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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125611
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】ワイヤロープ検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/82 20060101AFI20220822BHJP
   B66B 7/12 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
G01N27/82
B66B7/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023292
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】酒井 春彦
(72)【発明者】
【氏名】山口 均
(72)【発明者】
【氏名】野地 健俊
【テーマコード(参考)】
2G053
3F305
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AB01
2G053AB22
2G053BA03
2G053BA14
2G053BB03
2G053BB11
2G053BC14
2G053BC20
2G053CA03
2G053CB24
2G053DA02
2G053DA09
2G053DA10
3F305BB02
3F305BC36
3F305DA18
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】水平方向に延びるように設けられるワイヤロープを検査する場合に、操作部への入力操作を容易に行うことが可能なワイヤロープ検査装置を提供することである。
【解決手段】このセンサユニット100(ワイヤロープ検査装置)は、水平方向に沿って延びる検査対象であるワイヤロープWに対して相対的に移動する。また、センサユニット100は、ワイヤロープWが貫通されるとともに、ワイヤロープWに対する相対移動方向および鉛直方向の各々に直交する方向の一方側を向くように設けられる第1面部分53と、上記直交する方向の他方側を向くように設けられる第2面部分54とを含む筐体部50を備える。また、センサユニット100は、第1面部分53に配置される第1操作部55aと、第2面部分54に配置される第2操作部55bとを含む操作部55を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿って延びる検査対象であるワイヤロープに対して相対的に移動するワイヤロープ検査装置であって、
前記ワイヤロープが貫通されるとともに、前記ワイヤロープに対する相対移動方向および鉛直方向の各々に直交する方向の一方側を向くように設けられる第1面部分と、前記直交する方向の他方側を向くように設けられる第2面部分とを含む筐体部と、
前記筐体部に収容されるとともに前記筐体部内における前記ワイヤロープの部分の磁束を検知する検知部と、
前記検知部を制御するための入力操作が行われる操作部と、を備え、
前記操作部は、前記第1面部分に配置される第1操作部と、前記第2面部分に配置される第2操作部とを含む、ワイヤロープ検査装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記ワイヤロープに対して磁界を印加する励磁部と、前記励磁部により磁界が印加される前記ワイヤロープの磁束を検知する検知コイルと、を含み、
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、入力操作が行われることにより前記励磁部への電流の導通が制御されるように構成されている、請求項1に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項3】
前記検知コイルは、前記ワイヤロープの延びる方向に沿って前記ワイヤロープを巻回するように設けられている、請求項2に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項4】
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、少なくとも前記検知部が異常状態であることを表示することにより前記異常状態を報知する第1報知部を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記ワイヤロープに対して磁界を印加する励磁部と、前記励磁部により磁界が印加される前記ワイヤロープの磁束を検知する検知コイルと、を含み、
前記励磁部は、励振コイルを有し、
前記第1報知部は、前記励振コイルおよび前記検知コイルの少なくとも一方が断線状態であるか否かを表示するように構成されている、請求項4に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項6】
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、前記励磁部への電流の導通状態を表示することにより前記導通状態を報知する第2報知部を含む、請求項5に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項7】
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、外部からの電力供給状態を表示することにより前記電力供給状態を報知する第3報知部を含む、請求項5または6に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項8】
前記筐体部は、互いに分割可能な状態で係合される上方側筐体と下方側筐体とを含み、
前記上方側筐体および前記下方側筐体のうち一方に収容される制御基板をさらに備え、
前記第1操作部は、前記上方側筐体および前記下方側筐体のうち前記制御基板が収容される一方の、前記第1面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されており、
前記第2操作部は、前記上方側筐体および前記下方側筐体のうち前記制御基板が収容される一方の、前記第2面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項9】
前記制御基板は、前記下方側筐体に収容されており、
前記第1操作部は、前記下方側筐体の前記第1面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されており、
