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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125643
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20220822BHJP
   B62D 21/09 20060101ALI20220822BHJP
   B60P 1/54 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B62D21/00 B
B62D21/09 Z
B60P1/54 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023345
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(71)【出願人】
【識別番号】393008360
【氏名又は名称】株式会社タダノエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110001704
【氏名又は名称】弁理士法人山内特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金川 盛治
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA14
3D203BA06
3D203BA12
3D203BC30
3D203CA52
3D203CB07
3D203CB09
3D203CB12
3D203DB13
(57)【要約】
【課題】前後フレームの強度向上のための作業時間を短縮することができ、すでに車両側に付属していた機器の取り付け不良等の可能性をゼロにすることができる作業車両を提供する。
【解決手段】作業車両10は、運転室27と荷台28の間にクレーン装置21を設けている。作業車両10は、前後フレーム36と、荷台28を支持する根太構成と、クレーン装置の下方に後方に伸長して設けられたサブ前後フレーム37と、を備えている。そしてサブ前後フレーム37が前後フレーム36の上面に接着されている。この構成により、前後フレーム36の強度を向上させるとともに、強度向上のための作業時間を短縮することができる。また、溶接を用いないので、前後フレーム36に付属している機器を取り外す必要がなく、車両側に付属していた機器の取り付け不良等の可能性をゼロにすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室と荷台の間にクレーン装置を設けた作業車両において、
前記運転室の下方から前記荷台の下方まで伸長する前後フレームと、
前記前後フレームの上方に設けられ、前記荷台を支持する根太構成と、
前記クレーン装置の下方に後方に伸長して設けられたサブ前後フレームと、
を備え、
前記サブ前後フレームが前記前後フレームの上面に接着されている、
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記サブ前後フレームは、溝形形状鋼であり、前後軸に垂直な断面において左右方向のいずれかに向けて開口している、
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記サブ前後フレームの上下長は、前記根太構成のうち前後方向に伸長する縦根太の上下長以下である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記サブ前後フレームの後側端部よりも後方に、前記根太構成のうち前後方向に伸長する縦根太の前側端部が位置している、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の作業車両。
【請求項5】
前記サブ前後フレームと前記前後フレームとは、剥離を防止するためのブラケットを介してボルトによって係止されている、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の作業車両。
【請求項6】
前記サブ前後フレームの開口している部分であって、前記クレーン装置の下方に、補強板が設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。さらに詳しくは、シャシを構成する前後フレームが補強されている作業車両に関する。なお本明細書においては、特記した場合を除き、前後左右上下の記載は、作業車両の運転室に作業車両の使用者が搭乗した状態での使用者を基準として前後左右上下とする。
【背景技術】
【0002】
