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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125644
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20220822BHJP
   B65H 7/14 20060101ALI20220822BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G03G21/00 370
B65H7/14
G03G15/00 405
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023347
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】石川 知明
【テーマコード(参考)】
2H072
2H270
3F048
【Fターム(参考)】
2H072AA12
2H072AA23
2H072AB19
2H072HA07
2H270LC07
2H270LC11
2H270LD15
2H270MB27
2H270MC56
2H270MC57
2H270PA14
2H270ZC03
2H270ZC04
3F048AA01
3F048AB01
3F048BA05
3F048BA07
3F048BB03
3F048BB05
3F048BB08
3F048BD07
3F048CA03
3F048CC03
3F048DA01
3F048DA06
3F048EA01
3F048EB11
3F048EB21
3F048EB38
(57)【要約】
【課題】媒体収容部において媒体が適正に設定されていない場合に、給紙・搬送不良が発生するのを防止することができるようにする。
【解決手段】媒体収容部と、画像形成部と、媒体を給紙し、画像形成部に送る給紙部材と、媒体収容部の開閉を検出する開閉検出部と、媒体の給紙を検出する給紙検出部と、媒体の設定を行う媒体設定部と、媒体収容部の開閉が検出された場合に、媒体を給紙し、給紙媒体長を決定し、給紙媒体長及び設定媒体長の判定を行う媒体長判定処理部と、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、画像を形成せず、前記差が閾値以下である場合に、画像を形成する印刷処理部Pr1とを有する。給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に画像が形成されないので、操作者は媒体の設定が適正でないことを知ることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)装置本体に対して開閉自在に配設され、媒体を収容する複数の媒体収容部と、
(b)上位装置から受信した印刷データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部と、
(c)前記各媒体収容部に接続された給紙路に配設され、媒体収容部から繰り出された媒体を給紙し、前記画像形成部に送る給紙部材と、
(d)前記媒体収容部の開閉を検出する開閉検出部と、
(e)前記給紙路に配設され、媒体の給紙を検出する給紙検出部と、
(f)前記媒体収容部に収容される媒体の設定を行う媒体設定部と、
(g)前記画像形成部による画像の形成が開始される前に所定の媒体収容部の開閉が検出された場合に、前記所定の媒体収容部から1枚目の媒体を給紙し、前記給紙検出部による1枚目の媒体の給紙の検出に基づいて給紙媒体長を決定し、該給紙媒体長及び前記媒体設定部による媒体の設定に基づいて取得した設定媒体長の判定を行う媒体長判定処理部と、
(h)給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、画像形成部において1枚目の媒体に画像を形成せず、前記差が閾値以下である場合に、画像形成部において1枚目の媒体に画像を形成する印刷処理部とを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値以下である場合に、前記給紙媒体長に応じて設定された給紙タイミングで、媒体収容部から2枚目以降の媒体を給紙する給紙処理部を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
(a)前記媒体長判定処理部は、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、前記所定の媒体収容部から2枚目の媒体を給紙するとともに、画像形成部を通過した1枚目の媒体を媒体搬送路に給紙し、前記給紙検出部による媒体の給紙の検出に基づいて給紙媒体長を再び算出し、再び算出された給紙媒体長と設定媒体長との判定を行い、
