ウマ及びヒツジのアデノ関連ウイルス)を含む。パルボウイルス及びパルボビリダエに属する他のウイルスに対する追加情報は、Kenneth I.Bems,“Parvoviridae:The Viruses and
Their Replication”,Chapter 69 in Fields
Virology(3d Ed.1996)に記載されている。
【0134】
<複製、カプシド及びアセンブリーAAV遺伝子>
AAVの単鎖ゲノムは、3個の遺伝子rep(複製)、cap(カプシド)及びaap(アセンブリー)を含む。これら3個の遺伝子は、3個のプロモーター、代替翻訳開始部位及び差次的スプライシングの使用によって少なくとも9個の遺伝子産物を生成する。
【0135】
前記rep遺伝子は、ウイルスゲノム複製及びパッケージングに必要な4個のタンパク質(Rep78、Rep68、Rep52及びRep40)をコードする。前記cap遺伝子発現は、ウイルスゲノムを保護するだけでなく、細胞結合と内在化に積極的に関与する外部カプシドシェルを形成するウイルスカプシドタンパク質(VP1;VP2;VP3)を生成する。前記ウイルス外皮は、正20面体構造で配置されている60個のタンパク質からなっていると推定される。前記aap遺伝子は、cap遺伝子と重なる代替判読フレームにおいてアセンブリー活性化タンパク質(AAP)をコードする。このような核タンパク質は、カプシドアセンブリーのための支持(scaffolding)機能を提供すると考えられ、いくつかのAAV血清型においてVPタンパク質の核局在化に役割を担う。
【0136】
いくつかの具現例において、本明細書に開示のAAVベクターは、組換えAAVであり、前記rep遺伝子、cap遺伝子及びaap遺伝子のいずれか1つ以上が欠如している。いくつかの具現例において、前記rAAVは、前記rep遺伝子、cap遺伝子及びaap遺伝子のいずれか1つ以上が突然変異するように変形され、AAV遺伝子のいずれか1つ以上の発現が変形される。いくつかの具現例において、前記rep、cap、又はaap遺伝子のいずれか1つ以上は、自然発生であり、例えば、前記rep、cap又はapp遺伝子は、パルボウイルスrep、cap又はaap遺伝子の全部又は一部を含む。いくつかの具現例において、前記rep、cap又はaap遺伝子のいずれか1つ以上は、合成配列を含む。
【0137】
本明細書に記載の特定AAVゲノムは、互いに異なるAAVゲノム(例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11のゲノム)を有し得るものと理解され得る。これによって、本明細書は、rep、cap又はaapの任意の可能な変形(permutation)を含むAAVベクターを開示する。
【0138】
<逆転された末端反復>
本開示内容の特定の側面は、第1のITR、例えば5’ITR、及び第2のITR、例えば3’ITRを含む核酸分子に関する。いくつかの具現例において、前記ITRは、自然発生であり、例えば、前記ITRはパルボウイルスITRの全部又は一部を含む。いくつかの具現例において、前記ITRは、合成配列を含む。
【0139】
いくつかの具現例において、前記ITRは、AAVゲノムのITRを含む。いくつかの具現例において、前記ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11及びこれらの任意の組合せから選択されるAAVゲノムのITRである。特定の具現例において、前記ITRは、AAV8又はAAV9ゲノムのITRである。他の具現例において、前記ITRは、AAVゲノムのいずれか1つ以上から由来したITRを5’及び3’末端に含むように遺伝子操作された合成配列である。いくつかの具現例において、前記ITRは、同じゲノムから、例えば、同じウイルスのゲノムから又は互いに異なるゲノムから、例えば2個以上の互いに異なるAAVゲノムのゲノムから由来する。特定の具現例において、前記ITRは、同じAAVゲノムから由来する。他の具現例において、本開示内容の核酸分子に存在する2個のITRは同一であり、特に、AAV2ITRであり得る。いくつかの具現例において、前記第1のITRと第2のITRは同一である。
【0140】
いくつかの具現例において、ITRは、AAVゲノムから由来しないITRを5’及び3’末端に含むように遺伝子操作された合成配列である。いくつかの具現例において、前記ITR配列は、1つ以上の回文配列(palindromic sequence)を含む。本明細書に開示のITRの回文配列は、天然回文配列(すなわち、自然から発見される配列)、類似回文配列のような合成配列(すなわち、自然から発見されない配列)及びこれらの組合せ又は変形形態を含むが、これに限定されるものではない。“類似回文配列”は、2次構造を形成する天然AAV回文配列内の配列に対して70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%又は5%未満を含む80%未満の同一性を共有したり、或いは核酸配列同一性のない不完全回文配列を含む、回文DNA配列である。前記天然回文配列は、本明細書に開示の任意のゲノムから収得又は由来することができる。前記合成回文配列は、本明細書に開示の任意のゲノムに基づくことができる。前記回文配列は、連続又は不連続的(interrupted)であり得る。いくつかの具現例において、前記回文配列は、第2配列の挿入を含めて不連続的である。いくつかの具現例において、前記第2配列は、プロモーター、エンハンサー、インテグラーゼに対する統合部位(例えば、Cre又はFlp組換え酵素に対する部位)、遺伝子産物に対するオープンリーディングフレーム(open reading frame)又はこれらの組合せを含む。
【0141】
いくつかの具現例において、前記ITRは、ヘアピンループ構造を形成する。一具現例において、前記第1のITRは、ヘアピン構造を形成する。他の具現例において、前記第2のITRは、ヘアピン構造を形成する。さらに他の具現例において、前記第1のITRと第2のITRは両方ともヘアピン構造を形成する。
【0142】
いくつかの具現例において、本明細書に記載の核酸分子のITRは、転写活性化されたITRであり得る。転写活性化されたITRは、少なくとも1つの転写活性化された要素を含むことによって、転写活性化された野生型ITRの全部又は一部を含むことができる。これと関連して様々な類型の転写活性要素を好適に使用することができる。いくつかの具現例において、前記転写活性要素は、構成的転写活性要素である。構成的転写活性要素は、持続可能なレベルの遺伝子転写を提供し、転移遺伝子の持続した発現を必要とするときに好ましい。他の具現例において、前記転写活性要素は、誘導性転写活性要素である。誘導性転写活性要素は一般に、誘導因子(又は、誘導条件)がない状態では低い活性を示し、誘導因子が存在する状態(又は、誘導条件に転換)では上向き調節される。誘導性転写活性要素は、特定時間又は特定位置でのみ発現が必要なとき、又は誘導剤を用いて発現レベルを滴定する必要があるときに好ましいだろう。転写活性要素はまた、組織特異的であり得るところ、すなわち、特定組織又は細胞類型でのみ活性を示す。
【0143】
転写活性要素は、ITRに様々な方法で混入できる。いくつかの具現例において、転写活性要素は、ITRの任意の部分に5’混入されたり、或いはITRの任意の部分に3’混入される。他の具現例において、転写活性化されたITRの転写活性要素は、2個のITR配列間に位置する。前記転写活性要素が離れているべき2個以上の要素を含む場合、これら要素はITRの一部と交互的であり得る。いくつかの具現例において、ITRのヘアピン構造は欠失し、転写要素の逆転された反復に代替される。このような後者の配列は、構造において欠失している部分を摸倣したヘアピンを生成するであろう。転写活性化されたITRには多数の直列転写活性要素が存在してもよく、これらは隣接していても離れていてもよい。また、タンパク質結合部位(例えば、Rep結合部位)は、転写活性化されたITRの転写活性要素に導入され得る。転写活性要素は、RNAを形成するRNAポリメラーゼによるDNAの制御された転写を可能にする任意の配列を含むことができ、例えば、次に定義されている転写活性要素を含むことができる。
【0144】
転写活性化されたITRは、核酸分子から運搬及び発現し得る転移遺伝子の長さを効果的に極大化する比較的制限されたヌクレオチド配列長で核酸分子に転写活性化及びITR機能を全て提供する。転写活性要素をITRに混入することは、様々な方法で行うことができる。ITR配列及び転写活性要素の配列要件を比較すると、ITR内要素をコードする方法に対する洞察力を提供できる。例えば、転写活性要素の機能的要素を複製するITR配列内特定変化の導入によって転写活性をITRに付加できる。当業界には、特定部位において特定ヌクレオチド配列を効率的に付加、欠失及び/又は変更するための多くの技術が存在する(例えば、Deng and Nickoloff(1992)Anal.Biochem.200:81-88参照)。転写活性化されたITRを生成する他の方法は、ITRにおける所望の位置に制限部位を導入することを含む。また、多数の転写活性要素を当業界に公知された方法を用いて、転写活性化されたITRに混入できる。
【0145】
例示として、転写活性化されたITRは、TATAボックス、GCボックス、CCAATボックス、Spl部位、Inr領域、CRE(cAMP調節要素)部位、ATF-1/CRE部位、ARBbボックス、APBaボックス、CArGボックス、CCACボックス又は当業界に公知の転写に関与する任意の他の要素のような1つ以上の転写活性要素を含むことによって生成され得る。
【0146】
<FAM19A5拮抗剤>
本開示内容のAAVベクターは、FAM19A5タンパク質の1つ以上の拮抗剤をコードする核酸を含む。いくつかの具現例において、前記FAM19A5拮抗剤は、FAM19A5タンパク質に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片である。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv又は単鎖Fv(scFv)を含む。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体はscFvである。
【0147】
いくつかの具現例において、本開示内容のAAVベクターによって発現した抗FAM19A5抗体(例えば、抗FAM19A5 scFv)は、特定機能的特徴又は特性を特徴とする。例えば、前記抗体は、可溶性FAM19A5及び膜結合FAM19A5を含むヒトFAM19A5に特異的に結合する。可溶性及び/又は膜結合ヒトFAM19A5への特異的結合の他にも、本明細書に記載の抗体は、次のような機能的特性のいずれか1つ以上を示す:
(a)線維症減少、反転及び/又は予防;
(b)過度な細胞外基質(ECM)の形成減少;
(c)腫瘍成長又は進行の遅延;
(d)酵素結合免疫吸着分析法(ELISA)によって測定した時、Kが10nM以下である可溶性ヒトFAM19A5に結合;
(e)ELISAによって測定した時、Kが10nM以下である膜結合ヒトFAM19A5に結合;
(f)反応性神経膠症(gliosis)発病の減少、反転、遅延及び/又は予防;
(g)反応性星状細胞の過剰増殖抑制;
(h)ニューロカン及び神経膠抗原2(NG2)を含むコンドロイチンスルフィドプロテオグリカンの発現減少;
(i)神経細胞の核内c-fos及びpERKの発現増加;
(j)神経細胞の生存促進;
(k)神経細胞内GAP43の発現増加;及び
(l)軸索の再成長促進。
【0148】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、高い親和度、例えば、Kが10-7M以下、10-8M以下、10-9M(1nM)以下、10-10M(0.1nM)以下、10-11M以下又は10-12M以下、例えば10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M又は10-9M~10-7M、例えば10-12M、5×10-12M、10-11M、5×10-11M、10-10M、5×10-10M、10-9M、5×10-9M、10-8M、5×10-8M、10-7M又は5×10-7Mである、可溶性ヒトFAM19A5又は膜結合ヒトに特異的に結合する。様々な種のヒトFAM19A5に対する抗体の結合能を評価するための標準分析法は、例えば、ELISA、ウェスタンブロット及びRIAを含め、当業界に公知されている。前記抗体の結合動力学(例えば、結合親和度)は、ELISA、BIACORETM分析又はKINEXA(登録商標)のような当業界に周知の標準分析法によって評価されてもよい。
【0149】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、例えばELISAによって決定した時、Kが10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M、又は10-8M~10-7Mである、可溶性ヒトFAM19A5に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、Kが10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM又は5~10nMである、可溶性FAM19A5に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、ELISAによって決定した時、Kが約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM又は90nMである、可溶性ヒトFAM19A5に特異的に結合する。
【0150】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、例えばELISAによって決定した時、Kが10-7M以下、10-8M(10nM)以下、10-9M(1nM)以下、10-10M以下、10-12M~10-7M、10-11M~10-7M、10-10M~10-7M、10-9M~10-7M又は10-8M~10-7Mである、膜結合ヒトFAM19A5に結合する。特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、ELISAによって決定した時、Kが10nM以下、例えば0.1~10nM、0.1~5nM、0.1~1nM、0.5~10nM、0.5~5nM、0.5~1nM、1~10nM、1~5nM又は5~10nMである、膜結合ヒトFAM19A5に特異的に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、ELISAによって決定した時、Kが約1pM、2pM、3pM、4pM、5pM、6pM、7pM、8pM、9pM、10pM、20pM、30pM、40pM、50pM、60pM、70pM、80pM、90pM、100pM、200pM、300pM、400pM、500pM、600pM、700pM、800pM又は900pM、又は約1nM、2nM、3nM、4nM、5nM、6nM、7nM、8nM又は9nM、又は約10nM、20nM、30nM、40nM、50nM、60nM、70nM、80nM又は90nMである、膜結合ヒトFAM19A5に結合する。
【0151】
いくつかの具現例において、本明細書に開示の方法に適する抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、ヒトFAM19A5エピトープに結合するために(又は、結合を阻害するために)、本明細書に開示のCDR又は可変領域を含む抗FAM19A5抗体と交差競合する。
【0152】
いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)が、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む基準抗体の結合を阻害し、(i)前記基準抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号11、配列番号12及び配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、配列番号23、配列番号24及び配列番号25のアミノ酸配列を含んだり;(ii)前記重鎖CDR1は、配列番号14のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号26のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号28のアミノ酸配列を含んだり;(iii)前記重鎖CDR1は、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号31のアミノ酸配列を含んだり;(iv)前記重鎖CDR1は、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号21のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号32のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号33のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号34のアミノ酸配列を含んだり;(v)前記重鎖CDR1は、配列番号89のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号90のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号91のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号92のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号93のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号94のアミノ酸配列を含んだり;(vi)前記重鎖CDR1は、配列番号95のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号96のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号97のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号98のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号99のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号100のアミノ酸配列を含んだり;(vii)前記重鎖CDR1は、配列番号101のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号102のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号103のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号104のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号105のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号106のアミノ酸配列を含んだり;(viii)前記重鎖CDR1は、配列番号107のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号108のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号109のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