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特開2022-125528経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置
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  • 特開-経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置 図1
  • 特開-経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125528
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/00 20060101AFI20220822BHJP
   A61K 9/70 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
A61F13/00 T
A61K9/70 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023155
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137904
【氏名又は名称】株式会社ミューチュアル
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】大上 勝弘
【テーマコード(参考)】
4C076
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076GG01
(57)【要約】
【課題】使用する薬剤を切り替える際のコンタミネーションの防止が容易で、生産効率よく、少量多品種の経皮吸収型製剤を製造することができる経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置を提供すること。
【解決手段】被塗布体Wを載置する塗布テーブル1と、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2と、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3と、塗布テーブル1と液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2及び/又は粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3とを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構4と、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3及び駆動機構4を駆動制御するコントローラ5、6とを備え、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2に、液体吐出ヘッド2の少なくとも接液部がディスポーザブル仕様に構成されてなる液体吐出ヘッド2を用いる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布体を載置する塗布テーブルと、
液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドと、
塗布テーブル及び液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構と、
液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド及び駆動機構を駆動制御するコントローラと
を備えてなる経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置であって、
前記液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドが、液体吐出ヘッドの少なくとも接液部がディスポーザブル仕様に構成されてなる
ことを特徴とする経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置。
【請求項2】
前記液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドから吐出される液体の塗布量を検出する検出装置を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置。
【請求項3】
粘着剤塗布用の液体吐出ヘッドと、
塗布テーブル及び粘着剤塗布用の液体吐出ヘッドを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構と、
粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド及び駆動機構を駆動制御するコントローラと
を備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、広く用いられるようになってきた、経皮吸収型製剤(プラスタ剤、テープ剤)は、支持体と、有効成分を含有又は担持する粘着剤層と、ライナとを順に積層したものからなるものが一般的である。
そして、この経皮吸収型製剤は、有効成分を粘着剤中に混合して支持体に塗布したり、支持体又はライナ上に粘着基剤層を形成し、粘着基剤層に有効成分を含有又は担持させることにより製造するようにしている(例えば、特許文献1~2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-295624号公報
【特許文献2】特許第4913738号公報
【特許文献3】国際公開第2020/114953号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の経皮吸収型製剤の製造装置は、多量の経皮吸収型製剤を連続的に製造するように設計されているため、少量多品種の経皮吸収型製剤をバッチ的に製造するには適しておらず、特に、使用する薬剤を切り替える際のコンタミネーションを防止するために手数を要し、生産効率が低下するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記従来の経皮吸収型製剤の製造装置の有する問題点に鑑み、使用する薬剤を切り替える際のコンタミネーションの防止が容易で、生産効率よく、少量多品種の経皮吸収型製剤を製造することができる経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置は、
被塗布体を載置する塗布テーブルと、
液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドと、
塗布テーブル及び液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構と、
液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド及び駆動機構を駆動制御するコントローラと
を備えてなる経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置であって、
前記液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドが、液体吐出ヘッドの少なくとも接液部がディスポーザブル仕様に構成されてなる
ことを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドから吐出される液体の塗布量を検出する検出装置を備えてなるようにすることができる。
【0008】
また、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッドと、
塗布テーブル及び粘着剤塗布用の液体吐出ヘッドを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構と、
粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド及び駆動機構を駆動制御するコントローラと
を備えてなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置によれば、液体吐出ヘッドの少なくとも接液部がディスポーザブル仕様に構成されてなる液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドを備えることにより、使用する薬剤を切り替える際のコンタミネーションの防止が容易で、生産効率よく、少量多品種の経皮吸収型製剤を製造することができる。
【0010】
また、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッドから吐出される液体の塗布量を検出する検出装置を備えることにより、液体の塗布量、すなわち、薬剤の塗布量を正確に把握することができる。
【0011】
また、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッドを備えることにより、粘着剤の塗布を同じ工程で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置の一実施例を示す説明図である。
