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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125523
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   F01K 23/10 20060101AFI20220822BHJP
   F01K 27/02 20060101ALI20220822BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20220822BHJP
   F01D 9/06 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
F01K23/10 W
F01K23/10 X
F01K27/02 B
F01K9/00 F
F01D9/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023140
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】511024399
【氏名又は名称】YSEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】山内 慶次郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 和幸
(72)【発明者】
【氏名】黒川 将太
【テーマコード(参考)】
3G081
3G202
【Fターム(参考)】
3G081BA02
3G081BA11
3G081BC07
3G081BC30
3G202GA19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作動する外部装置及び各種の熱源を利用してより効率よく発電可能な発電装置を提供すること。
【解決手段】発電装置1は、ジェットエンジン2の排気熱を利用して発電を行うものであって、作動媒体が循環する作動媒体ラインを構成する配管30~40と、作動媒体ラインに設けられ、ジェットエンジンの排気部に配置されて作動媒体を気化する加熱部12と、作動媒体ラインにおける加熱部12の下流側に設けられ、気化した作動媒体によって回転する動翼タービンを有するタービンスピンドル16と、動翼タービンの回転によって発電を行う発電機18と、作動媒体ラインにおけるタービンスピンドル16の下流側に設けられ、作動媒体を液体化する凝縮領域53と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動する外部装置の排気熱を利用して発電を行う発電装置であって、
作動媒体が循環する作動媒体ラインと、
前記作動媒体ラインに設けられ、前記外部装置の排気部に配置されて前記作動媒体を気化する第1熱交換部と、
前記作動媒体ラインにおける前記第1熱交換部の下流側に設けられ、気化した前記作動媒体によって回転するタービンを有するタービン部と、
前記タービンの回転によって発電を行う発電機と、
前記作動媒体ラインにおける前記タービン部の下流側に設けられ、前記作動媒体を液体化する凝縮部と、を備えることを特徴とする発電装置。
【請求項2】
前記作動媒体ラインにおける前記凝縮部の下流側でかつ前記第1熱交換部の上流側に設けられ、液体化した前記作動媒体を加熱する第2熱交換部を更に備え、
前記第2熱交換部は、前記外部装置に備えられた回転軸に連結し、前記外部装置の作動とともに前記回転軸が回転することによって発電を行う主発電機に配置されることを特徴とする請求項1記載の発電装置。
【請求項3】
前記作動媒体ラインにおいて、前記発電機と熱交換を行い、液体化している前記作動媒体を加熱する第3熱交換部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2記載の発電装置。
【請求項4】
前記タービン部は、
気化した前記作動媒体を導入する導入部と当該導入部から導入された前記作動媒体を排気する排出部とを備え、内部に前記タービンを収納する外側ケーシングと、
前記外側ケーシングの内部に収納され、前記導入部から導入された前記作動媒体が前記タービンに向かう流路を形成するガイド部材と、
前記タービンに固定され、前記タービンの回転を前記発電機に伝達する回転シャフトと、
を更に有し、