号110のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号111のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号112のアミノ酸配列を含んだり;(ix)前記重鎖CDR1は、配列番号113のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号114のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号115のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号116のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号117のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号118のアミノ酸配列を含んだり;(x)前記重鎖CDR1は、配列番号119のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号120のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号121のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号122のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号123のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号124のアミノ酸配列を含んだり;(xi)前記重鎖CDR1は、配列番号125のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号126のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号127のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号128のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号129のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号130のアミノ酸配列を含んだり;(xii)前記重鎖CDR1は、配列番号131のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号132のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号133のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号134のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号135のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号136のアミノ酸配列を含んだり;(xiii)前記重鎖CDR1は、配列番号137のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号138のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号139のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号140のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号141のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号142のアミノ酸配列を含んだり;(xiv)前記重鎖CDR1は、配列番号143のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号144のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号145のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号146のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号147のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号148のアミノ酸配列を含んだり;又は(xv)前記重鎖CDR1は、配列番号149のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号150のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号151のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号152のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号153のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号154のアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記基準抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、表2に示すCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、表3に示すCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。
【0153】
いくつかの具現例において、前記基準抗体は、(a)それぞれ配列番号35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(b)それぞれ配列番号36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(c)それぞれ配列番号37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(d)それぞれ配列番号38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(e)それぞれ配列番号155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(f)それぞれ配列番号156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(g)それぞれ配列番号157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(h)それぞれ配列番号158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(i)それぞれ配列番号159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(j)それぞれ配列番号160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(k)それぞれ配列番号161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(l)それぞれ配列番号162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(m)それぞれ配列番号163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(n)それぞれ配列番号164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は(o)それぞれ配列番号165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの具現例において、前記基準抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHは、表4に示すアミノ酸配列を含み、前記VLは、表5に示すアミノ酸配列を含む。
【0154】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、ヒトFAM19A5に対するこのような基準抗体の結合を少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%阻害する。競合抗体は、同一のエピトープ、重複エピトープ又は隣接エピトープに結合する(例えば、立体障害によって立証される)。標的に結合するために2個の抗体がお互い競合するか否かは、RIA及びEIAのような当業界に公知の競合実験を用いて決定できる。
【0155】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)が、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3を含む本明細書に開示の基準抗体と同じFAM19A5エピトープに結合し、(i)前記重鎖CDR1は、配列番号11のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号12のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号13のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号23のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号24のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号25のアミノ酸配列を含んだり;(ii)前記重鎖CDR1は、配列番号14のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号15のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号16のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号26のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号27のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号28のアミノ酸配列を含んだり;(iii)前記重鎖CDR1は、配列番号17のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号18のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号19のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号29のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号30のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号31のアミノ酸配列を含んだり;(iv)前記重鎖CDR1は、配列番号20のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号21のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号22のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号32のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号33のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号34のアミノ酸配列を含んだり;(v)前記重鎖CDR1は、配列番号89のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号90のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号91のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号92のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号93のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号94のアミノ酸配列を含んだり;(vi)前記重鎖CDR1は、配列番号95のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号96のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号97のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号98のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号99のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号100のアミノ酸配列を含んだり;(vii)前記重鎖CDR1は、配列番号101のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号102のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号103のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号104のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号105のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号106のアミノ酸配列を含んだり;(viii)前記重鎖CDR1は、配列番号107のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号108のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号109のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号110のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号111のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号112のアミノ酸配列を含んだり;(ix)前記重鎖CDR1は、配列番号113のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号114のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号115のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号116のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号117のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号118のアミノ酸配列を含んだり;(x)前記重鎖CDR1は、配列番号119のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号120のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号121のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号122のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号123のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号124のアミノ酸配列を含んだり;(xi)前記重鎖CDR1は、配列番号125のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号126のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号127のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号128のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号129のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号130のアミノ酸配列を含んだり;(xii)前記重鎖CDR1は、配列番号131のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号132のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号133のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号134のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号135のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号136のアミノ酸配列を含んだり;(xiii)前記重鎖CDR1は、配列番号137のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号138のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号139のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号140のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号141のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号142のアミノ酸配列を含んだり;(xiv)前記重鎖CDR1は、配列番号143のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号144のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号145のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号146のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号147のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号148のアミノ酸配列を含んだり;又は(xv)前記重鎖CDR1は、配列番号149のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR2は、配列番号150のアミノ酸配列を含み、前記重鎖CDR3は、配列番号151のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR1は、配列番号152のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR2は、配列番号153のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖CDR3は、配列番号154のアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記基準抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、表2に示すCDR1、CDR2及びCDR3配列を含み、前記基準抗体の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3はそれぞれ、表3に示すCDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。
