(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125385
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】歩行型草刈機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/412 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A01D34/412
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021022955
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000144980
【氏名又は名称】株式会社アテックス
(72)【発明者】
【氏名】井上 正典
(72)【発明者】
【氏名】村上 昌大
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083AA02
2B083BA01
2B083DA02
2B083GA06
2B083HA25
2B083JA10
(57)【要約】
【課題】足元周辺の草も操縦者から離れた遠いところの草も容易に刈取ることのできるハンドル杆の伸縮調整範囲が広くコンパクトに収納可能な歩行型草刈機を提供することを課題とする。
【解決手段】ハンドル基台2上端部に後方上方へ向け延設したハンドルガイド杆3を設け、このハンドルガイド杆3に、操縦者が操作可能のハンドル杆4を挿通して摺動伸縮案内可能に構成し、該ハンドルガイド杆3をハンドル杆4とともに水平回動S、及び、上下回動J可能な歩行型草刈機において、ハンドルガイド杆3、及び、ハンドル杆4を断面多角形のパイプ材で構成し、ハンドル杆4を縮めた際にハンドル杆4前端部がハンドルガイド杆3を貫通し前方に突出する構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体(1)から上方へ突設するハンドル基台(2)を設け、該ハンドル基台(2)上端部に後方上方へ向け延設したハンドルガイド杆(3)を設け、このハンドルガイド杆(3)に、操縦者が操作可能のハンドル杆(4)を挿通して摺動伸縮案内可能に構成し、該ハンドルガイド杆(3)をハンドル杆(4)とともに水平回動(S)、及び、上下回動(J)可能な歩行型草刈機において、ハンドルガイド杆(3)、及び、ハンドル杆(4)を断面多角形のパイプ材で構成し、ハンドル杆(4)を縮めた際にハンドル杆(4)前端部がハンドルガイド杆(3)を貫通し前方に突出することを特徴とする歩行型草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畦や農道等に生えている草を刈る歩行型草刈機に関し、更に詳しくは、草刈作業を行う際のハンドル長さの伸縮範囲を広くした歩行型草刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハンドルが伸縮可能な畦等の草刈作業を行う歩行型草刈機が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小型の歩行型草刈機で傾斜面の草刈作業を行う場合、通常、操縦者が傾斜面上側の平面部に立ち、草刈機を傾斜面側で等高線方向に走行させながら行うが、その際、ハンドル杆を伸縮して足元から傾斜面下側までの草刈作業が可能である。操縦者から遠くの草を刈るためにはハンドル杆が長い方が広範囲の草を刈ることができるが、ハンドル杆を長くすると足元近辺の草を刈る場合に短く縮めることができず、逆に足元を刈り易くするためにハンドル杆を短く設定すると、長く伸ばすことができなくなり、遠くの草が刈れないことになる。本発明は、足元周辺の草も遠いところの草も刈ることのできるハンドル杆の伸縮調整範囲が広い歩行型草刈機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