前記第2操作部は、前記下方側筐体の前記第2面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されている、請求項8に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項10】
前記筐体部は、直方体形状を有しており、
前記第1操作部は、前記直交する方向と直交するように延びる前記筐体部の一対の側面のうち一方に設けられる前記第1面部分に配置されており、
前記第2操作部は、前記一対の側面のうち他方に設けられる前記第2面部分に配置されている、請求項1~9のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【請求項11】
前記第1操作部と、前記第2操作部とは、互いに同一の機能を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤロープ検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤロープの状態を検知するワイヤロープ検査装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、スチールワイヤロープ(磁性体)の傷み(断線)を検知するためのスチールワイヤロープの断線検出装置(ワイヤロープ検査装置)が開示されている。断線検出装置は、スチールワイヤロープの磁束を検知(計測)する検知コイルを含む検知部を備える。このスチールワイヤロープの断線検出装置は、スチールワイヤロープを磁化した状態で、検査対象物であるスチールワイヤロープに対して、検出コイルを移動させながら、検出コイルによりスチールワイヤロープの磁束を検知(計測)する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-332542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には記載されていないが、ワイヤロープ検査装置には、検知部を制御するための入力操作が行われる操作部が設けられている場合がある。操作部は、ユーザが入力操作を行うために、ワイヤロープが水平方向に延びるように設けられている状態で、ワイヤロープ検査装置の側面に設けられる場合が多い。なお、側面とは、ワイヤロープ検査装置のワイヤロープに対する相対移動方向(ワイヤロープが延びる方向)および鉛直方向の各々に直交する方向の面を意味する。
【0006】
ここで、ユーザは、ワイヤロープが水平方向に延びるように設けられているため、ワイヤロープを横切るように移動することが困難である。このため、ユーザは、操作部が設けられるワイヤロープ検査装置の側面とは反対側にいる場合、上記側面側へ移動することが困難である。すなわち、上記特許文献1に記載されているような従来のワイヤロープ検査装置に操作部が設けられている場合で、かつ、上記ワイヤロープ検査装置によって水平方向に延びるように設けられるワイヤロープを検査する場合に、操作部への入力操作を行うことが困難な場合があるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、水平方向に延びるように設けられるワイヤロープを検査する場合に、操作部への入力操作を容易に行うことが可能なワイヤロープ検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるワイヤロープ検査装置は、水平方向に沿って延びる検査対象であるワイヤロープに対して相対的に移動するワイヤロープ検査装置であって、ワイヤロープが貫通されるとともに、ワイヤロープに対する相対移動方向および鉛直方向の各々に直交する方向の一方側を向くように設けられる第1面部分と、上記直交する方向の他方側を向くように設けられる第2面部分とを含む筐体部と、筐体部に収容されるとともに筐体部内におけるワイヤロープの部分の磁束を検知する検知部と、検知部を制御するための入力操作が行われる操作部と、を備え、操作部は、第1面部分に配置される第1操作部と、第2面部分に配置される第2操作部とを含む。
【発明の効果】
【0009】
上記一の局面におけるワイヤロープ検査装置では、上記のように、操作部は、ワイヤロープに対する相対移動方向および鉛直方向の各々に直交する方向の一方側を向くように設けられる第1面部分に配置される第1操作部と、上記直交する方向の他方側を向くように設けられる第2面部分に配置される第2操作部とを含む。これにより、ユーザは、第1面部分側および第2面部分側のいずれにいる場合でも、第1操作部または第2操作部に対して入力操作を行うことができる。その結果、水平方向に延びるように設けられるワイヤロープを検査する場合に、操作部への入力操作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態によるワイヤロープ検査システムの構成を示した模式図である。
図2】一実施形態によるセンサユニットの模式的な平面図である。
図3】一実施形態によるセンサユニットの構成を示したブロック図である。
図4】一実施形態による磁界印加部による磁界の印加を説明するための図である。
図5】一実施形態によるセンサユニットをY1側から見た斜視図である。
図6】一実施形態によるセンサユニットをY2側から見た斜視図である。
図7】一実施形態による操作部が設けられる凹部を示した拡大斜視図である。
図8】一実施形態による上方側筐体と下方側筐体とが分割された状態の斜視図である。
図9】一実施形態による検知コイルの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1図9を参照して、本実施形態によるセンサユニット100の構成について説明する。なお、センサユニット100は、特許請求の範囲の「ワイヤロープ検査装置」の一例である。
【0013】
(センサユニットの構成)
センサユニット100は、センサユニット100と、センサユニット100と接続されるコントロールユニット101と、コントロールユニット101に接続されるPLC(Programmable Logic Controller)102と、表示部103とによって構成されるワイヤロープ検査システム200に含まれている。コントロールユニット101は、センサユニット100から送信される磁束信号に基づいて、ワイヤロープWの状態(断線の有無等)を判定する。具体的には、コントロールユニット101は、センサユニット100によるワイヤロープWの磁束の計測結果の表示、センサユニット100によるワイヤロープWの磁束の計測結果に基づく解析などを行う。また、PLC102は、ワイヤロープWの検査の開始および停止のタイミングを制御することや、ワイヤロープWの検査(解析)に用いられるパラメータ(しきい値等)を変更するために用いられる。また、コントロールユニット101において判定された結果は、表示部103(外部PCのディスプレイおよびタブレット端末のディスプレイ等)に表示される。
