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特開2022-125166画像処理装置、画像処理方法及び画像表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125166
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及び画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20220819BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220819BHJP
   H04N 5/66 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
G09G3/20 612T
G09G3/20 631M
G09G3/20 632G
G09G3/20 633R
G09G3/20 680D
G09G3/20 650C
G09G3/20 660C
G09G5/00 510V
H04N5/66 D
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022107979
(22)【出願日】2022-07-04
(62)【分割の表示】P 2019570212の分割
【原出願日】2018-02-08
(71)【出願人】
【識別番号】514315159
【氏名又は名称】株式会社ソシオネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山岸 伸貴
(72)【発明者】
【氏名】ハシサレフ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー マーティン
(57)【要約】
【課題】画像表示システムにおいて、1の画像データを分割することで得られるサイズの異なる各画像データを、同じまたは同程度のフレームレートで表示するにあたり、ブランキング期間を短くする。
【解決手段】画像処理装置は、第1の画像データの有効表示領域と、垂直方向のサイズが前記第1の画像データよりも小さい第2の画像データの有効表示領域を垂直方向に拡大することで得られる有効表示領域と、が水平方向に結合された入力画像データを取得する取得手段と、前記入力画像データを水平方向に分割することで得られる第1の中間画像データ及び第2の中間画像データのうち、該第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、前記第2の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに基づいて縮小し、第2の出力画像データを生成する画像処理手段とを有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像データであって、
第1の画像データの有効表示領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第1のブランキング領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と水平方向に結合され、垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域よりも小さい第2の画像データの有効表示領域を、拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズと同じになるように、垂直方向に拡大することで得られる、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と、
前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第2のブランキング領域と、
を含む入力画像データを取得する取得手段と、
前記入力画像データを水平方向に分割することで得られる、第1の画像データの有効表示領域を含む第1の中間画像データと、第2の出力画像データであって、
第2の画像データの拡大後の有効表示領域を含む第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、前記第2の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに基づいて縮小した、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と、
第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第3のブランキング領域と、
を含む、前記第2の画像データに対応する前記第2の出力画像データと、を生成する画像処理手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記第1のブランキング領域の垂直方向のサイズは、前記第2のブランキング領域の垂直方向のサイズと同一であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第3のブランキング領域によって規定される、垂直方向のブランキング期間は、前記第2の出力画像データにおいて前記入力画像データと垂直周波数が等しくなるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第2の中間画像データを複数ラインずつ格納するラインバッファを更に有し、
前記画像処理手段は、前記第2の中間画像データを、前記ラインバッファから読み出し、前記第2の中間画像データの垂直方向のサイズを縮小することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像処理手段は、前記第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、フィルタリング処理により縮小することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記入力画像データは、第1の画像データの有効表示領域と、前記第2の画像データの有効表示領域をフィルタリング処理により垂直方向にサイズを拡大することで得られる有効表示領域と、を水平方向に結合することで生成されることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、前記第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、間引き処理により縮小することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記入力画像データは、第1の画像データの有効表示領域と、前記第2の画像データの有効表示領域を、ダミーラインの挿入により垂直方向にサイズを拡大することで得られる有効表示領域と、を水平方向に結合することで生成されることを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記画像処理手段は、前記第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、各ラインの折り返し位置をずらすことにより縮小することを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記入力画像データは、第1の画像データの有効表示領域と、前記第2の画像データの有効表示領域を、各ラインの折り返し位置をずらして垂直方向にサイズを拡大することで得られる有効表示領域と、を水平方向に結合することで生成されることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記入力画像データを水平方向に分割する分割手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記入力画像データについての設定データに基づいて、前記入力画像データを水平方向に分割する際の水平方向のサイズを特定し、前記分割手段に通知する制御手段を更に有することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記入力画像データを水平方向に分割する際の水平方向のサイズを格納する格納手段を更に有し、
前記分割手段は、前記格納手段に格納された水平方向のサイズに基づいて、前記入力画像データを水平方向に分割することを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記画像処理手段は、更に、前記第1の中間画像データに基づいて、前記第1の画像データに対応する第1の出力画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
入力画像データであって、
