(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125518
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 334
A63F7/02 326C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023135
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古
(72)【発明者】
【氏名】宮田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石田 嘉也
(72)【発明者】
【氏名】赤松 直樹
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BC31
2C088DA09
2C088EA26
(57)【要約】
【課題】前枠の装飾を変更可能であっても追加装飾体を容易に持ち去られない。
【解決手段】追加装飾体ONMaは、前枠Dを開いて背面側から作業できる状態にし、前枠Dの後方に向かって回動させて取付部MTPへのアプローチが可能な状態とし、ドライバを用いてネジscwを取り外し、水平軸52を円筒部材61の筒孔62から抜き出す。パチンコ機P1は、遊技場においては上部にデータ表示装置などを備える遊技島に設置されることから、前枠Dを閉じた状態で追加装飾体ONMaを後方に回動させようとするとデータ表示装置などの遊技島を構成する部材に干渉してしまうため、取付部MTPに対してドライバーを挿入することができず、追加装飾体ONMaの持ち去りを防止することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤を保持する遊技盤保持枠に対して開閉可能に取り付けられた前扉を脱着可能な装飾部材で装飾した遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする遊技機。
(1A)前記前扉又は前扉装飾部材の背面側に、前記装飾部材を脱着可能に取り付ける取付部を備えさせたこと。
(1B)前記取付部を、前記装飾部材を前記前扉に対して所定以上の傾動又は回動をさせなければ当該装飾部材を脱着することができない様に構成したこと。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
(2A)前記取付部は、前記装飾部材を前記前扉に対して傾動可能又は回動可能に保持する保持部を備えていること。
(2B)前記装飾部材は、前記前扉に対して所定以上の傾動又は回動をさせたときに脱着可能となる様に、前記保持部に対して保持されていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
(3A)前記装飾部材は、前記取付部に対して連結部材を介して取り付けられていること。
(3B)前記装飾部材及び前記取付部は、前記装飾部材を前記前扉に対して所定以上の傾動又は回動をさせるまでは前記連結部材の操作ができない関係となる様に構成されていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の遊技機。
(4A)前記装飾部材は、前記前扉の周縁部から外側に突出し、後方に向かって傾動可能又は回動可能に構成されていること。
(4B)前記装飾部材は、前記前扉を前記遊技盤保持枠に対して閉じた状態においては、後方に向かって所定以上の傾動又は回動ができない様に、前記取付部に対して取り付けられていること。
(4C)前記取付部を、前記装飾部材を後方に向かって所定以上の傾動又は回動をさせるまでは当該装飾部材の脱着ができない様に構成したこと。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前扉を装飾する装飾部材を脱着可能に備えさせた遊技機に関する。
【0002】
従来、前扉の前面側に光透過性を有する合成樹脂製のカバーで覆う様に装飾板や装飾体を取り付け、カバーを開いて内部の装飾板や装飾体を交換することができる遊技機の提案がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-170466(
図3,
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の提案によれば、前扉の装飾を変更可能である反面、工具を用いればカバーを容易に開くことができる結果、装飾板や装飾体の持ち去りが懸念される。
