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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125577
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/02 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A61B5/02 310L
A61B5/02 310G
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023239
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】517280605
【氏名又は名称】イアフレド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田坂 修一
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA09
4C017AA10
4C017AB08
4C017AC03
4C017AC20
4C017FF17
4C017FF19
(57)【要約】
【課題】生体からの情報を取得可能な状態で、安定して圧電センサを保持することができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置101は、少なくとも一部が湾曲部となっている筐体1と、前記湾曲部の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側において周方向に沿うように配置された長手形状かつ膜状のセンサ部3と、前記生体に当接可能なように前記湾曲部の前記第1の側に配置され、前記生体から受け取った変位をセンサ部3に伝達可能なようにセンサ部3に当接して配置された第1弾性部材11と、前記生体から受け取った変位に基づいてセンサ部3が変位可能なように、センサ部3を、前記第1の側とは反対の側である第2の側から支持し、前記湾曲部の前記第1の側に配置された第2弾性部材12とを備え、センサ部3は、センサ部3の変位に基づいて電気信号を出力する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が湾曲部となっている筐体と、
前記湾曲部の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側において周方向に沿うように配置された長手形状かつ膜状のセンサ部と、
前記生体に当接可能なように前記湾曲部の前記第1の側に配置され、前記生体から受け取った変位を前記センサ部に伝達可能なように前記センサ部に当接して配置された第1弾性部材と、
前記生体から受け取った変位に基づいて前記センサ部が変位可能なように、前記センサ部を、前記湾曲部の外側および内側のうち前記第1の側とは反対の側である第2の側から支持し、前記湾曲部の前記第1の側に配置された第2弾性部材とを備え、
前記センサ部は、前記センサ部の変位に基づいて電気信号を出力する、検出装置。
【請求項2】
前記センサ部の長手方向の両端は、前記湾曲部の前記第1の側の面に対して固定されている、請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記センサ部の中間部に対して、前記第2の側から当接することによって前記センサ部を前記湾曲部の周に沿った形状に維持するガイド部を備える、請求項1または2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記ガイド部は、前記湾曲部の周方向に延在し、前記第2弾性部材は、前記ガイド部に沿って配置される、請求項3に記載の検出装置。
【請求項5】
前記ガイド部は、前記湾曲部の周方向に断続的に配置された支持部材であり、前記第2弾性部材は、切欠きを有し、前記支持部材は、前記切欠きの内部に配置されている、請求項3に記載の検出装置。
【請求項6】
前記生体は、人体であり、
前記検出装置は、耳に設置して使用するものであり、
前記第1の側は、前記湾曲部の外側であり、
前記第1弾性部材から前記湾曲部の軸方向にずれた位置において前記筐体を取り囲むように配置された補助部材を備え、