第1の画像データの有効表示領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第1のブランキング領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と水平方向に結合され、垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域よりも小さい第2の画像データの有効表示領域を、拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズと同じになるように、垂直方向に拡大することで得られる、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と、
前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第2のブランキング領域と、
を含む入力画像データを取得する取得工程と、
前記入力画像データを水平方向に分割することで得られる、第1の画像データの有効表示領域を含む第1の中間画像データと、第2の出力画像データであって、
第2の画像データの拡大後の有効表示領域を含む第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、前記第2の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに基づいて縮小した、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と、
第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第3のブランキング領域と、
を含む、前記第2の画像データに対応する前記第2の出力画像データと、を生成する画像処理工程と
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
画像生成装置と画像処理装置とを有する画像表示システムであって、
前記画像生成装置は、
入力画像データであって、
第1の画像データの有効表示領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第1のブランキング領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と水平方向に結合され、垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域よりも小さい第2の画像データの有効表示領域を、拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズと同じになるように、垂直方向に拡大することで得られる、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と、
前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第2のブランキング領域と、
を含む入力画像データを生成する生成手段を有し、
前記画像処理装置は、
前記入力画像データを水平方向に分割することで得られる、第1の画像データの有効表示領域を含む第1の中間画像データと、第2の出力画像データであって、
第2の画像データの拡大後の有効表示領域を含む第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、前記第2の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに基づいて縮小した、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と、
第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第3のブランキング領域と、
を含む、前記第2の画像データに対応する前記第2の出力画像データと、を生成する画像処理手段、
を有することを特徴とする画像表示システム。
【請求項17】
前記画像処理手段は、更に、第1の中間画像データに基づいて、前記第1の画像データに対応する第1の出力画像データを生成し、
前記画像表示システムは、更に、
前記第1の出力画像データを表示する第1のディスプレイと、
前記第2の出力画像データを表示する第2のディスプレイと、
を有することを特徴とする請求項16に記載の画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及び画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像サイズの異なる複数の画像データを、対応する解像度を有する各ディスプレイに表示する画像表示システムが知られている。例えば、車載の画像表示システムでは、画像生成装置で生成された画像データを、センタインフォメーションディスプレイと、マルチインフォメーションディスプレイとにそれぞれ表示する。
【0003】
かかる画像表示システムでは、ディスプレイごとにコントローラ(画像処理装置)が設けられ、画像データに対して、ディスプレイの特性に対応した画像処理が行われる。このため、ディスプレイの数が増えるとコントローラの数も増え、コストが上昇するとともに、設置スペースや発熱量等の問題が生じることになる。
【0004】
一方で、下記特許文献等には、画像生成装置にて各画像データを結合し1の画像データとし、コントローラにて当該1の画像データを分割することで、各画像データを同じフレームレートで表示する画像表示システムが開示されている。当該画像表示システムによれば、コントローラの数を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2004/066139号
【特許文献2】特開2013-213859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献等に開示された画像表示システムのように、1の画像データを分割することで得られるサイズの異なる各画像データを、同じフレームレートで表示するためには、コントローラ内にフレームバッファを設ける必要がある。一旦、フレーム単位で各画像データを保持し、各ディスプレイの解像度に応じたピクセルクロックや水平周波数で出力する必要があるからである。
【0007】
一方で、画像表示システムにおいて更なるコスト削減、更なる設置スペースの縮小及び発熱量の低減等を実現するためには、フレームバッファに代えてラインバッファを用いることが考えられる。しかしながら、ラインバッファを用いる場合、各画像データをラインバッファに保持する前後で水平周波数等を一致させることが前提となる。
【0008】
このため、例えば、垂直方向のサイズが異なる画像データを結合した場合、各画像データを同じまたは同程度のフレームレートで表示するには、サイズの小さい方の画像データの有効表示領域に対して、垂直方向のブランキング期間が長くなる。この場合、ディスプレイの表示規格の要件を満たさず、画像が正常に表示できなくなる。
【0009】
一つの側面では、画像表示システムにおいて、1の画像データを分割することで得られるサイズの異なる各画像データを、同じまたは同程度のフレームレートで表示するにあたり、ブランキング期間を短くすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様によれば、画像処理装置は、
入力画像データであって、
第1の画像データの有効表示領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第1のブランキング領域と、
前記第1の画像データの有効表示領域と水平方向に結合され、垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域よりも小さい第2の画像データの有効表示領域を、拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズが前記第1の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズと同じになるように、垂直方向に拡大することで得られる、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と、
前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の画像データの拡大後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第2のブランキング領域と、
を含む入力画像データを取得する取得手段と、
前記入力画像データを水平方向に分割することで得られる、第1の画像データの有効表示領域を含む第1の中間画像データと、第2の出力画像データであって、
第2の画像データの拡大後の有効表示領域を含む第2の中間画像データの垂直方向のサイズを、前記第2の画像データの有効表示領域の垂直方向のサイズに基づいて縮小した、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と、
第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域と垂直方向に結合され、前記第2の中間画像データの縮小後の有効表示領域の垂直方向のサイズに応じた、垂直方向のブランキング期間を規定する第3のブランキング領域と、
