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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125564
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20220822BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220822BHJP
【FI】
B66F9/24 L
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023220
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】服部 晋悟
【テーマコード(参考)】
3F333
5H301
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333DB10
3F333FE05
3F333FE10
5H301AA01
5H301AA10
5H301BB07
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301GG08
5H301LL06
(57)【要約】
【課題】産業車両が対象物に対して接近する際に、対象物を障害物として誤検知することを防止できる障害物検知装置を提供する。
【解決手段】障害物検知装置10は、パレット3の位置及び姿勢を検出する位置姿勢推定部11と、位置姿勢推定部11により検出されたパレット3の位置及び姿勢に基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアBを設定する検知除去エリア設定部12と、検知除去エリア設定部12により設定された障害物検知除去エリアBに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアAを決定する検知エリア決定部13と、検知エリア決定部13により決定された障害物検知エリアAにおいて障害物を検知する障害物認識部14とを備え、検知除去エリア設定部12は、パレット3を含む領域を障害物検知除去エリアBとして設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両が対象物に対して接近する際に前記産業車両の周囲に存在する障害物を検知する障害物検知装置において、
前記対象物の位置及び姿勢を検出する位置姿勢検出部と、
前記位置姿勢検出部により検出された前記対象物の位置及び姿勢に基づいて、前記障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する検知除去エリア設定部と、
前記検知除去エリア設定部により設定された前記障害物検知除去エリアに基づいて、前記障害物として検知することを許可する障害物検知エリアを決定する検知エリア決定部と、
前記検知エリア決定部により決定された前記障害物検知エリアにおいて前記障害物を検知する障害物検知部とを備え、
前記検知除去エリア設定部は、前記対象物を含む領域を前記障害物検知除去エリアとして設定する障害物検知装置。
【請求項2】
前記検知除去エリア設定部は、前記対象物の前端面よりも前記産業車両側を含む領域を前記障害物検知除去エリアの一部として設定する請求項1記載の障害物検知装置。
【請求項3】
前記検知エリア決定部は、前記障害物検知エリアが前記障害物検知除去エリアと重なるときは、前記障害物検知エリアを前記障害物検知除去エリアと重ならないように変更する請求項1または2記載の障害物検知装置。
【請求項4】
前記検知エリア決定部は、前記障害物検知エリアが前記障害物検知除去エリアと重なるときは、前記障害物検知エリアにおける前記障害物検知除去エリアと重なり合う領域を削除する請求項3記載の障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、環境マップを記憶する環境マップ記憶部と、環境マップに示された走行の妨げとなる障害物の中から時間の経過に伴って位置または有無が変化し得る一時障害物を抽出する一時障害物抽出部と、一時障害物に関するデータに基づいて、環境マップ記憶部に記憶された環境マップを更新する環境マップ更新部とを備えた無人作業システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-140594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、フォークリフト等の産業車両では、荷物を取ったり、荷物を置く際に、地図上に存在しないパレットまたはトラック等の対象物に近づくことがある。この場合には、パレットまたはトラック等の対象物を障害物として検知すると、不都合となってしまう。
【0005】