前記導入部から導入された前記作動媒体は、前記流路を通って前記タービンを回転させて前記排出部から排気され、
前記流路は、前記タービンに向かって狭くなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の発電装置。
【請求項5】
2つの前記タービン部の前記回転シャフトを連結するカップリング部材を更に備えることを特徴とする請求項4記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源で温めることによって気化した作動流体を用いて発電を行う発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両においては、特許文献1に記載されるように、作動する外部装置の一例であるエンジンを作動させることによって発電する発電機が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-117144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、飛行機においては、作動する外部装置の一例であるジェットエンジンに発電機が取り付けられており、この発電機から供給される電力によって機内の電気系統等が動作する。ここで、大型のエンジンであれば、発電能力の高い発電機が使用可能であり、十分な電力を供給することが可能である。しかし、小型のエンジンであれば、発電能力の高い発電機を使用することが困難になる。このため、機内の電気系統に安定した電力供給を行うためにも、補助的な発電装置の出現が望まれる。
【0005】
本発明は、このような問題点に対して鑑みなされたものであり、作動する外部装置を利用して効率よく発電することが可能な発電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、次の構成を備えている。
【0007】
(1) 作動する外部装置(例えば、ジェットエンジン2)の排気熱を利用して発電を行う発電装置であって、
作動媒体が循環する作動媒体ライン(例えば、配管30~38、40)と、
前記作動媒体ラインに設けられ、前記外部装置の排気部に配置されて前記作動媒体を気化する第1熱交換部(例えば、加熱部12)と、
前記作動媒体ラインにおける前記第1熱交換部の下流側に設けられ、気化した前記作動媒体によって回転するタービン(例えば、動翼タービン108)を有するタービン部(例えば、タービンスピンドル16)と、
前記タービンの回転によって発電を行う発電機(例えば、発電機18)と、
前記作動媒体ラインにおける前記タービン部の下流側に設けられ、前記作動媒体を液体化する凝縮部(例えば、凝縮領域53)と、を備えることを特徴とする発電装置。
【0008】
(1)の発明によれば、外部装置において比較的温度が高い排気部に第1熱交換部が配置されているため、効率よく作動媒体を気化させることが可能になる。これにより、作動する外部装置の排気熱を利用して効率よく発電することができる。
【0009】
(2) (1)において、
前記作動媒体ラインにおける前記凝縮部の下流側でかつ前記第1熱交換部の上流側に設けられ、液体化した前記作動媒体を加熱する第2熱交換部(例えば、加熱部10)を更に備え、
前記第2熱交換部は、前記外部装置に備えられた回転軸に連結し、前記外部装置の作動とともに前記回転軸が回転することによって発電を行う主発電機(例えば、主発電機3)に配置されることを特徴とする発電装置。
【0010】
(2)の発明によれば、外部装置の作動によって発電を行う主発電機に第2熱交換部が配置されているため、主発電機の熱によって液体の作動媒体が加熱される一方で、主発電機が冷却される。このように、液体の作動媒体が第1熱交換部に移動する前に第2熱交換部で加熱されるため、第1熱交換部において作動媒体が気化しやすくなり、発電効率を向上させることが可能になる。
【0011】
(3) (1)又は(2)において、
前記作動媒体ラインにおいて、前記発電機と熱交換を行い、液体化している前記作動媒体を加熱する第3熱交換部(例えば、加熱部20)を更に備えることを特徴とする発電装置。
【0012】
(3)の発明によれば、作動媒体によって発電している発電機の熱によって液体の作動媒体が加熱される一方で、発電機が冷却される。このように、液体の作動媒体が第1熱交換部に移動する前に第3熱交換部で加熱されるため、第1熱交換部において作動媒体が気化しやすくなり、発電効率を向上させることが可能になる。