作業車両の一種である積載形トラッククレーンでは、クレーン装置を装備するために、シャシの前後フレームの強度を上げる必要がある。この前後フレームとは、作業車両の前後方向に延びるフレームを意味する。図7には、従来の作業車両のシャシを構成する前後フレーム51(左側前後フレーム51aおよび右側前後フレーム51b)の斜視図を、図8には、従来の作業車両において、前後フレーム51にクレーン装置21を配置した場合の側面図を示す。前後フレーム51は複数のクロスメンバ51cにより結合されている。従来前後フレーム51の強度向上は、これらの図に示すように、前後フレーム51に対して補強部材52(上側補強部材52aおよび下側補強部材52b)を直接溶接(またはボルト締結)することで行われていた。また、特許文献1では、前後フレームには直接溶接を行わず、補強部材同士を溶接することで、前後フレームの強度向上を図る方法が開示されている。
【0003】
また、前後フレームの補強として、サブフレーム補強と呼ばれる方法がある。この方法では、前後フレームの上にサブ前後フレームを搭載し、前後フレームとサブ前後フレームとをブラケットまたはUボルトなどを用いて数か所を固定する方法である。この方法は、先に述べた溶接補強に対し、車両機器の取り外しが不要となる長所がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-66638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の積載形トラッククレーン等の作業車両の製造では、走行可能な汎用トラックの前後フレーム51から、いったん荷台、燃料タンクおよびバッテリ等の付属物を取り外した後に、前後フレーム51の強度を上げてから再度燃料タンクおよびバッテリ等の付属物を取り付け直し、クレーン装置21と荷台28とを取り付ける。これは上で述べたように前後フレーム51の強度を上げる方法として前後フレーム51の側面に溶接(またはボルト締結)を行うためである(なお、多くのトラックメーカでは、前後フレーム51の「上下面」への溶接および穴あけが禁止されている)。
しかるに近年トラックでは、法規制対応による排ガス処理装置の大型化、および安全装置等の機器の追加などにより、車両側の機器が増加している。このため前後フレーム51に直接溶接したり、補強部材同士を溶接したりする際に、取り外さなければいけない機器が多くなり、前後フレーム51の強度を向上させるために行う作業のための作業時間が多くなっているという問題がある。
また、一度車両側の機器を取り外して復元する必要があり、取り付け不良または配線配管の誤接続が起こる可能性をゼロにできないという問題がある。
次にサブフレーム補強では、前後フレームとサブ前後フレームとの結合が数か所の固定のみとなるため、上記した溶接補強に比べ、前後フレームとサブ前後フレームとの一体感は劣り、前後フレームの下面を先に述べた補強と同等の強度を保とうとするとサブ前後フレームの高さが高くなる。これにより、作業車両全体の重量が増加する。作業車両の一種である積載形トラッククレーンは荷物の積載ができることが特徴であるが、サブ前後フレームの高さが高くなると、荷台床面高さが高くなることによる積載作業性の低下および、重量増加による積載量減少を招くこととなり、商品としての価値が減じるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、従来の補強材52取り付けによる溶接補強と比較して、荷物の前後フレームの強度向上のための作業時間を短縮することができ、すでに車両側に付属していた機器の取り付け不良等の可能性をゼロにすることができ、さらに従来のサブフレーム補強と比較して、荷物の積載作業性低下と積載量の減少を防止し、商品価値を維持することが可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の作業車両は、運転室と荷台の間にクレーン装置を設けた作業車両において、前記運転室の下方から前記荷台の下方まで伸長する前後フレームと、前記前後フレームの上方に設けられ、前記荷台を支持する根太構成と、前記クレーン装置の下方に後方に伸長して設けられたサブ前後フレームと、を備え、前記サブ前後フレームが前記前後フレームの上面に接着されていることを特徴とする。
第2発明の作業車両は、第1発明において、前記サブ前後フレームは、溝形形状鋼であり、前後軸に垂直な断面において左右方向のいずれかに向けて開口している
ことを特徴とする。
第3発明の作業車両は、第1発明または第2発明において、前記サブ前後フレームの上下長は、前記根太構成のうち前後方向に伸長する縦根太の上下長以下であることを特徴とする。
第4発明の作業車両は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記サブ前後フレームの後側端部よりも後方に、前記根太構成のうち前後方向に伸長する縦根太の前側端部が位置していることを特徴とする。