(b)前記給紙処理部は、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、給紙を中止し、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値以下である場合に、1枚目の媒体について再び算出された給紙用紙長に応じて設定された給紙タイミングで給紙を行う請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
1枚目の媒体は、媒体に対して両面印刷を行う際の媒体搬送路を介して給紙される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
(a)前記媒体設定部は、トレイに収容される媒体が厚紙である場合に、媒体の設定を第1の設定とし、トレイに収容される媒体が薄紙である場合に、媒体の設定を第2の設定とし、
(b)前記媒体長判定処理部は、媒体設定部によって媒体の設定が第2の設定とされている場合に、前記閾値を小さくする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
(a)前記媒体設定部は媒体のサイズに応じて媒体の設定を行い、
(b)前記媒体長判定処理部は、前記媒体のサイズが小さい場合に前記閾値を小さくする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記媒体設定部は、制御部に配設された媒体設定処理部であり、該媒体設定処理部の決定によって媒体が設定される請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記媒体設定部は、前記媒体収容部に配設された媒体設定機構部であり、該媒体設定機構部の決定によって媒体が設定される請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記給紙検出部は、前記給紙路に配設された給紙部材より下流側に配設される請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置、例えば、プリンタにおいては、媒体収納装置としての用紙収納装置に複数の媒体収容部としてのトレイが配設され、各トレイに収容された媒体としての用紙が、給紙装置によって用紙搬送路に給紙され、画像形成部に供給されて画像が形成されて、印刷が行われるようになっている。
【0003】
ところで、各トレイに収容された用紙とサイズが異なる用紙に対して印刷を行う場合、操作者が手差しによって給紙をすることがあるが、手差しによって給紙された用紙に対して適正に印刷を行うことができるように、手差しによって給紙された用紙の長さ及び幅が測定され、給紙された用紙のサイズに合わせてビットマップデータが編集されるようにしたプリンタが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-321847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のプリンタにおいては、手差しを行わず、所定のトレイに収容されている用紙をサイズが異なる用紙と入れ替えて印刷を行う場合に、前記所定のトレイにおける用紙の設定が変更されないまま用紙が給紙されたり、用紙が搬送されたりすると、重送、ジャム等の給紙・搬送不良が発生することがある。
【0006】
本発明は、前記従来のプリンタの問題点を解決して、媒体収容部において媒体が適正に設定されていない場合に、給紙・搬送不良が発生するのを防止することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の画像形成装置においては、装置本体に対して開閉自在に配設され、媒体を収容する複数の媒体収容部と、上位装置から受信した印刷データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部と、前記各媒体収容部に接続された給紙路に配設され、媒体収容部から繰り出された媒体を給紙し、前記画像形成部に送る給紙部材と、前記媒体収容部の開閉を検出する開閉検出部と、前記給紙路に配設され、媒体の給紙を検出する給紙検出部と、前記媒体収容部に収容される媒体の設定を行う媒体設定部と、前記画像形成部による画像の形成が開始される前に所定の媒体収容部の開閉が検出された場合に、前記所定の媒体収容部から1枚目の媒体を給紙し、前記給紙検出部による1枚目の媒体の給紙の検出に基づいて給紙媒体長を決定し、該給紙媒体長及び前記媒体設定部による媒体の設定に基づいて取得した設定媒体長の判定を行う媒体長判定処理部と、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、画像形成部において1枚目の媒体に画像を形成せず、前記差が閾値以下である場合に、画像形成部において1枚目の媒体に画像を形成する印刷処理部とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