前記補助部材は、前記湾曲部の中心軸から見て、前記第1弾性部材が前記生体に当接する側とは反対の側において、前記生体に当接する当接部を備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関するものである。特に、生体に装着して、生体情報を検出することに用いられる検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2019-55087号公報(特許文献1)には、「生体解析装置」なるものが記載されている。この生体解析装置は、光センサを備える。この光センサは、生体に向けて光を照射する発光素子と、生体から到来する光を受光する受光素子とを備える。光センサから供給される検出信号から生体情報を測定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-55087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された生体解析装置では、LEDなどの発光素子を用いるので、消費電力が大きくなってしまうという問題がある。発光素子および受光素子を適切な位置関係で配置しなければならないので、装置のサイズが大きくなってしまう。したがって、この生体解析装置を生体に装着するには、不利となる。
【0005】
生体から情報を取り出すためには、光方式ではなく、圧電方式も考えられる。圧電方式を実現するために、フィルム状の圧電センサを用いることも考えられるが、生体に装着する検出装置においては、生体からの情報を取得可能な状態で、どのように圧電センサを保持するかが問題となる。
【0006】
そこで、本発明は、生体からの情報を取得可能な状態で、安定して圧電センサを保持することができる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に基づく検出装置は、少なくとも一部が湾曲部となっている筐体と、上記湾曲部の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側において周方向に沿うように配置された長手形状かつ膜状のセンサ部と、上記生体に当接可能なように上記湾曲部の上記第1の側に配置され、上記生体から受け取った変位を上記センサ部に伝達可能なように上記センサ部に当接して配置された第1弾性部材と、上記生体から受け取った変位に基づいて上記センサ部が変位可能なように、上記センサ部を、上記湾曲部の外側および内側のうち上記第1の側とは反対の側である第2の側から支持し、上記湾曲部の上記第1の側に配置された第2弾性部材とを備える。上記センサ部は、上記センサ部の変位に基づいて電気信号を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、筐体の湾曲部の第1の側に、第1弾性部材および第2弾性部材の両方が配置されているので、生体からの情報を取得可能な状態で、安定して圧電センサを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の斜視図である。
図2】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の分解図である。
図3】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の側面図である。
図4】人間の耳の構造の説明図である。
図5】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わる第1弾性部材の平面図である。
図6図5におけるVI-VI線に関する矢視断面図である。
図7図3におけるVII-VII線に関する矢視断面図である。
図8】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わるセンサ部の平面図である。
図9】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わる筐体の一部である湾曲部だけを仮想的に取り出した状態の斜視図である。
図10】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わる筐体にセンサ部を貼り付ける作業の第1の例の第1の説明図である。
図11】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わる筐体にセンサ部を貼り付ける作業の第1の例の第2の説明図である。
図12】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わる筐体にセンサ部を貼り付ける作業の第2の例の第1の説明図である。
図13】本発明に基づく実施の形態1における検出装置に備わる筐体にセンサ部を貼り付ける作業の第2の例の第2の説明図である。
図14】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の第1変型例に備わる筐体の一部である湾曲部だけを仮想的に取り出した状態の斜視図である。