【0013】
(4) (1)から(3)のいずれかにおいて、
前記タービン部は、
気化した前記作動媒体を導入する導入部(例えば、導入管103)と当該導入部から導入された前記作動媒体を排気する排出部(例えば、排出管109)とを備え、内部に前記タービンを収納する外側ケーシング(例えば、外側ケーシング101)と、
前記外側ケーシングの内部に収納され、前記導入部から導入された前記作動媒体が前記タービンに向かう流路を形成するガイド部材(例えば、ガイド体106)と、
前記タービンに固定され、前記タービンの回転を前記発電機に伝達する回転シャフト(例えば、回転シャフト100)と、
を更に有し、
前記導入部から導入された前記作動媒体は、前記流路を通って前記タービンを回転させて前記排出部から排気され、
前記流路は、前記タービンに向かって狭くなることを特徴とする発電装置。
【0014】
(4)の発明によれば、作動媒体の流路が、タービンに向かって狭くなるため、作動媒体がタービンに到達する前に加速される。これにより、タービンを効率よく回転させることが可能になり、発電効率を向上させることが可能になる。
【0015】
(5) (4)において、
2つの前記タービン部の前記回転シャフトを連結するカップリング部材(例えば、カップリング部材110)を更に備えることを特徴とする発電装置。
【0016】
(5)の発明によれば、複数のタービン部によって回転シャフトに回転が伝達されるため、回転シャフトを効率よく回転させることが可能になり、発電効率を向上させることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、外部装置を利用して効率よく発電することが可能な発電装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態における発電装置の概略を示す説明図である。
図2】箱体50の内部を示す平面図である。
図3】タービンスピンドル16の前面図である。
図4図3のXX線断面図である。
図5】タービンスピンドル16の変形例1の内部構成を示す断面図である。
図6】タービンスピンドル16の変形例2の前面図である。
図7図6のYY線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の直流モータの実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明の第1実施形態における発電装置の概略を示す説明図である。
発電装置1は、作動する外部装置の一例であるジェットエンジン2の排気熱を熱源として利用して発電を行うものであり、ジェットエンジン2の排気熱と発電装置1内の作動媒体との間で、熱交換が行われる。発電装置1に用いられる作動媒体としては、代替フロンが適用可能である。なお、以下の説明では、ジェットエンジン2を作動する外部装置として用いた例を説明するが、外部装置は、これに限らず、排気熱を発生する装置であれば、例えば、一般的な発電に用いられるガスタービンや、車両のエンジン等であってもよい。
【0021】
ジェットエンジン2は、例えば、小型飛行機に適用可能なエンジンであり、圧縮空気を燃焼させることによるエネルギーによって推進力を得るものである。また、ジェットエンジン2は、圧縮空気を燃焼させることによるエネルギーによって高速回転するタービンと、このタービンに連結された回転軸とを備えており、この回転軸と同軸に主発電機3のロータが連結されている。これにより、ジェットエンジン2が作動することによってタービンが回転し、この回転が回転軸を介して主発電機3のロータに伝達され、ロータが回転することにより、主発電機3が発電を行う。
【0022】
[発電装置1の構成]
発電装置1は、加熱部10と、加熱部12と、タンク14と、タービンスピンドル16と、発電機18と、加熱部20と、貯留タンク22と、配管30~40と、箱体50と、継手60~68と、逆止弁70と、電磁弁71と、圧力計72と、電磁弁73と、圧力調整弁74と、圧力計75と、逆止弁76と、電磁弁77と、電磁弁78と、逆止弁79と、電磁弁80と、圧力計81と、逆止弁82~84と、を備えている。
【0023】
