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特開2022-125510間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125510
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
E04B2/74 511D
E04B2/74 511H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023126
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000184621
【氏名又は名称】小松ウオール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(72)【発明者】
【氏名】中川 真人
(72)【発明者】
【氏名】森田 律子
(72)【発明者】
【氏名】堀 翔伍
(57)【要約】
【課題】ガラスパネルP、P…を補強する。
【解決手段】ガラスパネルP、Pの目地Dに対応させて立設する支持材11と、ガラスパネルP、Pの目地Dに内装し、互いに係合してガラスパネルP、Pを連結する一対の目地材12、13とを組み合わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスパネルの目地に対応させて立設する支持材と、ガラスパネルの目地に内装し、互いに係合してガラスパネルを連結する一対の目地材とを備えてなり、前記支持材は、前後の端面にそれぞれ係合溝を形成し、前記目地材の一方は、前記係合溝に係合させる脚部を介して前記支持材に連結することを特徴とする間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造。
【請求項2】
前記支持材は、それぞれ固定金具を介して両端をガラスパネル用の下枠、上枠に連結することを特徴とする請求項1記載の間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造。
【請求項3】
前記固定金具は、前記支持材の下端用、上端用を同形同大に形成することを特徴とする請求項2記載の間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造。
【請求項4】
前記脚部は、前記支持材の端面に定着させるベース部の裏面側に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか記載の間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造。
【請求項5】
前記ベース部は、前記脚部の外れ止め用の突条を裏面側に形成することを特徴とする請求項4記載の間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラスパネルを有効に補強することができる間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
前後のガラスパネルを有する二重ガラスの間仕切り装置が知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
従来の間仕切り装置は、下枠、上枠と、左右の支柱によって支持する左右の縦枠とからなる枠体を介して前後のガラスパネルを保持している。各ガラスパネルは、複数枚を左右に連接して必要な開口寸法を実現することができ、このとき、左右に隣接する各ガラスパネルは、たとえば断面略H字状の目地部材を介して連結することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-214753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、複数枚を連接する前後のガラスパネルは、それぞれ断面略H字状の目地部材を介して連結されているだけであるから、全体強度が不足して過大な揺れや撓みなどが発生しがちであるという問題があった。また、断面略H字状の目地部材は、目地の両側の左右のガラスパネルの表面上に幅広に露出するため、全体の美感を損なうおそれがあるという問題もあった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、支持材と、ガラスパネルの目地に内装する目地材とを組み合わせることによって、ガラスパネルの強度を必要十分に補強するとともに、良好な美感を容易に実現することができる間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するためのこの発明の構成は、ガラスパネルの目地に対応させて立設する支持材と、ガラスパネルの目地に内装し、互いに係合してガラスパネルを連結する一対の目地材とを備えてなり、支持材は、前後の端面にそれぞれ係合溝を形成し、目地材の一方は、係合溝に係合させる脚部を介して支持材に連結することをその要旨とする。
【0008】
なお、支持材は、それぞれ固定金具を介して両端をガラスパネル用の下枠、上枠に連結することができ、固定金具は、支持材の下端用、上端用を同形同大に形成することができる。
【0009】
また、脚部は、支持材の端面に定着させるベース部の裏面側に形成してもよく、ベース部は、脚部の外れ止め用の突条を裏面側に形成してもよい。
【発明の効果】
【0010】
かかる発明の構成によるときは、ガラスパネルの目地に内装する一対の目地材は、互いに係合して左右に隣接するガラスパネルを連結するとともに、その一方が支持材の係合溝に脚部を係合させて支持材と一体になり、支持材を介してガラスパネルを補強して、ガラスパネルの揺れや撓みを抑えることができる。また、目地に内装される目地材は、ガラスパネルの表面側に突出したり膨出したりすることがなく、ガラスパネルの美感を損ねるおそれがない。なお、各目地材は、左右のガラスパネルに合わせてたとえば透明または透光性の硬質合成樹脂製とすることが好ましく、それぞれ対応するガラスパネルの側端面に接着して付設することができる。