図15】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の第2変型例に備わる筐体の一部である湾曲部だけを仮想的に取り出した状態の斜視図である。
図16】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の第3変型例に備わる筐体の一部である湾曲部だけを仮想的に取り出した状態の斜視図である。
図17】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の第4変型例に備わる筐体の一部である湾曲部および第2弾性部材だけを仮想的に取り出した状態の斜視図である。
図18】本発明に基づく実施の形態1における検出装置の第4変型例に備わる第2弾性部材だけを取り出したところの斜視図である。
図19】本発明に基づく実施の形態2における検出装置の斜視図である。
図20】本発明に基づく実施の形態2における検出装置の分解図である。
図21】本発明に基づく実施の形態2における検出装置を人間の耳に装着する際の位置関係の説明図である。
図22】本発明に基づく実施の形態2における検出装置を人間の耳に装着した状態の説明図である。
図23】本発明に基づく実施の形態2における検出装置を人間の耳に装着した状態で作用する力の第1の説明図である。
図24】本発明に基づく実施の形態2における検出装置を人間の耳に装着した状態で作用する力の第2の説明図である。
図25】本発明に基づく実施の形態2における検出装置の平面図である。
図26】本発明に基づく実施の形態2における検出装置を人間の耳に装着した状態で作用する力の第3の説明図である。
図27】本発明に基づく実施の形態2における検出装置の側面図である。
図28】本発明に基づく実施の形態2における検出装置を人間の耳に装着した状態で作用する力の第4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
(構成)
図1図9を参照して、本発明に基づく実施の形態1における検出装置について説明する。本実施の形態における検出装置101を図1に示す。検出装置101の分解図を図2に示す。
【0011】
本実施の形態における検出装置101は、筐体1と、センサ部3と、第1弾性部材11と、第2弾性部材12とを備える。筐体1は、部分1aと、部分1bと、部分1cとを含む。筐体1の少なくとも一部は、湾曲部2となっている。湾曲部2は、湾曲しているので、外側および内側の概念を有する。ここで示す例では、湾曲部2は、円筒形状となっている。このように、湾曲部2は、湾曲した形状がそのまま周回してつながって環状となっていてもよい。センサ部3は、湾曲部2の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側において周方向に沿うように配置されている。ここで示す例においては、「第1の側」は外側である。センサ部3は、長手形状かつ膜状である。第1弾性部材11は、前記生体に当接可能なように湾曲部2の前記第1の側すなわち外側に配置されている。第1弾性部材11は、前記生体から受け取った変位をセンサ部3に伝達可能なようにセンサ部3に当接して配置されている。ここでは、湾曲部2が筒状である例を示したが、これはあくまで一例であって、湾曲部2は完全な筒状であるとは限らない。また、ここでは、第1弾性部材11は環状であるが、これはあくまで一例であって、第1弾性部材11は環状に限定するものではない。
【0012】
第2弾性部材12は、前記生体から受け取った変位に基づいてセンサ部3が変位可能なように、センサ部3を、湾曲部2の外側および内側のうち前記第1の側とは反対の側である第2の側すなわち内側から支持する。第2弾性部材12は、湾曲部2の前記第1の側すなわち外側に配置されている。センサ部3は、センサ部3の変位に基づいて電気信号を出力する。
【0013】
筐体1の内部には、スピーカーユニット5と、マグネット16と、バッテリ6と、基板7とが配置される。スピーカーユニット5は、ドライバ5aと、ハウジング5bとを含む。基板7の表面には、部品8a,8bが配置されている。
【0014】
検出装置101の側面図を図3に示す。筐体1の中間部分の外周を取り囲むように第1弾性部材11が配置されている。検出装置101は、イヤーピース4を備える。
【0015】
人間の耳の構造を図4に示す。人間の耳は、耳珠71と、対耳珠72と、耳輪脚73と、耳甲介74と、対輪75と、耳輪76と、耳垂77とを備える。耳甲介74は、耳甲介舟74aと、耳甲介腔74bとを含む。対輪75は、上脚75aと、下脚75bとを含む。