【0014】
図2に示すように、センサユニット100は、水平方向(X方向)に延びる検査対象であるワイヤロープWの状態を検知する。センサユニット100は、主に工場においてワイヤロープWの検査を行うために用いられる。具体的には、センサユニット100は、検査対象であるワイヤロープWの異常(素線断線など)を検査するための装置である。また、センサユニット100は、ワイヤロープWに対して相対的に移動する。具体的には、センサユニット100は、所定の位置に固定された状態で、移動されるワイヤロープWを検査する。なお、ワイヤロープWは、ワイヤロープWが延びるX方向に沿って移動される。
【0015】
ワイヤロープWは、磁性を有する素線材料が編みこまれる(たとえば、ストランド編みされる)ことにより形成されており、長尺材からなる磁性体である。ワイヤロープWは、劣化による切断が生じることを未然に防ぐために、センサユニット100により状態(傷等の有無)を検査される。
【0016】
図3に示すように、センサユニット100は、励磁部10、磁界印加部20、検知部30、および、制御基板40を備える。また、センサユニット100は、ワイヤロープWが貫通される筐体部50(図5参照)を備える。筐体部50は、励磁部10、磁界印加部20、検知部30、および、制御基板40を収容するように設けられている。なお、筐体部50は、樹脂(たとえばABS樹脂)により成形されている。
【0017】
励磁部10は、ワイヤロープWに対して磁界(磁束)を印加するように構成されている。具体的には、励磁部10は、ワイヤロープWの磁化の状態を励振する励振コイル11を有する。励振コイル11は、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に沿って巻回されている。磁界印加部20は、ワイヤロープWに対して、予め磁界を印加して、ワイヤロープWの磁化の方向を整える。なお、励磁部10および磁界印加部20の詳細は後述する。
【0018】
検知部30は、筐体部50内におけるワイヤロープWの部分の磁束(磁束(磁界)の変化)を検知するように構成されている。具体的には、検知部30は、励磁部10(励振コイル11)により磁界が印加されるワイヤロープWの磁束(磁束(磁界)の変化)を検知する検知コイル31を含む。たとえば、磁界(磁束)の変化とは、励磁部10(励振コイル11)によりワイヤロープWに印加する磁界(磁束)の強さを時間変化させることにより検知部30(検知コイル31)において検知される磁界(磁束)の強さの時間的な変化を意味する。また、検知コイル31は、励磁部10により磁界が印加されるワイヤロープWに対して相対的に移動しながらワイヤロープWの磁束を検知する。また、検知コイル31は、後述する全磁束法によってワイヤロープWの内部の磁束を検知することによって、磁束信号を出力する。
【0019】
制御基板40は、処理部41、磁束信号取得部42、および通信部43を含む。処理部41は、センサユニット100の各部(たとえば励磁部10(励振コイル11))を制御する。なお、処理部41は、CPUなどのプロセッサ、メモリ、および、AD変換器などを含む。
【0020】
磁束信号取得部42は、検知部30(検知コイル31)からの磁束信号を取得(受信)する。磁束信号取得部42は、増幅器を含む。そして、磁束信号取得部42は、取得した磁束信号を増幅して処理部41に出力(送信)する。
【0021】
通信部43は、コントロールユニット101と通信可能に構成されている。通信部43は、無線LAN、および、Bluetooth(登録商標)などによる無線通信が可能な無線通信モジュールを含む。通信部43は、取得された磁束信号をコントロールユニット101に出力(送信)する。なお、通信部43を介した、センサユニット100と、コントロールユニット101との接続は、有線接続であってもよい。
【0022】
ここで、本実施形態では、検知コイル31は、ワイヤロープWの延びる方向に沿ってワイヤロープWを巻回するように設けられている。具体的には、図9に示すように、第1検知コイル31aと第2検知コイル31bとは、それぞれ独立した鞍型コイル(サドル型コイル)である。第1検知コイル31aと第2検知コイル31bの各々は、ワイヤロープWの半周ずつを覆うように設けられている。したがって、第1検知コイル31aと第2検知コイル31bとを併せることによって、ワイヤロープWの周囲を全周に亘って取り囲む検知コイル31が構成される。また、検知コイル31(第1検知コイル31aおよび第2検知コイル31b)は、それぞれ、フレキシブル基板に設けられた導体パターンによって構成されている。また、第1検知コイル31aおよび第2検知コイル31bは、ワイヤロープWの延びる方向に沿って巻回するように設けられている。すなわち、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に沿って、2つの鞍型コイルによって全周を巻回するように検知コイル31が設けられている。なお、本明細書では、「巻回する」とは、1周以上に亘って巻き回す(巻き付ける)ことのみならず、1周分以下(たとえば、半周)の回数(角度)分だけ巻き回すことも含む概念として記載している。すなわち、センサユニット100は、ワイヤロープWの内部の磁束を測定する全磁束法により、ワイヤロープWの状態を検査する。
【0023】
全磁束法は、ワイヤロープWの表面の異常部分(素線断線)などからの漏洩磁束を測定する方法と異なり、ワイヤロープWの内部の異常部分(素線断裂、減肉、さびなど)をも測定可能な方法である。
【0024】
図4に示すように、センサユニット100に対して、ワイヤロープWがX2方向に向かって移動される。ワイヤロープWは、まず磁界印加部20によって、磁界が整えられる。そして、励磁部10の励振コイル11が、磁界の整えられた(整磁された)ワイヤロープWの磁界(磁束)を励振する。そして、検知部30の検知コイル31が、整磁された後に励振された状態のワイヤロープWの磁束を検知する。すなわち、検知コイル31は、磁界印加部20により予め磁界が印加された後(整磁された後)に、ワイヤロープWの磁束を検知するように構成されている。
【0025】
磁界印加部20は、ワイヤロープWの延びる方向と直交する方向(Z方向)に配置される1対の磁界印加部20aおよび磁界印加部20bを含む。1対の磁界印加部20aおよび20bは、ワイヤロープWを挟み込むように鉛直方向(Z方向)の両側に配置される。具体的には、磁界印加部20aは、ワイヤロープWの上方側(Z1方向側)に配置される。そして、磁界印加部20bは、ワイヤロープWの下方側(Z2方向側)に配置される。磁界印加部20は、たとえば、永久磁石である。磁界印加部20aおよび20bは、ワイヤロープWの磁化の方向を略均一に整えるために、比較的強い磁界を印加することが可能に構成されている。