を含む、前記第2の画像データに対応する前記第2の出力画像データと、を生成する画像処理手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
画像表示システムにおいて、1の画像データを分割することで得られるサイズの異なる各画像データを、サイズの異なる複数のディスプレイに同じまたは同程度のフレームレートで表示するにあたり、ブランキング期間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、車両に搭載される画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、ディスプレイの配置例を示す図である。
図3図3は、画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、比較例の画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
図5図5は、第1の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部の機能構成の一例を示す図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部による画像処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、第2の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部の機能構成の一例を示す図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部による画像処理の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、第3の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部の機能構成の一例を示す図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部による画像処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
<車両に搭載される画像表示システムのシステム構成>
はじめに、車両に搭載される画像表示システムのシステム構成について説明する。図1は、車両に搭載される画像表示システムのシステム構成の一例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、車両100に搭載される画像表示システム140は、画像生成装置110と、画像処理装置120と、第1のディスプレイ131と、第2のディスプレイ132とを有する。
【0016】
画像生成装置110は、例えば車載システムにおけるナビゲーション装置やヘッドユニット等であり、画像生成部111(生成手段)を備える。画像生成部111は、第1のディスプレイ131用の第1の画像データと、第2のディスプレイ132用の第2の画像データとに基づいて、入力画像データを生成し、画像処理装置120に出力する。
【0017】
画像処理装置120には、例えば画像処理を行う半導体チップが配され、当該半導体チップが動作することで、画像処理装置120は、画像処理部121として機能する。
【0018】
画像処理部121は、画像生成装置110より入力画像データを取得し、水平方向に分割することで、第1の中間画像データと第2の中間画像データとを生成する。
【0019】
また、画像処理部121は、第1の中間画像データ及び第2の中間画像データのいずれか一方または両方の垂直方向のサイズを縮小することで、第1の出力画像データ及び第2の出力画像データを生成する。更に、画像処理部121は、第1の出力画像データを第1のディスプレイ131に、第2の出力画像データを第2のディスプレイ132に出力する。
【0020】
第1のディスプレイ131は、画像処理部121より出力された第1の出力画像データを表示する。第1のディスプレイ131は、例えば、1920画素×1080画素の解像度を有しているものとする。
【0021】
第2のディスプレイ132は、画像処理部121より出力された第2の出力画像データを表示する。第2のディスプレイ132は、例えば、1280画素×720画素の解像度を有しているものとする。
【0022】
<複数のディスプレイの配置例>
次に、車両100に搭載された画像表示システム140を構成する第1及び第2のディスプレイ131、132の配置例について説明する。図2は、ディスプレイの配置例を示す図である。図2に示すように、第1のディスプレイ131は、車両100のセンタコンソール210内に配置され、センタインフォメーションディスプレイとして機能する。また、第2のディスプレイ132は、車両100のメータパネル220内に配置され、マルチインフォメーションディスプレイとして機能する。
【0023】
<画像処理装置のハードウェア構成>
次に、画像処理装置120のハードウェア構成について説明する。図3は、画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、画像処理装置120は、ホストI/F301、DMAコントローラ302、コマンドシーケンサ303を有する。これらのハードウェアは、第1のバス304を介して接続される。
【0024】
また、画像処理装置120は、Flash311、RAM/ROM312を有する。これらのハードウェアは、第2のバス313を介して接続される。なお、第1のバス304と第2のバス313とは、ブリッジを介して接続される。
【0025】
更に、画像処理装置120は、ビデオキャプチャ321、表示制御装置322を有し、表示制御装置322は、第2のバス313に接続される。
【0026】
ホストI/F(Interface)301は、不図示の外部装置と接続され、外部装置から送信される各種設定データを受信する。
【0027】
DMA(Direct Memory Access)コントローラ302は、ホストI/F301が受信した各種設定データを、Flash311に格納するよう制御する。コマンドシーケンサ303は、画像処理装置120全体を制御する。Flash(フラッシュメモリ)311は、ホストI/F301が受信した各種設定データを格納する。RAM/ROM312は、コマンドシーケンサ303が画像処理装置120全体を制御する際の主記憶装置として機能する。
【0028】
ビデオキャプチャ321は、画像生成装置110より出力された入力画像データを複数ラインずつ順次取得し、表示制御装置322に出力する。表示制御装置322は、各種設定データのもとで画像処理を行う。表示制御装置322が動作することで、画像処理装置120は、画像処理部121として機能する。これにより、画像処理装置120は、画像生成装置110より入力画像データを取得し、第1のディスプレイ131及び第2のディスプレイ132に、第1の出力画像データ及び第2の出力画像データを出力することができる。
【0029】
<各装置にて実行される処理の詳細>
次に、画像表示システム140の各装置(ここでは、画像生成装置及び画像処理装置)にて実行される処理の詳細について説明する。なお、以下では、まず、比較例の画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細について説明し、続いて、第1の実施形態に係る画像表示システム140の各装置にて実行される処理の詳細について説明する。
【0030】
(1)画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細
図4は、比較例の画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。なお、ここでいう画像表示システムは、図4に示すように、以下のような構成を有しているものとする。
・画像生成装置410と、画像処理装置420と、第1のディスプレイ431と、第2のディスプレイ432とを有する。
・画像生成装置410は、第1のディスプレイ431用の画像データ(1920画素×1080画素)と、第2のディスプレイ432用の画像データ(1280画素×720画素)とに基づいて画像データ411を生成する。また、生成した画像データ411を入力画像データ412として、画像処理装置420に出力する。
・画像処理装置420は、入力画像データ412を水平方向に分割し、第1の出力画像データ421と、第2の出力画像データ422とを生成する。
・画像処理装置420が、フレームバッファを有しておらず、代わりにラインバッファを有している。
・第1のディスプレイ431は、1920画素×1080画素の解像度を有しており、第2のディスプレイ432は、1280画素×720画素の解像度を有している。
・入力画像データ412の垂直周波数(リフレッシュレート)と、第1の出力画像データ421の垂直周波数は等しい。また、入力画像データ412の垂直周波数と、第2の出力画像データ422の垂直周波数も等しい。
・入力画像データ412の水平周波数と、第1の出力画像データ421の水平周波数は等しい。また、入力画像データ412の水平周波数と、第2の出力画像データ422の水平周波数も等しい。
【0031】
かかる画像表示システムの場合、各装置では以下のような処理が実行される。