【0005】
本発明は、前扉の装飾を変更可能であっても装飾部材を容易に持ち去られることがない様にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の遊技機は、遊技盤を保持する遊技盤保持枠に対して開閉可能に取り付けられた前扉を脱着可能な装飾部材で装飾した遊技機であって、さらに、以下の構成をも備えていることを特徴とする。
(1A)前記前扉又は前扉装飾部材の背面側に、前記装飾部材を脱着可能に取り付ける取付部を備えさせたこと。
(1B)前記取付部を、前記装飾部材を前記前扉に対して所定以上の傾動又は回動をさせなければ当該装飾部材を脱着することができない様に構成したこと。
【0007】
本発明の遊技機によれば、装飾部材の取り付けに当たっては、装飾部材を前扉に対して所定以上に傾動又は回動させた状態とした上で取付部に対する取り付け作業を実施する必要があり、装飾部材の取り外しに当たっては、装飾部材を前扉に対して所定以上に傾動又は回動させた上で取付部からの取り外し作業を実施する必要がある。そして、取付部が前扉又は前扉装飾部材の背面側に備えられている結果、前扉又は前扉装飾部材の背面側からでなければ装飾部材の取り付けも取り外しもできない。この結果、前扉を閉じた状態において遊技盤保持枠との間にドライバーなどを挿入しただけでは装飾部材の取り外しが困難となる。
【0008】
ここで、本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(2A)前記取付部は、前記装飾部材を前記前扉に対して傾動可能又は回動可能に保持する保持部を備えていること。
(2B)前記装飾部材は、前記前扉に対して所定以上の傾動又は回動をさせたときに脱着可能となる様に、前記保持部に対して保持されていること。
【0009】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、装飾部材の取り付けに当たっては、装飾部材を前扉に対して所定以上に傾動又は回動させた状態とした上で保持部に対して保持させた状態で取り付け作業を実施し、その後、前扉に対する装飾位置へと傾動又は回動させる。一方、装飾部材の取り外しに当たっては、装飾位置にある装飾部材を前扉に対して所定以上に傾動又は回動させた上で保持部による保持を開放する様に取り外す。装飾部材は、保持部により、前扉に対して傾動可能又は回動可能に保持されているから、前扉を開きさえすれば、取り付け取り外しを容易に実施することができる。
【0010】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(3A)前記装飾部材は、前記取付部に対して連結部材を介して取り付けられていること。
(3B)前記装飾部材及び前記取付部は、前記装飾部材を前記前扉に対して所定以上の傾動又は回動をさせるまでは前記連結部材の操作ができない関係となる様に構成されていること。
【0011】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、装飾部材は、取付部に対して単に抜き差しするだけでなく連結部材を介して取り付けられているから、装飾部材を前扉に対して所定以上傾動させ又は所定以上回動させただけでは装飾部材を取り外すことはできない。ここで、連結部材がネジであるなら、装飾部材を前扉に対して所定以上傾動又は回動をさせるまでは、(a)ネジをネジ穴に抜き差しできない、(b)ネジの頭の溝にドライバーを挿入することができない、あるいは、(c)ネジの頭の溝に挿入したドライバーを回すことができない、といった構造となる様に装飾部材と取付部との関係を構成するとよい。
【0012】
これら本発明の遊技機は、さらに、以下の構成をも備えたものとすることができる。
(4A)前記装飾部材は、前記前扉の周縁部から外側に突出し、後方に向かって傾動可能又は回動可能に構成されていること。
(4B)前記装飾部材は、前記前扉を前記遊技盤保持枠に対して閉じた状態においては、後方に向かって所定以上の傾動又は回動ができない様に、前記取付部に対して取り付けられていること。
(4C)前記取付部を、前記装飾部材を後方に向かって所定以上の傾動又は回動をさせるまでは当該装飾部材の脱着ができない様に構成したこと。
【0013】