【0026】
また、磁界印加部20は、磁界印加部20aのZ2方向に向けられたN極(斜線あり)と磁界印加部20bのZ1方向に向けられたN極(斜線あり)とがワイヤロープWを挟んで対向するように設けられている。これにより、磁界印加部20aおよび20bの間を通過したワイヤロープWは、磁界印加部20aおよび20bにより磁界が印加され、磁化の方向が整えられる。
【0027】
励振コイル11は、励振交流電流が流れることにより、ワイヤロープWが延びる方向(X方向)に沿った磁束(磁界)をコイル内部(コイルの輪の内側)に発生させる。そして、励振コイル11は、発生させた磁束(磁界)をワイヤロープWに印加する。具体的には、処理部41による制御によって励磁部10(励振コイル11)に一定の大きさかつ一定の周波数を有する交流電流(励振電流)が流されることにより、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に振動する(X1方向への磁界とX2方向への磁界が周期的に現れる)ように磁界が印加される。すなわち、ワイヤロープWにおいて、磁界印加部20によって予め整えられた磁界(磁束)が、励磁部10によって振動させられる。
【0028】
検知コイル31は、ワイヤロープWが延びる方向と直交する方向(Z1方向側)に配置されている第1検知コイル31aと、ワイヤロープWに対して第1検知コイル31aが配置される側とは反対側(Z2方向側)において第1検知コイル31aとともにワイヤロープWを取り囲むように配置されている第2検知コイル31bとを含む。すなわち、検知コイル31は、第1検知コイル31aと第2検知コイル31bとの2つのコイルによって1つのワイヤロープWを挟み込むように配置される。
【0029】
また、第1検知コイル31aと第2検知コイル31bの各々は、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に沿って巻回するように設けられていることにより、ワイヤロープWの延びる方向(X方向)に沿ってコイルの内側を貫く向きの磁束を検知(測定)する。すなわち、検知コイル31(第1検知コイル31aおよび第2検知コイル31b)は、励磁部10(励振コイル11)によって周期的に時間変化させられる磁束(磁界)の変化を検知するように構成されている。また、検知コイル31(第1検知コイル31aおよび第2検知コイル31b)は、検知した磁束を示す磁束信号を制御基板40の磁束信号取得部42に対して出力する。
【0030】
図5に示すように、筐体部50は、直方体形状を有している。具体的には、筐体部50は、X方向に沿った幅W1が、Y方向に沿った幅W2、および、Z方向に沿った高さhよりも大きい形状を有する。
【0031】
筐体部50は、筐体部50を配置する配置面104(図2参照)に固定されている。筐体部50には、配置面104に筐体部50を固定するための図示しない締結部材が挿入される締結部材挿入孔51が複数設けられている。
【0032】
筐体部50には、X1側から移動される(導かれる)ワイヤロープWが内部に挿入される側の開口部52a(図6参照)が設けられている。また、筐体部50には、内部のワイヤロープWが外部に出ていく側の開口部52bが設けられている。開口部52aおよび開口部52bの各々は、円形形状を有している。
【0033】
筐体部50は、ワイヤロープWに対する相対移動方向(X方向)および鉛直方向(Z方向)の各々に直交する方向(Y方向)の一方側を向くように設けられる第1面部分53と、上記直交する方向(Y方向)の他方側を向くように設けられる第2面部分54(図6参照)とを含む。
【0034】
また、センサユニット100は、検知部30を制御するための入力操作が行われる操作部55を備える。
【0035】
ここで、本実施形態では、操作部55は、第1面部分53に配置される第1操作部55a(図5参照)と、第2面部分54に配置される第2操作部55b(図6参照)とを含む。すなわち、第1操作部55aと第2操作部55bとは、互いに反対方向を向いて配置されている。
【0036】
また、第1操作部55aと、第2操作部55bとは、互いに同一の機能を有する。また、第1操作部55aと第2操作部55bとは、同一の構成および形状(大きさも含む)を有している。
【0037】
第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、板状(パネル状)に形成されている。第1操作部55aおよび第2操作部55bは、それぞれ、第1面部分53および第2面部分54に設けられた凹部55c(図7参照)に嵌め込まれることにより筐体部50に固定されている。詳細には、第1面部分53および第2面部分54の各々は、対応する凹部55cに嵌め込まれた状態で、粘着性テープまたは接着材等により接着されることにより筐体部50に固定されている。また、第1操作部55aおよび第2操作部55bは、それぞれ、第1面部分53および第2面部分54に設けられた凹部55cに嵌め込まれていることにより、対応する凹部55cの周囲から突出しないように設けられている。また、凹部55cには、筐体部50内の制御基板40と接続される配線を通すための孔部55d(図7参照)が設けられている。なお、図7では、一例として第1面部分53のみが図示されているが、第2面部分54においても同様である。
【0038】
また、本実施形態では、図5に示すように、第1操作部55aは、Y方向と直交するように延びる筐体部50の一対の側面56のうち一方(Y1側の側面56)に設けられる第1面部分53に配置されている。すなわち、第1面部分53は、Y1側の側面56の一部である。また、図6に示すように、第2操作部55bは、一対の側面56のうち他方(Y2側の側面56)に設けられる第2面部分54に配置されている。すなわち、第2面部分54は、Y2側の側面56の一部である。一対の側面56の各々は、ワイヤロープWが延びる方向(X方向)に沿って延びるように設けられている。すなわち、一対の側面56は、互いに平行に設けられている。また、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、対応する側面56において、下方側(Z2側)で、かつ、X方向における中央部に設けられている。すなわち、第1操作部55aおよび第2操作部55bは、X方向およびZ方向の各々において、互いに同じ位置に設けられている。
【0039】
また、図8に示すように、筐体部50は、互いに分割可能な状態で係合される上方側筐体57aと下方側筐体57bとを含む。上方側筐体57aと下方側筐体57bとは、鉛直方向(Z方向)に分割可能に構成されている。ワイヤロープWが筐体部50を貫通している状態で筐体部50が上方側筐体57aと下方側筐体57bとに分割されることにより、筐体部50内のワイヤロープWの部分が露出される。また、筐体部50が上方側筐体57aと下方側筐体57bとに分割されることにより、開口部52aおよび開口部52bの各々が上下に2分割される。