図2は箱体50の内部を示す平面図である。箱体50は、仕切り壁54によって、内部が発電領域51と、タービン領域52と、凝縮領域53とに仕切られている。発電領域51にはタンク14、発電機18及び加熱部20(図1参照)が収納され、タービン領域52にはタービンスピンドル16が収納され、凝縮領域53には貯留タンク22を収納されている。なお、図2においては、図1に示す、加熱部20、配管30~39、継手61、63、68、逆止弁70と、電磁弁71、圧力計72、電磁弁73、圧力調整弁74、圧力計75、逆止弁76、電磁弁77、電磁弁78、逆止弁79、電磁弁80、圧力計81及び逆止弁82~84の図示を省略している。
【0024】
箱体50の外装には、図1に示すように、発電領域51に連通する5つの配管の継手60~64が設けられている。箱体50の内部の仕切り壁54には、発電領域51とタービン領域52とを連通する配管の継手65と、タービン領域52と凝縮領域53とを連通する配管の継手66と、凝縮領域53と発電領域51とを連通する配管の継手67、68と、が設けられている。
【0025】
加熱部10は、主発電機3の熱と作動媒体の間で熱交換を行う。本実施形態においては、主発電機3が備えている主発電機3を冷却するドレン水が通過する流路の入口と継手60とを配管で接続し、流路の出口と継手61とを配管で接続し、ドレン水が通過する流路に作動媒体を通すことにより、主発電機3の冷却と作動媒体の加熱とを行っている。
【0026】
加熱部12は、ジェットエンジン2の排気部に配置され、排気によって熱せられた排気部の熱と作動媒体と、の間で熱交換を行う。加熱部12は、配管をコイル状に構成したものであり、ジェットエンジン2の排気部の外周を周回するように配置され、配管の入口は継手62に接続され、配管の出口は継手63に接続される。
【0027】
タンク14は、加熱部12によって気化された作動媒体を貯留するものであり、タンク14の入口は、配管30を介して継手63に接続され、タンク14の出口は、配管31を介して継手65に接続される。
【0028】
配管30には、継手63側からタンク14に向かって、逆止弁70、電磁弁71、圧力計72の順に配置されている。配管31には、電磁弁73が配置されている。
【0029】
タービンスピンドル16は、タンク14から気化された作動媒体を導入することによってタービンを回転させるものである。タービンの回転は回転シャフト100(図4参照)を介して発電機18のロータに伝達される。タービンスピンドル16は配管32を介して継手65に接続され、配管32から作動媒体が導入される。配管32には、継手65からタービンスピンドル16に向かって、圧力調整弁74、圧力計75の順に配置されている。
【0030】
また、タービンスピンドル16は配管33を介して継手66に接続され、タービンスピンドル16に導入された気体の作動媒体は、タービンの回転に使用されたのちに、配管33から継手66を介して凝縮領域53に送られる。
【0031】
凝縮領域53は、タービンスピンドル16から排出された気体の作動媒体を自然冷却して凝縮することによって液体化する領域である。凝縮領域53において、配管34の上端部が継手67に接続され、下端部が液体化された作動媒体が貯まる領域に配置されている。配管34からは配管35が分岐しており、配管35の端部は貯留タンク22の内部の上側に配置される。配管34における端部から配管34と配管35との分岐部位までの間に逆止弁84が配置される。継手68には配管36が接続されており、配管36の端部は貯留タンク22の内部の下側に配置される。
【0032】
発電領域51において、継手67と継手61とが配管37によって接続されており、配管37には、継手67から継手61に向かって、逆止弁76、電磁弁77が順に配置されている。配管37における継手61と電磁弁77との間の部位から配管38が分岐しており、配管38の端部は、継手62に接続される。配管38からは配管39が分岐しており、配管39の端部は継手64に接続される。配管38には、配管37との分岐部位から配管39との分岐部位との間に、配管39との分岐部位に向かって逆止弁79、電磁弁80が順に配置されている。配管39には、電磁弁78が配置されている。また、継手68と継手60とが配管40によって接続されており、配管40には、継手68から継手60に向かって、圧力計81、逆止弁82、加熱部20、逆止弁83が順に配置されている。
【0033】
加熱部20は、発電機18に配置され、発電機18が生じた熱と作動媒体との間で熱交換を行う。加熱部20は、例えば、配管をコイル状に構成したものであり、発電機18の熱によって加熱された液体の作動媒体は、配管40を介して加熱部10に送られる。