かかる構成をも備えた遊技機によれば、装飾部材は、前扉の周縁部から外側に突出し、後方に向かって傾動又は回動が可能であるが、前扉を遊技盤保持枠に対して閉じた状態においては、後方に向かって所定以上の傾動又は回動ができない様に取付部に対して取り付けられている。そして、取付部は、前扉の背面側に備えられ、かつ、装飾部材を後方に向かって所定以上の傾動又は回動をさせるまでは当該装飾部材を脱着ができない様に構成されているから、前扉を開かない限りは装飾部材を取り外すことができない。特に、(2A),(2B),(3A),(3B)の構成をも全て備えることにより、前扉を開いた状態においては、装飾部材の取り付け取り外しは容易に実施でき、前扉を閉じた状態では装飾部材の取り付け取り外しを極めて困難なものとすることができる。そして、「(5)前記前扉を開いたときは警報を発する様に開閉検知手段及び開放報知手段をも備えていること。」との構成をも備えるならば、装飾部材の持ち去りをより一層適確に防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前扉の装飾を変更可能であっても装飾部材を容易に持ち去られることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1のパチンコ機を示し、(A)は正面図、(B)は右側面図、(C)は前枠を開いた状態の正面図である。
【
図2】実施例1における追加装飾体の動作を示し、(A)は待機位置にある状態の正面図、(B)は待機位置にある状態の右側面図、(C)は起立位置にある状態の正面図、(D)は起立位置にある状態の右側面図である。
【
図3】実施例1のパチンコ機において追加装飾体を取り外す際の第1の手順として前枠を開いた状態を示し、(A)は全体の斜視図、(B)は要部拡大斜視図である。
【
図4】実施例1のパチンコ機において追加装飾体を取り外す際の第2の手順として追加装飾体を後方へ回動させた状態を示し、(A)は全体の斜視図、(B)は要部拡大斜視図である。
【
図5】実施例1のパチンコ機において追加装飾体を取り外す際の第3,第4の手順を示し、(A)はネジを取り外した状態の要部拡大斜視図、(B)は追加装飾体を抜き取った状態の要部拡大斜視図である。
【
図6】実施例1のパチンコ機の制御装置の全体の構成を示すブロック図である。
【
図7】実施例1のパチンコ機における警報制御に関する制御系統及び制御処理を示し、(A)は制御系統のブロック図、(B)は警報制御のフローチャートである。
【
図8】実施例2のパチンコ機を示し、(A)は要部側面図、(B)は追加装飾体を取り外す際の第1の手順として前枠を開いた状態の平面図、(C)は追加装飾体を取り外す際の第2の手順として追加装飾体を後方へ回動させた状態の平面図、(D)は要部拡大斜視図である。
【
図9】実施例3のパチンコ機を示し、(A)は要部側面図、(B)は追加装飾体を取り外す際の第1の手順として前枠を開いた状態の平面図、(C)は追加装飾体を取り外す際の第2の手順として追加装飾体を後方へ傾動させた状態の要部側面図、(D)はその平面図、(E)は要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態として、具体的な実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0017】
[1 遊技機全体の概要]
実施例1のパチンコ機P1は、
図1に示す様に、外枠A、中枠(遊技盤保持枠)B、遊技盤C、前枠(前扉)D、上の球受け皿E、下の球受け皿F、発射装置G及び施錠装置Hを備えている。
【0018】
前枠Dには、遊技盤Cを透視可能な透視保護窓Wを取り囲む様に設置された前面装飾部材DCRfを備えている。前面装飾部材DCRfには、音声演出に用いるスピーカSPl,SPr、発光演出に用いる装飾ランプLDl,LDr,LDuなどが設置されている。また、
図1(C)に示す様に、前枠Dの裏面には、スピーカSPl,SPr、装飾ランプLDl,LDr,LDu、発射装置Gの駆動制御用の基板KBspl,KBspr,KBldl,KBldr,KBldu,KBgが設置されている。
【0019】
これら駆動制御用の基板KBspl,KBspr,KBldl,KBldr,KBldu,KBgには、中枠Bに設置した本体側コネクタCNT1と前枠Dに設置した組付部材側コネクタCNT2とを接合させることにより、中枠Bから電源及び制御信号等が入力される構成となっている。前枠Dは、透視保護窓W以外は不透明な素材で構成され、各基板KBspl等とコネクタCNT2との間は、この不透明素材に隠れて正面からは見えない様に配線されたワイヤハーネスで接続されている。
【0020】