置においては、装置本体に対して開閉自在に配設され、媒体を収容する複数の媒体収容部と、上位装置から受信した印刷データに基づいて媒体に画像を形成する画像形成部と、前記各媒体収容部に接続された給紙路に配設され、媒体収容部から繰り出された媒体を給紙し、前記画像形成部に送る給紙部材と、前記媒体収容部の開閉を検出する開閉検出部と、前記給紙路に配設され、媒体の給紙を検出する給紙検出部と、前記媒体収容部に収容される媒体の設定を行う媒体設定部と、前記画像形成部による画像の形成が開始される前に所定の媒体収容部の開閉が検出された場合に、前記所定の媒体収容部から1枚目の媒体を給紙し、前記給紙検出部による1枚目の媒体の給紙の検出に基づいて給紙媒体長を決定し、該給紙媒体長及び前記媒体設定部による媒体の設定に基づいて取得した設定媒体長の判定を行う媒体長判定処理部と、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、画像形成部において1枚目の媒体に画像を形成せず、前記差が閾値以下である場合に、画像形成部において1枚目の媒体に画像を形成する印刷処理部とを有する。
【0009】
この場合、画像形成部による画像の形成が開始される前に所定の媒体収容部の開閉が検出された場合に、前記所定の媒体収容部から1枚目の媒体が給紙され、前記給紙検出部による給紙の検出に基づいて給紙媒体長が決定され、該給紙媒体長及び前記媒体設定部によって設定された媒体の設定媒体長の判定が行われ、給紙媒体長と設定媒体長との差が閾値より大きい場合に、画像形成部において媒体に画像が形成されないので、操作者は前記所定の媒体収容部における媒体の設定が適正でないことを知ることができる。
【0010】
したがって、媒体収容部において媒体が適正に設定されていないまま媒体が給紙されたり、搬送されたりすることがないので、給紙・搬送不良が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図2】本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
図3】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の動作を示す第1のフローチャートである。
図4】本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
【0013】
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概略図である。
【0014】
図において、10はプリンタ、Csは該プリンタ10の外装である筐体、Bdはプリンタ10の本体、すなわち、装置本体である。前記筐体Csは、前壁Wf、背壁Wr、頂壁Wt、底壁Wb及び図示されない側壁を備える。
【0015】
また、St1は、前記装置本体Bdの下半部に配設され、各種のサイズの定形の媒体としての用紙Pを収容する第1の媒体収納装置としての用紙収納装置、St2は、該用紙収納装置St1より上方における前記前壁Wfに、装置本体Bd外に突出させて配設され、定形外の媒体としての用紙Pを収容する第2の媒体収納装置としての手差し収納装置、QAは、前記用紙収納装置St1より上方に配設され、用紙収納装置St1及び手差し収納装置St2から給紙された用紙Pに画像を形成する画像形成部である。
【0016】
該画像形成部QAは、像担持体としての感光体ドラム13を備えた画像形成ユニット11、転写部材としての転写ローラ15を備えた転写装置14、前記感光体ドラム13に潜像としての静電潜像を形成する露光装置としての図示されないLEDヘッド、並びに第1の定着部材としての加熱ローラ19及び第2の定着部材としての加圧ローラ20を備えた定着装置としての定着器17を備え、前記画像形成ユニット11において、前記静電潜像が現像剤としてのトナーによって現像されて現像剤像としてのトナー像が形成され、転写装置14において、前記トナー像が用紙収納装置St1及び手差し収納装置St2から給紙された用紙Pに転写され、定着器17において、用紙P上のトナー像が用紙Pに定着させられる。
【0017】
前記用紙収納装置St1は、下方から上方にかけて重ねて配設された複数の、本実施の形態においては、4個の媒体収容部としてのトレイTri(i=1、2、3、4)を備え、各トレイTriに、それぞれ所定のサイズの定形の用紙Pが収容される。
【0018】
前記各トレイTriは、同じ外寸法を有する箱体から成り、操作者が各用紙Pをセットすることができるように装置本体Bdに対して装脱自在に、すなわち、開閉自在に配設され、背壁Wr側において装置本体Bdから引き出されて開かれたり、装置本体Bdに押し込まれて閉じられたりする。各トレイTriは、用紙Pを積層して載置する載置台18、該載置台18に載置された用紙Pを繰り出す繰出部材としてのピックアップローラ21、載置台18を上方に向けて付勢し、最も上の用紙Pをピックアップローラ21に押し付ける付勢部材としてのスプリング22、各トレイTriの開閉を検出する開閉検出部としての後述される開閉センサεi(i=1、2、3、4)(図1)等を有する。なお、該開閉センサεiは、トレイTriが開かれるとオンになり、トレイTriが閉じられるとオフになる。