【0040】
上方側筐体57aの内部空間と下方側筐体57bの内部空間とは、壁部57cにより区画されている。壁部57cは、下方側筐体57bに一体的に設けられている。また、ワイヤロープWは、上方側筐体57aと壁部57cとの間の空間を通過(貫通)するように設けられている。なお、図8では、検知部30は簡略化のため図示が省略されている。
【0041】
制御基板40は、下方側筐体57bに収容されている。すなわち、制御基板40は、ワイヤロープWと、壁部57cによって隔絶されて設けられている。
【0042】
ここで、本実施形態では、第1操作部55aは、制御基板40が収容される下方側筐体57bの第1面部分53に対応する部分において、制御基板40と電気的に接続された状態で配置されている。また、第2操作部55bは、制御基板40が収容される下方側筐体57bの第2面部分54に対応する部分において、制御基板40と電気的に接続された状態で配置されている。すなわち、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々と制御基板40とを接続する図示しない配線は、下方側筐体57bから外部に出されずに下方側筐体57b内に収容(配置)されている。
【0043】
また、本実施形態では、図5および図6に示すように、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、入力操作が行われることにより励磁部10への電流の導通が制御されるように構成されている。具体的には、操作部55(第1操作部55aおよび第2操作部55b)には、押圧されることにより励磁部10への電流が導通状態にされるスイッチ55eが設けられている。また、操作部55(第1操作部55aおよび第2操作部55b)には、押圧されることにより励磁部10への電流が導通状態から非導通状態にされるスイッチ55fが設けられている。
【0044】
詳細には、スイッチ55eが長押し(たとえば1~2秒程度)されることにより、励磁部10への電流が導通状態にされる。また、スイッチ55fが長押し(たとえば1~2秒程度)されることにより、励磁部10への電流が導通状態から非導通状態にされる。また、第1操作部55aのスイッチ55eが押圧されることにより励磁部10への電流が導通状態された後に、第1操作部55aおよび第2操作部55bのいずれか一方のスイッチ55fが押圧されることにより、励磁部10への電流が導通状態から非導通状態にされる。また、反対に、第2操作部55bのスイッチ55eが押圧されることにより励磁部10への電流が導通状態された後に、第1操作部55aおよび第2操作部55bのいずれか一方のスイッチ55fが押圧されることにより、励磁部10への電流が導通状態から非導通状態にされる。
【0045】
また、スイッチ55eおよびスイッチ55fは、メンブレンスイッチ(薄いシート状のスイッチでフィルムに回路と接点とを印刷して貼り重ねたもの)である。また、スイッチ55eとスイッチ55fとは、Z方向に並んで配置されている。
【0046】
また、本実施形態では、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、検知部30が異常状態であることを表示することにより異常状態を報知する表示灯55gを含む。具体的には、表示灯55gは、検知部30が異常状態である場合に点灯する。また、表示灯55gは、LEDランプである。なお、表示灯55gは、特許請求の範囲の「第1報知部」の一例である。
【0047】
詳細には、表示灯55gは、励振コイル11および検知コイル31の少なくとも一方が断線状態であるか否かを表示するように構成されている。表示灯55gは、励振コイル11および検知コイル31の少なくとも一方が断線状態である場合に点灯する。すなわち、励振コイル11および検知コイル31の少なくとも一方が断線状態である場合、第1操作部55aの表示灯55gおよび第2操作部55bの表示灯55gの両方が点灯する。
【0048】
また、本実施形態では、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、励磁部10への電流の導通状態を表示することにより導通状態を報知する表示灯55hを含む。具体的には、表示灯55hは、励磁部10に電流が導通されている場合に点灯する。すなわち、励磁部10に電流が導通されている場合、第1操作部55aの表示灯55hおよび第2操作部55bの表示灯55hの両方が点灯する。また、表示灯55hは、LEDランプである。なお、表示灯55hは、特許請求の範囲の「第2報知部」の一例である。
【0049】
また、本実施形態では、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、外部からの電力供給状態を表示することにより電力供給状態を報知する表示灯55iを含む。具体的には、表示灯55iは、外部から電力(コントロールユニット101からの電力)が供給されている場合に点灯する。すなわち、外部から電力が供給されている場合、第1操作部55aの表示灯55iおよび第2操作部55bの表示灯55iの両方が点灯する。また、表示灯55iは、LEDランプである。なお、表示灯55iは、特許請求の範囲の「第3報知部」の一例である。
【0050】
なお、センサユニット100は、各表示灯(55g、55h、55i)を点灯させることに加えて、警報音を発生することにより、各状態(検知部30の異常状態等)を報知するように構成されていてもよい。
【0051】
また、表示灯55g、表示灯55h、および表示灯55iは、Z方向に並んで配置されている。また、表示灯55g、表示灯55h、および表示灯55iが配置される領域は、スイッチ55eおよびスイッチ55fが配置される領域とX方向に隣り合うように設けられている。
【0052】
(本実施形態の効果)
本実施形態のセンサユニット100では、以下のような効果を得ることができる。
【0053】
本実施形態のセンサユニット100(ワイヤロープ検査装置)では、上記のように、操作部55は、ワイヤロープWに対する相対移動方向および鉛直方向の各々に直交する方向の一方側を向くように設けられる第1面部分53に配置される第1操作部55aと、上記直交する方向の他方側を向くように設けられる第2面部分54に配置される第2操作部55bとを含む。これにより、ユーザは、第1面部分53側および第2面部分54側のいずれにいる場合でも、第1操作部55aまたは第2操作部55bに対して入力操作を行うことができる。その結果、水平方向に延びるように設けられるワイヤロープWを検査する場合に、操作部55への入力操作を容易に行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、以下のように構成したことによって、更なる効果が得られる。