[2 追加装飾]
前枠Dには、さらに、上方に向かって突出する様に設置された上部装飾体ONMuも備えられている。そして、この上部装飾体ONMuの背面側に、追加装飾体ONMaも取り付けられている。この追加装飾体ONMaは、常時は横向きの待機位置にあり(
図2(A),(B))、「大当たり」やいわゆる「激アツ」などの状態になったときに縦向きの起立位置へと出現する(
図2(C),(D))。
【0021】
この追加装飾体ONMaは、前枠Dの背面側から脱着可能に取り付けられている。このため、追加装飾体ONMaを取り外す際には、施錠装置Hを解錠状態とした上で、
図3に示す様に、まず前枠Dを開いて背面側から作業できる状態にする。次に、
図4(A)に示す様に、追加装飾体ONMaを前枠Dの後方に向かって回動させる。これにより、
図4(B)に示す様に、一点鎖線の楕円で囲んだ取付部MTPへのアプローチが可能となる。なお、
図3(B)に示す様に、追加装飾体ONMaを回動させる前の段階では取付部MTPは右方向に倒れた状態の追加装飾体ONMa及び上部装飾体ONMuによって隠れた状態になっている。
【0022】
追加装飾体ONMaは、
図4(B)に示す様に、垂直軸51と、この垂直軸51を回動可能に保持する水平軸52とを備えている。一方、上部装飾体ONMuは、背面下部に後方に向かって突出する円筒部材61を備えている。そして、追加装飾体ONMaは、その水平軸52を上部装飾体ONMuの背面側から円筒部材61に挿入した上でネジ(連結部材)scwによって固定されている。
【0023】
こうして前枠Dを開き(
図3)、追加装飾体ONMaを前枠Dに対して後方に向かって回動させ(
図4(A))、
図4(B)に示す様に、取付部MTPのネジscwの頭の溝に対してドライバを挿入可能な状態としたら、ドライバを用いてネジscwを取り外す(
図5(A))。そして、追加装飾体ONMaの水平軸52を円筒部材61の筒孔62から抜き出す(
図5(B))。
図4(B)に示す様に、ネジscwは円筒部材61の左方向からドライバーを用いて緩める様になっている。このため、
図3(B)に示す様に、追加装飾体ONMaを回動させる前の状態では、追加装飾体ONMa自体が邪魔になってネジscwを緩める作業ができない。
【0024】
追加装飾体ONMaを取り付ける際には、追加装飾体ONMaが取り付けられていない状態の前枠Dを開いた状態とした上で、取り外しの場合とは逆に、追加装飾体ONMaが
図5(B)→
図5(A)→
図4(B)→
図3(B)の状態となる様に以下の手順で取り付け作業を行う。まず、追加装飾体ONMaの水平軸52のネジ穴53と円筒部材61のネジ挿通穴63とを位置合わせする。なお、水平軸52のネジ穴53にはネジ溝が刻設されている。次に、円筒部材61のネジ挿通穴63からネジscwを挿入し、ドライバを用いてネジ穴53に螺合させる。こうして追加装飾体ONMaを上部装飾体ONMuの背面側から取り付けたら、追加装飾体ONMaを前方に向かって回動させ、前枠Dを中枠Bの前面を塞ぐ位置へと回動させ、施錠装置Hによる施錠を実行する。
【0025】
以上の様に、追加装飾体ONMaの取り付け取り外しの際には、取付部MTPに対してドライバーによってネジを締め付けたり緩めたりする際に邪魔になることがないように、追加装飾体ONMaを後方に回動させた状態とする。パチンコ機P1は、遊技場においては上部にデータ表示装置などを備える遊技島に設置されることから、前枠Dを閉じた状態で追加装飾体ONMaを後方に回動させようとするとデータ表示装置などの遊技島を構成する部材に干渉してしまう。このため、取付部MTPに対してドライバーを挿入することができず、追加装飾体ONMaの持ち去りを防止することができる。一方、前枠Dを開けば、追加装飾体ONMaを後方に回動させて取付部MTPに対してドライバーの挿入を可能にするから、遊技島に設置した状態のパチンコ機P1に対しても、追加装飾体ONMaの交換等を容易に実施することができる。
【0026】
本実施例によれば、追加装飾体OMNaの取付部MTPを前枠Dの背面側とし、追加装飾体OMNaを後方に向かって所定以上回動させることで取付部MTPに対する取り付け取り外しの作業を可能にしたことにより、遊技島に設置してある遊技機枠(中枠B)に対する遊技盤の交換と合わせて前枠Dの追加装飾体ONMaの交換を実行可能とし、タイトルやスペックに合わせた追加装飾体の交換を容易に実行することができると共に、追加装飾体の持ち去りを適確に防止することもできる。
【0027】