【0156】
いくつかの具現例において、前記基準抗体は、(a)それぞれ配列番号35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(b)それぞれ配列番号36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(c)それぞれ配列番号37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(d)それぞれ配列番号38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(e)それぞれ配列番号155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(f)それぞれ配列番号156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(g)それぞれ配列番号157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(h)それぞれ配列番号158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(i)それぞれ配列番号159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(j)それぞれ配列番号160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(k)それぞれ配列番号161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(l)それぞれ配列番号162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(m)それぞれ配列番号163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;(n)それぞれ配列番号164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は(o)それぞれ配列番号165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。いくつかの具現例において、前記基準抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHは、表4に示すアミノ酸配列を含み、前記VLは、表5に示すアミノ酸配列を含む。
【0157】
2個の抗体が同一のエピトープに結合するか否かを決定するための技術は、例えば、エピトープの原子分解能を提供する抗原:抗体複合体の結晶のx線分析及び水素/重水素交換質量分光分析(HDX-MS)のようなエピトープマッピング方法、抗原配列内アミノ酸残基の変形による結合損失をたいていエピトープ成分の表示として見なす抗原断片又は抗原の突然変異した変異体に対する抗体の結合をモニタリングする方法、エピトープマッピングのための電算組合せ方法(computational combinatorial method)を含む。
【0158】
本明細書に開示の方法に有用な抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、例えばヒトFAM19A5の断片に対する抗体の結合によって決定された通り、成熟したヒトFAM19A5の少なくとも1つのエピトープに結合できる。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(配列番号6又は配列番号2のアミノ酸残基42~61)のアミノ酸配列内に位置した断片、例えば、配列番号6の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を持つエピトープに結合する。いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体は、アミノ酸残基46~51(すなわち、DSSQPR)、例えばアミノ酸残基46、50及び52(すなわち、D---P-R)、例えば配列番号2のアミノ酸残基46、47、48及び50(すなわち、DSS-P)に該当する1つ以上のアミノ酸で配列番号6に結合する。いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体は、CDMLPCLEGEGCDLLINRSGのアミノ酸配列内に位置した断片(配列番号9又は配列番号2のアミノ酸90~109)、例えば、配列番号9の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個アミノ酸を持つエピトープに結合する。特定の具現例において、抗FAM19A5抗体は、1つ以上のアミノ酸残基99~107(すなわち、EGCDLLINR)、例えばアミノ酸残基102、103、105及び107(すなわち、DL-I-R)、例えばアミノ酸残基99、100、102、103、105及び107(すなわち、EG-DL-I-R)、例えば配列番号4のアミノ酸残基99、100及び107(すなわち、EG------R)で配列番号9に結合する。
【0159】
いくつかの具現例において、前記少なくとも1つのエピトープは、配列番号6と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を有する。いくつかの具現例において、前記少なくとも1つのエピトープは、配列番号9と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を有する。
【0160】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、配列番号5、6、7、8、9又は10であるヒトFAM19A5エピトープ又は配列番号5、6、7、8、9又は10のアミノ酸配列内に位置した断片、例えば、配列番号5、6、7、8、9又は10の3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を有するエピトープにのみ結合する。
【0161】
いくつかの具現例において、本開示内容の抗FAM19A5抗体は、配列番号6又は天然立体形態(すなわち、未変性)のその断片に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号9又は天然立体形態(すなわち、未変性)のその断片に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、グリコシル化及び非グリコシル化ヒトFAM19A5の両方に結合する。
【0162】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、1つ以上の追加FAM19A5エピトープにさらに結合する。したがって、特定抗FAM19A5抗体は、(i)配列番号6のエピトープ及び追加エピトープ、又は(ii)配列番号9のエピトープ及び追加エピトープに結合する。他の抗FAM19A5抗体は、配列番号5、配列番号9のエピトープ及び追加エピトープに結合できる。いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体は、配列番号6のエピトープ、配列番号10のエピトープ及び追加エピトープに結合する。
【0163】
いくつかの具現例において、前記1つ以上の追加FAM19A5エピトープは、QLAAGTCEIVTLDR(配列番号5、エピトープF1)、TLDRDSSQPRRTIARQTARC(配列番号6、エピトープF2)、TARCACRKGQIAGTTRARPA(配列番号7、エピトープF3)、ARPACVDARIIKTKQWCDML(配列番号8、エピトープF4)、CDMLPCLEGEGCDLLINRSG(配列番号9、エピトープF5)又はNRSGWTCTQPGGRIKTTTVS(配列番号10、エピトープF6)又は配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列内に位置した断片又はこれらの任意の組合せから選択される。配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9又は配列番号10のアミノ酸配列内に位置した断片は、配列番号5、配列番号6及び配列番号7、配列番号8、配列番号9又は配列番号10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を持つ断片を含む。いくつかの具現例において、前記1つ以上の追加FAM19A5エピトープは、配列番号5、6、7、8、9又は10、又は配列番号5、6、7、8、9又は10のアミノ酸配列内に位置した断片、例えば、配列番号5、6、7、8、9又は10の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20個のアミノ酸を持つ断片、又はこれらの任意の組合せから選択される。いくつかの具現例において、本開示内容の抗FAM19A5抗体は、天然立体形態(すなわち、未変性)の前記1つ以上の追加エピトープのいずれかのエピトープに結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記グリコシル化及び非グリコシル化の1つ以上のFAM19A5エピトープの両方に結合する。
【0164】
いくつかの具現例において、本開示内容の抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、EP2、EP4及び/又はEP8として同定された少なくとも1つのFAM19A5エピトープに結合し、EP2は、アミノ酸DSSQP(配列番号66)を含んだり、前記アミノ酸から本質的になったり、又は前記アミノ酸からなり、EP4は、アミノ酸ARCACRK(配列番号68)を含んだり、前記アミノ酸から本質的になったり、又は前記アミノ酸からなり、EP8は、アミノ酸TCTQPGGR(配列番号72)を含んだり、前記アミノ酸から本質的になったり、又は前記アミノ酸からなる。いくつかの具現例において、前記少なくとも1つのエピトープは、EP2、EP4又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を有する。いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体のみがEP2に結合する。いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体は、EP4及びEP8に結合する。
【0165】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、EP6、EP7又はEP8として同定された少なくとも1つのFAM19A5エピトープに結合し、EP6は、アミノ酸KTKQWCDML(配列番号70)を含み、EP7は、アミノ酸GCDLLINR(配列番号71)を含み、EP8は、アミノ酸TCTQPGGR(配列番号72)を含む。いくつかの具現例において、前記少なくとも1つのエピトープは、EP6、EP7又はEP8と少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を有する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、EP6、EP7又はEP8にのみ結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、EP6、EP7及びEP8に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAMT9A5抗体は、EP7及びEP8に結合する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体はEP7に結合する。
【0166】
いくつかの具現例において、抗FAM19A5抗体は、配列番号65、配列番号66、配列番号67、配列番号68、配列番号69、配列番号70、配列番号71、配列番号72及びこれらの任意の組合せからなる群から選ばれる1つ以上のFAM19A5エピトープに結合する。
【0167】
いくつかの具現例において、本明細書は、例えば免疫分析(例えば、ELISA)、表面プラズマ共鳴又は力学的排除分析によって測定した時、FAM19Aファミリーにおける他のタンパク質に比べて20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はより高い親和度でFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に結合する抗体を提供する。特定の具現例において、本明細書は、例えば免疫分析によって測定した時、FAM19Aファミリーにおけるさらに他のタンパク質との交差反応性無しでFAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に結合する抗体を提供する。
【0168】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、天然抗体でないか、或いは自然発生抗体ではない。例えば、前記抗FAM19A5抗体は、例えば、より多い又はより少ないか、又は互いに異なる類型の翻訳後変形を有することによって、自然発生抗体と異なる翻訳後変形を有する。
【0169】
<例示的な抗FAM19A5抗体>
本明細書に開示のAAVベクターによって発現され得る特定抗体は、抗FAM19A5抗体1-65、3-2及び2-13のCDR及び/又は可変領域配列を有する抗体、例えばscFv、及びこれらの可変領域又はCDR配列に少なくとも80%同一性(例えば、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は99%以上の同一性)を有する抗体である。米国特許番号9,579,398;国際出願番号PCT/IB2017/001490を参照する。表2及び表3はそれぞれ、例示的な重鎖及び軽鎖CDR配列を提供する。次のような抗体に対するCDRは、Kabat番号表記体系(上記を参照)を用いて同定した:1-65、3-2、2-13、1-28、P2-C12、13B4、13F7、15A9、Pl-A03、P1-A08、P1-F02、P2-A01、P2-A03、P2-F07、P2-F11、SS01-13、SS0l-13-s5及びS5-2.GKNG。次のような抗体に対するCDRは、IMGT番号表記体系(上記を参照)を用いて同定した:1-7A-IT、Low-PI、1-30、1-17、1-32、4-11、6-10、2-13D、2-13D-37、2-13D-37-1.5W-41及び2-13D-37-3W-16。本開示内容の個別の抗FAM19A5抗体のVH及びVLアミノ酸配列がそれぞれ表4及び5に提供されている。
【0170】
【表3】


【0171】
【表4】


【0172】
【表5】

【0173】
【表6】

【0174】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号:35-38、155-165又は232-240のアミノ酸配列を含む(表4参照)。他の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号:35-38、155-165又は232-240からなる群から選ばれる重鎖可変領域のCDRを含む(表4参照)。
【0175】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号39-42、166-176又は241-250のアミノ酸配列を含む(表5参照)。他の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、配列番号:39-42、166-176又は241-250からなる群から選ばれる軽鎖可変領域のCDRを含む(表5参照)。
【0176】
いくつかの具現例において、前記抗FAMT9A5抗体は、配列番号:35-38、155-165又は232-240からなる群から選ばれる重鎖可変領域のCDR(表4参照)及び配列番号39-42、166-176又は241-250からなる群から選ばれる軽鎖可変領域のCDRを含む(表5参照)。
【0177】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体が、重鎖及び軽鎖可変領域を含み、(i)前記重鎖可変領域は、配列番号37のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号41のアミノ酸配列を含み;(ii)前記重鎖可変領域は、配列番号36のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号40のアミノ酸配列を含み;(iii)前記重鎖可変領域は、配列番号35のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号39のアミノ酸配列を含み;(iv)前記重鎖可変領域は、配列番号38のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号42のアミノ酸配列を含み;(v)前記重鎖可変領域は、配列番号155のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号166のアミノ酸配列を含み;(vi)前記重鎖可変領域は、配列番号156のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号167のアミノ酸配列を含み;(vii)前記重鎖可変領域は、配列番号157のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号168のアミノ酸配列を含み;(viii)前記重鎖可変領域は、配列番号158のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号169のアミノ酸配列を含み;(ix)前記重鎖可変領域は、配列番号159のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号170のアミノ酸配列を含み;(x)前記重鎖可変領域は、配列番号160のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号171のアミノ酸配列を含み;(xi)前記重鎖可変領域は、配列番号161のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号172のアミノ酸配列を含み;(xii)前記重鎖可変領域は、配列番号162のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号173のアミノ酸配列を含み;(xiii)前記重鎖可変領域は、配列番号163のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号174のアミノ酸配列を含み;(xiv)前記重鎖可変領域は、配列番号164のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号175のアミノ酸配列を含み;及び(xv)前記重鎖可変領域は、配列番号165のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号176のアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、分離された抗FAM19A5抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、前記VHは、表4に示すVH配列を含み、前記VLは、表5に示すVL配列を含む。
