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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125264
(43)【公開日】2022-08-26
(54)【発明の名称】シートへの圧力センサーの配置構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220819BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20220819BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
A47C7/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109375
(22)【出願日】2022-07-07
(62)【分割の表示】P 2017235646の分割
【原出願日】2017-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】川田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 生佳
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 孝平
(72)【発明者】
【氏名】末満 康一
(57)【要約】
【課題】乗員がシートに着座したことを的確に検出できるとともに、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能なシートへの圧力センサーの配置構造を提供する。
【解決手段】クッションパッド12を備えるシート10への圧力センサー1の配置構造において、圧力センサー1は、プッシュスイッチで構成されており、クッションパッド12の下面12B側の位置であって、シート10に乗員が着座した際にクッションパッド12の下面12Bがプッシュスイッチに圧接して押下する位置に配置されており、かつ、シート10の左右方向の中央に配置され前後方向に延在するワイヤー19を避けた位置に配置されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッションパッドを備えるシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーは、
プッシュスイッチで構成されており、
前記クッションパッドの下面側の位置であって、前記シートに乗員が着座した際に前記クッションパッドの下面が前記プッシュスイッチに圧接して押下する位置に配置されており、
かつ、前記シートの左右方向の中央に配置され前後方向に延在するワイヤーを避けた位置に配置されていることを特徴とするシートへの圧力センサーの配置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートへの圧力センサーの配置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
乗員がシートに着座しているか否かを検知する圧力センサーがシートに配置される場合がある(特許文献1参照)。
このような圧力センサーは、例えば、乗員がシートに着座しているにもかかわらずシートベルトを装着していない場合に警告を発するシートベルトリマインダー等の技術において、乗員がシートに着座していることを検知するために用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-100941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、このような圧力センサーをシートに配置する場合、例えば特許文献1に記載されているように、シートのシートクッションの、クッションパッドと表皮との間に配置される場合があった。
しかしながら、このように圧力センサーをクッションパッドと表皮との間、すなわち表皮のすぐ下側に配置すると、シートに着座した乗員の臀部や大腿部にシートの表皮を介して何かが当たっているのが感じ取られてしまい着座フィーリングが悪くなる場合があり得る。
【0005】
また、シートの表皮のすぐ下に圧力センサーを配置する場合、吊り込み溝の位置等によって、圧力センサーの配置に制約を受けやすいという問題もある。
また、その一方で、シートに圧力センサーを配置する際、圧力センサーには、乗員がシートに着座したことを的確に検出できることが求められることは言うまでもない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、乗員がシートに着座したことを的確に検出できるとともに、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能なシートへの圧力センサーの配置構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、クッションパッドを備えるシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーは、