ここで、本実施例においては、追加装飾体ONMaは、待機位置から、前枠Dと中枠Bとを連結するヒンジの方向に向かって後方へ回動させることによって取付部MTPに対して右方向からのアプローチを可能とする様に、上部装飾体ONMuの背面側に取り付けられている。この結果、円筒部材61に対する水平軸52の抜き差し作業や、ネジscwの締め付け作業や緩め作業を、広く開放された右方向からのアプローチによって実行することができ、持ち去り防止の効果を高めつつ、追加装飾体ONMaの取り付け作業や交換作業を容易にするという効果も発揮される。
【0028】
[3 制御装置の概要]
次に、本実施例のパチンコ機P1のゲーム性等について説明する。まず、制御系統について
図6に基づいて説明する。CPU,ROM,RAM,クロック等を備えた主制御基板310に対して、始動入賞装置に備えられている第1特図スイッチSW1、第2始動入賞装置に備えられている第2特図スイッチSW2、ゲートに備えられている普図スイッチSW37、大入賞口に備えられた入賞検知スイッチSW7、普通入賞口に備えられた入賞検知スイッチSW11~SW13、及び排出球検知スイッチSW21からの検知信号が入力される様になっている。主制御基板310には、前枠Dの開閉状態を示す開閉検知スイッチ50の検出信号も入力されている。
【0029】
また、主制御基板310からは、演出制御基板320、払出制御基板330、発射制御基板340、特図表示器TKZ、性能表示モニタ600、大入賞口の開閉用ソレノイドSOL7、第2始動入賞装置の普通電動役物開閉用ソレノイドSOL27へとコマンドが出力される様になっている。払出制御基板330は、主制御基板310に対して信号を入力する様にも接続されている。また、払出制御基板330と発射制御基板340との間でも互いに信号の入出力がなされている。この結果、本実施例においては、発射制御基板340から払出制御基板330を経由して主制御基板310に対して信号入力が可能となっている。
【0030】
制御系統には、この他、BCユニット335、インタフェース基板350、電源基板360、演出表示制御基板370、電源中継基板380、球貸し操作基板390、ホールコンピュータ400、カードユニットCDU等も備えられている。
【0031】
演出制御基板320は、主制御基板310からの演出指令信号に基づいて、可動体役物を駆動するモータやソレノイドを駆動制御するモータ駆動制御基板KBmt、ソレノイド駆動制御基板KBsol、スピーカーSP,SPによる音声出力を制御するスピーカ駆動制御基板KBsp、前枠Dに設置された装飾ランプを発光制御する前枠発光制御基板KBlddや盤面役物の電飾装置を発行制御する電飾基板KBldc等に対して制御信号を出力して役物発光演出、枠発光演出、音声演出、可動体演出等を実行すると共に、演出表示制御基板370へと演出表示のためのコマンドを出力し、液晶表示装置LCDによる表示演出を実行させている。
【0032】
演出制御基板320は、さらに、前枠上部の追加装飾体ONMaによる追加装飾体起立演出を実行するためのモータ駆動制御基板KBmtaに対しても制御信号を出力している。
【0033】
なお、前枠Dに設置された演出操作ボタンSの押下信号は演出制御基板320に入力され、貸し玉ボタンQ,カード取り出しボタンRの押下信号は球貸し操作基板390に入力されている。
【0034】
主制御基板310は、特
図1スイッチSW1からの検知信号の入力を契機として取得した特
図1判定用乱数を最大4個、特
図2スイッチSW2の検知信号入力を契機として取得した特
図2判定用乱数を最大4個、それぞれ保留記憶しておくため、RAM内に、特
図1保留記憶部311及び特
図2保留記憶部312を備えている。特
図1判定用乱数及び特
図2判定用乱数は、それぞれ、「当たり/はずれ判定用乱数(乱数1:SW1-1,SW2-1)」、「特図振分判定用乱数(乱数2:SW1-2,SW2-2)」、「演出実行判定用乱数(乱数3:SW1-3,SW2-3)」、及び「変動パターン振分用乱数(乱数4:SW1-4,SW2-4)」から構成される。乱数1は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてハードウェアロジックによって取得され、乱数2~4は、特図スイッチ検知信号の入力を契機としてソフトウェアロジックによって取得される。
【0035】