【0034】
このように本実施形態によれば、配管30~38、40によって作用媒体が循環する作用媒体ラインが形成され、この作用媒体ラインに、加熱部10、加熱部12、タンク14、タービンスピンドル16、加熱部20と、貯留タンク22が配置される。作用媒体ラインに不具合が発生した場合には、電磁弁78を開放することにより、作用媒体ラインの内部の圧力を下げるとともに、気体の作用媒体を外部に放出することが可能になる。
【0035】
[発電装置1の動作]
次に、発電装置1の動作について説明する。
まず、作用媒体は、加熱部10を通過することによって加熱される。本実施形態においては、作用媒体として代替フロンが使用され、主発電機3の外装の温度が100~150℃程度であることから、作用媒体は気化される。気化した作用媒体は配管38を通って加熱部12へと流れる。本実施形態においては、ジェットエンジン2の排気部外周は600~800℃程度なるため、加熱部12において気化した作用媒体は加熱され、膨張し圧力の上がった作用媒体が配管30を通ってタンク14に補充される。そして、タンク14に補充された作用媒体が、配管32を通って、圧力調整弁74によって設定した圧力でタービンスピンドル16に、圧縮された気体の状態で供給される。この作用媒体によってタービンスピンドル16のタービンが回転し、その回転が発電機18のロータに伝達されてロータが回転することにより、発電機18が発電する。
【0036】
タービンを回転させた作用媒体は気体の状態で凝縮領域53に流れる。凝縮領域53で自然冷却された気体の作用媒体は液体化して凝縮領域53に貯留される。凝縮領域53に貯留された液体の作用媒体は、凝縮領域53内の圧力により配管35によって吸い上げられ、貯留タンク22に貯まる。ここで、逆止弁76、電磁弁77は開放されており、加熱部10で気化されずに配管37から供給される液体の作用媒体による圧力によって、貯留タンク22内の液体の作用媒体が押し出され、配管36を介して加熱部20に液体の作用媒体が流れ込んで加熱される。加熱部20によって加熱された液体の作用媒体は、配管40を通って加熱部10に向かって流れる。そして、加熱部10で気化された作用媒体は配管38を通って加熱部12に流れ、加熱部10で気化されなかった作用媒体は、液体の状態で配管37及び配管35を通って、貯留タンク22へ供給される。
【0037】
[タービンスピンドル16の構成]
次に、タービンスピンドル16の構成について説明する。
タービンスピンドル16は、図2に示すように、タービンスピンドル16aと、タービンスピンドル16bと、を備えている。タービンスピンドル16aの回転シャフト100が発電機18に連結されており、タービンスピンドル16aの後部にタービンスピンドル16bが連結されている。なお、説明の便宜上、タービンスピンドル16において、発電機18側を前方、その反対側を後方と称することにする。
【0038】
図3は、タービンスピンドル16の前面図、図4は、図3のXX線断面図である。タービンスピンドル16aは、回転シャフト100と、外側ケーシング101と、ベアリング102と、導入管103と、コンプレッサ104と、整流体105と、ガイド体106と、静翼タービン107と、動翼タービン108と、排出管109と、を備えている。
【0039】
外側ケーシング101は、中央部が円筒状であり、中央部の両側が漏斗状に形成され、両端部が閉鎖された回転体形状の中空部材である。回転シャフト100は、外側ケーシング101の内部に配置される。この際、外側ケーシング101の中心軸と回転シャフト100の中心軸とが一致する。外側ケーシング101の両端部の中心には孔部が形成されており、この孔部に、回転シャフト100の端部を回転自在に支持するベアリング102が設置される。また、外側ケーシング101は、後部に円筒状に延在した延在部101aを備えており、この延在部101aは、外側ケーシング101の後方側の端部に着脱自在に形成されている。
【0040】
更に、外側ケーシング101の内部には、前方側から後方側に向かって、中心軸上に、コンプレッサ104、整流体105、ガイド体106、静翼タービン107、動翼タービン108が順に配置される。これらの部材の中心には回転シャフト100が通されており、コンプレッサ104及び動翼タービン108は回転シャフト100に固定されており、整流体105、ガイド体106及び静翼タービン107は回転シャフト100に固定されていない。
【0041】