第5発明の作業車両は、第1発明から第4発明のいずれかにおいて、前記サブ前後フレームと前記前後フレームとは、剥離を防止するためのブラケットを介してボルトによって係止されていることを特徴とする。
第6発明の作業車両は、第2発明において、前記サブ前後フレームの開口している部分であって、前記クレーン装置の下方に、補強板が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、作業車両が、クレーン装置の下方に、後方に伸長するサブ前後フレームを備え、このサブ前後フレームが、前後フレームの上面に接着されていることにより、前後フレームの強度を向上させることができる。また、溶接を用いないので、前後フレームに付属している機器を取り外す必要がなく、強度向上のための作業時間を短縮することができるとともに、車両側に付属していた機器の取り付け不良等の可能性をゼロにすることができる。また、サブ前後フレームの上下長を短くできるので、荷物の積載量の減少を防止し、作業車両の商品価値を維持することができる。
第2発明によれば、サブ前後フレームが溝形形状鋼であり、前後軸に垂直な断面において左右方向のいずれかに向けて開口していることにより、サブ前後フレームの重量を抑制しながら前後フレームの強度を向上することができる。
第3発明によれば、サブ前後フレームの上下長が、縦根太の上下長以下であることにより、従来の荷台の床面高さを変更することなしに前後フレームの強度を向上させることができる。
第4発明によれば、サブ前後フレームの後側端部よりも後方に、縦根太の前側端部が位置していることにより、縦根太とサブ前後フレームとの干渉を防止することができる。
第5発明によれば、サブ前後フレームと前後フレームとは、剥離を防止するためのブラケットを介してボルトにより係止されていることにより、前後フレームが撓むことによる接着剤の剥離を防止できる。
第6発明によれば、サブ前後フレームの開口している部分であって、クレーン装置の下方に、補強板が設けられていることにより、サブ前後フレームがクレーン装置の重量、または結合部材によるクレーン装置と前後フレームの締結により変形することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る作業車両のシャシを構成する前後フレームの斜視図である。
図2図1の作業車両の側面図である。
図3図1の作業車両の前後フレームの要部の説明図である。(A)が側面図、(B)が平面図、(C)が背面図である。
図4図1の作業車両において、前後フレームにクレーン装置を配置した場合の側面図である。
図5図4の斜視図である。
図6図1の作業車両の荷台の分解斜視図である。
図7】従来の第1実施形態に係る作業車両のシャシを構成する前後フレームの斜視図である。
図8】従来の第1実施形態に係る作業車両において、前後フレームにクレーン装置を配置した場合の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。まず、本発明の対象となる作業車両の一種である積載形トラッククレーン10について説明をした後、この構成要素である前後フレーム36およびその周辺について説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための作業車両を例示するものであって、本発明は作業車両を以下のものに特定しない。なお、各図面が示す部材の大きさまたは位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
【0011】
<第1実施形態>
(積載形トラッククレーン10)
本発明に係る作業車両の一つである積載形トラッククレーン10を用いて本発明を説明する。
【0012】
図2には本発明の第1実施形態に係る作業車両の積載形トラッククレーン10の側面図を示す。図2に示すように、積載形トラッククレーン10は、汎用トラック20の運転室27と荷台28との間にクレーン装置21が設けられている。具体的にクレーン装置21は、運転室27の下方から荷台28の下方まで伸長する前後フレーム36に搭載されている。汎用トラック20には、左右対称に前輪22が設けられている。さらに汎用トラック20には、左右対称に後輪23が設けられている。前後フレーム36は、この前輪22と後輪23との間の長さ以上の長さを有している。
【0013】
図2に示すように、クレーン装置21は、前後フレーム36上に固定されたベース30と、ベース30に対して旋回可能に設けられたポスト31と、ポスト31の上端部に起伏可能に設けられたブーム32と、ベース30に設けられ、ベース30から左右外側へ張出すアウトリガ装置33と、を備えている。すなわちアウトリガ装置33は、側面方向から見て運転室27と荷台28との間に位置している。アウトリガ装置33の左右先端には、油圧により伸縮するジャッキがそれぞれ設けられている。
【0014】