プッシュスイッチで構成されており、
前記クッションパッドの下面側の位置であって、前記シートに乗員が着座した際に前記クッションパッドの下面が前記プッシュスイッチに圧接して押下する位置に配置されており、
かつ、前記シートの左右方向の中央に配置され前後方向に延在するワイヤーを避けた位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記ワイヤーは、乗員が着座する前記クッションパッドの着座領域の左右方向の中心線の真下の位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーは、前記ワイヤーの左右方向にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーは、前記ワイヤーから左方向又は右方向のいずれか一方にずれた位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーは、前記ワイヤーから左方向及び右方向にずれた2つの位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記ワイヤーから左方向及び右方向にずれた位置に、前記圧力センサーを取り付け可能な取付部がそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記取付部は、前記ワイヤーに対して左右対称の位置に設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーに設けられた係合用の構造と前記取付部に設けられた係合用の構造とが係合することで、前記圧力センサーが前記取付部に取り付けられるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のシートへの圧力センサーの配置構造において、
前記圧力センサーの前記係合用の構造は、前記圧力センサーに設けられた凸部であり、
前記取付部の前記係合用の構造は、前記取付部に設けられた、前記凸部と係合可能な孔であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、圧力センサーをシートの左右方向の中央に配置されたワイヤーを避けた位置に配置したため、圧力センサーを、着座した乗員からシートクッションが受ける荷重が低いシートの中央の位置ではなく、シートの中央から左右方向にずれた、荷重が高くなる位置に配置することが可能となる。そのため、圧力センサーにより、シートクッションにかかる荷重が最も高くなる位置、あるいはそれに近い位置で圧力を検知することが可能となり、乗員がシートに着座した場合にはそれを感度良く検出して、的確に検出することが可能となる。
また、圧力センサーとしてのプッシュスイッチをクッションパッドの下面側に配置したため、シートに着座した乗員の臀部や大腿部にシートの表皮を介して圧力センサーが当たることがない。そのため、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能となる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、乗員が着座するクッションパッドの着座領域の左右方向の中心線の真下の位置にワイヤーが配置されており、ワイヤーを避けた位置に圧力センサーを配置したため、圧力センサーを、着座した乗員からシートクッションが受ける荷重が高くなる位置に配置することが可能となる。そのため、圧力センサーで乗員がシートに着座したことを確実に検出することが可能となる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、着座した乗員からシートクッションが受ける荷重が高い、ワイヤーの左右方向にずれた位置に配置された圧力センサーにより、乗員がシートに着座したことを的確に検出することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、着座した乗員からシートクッションが受ける荷重が高い、ワイヤーの左右方向にずれた位置に配置された1つの圧力センサーで、乗員がシートに着座したことを的確かつ効率良く検出することが可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、着座した乗員からシートクッションが受ける荷重が高い、ワイヤーの左右方向にずれた位置に配置された2つの圧力センサーで、乗員がシートに着座したことを確実に検出することが可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、ワイヤーから左方向及び右方向にずれた位置にそれぞれ設けられた取付部に圧力センサーが取り付けられるため、圧力センサーを取り付ける取付部を替えることで、圧力センサーのワイヤーの左方向又は右方向への配置位置の切り替えを行うことが可能となり、容易に切り替えることが可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、取付部がワイヤーに対して左右対称の位置に設けられているため、いずれの取付部に圧力センサーを取り付けても、左右で同じセンサー感度を得ることが可能となる。