導入管103は、外側ケーシング101の外側でかつ前方側の端部に4つ設けられている。導入管103は、圧力計75から延びる配管32(図1参照)に接続され、気化された作用媒体を外側ケーシング101内に導入する際の入口となる。
【0042】
コンプレッサ104は、前方から斜め後方に向かって延びる羽根104aを有する回転体である。導入管103から導入された気化された作用媒体は、コンプレッサ104の回転によって加速しながら後方に移送される。
【0043】
整流体105は、コンプレッサ104を通過した作用媒体が安定して後方に流れるように、作用媒体が流れる方向を整えるものである。
ガイド体106は、外側ケーシング101の内側の壁面との間に、整流体105を通過した作用媒体が流れる流路Aを形成するものである。このガイド体106は、漏斗形状の部材であり、外側ケーシング101における後側の漏斗形状の部分の内部に配置される。このため、外側ケーシング101とガイド体106とによって形成される流路Aを流れる作用媒体は、前側から後側に向かって中心軸側に集中していく。更に、この流路Aの幅は前側から後側に向かって徐々に狭くなっている。このため、ガイド体106を通過した作用媒体は加速されて、静翼タービン107に送られる。
【0044】
静翼タービン107及び動翼タービン108は、加速された作用媒体が当たる羽根を備えており、作用媒体は静翼タービン107よって整流され、動翼タービン108に送られる。動翼タービン108は、作用媒体が羽根に当たることによって回転する。
【0045】
排出管109は、外側ケーシング101の外側でかつ後側の端部に4つ設けられている。排出管109は、継手66に接続されている配管33(図1参照)に接続され、外側ケーシング101内の気化された作用媒体を排出する際の出口となる。
【0046】
タービンスピンドル16bは、タービンスピンドル16aと同じ構成であるため、同一の部材に同一の符号を付すことにより説明を省略する。図4に示すように、タービンスピンドル16aにおける回転シャフト100の後側端部に筒状のカップリング部材110を固定し、タービンスピンドル16bにおける回転シャフト100の前側端部をカップリング部材110に挿入しながら、タービンスピンドル16aの外側ケーシング101の後部とタービンスピンドル16bの外側ケーシング101の前部とを連結する。そして、タービンスピンドル16bにおける回転シャフト100の前側端部をカップリング部材110に固定する。回転シャフト100の両端面は、軸方向視した場合に円欠形状であり、回転シャフト100の両端部の一部に平面部が形成されている。また、カップリング部材110の挿入口も軸方向視した場合に円欠形状である。このため、カップリング部材110は、回転シャフト100の端部に対して軸方向に移動可能であるが、回転シャフト100が回転した場合にはカップリング部材110も回転シャフト100と一体となって回転する。
【0047】
タービンスピンドル16bにおいても、タービンスピンドル16aと同様に、導入管103に配管32(図1参照)が接続され、排出管109に配管33(図1参照)が接続される。
【0048】
次に、タービンスピンドル16の動作について説明する。
図4において外側ケーシング101内に付した矢印は作用媒体の流れを示すものである。タンク14において膨張し圧力の上がった気体の作用媒体は、配管32(図1参照)が接続された導入管103を介して外側ケーシング101の内部に導入される。導入された作用媒体は、更にコンプレッサ104によって圧縮され、外側ケーシング101とガイド体106とによって形成される流路Aを通ることによって加速され、静翼タービン107によって流れを整えられて動翼タービン108に送られる。そして、気体の作用媒体によって動翼タービン108の羽根に圧力が加わることにより、動翼タービン108が回転する。動翼タービン108を回転させた作用媒体は、排出管109から外側ケーシング101の外部に排出され、配管33(図1参照)を介して凝縮領域53に送られる。
【0049】
これにより、発電機18のロータに連結された回転シャフト100に対してタービンスピンドル16a及びタービンスピンドル16bから動力が伝達され、発電機18のロータが回転することにより、発電が行われる。
【0050】
[作用効果]
このように構成された本実施形態によれば、ジェットエンジン2において比較的温度が高い排気部に加熱部12が配置されているため、効率よく作動媒体を加熱、気化させることが可能になる。これにより、ジェットエンジン2の排気熱を利用した効率のよい発電を行うことが可能になる。