【0055】
すなわち、本実施形態では、上記のように、検知部30は、ワイヤロープWに対して磁界を印加する励磁部10と、励磁部10により磁界が印加されるワイヤロープWの磁束を検知する検知コイル31と、を含む。また、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、入力操作が行われることにより励磁部10への電流の導通が制御されるように構成されている。このように構成すれば、ユーザは、第1面部分53側および第2面部分54側のいずれにいる場合でも、第1操作部55aまたは第2操作部55bに対して入力操作を行うことにより、励磁部10への電流の導通状態を制御することができる。
【0056】
また、本実施形態では、上記のように、検知コイル31は、ワイヤロープWの延びる方向に沿ってワイヤロープWを巻回するように設けられている。このように構成すれば、ワイヤロープWを全磁束法により検査することができる。
【0057】
また、本実施形態では、上記のように、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、少なくとも検知部30が異常状態であることを表示することにより上記異常状態を報知する表示灯55g(第1報知部)を含む。このように構成すれば、ユーザは、第1面部分53側および第2面部分54側のいずれにいる場合でも、検知部30が異常状態であることを視認(認識)することができる。
【0058】
また、本実施形態では、上記のように、励磁部10は、励振コイル11を有する。また、表示灯55g(第1報知部)は、励振コイル11および検知コイル31の少なくとも一方が断線状態であるか否かを表示するように構成されている。このように構成すれば、ユーザは、第1面部分53側および第2面部分54側のいずれにいる場合でも、励振コイル11および検知コイル31の少なくとも一方が断線状態であることを視認(認識)することができる。
【0059】
また、本実施形態では、上記のように、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、励磁部10への電流の導通状態を表示することにより上記導通状態を報知する表示灯55h(第2報知部)を含む。このように構成すれば、ユーザは、第1面部分53側および第2面部分54側のいずれにいる場合でも、励磁部10への電流の導通状態を視認(確認)することができる。
【0060】
また、本実施形態では、上記のように、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々は、外部からの電力供給状態を表示することにより上記電力供給状態を報知する表示灯55i(第3報知部)を含む。このように構成すれば、ユーザは、第1面部分53側および第2面部分54側のいずれにいる場合でも、上記電力供給状態を視認(確認)することができる。
【0061】
また、本実施形態では、上記のように、筐体部50は、互いに分割可能な状態で係合される上方側筐体57aと下方側筐体57bとを含む。また、センサユニット100(ワイヤロープ検査装置)は、上方側筐体57aおよび下方側筐体57bのうち一方に収容される制御基板40を備える。また、第1操作部55aは、上方側筐体57aおよび下方側筐体57bのうち制御基板40が収容される一方の、第1面部分53に対応する部分において、制御基板40と電気的に接続された状態で配置されている。また、第2操作部55bは、上方側筐体57aおよび下方側筐体57bのうち制御基板40が収容される一方の、第2面部分54に対応する部分において、制御基板40と電気的に接続された状態で配置されている。このように構成すれば、第1操作部55aおよび第2操作部55bと制御基板40とが共に、上方側筐体57aおよび下方側筐体57bの一方に設けられる。その結果、上方側筐体57aと下方側筐体57bとが分割可能な構成においても、第1操作部55aおよび第2操作部55bと制御基板40との間の配線を短くすることができる。
【0062】
また、本実施形態では、上記のように、制御基板40は、下方側筐体57bに収容されている。また、第1操作部55aは、下方側筐体57bの第1面部分53に対応する部分において、制御基板40と電気的に接続された状態で配置されている。また、第2操作部55bは、下方側筐体57bの第2面部分54に対応する部分において、制御基板40と電気的に接続された状態で配置されている。このように構成すれば、第1操作部55aおよび第2操作部55bと制御基板40とが共に、下方側筐体57bに設けられる。その結果、上方側筐体57aと下方側筐体57bとが分割可能な構成においても、第1操作部55aおよび第2操作部55bと制御基板40との間の配線を短くすることができる。また、下方側筐体57bが固定された状態で上方側筐体57aを移動させることにより筐体部50が分割される場合に、第1操作部55aおよび第2操作部55bが下方側筐体57bに設けられることによって、ユーザは、第1操作部55aおよび第2操作部55bに対して容易に入力操作を行うことができる。
【0063】
また、本実施形態では、上記のように、筐体部50は、直方体形状を有している。また、第1操作部55aは、直交する方向と直交するように延びる筐体部50の一対の側面56のうち一方に設けられる第1面部分53に配置されている。また、第2操作部55bは、一対の側面56のうち他方に設けられる第2面部分54に配置されている。このように構成すれば、ユーザは、一対の側面56の一方側および他方側のいずれにいる場合でも、第1操作部55aまたは第2操作部55bに対して入力操作を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態では、上記のように、第1操作部55aと、第2操作部55bとは、互いに同一の機能を有する。このように構成すれば、第1操作部55aおよび第2操作部55bのいずれを用いても、同様の操作を行うことができる。
【0065】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0066】