【0023】
請求項8に記載の発明によれば、圧力センサーに設けられた係合用の構造と取付部に設けられた係合用の構造とを係合させたり係合を解除したりすることで、圧力センサーを取付部に容易に取り外しすることが可能となる。
【0024】
請求項9に記載の発明によれば、圧力センサーに設けられた凸部と取付部に設けられた孔とを係合させたり係合を解除したりすることで、圧力センサーを取付部に容易に取り外しすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】シートを示す斜視図である。
図2】シートクッションのクッションパッドの構造を示す斜視図である。
図3】シートクッションやクッションパッドの着座領域及び着座領域の左右方向の中心線を示す図である。
図4】シートクッションフレームやパンフレームに配置された圧力センサー等を示す斜視図である。
図5】圧力センサーの構成を示す斜視図である。
図6】パンフレームに設けられた凹部や取付部等を示す拡大図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
図7】圧力センサーが取り付けられた取付部等を示す拡大図であり、(A)は平面図、(B)は斜視図である。
図8図7(B)のX-X線に沿う部分断面図である。
図9】圧力センサーがクッションパッドの下面側に配置された状態を示す部分断面図である。
図10】着座した乗員からシートクッションが受ける荷重がシートクッションの左右方向にずれた位置で高くなることを示す図である。
図11】クッションパッドに形成された中空部の直下の位置に圧力センサーが配置された状態を示す部分断面図である。
図12】圧力センサーの上方のクッションパッドの下面の部分に凹部を設けた状態を示す部分断面図である。
図13】取付部に複数の圧力センサーを取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態および図示例に限定するものではない。
【0027】
図1に示すシート10は、自動車等の車両に設けられるものであり、車両の乗員が着座するものである。なお、以下では、シート10が主に助手席のシートである場合について説明するが、シート10はこの場合に限定されず、2列シートの後部座席や、3列シートの2列目や3列目のシートなど、助手席のシート以外のシートであってもよい。
【0028】
図1に示すように、シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション11と、下端部がシートクッション11に支持されて背もたれとなるシートバック14と、シートバック14に設けられて乗員の頭部を支持するヘッドレスト16と、を備える。なお、この他、ネックレストやアームレスト、フットレスト、オットマン等の補助支持部を備えていてもよい。
【0029】
図2に示すように、シートクッション11は、骨格となるシートクッションフレーム17(後述する図4参照)と、シートクッションフレーム17上に設けられたクッションパッド12と、シートクッションフレーム17及びクッションパッド12を被覆してシートの表面を構成する表皮13(図2では図示省略。図1参照)と、から主に構成されている。
【0030】
本実施形態では、シートクッション11には、クッションパッド12と表皮13との間に空気(温風や冷風)の通気路30が設けられているが、本発明では、通気路30等は必ずしも設けられていなくてもよい。
本実施形態では、図2に示すように、クッションパッド12に通気路30の一部をなす通気路用凹部30Aが設けられている。また、カバー部材12Aの、当該通気路用凹部30Aに対応する位置に、通気路30の残りの部分をなす凹部(図示省略)が設けられており、カバー部材12Aのクッションパッド12の所定の部分に嵌め込むことで通気路30が形成されるようになっている。
【0031】
また、カバー部材12Aには複数のパンチング孔が形成されており、これらのパンチング孔が通気路30の送風口30Cとされている。そして、カバー部材12Aを含むクッションパッド12が、少なくとも送風口30Cに対応する部分は通気性とされている表皮13で被覆されるようになっている。
そして、ブロワー(図示省略)から送り込まれた空気が貫通孔30Bを通って通気路30内に送られ、通気路30内を流通した空気が通気路30の送風口30Cから乗員に向けて吹き出されるようになっている。
【0032】
以下、本実施形態では、シートクッション11やクッションパッド12のうち、乗員が着座し得る左右対称な領域(図3中の斜線を付した領域参照)を着座領域Rという。符号CLは、着座領域Rの左右方向の中心線を表す(中心線CLは着座領域Rの前後方向に延在している。)。なお、シート10を車両(図示省略)に対して水平方向に回転させた場合、シートパッド12等の回転にあわせて着座領域Rも水平方向に回転し、着座領域Rの左右方向及びその中心線CLも水平方向に回転することになる。