主制御基板310は、所定のタイミングで実行する判定処理において、乱数1が予め設定された「大当たり判定値」と一致するときに「大当たり」と判定し、一致しない場合は「はずれ」と判定する。特図振分判定用乱数(乱数2)は、特別遊技のラウンド数など、大当たり種別を振り分けるための乱数である。演出実行判定用乱数(乱数3)は、リーチ演出を行うか否かを決定するための乱数である。リーチ演出は、「当たり」の場合だけでなく、「はずれ」においても所定の割合で実行する構成となっている。変動パターン振分用乱数(乱数4)は、変動パターンを振り分けるための乱数である。なお、乱数1で「大当たり」となった場合、乱数2による大当たり種別振り分けにより、例えば、「2R」「7R」「15R」など、遊技者に対する有利さの異なる複数種類の当たり種別のいずれかに振り分けられる。
【0036】
演出制御基板320には、音声演出、表示演出、発光演出、及び可動体演出を実行するための演出データ記憶手段325が備えられている。演出データ記憶手段325には、特別図柄変動ゲーム中に実行する変動ゲーム中演出データDH、大当たり遊技中に実行する大当たり中演出データDV、デモ中に実行するデモ中演出データDM、特図変動ゲームにおいて実行される変動パターンに応じた飾り図柄変動ゲームを表示するための飾り図柄変動演出データDKZが記憶されている。
【0037】
変動ゲーム中演出データDHは、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの組み合わせとなっている。変動ゲーム中演出データDHは、主制御基板310による抽選結果(ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど)に対して、それぞれ複数種類のパターンが備えられている。これらのパターンにおいて、例えば、可動体演出を伴わない変動ゲーム中演出を行うデータは、可動体演出データがブランクデータで構成される。
【0038】
大当たり中演出データDVも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、大当たり種別に応じて複数パターンが備えられている。
【0039】
デモ中演出データDMも、変動ゲーム中演出データDHと同様に、背景表示用データ、キャラクタ表示用データ、発光演出用データ、音声演出用データ、及び可動体演出用データの一部又は複数の組み合わせ又は全部の組み合わせによって構成され、デモ1用、デモ2用など複数パターンが備えられている。
【0040】
飾り図柄変動演出データDKZは、ノーマルはずれ、ノーマル当たり、リーチはずれ、リーチ当たり、スーパーリーチはずれ、スーパーリーチ当たりなど、主制御基板310による抽選の結果に基づいて指令される変動パターンに対応したデータとして記憶されている。このため、本実施例においては、通常状態用変動パターンテーブル315に対応する飾り図柄変動時間となる通常状態用飾り図柄変動演出データDKZaと、変短状態用変動パターンテーブル316に対応する飾り図柄変動時間となる変短状態用飾り図柄変動演出データDKZbとが、演出制御基板320の演出データ記憶手段325に記憶されている。
【0041】
演出表示制御基板370は、演出制御基板320から指令される背景表示用データに従って液晶表示装置LCDに表示した背景画像に対して重ね合わせる様にして、変動パターンに対応する飾り図柄変動演出データDKZを表示する。また、この表示演出においては、キャラクタ表示データが存在する場合はキャラクタ画像を重ねて表示する演出も実行される。
【0042】
ここで、本実施例においては、変動ゲーム中演出データDHは、変動パターンに対して1対1対応となっている訳ではなく、例えば、変動パターン1に対して演出1,演出2,…などと複数の中から振り分けによって演出制御基板320側で決定する構成となっている。同じく、飾り図柄変動演出データDKZも、例えば、変動パターン1に対しては変動時間1、変動パターン1に対しては変動時間2、…、と1対1の対応であるが、各変動時間に対して複数の飾り図柄変動パターンが備えられていて、これら複数の中から振り分けによって演出制御基板320が決定する構成となっている。これら振り分け可能な演出データDHや飾り図柄変動パターンDKZは、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定している。
【0043】
