(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125583
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】密閉キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/16 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
B65D41/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023250
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】馬場 奈三江
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084EA04
3E084EB02
3E084EC03
3E084EC04
3E084FC05
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084GB12
3E084LB02
3E084LB07
(57)【要約】
【課題】本発明の解決しようとする課題は、プラスチック容器に用いるキャップにおいて、容器本体に多少の寸法誤差があった場合であっても、密閉性を損なわない密閉キャップを提案するものである。
【解決手段】内容物を注出する注出筒20を備えた容器の注出筒を密閉するための外蓋(キャップ)30であって、前記注出筒を密閉する半球形状の密閉栓部34と、該密閉栓部を支える基部35とからなる可動中栓31を備え、キャップの内側中央部には、前記可動中栓の基部を可動に保持する中栓ホルダー32を有することを特徴とする密閉キャップである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を注出する注出筒を備えた容器の注出筒を密閉するための外蓋(以下キャップという)であって、前記注出筒を密閉する半球形状の密閉栓部と、該密閉栓部を支える基部とからなる可動中栓を備え、キャップの内側中央部には、前記可動中栓の基部を可動に保持する中栓ホルダーを有することを特徴とする密閉キャップ。
【請求項2】
前記可動中栓の基部が、バネ状に変形可能なバネ状部を有することを特徴とする請求項1に記載の密閉キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器等に用いる外蓋(キャップ、オーバーキャップ)に関し、特に密閉性を良好とする機能を付与した密閉キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
液状の内容物を収納するプラスチック容器において、内容物を1回で使い切らないような用途、例えば醤油やソース、ドレッシング等を収納する容器においては、一旦開封した注出口を密閉保護するために、外蓋(キャップ、オーバーキャップ)が使用されることが一般的である。
【0003】
特許文献1に記載された合成樹脂製容器は、容器本体の上端部に角形のオーバーキャップを装着した合成樹脂製容器に関するものである。この容器は、容器本体の口筒部に打栓された中栓体にプルリングによって開栓する弱化溝を設け、中栓体にねじ込んで使用する注出部の先端の抽出筒をオーバーキャップに設けたシール筒片によって密閉するようになっている。
【0004】
オーバーキャップは、容器本体の首部に設けた突条(ネックリング)にアンダーカット的に結合するように設けた係止凸部によって固定されるようになっている。このような構成の容器においては、注出筒のセンタリング位置精度とオーバーキャップを固定した場合のセンタリング位置精度の両方が完全でないと、内容物の密閉性が低下してしまうという問題があった。
【0005】
しかしながら、多くの場合ブロー成型法によって作製される容器本体と、インジェクション成型法によって作製されるキャップとの間で、厳密な寸法精度を求めることには、本質的に無理がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、プラスチック容器に用いるキャップにおいて、容器本体に多少の寸法誤差があった場合であっても、密閉性を損なわない密閉キャップを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、内容物を注出する注出筒を備えた容器の注出筒を密閉するための外蓋(以下キャップという)であって、前記注出筒を密閉する半球形状の密閉栓部と、該密閉栓部を支える基部とからなる可動中栓を備え、キャップの内側中央部には、前記可動中栓の基部を可動に保持する中栓ホルダーを有することを特徴とする密閉キャップである。
【0009】
本発明に係る密閉キャップは、キャップ本体に可動に保持された可動中栓を備えたことにより、容器本体とキャップの間に多少の寸法誤差があった場合であっても、誤差を吸収して密閉性を確保することができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記可動中栓の基部が、バネ状に変形可能なバネ状部を有することを特徴とする請求項1に記載の密閉キャップである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る密閉キャップは、注出筒を有する容器の抽出筒を密閉するための密閉栓部を備えた中栓を、キャップ内側に可動に保持する構造としたため、注出筒とキャップの間に多少の寸法誤差があったとしても、密閉性を確実に保持することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明のように、可動中栓の基部が、バネ状に変形可能なバネ状部を有する構造とした場合には、キャップの中栓ホルダーへの可動中栓の取り付けが容易になることに加えて、可動中栓に切れ目が生じることから、キャップに可動中栓を取り付けたままでの洗浄が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明に係る密閉キャップを容器本体の注出筒に被せようとする状態を示した断面説明図である。
【
図2】