機体1から上方へ突設するハンドル基台2を設け、該ハンドル基台2上端部に後方上方へ向け延設したハンドルガイド杆3を設け、このハンドルガイド杆3に、操縦者が操作可能のハンドル杆4を挿通して摺動伸縮案内可能に構成し、該ハンドルガイド杆3をハンドル杆4とともに水平回動S、及び、上下回動J可能な歩行型草刈機において、ハンドルガイド杆3、及び、ハンドル杆4を断面多角形のパイプ材で構成し、ハンドル杆4を縮めた際にハンドル杆4前端部がハンドルガイド杆3を貫通し前方に突出する構成とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、機体1から上方へ突設するハンドル基台2を設け、該ハンドル基台2上端部に後方上方へ向け延設したハンドルガイド杆3を設け、このハンドルガイド杆3に、操縦者が操作可能のハンドル杆4を挿通して摺動伸縮案内可能に構成し、該ハンドルガイド杆3をハンドル杆4とともに水平回動S、及び、上下回動J可能な歩行型草刈機において、ハンドルガイド杆3、及び、ハンドル杆4を断面多角形のパイプ材で構成し、ハンドル杆4を縮めた際にハンドル杆4前端部がハンドルガイド杆3を貫通し前方に突出するよう構成してあるので、所定長さのハンドル杆4の伸縮調整範囲が長く、ハンドル杆4を縮めたときには傾斜面での足元刈や平地面で歩行者が真っ直ぐ前向きに歩行しながらの草刈作業が容易で、且つ、コンパクトに収納できる。又、ハンドル杆4を伸長させると広範囲の草刈作業が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図7】別実施例を示す全体側面図及び一部断拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
畦道や急斜面での草刈作業を行う小型の歩行型草刈機は、刈取幅が40~60cmのものが多く、そのハンドル部は伸縮と所定範囲の水平回動S、及び、上下回動Jが可能に構成されている。これらの歩行型草刈機は、左右横方向の刈取軸10に刈取爪11を装着した刈取装置Aを正回転D、又は、逆回転Eさせるハンマーナイフ形態のものや、左右一対の前輪12,12と後輪13,13との前後中央部に、上下方向の刈取軸30に装着した刈刃31を水平方向に回転させる形態の刈取装置Bを備えたもの(
図7)等がある。
図1~
図5に示すのは機体1前部にハンマーナイフ形態の刈取装置Aを設け、後部には左右一対のクローラ走行装置K,Kと、左右のクローラ走行装置K,Kの中間部にギヤボックス14と、ギヤボックス14上方にエンジン15を搭載した歩行型草刈機である。エンジン15の動力は、エンジン15下方へ向け突設した出力軸からギヤボックス14内のギヤ等を介して、左右のホイルパイプ16内のホイル軸先端に取着のホイルスプロケット17へ伝動される。ホイルスプロケット17の後方にはアイドルローラ18が枢支してあり、ホイルスプロケット17とアイドルローラ18とにゴム材からなるクローラ19を巻回している。又、ギヤボックス14の前部右側の刈取出力軸20からプーリ28とプーリ29との間に巻回するVベルト32を介して刈取装置Aの回転伝動が可能に構成してある。
【0009】
左右中央部のエンジン14前側には、ハンドル基台2を上方へ突設し、該ハンドル基台2の上端部から後方上方へ向け延設するハンドルガイド杆3を設け、このハンドルガイド杆3にハンドル杆4を挿通して摺動伸縮案内可能に構成してある。ハンドル杆4を最も短く縮めた際には、ハンドル杆4の前端部がハンドルガイド杆3内を貫通して前方に突出するよう構成している。
図6はハンドルガイド杆3とハンドル杆4との伸縮固定方法を示し、ハンドルガイド杆3とハンドル杆4は断面四角形のパイプ材で形成されていて、ハンドルガイド杆3に挿通したハンドル杆4の下側面には、所定間隔に列設した複数の嵌合穴21を設けてある。ハンドルガイド杆3の上端部下側には、前記ハンドル杆4の嵌合穴21に嵌合するピン22を備えたハンドル固定具23を設けてある。このハンドル固定具23は、回動軸24を中心にシーソー形態で回動可能に構成してあり、レバー25を下方へ回動させると圧縮スプリング26の圧縮力に抗して回動軸24を中心に固定ベース27が回動し、ピン22がハンドル杆4の嵌合穴21の嵌合状態から解除され、ハンドル杆4の摺動伸縮が可能な状態となる。又、レバー25の下方向への回動力を解除し、圧縮スプリング26の圧縮力によりピン22がハンドル杆4の嵌合穴21に嵌合すればハンドル杆4の摺動伸縮は固定される。これらハンドル杆4の固定、及び解除方法はピン22の抜き差し方法に限定するものではなく、ボルトの締め付け構成であっても良い。又、ハンドルガイド杆3とハンドル杆4は、必ずしも断面が同形状でなくても良く、どちらも多角形でハンドル杆4がハンドルガイド杆3の中で回動しない形状であれば良い。