【0032】
まず、画像生成装置410では、第1のディスプレイ431用の画像データの有効表示領域411-1と、第2のディスプレイ432用の画像データの有効表示領域411-2とを、水平方向に結合することで画像データ411を生成する。なお、有効表示領域411-1は、例えば、1920画素×1080画素であり、有効表示領域411-2は、1280画素×720画素である。
【0033】
続いて、画像生成装置410は、生成した画像データ411を、入力画像データ412として画像処理装置420に出力する。これにより、画像処理装置420では、入力画像データ412を取得する。
【0034】
画像処理装置420は、入力画像データ412を水平方向に分割し、第1の出力画像データ421、及び、第2の出力画像データ422を生成する。
【0035】
なお、第1の出力画像データ421は、第1のディスプレイ431の解像度に応じた水平方向のブランキング期間が設けられ、水平同期信号が設定される。ここで、画像処理装置420は、フレームバッファを有さないため、第1の出力画像データ421は、入力画像データ412と垂直周波数が等しくなるように同期をとられる。このため、第1の出力画像データ421の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ412の垂直方向のブランキング期間に基づいて設けられ、これに応じた垂直同期信号が設定される。なお、第1の出力画像データ421の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ412の垂直方向のブランキング期間と同一であることが望ましいが、表示画面上、気にならない程度、例えば、数ライン分ずれていても問題ない。
【0036】
これにより、第1のディスプレイ431には、入力画像データ412と同じフレームレートで、有効表示領域411-1が表示されることになる。
【0037】
一方、第2の出力画像データ422には、第2のディスプレイ432の解像度に応じた水平方向のブランキング期間が設けられ、水平同期信号が設定される。また、画像処理装置420はフレームバッファを有さないため、第2の出力画像データ422は、入力画像データ412と垂直周波数が等しくなるように同期をとられる。このため、第2の出力画像データ422の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ412の垂直方向のブランキング期間に基づいて設けられ、これに応じた垂直同期信号が設定される。なお、第2の出力画像データ422の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ412の垂直方向のブランキング期間と同一であることが望ましいが、表示画面上、気にならない程度、例えば、数ライン分ずれていても問題ない。
【0038】
ここで、第2の出力画像データ422に含まれる有効表示領域411-2は、第1の出力画像データ421に含まれる有効表示領域411-1と比較して、垂直方向のサイズが小さい。このため、入力画像データ412と垂直周波数が等しくなるように垂直方向のブランキング期間を設けた場合、ブランキング期間が長くなる(図4の点線430で示す領域に対応する期間分、垂直方向のブランキング期間が長くなる)。
【0039】
このように垂直方向のブランキング期間が長い画像は、ディスプレイの表示規格の要件を満たさず、この結果、第2のディスプレイ432には、有効表示領域411-2が適切に表示できなくなる。
【0040】
なお、図4に示すように、画像データ411と第1の出力画像データ421とを比較した場合、有効表示領域411-1の表示期間は、
・水平方向については、Ht11のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0041】
また、図4に示すように、画像データ411と第2の出力画像データ422とを比較した場合、有効表示領域411-2の表示期間は、
・水平方向については、Ht21のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt21のまま変化しない。
【0042】
(2)第1の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細
(2-1 各装置にて実行される処理の詳細)
次に、第1の実施形態に係る画像表示システム140の各装置にて実行される処理の詳細について説明する。図5は、第1の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
【0043】
画像生成装置110では、1920画素×1080画素の解像度を有する第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1と、1280画素×720画素の解像度を有する第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2とを水平方向に結合することで画像データ511を生成する。なお、有効表示領域511-1は、1920画素×1080画素であり、有効表示領域511-2は、1280画素×720画素である。
【0044】
また、画像生成装置110では、第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1の垂直方向のサイズと、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2の垂直方向のサイズとの比率を算出する。更に、画像生成装置110では、算出した比率に基づくフィルタリング処理により、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2のサイズを垂直方向に拡大する。これにより、画像生成装置110では、有効表示領域512-2を得る。
【0045】
続いて、画像生成装置110では、第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1と、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域512-2とが水平方向に結合された、画像データ512を生成する。
【0046】
続いて、画像生成装置110は、生成した画像データ512を、入力画像データ513として画像処理装置120に出力する。これにより、画像処理装置120では、入力画像データ513を取得する。
【0047】
画像処理装置120は、入力画像データ513を水平方向に分割することで、第1の出力画像データ521、及び、第2の出力画像データ522を生成する。
【0048】
なお、第1の出力画像データ521は、第1のディスプレイ131の解像度に応じた水平方向のブランキング期間が設けられ、水平同期信号が設定される。ここで、画像処理装置120は、フレームバッファを有さないため、第1の出力画像データ521は、入力画像データ513と垂直周波数が等しくなるように同期をとられる。このため、第1の出力画像データ521の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ513の垂直方向のブランキング期間に基づいて設けられ、これに応じた垂直同期信号が設定される。なお、第1の出力画像データ521の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ513の垂直方向のブランキング期間と同一であることが望ましいが、表示画面上、気にならない程度、例えば数ライン分ずれていても問題ない。
【0049】
このため、第1のディスプレイ131には、入力画像データ513と同じフレームレートで、有効表示領域511-1が表示されることになる。
【0050】
一方、第2の出力画像データ522を生成するにあたり、画像処理装置120では、入力画像データ513に含まれる有効表示領域512-2のサイズを、フィルタリング処理により垂直方向に縮小することで、有効表示領域511-2を生成する。ここで、分割後の有効表示領域512-2を垂直方向に縮小して垂直方向のサイズを小さくした場合、垂直方向において、同一期間内に出力されるライン数が削減されることになる。
【0051】
第1の出力画像データ521の有効表示領域511-1と、第2の出力画像データ522の有効表示領域511-2とは、垂直方向のサイズは異なるが、第2の出力画像データ522に関するピクセルクロックを調整することで垂直方向の周波数は等しくすることができる。
【0052】
このため、第2の出力画像データ522において、入力画像データ513と垂直周波数が等しくなるように垂直方向のブランキング期間を設けた場合、図4の第2の出力画像データ422に設けられた垂直方向のブランキング期間と比較して短くすることができる。
【0053】
この結果、画像処理装置120では、第2のディスプレイ132に、入力画像データ513と同じフレームレートで有効表示領域511-2を表示させることが可能となる。
【0054】
なお、図5に示すように、画像データ512と第1の出力画像データ521とを比較した場合、有効表示領域511-1の表示期間は、
・水平方向については、Ht11のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0055】