【0033】
本実施形態では、シートクッション11のクッションパッド12の下側には、図4に示すように、シートクッションフレーム17が設けられている。シートクッションフレーム17は、左右一対のサイドフレーム17Aと、各サイドフレーム17Aの前端部や後端部をそれぞれ連結する連結部材17B(なお、前端部側の連結部材17Bはパンフレーム18の下側に配置されている。)と、各サイドフレーム17A及び各連結部材17Bの間に架設されているパンフレーム18と、から主に構成されている。
そして、パンフレーム18の上面には、圧力センサー1が配置されている。なお、パンフレーム18は、鉄製でも樹脂製でもよく、材質に特に限定はない。
【0034】
また、本実施形態では、図4に示すように、パンフレーム18には、シート10の左右方向の中央の部分に、鉄製等のワイヤー19がシート10の前後方向に延在するように配置されており、本実施形態では、ワイヤー19は、前述したシートクッション11やクッションパッド12の着座領域Rの中心線CL(図3参照)の真下の位置に配置されている。
ワイヤー19によりパンフレーム18が補強されるようになっており、本実施形態では、ワイヤー19は、パンフレーム18に埋め込まれて一体的に形成されている。なお、ワイヤー19を、着座領域Rの中心線CLの真下の位置以外の位置にも配置し、ワイヤー19を複数本配置するように構成することも可能である。
【0035】
以下、圧力センサー1の構成等について説明する。図5は、圧力センサー1の構成を示す斜視図である。
図5に示すように、圧力センサー1は、カバー1Aやケース1B内に接触子やコイルばね等(図示省略)が内蔵されたプッシュスイッチで構成されている。そして、圧力センサー1のカバー1Aがケース1Bに対して上下方向に移動可能とされており、圧力センサー1は、後述するようにクッションパッド12によりカバー1Aが押下されると圧力を検知し、乗員がシート10に着座していることを検知するようになっている。
【0036】
また、圧力センサー1には、圧力センサー1と外部装置(図示省略。電源装置や圧力センサー1からの信号の処理装置等)とを電気的に接続するハーネス等(図示省略)が接続されるコネクター部2が設けられている。
また、本実施形態では、圧力センサー1は、後述するように取付部21に取り付けられてシート10内に配置されるようになっている。そして、圧力センサー1には、取付部21に設けられた後述する係合用の孔22(後述する図6(A)、(B)参照)と係合可能な係合用の構造として、下側のケース3の側面から外側に突出した凸部(爪部)4が設けられている。
【0037】
なお、図5では、圧力センサー1が円形センサーである場合が示されているが、圧力センサー1は矩形状であってもよく、圧力センサー1の形状は特に限定されない。
また、本実施形態では、上記の凸部4が、センサーの中心について対称の各位置に1つずつ(計2個)それぞれ設けられている場合について説明するが、凸部4は、1個でもよく、あるいは3個以上設けられていてもよい。
【0038】
次に、パンフレーム18に設けられる凹部20や取付部21の構成等について詳しく説明する。
図4に示したように、パンフレーム18の上面には凹部20が設けられている。そして、凹部20には、圧力センサー1を取り付け可能な取付部21が2か所に設けられており、本実施形態では、いずれの取付部21にも圧力センサー1が取り付けられるようになっている。
【0039】
なお、以下では、上記のように取付部21が凹部20内の2か所に設けられている場合について説明するが、取付部21が1か所だけ設けられていてもよく、3か所以上設けられていてもよい。また、以下では、上記のように圧力センサー1が1つだけ配置されている場合について説明するが、複数配置されていてもよい。なお、圧力センサー1を複数配置する場合については後で説明する。
【0040】
図6(A)、(B)は、パンフレーム18に設けられた凹部20や取付部21等を示す拡大図であり、図6(A)は平面図、図6(B)は斜視図である。凹部20は、パンフレーム18の中央に配置されたワイヤー19の左右に跨るように設けられており、パンフレーム18の上面より低くなるように形成されている。
そして、取付部21が、凹部20内のワイヤー19を避けた位置、すなわちワイヤー19から左方向及び右方向にずれた位置にそれぞれ設けられている。そして、取付部21は、ワイヤー19に対して左右対称の位置に設けられている。
【0041】
具体的には、本実施形態では、パンフレーム18の凹部20の中央には、ワイヤー19が配置されている。
そして、図6(A)、(B)に示すように、パンフレーム18に設けられた凹部20のワイヤー19の左右の部分をさらに下方に略円形状に窪ませるようにして取付部21がそれぞれ形成されている。なお、図6(A)、(B)等に記載されている符号18Aについては後で説明する。
【0042】