【0019】
また、前記手差し収納装置St2は一つの手差しトレイTrhを備え、該手差しトレイTrhは、各トレイTriと同様に、用紙Pを積層して載置する載置台18、該載置台18に載置された用紙Pを繰り出す繰出部材としてのピックアップローラ21、載置台18を上方に向けて付勢し、最も上の用紙Pをピックアップローラ21に押し付ける付勢部材としてのスプリング22等を有する。
【0020】
前記各トレイTriから繰り出された用紙Pは、トレイTriに接続されさた各給紙路τi(i=1、2、3、4)に給紙され、さらに、各給紙路τiで共通の給紙路τzに給紙された後、第1の媒体搬送路としての用紙搬送路Rt1に給紙される。また、手差しトレイTrhから繰り出された用紙Pは、給紙路τhに給紙された後、前記用紙搬送路Rt1に給紙される。
【0021】
用紙Pの一方の面(表面)に画像を形成する片面印刷を行う場合、用紙搬送路Rt1に給紙された用紙Pは、画像形成部QAに送られ、用紙Pの一方の面に画像が形成された後、装置本体Bd外に排出される。用紙Pの両方の面に画像を形成する両面印刷を行う場合、用紙搬送路Rt1に給紙された用紙Pは、画像形成部QAに送られ、用紙Pの一方の面に画像が形成された後、用紙搬送路Rt1から分岐させて形成された第2の媒体搬送路としての用紙退避路Rt2に送られ、該用紙退避路Rt2から更に分岐させて形成された第3の媒体搬送路としての反転用紙搬送路Rt3に送られることによって反転させられ、給紙路τzに合流させられ、再び用紙搬送路Rt1に給紙され、画像形成部QAに送られ、用紙Pの他方の面(裏面)に画像が形成される。
【0022】
前記各給紙路τiには、トレイTriから繰り出された用紙Pを給紙し、画像形成部QAに送る第1の給紙部材としての給紙ローラ対ki(i=1、2、3、4)が配設されるとともに、各給紙ローラ対kiより下流側に、用紙Pが給紙されたことを検出する第1の給紙検出器としての入口センサsi(i=1、2、3、4)が配設される。
【0023】
また、各給紙路τzには、各給紙路τiを介して給紙された用紙Pを用紙搬送路Rt1に給紙するための第2の給紙部材としてのレジストローラ対gi(i=1、2、3、4)が各給紙路τiに隣接させて配設される。
【0024】
さらに、前記給紙路τhには、手差しトレイTrhから繰り出された用紙Pを給紙する第3の給紙部材としての給紙ローラ対khが配設される。
【0025】
そして、給紙路τzと給紙路τhとの合流点に、用紙Pが給紙されたことを検出する第2の給紙検出器としての入口センサshが配設される。
【0026】
前記用紙搬送路Rt1における前記入口センサshより下流側に、各トレイTri及び手差しトレイTrhから給紙された用紙Pを搬送する第1の搬送部材としての搬送ローラ対m1が配設され、該搬送ローラ対m1より下流側に第2の搬送部材としての搬送ローラ対m2が配設され、該搬送ローラ対m2より下流側で、かつ、画像形成部QAより上流側に第1の媒体検出器としての書込センサsaが配設され、画像形成部QAより下流側に第2の媒体検出器としての排出センサsbが配設され、該排出センサsbより下流側に第3の搬送部材としての搬送ローラ対m3が配設され、該搬送ローラ対m3より下流側に第4の搬送部材としての排出ローラm4が、前記頂壁Wtに形成されたスタッカSkに臨ませて配設される。
【0027】
前記用紙退避路Rt2には、前記スタッカSkに臨ませて第3の媒体検出器としての反転開始センサscが配設され、また、用紙退避路Rt2における反転開始センサscより下流側に第5の搬送部材としての搬送ローラ対m5が配設される。
【0028】
前記反転用紙搬送路Rt3には、第4の媒体検出器としての反転終了センサsdが配設され、また、反転用紙搬送路Rt3における反転終了センサsdより下流側に第6の搬送部材としての搬送ローラ対m6が配設され、該搬送ローラ対m6より下流側に第5の媒体検出器としての反転用紙検出センサseが配設され、該反転用紙検出センサseより下流側に第7の搬送部材としての、かつ、第4の給紙部材としての給紙ローラ対kmが配設される。
【0029】
定形の用紙Pに画像を形成する場合、各トレイTriからピックアップローラ21によって繰り出された用紙Pは、給紙路τiに給紙され、給紙ローラ対kiによって給紙路τzに給紙され、レジストローラ対giによって用紙搬送路Rt1に給紙される。また、定形外の用紙Pに画像を形成する場合、手差しトレイTrhから繰り出された用紙Pは、給紙路τhに給紙され、給紙ローラ対khによって用紙搬送路Rt1に給紙される。
【0030】