また、図5に示すように、画像データ512と第2の出力画像データ522とを比較した場合、有効表示領域512-2の表示期間と有効表示領域511-2の表示期間は、
・水平方向については、Ht21のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0056】
(2-2 画像処理部の機能構成)
次に、画像処理部121の機能構成について説明する。図6は、第1の実施形態に係る画像処理装置の画像表示部の機能構成の一例を示す図である。第1の実施形態に係る画像処理装置120の場合、図6に示すように、画像処理部121は、制御部601(制御手段及び格納手段)、入力部611(取得手段)、分割部612(分割手段)、ラインバッファ621、622を有する。また、画像処理部121は、スケーラ631、632、出力部641、642(以上、画像処理手段)を有する。
【0057】
制御部601は、不図示の外部装置より、各種設定データを受信し、格納する。また、制御部601は、格納した各種設定データを、入力部611、スケーラ631、632、出力部641、642に通知する。制御部601が受信する各種設定データには、例えば、
・有効表示領域511-1のサイズ(1920画素×1080画素)、
・有効表示領域511-2のサイズ(1280画素×720画素)、
・有効表示領域512-2の垂直方向の拡大率(1020画素/720画素)、
等が含まれる。
【0058】
入力部611は、所定のピクセルクロックで、画像生成装置110より入力画像データ513(例えば、3400画素×1300画素)を複数ラインずつ順次取得し、分割部612に出力する。
【0059】
分割部612は、入力部611より出力された入力画像データ513を、設定データに基づいて特定される各表示領域のサイズで、水平方向に分割する(有効表示領域511-1と有効表示領域511-2との間で水平方向に分割する)。また、分割部612は、分割により第1の中間画像データ651と、第2の中間画像データ652とを生成し、それぞれ、ラインバッファ621、622に出力する。
【0060】
ラインバッファ621、622は、分割部612より出力された第1の中間画像データ651と、第2の中間画像データ652とを、それぞれ、複数ラインずつ格納する。
【0061】
スケーラ631、632は、ラインバッファ621、622にそれぞれ格納された第1の中間画像データ651及び第2の中間画像データ652を読み出し、フィルタリング処理を行う。
【0062】
なお、第1の実施形態において、画像生成装置110は、入力画像データ513を生成するにあたり、有効表示領域511-1を拡大していない。このため、スケーラ631では、ラインバッファ621より読み出した第1の中間画像データ651を、フィルタリング処理により縮小することなく第1の中間画像データ661として出力部641に出力する。
【0063】
一方、第1の実施形態において、画像生成装置110は、入力画像データ513を生成するにあたり、フィルタリング処理により有効表示領域511-2を拡大し、有効表示領域512-2を得ている。このため、スケーラ632では、画像生成装置110がフィルタリング処理により垂直方向に拡大した分を、フィルタリング処理にて縮小したうえで、第2の中間画像データ662として、出力部641に出力する。この結果、スケーラ632では、画像生成装置110が最初に生成した第2のディスプレイ132用の第2の画像データと同等の画像データを再現することができる。
【0064】
出力部641では、スケーラ631から出力される第1の中間画像データ661に基づいて、第1の出力画像データ521(入力画像データ513と同じ水平周波数、同じ垂直周波数)を生成する。また、出力部641では、生成した第1の出力画像データ521を第1のディスプレイ131に出力する。これにより、第1のディスプレイ131では、解像度(例えば、1920画素×1080画素)に適した有効表示領域511-1を、入力画像データ513と同じフレームレートで表示することができる。
【0065】
一方、出力部642では、スケーラ632から出力される第2の中間画像データ662に基づいて、第2の出力画像データ522(入力画像データ513よりも低い水平周波数、同じ垂直周波数)を生成する。また、出力部642では、生成した第2の出力画像データ522を第2のディスプレイ132に出力する。これにより、第2のディスプレイ132では、非表示領域を含むことなく、解像度(例えば、1280画素×720画素)に適した有効表示領域511-2を、入力画像データ513と同じフレームレートで表示することができる。
【0066】
(2-3 画像処理装置による画像処理の流れ)
次に、画像処理装置120の画像処理部121による画像処理の流れについて説明する。図7は、第1の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部による画像処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
ステップS701において、入力部611は、画像生成装置110より入力画像データ513を複数ラインずつ順次取得する。
【0068】
ステップS702において、分割部612は、入力画像データ513を、水平方向に分割し、第1の中間画像データ651と、第2の中間画像データ652とを生成する。
【0069】
ステップS711において、分割部612は、生成した第1の中間画像データ651に対して、ガンマ補正等の後処理を実行し、ラインバッファ621に複数ラインずつ格納する。
【0070】
ステップS712において、スケーラ631は、制御部601より通知された各種設定データに基づいて、フィルタリング処理を実施するか否かを判定する。ステップS712においてフィルタリング処理を実施しないと判定した場合には(ステップS712においてNoの場合には)、ステップS714に進む。
【0071】
一方、ステップS712においてフィルタリング処理を実施すると判定した場合には(ステップS712においてYesの場合には)、ステップS713に進む。ステップS713において、スケーラ631は、第1の中間画像データ651に対してフィルタリング処理を実施する。
【0072】
ステップS714において、出力部641は、スケーラ631より出力された第1の中間画像データ661に基づいて、第1の出力画像データ521を生成し、第1のディスプレイ131に出力する。
【0073】
一方、ステップS721において、分割部612は、生成した第2の中間画像データ652に対して、ガンマ補正等の後処理を実行し、ラインバッファ622に複数ラインずつ格納する。
【0074】
ステップS722において、スケーラ632は、制御部601より通知された各種設定データに基づいて、フィルタリング処理を実施するか否かを判定する。ステップS722においてフィルタリング処理を実施しないと判定した場合には(ステップS722においてNoの場合には)、ステップS724に進む。
【0075】
一方、ステップS722においてフィルタリング処理を実施すると判定した場合には、ステップS722においてYesの場合には)、ステップS723に進む。ステップS723において、スケーラ632は、第2の中間画像データ652に対してフィルタリング処理を実施する。
【0076】
ステップS724において、出力部642は、スケーラ632より出力された第2の中間画像データ662に基づいて、第2の出力画像データ522を生成し、第2のディスプレイ132に出力する。
【0077】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第1の実施形態に係る画像表示システムでは、
・画像生成装置が、第1のディスプレイ用の第1の画像データの有効表示領域(1920画素×1080画素)を生成する。また、画像生成装置が、第2のディスプレイ用の第2の画像データの有効表示領域(1280画素×720画素)のサイズを垂直方向に拡大した有効表示領域(1280画素×1080画素)を生成する。更に、画像生成装置が、生成した有効表示領域(1920画素×1080画素)と、生成した有効表示領域(1280画素×1080画素)とを水平方向に結合した入力画像データを生成し、画像処理装置に出力する。
・画像処理装置が、画像生成装置より出力された入力画像データを取得する。
・画像処理装置が、取得した入力画像データを水平方向に分割することで第1の中間画像データと第2の中間画像データとを生成する。また、画像処理装置が、第2の中間画像データに対してフィルタリング処理を実施し、第2の中間画像データの垂直方向のサイズを縮小することで、第2の出力画像データを生成する。
【0078】
これにより、第1の実施形態に係る画像表示システムによれば、フレームバッファに代えてラインバッファを用いた場合であっても、第2の出力画像データを、入力画像データよりも低い水平周波数で出力することが可能となる。この結果、入力画像データと同じ垂直周波数の第2の出力画像データにおいて、垂直方向のブランキング期間を短くすることが可能となる。
【0079】