また、取付部21の前後の部分には、前述した圧力センサー1の凸部4と係合可能な係合用の構造として、係合用の孔22がそれぞれ設けられている。なお、係合用の構造として孔22の代わりに有底の凹部や溝等であってもよく、圧力センサー1の係合用の構造と係合し得る構造であれば孔22に限定されない。また、圧力センサー1側の係合用の構造も、取付部21の係合用の構造と係合し得る構造であれば凸部3に限定されない。
また、本実施形態では、リブ23が、ワイヤー19を跨ぐようにして左右方向に延在するように設けられている。
【0043】
そして、本実施形態では、図7(A)、(B)に示すように、上記のように設けられた取付部21の一方(例えば左側の取付部21)に圧力センサー1を取り付ける際、図8に示すように、圧力センサー1に設けられた2つの凸部3(すなわち係合用の構造)と、取付部21の前後の部分に設けられた係合用の孔22(すなわち係合用の構造)とが係合する。
すなわち、取付部21に対して圧力センサー1を上方から押し込むと、圧力センサー1の凸部3のテーパー状の部分で取付部21の孔22の部分が前後に若干押し広げられた後、圧力センサー1の凸部3が取付部21の孔22に嵌まって係合する。
【0044】
本実施形態では、このようにして圧力センサー1を取付部21に容易に取り付けることができるようになっている。
そして、本実施形態では、上記のように、圧力センサー1と取付部21にそれぞれ係合用の構造を設け、それらを係合させることで圧力センサー1と取付部21とが係合して、圧力センサー1が取付部21に取り付けられる。そのため、圧力センサー1の取付部21への取り付けのためにブラケット等の中間部材等が不要であり、圧力センサー1をワンタッチで取付部21に取り付けることが可能となる。
なお、圧力センサー1の凸部3を外側に付勢された状態で出没動作することができるように構成することも可能である。
【0045】
一方、圧力センサー1を取付部21に取り付けると、図7(A)、(B)に示すように、リブ23が圧力センサー1の側方(この場合は右側)から当接する状態になる。
このように、本実施形態では、取付部21に取り付けられた圧力センサー1は、凸部3と取付部21の孔22とが係合することで、取付部21に対して圧力センサー1が上下方向や前後方向に移動することが阻止されるとともに、圧力センサー1の凸部3と取付部21の孔22との係合及び側方からのリブ23の当接により、取付部21に対して圧力センサー1が左右方向に移動することが阻止される。
本実施形態では、このようにして、圧力センサー1が取付部21内で的確に位置決めされた状態で圧力センサー1を取付部21に取り付けることができるようになっている。
【0046】
また、本実施形態では、圧力センサー1が取付部21に取り付けられた状態では、図8に示すように、圧力センサー1のカバー1Aの上面とパンフレーム18の上面とが略面一になるようになっている。
なお、図7(A)、(B)では、凹部20に設けられた2つの取付部21のうち左側の取付部21に圧力センサー1を取り付けた場合を示したが、右側の取付部21に圧力センサー1を取り付けることも可能である。
【0047】
本実施形態では、このように、圧力センサー1が、ワイヤー19や着座領域Rの左右方向の中心線CLの左右方向にずれた位置に配置されるようになっている。
そして、圧力センサー1は、ワイヤー19や着座領域Rの左右方向の中心線CLから左方向又は右方向のいずれか一方にずれた位置に配置されるようになっている。
さらに、圧力センサー1は、上記のように左右のいずれの取付部21にも圧力センサー1を取り付けることができるようになっており、本実施形態に係る取付部21は、圧力センサー1の配置位置を、ワイヤー19や着座領域Rの左右方向の中心線CLから左右方向にずれた各位置で切り替えることができるような取付構造になっている。
【0048】
そして、本実施形態では、圧力センサー1は、図9に示すように、シートクッション11のクッションパッド12の下面12B側の位置であって、シート10に乗員が着座した際にクッションパッド12の下面12Bが圧力センサー1としてのプッシュスイッチに圧接して押下する位置に配置されている。なお、図9等に記載されている符号αや18A、31等については後で説明する。
【0049】
このように、本実施形態では、圧力センサー1(プッシュスイッチ)がクッションパッド12の下面12B側に配置されているため、シート10に着座した乗員の臀部や大腿部にシート10の表皮13を介して圧力センサー1が当たることがない。
前述した従来の場合のように、圧力センサーをシートクッション11のクッションパッド12と表皮13との間(すなわち表皮13のすぐ下側)に配置すると、シート10に着座した乗員の臀部や大腿部にシート10の表皮13を介して何かが当たっているのが感じ取られてしまい着座フィーリングが悪くなる場合があったが、本実施形態ではそのような感触が生じることがないため、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態では、圧力センサー1を、図9に示したようにシートクッション11のクッションパッド12の下面12B側の位置に配置したため、乗員がシート10に着座すると、クッションパッド12の下面12Bで圧力センサー1が的確に押下されるようになる。そのため、圧力センサー1で乗員がシート10に着座したことを的確に検出することが可能となる。