【0051】
また本実施形態によれば、ジェットエンジン2の作動によって発電を行う主発電機3に加熱部10が配置されているため、主発電機3の熱によって液体の作動媒体が加熱される一方で、主発電機3が冷却される。このように、液体の作動媒体が加熱部12に移動する前に加熱部10で加熱されるため、加熱部12において作動媒体が気化しやすくなり、ジェットエンジン2の排熱に加えて主発電機3の排気熱を利用した効率のよい発電を行うことが可能になる。
【0052】
また本実施形態によれば、作動媒体によって発電している発電機18の熱によって液体の作動媒体が加熱される一方で、発電機18が冷却される。このように、凝縮領域53によって液化された作動媒体が加熱部12に移動する前に発電機18で加熱されるため、加熱部12において作動媒体が気化しやすくなり、発電効率を向上させることが可能になる。
【0053】
また本実施形態によれば、作動媒体の流路が、静翼タービン107及び動翼タービン108に向かって狭くなるため、作動媒体がタービンに到達する前に加速される。これにより、動翼タービン108を効率よく回転させることが可能になり、発電効率を向上させることが可能になる。
【0054】
特に、本実施形態によれば、小型飛行機に搭載可能なジェットエンジン2の排熱を利用して効率よく発電可能であるため、小型飛行機内の電気系統に対して安定して電気を供給することが可能になり、更には、小型飛行機に搭載可能な電気系統を増やすことも可能になる。
【0055】
[タービンスピンドル16の変形例1]
上述したタービンスピンドル16は、同じ構成のタービンスピンドル16aとタービンスピンドル16bとを連結したものであるが、変形例1のタービンスピンドル16は、タービンスピンドル16aに対して、タービンスピンドル16aとは構成が異なるタービンスピンドル16cを連結したものである。
タービンスピンドル16cは、タービンスピンドル16aにおけるコンプレッサ104に対応する部材を有していない点でタービンスピンドル16aと構成を異にしている。
【0056】
図5は、タービンスピンドル16の変形例1の内部構成を示す断面図である。タービンスピンドル16aは、図3図4を用いて説明した通りであるため、タービンスピンドル16cについて説明する。
【0057】
タービンスピンドル16cは、回転シャフト200と、外側ケーシング201と、ベアリング202と、導入管203と、ガイド体206と、静翼タービン207と、動翼タービン208と、排出管209と、を備えている。
【0058】
外側ケーシング201は、円柱形状の中空部材である。回転シャフト200は、外側ケーシング201の内部に配置される。この際、外側ケーシング201の中心軸と回転シャフト200の中心軸とが一致する。外側ケーシング201の両端部の中心には孔部が形成されており、この孔部に、回転シャフト200の端部を回転自在に支持するベアリング202が設置される。また、外側ケーシング201は、後部に円筒状に延在した延在部201aを備えている。この延在部201aは延在部101aと同形であり、外側ケーシング101及び外側ケーシング201のいずれの後方側の端部に着脱自在に形成されている。
【0059】
更に、外側ケーシング201の内部には、前方側から後方側に向かって、中心軸上に、ガイド体206、静翼タービン207、動翼タービン208が配置される。これらの部材の中心に回転シャフト200が通されており、動翼タービン108は回転シャフト200に固定されており、ガイド体206及び静翼タービン207に固定されていない。
【0060】
導入管203は、外側ケーシング201の外側でかつ前方側の端部に4つ設けられている。導入管203は、圧力計75から延びる配管32(図1参照)に接続され、気化された作用媒体を外側ケーシング201に導入する際の入口となる。
【0061】
ガイド体206は、外側ケーシング201の内側の壁面との間に、作用媒体が流れる流路を形成するものである。このガイド体206は、漏斗形状の部材であり、後方側から前方側に向かって登り傾斜するように配置されている。このため、外側ケーシング201とガイド体206とによって形成される流路Bの幅は前方側から後方側に向かって徐々に狭くなっている。このため、ガイド体206を通過した作用媒体は加速されて、静翼タービン207に送られる。