【0016】
検出装置101は、人間の耳に装着される。装着される際には、イヤーピース4が外耳道に挿入され、第1弾性部材11が耳珠71に当接する。第1弾性部材11を単独で取り出したところを、図5に示す。内径Dは、たとえば12.8mmである。図5におけるVI-VI線に関する矢視断面図を図6に示す。矢印91は、第1の側すなわち外側を示し、矢印92は、第2の側すなわち内側を示す。
【0017】
耳珠71の付近には動脈が通っている。動脈において発生している拍動10は、皮膚を通じて第1弾性部材11に伝わり、さらに、センサ部3に伝わる。センサ部3は、第2弾性部材12によって矢印93の向きに支持されているが、変位することができるので、受け取った拍動10に対応して変位する。その結果、センサ部3は、変位を電気信号に変換して出力する。
【0018】
図3におけるVII-VII線に関する矢視断面図を図7に示す。センサ部3および両面テープ17a,17bを取り出したところを図8に示す。センサ部3は、圧電センサを含む。より具体的には、センサ部3は、圧電フィルムセンサを含む。センサ部3は、一方の端部付近に接続部3aを備える。センサ部3は、両面テープ17a,17bによって筐体1に貼り付けられている。両面テープ17aは、センサ部3の、接続部3aから遠い方の端部に貼られている。両面テープ17bは、センサ部3の、接続部3bに近い位置に貼られている。
【0019】
筐体1の一部である湾曲部2を図9に示す。実際には、筐体1は、湾曲部2の上下にさらに続いているものであって、湾曲部2は単独で取り出せる部品ではないが、ここでは、説明の便宜のために、湾曲部2だけを仮想的に取り出して示している。図9では、センサ部3、第1弾性部材11、第2弾性部材12を取り外した状態の筐体1の湾曲部2を示している。湾曲部2は、凹部19を有する。凹部19は、第2弾性部材12を収容するためのものである。凹部19の上および下にガイド部18a,18bが設けられている。
【0020】
(作用・効果)
本実施の形態における検出装置101は、センサ部3が変位可能なように支持されているので、生体から受け取った変位に基づいて電気信号を生成し、生体情報を得ることができる。本実施の形態では、筐体の湾曲部の第1の側に、第1弾性部材11および第2弾性部材12の両方が配置されているので、生体からの情報を取得可能な状態で、安定して圧電センサであるセンサ部3を保持することができる。
【0021】
本実施の形態で示したように、センサ部3の長手方向の両端は、湾曲部2の前記第1の側の面に対して固定されていることが好ましい。ここでいう「両端」とは、厳密な端部のみならず、端部の近傍であれば、端部からある程度離れた位置も含むものとする。図7および図8に示した両面テープ17a,17bの貼られている位置は「両端」に該当するものとする。この構成を採用することにより、センサ部3を正しい形状で固定することが容易となる。
【0022】
本実施の形態で示したように、筐体1は、センサ部3の中間部に対して、前記第2の側から当接することによってセンサ部3を湾曲部2の周に沿った形状に維持するガイド部を備えることが好ましい。本実施の形態では、筐体1は、このような条件を満たすガイド部としてガイド部18a,18bを備えている。この構成を採用することにより、センサ部3を湾曲部2の周に沿った正しい形状で固定することが容易となる。
【0023】
筐体1がガイド部18a,18bを備えている場合、断面図で見ると、組立時にはたとえば図10図11に示すようになる。第2弾性部材12および両面テープ17a,17bは弾性に富み、変形しやすいので、センサ部3を筐体1に貼り付ける際には図中右側にセンサ部3が押し付けられることによって、第2弾性部材12は圧縮変形し、図10に示すようになる。すなわち、センサ部3はガイド部18a,18bのうちの一方に当接し、それ以上は右側へは変位しない。その状態で、両面テープ17a,17bによる接着が完了する。押し付ける力を加えるのをやめると、第2弾性部材12および両面テープ17a,17bが圧縮変形から回復し、図11に示すようになる。この時点では、センサ部3は、ガイド部18a,18bに当接しない状態となっていてもよい。センサ部3は、両面テープ17a,17bによって筐体1に接着されている。
【0024】
図10図11では、センサ部3の幅が小さいことにより、センサ部3がガイド部18a,18bのうちの一方だけにしか当接していない状態となっているが、これはあくまで一例である。たとえばセンサ部3の幅が十分に大きくてガイド部18a,18bの両方に同時に当接する構成であってもよい。すなわち、センサ部3を貼り付けるために押し付けたときには図12に示すような状態となり、押し付ける力を加えるのをやめたときには、図13に示すようになる。