【0010】
図4は、水平回動軸33を中心にハンドルガイド杆3、及び、ハンドル杆4を水平回動Sさせ、又、上下回動軸34を中心にハンドルガイド杆3とハンドル杆4を上下回動Jさせる構成を示している。ハンドル旋回ベース35から上方へ突設した水平回動軸33に旋回ハブ36を枢支し、この旋回ハブ36外周には複数の係合穴37を有する旋回プレート38を設けている。旋回プレート38と旋回ロックベース39とは後部連結板40で連結してあり、旋回ワイヤ41aを引き操作すると旋回ロックベース39内のピン42が上方へ摺動し旋回プレート38の係合穴37から外れ、ハンドルガイド杆3、及び、ハンドル杆4が旋回S可能となる。旋回ハブ36前側には前部連結板43を設け、水平回動軸33上方には、前部連結板43と後部連結板とを連結する側面視扇形の上下プレート44を設けている。上下プレート44には複数の係合穴45を設け、上下ワイヤ41bを引き操作すると、ハンドル基台2側に設けた上下ロックベース46内のピン47が上方へ摺動し、上下プレート44の係合穴45から外れ、ハンドルガイド杆3及びハンドル杆4の上下回動Jが可能となる。尚、ハンドル杆4先端の操作部Mに設けたレバー48を握ることで、旋回ワイヤ41aと上下ワイヤ41bとの両方のワイヤを同時に引き操作することが可能なので、1つのレバー48を握ることで、ハンドルガイド杆3及びハンドル杆4の水平旋回S操作と上下回動J操作とを同時に行うことができる。
【0011】
本発明の歩行型草刈機は、ハンドルガイド杆3、及び、ハンドル杆4を断面多角形のパイプ材で構成し、ハンドル杆4を縮めた際にハンドル杆4前端部がハンドルガイド杆3を貫通し前方に突出するよう構成してあるので、突出長さ分ハンドル杆4の伸縮調整範囲Lが長く、ハンドル杆4を縮めた際の傾斜面、及び、平地面での足元周辺刈や、ハンドル杆4を機体1後方へ向けて歩行者が真っ直ぐ歩行しながらの草刈作業が容易で、且つ、コンパクトに収納できる。又、ハンドル杆4を伸長させると広範囲の草刈作業が可能である。
【0012】
図5に示す50は走行方向を切替える前後進切替レバーで操作部Mの後方に立つ操縦者が右側へ向け操作すると前進、左側へ向け操作すると後進に切替えでき、Nはニュートラル位置である。51は草の刈高さを変更できる刈高さレバーで、52は走行速度を変える変速レバー、53は刈取装置A,Bへの伝動を入、切可能の刈取クラッチレバーである。
【0013】
本発明の歩行型草刈機のクローラ19は、無端帯のクローラ本体60の内周全周にわたり、等間隔に配列した左右一対の、側面視三角形状の内方突起61を設け、内方突起61にホイルスプロケット17の係合部62を係合させて走行することができ、クローラ本体60の外周全周にわたり、等間隔に配列するラグ63を設けてある。これらのクローラ走行装置Kのホイルスプロケット17は刈草が巻き付き易く走行性能に悪影響を及ぼす場合があるが、本発明のホイルスプロケット17は刈草が巻き付き難い形状に形成した樹脂材で作られている。ホイルスプロケット17は、外周がクローラ19の左右内方突起61,61の中間部を転動する円板状のスプロケット本体部64と、内方突起61に係合する係合部62とからなり、スプロケット本体64中央部にはホイル軸16aを取着するホイルハブ65を設けている。係合部62は、スプロケット本体部64外周部から左右方向へ突設する側面視略三角形状の係合部62を、外周部の全周にわたって等間隔に配列してある。この係合部62は、スプロケット本体部64の最外周端から三角形状の頂点部Cを左右方向へ向け突設し、該頂点部Cから内側に向け傾斜部Fを設け、スプロケット本体部64を挟む形態で形成している。従って、係合部62の左右幅W1よりも左右幅W2が狭幅のW1>W2(
図8a参照)の形状としている。66、67は軽量化のための削り込み部である。
【符号の説明】
【0014】
1 機体
2 ハンドル基台
3 ハンドルガイド杆
4 ハンドル杆
J 上下回動
S 水平回動(旋回)