本発明の目的は、産業車両が対象物に対して接近する際に、対象物を障害物として誤検知することを防止できる障害物検知装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、産業車両が対象物に対して接近する際に産業車両の周囲に存在する障害物を検知する障害物検知装置において、対象物の位置及び姿勢を検出する位置姿勢検出部と、位置姿勢検出部により検出された対象物の位置及び姿勢に基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する検知除去エリア設定部と、検知除去エリア設定部により設定された障害物検知除去エリアに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアを決定する検知エリア決定部と、検知エリア決定部により決定された障害物検知エリアにおいて障害物を検知する障害物検知部とを備え、検知除去エリア設定部は、対象物を含む領域を障害物検知除去エリアとして設定する。
【0007】
このような障害物検知装置においては、産業車両が対象物に対して接近する際に、まず対象物の位置及び姿勢が検出される。そして、対象物の位置及び姿勢に基づいて、産業車両の周囲に存在する障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアが設定される。そして、障害物検知除去エリアに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアが決定され、障害物検知エリアにおいて障害物の検知が行われる。ここで、対象物を含む領域が障害物検知除去エリアとして設定される。これにより、対象物が障害物として誤検知されることが防止される。
【0008】
検知除去エリア設定部は、対象物の前端面よりも産業車両側を含む領域を障害物検知除去エリアの一部として設定してもよい。このような構成では、対象物の位置及び姿勢の検出誤差等があっても、適切な障害物検知除去エリアが得られる。従って、対象物が障害物として誤検知されることが更に防止される。
【0009】
検知エリア決定部は、障害物検知エリアが障害物検知除去エリアと重なるときは、障害物検知エリアを障害物検知除去エリアと重ならないように変更してもよい。このような構成では、産業車両が対象物に十分に近づいても、障害物検知エリアが対象物を含む障害物検知除去エリアと重ならない。従って、対象物が障害物として誤検知されることが一層防止される。
【0010】
検知エリア決定部は、障害物検知エリアが障害物検知除去エリアと重なるときは、障害物検知エリアにおける障害物検知除去エリアと重なり合う領域を削除してもよい。このような構成では、産業車両が対象物に十分に近づいても、産業車両から対象物までの距離に応じた適切な障害物検知エリアが得られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、産業車両が対象物に対して接近する際に、対象物を障害物として誤検知することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を具備した走行制御装置を示す概略構成図である。
図2】フォークリフトがパレットに対して接近する様子を示す概念図である。
図3図1に示されたコントローラにより実行される障害物検知処理を含む走行制御処理の手順を示すフローチャートである。
図4】フォークリフトがパレットに対して接近する際に設定される障害物検知除去エリア及び障害物検知エリアを示す概念図である。
図5】フォークリフトがトラックのコンテナに対して接近する際に設定される障害物検知除去エリア及び障害物検知エリアを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る障害物検知装置を具備した走行制御装置を示す概略構成図である。図1において、走行制御装置1は、産業車両の1つである自動運転用のフォークリフト2(図2参照)に搭載されている。
【0015】
走行制御装置1は、図2に示されるように、フォークリフト2により荷役を行う際に、荷物が載置されるパレット3の手前までフォークリフト2を自動的に走行させる装置である。パレット3は、例えば平パレットである。パレット3には、フォークリフト2に備えられた1対のフォーク2aが差し込まれる2つのフォーク穴3aが設けられている。パレット3は、フォークリフト2により荷取りまたは荷置き等が行われる荷役対象物(対象物)である。
【0016】
走行制御装置1は、例えばフォークリフト2によりパレット3を取るときに、フォークリフト2の各フォーク2aがパレット3のフォーク穴3aに挿入可能となる目標位置までフォークリフト2を自動走行させる。走行制御装置1は、レーザセンサ4と、コントローラ5と、駆動部6とを備えている。
【0017】
レーザセンサ4は、フォークリフト2の周囲にレーザを照射し、レーザの反射光を受光することで、フォークリフト2の周囲に存在する物体を検出する。フォークリフト2の周囲に存在する物体としては、例えば壁や柱等のように地図として登録される物体と、他車両等の移動体、荷物またはコンテナ等のように地図として登録されない物体とがある。レーザセンサ4としては、例えば2Dまたは3Dのレーザレンジファインダが用いられる。
【0018】
コントローラ5は、CPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース等により構成されている。コントローラ5は、位置姿勢推定部11と、検知除去エリア設定部12と、検知エリア決定部13と、障害物認識部14と、経路生成部15と、誘導制御部16とを有している。