つまり、第1の実施形態に係る画像表示システムによれば、入力画像データを分割することで得られるサイズの異なる各中間画像データを同じフレームレートで表示するにあたり、ブランキング期間を短くすることができる。この結果、非表示領域を含むことなく、入力画像データと同じフレームレートで、各出力画像データを表示することが可能となる。
【0080】
[第2の実施形態]
上記第1の実施形態では、スケーラがフィルタリング処理を行うことで、有効表示領域のライン数を削減する構成とした。これに対して、第2の実施形態では、スケーラが間引き処理を行うことで、有効表示領域のライン数を削減する。以下、第2の実施形態について、上記第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0081】
<第2の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細>
(1)各装置にて実行される処理の詳細
はじめに、第2の実施形態に係る画像表示システム140の各装置にて実行される処理の詳細について説明する。図8は、第2の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
【0082】
画像生成装置110では、1920画素×1080画素の解像度を有する第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1と、1280画素×720画素の解像度を有する第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2とを水平方向に結合することで画像データ511を生成する。なお、有効表示領域511-1は、1920画素×1080画素であり、有効表示領域511-2は、1280画素×720画素である。
【0083】
また、画像生成装置110では、第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1の垂直方向のサイズと、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2の垂直方向のサイズとの差分を算出する。
【0084】
更に、画像生成装置110では、算出した差分に基づいて複数のダミーラインを挿入することで、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2を拡大し、有効表示領域812-2を得る。なお、画像生成装置110では、例えば、隣接するラインをコピーすることで、ダミーラインを挿入する。
【0085】
続いて、画像生成装置110では、第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1と、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域812-2とが水平方向に結合された、画像データ812を生成する。
【0086】
続いて、画像生成装置110は、生成した画像データ812を、入力画像データ813として画像処理装置120に出力する。これにより、画像処理装置120では、入力画像データ813を取得する。
【0087】
画像処理装置120は、入力画像データ813を水平方向に分割することで、第1の出力画像データ521、及び、第2の出力画像データ522を生成する。
【0088】
なお、第1の出力画像データ521は、第1のディスプレイ131の解像度に応じた水平方向のブランキング期間が設けられ、水平同期信号が設定される。ここで、画像処理装置120は、フレームバッファを有さないため、第1の出力画像データ521は、入力画像データ813と垂直周波数が等しくなるように同期をとられる。このため、第1の出力画像データ521の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ813の垂直方向のブランキング期間に基づいて設けられ、これに応じた垂直同期信号が設定される。なお、第1の出力画像データ521の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ813の垂直方向のブランキング期間と同一であることが望ましいが、表示画面上、気にならない程度、例えば数ライン分ずれていても問題ない。
【0089】
このため、第1のディスプレイ131には、入力画像データ813と同じフレームレートで、有効表示領域511-1が表示されることになる。
【0090】
一方、第2の出力画像データ522を生成するにあたり、画像処理装置120では、入力画像データ813に含まれる有効表示領域812-2のサイズを、間引き処理によりダミーラインを間引くことで垂直方向に縮小し、有効表示領域511-2を生成する。ここで、分割後の有効表示領域812-2を垂直方向に縮小して垂直方向のサイズを小さくした場合、垂直方向において、同一期間内に出力されるライン数が削減されることになる。
【0091】
第1の出力画像データ521の有効表示領域511-1と、第2の出力画像データ522の有効表示領域511-2とは、垂直方向のサイズは異なるが、第2の出力画像データ522に関するピクセルクロックを調整することで垂直方向の周波数は等しくすることができる。
【0092】
このため、第2の出力画像データ522において、入力画像データ813と垂直周波数が等しくなるように垂直方向のブランキング期間を設けた場合、図4の第2の出力画像データ422に設けられた垂直方向のブランキング期間と比較して短くすることができる。
【0093】
この結果、画像処理装置120では、第2のディスプレイ132に、入力画像データ813と同じフレームレートで有効表示領域511-2を表示させることが可能となる。
【0094】
なお、図8に示すように、画像データ812と第1の出力画像データ521とを比較した場合、有効表示領域511-1の表示期間は、
・水平方向については、Ht11のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0095】
また、図8に示すように、画像データ812と第2の出力画像データ522とを比較した場合、有効表示領域812-2の表示期間と有効表示領域511-2の表示期間は、
・水平方向については、Ht21のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0096】
(2)画像処理部の機能構成
次に、画像処理部121の機能構成について説明する。図9は、第2の実施形態に係る画像処理装置の画像表示部の機能構成の一例を示す図である。図9に示す機能構成と、図6に示した機能構成との相違点は、スケーラ931、932である。
【0097】
スケーラ931、932は、ラインバッファ621、622にそれぞれ格納された第1の中間画像データ901及び第2の中間画像データ902を1ラインずつ読み出し、間引き処理を行う。
【0098】
なお、第2の実施形態において、画像生成装置110は、入力画像データ813を生成するにあたり、有効表示領域511-1にダミーラインを挿入していない。このため、スケーラ931では、ラインバッファ621より1ラインずつ読み出した第1の中間画像データ901を、間引き処理により縮小することなく第1の中間画像データ911として出力部641に出力する。
【0099】
これにより、第1のディスプレイ131では、解像度(例えば、1920画素×1080画素)に適した有効表示領域511-1を、入力画像データ813と同じフレームレートで表示することができる。
【0100】
一方、第1の実施形態において、画像生成装置110は、入力画像データ813を生成するにあたり、有効表示領域511-2にダミーラインを挿入することで有効表示領域511-2を拡大し、有効表示領域812-2を得ている。
【0101】
このため、スケーラ932では、ラインバッファ622より1ラインずつ読み出した第2の中間画像データ902に対して、ダミーラインを間引くことで垂直方向のサイズを縮小する間引き処理を実施し、第2の中間画像データ912を生成する。
【0102】
これにより、第2のディスプレイ132では、解像度(例えば、1280画素×720画素)に適した有効表示領域511-2を、入力画像データ813と同じフレームレートで表示することができる。
【0103】
なお、スケーラ932では、画像生成装置110がダミーラインを挿入することで垂直方向に拡大した分を、間引き処理にて間引くことで縮小したうえで、第2の中間画像データ912として出力部642に出力する。この結果、スケーラ932では、画像生成装置110が最初に生成した第2のディスプレイ132用の第2の画像データと同等の画像データを再現することができる。
【0104】
(3)画像処理装置による画像処理の流れ
次に、画像処理装置120の画像処理部121による画像処理の流れについて説明する。図10は、第2の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部による画像処理の流れを示すフローチャートである。図7との相違点は、ステップS1001、S1002、S1011、S1012である。
【0105】
ステップS1001において、スケーラ931は、制御部601より通知された各種設定データに基づいて、間引き処理を実施するか否かを判定する。ステップS1001において間引き処理を実施しないと判定した場合には(ステップS1001においてNoの場合には)、ステップS714に進む。