トレイTri及び手差しトレイTrhから給紙された用紙Pは、搬送ローラ対m1、m2によって搬送された後、画像形成部QAに送られる。
【0031】
該画像形成部QAの画像形成ユニット11において、感光体ドラム13上にトナー像が形成され、転写装置14において感光体ドラム13上のトナー像が転写ローラ15によって用紙Pに転写され、定着器17においてトナー像が用紙Pに定着させられ、用紙Pに画像が形成される。
【0032】
片面印刷を行う場合、用紙Pは用紙搬送路Rt1を搬送ローラ対m3によって搬送され、排出ローラ対m4によって装置本体Bd外に排出され、スタッカSkに積載される。
【0033】
両面印刷を行う場合、一方の面に画像が形成された用紙Pは、用紙搬送路Rt1から用紙退避路Rt2に送られ、搬送ローラ対m5によって搬送され、用紙Pの前端が反転開始センサscによって検出されると、搬送ローラ対m5が逆方向に回転させられ、用紙Pは、反転用紙搬送路Rt3に送られ、反転させられる。続いて、用紙Pは搬送ローラ対m6によって搬送され、給紙ローラ対kmによって給紙路τzを介して用紙搬送路Rt1に給紙され、再び用紙搬送路Rt1を搬送されて、画像形成部QAに送られ、該画像形成部QAにおいて他方の面に画像が形成される。
【0034】
ところで、前記用紙収納装置St1の所定のトレイに収容された用紙Pを、サイズが異なる用紙と入れ替えて給紙する場合に、前記所定のトレイにおける用紙Pの設定が変更されないまま用紙Pが給紙されたり、用紙Pの設定が誤っていたりすると、その後、給紙路τiに給紙されたり、用紙搬送路Rt1を搬送される用紙Pのジャム、重送等の給紙・搬送不良が発生することがある。
【0035】
例えば、前記所定のトレイに収容されていたA4判の用紙がA3判の用紙と入れ替えられた場合に、所定のトレイにおける用紙の設定が変更されず、A4判のままであると、A4判の用紙の給紙タイミングでA3判の用紙が給紙されるので、給紙路における給紙、用紙搬送路における用紙の搬送等が適正に行われず、ジャムが発生しやすくなる。また、前記所定のトレイにA3判の用紙が大量に収容されると、給紙が適正に行われず、重送が発生しやすくなる。
【0036】
そこで、本実施の形態においては、画像形成部QAによる画像の形成が開始される前に所定のトレイにおいて用紙Pが入れ替えられた場合に、トレイから給紙された用紙Pの用紙長が算出され、所定のトレイにおける用紙Pの設定が適正にされるようになっている。
【0037】
次に、プリンタ10の制御装置について説明する。
【0038】
図1は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
【0039】
図において、10はプリンタ、PCは上位装置としてのホストコンピュータ、50は制御部、51はプリンタ10とホストコンピュータPCとの間で通信を行う通信部、52は不揮発性メモリから成る第1の記憶部としてのROM、53は揮発性メモリから成る第2の記憶部としてのRAM、54はHDD等から成る第3の記憶部としての記憶装置、55は計時部材としてのタイマ、si、shは入口センサ、εiは開閉センサ、56は操作パネルである。
【0040】
前記制御部50は、図示されないCPU、入出力ポート等を備え、通信部51を介してホストコンピュータPCから印刷データを受信し、該印刷データに基づいて印刷を行うとともに、プリンタ10の全体の制御を行う。
【0041】
そのために、制御部50は、ROM52に記録されたプログラムに基づいて各種の処理を行う。ROM52には、前記プログラムのほかに各種の設定値等が記録される。RAM53には、前記印刷データに基づいて生成される画像データのほかに、各種の制御用のデータが一時的に記録される。
【0042】
また、制御部50は、印刷処理部Pr1、検出出力監視処理部Pr2、媒体設定部としての、かつ、媒体設定処理部としての用紙設定処理部Pr3、媒体長判定処理部としての用紙長判定処理部Pr4、給紙処理部Pr5、通知処理部Pr6等を備える。
【0043】
前記記憶装置54には、媒体設定情報記憶部としての用紙設定情報記憶部Me1、媒体情報記憶部としての用紙情報記憶部Me2等が配設される。
【0044】
前記用紙設定情報記憶部Me1には、前記用紙収納装置St1(図2)の各トレイTriにおける用紙Pの設定状態を表す媒体設定情報として、各トレイTri、各トレイTriに収容された用紙PのA3判、A4判、B5判等のサイズ、用紙Pの厚さ、及び設定された時刻から成る用紙設定情報が記録される。また、前記用紙情報記憶部Me2には、用紙Pのサイズ、及び媒体長としての用紙長から成る媒体情報としての用紙情報が記録される。
【0045】
前記タイマ55は時刻を計時する。
【0046】
前記操作パネル56は、操作者がプリンタ10への指示を入力するためのスイッチ、キー等から成る操作部57、及びプリンタ10の状態を画像、文字等で表示するためのLCD等から成る表示部58を備える。操作パネル56がタッチパネルによって形成される場合、表示部58は操作部としても機能する。