【0019】
ここで、レーザセンサ4、コントローラ5の位置姿勢推定部11、検知除去エリア設定部12、検知エリア決定部13及び障害物認識部14は、本実施形態の障害物検知装置10を構成している。
【0020】
障害物検知装置10は、フォークリフト2がパレット3に対して接近する際に、フォークリフト2の周囲に存在する障害物を検知する。フォークリフト2の周囲に存在する障害物は、他車両、荷物またはコンテナ等といった地図として登録されない物体(前述)である。そのような障害物は、位置及び有無が変化する。
【0021】
位置姿勢推定部11は、レーザセンサ4の検出データに基づいてパレット3を認識し、パレット3の位置及び姿勢を推定する。パレット3の位置は、図2(a)に示されるように、フォークリフト2の基準位置に対するパレット3の2次元(X,Y)座標位置である。パレット3の姿勢は、図2(a)に示されるように、フォークリフト2の基準姿勢に対するパレット3の向き(角度)θである。位置姿勢推定部11は、レーザセンサ4と協働して、パレット3の位置及び姿勢を検出する位置姿勢検出部を構成している。
【0022】
検知除去エリア設定部12は、位置姿勢推定部11により検出されたパレット3の位置及び姿勢に基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアを設定する。検知除去エリア設定部12の機能については、後で詳述する。
【0023】
検知エリア決定部13は、検知除去エリア設定部12により設定された障害物検知除去エリアに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアを決定する。検知エリア決定部13の機能については、後で詳述する。
【0024】
障害物認識部14は、レーザセンサ4の検出データに基づいて、検知エリア決定部13により決定された障害物検知エリアにおいて障害物を認識する。障害物認識部14は、レーザセンサ4と協働して、障害物検知エリアにおいて障害物を検知する障害物検知部を構成している。
【0025】
経路生成部15は、位置姿勢推定部11により検出されたパレット3の位置及び姿勢に基づいて、フォークリフト2の走行経路を生成する。経路生成部15は、例えば図2(b)に示されるように、フォークリフト2が目標位置まで滑らかに走行可能となるような走行経路Sを生成する。経路生成部15は、障害物認識部14によりパレット3の手前側に障害物が存在することが検知されたときは、障害物を避けるような走行経路Sを生成してもよい。
【0026】
誘導制御部16は、図2(c)に示されるように、経路生成部15により生成された走行経路Sに従ってフォークリフト2を目標位置に向かって誘導走行させるように駆動部6を制御する。駆動部6は、例えば走行モータ及び操舵モータを有している。誘導制御部16は、障害物認識部14により走行経路S上に障害物が存在することが検知されたときは、例えばフォークリフト2を緊急停止させるように駆動部6を制御してもよい。
【0027】
図3は、コントローラ5により実行される障害物検知処理を含む走行制御処理の手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、例えばフォークリフト2がパレット3の正面側に達した状態で、フォークリフト2からパレット3までの距離が規定値以下になると、実行される。
【0028】
また、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアAは、予め初期設定されている。初期の障害物検知エリアA0は、図4の2点鎖線で示されるように、フォークリフト2を全体的に含むような矩形状に設定されている。初期の障害物検知エリアA0では、フォークリフト2の前後方向の検知距離がフォークリフト2の左右方向の検知距離よりも長くなっている。
【0029】
図3において、コントローラ5は、まずレーザセンサ4の検出データに基づいて、パレット3を認識する(手順S101)。そして、コントローラ5は、レーザセンサ4の検出データに基づいて、パレット3の位置及び姿勢を推定する(手順S102)。パレット3の位置及び姿勢は、上述したように、フォークリフト2を基準とした位置及び姿勢である(図2(a)参照)。
【0030】
続いて、コントローラ5は、パレット3の位置及び姿勢に基づいて、障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアBを設定する(手順S103)。障害物検知除去エリアBは、図4に示されるように、パレット3全体を含む領域である。具体的には、障害物検知除去エリアBは、パレット3の前端面3bよりも奥側(後側)に位置するメイン領域B1と、パレット3の前端面3bよりも手前側(フォークリフト2側)に位置するマージン領域B2とを含んでいる。マージン領域B2の奥行距離は、メイン領域B1の奥行距離よりも短い。奥行距離は、パレット3の前後方向の距離である。
【0031】