【0011】
支持材は、それぞれ固定金具を介して両端をガラスパネル用の下枠、上枠に連結し、必要十分な強度を発揮することができる。なお、固定金具は、たとえば下枠の上面、上枠の下面に付設するカバー材と支持材とにより、外部から見えないように隠蔽することが好ましい。また、固定金具は、支持材の下端用、上端用を同形同大にすれば、部品の種類を少なくして作業し易くすることができる。
【0012】
目地材の脚部は、ベース部の裏面側に形成することにより、支持材の係合溝に係合させて目地材を支持材に連結するとき、ベース部を支持材の端面に定着させて目地材を安定にすることができる。なお、ベース部は、ガラスパネルの目地の幅より広幅にしてガラスパネルの側縁部の裏面側と支持材の端面との間に介在させると、ガラスパネルの側縁部における応力集中の機会を少なくすることができる。
【0013】
ベース部の裏面側の突条は、脚部を支持材の係合溝に係合させるとき、脚部を適位置に位置決めして外れ止めし、目地材と支持材との連結を一層安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】使用状態を示す全体横断面図
図2図1の要部拡大縦断面図
図3】支持材、各目地材の横断面説明図
図4】要部構成説明図
図5】固定金具の構成説明図
図6】要部分解斜視図(1)
図7】要部分解斜視図(2)
図8】組付手順説明図(1)
図9】組付手順説明図(2)
図10図1の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0016】
間仕切り装置におけるガラスパネルの補強構造は、ガラスパネルP、Pの目地Dに対応させて立設する支持材11と、ガラスパネルP、Pの目地Dに内装する一対の目地材12、13とを備えてなる(図1図2)。ただし、以下の説明において、便宜的に、図1の下側、図2の左側を前面側とし、図1の上側、図2の右側を後面側とする。
【0017】
間仕切り装置は、床F側の下枠21、天井C側の上枠22、左右の支柱S、S側の縦枠23、23を組み合せる枠体に対し、前後のガラスパネルP、P…を装着して構成されている。下枠21、上枠22、縦枠23は、それぞれ所定断面形状のアルミニウムの押出形材であり、前後のガラスパネルP、P…の上下左右の周縁部は、それぞれガラス押え24により、上枠22、下枠21、各縦枠23の前面側、後面側に対し、緩衝材24aを介在させて弾発的に押し付けられて固定されている。なお、各ガラス押え24も、アルミニウムの押出形材であり、対応する上枠22、下枠21、各縦枠23に対し、取外し可能に係合して装着されている。ただし、前後のガラスパネルP、P…は、それぞれ目地Dを介して連接されている。
【0018】
下枠21は、アンカボルト31aを介して床Fに敷設する上向きチャンネル状の床レール31内に複数のアジャスタボルト付きのジャッキ32、32…を配置し、ジャッキ32、32…を介して支持する下向きチャンネル状の補強材33と一体に連結することにより、床レール31に上から嵌合させて高さ調節自在に設置されている。各ガラスパネルPの下端は、下枠21の前面側、後面側において、それぞれセッティングブロック34を介して支承されている。ただし、床レール31内のジャッキ32、32…は、各支持材11の直下と、左右の支柱S、Sの直近位置とに分散配置されているものとし、図2には、その1個のみが図示されている。下枠21の上面には、カバー材35、35…が付設されており、各カバー材35は、縦枠23、23、支持材11、11の間に分割して配置されている。
【0019】
上枠22は、補強金具36a、止めねじ36bを介して天井Cに固定する下向きチャンネル状の天井レール36に下から嵌合させている。上枠22の下面には、カバー材37、37…が付設され、各カバー材37は、下枠21側のカバー材35と同様に、縦枠23、23、支持材11、11の間に分割して配置されている。また、左右の縦枠23、23は、それぞれクッション材38を介して対応する支柱Sの内向きの側面に嵌合させた上、支柱Sの前面側、後面側にねじ止めされている。各支柱Sの他方の側面には、たとえば別の間仕切りパネルP1 が連設されている。
【0020】
各支持材11は、断面略長方形のアルミニウムの押出形材である(図1図3(A))。支持材11は、内部に角孔11aを有し、前後の端面にそれぞれ目地材12用の係合溝11bを有する。各係合溝11bは、台形状の底面を有する浅い変形T溝状に形成され、支持材11の全体断面形状は、前後左右に線対象となっている。なお、支持材11は、左右の支柱S、S間において、左右に連接するガラスパネルP、P…の枚数に応じて1本または2本以上とする。
【0021】
ガラスパネルP、Pの目地D内の目地材12、13は、互いに係合して左右のガラスパネルP、Pを連結するとともに、一方の目地材12を介して支持材11の前端面または後端面に定着し、支持材11に連結されている。
【0022】
一方の目地材12は、ベース部12aの表面側に立設する壁面部12bの片面にベース部12aと平行の一対の係合リブ12c、12cを形成するとともに(図1図3(B))、ベース部12aの裏面側に脚部12dを形成している。各係合リブ12cの先端には、壁面部12bと平行のフック12c1 が形成され、脚部12dは、ベース部12aと平行に各係合リブ12cと逆方向に屈曲され、ベース部12aの裏面側には脚部12dと平行に突条12eが形成されている。また、ベース部12aの表面側の両端には、頂部が平坦な突条12f、12fが形成され、壁面部12bの先端には、係合リブ12c、12cと逆方向に小フック12b1 が形成されている。
【0023】