【0178】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号35-38、155-165又は232-240に示すアミノ酸配列(表4参照)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0179】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号39-42、166-176又は241-250に示すアミノ酸配列(表5参照)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0180】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は重鎖及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号35-38、155-165又は232-240に示すアミノ酸配列(表4参照)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号39-42、166-176又は241-250に示すアミノ酸配列(表5参照)と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%同じアミノ酸配列を含む。
【0181】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)それぞれ配列番号35及び39を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(b)それぞれ配列番号36及び40を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(c)それぞれ配列番号37及び41を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(d)それぞれ配列番号38及び42を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(e)それぞれ配列番号155及び166を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(f)それぞれ配列番号156及び167を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(g)それぞれ配列番号157及び168を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(h)それぞれ配列番号158及び169を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(i)それぞれ配列番号159及び170を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(j)それぞれ配列番号160及び171を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(k)それぞれ配列番号161及び172を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(l)それぞれ配列番号162及び173を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(m)それぞれ配列番号163及び174を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(n)それぞれ配列番号164及び175を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(o)それぞれ配列番号165及び176を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(p)それぞれ配列番号232及び241を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(q)それぞれ配列番号233及び242を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(r)それぞれ配列番号234及び242を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(s)それぞれ配列番号235及び243を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(t)それぞれ配列番号236及び244を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(u)それぞれ配列番号236及び245を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(v)それぞれ配列番号236及び246を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(w)それぞれ配列番号236及び247を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(x)それぞれ配列番号236及び248を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(y)それぞれ配列番号236及び249を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(z)それぞれ配列番号237及び250を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(aa)それぞれ配列番号238及び250を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;
(bb)それぞれ配列番号239及び250を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列;又は
(cc)それぞれ配列番号240及び250を含む重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む。
【0182】
特定の具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、(i)1-65の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は1-65の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ;(ii)3-2の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は3-2の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(iii)2-13の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は2-13の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(iv)1-28の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は1-28の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(v)P2-C12の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP2-C12の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(vi)13B4の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は13B4の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(vii)13F7の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は13F7の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(viii)15A9の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は15A9の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(ix)P1-A03の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP1-A03の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(x)P1-A08の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP1-A08の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xi)P1-F02の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP1-F02の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xii)P2-A01の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP2-A01の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xiii)P2-A03の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP2-A03の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xiv)P2-F07の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はP2-F07の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xv)P2-F11の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はF2-F11の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xvi)SS01-13の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はSS01-13の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xvii)SS01-13-s5の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はSS01-l3-s5の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xviii)S5-2.GKNGの重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はS5-2.GKNGの軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xix)1-7A-ITの重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は1-7A-ITの軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xx)Low-PIの重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又はLow-PIの軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxi)1-30の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は1-30の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxii)1-17の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は1-17の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxiii)1-32の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は1-32の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxiv)4-11の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は4-11の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxv)6-10の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は6-10の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxvi)2-13Dの重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は2-13Dの軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxvii)2-13D-37の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は2-13D-37の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの任意の組合せ;(xxviii)2-13D-37-1.5W-41の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は2-13D-37-1.5W-41の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3-41又はこれらの任意の組合せ;又は(xxiv)2-13D-37-3W-16の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せ及び/又は2-13D-3W-16の軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3又はこれらの組合せを含む。本明細書に開示の個別の抗FAM19A5抗体に対するVH CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列は、表2に提供されている。本明細書に開示の個別の抗FAM19A5抗体に対するVL CDR1、CDR2及びCDR3のアミノ酸配列は、表3に提供されている。
【0183】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むVH CDR1;及び/又は
(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0184】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VH CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0185】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;及び/又は
(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)配列番号31のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0186】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VL CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0187】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号17のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号18のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)配列番号19のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)配列番号29のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)配列番号30のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)配列番号31のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0188】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0189】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VH CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0190】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)配列番号28のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0191】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VL CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0192】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号14のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号15のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)配列番号16のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)配列番号26のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)配列番号27のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)配列番号28のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0193】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0194】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VH CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0195】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)配列番号24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)配列番号25のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0196】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VL CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0197】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号12のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)配列番号13のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)配列番号23のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)配列番号24のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)配列番号25のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0198】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;及び/又は