【0106】
一方、ステップS1001において間引き処理を実施すると判定した場合には(ステップS1001においてYesの場合には)、ステップS1002に進む。ステップS1002において、スケーラ931は、第1の中間画像データ901に対して間引き処理を実施する。
【0107】
同様に、ステップS1011において、スケーラ932は、制御部601より通知された各種設定データに基づいて、間引き処理を実施するか否かを判定する。ステップS1011において間引き処理を実施しないと判定した場合には(ステップS1011においてNoの場合には)、ステップS724に進む。
【0108】
一方、ステップS1011において間引き処理を実施すると判定した場合には(ステップS1011においてYesの場合には)、ステップS1012に進む。ステップS1012において、スケーラ932は、第2の中間画像データ902に対して間引き処理を実施する。
【0109】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る画像表示システムでは、
・画像生成装置が、第1のディスプレイ用の第1の画像データの有効表示領域(1920画素×1080画素)を生成する。また、画像生成装置が、第2のディスプレイ用の第2の画像データの有効表示領域(1280画素×720画素)にダミーラインを挿入することで垂直方向にサイズを拡大した有効表示領域(1280画素×1080画素)を生成する。更に、画像生成装置が、生成した有効表示領域(1920画素×1080画素)と、生成した有効表示領域(1280画素×1080画素)とを水平方向に結合した入力画像データを生成し、画像処理装置に出力する。
・画像処理装置が、画像生成装置より出力された入力画像データを取得する。
・画像処理装置が、取得した入力画像データを水平方向に分割することで第1の中間画像データと第2の中間画像データとを生成する。また、画像処理装置が、第2の中間画像データに対して間引き処理を実施し、第2の中間画像データの垂直方向のサイズを縮小することで、第2の出力画像データを生成する。
【0110】
これにより、第2の実施形態に係る画像表示システムによれば、フレームバッファに代えてラインバッファを用いた場合であっても、第2の出力画像データを、入力画像データよりも低い水平周波数で出力することが可能となる。この結果、入力画像データと同じ垂直周波数の第2の出力画像データにおいて、垂直方向のブランキング期間を短くすることが可能となる。
【0111】
つまり、第2の実施形態に係る画像表示システムによれば、入力画像データを分割することで得られるサイズの異なる各中間画像データを同じフレームレートで表示するにあたり、ブランキング期間を短くすることができる。この結果、非表示領域を含むことなく、入力画像データと同じフレームレートで、各出力画像データを表示することが可能となる。
【0112】
[第3の実施形態]
上記第1の実施形態では、スケーラがフィルタリング処理を行うことで、また、第2の実施形態では、スケーラが間引き処理を行うことで、有効表示領域のライン数を削減する構成とした。
【0113】
これに対して、第3の実施形態では、スケーラが、各ラインの折り返し位置をずらし、縦横比を変更することで、有効表示領域のライン数を削減する。以下、第3の実施形態について、上記第1または第2の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0114】
<第2の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細>
(1)各装置にて実行される処理の詳細
はじめに、第3の実施形態に係る画像表示システム140の各装置にて実行される処理の詳細について説明する。図11は、第3の実施形態に係る画像表示システムの各装置にて実行される処理の詳細を示す図である。
【0115】
画像生成装置110では、1920画素×1080画素の解像度を有する第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1と、1280画素×720画素の解像度を有する第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2とを水平方向に結合することで画像データ511を生成する。なお、有効表示領域511-1は、1920画素×1080画素であり、有効表示領域511-2は、1280画素×720画素である。
【0116】
また、画像生成装置110では、第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1の垂直方向のサイズと、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2の垂直方向のサイズとの比率を算出する。
【0117】
更に、画像生成装置110では、算出した比率に基づいて、有効表示領域511-2の各ラインの折り返し位置をずらすことで、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域511-2を垂直方向に拡大する。これにより、画像生成装置110では、有効表示領域1112-2を得る。
【0118】
続いて、画像生成装置110では、第1のディスプレイ131用の第1の画像データの有効表示領域511-1と、第2のディスプレイ132用の第2の画像データの有効表示領域1112-2とが水平方向に結合された、画像データ1112を生成する。
【0119】
続いて、画像生成装置110は、生成した画像データ1112を、入力画像データ1113として画像処理装置120に出力する。これにより、画像処理装置120では、入力画像データ1113を取得する。
【0120】
画像処理装置120は、入力画像データ1113を水平方向に分割することで、第1の出力画像データ521、及び、第2の出力画像データ522を生成する。
【0121】
なお、第1の出力画像データ521は、第1のディスプレイ131の解像度に応じた水平方向のブランキング期間が設けられ、水平同期信号が設定される。ここで、画像処理装置120は、フレームバッファを有さないため、第1の出力画像データ521は、入力画像データ1113と垂直周波数が等しくなるように同期をとられる。このため、第1の出力画像データ521の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ1113の垂直方向のブランキング期間に基づいて設けられ、これに応じた垂直同期信号が設定される。なお、第1の出力画像データ521の垂直方向のブランキング期間は、入力画像データ1113の垂直方向のブランキング期間と同一であることが望ましいが、表示画面上、気にならない程度、例えば数ライン分ずれていても問題ない。
【0122】
このため、第1のディスプレイ131には、入力画像データ1113と同じフレームレートで、有効表示領域511-1が表示されることになる。
【0123】
一方、第2の出力画像データ522を生成するにあたり、画像処理装置120では、入力画像データ1113に含まれる有効表示領域1112-2について、各ラインの折り返し位置を元に戻すことで垂直方向のサイズを縮小し、有効表示領域511-2を生成する。ここで、分割後の有効表示領域1112-2を垂直方向に縮小して垂直方向のサイズを小さくした場合、垂直方向において、同一期間内に出力されるライン数が削減されることになる。
【0124】
第1の出力画像データ521の有効表示領域511-1と、第2の出力画像データ522の有効表示領域511-2とは、垂直方向のサイズは異なるが、第2の出力画像データ522に関するピクセルクロックを調整することで垂直方向の周波数は等しくすることができる。
【0125】
このため、第2の出力画像データ522において、入力画像データ1113と垂直周波数が等しくなるように垂直方向のブランキング期間を設けた場合、図4の第2の出力画像データ422に設けられた垂直方向のブランキング期間と比較して短くすることができる。
【0126】
この結果、画像処理装置120では、第2のディスプレイ132に、入力画像データ1113と同じフレームレートで有効表示領域511-2を表示させることが可能となる。
【0127】
なお、図11に示すように、画像データ1112と第1の出力画像データ521とを比較した場合、有効表示領域511-1の表示期間は、
・水平方向については、Ht11のまま変化しない。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0128】
また、図11に示すように、画像データ1112と第2の出力画像データ522とを比較した場合、有効表示領域1112-2の表示期間と有効表示領域511-2の表示期間は、
・水平方向については、折り返し位置を元に戻すことにより、Ht22→Ht21と変化する。
・垂直方向については、Vt11のまま変化しない。
【0129】
(2)画像処理部の機能構成
次に、画像処理部121の機能構成について説明する。図12は、第3の実施形態に係る画像処理装置の画像表示部の機能構成の一例を示す図である。図12に示す機能構成と、図6に示した機能構成との相違点は、スケーラ1231、1232である。
【0130】