続いて、コントローラ5は、現在の障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重なるかどうかを判断する(手順S104)。コントローラ5は、現在の障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重なる(図4(b)参照)と判断したときは、障害物検知エリアAを障害物検知除去エリアBと重ならないように変更する(手順S105)。具体的には、コントローラ5は、初期の障害物検知エリアA0における障害物検知除去エリアBと重なり合う重畳領域Wを削除する。これにより、障害物検知エリアAは、初期の障害物検知エリアA0よりも狭くなる。
【0032】
コントローラ5は、現在の障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重ならない(図4(a)参照)と判断したときは、手順S105を実行しない。つまり、コントローラ5は、障害物検知エリアAを変更しない。従って、障害物検知エリアAは、初期の障害物検知エリアA0のままである。
【0033】
続いて、コントローラ5は、レーザセンサ4の検出データに基づいて、最新の障害物検知エリアAにおいてフォークリフト2の周囲に存在する障害物を認識する(手順S106)。
【0034】
また、コントローラ5は、パレット3の位置及び姿勢に基づいて、目標位置までのフォークリフト2の走行経路S(図2(b)参照)を生成する(手順S107)。そして、コントローラ5は、走行経路Sに従ってフォークリフト2を目標位置に向かって誘導走行させるように駆動部6を制御する(手順S108)。
【0035】
続いて、コントローラ5は、レーザセンサ4の検出データに基づいて、フォークリフト2がパレット3の手前の目標位置に到達したかどうかを判断する(手順S109)。コントローラ5は、フォークリフト2が目標位置に到達していないと判断したときは、上記の手順S101を再度実行する。コントローラ5は、フォークリフト2が目標位置に到達したと判断したときは、本処理を終了する。その後、フォークリフト2により荷役動作が自動的に実施される。
【0036】
なお、上記の処理では、障害物が検知されたときに、障害物を避けるような走行経路Sを生成したり、フォークリフト2を緊急停止させる手順については、便宜上省略されている。
【0037】
ここで、位置姿勢推定部11は、手順S101,S102を実行する。検知除去エリア設定部12は、手順S103を実行する。検知エリア決定部13は、手順S104,S105を実行する。障害物認識部14は、手順S106を実行する。経路生成部15は、手順S107を実行する。誘導制御部16は、手順S108,S109を実行する。
【0038】
以上のように構成された走行制御装置1において、フォークリフト2がパレット3から離れている状態では、図4(a)に示されるように、予め決められた初期の障害物検知エリアA0は、パレット3を含む障害物検知除去エリアBとは重ならない。このため、初期の障害物検知エリアA0が障害物検知エリアAとして決定される。
【0039】
フォークリフト2がパレット3に近づくと、図4(b)に示されるように、初期の障害物検知エリアA0の一部が障害物検知除去エリアBと重なる。このため、初期の障害物検知エリアA0における障害物検知除去エリアBと重なり合う重畳領域Wを除く領域が、障害物検知エリアAとして設定される。従って、障害物検知除去エリアBと重なる分だけ障害物検知エリアAが狭くなる。
【0040】
そして、フォークリフト2がパレット3に更に近づくと、初期の障害物検知エリアA0と障害物検知除去エリアBとが重なり合う重畳領域Wの面積が増えるため、障害物検知エリアAが更に狭くなる。
【0041】
以上のように本実施形態にあっては、フォークリフト2がパレット3に対して接近する際に、まずパレット3の位置及び姿勢が検出される。そして、パレット3の位置及び姿勢に基づいて、フォークリフト2の周囲に存在する障害物として検知することを許可しない障害物検知除去エリアBが設定される。そして、障害物検知除去エリアBに基づいて、障害物として検知することを許可する障害物検知エリアAが決定され、障害物検知エリアAにおいて障害物の検知が行われる。ここで、パレット3を含む領域が障害物検知除去エリアBとして設定される。これにより、パレット3が障害物として誤検知されることが防止される。その結果、フォークリフト2の各フォーク2aによりパレット3を確実に持ち上げることができる。
【0042】
また、本実施形態では、パレット3の前端面3bよりも手前側を含むマージン領域B2が障害物検知除去エリアBの一部として設定される。このため、パレット3の位置及び姿勢の検出誤差等があっても、適切な障害物検知除去エリアBが得られる。従って、パレット3が障害物として誤検知されることが更に防止される。
【0043】
また、本実施形態では、障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重なるときは、障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重ならないように変更される。このため、フォークリフト2がパレット3に十分に近づいても、障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重ならない。従って、パレット3が障害物として誤検知されることが一層防止される。