【0051】
一方、着座した乗員からシートクッション11が受ける荷重を検出すると、図10に示すように、シートクッション11にかかる荷重は、シートクッション11の中央の位置(すなわち着座領域Rの左右方向の中心線CLやワイヤー19が配置されている位置)よりも左右方向にずれた位置の方が高くなり、着座した乗員の骨盤の左右の坐骨結節が当たる部分で最も高くなる。
そのため、本実施形態のように、圧力センサー1を、着座領域の左右方向の中心線CLの真下の位置に配置されたワイヤー19を避けた位置に配置し、ワイヤー19や着座領域Rの左右方向の中心線CLの左右方向にずれた位置に配置することで(図10参照)、シートクッション11にかかる荷重が最も高くなる位置、あるいはそれに近い位置で圧力を検知することが可能となり、乗員がシート10に着座した場合にはそれを感度良く検出して、的確に検出することが可能となる。
【0052】
また、仮に圧力センサー1をワイヤー19の上側に配置するように構成する場合には、圧力センサー1を取り付ける取付部21をワイヤー19上に形成しなければならなくなる等の問題が生じる。それに対し、本実施形態のように、圧力センサー1を、ワイヤー19を避けた位置、具体的にはワイヤー19から左方向及び右方向にずれた位置やワイヤー19に対して左右対称の位置に取付部21を設けて、圧力センサー1をワイヤー19の左右に配置するように構成すれば、ワイヤー19を避けた左右のパンフレーム18の部分に圧力センサー1を配置することが可能となり、上記のような問題が生じることを回避することが可能となる。
【0053】
以上のように、本実施形態に係るシート10への圧力センサー1の配置構造によれば、乗員がシート10に着座したことを的確に検出することが可能となるとともに、乗員の着座フィーリングの向上を図ることが可能となる。
また、本実施形態に係るシート10への圧力センサー1の配置構造では、圧力センサー1をワイヤー19の上側に配置する場合に比べて、本実施形態のように構成する場合の方が、圧力センサー1のレイアウトの自由度が向上する。
といった効果もある。
【0054】
ところで、例えば図11に示すように、圧力センサー1の上方のクッションパッド12中に、前述した空気(温風や冷風)の通気路30(図2参照)等の中空部が設けられていると、シート10に乗員が着座した際、中空部の上側のクッションパッド12の部分が下方に撓んで荷重を吸収してしまい、中空部の下側の部分には荷重が伝わりにくくなる。そのため、圧力センサー1に荷重が伝わりにくくなって圧力センサー1で乗員がシート10に着座したことを検知しにくくなる可能性がある。
そのため、圧力センサー1は、クッションパッド12に形成された通気路30等の中空部の直下の位置以外の位置に設けられていることが望ましい。
【0055】
また、乗員がシート10に着座した場合にその荷重がクッションパッド12を介してより確実に圧力センサー1に伝わるようにするために(すなわちクッションパッド12が圧力センサー1のカバー1A(図5参照)をより確実に押圧するようにするために)、例えば、圧力センサー1の上方のクッションパッド12の下面12Bの部分α(図9参照)を、クッションパッド12の他の部分よりも硬くするように構成することが可能である。
また、図示を省略するが、上記の部分αに、下側の圧力センサー1に向けて突出する凸部を設けるように構成することも可能である。
【0056】
一方、シート10上にバッグ等の荷物が置かれた場合に、それを乗員が着座したと誤検知しないように構成することも可能である。
バッグ等の荷物は、通常、乗員よりも重量が小さい。そのため、乗員がシート10に着座する場合よりも、シート10上にバッグ等の荷物が置かれた場合の方がクッションパッド12の撓みが小さい。
【0057】
そのため、例えば図12に示すように、圧力センサー1の上方のクッションパッド12の下面12Bの部分αに凹部12Cを設けるように構成することも可能である。
このように構成すれば、シート10上にバッグ等の荷物が置かれた場合には、クッションパッド12の撓みが小さく、クッションパッド12が圧力センサー1に触れず、あるいは圧力センサー1のカバー1Aを押下する圧力が弱い。そのため、上記のように構成すれば、圧力センサー1による検知動作は行われず、乗員が着座したと誤検知することを防止することができる。
【0058】
また、上記のように構成すれば、乗員がシート10に着座した場合には、クッションパッド12が大きく撓み、凹部12Cの上面βが圧力センサー1に触れて圧力センサー1のカバー1Aを押し下げる。そのため、乗員がシート10に着座した場合に、それを圧力センサーで的確に検知することが可能となる。