(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むVH CDR3を含む。
【0199】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VH CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0200】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(b)配列番号33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(c)配列番号34のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0201】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、前記VL CDRの1個、2個又は3個のいずれをも含む。
【0202】
いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は:
(a)配列番号20のアミノ酸配列を含むVH CDR1;
(b)配列番号21のアミノ酸配列を含むVH CDR2;
(c)配列番号22のアミノ酸配列を含むVH CDR3;
(d)配列番号32のアミノ酸配列を含むVL CDR1;
(e)配列番号33のアミノ酸配列を含むVL CDR2;及び/又は
(f)配列番号34のアミノ酸配列を含むVL CDR3を含む。
【0203】
いくつかの具現例において、本明細書に開示の抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、前記CDRの1個、2個、3個、4個、5個又は6個を含む。いくつかの具現例において、本明細書に開示の抗FAM19A5抗体(例えば、scFv)は、表2又は表3に提供されたCDRの1個、2個、3個、4個、5個又は6個を含む。
【0204】
いくつかの具現例において、本明細書に記載のVHドメイン及びVLドメインは、可撓性(flexible)リンカーによって連結され、単鎖Fv抗体を生産することができる。したがって、いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体又はその抗原結合部分は、表4から選択されたVHドメイン及び表5から選択されたVLドメインを含み、前記VHドメイン及びVLドメインは可撓性リンカーによって接合されている。いくつかの具現例において、前記可撓性リンカーは、配列SGGGGSSGGGGS(配列番号207)を含む。他の具現例において、前記可撓性リンカーは、配列GQSSRSSGGGGSSGGGGS(配列番号300)を含む。例示的な抗FAM19A5 scFvのアミノ酸配列は、下表6に提供されている(VHドメインは下線、VLドメインは太字、リンカーは斜字で表示されている)。
【0205】
【表7】

【0206】
本明細書に記載のVHドメイン又はその1つ以上のCDRはまた、重鎖、例えば全長(full length)重鎖を形成するための定常ドメインに連結され得る。類似に、本明細書に記載のVLドメイン又はその1つ以上のCDRは、軽鎖、例えば全長軽鎖を形成するための定常ドメインに連結され得る。全長重鎖及び全長軽鎖は組み合わせて全長抗体を生成する。
【0207】
したがって、特定の具現例において、抗体軽鎖及び重鎖、例えば、本明細書に開示の方法に有用な別個の軽鎖及び重鎖を含む抗体が提供される。前記軽鎖と関連して、特定の具現例において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、カッパ(kappa)軽鎖である。他の特定の具現例において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、ラムダ(lambda)軽鎖である。さらに他の特定の具現例において、本明細書に記載の抗体の軽鎖は、ヒトカッパ軽鎖又はヒトラムダ軽鎖である。特定の具現例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本明細書に開示の方法に有用な抗体は、本明細書に記載された任意のVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、前記軽鎖の定常領域は、ヒトカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の具現例において、FAM19A5ポリペプチド(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本明細書に開示の方法に有用な抗体は、本明細書に記載されたVL又はVL CDRアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、前記軽鎖の定常領域は、ヒトラムダ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。ヒト定常領域配列の非制限的な例は、当業界に記載されている。例えば、米国特許番号5,693,780及び上のKabat EA et al,(1991)を参照されたい。
【0208】
前記重鎖と関連していくつかの具現例において、本明細書に記載の抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖であり得る。他の特定の具現例において、記載された抗体の重鎖は、ヒトアルファ(α)、デルタ(δ)、エプシロン(ε)、ガンマ(γ)又はミュー(μ)重鎖を含むことができる。いくつかの具現例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本明細書に開示の方法に有用な抗体は、本明細書に記載されたVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、前記重鎖の定常領域は、重鎖はヒトガンマ(γ)重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。他の具現例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載されたVH又はVH CDRアミノ酸配列を含む重鎖を含み、前記重鎖の定常領域は、本明細書に記載又は当業界に公知のヒト重鎖のアミノ酸を含む。ヒト定常領域配列の非制限的な例は、当業界に記載されている。例えば、米国特許番号5,693,780及び上のKabat EA et al.,(1991)を参照されたい。
【0209】
いくつかの具現例において、本明細書に開示の方法に有用な抗体は、本明細書に記載されたVH又はVH CDRとVL及びVL CDRを含むVLドメイン及びVHドメインを含み、前記定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子又はヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。他の特定の具現例において、FAM19A5(例えば、ヒトFAM19A5)に特異的に結合する本明細書に記載の抗体は、本明細書に記載された任意のアミノ酸配列を含むVLドメイン及びVHドメインを含み、前記定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA又はIgY免疫グロブリン分子及び任意の亜型の免疫グロブリン分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgAl及びIgA2)の定常領域のアミノ酸配列を含む。いくつかの具現例において、前記定常領域は、亜型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)及び同種異因子型(例えば、Glm、G2m、G3m及びnG4m)及びこれらの変種を含む天然ヒトIgGの定常領域のアミノ酸配列を含む。例えば、Vidarsson G.et al.Front Immunol.5:520(2014年10月20日オンライン公開)及びJefferis R.and Lefranc MP,mAbs 1:4,1-7(2009)を参照されたい。いくつかの具現例において、前記定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4又はこれらの変種の定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0210】
特定の具現例において、本明細書に開示の方法に有用な抗FAM19A5抗体は、Fc効果器機能、例えば、補体依存性細胞毒性(CDC)及び/又は抗体依存性細胞性食菌作用(ADCP)を持たない。効果器機能は、Fc領域によって媒介され、前記Fc領域のCH2ドメインにおいてヒンジ領域に最も近接した残基は、先天性免疫系の効果器細胞上でClq(補体)及びIgG-Fc受容体(FcγR)に対して大きく重なる結合部位を含むので、抗体の効果器機能を担当する。また、IgG2及びIgG4抗体は、IgG1及びIgG3抗体よりも低いレベルのFc効果器機能を有する。抗体の効果器機能は、(1)Fc領域が欠如している抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、単鎖Fv(scFv)又はモノマーVH又はVLドメインからなるsdAbのような)を用い;(2)例えば、糖が付着している残基を欠失又は変更することによって、糖を酵素的に除去することによって、グリコシル化阻害剤の存在の下に培養された細胞において抗体を生成することによって、又はタンパク質をグリコシル化できない細胞(例えば、バクテリア宿主細胞、例えば米国特許公開第20120100140号参照)において抗体を発現させることによって、無糖化抗体を生成し;(3)効果器機能が減少したIgG亜型のFc領域を用い(例えば、IgG2及びIgG4抗体の領域又はIgG2及びIgG4抗体のCH2ドメインを含むキメラFc領域、例えば米国特許公開第20120100140号及びLau C.et al.J.Immunol.191:4769-4777(2013)参照);及び(4)Fc機能を減少させたり或いはなくす突然変異を持つFc領域を生成させることを含めて当業界に公知の異なる接近法によって減少又は回避され得る。例えば、米国特許公開第20120100140号及びそこに引用されている米国及びPCT出願及びAn et al,mAbs 1:6,572-579(2009)を参照されたい。
【0211】
これによって、いくつかの具現例において、本明細書に開示の方法に有用な抗FAM19A5抗体は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv、単鎖Fv(scFv)又は単量体VH又はVLドメインからなるsdAbである。このような抗体断片は当業界によく知られており、上に記載されている。
【0212】
いくつかの具現例において、本明細書に開示の方法に有用な抗FAM19A5抗体は、Fc効果器機能が減少したり或いは存在しないFc領域を含む。いくつかの具現例において、前記定常領域は、ヒトIgG2又はIgG4のFc領域のアミノ酸配列を含み、いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、IgG2/IgG4アイソ型を有する。いくつかの具現例において、前記抗FAM19A5抗体は、IgG4アイソ型のIgG抗体のCH2ドメイン及びIgG1アイソ型のIgG抗体のCH3ドメインを含むキメラFc領域、又はIgG2のヒンジ領域とIgG4のCH2領域を含むキメラFc領域、又はFc効果器機能が減少したり或いは存在しない突然変異を持つFc領域を含む。Fc効果器機能が減少したり或いは存在しないFc領域は、当業界に公知されたものを含む。例えば、Lau C.et al,J.Immunol.191:4769-4777(2013);An et al,mAbs 1:6,572-579(2009);及び米国特許公開番号20120100140及びそこに引用されている米国特許及び公開公報及びPCT公開公報を参照されたい。また、Fc効果器機能が減少したり或いは存在しないFc領域は、当業者であれば容易に作ることができる。
【0213】
<核酸分子>
本明細書に記載の他の側面は、本明細書に開示の抗体又はその抗原結合部分のいずれか一つをコードする1つ以上の核酸分子に関する。このような核酸分子は、本開示内容のAAVベクターにおいて発現し得る。核酸は、他の細胞成分又は他の汚染物質、例えば他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば、自然で分離されたDNAに連結された染色体DNA)又はタンパク質からアルカリ/SDS処理、CsClバンディング(banding)、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動及び当業界によく知られたその他の技術を含む標準技術によって精製される時、“分離”されたり或いは“実質的に純粋になる”。F.Ausubel,et al.,ed.(1987)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New Yorkを参照する。本明細書に記載の核酸は、例えば、DNA又はRNAであり、イントロン配列を含有しても含有しなくてもよい。特定の具現例において、前記核酸は、cDNA分子である。
【0214】
本明細書に記載の特定核酸分子は、本開示内容の抗FAM19A5抗体のVH及びVL配列をコードするものである。このような抗体のVH配列をコードする例示的なDNA配列は、配列番号43-46,177及び265-278に示されている(表7)。このような抗体のVL配列をコードする例示的なDNA配列は、配列番号47-50、178及び279-292に示されている(表8)。1-65、3-2及び2-13 scFv抗体をコードする例示的なDNA配列は、表9に提供されている。
【0215】
【表8】


【0216】
【表9】

【0217】
【表10】


【0218】
本明細書に開示の抗FAM19A5 scFv抗体を生成するために、前記VH-及びVL-コーディングDNA断片は、可撓性リンカー、例えばアミノ酸配列(Gly4-Ser)3をコードする他の断片に作動的に連結され、前記VH及びVL配列は、VL及びVH領域が可撓性リンカーによって接合された隣接単鎖タンパク質として発現し得る(例えば、Bird et al,(1988)Science 242:423-426;Huston et al.,(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883;McCafferty et al.,(1990)Nature 348:552-554参照)。その後、このような核酸配列は、本明細書に開示のAAVベクターに挿入でき、これは、後で、例えば実施例に立証されたようにscFv抗体を生産するために用いることができる。
【0219】
これと違い、前記抗FAM19A5抗体(信号ペプチドがあるか又はない)の重鎖及び軽鎖をコードするヌクレオチド配列、例えば、それぞれ、配列番号43及び47、配列番号44及び48、配列番号45及び49、配列番号46及び50、配列番号177及び178は、本開示内容の1つ以上のAAVベクターに挿入され得る。次に、このようなAAVベクターを用いて全長抗体を生産できる。本開示内容のAAVベクターを用いて形質導入された宿主細胞が本明細書に含まれる。
【0220】
例えば、パッケージング細胞、補助ウイルス又はプラスミド及び/又はバキュロウイルスシステムを使用する方法を含めて本明細書に開示のAAVベクターを生産する方法が、当業界によく知られている(例えば、Samulski et al.,J.Virology 63,3822(1989);Xiao et al.,J.Virology
72、2224(1998);Inoue et al.,J Virol.72,7024(1998);WO1998/022607;及びWO2005/072364参照)。
【0221】
また、偽型(pseudotyped)AAVベクターを生産する方法(例えば、WO00/28004)の他にも、生体内投与時にAAVベクターの免疫原性を減少させるためにAAVベクターの様々な変形又は剤形化が知られている(例えば、WO01/23001;WO00/73316;WO04/112727;WO05/005610;及びWO99/06562参照)。いくつかの具現例において、AAVベクターは共に混合されたり、或いは他の類型のウイルスと混合されてキメラ(例えば、偽型)AAVウイルスを生産できる様々な血清型のAAVから製造又は由来することができる。
【0222】
<III.薬剤学的組成物>
本明細書は、生理学的に許容される担体、賦形剤又は安定化剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)において所望の程度の純度を持つ本開示内容のAAV抗体を含む組成物を提供する。許容される担体、賦形剤又は安定化剤は、使用された投与量及び濃度において、受容者に非毒性であり、ホスフェート、シトレート及びその他の有機酸のような緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド;フェノール、ブチル又はベンジルアルコール;メチル又はプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールのような);低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジン(lysine)のようなアミノ酸;単糖類、二糖類及びグルコース、マンノース又はデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAのようなキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース又はソルビトールのような糖;ナトリウムのような塩形成対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);及び/又はTWEENTMTM、PLURONICSTM又はポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤を含む。