たとえば、上記実施形態では、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々に対して入力操作が行われることにより、励磁部10への電流の導通が制御される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々に対して入力操作が行われることにより、励磁部10への電流の導通の制御以外の制御(たとえば、励磁部10において導通する電流値の変更制御)が行われていもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々において、表示灯55g(第1報知部)、表示灯55h(第2報知部)、および表示灯55i(第3報知部)が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々において、表示灯55g、表示灯55h、および表示灯55iのうちのいずれか1つまたは2つが設けられていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、表示灯55g~55i(第1~第3報知部)が点灯式の表示灯である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、点灯式の表示灯の代わりに、文字等が表示される表示パネルが設けられていてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、スイッチ55eおよびスイッチ55fがメンブレンスイッチである例を示したが、本発明はこれに限られない。スイッチ55eおよびスイッチ55fがメンブレンスイッチ以外のスイッチ(たとえば、タッチパネルおよびトグルスイッチ等)であってもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、第1操作部55aおよび第2操作部55bが下方側筐体57bに設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。第1操作部55aおよび第2操作部55bが上方側筐体57aに設けられていてもよい。この場合、制御基板40は、上方側筐体57aにおいて第1操作部55aおよび第2操作部55bの各々と電気的に接続された状態で収容される。
【0071】
また、上記実施形態では、筐体部50が直方体形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、筐体部50が円柱(円筒)形状を有していてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、センサユニット100(ワイヤロープ検査装置)が固定された状態でワイヤロープWが移動される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ワイヤロープWが固定された状態で、センサユニット100が移動されてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、第1検知コイル31aと第2検知コイル31bとによってワイヤロープWを取り囲むように検知コイル31を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、1つの検知コイルによってワイヤロープWを取り囲むように構成してもよい。すなわち、フレキシブル基板の導体によって検知コイルを構成するとともに、フレキシブル基板をワイヤロープWに巻き付けるように配置するようにしてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、磁界印加部20によって予め磁界が整えられた状態のワイヤロープWの磁束を励振して検知する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、磁界印加部20を設けずに、磁界を整えないで磁束を検知するようにしてもよい。また、磁界印加部20が検知部30に対して一方側にのみ設けられる例を示したが、磁界印加部20が検知部30に対して両側に設けられていてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、検知コイル31によって全磁束法によるワイヤロープWの磁束の検知を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、検知コイルを、ワイヤロープWの外表面からの漏洩磁束を検知するように構成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、センサユニット100(ワイヤロープ検査装置)によって単一のワイヤロープWの検査が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、センサユニットが複数のワイヤロープWを同時に検査可能に構成されていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、ワイヤロープWを挟んで互いに対向するように設けられた磁界印加部20aおよび磁界印加部20bが、それぞれN極をワイヤロープW側に向けるように配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、2つの磁界印加部が、N極とS極とをそれぞれワイヤロープWに向けるように配置されていてもよい。また、2つの磁界印加部は、互いに対向する方向ではなく、ワイヤロープWの延びる方向に沿ってN極とS極とを配置するように配置されていてもよい。その場合、2つの磁界印加部は同じ向きでもよいし異なる向きでもよい。また、磁界印加部は、ワイヤロープWの延びる方向に沿って平行な向きから、斜めにずれた向きに磁界を印加するように配置されていてもよい。また、1つの磁界印加部を、ワイヤロープWの延びる方向と交わる方向の片側に配置してもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、磁界印加部20を永久磁石によって構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、磁界印加部を、電磁石によって構成してもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、上方側筐体57aと下方側筐体57bとが鉛直方向に分割される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、上方側筐体57aが下方側筐体57bに対してX方向に相対的に移動可能に構成されることにより、筐体部50が分割されてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、センサユニット100(ワイヤロープ検査装置)からの磁束信号に基づいてワイヤロープWの状態(断線の有無等)をコントロールユニット101が判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。センサユニット100自身がワイヤロープWの状態(断線の有無等)の判定を行ってもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、第1検知コイル31aおよび第2検知コイル31bを、それぞれ独立した鞍型コイルとして構成するとともに、第1検知コイル31aと第2検知コイル31bとの各々から別個の磁束信号を取得する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、第1検知コイルと第2検知コイルとの2つの鞍型コイルを接続することによって、1つの磁束信号を取得するようにしてもよい。