なお、上記のように構成する場合も、凹部12Cの上面βを硬くしたり、凹部12Cの上面βに、下向きに(すなわち圧力センサー1に向けて)突出する凸部を設ける等して、乗員がシート10に着座した場合にそれを確実に検知することができるように構成することも可能である。
【0059】
また、本実施形態では、図7(A)、(B)等に示したように、パンフレーム18の凹部20に設けた取付部21のうちの1つに圧力センサー1を1つだけ配置した場合について説明したが、例えば図13に示すように、圧力センサー1を複数配置するように構成することも可能である。
すなわち、圧力センサー1を、ワイヤー19や着座領域Rの左右方向の中心線CLから左方向及び右方向にずれた2つの位置にそれぞれ配置することも可能である。
【0060】
このように構成すれば、圧力センサー1を1つだけ配置する場合よりも、圧力センサー1による乗員の着座の検知感度をより向上させることが可能となる。
また、例えば荷重閾値が異なるなど検知感度が異なる複数の圧力センサー1を配置することで、例えば上記のようにシート10上にバッグ等の荷物が置かれた場合と乗員がシート10に着座した場合とを区別して検知することが可能となるなど、乗員がシート10に着座したことを確実に検知することが可能となる。
【0061】
ところで、本実施形態のシート10には、図2に示したように、シートクッション11のクッションパッド12内に通気路30が設けられており、図9に示すように、パンフレーム18の下側に設けられたブロワー(図示省略)からダクト31を通して送り込まれた空気が貫通孔30Bを通って通気路30内に送られるようになっている。
そのため、本実施形態では、図4図9等に示すように、パンフレーム18に、ダクト31等を通すための貫通孔である開口部18Aが設けられている。
【0062】
また、通常、ブロワーはシート10の左右のいずれか一方に設けられるため、ダクト31がパンフレーム18を貫通する位置も、ブロワーの位置にあわせて中央より左寄りになったり右寄りになったりする。そのため、本実施形態のシート10では、そのいずれの場合にも対応できるように、図4図6(A)、(B)等に示すように、ダクト31を通すことが可能な開口部18Aがパンフレーム18の左側と右側に1つずつ、計2か所に設けられている。開口部18Aがさらに設けられていてもよい。
【0063】
そして、本実施形態では、図7(A)、(B)等に示すように、取付部21が設けられたパンフレーム18の凹部20に連続して、開口部18Aが凹部20の左右にそれぞれ設けられている。
そのため、取付部21に圧力センサー1を取り付けると、図7(A)、(B)に示すように、圧力センサー1のコネクター部2が開口部18A内に突き出る状態になり、コネクター部2に接続されたハーネス等(図示省略)を、開口部18Aを通してパンフレーム18の下側に容易に引き回すことが可能となる。
【0064】
また、取付部21と開口部18Aとの間に距離があると、取付部21に取り付けられた圧力センサー1のコネクター部2に取り付けられたハーネス等が、開口部18Aまでの間、パンフレーム18とクッションパッド12との間に挟まれる状態になるが、この状態ではハーネス等とパンフレーム18やクッションパッド12とが擦れ合ってハーネス等が損傷したり断線したりする可能性がある。しかし、上記のように、取付部21が設けられたパンフレーム18の凹部20に連続して開口部18Aが設けられていれば、上記のような擦れ合いが生じにくくなり、ハーネス等の損傷や断線等が生じにくくなる。
【0065】
また、図4に示したように、ダクト31は複数の開口部18Aのうちのいずれか1つの開口部18Aに挿通された状態になる。そこで、例えば、圧力センサー1を、ダクト31が挿通されていない開口部18A側の取付部21に取り付けるようにすれば、圧力センサー1のコネクター部2に接続されたハーネス等を、ダクト31が挿通されていない開口部18Aを通すようにすることができる。
そのため、このように構成すれば、ハーネス等とダクト31とが干渉しあわず、ハーネス等とダクト31とが擦れ合うことがないため、ハーネス等の損傷や断線等が生じにくくなる。なお、ハーネス等を、ダクト31が挿通されている開口部18Aに挿通するように構成することも可能である。
【0066】
また、上記のように構成すれば、パンフレーム18に、圧力センサー1のコネクター部2に接続されるハーネス等を通すための開口部18Aを新たに設ける必要がなく、ダクト31を挿通するための開口部18A等の、既にパンフレーム18に形成されている開口部18Aを活用して、圧力センサー1のコネクター部2に接続されるハーネス等を通すことが可能となるといった利点もある。
【0067】
なお、本発明は上記の実施形態や変形例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0068】
1 圧力センサー
3 凸部(係合用の構造)
10 シート
12 クッションパッド
12B 下面
19 ワイヤー
21 取付部
22 孔(係合用の構造)
CL 着座領域の左右方向の中心線
R 着座領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13