【0062】
静翼タービン207及び動翼タービン208は、加速された作用媒体が当たる羽根を備えており、作用媒体は静翼タービン207よって整流され、動翼タービン208に送られる。動翼タービン208は、作用媒体が羽根に当たることによって回転する。
【0063】
排出管209は、外側ケーシング201の外側でかつ後方側の端部に4つ設けられている。排出管209は、継手66に接続されている配管33(図1参照)に接続され、外側ケーシング201内の気化された作用媒体を排出する際の出口となる。
【0064】
そして、図5に示すように、タービンスピンドル16aにおける回転シャフト100の後側端部に筒状のカップリング部材110を固定し、タービンスピンドル16cにおける回転シャフト200の前側端部をカップリング部材110に挿入しながら、タービンスピンドル16aの外側ケーシング101の後部とタービンスピンドル16cの外側ケーシング201の前部とを連結する。そして、タービンスピンドル16cにおける回転シャフト200の前側端部をカップリング部材110に固定する。なお、回転シャフト200の両端部は、回転シャフト100の両端部と同形である。
【0065】
タービンスピンドル16cにおいても、導入管203に配管32(図1参照)が接続され、排出管209に配管33(図1参照)が接続される。
【0066】
このように構成された変形例1によれば、図4に示すタービンスピンドル16bに用いているコンプレッサ104を削減しているため、その分、構成の簡素化及び低コストを図ることが可能になる。
【0067】
[タービンスピンドル16の変形例2]
タービンスピンドル16の変形例2は、図5に示すタービンスピンドル16cを2つ連結したものである。
【0068】
図6は、タービンスピンドル16の変形例2の前面図である。図7は、図6のYY線断面図である。タービンスピンドル16cは、図4を用いて説明した通りであるため、説明は省略する。
【0069】
タービンスピンドル16の変形例2は、一方のタービンスピンドル16cにおける回転シャフト200の後方側端部に筒状のカップリング部材110を固定し、他方のタービンスピンドル16cにおける回転シャフト200の前方側端部をカップリング部材110に挿入することで、一方のタービンスピンドル16aの外側ケーシング201の後方部と他方のタービンスピンドル16cの外側ケーシング201の前方部とを連結する。そして、他方のタービンスピンドル16cにおける回転シャフト200の前方側端部をカップリング部材110に固定する。これにより、タービンスピンドル16の変形例2が構成される。そして、一方のタービンスピンドル16cの回転シャフト200が発電機18に連結される。
【0070】
このように構成された変形例2によれば、図4に示すタービンスピンドル16a、16bに用いているコンプレッサ104を削減しているため、その分、構成の簡素化及び低コストを図ることが可能になる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、上述した実施形態によれば、作用媒体として代替フロンを使用しているが、それに限るものではなく、例えば、水を用いてもよい。また、上述した実施形態によれば、主発電機3においてドレン水が流れる流路に作用媒体を通しているが、主発電機3の外装において高温の部位に加熱部10を構成する配管を設置してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 発電装置
2 ジェットエンジン
3 主発電機
10 蒸発部
12 加熱部
14 タンク
16、16a、16b、16c タービンスピンドル
18 発電機
20 加熱部
22 貯留タンク
30~40 配管
50 箱体
51 発電領域
52 タービン領域
53 凝縮領域
54 仕切り壁
60~68 継手
70、79、82、83、84 逆止弁
71、73、77、80、 電磁弁
72、75、81 圧力計
74 圧力調整弁
76 逆止弁
78 開閉弁
100、200 回転シャフト
101、201 外側ケーシング
102、202 ベアリング
103、203 導入管
104 コンプレッサ
105 整流体
106、206 ガイド体
107、207 静翼タービン
108、208 動翼タービン
109、209 排出管
110 カップリング部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7