ポスト31にはウインチが内蔵されている。このウインチからワイヤロープをブーム32の先端にあるシーブ50に導いて、ブーム32先端部のシーブ50を介してフック34に掛け回すことにより、フック34をブーム32の先端部から吊り下げている。
【0015】
(前後フレーム36周辺の構成等)
図1には、本発明の第1実施形態に係る作業車両のシャシ29を構成する、2本の前後フレーム36の斜視図を、図3にはその要部の説明図を示す。図3(A)は、前後フレーム36の要部の側面図、図3(B)はその要部の平面図、図3(C)はその要部の背面図である。
【0016】
本実施形態では、前後フレーム36は左右に一対になって配置されている。そして、それぞれの前後フレーム36は、その上面に接着されているサブ前後フレーム37を有している。具体的には左側前後フレーム36aの上面には左側サブ前後フレーム37aが配置されており、右側前後フレーム36bの上面には右側サブ前後フレーム37bが配置されている。そして、サブ前後フレーム37はいずれも鉄製である。
【0017】
前後フレーム36は、溝形形状鋼である。すなわち、前後フレーム36は、JISで規定される溝形鋼に似た形状を有しており、その長手方向の軸心に垂直な断面において、一部が開口したC型形状をしている。ここで「長手方向」とは作業車両の前後軸を言う。そして2本の前後フレーム36は、その開口を互いに向き合うように配置されている。前後フレーム36の形状は、これに限定されない。ただし、その上面は平面であることが好ましい。
【0018】
左側前後フレーム36aと右側前後フレーム36bとは、複数のクロスメンバ39で結合されている。クロスメンバ39で結合されていることにより左側前後フレーム36aと右側前後フレーム36bとの間の距離は一定に保持されている。
【0019】
サブ前後フレーム37は、溝形形状鋼である。サブ前後フレーム37は、JISで規定される溝形鋼に似た形状をしており、その長手方向の軸心に垂直な断面において、一部が開口したC型形状をしている。そして2本のサブ前後フレーム37は、その開口を互いに向き合うように配置されている。サブ前後フレーム37の形状は、これに限定されない。例えばその長手方向の軸心に垂直な断面において、矩形など中実な形状を有する場合もある。ただし、その下面は平面であることが好ましい。
【0020】
また、サブ前後フレーム37の開口部であって、クレーン装置21を組み立てたときに、このクレーン装置21の下方に位置する部分に、この開口部を閉じるように補強板35を設けることも可能である。このように補強板35が設けられることにより、サブ前後フレーム37がクレーン装置21の重量、または結合部材24によるクレーン装置21と前後フレーム36の締結により変形することを防止できる。
【0021】
サブ前後フレーム37は、前後フレーム36の強度を向上させるため鉄製であることが好ましい。「鉄製」とは、Fe単体ではなく、Feの他にCrなどFe以外の元素を含んでいる合金を含む。
【0022】
本実施形態では、前後フレーム36とサブ前後フレーム37とは、接着剤で接着されている。具体的には前後フレーム36の上面と、サブ前後フレーム37の下面とが接着剤で接着されている。接着剤は特に限定されない。ただし、引っ張りせん断接着強さおよび剥離接着強さが高く、耐久性の高いものが好ましい。例えば、2液型アクリル系構造用接着剤が、性能もよく、取り扱いが容易であり好ましい。
【0023】
図1および図3に示すように前後フレーム36とサブ前後フレーム37とは、複数のブラケット38を介してボルトによって係止されている。たとえばブラケット38の一つは、サブ前後フレーム37の後方端部近傍に設けられている。これは、接着剤は一般的に剥離方向に働く力には弱いため、これを補うためのものであり、前後フレームが撓むことによる剥離を防止できる。このブラケット38と前後フレーム36との結合は、ボルト結合である。またこのブラケット38とサブ前後フレーム37との結合も同じくボルト結合である。なおブラケット38および前後フレーム36、またはブラケット38およびサブ前後フレーム37の間の結合はボルト結合に限定されない。
【0024】
図4には、本発明の第1実施形態に係る作業車両において、前後フレーム36にクレーン装置21を配置した場合の側面図を、図5には、その斜視図を示す。これらの図に示すように、クレーン装置21は、サブ前後フレーム37の前側に設けられている。そして、クレーン装置21は、結合部材24により、前後フレーム36とサブ前後フレーム37とを合わせた状態で結合されている。
【0025】
シャシ29が、前後フレーム36と、その前後フレーム36の上面に鉄製のサブ前後フレーム37を有し、前後フレーム36とサブ前後フレーム37とが接着されることにより、シャシ29の強度を向上させることができる。
【0026】