【0025】
図9に示す凹部19に第2弾性部材12が収納される。すなわち、筐体1の湾曲部2の周方向に延在する第2弾性部材12が、湾曲部2の周方向に延在するガイド部18a,18bに挟まれるように配置される。このように、ガイド部18a,18bは、湾曲部2の周方向に延在し、第2弾性部材12は、ガイド部18a,18bに沿って配置されることが好ましい。この構成を採用することにより、第2弾性部材12の周方向の全長に渡って、センサ部3をガイド部18a,18bで支持することも可能となる。
【0026】
本実施の形態における検出装置の変形例として、筐体1の湾曲部2の形状を違えたものも考えられる。以下に、本実施の形態のいくつかの変形例について説明する。
【0027】
(第1変形例)
図14を参照して、第1変形例としての検出装置に備わる筐体1について説明する。図14は、筐体1の湾曲部2の斜視図である。実際には、筐体1は、湾曲部2の上下にも一体的に続いていてもよいが、ここでは、説明の便宜のために、湾曲部2だけを取り出して表示している。第1変形例においては、湾曲部2にガイド部18a,18bの代わりにガイド部20a,20bが設けられている。ガイド部20a,20bは、直方体の突起である。ガイド部20a,20bは凹部19の中に突出するように設けられている。ガイド部20a,20bは、凹部19の中央において、上下対称に設けられている。ここでは、第2弾性部材12は図示されていないが、第2弾性部材12は、ガイド部20a,20bを避けた形状のものとする。第2弾性部材12は、一体的なものであってもよく、ガイド部20a,20bを挟んで左右で2つに分かれたものであってもよい。
【0028】
(第2変形例)
図15を参照して、第2変形例としての検出装置に備わる筐体1について説明する。第2変形例においては、筐体1の湾曲部2にガイド部21a,21bが設けられている。ガイド部21a,21bは、周方向にずれた位置に配置されている。ここでは、第2弾性部材12は図示されていないが、第2弾性部材12は、ガイド部21a,21bを避けた形状のものとする。第2変形例として示したように、ガイド部21a,21bは、湾曲部2の周方向に断続的に配置された支持部材であり、第2弾性部材12は、切欠きを有し、前記支持部材は、前記切欠きの内部に配置されていることが好ましい。この構成を採用することにより、ガイド部21a,21bの配置を周方向の異なる位置に分散させて、センサ部3の支持をより均等に行なうことができる。
【0029】
(第3変形例)
図16を参照して、第3変形例としての検出装置に備わる筐体1について説明する。第3変形例においては、筐体1の湾曲部2にガイド部22a,22b,22cが設けられている。ガイド部22a,22b,22cは、略半円柱形状の突起であり、周方向にずれた位置に配置されている。ガイド部22a,22cと、ガイド部22bとが、異なる側から延在するように交互に配置されている。
【0030】
(第4変形例)
図17を参照して、第4変形例としての検出装置に備わる筐体1について説明する。第4変形例においては、筐体1の湾曲部2にガイド部23a,23b,23cが設けられている。ガイド部23a,23b,23cは、湾曲部2の中心軸に垂直な面で切ったときの断面は略半円形状であり、かつ、湾曲部2の半径方向の外側から見たときに一方の端が丸くなった形状を有する。図17に示されるように、第2弾性部材12iが配置されている。第2弾性部材12iは、ガイド部23a,23b,23cを避けた形状を有する。第2弾性部材12iを単独で取り出したところを図18に示す。第2弾性部材12iは、3つの切欠きを有する。第2弾性部材12iを凹部19内に配置したとき、ガイド部23a,23b,23cは、これら3つの切欠きにそれぞれ収まる。
【0031】
(実施の形態2)
(構成)
図19図28を参照して、本発明に基づく実施の形態2における検出装置について説明する。本実施の形態における検出装置102を図19に示す。検出装置102の分解図を図20に示す。
【0032】
検出装置102は、少なくとも一部が湾曲部2となっている筐体1と、湾曲部2の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側において周方向に沿うように配置された長手形状かつ膜状のセンサ部3と、前記生体に当接可能なように湾曲部2の前記第1の側に配置され、前記生体から受け取った変位をセンサ部3に伝達可能なようにセンサ部3に当接して配置された第1弾性部材11と、前記生体から受け取った変位に基づいてセンサ部3が変位可能なように、センサ部3を、湾曲部2の外側および内側のうち前記第1の側とは反対の側である第2の側から支持し、湾曲部2の前記第1の側に配置された第2弾性部材12とを備える。センサ部3は、センサ部3の変位に基づいて電気信号を出力する。