[4 主制御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2、入賞検知センサSW7,SW11,SW12からの入賞検知信号が入力されると、各スイッチに対応する賞球払出個数に対応する賞球払出コマンドを払出制御基板330に対して出力する賞球払出処理を実行している。これを受けて、払出制御基板330は、遊技球の入賞口に対応して予め定められた個数の賞球の払出動作を実行する。主制御基板310は、この賞球の払い出し個数は、「通常遊技」、「時短遊技」「大当たり遊技」等の遊技状態ごとに累積値を記憶する。主制御基板310は、また、これら遊技状態ごとの排出球の個数を排出球検知スイッチSW21からの検知信号に基づいて累積値として記憶している。そして、主制御基板310は、これら賞球払出個数の累積値と排出球数の累積値に基づいて、各遊技状態におけるベース(払出数/(発射数=排出数))を算出している。これら遊技状態ごとのベースの内、「通常遊技」について算出した値は、主制御基板310から性能表示モニタ600のマイコン基板へと送信され、性能表示モニタ600に数値表示される。なお、所定の操作をすることにより、性能表示モニタ600を用いて、「時短遊技」や「大当たり遊技」におけるベースの表示をすることもできる様になっている。
【0044】
また、主制御基板310は、特図スイッチSW1,SW2のいずれかから検知信号が入力されると、特別図柄を決定するための乱数を取得し、その結果を始動保留情報としてRAMに記憶する特図入力処理を実行している。本実施例においては、始動保留情報として第1特図スイッチSW1による検知信号に基づく始動保留情報(特
図1始動保留情報)を最大4個、第2特図スイッチSW2による検知信号に基づく始動保留情報(特
図2始動保留情報)を最大4個記憶することができる構成となっている。
【0045】
主制御基板310は、こうしてRAM内に記憶された始動保留情報を読み出し、「当たり/はずれ」に応じた特別図柄変動を特図表示器TKZに実行させると共に、演出制御基板320を介して音声演出、発光演出、表示演出、可動体演出等を実行させるための特図開始処理を実行している。この特図開始処理では、始動保留情報に基づく抽選処理の結果により、「変動パターン」および「最終停止図柄」を決定し、演出制御基板320に対し、所定の制御コマンドを所定のタイミングで出力する。具体的には、主制御基板310は、変動パターンを指定すると共に図柄変動の開始を指示する変動パターン指定コマンドを出力すると共に、変動パターンで特定された演出時間の計測を開始する。これと同時に、主制御基板310は、特図変動表示を開始させるように特図表示器TKZを制御する。また、主制御基板310は、最終停止図柄となる特別図柄を指示するための特図指定コマンドを出力する。こうして、主制御基板310は、特図開始処理を終了する。その後、特図開始処理とは別の処理において、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、決定した最終停止図柄を表示させるように特図表示器TKZの表示内容を制御する。また、主制御基板310は、指定した変動パターンに定められている演出時間に基づいて、演出制御基板320に対して飾図の変動停止を指示し、図柄組み合わせを確定停止表示させるための全図柄停止コマンドを出力する。
【0046】
[5 演出御基板における遊技性に関する制御処理の概要]
演出制御基板320は、主制御基板310からの変動コマンドを受信することによって変動演出を実行する。この変動演出は、特別遊技中でなく、デモ表示状態でもないときに実行される。演出制御基板320は、変動コマンドを受信したら、今回の表示演出に用いる飾り図柄変動演出データDKZと変動ゲーム中演出データDHとを決定する。
【0047】
ここで、本実施例においては、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の飾り図柄変動演出データDKZが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDKZの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDKZを抽選によって決定する。
【0048】
また、演出データ記憶手段325には、各変動パターン(変動時間)に対して、それぞれ複数個の変動ゲーム中演出データDHが記憶されているから、主制御基板310からの入力によって変動パターンが特定されたことにより、当該変動パターンについて選択し得る複数個のDHの中から、今回の変動ゲーム中演出において使用する一つのDHを抽選によって決定する。
【0049】