【0044】
また、本実施形態では、障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重なるときは、障害物検知エリアAにおける障害物検知除去エリアBと重なり合う重畳領域Wが削除される。このため、フォークリフト2がパレット3に十分に近づいても、フォークリフト2からパレット3までの距離に応じた適切な障害物検知エリアAが得られる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施形態には限定されない。例えば上記実施形態では、フォークリフト2によりパレット3を取るために、フォークリフト2がパレット3に対して接近する際に、フォークリフト2の周囲に存在する障害物が検知されているが、特にそのような形態には限られない。
【0046】
例えば図5に示されるように、荷物が載置されたパレットをトラック20のコンテナ21から取るために、フォークリフト2がコンテナ21に対して接近する際に、フォークリフト2の周囲に存在する障害物を検知してもよい。コンテナ21も、フォークリフト2により荷取りまたは荷置き等が行われる荷役対象物(対象物)である。コンテナ21は、トラック20の荷台に2列で搭載されている。
【0047】
この場合、障害物検知除去エリアBは、トラック20全体を含む領域である。具体的には、障害物検知除去エリアBは、荷役動作が実施される側に位置する各コンテナ21の前端面21aよりも奥側に位置するメイン領域B1と、荷役動作が実施される側に位置する各コンテナ21の前端面21aよりも手前側(フォークリフト2側)に位置するマージン領域B2とを含んでいる。なお、コンテナ21の前端面21aは、コンテナ21の扉側の端面である。
【0048】
フォークリフト2がトラック20から離れている状態では、図5(a)に示されるように、初期の障害物検知エリアA0は、トラック20を含む障害物検知除去エリアBとは重ならない。このため、初期の障害物検知エリアA0が障害物検知エリアAとして決定される。
【0049】
フォークリフト2がトラック20に近づくと、図5(b)に示されるように、初期の障害物検知エリアA0の一部が障害物検知除去エリアBと重なる。このため、障害物検知除去エリアBと重なる分だけ初期の障害物検知エリアA0よりも狭い障害物検知エリアAが得られる。
【0050】
また、上記実施形態では、障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重なるときは、障害物検知エリアAにおける障害物検知除去エリアBと重なり合う重畳領域Wが削除されているが、特にその形態には限られず、障害物検知エリアAが障害物検知除去エリアBと重ならないように変更されるのであれば、例えば障害物検知エリアAを重畳領域Wに相当する分よりも狭くしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、パレット3またはコンテナ21といった荷役対象物の前端面よりも手前側を含む領域が障害物検知除去エリアBの一部として設定されているが、特にその形態には限られず、例えば荷役対象物の位置及び姿勢の検出誤差等が少ない場合には、荷役対象物の前端面よりも奥側(後側)の領域のみを障害物検知除去エリアBとして設定してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、障害物検知除去エリアBは荷役対象物全体を含む領域であるが、特にその形態には限られず、例えば荷役対象物の奥側の一部領域については、障害物検知除去エリアBから外してもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、レーザセンサ4の検出データに基づいて、パレット3の位置及び姿勢が推定されていると共に、障害物が認識されているが、特にそれには限られず、例えばカメラの撮像画像等に基づいて、パレット3の位置及び姿勢を推定すると共に、障害物を認識してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、フォークリフト2が荷役対象物に対して接近する際に、フォークリフト2の周囲に存在する障害物が検知されているが、本発明は、特にフォークリフト2には限られず、例えばトーイング車等のように荷取りまたは荷置き等が行われる対象物に対して接近する産業車両であれば、適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
2…フォークリフト(産業車両)、3…パレット(荷役対象物、対象物)、3b…前端面、4…レーザセンサ(位置姿勢検出部、障害物検知部)、10…障害物検知装置、11…位置姿勢推定部(位置姿勢検出部)、12…検知除去エリア設定部、13…検知エリア決定部、14…障害物認識部(障害物検知部)、21…コンテナ(荷役対象物、対象物)、21a…前端面、A…障害物検知エリア、B…障害物検知除去エリア、B2…マージン領域、W…重畳領域。
図1
図2
図3
図4
図5