図2】同経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置を使用して液状薬剤を塗布した一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に、本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置の一実施例を示す。
この経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置は、被塗布体Wを載置する塗布テーブル1と、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2と、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3と、塗布テーブル1と液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2及び/又は粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3とを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構4と、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3及び駆動機構4を駆動制御するコントローラ5、6と、これらを制御する制御用PC7とを備えるようにしている。
【0015】
塗布テーブル1は、被塗布体W(経皮吸収型製剤を構成する、支持体又はライナ(表面に粘着剤層を形成した支持体又はライナを含む。)。以下、同様。)を載置する独立した構造のものとしているが、被塗布体Wを載置できる構造のものであれば、その形態は特に限定されず、例えば、被塗布体Wを載置した状態で移動するコンベア構造のものを採用することもできる。
【0016】
液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2は、塗布テーブル1上に載置された被塗布体Wの所定位置に、液状薬剤を、非接触で、噴霧、塗布するためのもので、以下の機能を備えるようにしている。
・液体吐出ヘッドの少なくとも液状薬剤が接する接液部がディスポーザブル仕様に構成されていること(洗浄バリデーションが不要なこと)
・粘度範囲が、0.5~400mPa・sの液状薬剤に対応できること
・吐出液滴量が1~100nl/滴オーダーで制御可能であること
・最大100μm程度の粒子を吐出できること
このような機能を備えた液体吐出ヘッド2としては、例えば、接液部となるパイプ部のみをユーザが交換可能に構成し、パイプ部が外部から変形させて圧力波を発生させるピエ
ゾ素子を含むヘッド本体を交換する必要のないインクジェットヘッド(商品名「PipeJet(登録商標)ヘッド」、マイクロジェット社製)(具体的な機構については、特許文献3参照。)を用いることができる。
【0017】
粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3は、塗布テーブル1上に載置された被塗布体Wの所定位置に、粘着剤を、非接触で、噴霧、塗布するためのもので、以下の機能を備えるようにしている。
・液体吐出ヘッドの少なくとも粘着剤が接する接液部が着脱でき、洗浄性・メンテナンス性がよいこと
・粘度範囲が、1~2,000万mP・sの粘着剤に対応できること
・吐出液滴量が最小0.5nl/滴の吐出が可能であること
・タペット位置校正機構を搭載し、部品摩耗による塗布量変化を低減できること
このような機能を備えた液体吐出ヘッド3としては、例えば、接液部をユーザが交換可能に構成し、パイプ部が外部から変形させて圧力波を発生させるピエゾ素子を含むヘッド本体を交換する必要のないディスペンサヘッド(商品名「ピエゾジェット(X-JET)ヘッド」、SSI Japan社製)を用いることができる。
ここで、液体吐出ヘッド3は、運転時の温度上昇を抑制するための空冷機構(図示省略)を搭載するとともに、この空冷機構に圧力空気を供給するコンプレッサ等の圧力空気発生源31及び空気調整用レギュレータ32を備えるようにしている。
【0018】
塗布テーブル1と液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2及び/又は粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3とを平面内で相対的に可動に構成する駆動機構4は、本実施例においては、液体吐出ヘッド2及び粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3を固定設置し、塗布テーブル1を駆動機構4のXY軸ステージ41及びZθ軸ステージ42を介して、X軸及びY軸方向に平面内で移動可能及びZ軸周りに回転可能にされている。
これにより、コントローラ5、6によって、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2、粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3及び駆動機構4を駆動制御することにより、例えば、図2に示すように、塗布テーブル1上に載置された被塗布体Wの所定位置に、液状薬剤及び/又は粘着剤を、非接触で、噴霧、塗布することができる。
【0019】
なお、塗布テーブル1に代えて、例えば、被塗布体Wを載置した状態で移動するコンベア構造のものを採用した場合等には、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2及び/又は粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3を可動に構成するようにしたり、さらには、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2及び/又は粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3を複数台設置するようにしたりすることもできる。
また、被塗布体Wのアライメント(載置及び移動)を自動で行う機器を備えることもできる。
【0020】
液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2や粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3から被塗布体Wに対して噴霧、塗布される液状薬剤や粘着剤の状態は、センサ等の各種検出装置8を用いて監視、制御できるようにする。
検出装置8の一例として、具体的には、塗布テーブル1上を鉛直方向や斜め方向から撮影するテーブル観察カメラ81及び塗布テーブル1上を照射する光源82を備えるようにしている。
このテーブル観察カメラ81によって撮影された画像データを用いて、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2や粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3から被塗布体Wに対して噴霧、塗布される液状薬剤や粘着剤の塗布量を検出したり、塗布テーブル1上に載置した被塗布体Wの載置位置や載置状態に応じて、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2や粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3から液状薬剤や粘着剤を噴霧、塗布することができるようにしている。
ここで、液状薬剤や粘着剤の塗布量は、噴霧の都度(吐出毎)に、テーブル観察カメラ
81によって撮影し、撮影された画像データを、例えば、制御用PC7に取り込み、吐出された液滴の大きさや形状から体積計算を行うことで、塗布量を演算するようにしている。
これにより、液体の塗布量、すなわち、液状薬剤や粘着剤の塗布量をリアルタイムで正確に把握したり、液状薬剤や粘着剤を正確に噴霧、塗布することができる。
【0021】
この経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置によれば、液状薬剤塗布用の液体吐出ヘッド2や粘着剤塗布用の液体吐出ヘッド3の少なくとも接液部がディスポーザブル仕様に構成されてなることにより、使用する薬剤や粘着剤を切り替える際のコンタミネーションの防止が容易で、液状薬剤及び粘着剤の塗布を同じ工程で実施することができることと相俟って、生産効率よく、少量多品種の経皮吸収型製剤を製造することができる。
【0022】
以上、本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、各実施例に記載した構成を適宜組み合わせる等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の経皮吸収型製剤製造用の液状薬剤の塗布装置は、使用する薬剤を切り替える際のコンタミネーションの防止が容易で、生産効率よく、少量多品種の経皮吸収型製剤を製造することができるという特性を有していることから、各種の経皮吸収型製剤を製造するための用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 塗布テーブル
2 液体吐出ヘッド(液状薬剤塗布用)
3 液体吐出ヘッド(粘着剤塗布用)
31 圧力空気発生源
32 空気調整用レギュレータ
4 駆動機構
5 コントローラ(液体吐出ヘッド用)
6 コントローラ(塗布テーブル用)
7 制御用PC
8 検出装置
81 テーブル観察カメラ
82 光源
W 被塗布体
図1
図2