スケーラ1231、1232は、ラインバッファ621、622にそれぞれ格納された第1の中間画像データ1201及び第2の中間画像データ1202を1ラインずつ読み出し、各ラインの折り返し位置を元に戻す処理を行う。
【0131】
なお、第3の実施形態において、画像生成装置110は、入力画像データ1113を生成するにあたり、有効表示領域511-1の各ラインの折り返し位置をずらしていない。このため、スケーラ1231では、ラインバッファ621より1ラインずつ読み出した第1の中間画像データ1201を、折り返し位置を元に戻す処理により縮小することなく、第1の中間画像データ1211として出力部641に出力する。
【0132】
これにより、第1のディスプレイ131では、解像度(例えば、1920画素×1080画素)に適した有効表示領域511-1を、入力画像データ1113と同じフレームレートで表示することができる。
【0133】
一方、第3の実施形態において、画像生成装置110は、入力画像データ1113を生成するにあたり、有効表示領域511-2の各ラインの折り返し位置をずらすことで有効表示領域511-2を拡大し、有効表示領域1112-2を得ている。
【0134】
このため、スケーラ1232では、ラインバッファ622より1ラインずつ読み出した第2の中間画像データ1202に対して、折り返し位置を元に戻す処理を行うことで垂直方向のサイズを縮小し、第2の中間画像データ1212を生成する。
【0135】
これにより、第2のディスプレイ132では、非表示領域を含むことなく、解像度(例えば、1280画素×720画素)に適した有効表示領域511-2を、入力画像データ1113と同じフレームレートで表示することができる。
【0136】
なお、スケーラ1232では、画像生成装置110が折り返し位置をずらすことで垂直方向に拡大した分を、折り返し位置を元に戻すことで縮小したうえで第2の中間画像データ1202として出力部642に出力する。この結果、スケーラ1232では、画像生成装置110が最初に生成した第2のディスプレイ132用の第2の画像データと同等の画像データを再現することができる。
【0137】
(3)画像処理装置による画像処理の流れ
次に、画像処理装置120の画像処理部121による画像処理の流れについて説明する。図13は、第3の実施形態に係る画像処理装置の画像処理部による画像処理の流れを示すフローチャートである。図7との相違点は、ステップS1301、S1302、S1311、S1312である。
【0138】
ステップS1301において、スケーラ1231は、制御部601より通知された各種設定データに基づいて、折り返し位置を元に戻す処理を実施するか否かを判定する。ステップS1301において折り返し位置を元に戻す処理を実施しないと判定した場合には(ステップS1301においてNoの場合には)、ステップS714に進む。
【0139】
一方、ステップS1301において折り返し位置を元に戻す処理を実施すると判定した場合には(ステップS1301においてYesの場合には)、ステップS1302に進む。ステップS1302において、スケーラ1231は、第1の中間画像データ1201に対して折り返し位置を元に戻す処理を実施する。
【0140】
同様に、ステップS1311において、スケーラ1232は、制御部601より通知された各種設定データに基づいて、折り返し位置を元に戻す処理を実施するか否かを判定する。ステップS1311において折り返し位置を元に戻す処理を実施しないと判定した場合には(ステップS1311においてNoの場合には)、ステップS724に進む。
【0141】
一方、ステップS1311において折り返し位置を元に戻す処理を実施すると判定した場合には(ステップS1311においてYesの場合には)、ステップS1312に進む。ステップS1312において、スケーラ1232は、第2の中間画像データ1202に対して折り返し位置を元に戻す処理を実施する。
【0142】
<まとめ>
以上の説明から明らかなように、第3の実施形態に係る画像表示システムでは、
・画像生成装置が、第1のディスプレイ用の第1の画像データの有効表示領域(1920画素×1080画素)を生成する。また、画像生成装置が、第2のディスプレイ用の第2の画像データの有効表示領域(1280画素×720画素)の各ラインの折り返し位置をずらすことで垂直方向にサイズを拡大した有効表示領域(1280画素×1080画素)を生成する。更に、画像生成装置が、生成した有効表示領域(1920画素×1080画素)と、生成した有効表示領域(1280画素×1080画素)とを水平方向に結合した入力画像データを生成し、画像処理装置に出力する。
・画像処理装置が、画像生成装置より出力された入力画像データを取得する。
・画像処理装置が、取得した入力画像データを水平方向に分割することで第1の中間画像データと第2の中間画像データとを生成する。また、画像処理装置が、第2の中間画像データに対して折り返し位置を元に戻す処理を実施し、第2の中間画像データのサイズを縮小することで、第2の出力画像データを生成する。
【0143】
これにより、第3の実施形態に係る画像表示システムによれば、フレームバッファに代えてラインバッファを用いた場合であっても、第2の出力画像データを、入力画像データよりも低い水平周波数で出力することが可能となる。この結果、入力画像データと同じ垂直周波数の第2の出力画像データにおいて、垂直方向のブランキング期間を短くすることが可能となる。
【0144】
つまり、第3の実施形態に係る画像表示システムによれば、入力画像データを分割することで得られるサイズの異なる各中間画像データを同じフレームレートで表示するにあたり、ブランキング期間を短くすることができる。この結果、非表示領域を含むことなく、入力画像データと同じフレームレートで、各出力画像データを表示することが可能となる。
【0145】
[その他の実施形態]
上記第1乃至第3の実施形態では、2つのスケーラに、それぞれ、第1の中間画像データまたは第2の中間画像データを処理する機能を配し、画像処理時には、このうち、第2の中間画像データに対する処理を実施するものとして説明した。
【0146】
しかしながら、第2の中間画像データに対する処理に代えて、第1の中間画像データに対する処理を実施するように構成してもよい。また、第1の中間画像データに対する処理と第2の中間画像データに対する処理の両方を実施するように構成してもよい。
【0147】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、2つのディスプレイに、それぞれ、第1の出力画像データまたは第2の出力画像データを出力する場合について説明した。しかしながら、ディスプレイの数は2つに限定されず、N個のディスプレイ(Nは、3以上の整数)に、それぞれ、第1乃至第Nの出力画像データのいずれかを出力するように構成してもよい。
【0148】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、第1のディスプレイ131の解像度を1920画素×1080画素、第2のディスプレイ132の解像度を1280画素×720画素として説明した。しかしながら、第1のディスプレイ131の解像度及び第2のディスプレイ132の解像度はこれに限定されない。また、上記第1乃至第3の実施形態では、第1のディスプレイ131の解像度を、第2のディスプレイ132の解像度より高くしたが、第2のディスプレイ132の解像度を、第1のディスプレイ131の解像度より高くしてもよい。なお、この場合、スケーラ631、931、1231が、第1の中間画像データ651、901、1201に対して、フィルタリング処理、間引き処理または折り返し位置を戻す処理を実施する。
【0149】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、画像生成装置110にて比率または差分を算出したうえで、第2の画像データの有効表示領域を垂直方向に拡大するものとして説明した。しかしながら、画像生成装置110は、予め算出された比率または差分を読み出して、第2の画像データの有効表示領域を垂直方向に拡大するように構成してもよい。
【0150】
また、上記第1乃至第3の実施形態では、画像表示システム140を車両100に搭載する場合について説明したが、画像表示システム140は、他の用途に適用してもよいことはいうまでもない。
【0151】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0152】
100 :車両
110 :画像生成装置
111 :画像生成部
120 :画像処理装置
121 :画像処理部
131 :第1のディスプレイ
132 :第2のディスプレイ
140 :画像表示システム
513 :入力画像データ
521 :第1の出力画像データ
522 :第2の出力画像データ
651、661 :第1の中間画像データ
652、662 :第2の中間画像データ
813 :入力画像データ
901、911 :第1の中間画像データ
902、912 :第2の中間画像データ
1113 :入力画像データ
1201、1211 :第1の中間画像データ
1202、1212 :第2の中間画像データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13