【0223】
いくつかの具現例において、薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体に、本明細書に記載のAAVベクター及び場合によって1つ以上の追加予防剤又は治療剤を含む。特定の具現例において、薬剤学的組成物は、薬剤学的に許容される担体に、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分の有効量及び場合によって1つ以上の追加予防剤又は治療剤を含む。いくつかの具現例において、前記抗体は、前記薬剤学的組成物に含まれた唯一の活性成分である。本明細書に記載の薬剤学的組成物は、FAM19A5活性を減少させ、中枢神経系損傷、疾患又は障害、例えば神経病性疼痛のような症状を治療するのに有用であり得る。
【0224】
非経口製剤において用いられる薬剤学的に許容される担体は、水性ビークル、非水性ビークル、抗微生物剤、等張化剤、緩衝剤、抗酸化剤、局所痲酔剤、懸濁及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート化剤及びその他の薬剤学的に許容される物質を含む。水性ビークルの例は、塩化ナトリウム注射液、点滴注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース及びラクテート点滴注射液を含む。非水性非経口ビークルは、植物起源の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油及びピーナッツ油を含む。静菌又は静真菌濃度の抗微細物剤がフェノール又はクレゾール、水銀含有物質、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシベンゾ酸エステル、チメロサール、ベンザルコニウムクロリド及びベンゼトニウムクロリドを含む多回容量容器にパッケージされた非経口製剤に添加され得る。等張化剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。緩衝剤は、ホスフェート及びシトレートを含む。抗酸化剤は、硫酸水素ナトリウムを含む。局所痲酔剤は、プロカイン塩酸塩を含む。懸濁及び分散剤は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、Polysorbate 80(TWEEN(登録商標) 80)を含む。金属イオンの封鎖剤又はキレート化剤は、EDTAを含む。薬剤学的担体はまた、水混和性ビークル用エチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;及びpH調整のための水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含む。
【0225】
本開示内容の薬剤学的組成物は、対象に対する任意の投与経路のために剤形化できる。投与経路の具体的な例は、鼻内、経口、非経口、髄腔内、脳室内、肺、皮下又は心室内経路を含む。本明細書では皮下、筋肉内又は静脈内注射を特徴とする非経口投与も考慮される。注射剤は、従来の形態であり、液体溶液や懸濁液、注射前に液体中溶液又は懸濁液に適した固体形態で製造されたり又は乳化液として製造され得る。注射剤、溶液及び乳化液はまた、1つ以上の賦形剤を含有する。適切な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールである。また、必要な場合、投与する薬剤学的組成物はまた、少量の湿潤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定化剤、溶解度増進剤のような非毒性補助物質及び例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレート及びシクロデキストリンのような製剤を含有できる。
【0226】
抗体の非経口投与用製剤は、注射用即席滅菌液、皮下注射用錠剤を含めて使用直前に溶媒と即席で調合できる凍結乾燥粉末のような滅菌乾燥可溶性製品、注射用即席滅菌懸濁液、使用直前にビークルと即席調合できる滅菌乾燥不溶性製品及び滅菌乳化液を含む。前記溶液は、水性又は非水性であり得る。
【0227】
静脈内投与の場合、適切な担体は、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)及びグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びこれらの混合物のような増粘剤と可溶化剤を含有する溶液を含む。
【0228】
抗体を含む局所用混合物は、局所及び全身投与に対して記載の通りに製造される。その結果として得た混合物は、溶液、懸濁液、乳化液などであり得、クリーム、ゲル、軟膏、乳化液、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ、ペースト、フォーム、エアゾール、灌注液(irrigation)、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ又は局所投与に適した任意の他の剤形として剤形化できる。
【0229】
本明細書に記載のAAV抗体は、例えば、吸入による局所用エアゾールとして剤形化できる(例えば、炎症性疾患、特に、喘息治療に有用なステロイド伝達用エアゾールを記載している米国特許第4,044,126,4,414,209号及び第4,364,923号を参照)。気道投与用のこれらの剤形は、噴霧器用エアゾール又は溶液形態であるか、吸入剤用微細粉末であり、単独又はラクトースのような非活性担体と組み合わせることができる。このような場合、剤形の粒子は、いくつかの具現例において、50ミクロン未満の直径、いくつかの具現例では10ミクロン未満の直径を有する。
【0230】
本明細書に記載のAAV抗体は、目におけるような皮膚と粘膜への局所塗布のように局所用又は局部用に、ゲル、クリーム及びローションの形態で、及び目に適用又は槽内(intracisternal)又は脊髄内適用のために製剤化できる。局所投与は、経皮伝達用にそして目や粘膜投与用又は吸入療法用にも考慮される。前記抗体の点鼻液(nasal solution)は、単独で、或いは他の薬剤学的に許容される賦形剤との組合せで投与できる。
【0231】
いくつかの具現例において、本明細書に記載のAAV抗体を含む薬剤学的組成物は、溶液、乳化液及びその他の混合物として投与用に再構成できる凍結乾燥粉末である。前記凍結乾燥粉末はまた、固体又はゲルとして再構成及び剤形化できる。前記凍結乾燥粉末は、本明細書に記載の抗体又はその抗原結合部分、又はその薬剤学的に許容される誘導体を適切な溶媒に溶解させてなる。いくつかの具現例において、前記凍結乾燥粉末は、滅菌性である。前記溶媒は、前記粉末又は前記粉末から製造された再構成溶液の安定性又はその他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有できる。使用可能な賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、トウモロコシシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又はその他の適切な製剤を含むが、これに限定されるものではない。前記溶媒はまた、シトレート、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウムのような緩衝剤、又はいくつかの具現例において略中性pHの他のこのような緩衝剤を含有できる。次いで、前記溶液を滅菌濾過した後、当業者に公知された標準条件で凍結乾燥させ、所望の剤形を提供する。いくつかの具現例において、前記得られた溶液は、凍結乾燥用バイアルに配分され得る。それぞれのバイアルは、前記化合物の単一投与量又は多回の投与量を含有できる。前記凍結乾燥した粉末は、約4℃~室温のような適切な条件で保管され得る。
【0232】
このような凍結乾燥した粉末を注射用水によって再構成し、非経口投与用に使用するための剤形を提供する。再構成のために、前記凍結乾燥した粉末を、滅菌水又は他の適切な担体に添加する。その正確な量は、選択した化合物によって異なる。このような量は、経験的に決定できる。
【0233】
本明細書に記載のVVA抗体と本明細書に提供された他の組成物はまた、治療する対象の特定組織、受容体又は他の身体領域を標的にするよう剤形化できる。このような標的化方法の多数が当業者によく知られている。本明細書において、このような標的化方法はいずれも、本組成物に使用することが考慮される。標的化方法の非制限的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、第6,274,552号、第6,271,359号、第6,253,872号、第6,139,865号、第6,131,570号、第6,120,751号、第6,071,495号、第6,060,082号、第6,048,736号、第6,039,975号、第6,004,534号、第5,985,307号、第5,972,366号、第5,900,252号、第5,840,674号、第5,759,542号及び第5,709,874号を参照する。特定の具現例において、本明細書に記載のAAVベクターは、疾患又は障害、例えば、中枢神経系損傷、退行性脳疾患又は神経病性疼痛を治療するために標的化される。
【0234】
生体内投与に用いられる組成物は、滅菌性であり得る。これは、例えば滅菌濾過膜を用いた濾過によって容易になり得る。
【0235】
<IV.キット>
本明細書はまた、本明細書に記載の1つ以上のAAV抗体を含むキットを提供する。いくつかの具現例において、本明細書は、本明細書に提供された1つ以上のAAV抗体のような本明細書に記載の薬剤学的組成物の成分のいずれか1つ以上が満たされた1つ以上の容器及び場合によって使用説明書を含む薬剤学的パック又はキットを提供する。いくつかの具現例において、前記キットは、本明細書に記載された薬剤学的組成物及び本明細書に記載のような任意の予防剤又は治療剤を含有する。
【0236】
<V.治療用途及び方法>
特定の側面において、本明細書は、対象においてCNSに対する傷害又は損傷を軽減させるための方法として、前記対象に本開示内容のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。
【0237】
他の側面において、本明細書は、対象において神経膠症の開始又はイニシエーション及びこれに関連したCNSの有害な影響を阻害、遅延、抑制、制限、減少、反転又は予防するための方法として、前記対象に本明細書に開示のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。いくつかの具現例において、本明細書は、対象において反応性星状細胞の過度又は異常な増殖及びこれに関連したCNSの有害な影響を阻害、遅延、抑制、制限、減少、反転又は予防するための方法として、前記対象に本開示内容のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。いくつかの具現例において、本明細書は、対象においてコンドロイチンスルフィドプロテオグリカン(ニューロカン、NG2又は両方のレベルを含む)の発現を減少、阻害又は軽減したり、又はニューロカン、NG2又は両方の活性を減少又は不活性化するための方法として、前記対象に本明細書に記載のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。いくつかの具現例において、本明細書は、対象において好ましくは傷害又は損傷後に神経細胞の成長を刺激、促進、増加又は活性化するための方法として、前記対象に本明細書に記載のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。他の具現例において、本明細書は、必要とする対象においてc-fos mRNA、c-fosタンパク質又はc-fosタンパク質活性のレベルを増加させ、好ましくは、神経細胞の核内ERK mRNA、ERKタンパク質又はpERK活性のレベルを増加させるための方法として、前記対象に本開示内容のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。特定の具現例において、本明細書は、必要とする対象においてGAP43 mRNA、GAP43タンパク質のレベルを増大又は増加させたり、好ましくは神経細胞においてGAP43タンパク質の活性を増加させるための方法として、前記対象に本開示内容のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。特定の具現例において、本明細書は、必要とする対象において神経細胞の生存を増進又は促進し/又は軸索の再成長を促進させるための方法として、前記対象に本明細書に開示のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。いくつかの具現例において、前記対象は、ヒト、好ましくは、例えばCNS損傷、外傷、傷害、脳脊髓損傷、脳腫瘍、感染、虚血、脳卒中、自己免疫反応及び/又は神経退行性疾患から神経細胞が傷害又は損傷したヒトである。
【0238】
いくつかの側面において、本明細書はまた、必要とする対象において中枢神経系損傷、脳脊髓系損傷、退行性脳障害、退行性脳脊髓又は神経障害又は神経病性疼痛を含む疾患又は障害を治療するための方法として、前記対象に本開示内容のAAVベクターを投与することを含む方法を提示する。いくつかの具現例において、前記中枢神経系損傷は、外傷性脳傷害、脳脊髓損傷、脳卒中、脳腫瘍又はこれらの組合せである。いくつかの具現例において、前記退行性脳障害は、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)又はこれらの組合せである。これによって、、特定の具現例において、本明細書は、必要とする対象において外傷性脳損傷、脳脊髓損傷、脳卒中、脳腫瘍又はこれらの組合せを治療するための方法として、前記対象に本明細書に開示のAAVベクター又はその組成物を投与することを含む方法を開示する。いくつかの具現例において、本明細書は、必要とする対象においてハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ALSを治療するための方法として、前記対象に本明細書に開示のAAVベクター又はその組成物を投与することを含む方法を開示する。いくつかの具現例において、前記対象はヒトである。
【0239】
特定の具現例において、本明細書は、必要とする対象において線維症を治療、減少、反転、予防、緩和、改善又は阻害するための方法として、前記対象に本明細書に開示のAAVベクター又はその組成物を投与することを含む方法を提示する。いくつかの具現例において、前記線維症は、陽性(すなわち、症状を誘発しない)である。他の具現例において、前記線維症は、可逆的である或いは可逆的でない病理学的状態と関連がある。いくつかの具現例において、前記線維症は、肝線維症、肺線維症、腎臓線維症、骨髄線維症、膵臓線維症、皮膚線維症、心臓線維症、動脈線維症、関節線維症、乳房線維症、筋肉線維症、後腹膜線維症、甲状腺線維症、リンパ節線維症、膀胱線維症及び胸膜線維症からなる群から選ばれる。一具現例において、前記線維症は、肝線維症又は肺線維症である。他の具現例において、前記線維症は、肝癌、肺癌、腎臓癌、乳癌及び/又は膵癌のような癌から由来した腫瘍と関連がある。一具現例において、前記方法は、前記線維症、前記線維症関連症状、前記線維症の根本原因又はこれらの組合せを減少、反転、緩和、改善、阻害又は遅延又は予防する。
【0240】
他の具現例において、本明細書に開示のAAVベクターは、必要とする対象において線維症関連疾患又は障害を治療、減少、反転、予防、改善、制御又は阻害できる。用語“疾患又は障害関連線維症”は、疾患又は障害を伴うか、疾患又は障害によって起こったり或いはこれに起因する線維症のことを指す。前記用語は、上に開示した疾患又は障害に起因したり、これによって起こる線維症又は疾患又は障害を伴う線維症を含む。
【0241】
他の具現例において、本開示内容のAAVベクターは、必要とする対象において肝癌、肺癌、腎臓癌、乳癌及び/又は膵癌を治療、減少、反転、予防、遅延、改善、制御又は阻害でき、前記方法は、前記対象にAAVベクターを投与することを含む。いくつかの具現例において、前記肝癌、肺癌、腎臓癌、乳癌及び/又は膵癌は、線維症と関連したり又はそれによって起こる。
【0242】
いくつかの具現例において、本開示内容のAAVベクター又はその組成物の治療有効量を投与する。対象(例えば、ヒト)治療時に、本明細書に開示のAAVベクターの治療有効量は、年齢、性別、疾患の重症度ような因子によって変わる。
【0243】
いくつかの具現例において、本開示内容のAAVベクター又はその組成物は、静脈内、経口、非経口、経髄、髄腔内、脳室内、筋肉内、肺、腹腔内、硝子体内、皮下、硬膜外、網膜下又は心室内投与される。
【0244】
いくつかの具現例において、本明細書に開示のAAVベクター又はその組成物は、線維症を治療するための1つ以上の追加製剤(例えば、特発性肺線維症の場合、ピルフェニドン(ESBRIET(登録商標))又はニンテダニブ(OFEV(登録商標)))と組み合わせて投与され得る。前記1つ以上の追加治療薬物の投与量及び投与は、例えば、それぞれの薬物の製品ラベルに指示されている通り、当業界に知られている。
【0245】
いくつかの具現例において、本明細書に記載のAAVベクター又はその組成物は、中枢神経系損傷(例えば、外傷性脳損傷、脳脊髓損傷、脳卒中又は脳腫瘍)、脳脊髓系損傷、退行性脳障害(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、アルツハイマー病、多発性硬化症、ALS)、退行性脳脊髓又は神経障害又は神経病性疼痛)を治療するための1つ以上の追加製剤と組み合わせて投与され得る。例えば、ハンチントン病を治療するための非制限的な例示的な製剤は、テトラベナジン(XENAZINE(登録商標))、例えばハロペリドール(HALDOL(登録商標))、クロルプロマジン、リスペリドン(RISPERDAL(登録商標))及びクエチアピン(SEROQLIEL(登録商標))のような抗精神病薬物を含む。
【0246】
パーキンソン病治療用製剤の非制限的な例は、レボドパ(カルビドパがあるかない)、プラミペキソール(MIRAPEX(登録商標))のようなドパミン作用剤、ロピニロール(REQETIP(登録商標))及びロチゴチン(NEEIPRO(登録商標))及びアポモルヒネ(APOKYN(登録商標))、セレギリン(ELDEPRYL(登録商標)及びZELAPAR(登録商標))、ラサギリン(AZILECT(登録商標))、エンタカポン(COMTAN(登録商標))、ベンズトロピン(COGENTIN(登録商標))、トリヘキシフェニジル及びアマンタジンを含む。
【0247】
アルツハイマー病治療用製剤の非制限的な例は、ドネペジル(ARICEPT(登録商標))、ガランタミン(RAZADYNE(登録商標))及びリバスチグミン(EXELON(登録商標))を含む。
【0248】
多発性硬化症治療用製剤の非制限的な例は、グラチラマー酢酸塩(COPAXONE(登録商標))、フマル酸ジメチル(TECFIDERA(登録商標))、フィンゴリモド(GILENYA(登録商標))、テリフルノミド(AEIBAGIO(登録商標))、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))、アレムツズマブ(LEMTRADA(登録商標))及びミトキサントロンを含む。
【0249】