他方の目地材13は、壁面部13aの片面に互いに平行な一対の係合リブ13b、13bを形成し(図1図3(C))、各係合リブ13bの先端にフック13b1 を形成するとともに、壁面部13aの両端にそれぞれ小フック13a1 を形成している。
【0024】
各支持材11の両端は、同形同大の固定金具14、14を介して下枠21、上枠22に連結されている(図2図4(B)、(A))。各固定金具14は、左右の取付脚14a、14aの中間の突出部14bから前後の固定片14c、14cを上向きに突設して構成されている(図5)。各取付脚14aの先端部には、ねじ止め用の前後の切欠き14d、14dが形成され、各固定片14cには、ねじ止め用の上下の丸孔14e、14eが形成されている。なお、固定金具14は、取付脚14a、14a、突出部14bを形成するハット形の板材と、固定片14c、14cを形成するチャンネル形の板材とを一体に組み合せている。ただし、図5(A)~(C)は、それぞれ固定金具14の正面図、平面図、側面図である。
【0025】
支持材11の下端は、固定金具14の固定片14c、14cを支持材11の角孔11aに挿入して(図2図6)、前後の係合溝11b、11bの底面からねじ止めし、取付脚14a、14aを下枠21の中央部上面にねじ止めして固定されている。なお、下枠21は、補強材33と一体にとも締めされており、下枠21、補強材33には、それぞれジャッキ32のアジャスタボルトの上向きの小径部を挿通させる角孔33a、長孔21aが形成されている。下枠21、固定金具14は、カバー材35、35、支持材11の下端部によって隠蔽することができる(図2図4(B))。
【0026】
支持材11の上端は、同様にして、固定金具14を介して上枠22に連結されている(図2図7)。すなわち、固定金具14は、固定片14c、14cを支持材11の角孔11aに挿入して前後の係合溝11b、11bからねじ止めされ、取付脚14a、14aを上枠22の中央部下面にねじ止めされている。固定金具14は、カバー材37、37、支持材11の上端部によって隠蔽することができる(図2図4(A))。
【0027】
支持材11に対するガラスパネルP、P、目地材12、13の組付手順は、たとえば図8図9のとおりである。ただし、図8図9には、支持材11の一方の端面に対し、目地材12、13がガラスパネルP、Pの目地Dに既に装着済みの状態が図示されている。
【0028】
まず、目地材12を支持材11の係合溝11bの前方に搬入し(図8(A))、ベース部12aの裏面側の脚部12dを係合溝11bに挿入させる(同図(B))。その後、脚部12dを係合溝11bの片側に深く係合させるとともにベース部12aを支持材11の端面に正しく定着させると(同図(C))、脚部12dは、ベース部12aの裏面側の突条12eを介して位置決めされて外れ止めされる(図10)。ただし、図10には、目地材12、13がガラスパネルP、Pの目地D内に装着済みの完成状態が示されているから、ここでは、支持材11、目地材12のみに着目されたい。
【0029】
次に、目地材12に対応するガラスパネルPを壁面部12bの裏面側に対向させるようにして搬入する(図8(D))。ただし、このとき、ガラスパネルPの目地材12側の側端面には、あらかじめ図示しない両面テープを貼付しておくものとする。
【0030】
つづいて、ガラスパネルPを位置調整するとともに(図9(A))、両面テープの剥離紙を除去してガラスパネルPの側端面を目地材12の壁面部12bに接着して連結する。その後、隣接する他方のガラスパネルPを搬入する(同図(B))。ただし、このとき、搬入するガラスパネルPの側端面には、図示しない両面テープを介して目地材13をあらかじめ正しい方向に接着しておき、目地材13の係合リブ13b、13bを目地材12の係合リブ12c、12cとの係合位置に対向させる。
【0031】
そこで、目地材13側のガラスパネルPを位置調整し、目地材13を目地材12に係合させて連結して完成させればよい(同図(C)、図10)。なお、完成後の目地材12、13は、左右のガラスパネルP、Pが形成する目地Dに内装され、ガラスパネルP、Pを連結するとともに目地材12の脚部12dを介して支持材11にも併せて連結されている。また、目地材12、13の各係合リブ12c、13bは、それぞれの先端のフック12c1 、13b1 を介して外れ止めされ、支持材11の端面に定着するベース部12aの両端部は、ガラスパネルP、Pの各側縁部と支持材11の端面との間に介在され、それぞれ平坦な突条12fを介してガラスパネルPの側縁部を支持することにより、ガラスパネルPの側縁部に不均一な応力分布を生じたり、それによる有害な応力集中を生じたりするおそれがない。
【0032】
以上の説明において、ガラスパネルP、P…は、前面側、後面側に設けて二重ガラスとするに代えて、前面側、後面側のいずれか一方のみに設けてもよい。このとき、ガラスパネルPを設けない側の支持材11の端面は、たとえば支持材11と同幅のカバー材を係合溝11bに装着して体裁を整えることが好ましい。また、目地材12、13の係合形態は、目地D内において左右のガラスパネルP、Pを適切に連結し得る限り、図示以外の任意の形態に変更可能である。なお、ガラスパネルPは、合成樹脂パネルとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、支持材と、目地内の一対の目地材とを介してガラスパネルを有効に補強することができ、開口寸法が大きく、良好な美感を要求されるガラスパネルの間仕切り装置に対し、広く好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
P…ガラスパネル
D…目地
11…支持材
11b…係合溝
12…目地材
12a…ベース部
12d…脚部
12e…突条
13…目地材
14…固定金具
21…下枠
22…上枠

特許出願人 小松ウオール工業株式会社
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10