【0033】
本実施の形態においては、前記生体は、人体である。検出装置102は、耳に設置して使用するものである。前記第1の側は、湾曲部2の外側である。第1弾性部材11から湾曲部2の軸方向にずれた位置において筐体1を取り囲むように配置された補助部材9を備える。補助部材9は、湾曲部2の中心軸から見て、第1弾性部材11が前記生体に当接する側とは反対の側において、前記生体に当接する当接部9aを備える。当接部9aは補助部材9のうち板状に張り出す部分である。補助部材9は、耳に当接するものであるので、装着時に違和感がないように弾性材料で形成されることが好ましい。補助部材9は、たとえばゴムで形成されることが好ましい。補助部材9は、樹脂材料によって形成されていてもよい。補助部材9を樹脂材料で形成する場合、樹脂材料は、たとえばABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂であってもよい。補助部材9は、筐体1と一体的に形成されたものであってもよい。
【0034】
検出装置102は、以下のような考え方に基づいて設計されたものである。人間の耳において、図21に一点鎖線で示すように、耳珠71と対輪75とを結ぶ直線を考える。検出装置102が人間の耳に装着される際には、この直線に沿って橋渡しするように設置される。検出装置102は、図22に示すように装着される。図22は、検出装置102を左耳に装着した状態を示している。実際には、耳珠71に対して垂直に押し付ける向きは、直線C1であり、対輪75に対して垂直に押し付ける向きは、直線C2である。直線C1と直線C2とは平行ではなく、方向がある程度ずれている。
【0035】
検出装置102が人間の耳に装着されている状態のより詳細な状況を、図23図28に示す。図23は、検出装置102を右耳に装着した状態の正面図を示している。この図においては、右側が顔側であり、左側が後頭部である。図23においては、説明の便宜のため、第1弾性部材11の内側に配置されているセンサ部3の姿勢を分解図のように検出装置102の外側に少し離して表示している。センサ部3には第2弾性部材12も合わせて表示しているが、この第2弾性部材12の中心を通る直線が直線C1である。センサ部3にとっては、直線C1に平行な変位が最も検出しやすくなっている。補助部材9の当接部9aが対輪75に押し当てられ、第1弾性部材11は耳珠71に押し当てられている。検出装置102を装着するときには、ユーザは、検出装置102のイヤーピース4を外耳道にねじ込む。イヤーピース4の中心線は、直線C3である。このとき、当接部9aと対輪75との接点においては、半径L1で力F1′が作用する。このモーメントは、耳珠71に対しては、半径L2で力F2′となって擦りつける動きとなる。L1>L2である。したがって、F1′<F2′である。このように大きな力でねじ込まれるので、検出装置102の一部は、外耳道に対してより深く挿入されることができる。外耳道の奥の方では、外耳道の内径が小さくなっているので、検出装置102は皮膚に対してより強い力で押し付けられる。当接部9aは、対輪75に対して力F1で押し付けられる。第1弾性部材11は耳珠71に対して力F2で押し付けられる。この状態で、力F2が十分に大きいので、直線C1の方向が正面となるように配置されたセンサ部3は、耳珠71の奥にある動脈から拍動による変位を受け取ることができる。検出装置102は、右耳用と左耳用とがそれぞれ個別に用意されるものであってもよい。図23では、右耳用の検出装置102を示した。左耳用の検出装置102は、右耳用の検出装置102とは対称な形状であってよい。左耳用の検出装置102を図24および図25に示す。なお、検出装置102がマグネット16を備えることによって、左耳用の検出装置102と右耳用の検出装置102とが互いに吸着するようにしておけば、ユーザにとって扱いやすくなるので、好ましい。また、充電用ケースに検出装置102を収納した際に、マグネット16によって検出装置102が充電用ケースに吸着するようにできれば、検出装置102の位置が安定するので、好ましい。
【0036】
図26および図28に示すように、第1弾性部材11の中心線は直線C4である。図26に示すように、筐体1の部分1cの中心線は直線C5である。図26で見ている向きにおいては、第1弾性部材11の直径方向の直線は、直線C6である。図26で見ている向きにおいては、補助部材9の当接部9aが延在する面方向の直線は直線C7である。図26で見ている向きにおいては、補助部材9が筐体1を取り囲む面方向の直線は直線C8である。図27および図28は、図26とは異なる向きから見た様子を示したものである。なお、図28では、補助部材9を取り去った状態を表示している。