ALS治療用製剤の非制限的な例は、リルゾール(RILETTEK(登録商標))を含む。
【0250】
前記1つ以上の追加治療薬物の投与量及び投与は、例えば、それぞれの薬物の製品ラベルに指示されている通り、当業界に知られている。
【0251】
後述する実施例は、限定されない例示として提供される。
【0252】
(実施例1:アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター作製)
抗FAM19A5抗体クローン1-65、2-13又は3-2の単鎖可変断片(scFv)をコードするAAVベクターを、次のように作製した。簡単に、3-2scFvをコードするAAVベクターを作製するために、pscAAV-MCS発現ベクター(Cell biolabs,cat.#VPK-430)を、EcoRI及びNotIを用いて切った。次に、図1に示すように、CMVプロモーター下、ヒトベータグロビンイントロンと3-2scFvをコードする移植遺伝子を、pscAAV-MCSベクターに挿入した。遺伝子発現の極大化のために、ヒトベータグロビンイントロンを挿入した。1-65又は2-13 scFvをコードするAAVベクターを生成するために、上のAAVベクターを、EcoRV及びNotlを用いて3-2scFv移植遺伝子を除去した。その後、1-65又は2-13ScFvをコードする移植遺伝子をAAVベクターに挿入した。3-2、1-65又は2-13ScFvをコードする移植遺伝子をマウスにおいて最適発現のためにコドン最適化した。全てのAAVベクターは、移植遺伝子の前にマウスIgGカッパ鎖信号ペプチドを含み、細胞から分泌を促進させた。前記AAVベクターはまた、scFv移植遺伝子の後にFLAG-タグを含み、遺伝子発現検出を助けた。一応、作製されたら、前記AAVベクターを大腸菌に形質転換し、培養し、maxiprepを用いて多量のAAVベクターを得た。Signagen Laboratories(ロックビル、メリーランド)が1-30scFv又はマウスIL-10又はGFPをコードするAAVベクターを生成して提供した。
【0253】
次のような組換えAAVを後述する実施例で用いた:(i)scAAV8-CMV-3-2-ScFv(Sirion、ドイツ)、(ii)scAAV9-CMV-3-2-ScFv(Signagen Laboratories、米国)、(iii)scAAV9-CMV-1-65-ScFv(Signagen Laboratories、米国)、scAAV9-CMV-2-13-ScFv(Signagen Laboratories、米国);(iv)scAAV1-CMV-3-2-ScFv(Signagen Laboratories、米国);(v)scAAV9-CMV-1-30-ScFv(Signagen Laboratories、米国);(vi)scAAV9-CMV-mIL-10(Signagen Laboratories、米国);(vii)scAAV9-CMV-GFP(Signagen Laboratories、米国);(viii)scAAV1-CMV-GFP(Signagen Laboratories、米国)。
【0254】
(実施例2:抗FAM19A5ScFv遺伝子発現分析)
上で作製したAAVベクター(scAAV8-CMV-3-2-ScFv、scAAV9-CMV-3-2-ScFv、scAAV9-CMV-1-65-ScFv及びscAAV9-CMV-2-13-ScFv)を用いて、抗FAM19A5ScFvの発現を試験した。簡単に、HEK293細胞(1.2×10)を60mm皿に接種し、24時間培養した。その後、前記培地をopti-MEM培地(低血清)に取り替え、HEK293細胞を異なるAAVベクター(多重感染多重度(MOI)を使用)を用いて形質導入した。形質導入して1日、4日及び8日目に上澄液を回収した。遺伝子発現を確認するために、ABSbioTM DYKDDDKタグELISAキット(Advanced Bioreagent,cat.# SE002-flag)を用いてscFv遺伝子の後に含まれたFLAGタグを検出した(図1及び実施例1参照)。回収した上澄液を1~10倍希釈した後、希釈された上澄液100μLをELISAプレートのウェルに添加し、室温で350rpmで2時間反応させた。その後、前記プレートを洗浄し、検出抗体100μLをそれぞれのウェルに添加し、350rpmで室温で1時間反応させた。次いで、前記プレートを再び洗浄し、各ウェルに100μLのTMB溶液を添加し、10~30分間放置した。次に、ウェルに100μLの停止溶液を添加し、450nmで吸光度を測定した。検量線からFLAGの量を測定し、標準物質の分子量に対するFLAG発現比をかけてscFvの量を計算した。
【0255】
図2Aに示すように、scAAV8-CMV-3-2-scFvベクターの場合、抗FAM19A5 scFvは形質導入後、早ければ1日目から上澄液から検出できた(1×10MOI)。形質導入後8日まで概略100ng/mLの3-2scFvが上澄液から検出された(1×10MOIにおいて)。scAAV9-CMV-3-2-scFvベクターによって形質導入後8日まで概略70ng/mLの3-2scFvが上澄液から検出された(2×10MOI)。scAAV9-CMV-1-65-ScFv及びscAAV9-CMV-2-13-ScFvによっても類似の結果が観察された。図2Cに示すように、形質導入後4日目に上澄液からそれぞれ、概略120ng/mL及び115ng/mLの1-65scFv及び2-13 scFvが検出された。
【0256】
前記データは、実施例1において全てのAAVベクターが適切に作製され、これらは細胞に形質導入時に抗FAM19A5 scFv発現を誘導できることを立証している。
【0257】
(実施例3:U87MG細胞においてFAM19A5結合抑制)
前記AAV構造体によって生産された抗FAM19A5 scFvの結合能を評価するために、U87MG細胞(ヒト原発性膠芽細胞腫細胞株としてヒトFAM19A5-Fcタンパク質に結合可能。)を用いて結合阻害分析を行った。簡単に、U87MG細胞をscAAV8-CMV-2-3-ScFv(MOI 1×10)、scAAV9-CMV-1-65-ScFv(MOI 2×10)又はscAAV9-CMV-2-13-ScFv(MOI 2×10)を用いて形質導入した。次の、形質導入後4日目に、ヒトFAM19A5-Fcタンパク質0.1μgを上澄液200μLと混合し、この混合物を4℃で30分間培養した。陰性対照群は、PBS又はscAAV9-CMV-GFPベクターを用いて形質導入したHEK293細胞の上澄液を用いた。30分培養後、前記混合物(ヒトFAM19A5-Fc+抗FAM19A5 scFv AAV構造体を用いて形質導入した細胞の上澄液)100μLをU87MG細胞(2×10)に添加し、4℃で1時間反応させた。次に、前記細胞をPBSで洗浄し、100μLのヒツジ抗ヒトIgG488抗体(Invitrogen,cat.# A11013)(1:50希釈)で処理し、4℃で30分間さらに培養させた。次いで、前記細胞を再び洗浄し、U87MG細胞に対するヒトFAM19A5-Fcの結合を、流細胞計数法を用いて分析した。
【0258】
図3A図3B及び図3Cに示すように、前記U87MG細胞を混合物(ヒトFAM19A5-Fc+抗FAM19A5 scFv AAV構造体を用いて形質注入された細胞の上澄液)で処理した時、前記細胞に対するヒトFAM19A5-Fcの結合が、前記細胞を対照群混合物(ヒトFAM19A5-Fc+scAAV9-CMV-GFP構造体を用いて形質注入された細胞の上澄液)で処理する時に比べて減少した。これは、試験した全ての抗FAM19A5 scFv AAV構造体に該当している。scAAV9-CMV-1-65-ScFv、scAAV9-CMV-2-13-ScFv、scAAV8-CMV-3-2-ScFvを用いて形質導入された細胞の上澄液は、該当の対照群(AAV-GFPベクターを用いて形質注入されたり又はPBS処理した細胞の上澄液)に比べて、U87MG細胞に対するヒトFAM19A5-Fcの結合の平均蛍光強度(MFI)を、それぞれ、19%(図3A)、68%(図3B)及び42%(図3C)減少させた。
【0259】
これらの結果は、実施例1に記載されているAAV構造体によって生産された抗FAM19A5 scFvが、高い親和度でヒトFAM19A5に効果的に結合できることを立証する。
【0260】
(実施例4:C8-D1A細胞においてFAM19A5結合の阻害)
実施例3で観察された結合阻害を確認するために、C8-D1A細胞を結合阻害分析に用いた。C8-D1A細胞は星状細胞株であり、培養時にFAM19A5を周辺培地に分泌できる。前記AAV構造体によって生産された抗FAM19A5 scFvが、ヒトFAM19A5に効果的に結合できる場合には、前記抗FAM19A5 scFv AAVを用いて形質導入された細胞の上澄液でC8-D1A細胞培養培地を処理すると、培養培地内FAM19A5タンパク質濃度の減少が見られるべきである。
【0261】
簡単に、C8-D1A細胞を6ウェルプレート(2×10細胞/ウェル)に塗抹し、概略24時間培養した。抗FAM19A5 scFv含有上澄液は、HEK293細胞を、(i)scAAV8-CMV-3-2-ScFv(MOI1×10);(ii)scAAV9-CMV-1-65-ScFv(MOI=2×10);又は(iii)scAAV9-CMV-2-13-ScFv(MOI=2×10)のいずれか一つを用いて形質注入させて生産した後、形質導入後8日目に上澄液を回収した。前記C8-D1A細胞を活性化するために、TGF-β(20ng/mL)を、抗FAM19A5 scFvを含有する上澄液と共に細胞に添加した。PBS又はscAAV-9-CMV-GFPを用いて形質導入された細胞の上澄液を陰性対照群として用いた。細胞を24時間培養させた後、ELISA分析を用いて、培養物中FAM19A5タンパク質濃度を測定した(ELISA分析に用いられた方法については実施例1を参照されたい。)。
【0262】
図4Aに示すように、C8-D1A細胞を、scAAV8-CMV-3-2-ScFvを用いて形質導入された細胞の上澄液が存在する状態で活性化させた時、該当の対照群(PBS)に比べて、培養培地から検出されたFAM19A5タンパク質の濃度が、約38%減少した。scAAV9-CMV-2-13-ScFvとscAAV9-CMV-1-65-ScFvを用いて形質導入された細胞の上澄液は、該当の対照群(GFP AAVベクターを用いて形質注入された細胞の上澄液)に比べて、培養培地内FAM19A5タンパク質の濃度がそれぞれ、約63%及び14%減少した。図4Bを参照されたい。
【0263】
上のデータは、前記AAVベクターによって生産された抗FAM19A5 scFvがヒトFAM19A5に効果的に結合できることをさらに立証する。
【0264】
(実施例5:生体内発現分析)
生体内抗FAM19A5 scFv発現を確認するために、scAAV8-CMV-3-2-ScFv構造体を、C57BL/6マウスに髄腔内投与した(1×1011ウイルスゲノム(vg)/マウス)。次いで、前記マウスを投与して1週及び2週後に犠牲させ、脊髄組織(腰推脊髄)を分析した。遺伝子発現を検出するために、抗FLAG抗体と蛍光顕微鏡を用いた。
【0265】
図5に示すように、未投与(naive)動物(すなわち、AAVベクターの未投与)には、投与後1週(上段左側写真)及び2週(下段左側写真)ともに、陽性抗体発現がなかった。これに対し、scAAV8-CMV-3-2-ScFv処理動物では、投与後1週目に腹角(ventral horn)神経細胞において抗FLAG(すなわち、抗FAM19A5 scFv)発現が観察された(上段右側写真)。2週までは背角(dorsal horn)領域を含めて遥かに高い発現があった。
【0266】
このデータは、上の試験管内発現データ(実施例2参照)を裏付けるものであり、抗FAM19A5AAVベクターの髄腔内投与時に周辺細胞を形質導入して抗FAM19A5
scFvを生産できることを意味している。
【0267】
(実施例6:scAAV8-CMV-3-2-ScFvを用いた慢性神経病性疼痛モデル(CCI)において疼痛緩和評価)
前記抗FAM19A5 scFv AAV構造体投与の生体内効果を評価するために、慢性収縮性損傷(CCI)のマウスモデルを用いた。簡単に、PBS(対照群)又はscAAV8-CMV-3-2-ScFvを、C57BL/6マウスに髄腔内(脊椎に)投与した。次いで、投与後約1週目に、前記動物から末梢神経損傷が座骨神経結紮によって誘導された。損傷後、様々な時点で、前記動物の機械的異質痛(物理的外部刺激に対する反応)及び熱的痛覚過敏(高温に対する反応)の両方を評価した。機械的異質痛は、Von
Freyモノフィラメント(0.16g)を、傷ついた足に数回加え、動物が疼痛で反応する回数を観察して評価した。熱的痛覚過敏は、放射熱刺激(強度:30)を傷ついた足に加え、足引っ込め潜時を確認するHargreaves試験法を用いて評価した。
【0268】
図6Bに示すように、scAAV8-CMV-3-2が投与された動物は、対照群動物(PBSのみ)に比べて、Von Freyモノフィラメントに少なく頻度で反応した。熱的痛覚過敏に対しては、類似の結果が観察された。図6Bを参照されたい。これらの結果は、抗FAM19A5AAV構造体の生体内投与が末梢神経損傷後の神経病性疼痛を減少させることができることを立証する。
【0269】
(実施例7:scAAV9-CMV-3-2-ScFvを用いた慢性神経病性疼痛モデル(CCI)において疼痛緩和評価)
実施例6に記載された慢性収縮性損傷(CCI)のマウスモデルを用いてscAAV9-CMV-3-2-ScFvの生体内効果も試験した。簡単に、scAAV9-CMV-3-2-ScFv構造体をC57BL6マウスに髄腔内投与した。対照群動物は、scAAV9-CMV-GFP構造体が投与された。次いで、投与して約1週後に末梢神経損傷が誘導された。その後、実施例6に記載されているように、様々な時点で前記動物の機械的異質痛及び熱的痛覚過敏の両方を評価した。
【0270】
図7A及び図7Bに示すように、scAAV9-CMV-3-2-ScFvが投与された動物は、末梢神経損傷後にさらに多くの疼痛耐性を有するものとみられた。例えば、対照群動物に比べて、scAAV9-CMV-3-2-ScFv投与マウスは、Von Freyモノフィラメントに少ない頻度で反応し(図7A)、高温に対してより高い潜時(latency time)を有している(図7B)。
【0271】
要するに、これらの結果は、抗FAM19A5 scFvをAAVベクターを用いて効果的に生体内伝達でき、AAVベクターによって生産された抗FAM19A5 scFvが完全に機能的である(例えば、ヒトFAM19A5に結合して神経病性疼痛を減少させる)ことを立証する。
【0272】
(実施例8:scAAV1-CMV-3-2-ScFvを用いて慢性神経病性疼痛モデル(CCI)において疼痛緩和評価)
前記効果が、使用されたAAVの類型に依存するか否かをさらに評価するために、scAAV1-CMV-3-2-ScFvの生体内効果を試験した。簡単に、C57BL/6マウスに髄腔内投与によって、2週間隔でscAAV1-CMV-3-2-ScFvの2回容量(各容量=1x1011vg/マウス)を投与した。最後の投与1週後に、末梢神経損傷を誘導し、実施例6に記載されている通りに機械的異質痛及び情熱痛覚過敏の両方を評価した。
【0273】
実施例6及び7から観察されたように、scAAV1-CMV-3-2-ScFvで処理した動物は、対照群に比べて、損傷誘導して約4日後(すなわち、手術して数日後)から機械的異質痛の改善を示した(すなわち、Von Freyモノフィラメント刺激に対して相対的に少ない頻繁で反応する)。図8Aを参照されたい。このような改善は、損傷誘導後24日に実験終了時まで維持された。熱的痛覚過敏の場合、損傷誘導後約5日からscAAV1-CMV-3-2-ScFvで処理した動物において改善が観察され(すなわち、熱刺激に反応するより長い潜時)、少なくとも損傷誘導後12日まで持続した。図8Bを参照されたい。
【0274】
これらの結果は、神経病性疼痛治療において3-2抗FAM19A5 scFvの効能をさらに裏付けるものであり、使用したAAVベクターの類型に治療実益が依存しないことを立証する。
【0275】
(実施例9:scAAV9-CMV-2-13-ScFv又はscAAV9-CMV-1-30-ScFvを用いて慢性神経病性疼痛モデル(CCI)において疼痛緩和評価)
前記抗FAM19A5抗体の他のクローンも神経病性疼痛を治療できるか否かを評価するために、実施例6に記載されている慢性収縮性損傷(CCI)のマウスモデルを再び用いた。簡単に、scAAV9-CMV-2-13-ScFv(2週間隔で2回容量、各容量=1×1011vg/マウス)又はscAAV9-CMV-1-30-ScFv(単回容量、1×1011vg/マウス)をC57BL/6マウスに髄腔内投与によって投与した。対照群動物は、scAAV9-CMV-GFPが投与された。最後に投与して略1週間後に末梢神経損傷を誘導し、損傷誘導後、様々な時点で機械的異質痛及び熱的痛覚過敏の両方を評価した(実施例6参照)。
【0276】
図9A図9B図10A及び図10Bに示すように、scAAV9-CMV-2-13-ScFv又はscAAV9-CMV-1-30-ScFvで処理した動物は、機械的異質痛及び熱的痛覚過敏の両方に対して改善を示した。これらの結果は、抗FAM19A5抗体の個別のクローンも、神経病性疼痛を治療するために用いることができるということを立証する。
【0277】
(実施例10:抗FAM19A5ScFvとIL-10の組合せを用いて慢性神経病性疼痛モデル(CCI)において疼痛緩和の評価)
他の治療剤(すなわち、IL-10)と組み合わせた抗FAM19A5ScFvの効能を決定するために、次の処方(regimen)のいずれか一つを、髄腔内投与によってC57BL/6マウスに投与した:(i)scAAV1-CMV-GFP;(ii)scAAV1-CMV-3-2-ScFv;(iii)scAAV1-CMV-3-2-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10;及び(iv)scAAV9-CMV-mIL-10。上記のそれぞれ異なる治療処方をマウスに1×1011μg/マウスの投与量で2回(2週間隔)投与した。最後に投与して1週間後に末梢神経損傷を誘導し、様々な時点で機械的異質痛を評価した(実施例6参照)。
【0278】
前の実施例で観察された通り、scAAV1-CMV-3-2-ScFvを単独で処理した動物は、対照群(すなわち、scAAV1-CMV-GFP)に比べて、物理的刺激に対してより耐性があった(すなわち、Von Freyモノフィラメントの印加に相対的に少ない頻繁で反応する)。類似の反応がscAAV9-CMV-mIL-10で単独処理した動物からも観察された(図11A)。動物をscAAV1-CMV-3-2-ScFv及びscAAV9-CMV-mIL-10の組合せで処理した時、単一治療処方で処理した動物に比べてはるかに改善された反応を示した。scAAV9-CMV-2-13-ScFv(図11B)及びscAAV9-CMV-1-30-ScFv(図11C)に対しても類似の結果が観察された。
【0279】
これらの結果は、神経病性疼痛治療においてAAVベクターを通じて伝達される抗FAM19A5 scFvの効能をさらに立証する。これらの結果はまた、この効能がIL-10のような他の治療剤と組合せしたとき、より増進できることを立証する。
【0280】
本PCT出願は、2018年5月8日に提出された米国仮出願番号62/668,634の優先権の利益を主張し、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0281】
図1図1は、実施例に記載されている抗FAM19A5 scFv AAV構造体(construct)を生成するために用いたpscAAV構造体のマップを提供している。図1に示すように、前記pscAAV構造体は、次のような核心要素を含む:(i)CMVプロモーター下のヒトベータグロビン;(ii)3-2、1-65又は2-13 scFvをコードする転移遺伝子(transgene)、及び(iii)左右逆転された末端反復(ITR)。