こうして決定したDH,DKZに対応するデータを演出データ記憶手段325から読み出し、変動演出を開始する。変動ゲーム中演出データDHによる演出は、主制御基板310から全図柄停止コマンドを受信したときに、飾り図柄変動演出における確定図柄の停止を行って終了する。この飾り図柄変動表示における確定図柄停止のタイミングは、主制御基板310による特図表示器TKZへの特別図柄確定のタイミングと同期している。
【0050】
なお、特別遊技中であるときは、変動ゲーム中演出データDHではなく大当たり中演出データDVを読み出し、大当たり中演出を実行する。また、デモ表示タイミングであるときは、デモ中演出データDMを読み出し、デモ中演出を実行する。
【0051】
本実施例においては、これら変動ゲーム中演出、大当たり中演出、デモ中演出での発光演出として、遊技盤Cに備えた装飾ランプによる役物発光演出に加えて、前枠Dに備えた装飾ランプによる枠発光演出も実行している。演出制御基板320の演出データ記憶手段325には、変動ゲーム中演出において実行する枠発光演出のためのデータについても、変動パターンが大当たりの場合に振り分けられ易く、はずれの場合に振り分けられ難いグループと、その逆のグループといった具合に、信頼度グループを構成する様に振り分け確率を設定した複数の演出データを記憶させてある。
【0052】
[6 追加可動体に関する制御処理の概要]
次に、演出制御基板320が実行する追加可動体の演出や交換の際の制御処理について説明する。演出制御基板320は、
図7(A)に示す制御系統により、主制御基板310から特図抽選結果に基づく制御コマンドを受けて各種演出を実行すると共に、開閉検知スイッチ50からの前枠開放検知信号を主制御基板310経由で受信してスピーカ駆動制御基板KBsp、前枠発光制御基板KBldd、液晶表示装置LCDによる警報処理も実行する。また、演出制御基板320は、追加装飾体ONMaの起立演出を実行すべき特図抽選結果そして、前枠上を主制御基板310から受信したときは、追加装飾体起立演出を実行するためのモータ駆動制御基板KBmtaに対しても制御信号を出力している。加えて、上述の警報処理に関して、ホールコンピュータ400からのパーツ交換指令を主制御基板310経由で受信した場合は、警報を停止する処理も実行している。
【0053】
[6.1 追加装飾体起立演出処理]
演出制御基板320は、
図7(B)に示す様に、追加装飾体起立演出を実行すべき状態となったときは(S10:YES)、追加装飾体起立演出用のモータ駆動制御基板KBmtaに対して起立位置移動指令を出力し(S20)、追加装飾体ONMaの起立位置への移動完了を確認したら(S30:YES)、モータ駆動制御基板KBmtaに対してモータ停止指令を出力する(S40)。
【0054】
演出制御基板320は、追加装飾体起立演出を終了すべき状態となるまでは(S50:NO)、追加装飾体ONMaを起立位置に維持し続け、追加装飾体起立演出を終了すべき状態となったときは(S50:YES)、起立演出用のモータ駆動制御基板KBmtaに対して待機位置復帰動指令を出力し(S60)、追加装飾体ONMaの待機位置への復帰完了を確認したら(S70:YES)、モータ駆動制御基板KBmtaに対してモータ停止指令を出力する(S80)。
【0055】
なお、起立位置への移動完了や待機位置への復帰完了の判断は、例えば、モータ駆動制御基板KBmtaから返信されるステッピングモータのステップ数を用いたり、上部装飾体ONMu内に円筒部材61が起立位置へ回動したことや待機位置へ復帰したことを検出するフォトセンサを装備するなどによって具体化できる。
【0056】
[6.2 警報処理]
演出制御基板320は、
図7(C)に示す様に、主制御基板310を経由して開閉検知スイッチ50からの前枠開放検知信号を受信したときは(S110:YES)、スピーカ駆動制御基板KBsp、前枠発光制御基板KBldd、液晶表示装置LCDによる警報処理を開始する(S120)。演出制御基板320は、ホールコンピュータ400からのパーツ交換指令を主制御基板310経由で受信しているか否かを判定する(S130)。パーツ交換指令を受信している場合は(S130:YES)、演出制御基板320は、警報処理を終了する(S140)。一方、パーツ交換指令を受信していない場合は(S130:NO)、演出制御基板320は、前枠開放検知信号を受信しなくなるまで警報処理を続行し(S110→S120)、前枠開放検知信号を受信しなくなったら(S110:NO)、警報処理を終了する(S140)。
【0057】
[7 他の実施例]