また前後フレーム36に、サブ前後フレーム37が接着されている、すなわちシャシ29を、溶接を用いずに構成しているので、前後フレーム36に付属している機器を取り外す必要がなく、強度向上のための作業時間を短縮することができるとともに、車両側に付属していた機器の取り付け不良等の可能性をゼロにすることができる。また、サブフレーム補強でありながら、接着により前後フレーム36とサブ前後フレーム37とが結合されているので、従来のサブフレームよりも上下長が短いサブフレームで同等の強度を確保できる。これにより従来はサブフレーム補強をすることにより荷台床面高さが高くなっていたところ、荷台床面高さを変えることなく、荷物の積載量の減少を防止し、作業車両の商品価値を維持することができる。
【0027】
サブ前後フレーム37は、その長手方向の軸心、すなわち前後軸に垂直な断面において、左右方向に開口した溝形形状鋼を含んで構成されていることにより、サブ前後フレーム37の重量を抑制しながら前後フレーム36の強度を向上することができる。
【0028】
図6には、本実施形態に係る作業車両の荷台28の分解斜視図を示す。荷台28は、最も下の位置に縦根太28bと呼ばれる、前後方向に長手方向を有する構造部材が2本配置されている。これら2本の縦根太28bの間隔は、2本の縦根太28bがそれぞれ2本ある前後フレーム36の上に配置されるように設けられている。
【0029】
本実施形態では、サブ前後フレーム37とは別の構成として、荷台28の縦根太28bが設けられている。サブ前後フレーム37は、前後フレーム36と合わせた状態で、荷重に合わせた種々のクレーン装置21が搭載される。また、使用時のモーメントをさらに考慮して、前後フレーム36と合わせた剛性を計算する必要がある。このため、縦根太28bとサブ前後フレーム37とは、別の構成として設けられることが好ましい。
【0030】
これら縦根太28bの上に、縦根太28bの長手方向に対して、その長手方向が直角になるように配置された横根太28cが、あらかじめ定められた間隔で配置されている。そしてこの横根太28cの上に床板28aが設けられている。この縦根太28bと横根太28cとを合わせた構成を根太構成と言う。これらの構成部材は、互いに溶接、ボルト止めなどの方法により結合されている。併せて荷台28は、荷台28の最前部に、荷台28に積載された荷物がクレーン装置21または運転室27と衝突しないように、鳥居28dが設けられている。
【0031】
図4に示すように、本実施形態では、作業車両の前後フレーム36の上に荷台28が設けられている。そして、サブ前後フレーム37の上下長が、荷台28を構成する縦根太28bの上下長以下となっている。
【0032】
サブ前後フレーム37の上下長が、縦根太28bの上下長以下であることにより、サブ前後フレーム37が加えられることによる荷台28の高さの変更を必要としない。すなわち、従来の荷台28の高さを変更することなしに前後フレーム36の強度を向上させることができる。なお、サブ前後フレーム37と横根太28cとの間には縦根太28bと同じ高さとなるようにスペーサが設けられる。
【0033】
また、図4に示すように、本実施形態に係る作業車両では、縦根太28bは、床板28aの前端から後端にわたる長さではなく、床板28aの前側三分の一程度をなくし、床板28aの後側三分の二程度の長さとしている。すなわちサブ前後フレーム37の後側端部よりも後方に、縦根太28bの前側端部が位置するように、サブ前後フレーム37は設けられている。サブ前後フレーム37の単位長さ当たりの重量は、縦根太28bの単位長さ当たりの重量よりも重いので、サブ前後フレーム37の長さを短くして、積載形トラッククレーン10全体として軽量化が達成できる。
【0034】
横根太28cは、縦根太28b上と、その前側に配置されたサブ前後フレーム37に、縦根太28bと同じ高さになるように設けられたスペーサ上に配置される。
【0035】
<他の実施形態>
第1実施形態では、作業車両の一種である積載形トラッククレーン10について説明を行ったが、作業車両は、積載形トラッククレーン10に限定されない。例えば、シャシ29を構成する前後フレーム36が補強されている作業車両としては、重機運搬車であるセルフローダが該当する。
【0036】
また、第1実施形態では、積載形トラッククレーン10は、左右にそれぞれ後輪23を有していたが、これに限定されない。たとえば後輪23は、前後に複数配置される場合がある。この場合、前後フレーム36の長さは、前輪22と、最後部に位置する後輪23との間の長さ以上の長さを有している。
【符号の説明】
【0037】
10 積載形トラッククレーン(作業車両の一種)
21 クレーン装置
27 運転室
28 荷台
28b 縦根太
28c 横根太
36 前後フレーム
37 サブ前後フレーム
38 ブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8