また、第1検知コイルと第2検知コイルとを接続することによって、鞍型コイルではなく1つのソレノイドコイルとしてワイヤロープWの延びる方向に沿って巻回されるように構成してもよい。すなわち、第1検知コイルと第2検知コイルとの各々に端子部を設けるとともに、第1検知コイルの端子部と第2検知コイルの端子部を接続することによって、1つのソレノイドコイルを構成するようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、磁界(磁束)の変化とは、励磁部10(励振コイル11)によりワイヤロープWに印加する磁界(磁束)の強さを時間変化させることによって検知部30(検知コイル31)において検知される磁界(磁束)の強さの時間的な変化を意味することを示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、磁界(磁束)の変化が、励磁部10(励振コイル11)を用いることなく、ワイヤロープWと検知部30(検知コイル31)とを相対移動させることにより検知部30(検知コイル31)において検知される磁界(磁束)の強さの時間的な変化を意味していてもよい。
【0083】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0084】
(項目1)
水平方向に沿って延びる検査対象であるワイヤロープに対して相対的に移動するワイヤロープ検査装置であって、
前記ワイヤロープが貫通されるとともに、前記ワイヤロープに対する相対移動方向および鉛直方向の各々に直交する方向の一方側を向くように設けられる第1面部分と、前記直交する方向の他方側を向くように設けられる第2面部分とを含む筐体部と、
前記筐体部に収容されるとともに前記筐体部内における前記ワイヤロープの部分の磁束を検知する検知部と、
前記検知部を制御するための入力操作が行われる操作部と、を備え、
前記操作部は、前記第1面部分に配置される第1操作部と、前記第2面部分に配置される第2操作部とを含む、ワイヤロープ検査装置。
【0085】
(項目2)
前記検知部は、前記ワイヤロープに対して磁界を印加する励磁部と、前記励磁部により磁界が印加される前記ワイヤロープの磁束を検知する検知コイルと、を含み、
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、入力操作が行われることにより前記励磁部への電流の導通が制御されるように構成されている、項目1に記載のワイヤロープ検査装置。
【0086】
(項目3)
前記検知コイルは、前記ワイヤロープの延びる方向に沿って前記ワイヤロープを巻回するように設けられている、項目2に記載のワイヤロープ検査装置。
【0087】
(項目4)
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、少なくとも前記検知部が異常状態であることを表示することにより前記異常状態を報知する第1報知部を含む、項目1~3のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【0088】
(項目5)
前記検知部は、前記ワイヤロープに対して磁界を印加する励磁部と、前記励磁部により磁界が印加される前記ワイヤロープの磁束を検知する検知コイルと、を含み、
前記励磁部は、励振コイルを有し、
前記第1報知部は、前記励振コイルおよび前記検知コイルの少なくとも一方が断線状態であるか否かを表示するように構成されている、項目4に記載のワイヤロープ検査装置。
【0089】
(項目6)
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、前記励磁部への電流の導通状態を表示することにより前記導通状態を報知する第2報知部を含む、項目5に記載のワイヤロープ検査装置。
【0090】
(項目7)
前記第1操作部および前記第2操作部の各々は、外部からの電力供給状態を表示することにより前記電力供給状態を報知する第3報知部を含む、項目5または6に記載のワイヤロープ検査装置。
【0091】
(項目8)
前記筐体部は、互いに分割可能な状態で係合される上方側筐体と下方側筐体とを含み、
前記上方側筐体および前記下方側筐体のうち一方に収容される制御基板をさらに備え、
前記第1操作部は、前記上方側筐体および前記下方側筐体のうち前記制御基板が収容される一方の、前記第1面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されており、
前記第2操作部は、前記上方側筐体および前記下方側筐体のうち前記制御基板が収容される一方の、前記第2面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されている、項目1~7のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【0092】
(項目9)
前記制御基板は、前記下方側筐体に収容されており、
前記第1操作部は、前記下方側筐体の前記第1面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されており、
前記第2操作部は、前記下方側筐体の前記第2面部分に対応する部分において、前記制御基板と電気的に接続された状態で配置されている、項目8に記載のワイヤロープ検査装置。
【0093】
(項目10)
前記筐体部は、直方体形状を有しており、
前記第1操作部は、前記直交する方向と直交するように延びる前記筐体部の一対の側面のうち一方に設けられる前記第1面部分に配置されており、
前記第2操作部は、前記一対の側面のうち他方に設けられる前記第2面部分に配置されている、項目1~9のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【0094】
(項目11)
前記第1操作部と、前記第2操作部とは、互いに同一の機能を有する、項目1~10のいずれか1項に記載のワイヤロープ検査装置。
【符号の説明】
【0095】
10 励磁部
11 励振コイル
30 検知部
31 検知コイル
40 制御基板
50 筐体部
53 第1面部分
54 第2面部分
55 操作部
55a 第1操作部
55b 第2操作部
55g 表示灯(第1報知部)
55h 表示灯(第2報知部)
55i 表示灯(第3報知部)
56 側面
57a 上方側筐体
57b 下方側筐体
100 センサユニット(ワイヤロープ検査装置)
W ワイヤロープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9