【0037】
(作用・効果)
本実施の形態においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。さらに本実施の形態では、検出装置が補助部材を備えており、補助部材9は当接部9aを備えるので、当接部9aが対輪75に押し付けられ、その反力で第1弾性部材11が耳珠71に押し付けられる。耳珠71への押し付けは十分大きな力でなされるので、センサ部3は耳珠71の奥にある動脈に基づく拍動を良好に検出することができる。したがって、生体情報を良好に取得することができる。
【0038】
なお、ここまでの各実施の形態では、「湾曲部2の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側」が外側である例を前提に説明してきた。この構成では、第1の側は外側であって、第2の側が内側である。この場合、検出装置は、湾曲部2の外側に生体が位置するように装着される。すなわち、検出装置は、筐体の湾曲部がたとえば外耳道などの孔状の部分に挿入するように設置される。こうして、外側からセンサ部に到達する変位を検出することによって生体情報を得ることができる。
【0039】
一方、これとは逆に、「湾曲部2の外側および内側のうち生体に対向する側である第1の側」が内側である構成の検出装置も考えられる。この構成では、第1の側は内側であって、第2の側が外側である。この場合、検出装置は、湾曲部2の内側に生体が位置するように装着される。すなわち、検出装置は、筐体の湾曲部がたとえば指に対して指輪のように装着されるものであってもよい。こうして、内側からセンサ部に到達する変位を検出することによって生体情報を得ることができる。このような検出装置の装着場所は、指だけでなく、手首、足首、首などであってもよい。
【0040】
なお、検出装置は、環状であるとは限らない。ここまでは、検出装置の筐体の少なくとも一部である湾曲部がそのまま環状につながって筒形状部となっているものとして説明したが、これはあくまで一例であって、完全な筒形状部でなくてもよい。たとえば筐体の湾曲部は、筒形状すなわち環状ではなく、筒形状の一部分をなすような形状の部分としてもよい。湾曲部は、環状であってもよいが、湾曲部が環状でない場合、湾曲部は、たとえば、C字形状のものであってもよく、J字形状であってもよい。
【0041】
たとえばセンサ部を内蔵する筐体を耳に掛けられるように、筐体を、耳の形状に沿った湾曲部にすることによって、検出装置を耳掛け型のイヤホン、ヘッドホン、補聴器などとしてもよい。検出装置は、骨伝導型のイヤホン、骨伝導型の補聴器などであってもよい。検出装置は、眼鏡のフレームなどであってもよい。検出装置は、AR(Augmented Reality)、VR(Virtual Reality)などを体感するために用いられるヘッドマウントのような形状のものであってもよい。このようなヘッドマウントのような形状を以て、人体の皮膚の外側から接触する機器に、これまで述べてきたような検出装置を内蔵することとすれば、内側からセンサ部に到達する変位を検出することによって生体情報を得ることができる。
【0042】
なお、ここまで、第1弾性部材11と補助部材9とが別の部材である例を図示して説明したが、第1弾性部材と補助部材とは、一体的に形成された部材であってもよい。この構成を採用することにより、部品点数を少なくすることができる。この場合、第1弾性部材と補助部材とは、同じ材料で一体的に形成されたものであってもよく、別々の材料で二色成型などによって一体的に形成されたものであってもよい。
【0043】
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
1 筐体、1a,1b,1c 部分、2 湾曲部、3 センサ部、3a (センサ部の)接続部、4 イヤーピース、5 スピーカーユニット、5a ドライバ、5b ハウジング、6 バッテリ、7 基板、8a,8b 部品、9 補助部材、9a 当接部、10 変位、11 第1弾性部材、12 第2弾性部材、16 マグネット、17a,17b 両面テープ、18a,18b,20a,20b,21a,21b,21c ガイド部、19 凹部、71 耳珠、72 対耳珠、73 耳輪脚、74 耳甲介、74a 耳甲介舟、74b 耳甲介腔、75 対輪、75a 上脚、75b 下脚、76 耳輪、77 耳垂、91,92,93 矢印、101,102 検出装置。
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