図2A図2A図2B及び図2Cは、次のようなAAV構造体のいずれか一つでHEK293細胞を形質導入させた後、抗FAM19A5 scFvの発現レベルを示している:(i)scAAV8-CMV-3-2-ScFv;(ii)scAAV9-CMV-3-2-ScFv;(iii)scAAV9-CMV-1-65-ScFv;又は(iv)scAAV9-2-13-ScFv。図2Aで、HEK293細胞を、2個の異なるMOI:5×10(白色棒)又は1×10(黒色棒)のscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた。抗体濃度は、形質導入後1日、4日及び8日に測定した。図2Bで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-3-2-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)で形質導入させた。抗体濃度は、単一時点、すなわち形質導入後8日目に測定した。図2Cで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-1-65-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)又はscAAV9-2-13-ScFv(ドット付き白色棒:MOI=1×10;ドット付き黒色棒=2×10)で形質導入させた。
図2B図2A図2B及び図2Cは、次のようなAAV構造体のいずれか一つでHEK293細胞を形質導入させた後、抗FAM19A5 scFvの発現レベルを示している:(i)scAAV8-CMV-3-2-ScFv;(ii)scAAV9-CMV-3-2-ScFv;(iii)scAAV9-CMV-1-65-ScFv;又は(iv)scAAV9-2-13-ScFv。図2Aで、HEK293細胞を、2個の異なるMOI:5×10(白色棒)又は1×10(黒色棒)のscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた。抗体濃度は、形質導入後1日、4日及び8日に測定した。図2Bで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-3-2-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)で形質導入させた。抗体濃度は、単一時点、すなわち形質導入後8日目に測定した。図2Cで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-1-65-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)又はscAAV9-2-13-ScFv(ドット付き白色棒:MOI=1×10;ドット付き黒色棒=2×10)で形質導入させた。
図2C図2A図2B及び図2Cは、次のようなAAV構造体のいずれか一つでHEK293細胞を形質導入させた後、抗FAM19A5 scFvの発現レベルを示している:(i)scAAV8-CMV-3-2-ScFv;(ii)scAAV9-CMV-3-2-ScFv;(iii)scAAV9-CMV-1-65-ScFv;又は(iv)scAAV9-2-13-ScFv。図2Aで、HEK293細胞を、2個の異なるMOI:5×10(白色棒)又は1×10(黒色棒)のscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた。抗体濃度は、形質導入後1日、4日及び8日に測定した。図2Bで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-3-2-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)で形質導入させた。抗体濃度は、単一時点、すなわち形質導入後8日目に測定した。図2Cで、HEK293細胞を、scAAV9-CMV-1-65-ScFv(白色棒:MOI=1×10;黒色棒=2×10)又はscAAV9-2-13-ScFv(ドット付き白色棒:MOI=1×10;ドット付き黒色棒=2×10)で形質導入させた。
図3A図3A図3B及び図3Cは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液が存在又は不在する状態でU87MG細胞に対するヒトFAM19A5-Fc結合の平均蛍光強度(MFI)を示している。図3Aは、scAAV9-CMV-1-65-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は1-65scFvを示す。図3Bは、scAAV9-2-13-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は2-13 scFvを示す。図3Cは、scAAV8-CMV-3-2-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(PBS)を示し、数字“2”は3-2scFvを示す。
図3B図3A図3B及び図3Cは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液が存在又は不在する状態でU87MG細胞に対するヒトFAM19A5-Fc結合の平均蛍光強度(MFI)を示している。図3Aは、scAAV9-CMV-1-65-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は1-65scFvを示す。図3Bは、scAAV9-2-13-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は2-13 scFvを示す。図3Cは、scAAV8-CMV-3-2-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(PBS)を示し、数字“2”は3-2scFvを示す。
図3C図3A図3B及び図3Cは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液が存在又は不在する状態でU87MG細胞に対するヒトFAM19A5-Fc結合の平均蛍光強度(MFI)を示している。図3Aは、scAAV9-CMV-1-65-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は1-65scFvを示す。図3Bは、scAAV9-2-13-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(GFP)を示し、数字“2”は2-13 scFvを示す。図3Cは、scAAV8-CMV-3-2-ScFvに対するデータを示している。数字“1”は対照群(PBS)を示し、数字“2”は3-2scFvを示す。
図4A図4A及び図4Bは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液で処理した後、C8-D1A細胞培養物内ヒトFAM19A5タンパク質の濃度を示している。図4Aは、C8-D1A細胞をscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた細胞の上澄液又はPBS単独と共に培養時に、FAM19A5タンパク質濃度を比較したものである。図4Bは、C8-D1A細胞をscAAV9-2-13-ScFv、scAAV9-CMV-1-65-ScFv又は対照群構造体(scAAV9-CMV-GFP)と共に培養時に、FAM19A5濃度を比較したものである。図4A及び図4Bで、“未投与(naive)”は、活性化されず、最小FAM19A5タンパク質を培養物に生産するC8-D1A細胞を表す。
図4B図4A及び図4Bは、互いに異なる抗FAM19A5AAV構造体で形質導入させた細胞の上澄液で処理した後、C8-D1A細胞培養物内ヒトFAM19A5タンパク質の濃度を示している。図4Aは、C8-D1A細胞をscAAV8-CMV-3-2-ScFvで形質導入させた細胞の上澄液又はPBS単独と共に培養時に、FAM19A5タンパク質濃度を比較したものである。図4Bは、C8-D1A細胞をscAAV9-2-13-ScFv、scAAV9-CMV-1-65-ScFv又は対照群構造体(scAAV9-CMV-GFP)と共に培養時に、FAM19A5濃度を比較したものである。図4A及び図4Bで、“未投与(naive)”は、活性化されず、最小FAM19A5タンパク質を培養物に生産するC8-D1A細胞を表す。
図5図5は、scAAV8-CMV-3-2-ScFvをC57BL/6マウスに髄腔内投与して1週(上段行)及び2週(下段行)後に脳内抗FAM19A5(3-2)scFvの発現を示している。左列の写真は未投与動物の写真である(非投与)。右列の写真は、AAV構造体が投与されたマウスの写真である。上段右列の写真において、矢印は陽性染色を意味する。
図6A図6A及び図6Bは、末梢神経損傷後、機械的異質痛(図6A)と熱的痛覚過敏(図6B)に対するscAAV8-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図6Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物がVon Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図6Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(paw withdrawal latency、動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図6B図6A及び図6Bは、末梢神経損傷後、機械的異質痛(図6A)と熱的痛覚過敏(図6B)に対するscAAV8-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図6Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物がVon Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図6Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(paw withdrawal latency、動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図7A図7A及び図7Bは、末梢神経損傷後、機械的異質痛(図7A)と熱的痛覚過敏(図7B)に対するscAAV9-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図7Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物がVon Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図7Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図7B図7A及び図7Bは、末梢神経損傷後、機械的異質痛(図7A)と熱的痛覚過敏(図7B)に対するscAAV9-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図7Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物がVon Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図7Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図8A図8A及び図8Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV1-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図8Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10回の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図8Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図8B図8A及び図8Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV1-CMV-3-2-ScFvの投与効果を示している。図8Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10回の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図8Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図9A図9A及び図9Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV9-CMV-2-13-ScFvの投与効果を示している。図9Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10回の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図9Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図9B図9A及び図9Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV9-CMV-2-13-ScFvの投与効果を示している。図9Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10回の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図9Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図10A図10A及び図10Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV9-CMV-1-30-ScFvの投与効果を示している。図10Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10個の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図10Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図10B図10A及び図10Bはそれぞれ、機械的異質痛と熱的痛覚過敏に対するscAAV9-CMV-1-30-ScFvの投与効果を示している。図10Aで、機械的異質痛に対する効果は、動物が(10個の刺激のうち)Von Freyマイクロフィラメントを用いた刺激に対して疼痛に反応した回数として表示されている。図10Bで、熱的痛覚過敏に対する効果は、足引っ込め潜時(動物が熱源から離れるまでかかった時間)として表示されている。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図11A図11A図11B及び図11Cは、互いに異なる抗FAM19A5 scFv AAV構造体単独又は他の治療剤と組み合わせた効果を比較して提供している。図11Aで、動物は、次のいずれか一つが投与された:(i)scAAV1-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV1-CMV-3-2-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV1-CMV-3-2-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Bで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-2-13-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-2-13-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Cで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-1-30-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-1-30-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図11B図11A図11B及び図11Cは、互いに異なる抗FAM19A5 scFv AAV構造体単独又は他の治療剤と組み合わせた効果を比較して提供している。図11Aで、動物は、次のいずれか一つが投与された:(i)scAAV1-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV1-CMV-3-2-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV1-CMV-3-2-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Bで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-2-13-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-2-13-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Cで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-1-30-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-1-30-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図11C図11A図11B及び図11Cは、互いに異なる抗FAM19A5 scFv AAV構造体単独又は他の治療剤と組み合わせた効果を比較して提供している。図11Aで、動物は、次のいずれか一つが投与された:(i)scAAV1-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV1-CMV-3-2-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV1-CMV-3-2-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Bで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-2-13-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-2-13-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。図11Cで、動物は、次のいずれかが投与された:(i)scAAV9-CMV-GFP(白い丸);(ii)scAAV9-CMV-1-30-ScFv(黒い丸);(iii)scAAV9-CMV-mIL-10(白い四角);(iv)scAAV9-CMV-1-30-ScFv+scAAV9-CMV-mIL-10(黒い四角)。“*”は、対照群対比p<0.05の統計的有意性を意味する。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
【配列表】
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