図2は、本発明に係る密閉キャップを容器本体の注出筒に被せた状態を示した断面説明図である。
【
図3】
図3は、可動中栓の一実施態様を示した斜視図である。
【
図4】
図4は、可動中栓の他の実施態様を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る密閉キャップについて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る密閉キャップを容器本体の注出筒に被せようとする状態を示した断面説明図である。
図2は、本発明に係る密閉キャップを容器本体の注出筒に被せた状態を示した断面説明図である。
【0015】
本発明に係る密閉キャップ30は、内容物を注出する注出筒20を備えた容器の注出筒20を密閉するためのキャップであって、注出筒20を密閉する半球形状の密閉栓部34と、密閉栓部34を支える基部35とからなる可動中栓31を備え、キャップの内側中央部には、可動中栓31の基部35を可動に保持する中栓ホルダー32を有することを特徴とする密閉キャップである。
【0016】
容器本体10は、多くの場合ブロー成型法やインジェクションブロー成型法によって成形される。容器本体10は、口筒部11を有し、この口筒部11に別部品である注出筒20が取り付けられている。
図1~4に示した例では、注出筒20は、容器本体の口筒部11に打栓されているが、ねじによって取り付けられる場合もある。この例では、容器本体10には段差12が設けられており、密閉キャップ30の下端が当たることにより、容器の外面と、密閉キャップの外面とが同一面になるように設計されている。
【0017】
従来の容器では、注出筒の密閉が完全ではないため、販売時には容器本体をシールする必要があり、このため注出筒は、ねじによる着脱が可能な構造とする必要があったが、本発明に係る密閉キャップを用いた場合には、この容器本体のシールが不要となるため、単なる打栓構造で事足りる。但し、故意にあるいは誤って開封されるのを防ぐために、容器全体をシュリンク包装するとか、密閉キャップが容易には外れないように粘着ラベルで固定するような、何らかのタンパープルーフ構造は必要である。
【0018】
注出筒20は、先端が細くなっていて液状の内容物を注出しやすい形状をしている。この例では、注出筒20の基部にネックリング21が設けられている。ネックリング21には、密閉キャップ30を閉めた時に、密閉キャップ30の内面に設けられた板状リブのアンダーカット形状が、パチンと嵌って固定されるようになっている。ネックリング21は、この例では注出筒20に設けられているが、容器本体の口筒部に設けられる場合もある。
【0019】
注出筒20の先端は解放されているので、容器が倒れた時に内容物が漏出しないように、何らかの方法で密閉する必要がある。特許文献1に示された合成樹脂製容器に代表される従来の容器においては、オーバーキャップの内側にリング状のシール筒片を設けて、オーバーキャップを被せると同時にシールを行っていた。しかし前述の通り、この方法で注出筒を密閉するためには、容器本体と注出筒とオーバーキャップそれぞれの中心線が完全に一致する必要があり、成形金型や設備の面でも、また成形工程面においてもコストアップの要因となっていた。
【0020】
本発明においては、キャップの内側中央部に、可動中栓31の基部35を可動に保持する中栓ホルダー32を設け、これに注出筒20を密閉する半球形状の密閉栓部34と、密閉栓部34を支える基部35とからなる可動中栓31を取り付けた密閉キャップ30を用いることにより、上記の問題を解決することが可能となったのである。
【0021】
図1に示したように、キャップを閉めようとすると、注出筒20の先端に可動中栓31の密閉栓部34が挿入される。可動中栓31は、キャップの中栓ホルダーの中で斜めになったり、前後左右に動くことができるので、注出筒20に確実に挿入される。また挿入された後は、
図2に示したように、注出筒20を確実に密閉することができる。
【0022】
中栓ホルダー32は、可動中栓31が、ある程度動くことができるように保持する必要がある。また、容器を使用する際、密閉キャップを取り外す時には、可動中栓が外れてしまわないために、可動中栓を中栓ホルダーに一旦取り付けた際には、容易には外れない構造としなければならない。このため中栓ホルダー32には、アンダーカット構造が必要である。
【0023】
図3は、可動中栓31の一例を示した斜視図である。可動中栓31は、密閉栓部34と密閉栓部34を支える基部35とからなる。
図4は、可動中栓31の他の実施態様を示した斜視図である。この例では、可動中栓31の基部35が、バネ状に変形可能なバネ状部36を構成している。このように、基部35に切り込みを入れた構造とすることにより、基部35が変形し易くなり、密閉キャップ30の中栓ホルダー32に挿入し易くなる。
【0024】
容器本体10の材質としては、各種合成樹脂が用いられる。一般的な材質としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)や、ガスバリア性のエチレン-ビニルアルコール共重合体を用いた複層構造などが用いられる。
【0025】
注出筒20の材質としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン樹脂(PS)等が用いられる。
【0026】
キャップ本体の材質としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、エチ
レン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン樹脂(PS)等が用いられる。
【0027】
可動中栓31の材質としては、注出筒20の材質より柔らかい材質が好ましい。具体的には、ポリエチレン樹脂(PE)、軟質ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等を用いることができる。
【符号の説明】
【0028】
10・・・容器本体
11・・・口筒部
12・・・段差
20・・・注出筒
21・・・ネックリング
30・・・密閉キャップ
31・・・可動中栓
32・・・中栓ホルダー
33・・・板状リブ
34・・・密閉栓部
35・・・基部
36・・・バネ状部