【0047】
前記印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、制御部50から印刷データが送られると、前記画像形成部QAに指示を送り、用紙Pに画像を形成し、印刷を行う。
【0048】
前記検出出力監視処理部Pr2は、検出出力監視処理を行い、入口センサsi、shのセンサ出力を読み込むことによって用紙Pの給紙を検出し、開閉センサεiのセンサ出力を読み込むことによってトレイTriの開閉を検出する。
【0049】
例えば、用紙Pが前記給紙路τi、τzに給紙され、用紙Pの前端が入口センサsi、shに到達すると入口センサsi、shがオンになり、用紙Pの後端が入口センサsi、shから離れると入口センサsi、shがオフになるので、前記検出出力監視処理部Pr2は、入口センサsi、shのオン・オフに基づいて用紙Pの給紙を検出する。
【0050】
また、操作者がトレイTriの用紙Pを入れ替えるためにトレイTriを開くと開閉センサεiがオンになり、操作者がトレイTriを閉じると開閉センサεiがオフになるので、検出出力監視処理部Pr2は、開閉センサεiのオン・オフに基づいてトレイTriの開閉を検出する。
【0051】
本実施の形態においては、各トレイTriに隣接させて形成された給紙路τiに、トレイTriと対応させてそれぞれ入口センサsiが配設され、該各入口センサsiによる給紙の有無の検出動作に相違が生じないようにされる。これにより、各トレイTriからいずれの用紙Pが給紙されても給紙路τiにおいて給紙の有無が検出されるので、前記用紙設定処理部Pr3、用紙長判定処理部Pr4、給紙処理部Pr5等の各処理の効率性を高くすることができる。
【0052】
前記用紙設定処理部Pr3は、媒体設定処理としての用紙設定処理を行い、操作者が、各トレイTriに用紙Pをセットした後、操作パネル56の操作部57を操作して、表示部58に形成された設定画面で各トレイTriにセットした用紙Pのサイズを入力すると、各トレイTriに収容された用紙Pの設定を行う。また、用紙設定処理部Pr3は、タイマ55によって計時された時刻を設定時刻として読み込み、トレイTriと、用紙Pと、設定時刻とを対応させて、用紙設定情報として前記用紙設定情報記憶部Me1に記録する。
【0053】
前記用紙長判定処理部Pr4は、媒体長判定処理としての用紙長判定処理を行い、検出出力監視処理部Pr2によって検出された給紙の有無に基づいて、給紙媒体長としての給紙用紙長Lcを算出して決定する。すなわち、用紙長判定処理部Pr4は、入口センサsi、shがオンになると、タイマ55による計時を開始し、入口センサsi、shがオフになると、タイマ55による計時を終了し、入口センサsi、shのオンになってからオフになるまでの、用紙Pが入口センサsi、shを通過する時間、すなわち、検出部通紙時間Tcを測定し、該検出部通紙時間Tc及び給紙ローラ対ki、kmの給紙速度に基づいて、給紙される用紙Pの用紙長である前記給紙用紙長Lcを算出して決定する。
【0054】
また、前記用紙長判定処理部Pr4は、用紙情報記憶部Me2を参照し、用紙設定処理部Pr3によって設定された用紙Pの用紙長である設定媒体長としての設定用紙長Lsを読み出す。
【0055】
さらに、前記用紙長判定処理部Pr4は、給紙用紙長Lcと設定用紙長Lsとを比較して給紙用紙長Lc及び設定用紙長Lsを判定する。
【0056】
次に、プリンタ10の制御装置の動作について説明する。
【0057】
図3は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の動作を示す第1のフローチャート、図4は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【0058】
ホストコンピュータPCからプリンタ10に印刷データが送信されると、プリンタ10において、制御部50は、印刷データを受信し、印刷処理部Pr1に印刷データを送る(ステップS1)。
【0059】
続いて、検出出力監視処理部Pr2は、用紙設定情報記憶部Me1を参照し、用紙設定情報に基づいて、印刷処理部Pr1に印刷データが送られた時刻より前に開閉されたトレイがあるかどうかを判断する(ステップS2)。
【0060】
開閉されたトレイがある場合、すなわち、検出出力監視処理部Pr2によって所定のトレイ、例えば、トレイTr3の開閉が検出された場合、用紙長判定処理部Pr4は、トレイTr3に、用紙設定処理部Pr3による用紙設定処理で設定された用紙Pが収容されていると想定して、トレイTr3のピックアップローラ21によって1枚目の用紙Pを繰り出して給紙路τ3に給紙し、給紙ローラ対k3の制御を行って1枚目の用紙Pを給紙路τzに給紙する(ステップS3)。
【0061】
そして、用紙長判定処理部Pr4は、検出出力監視処理部Pr2による1枚目の用紙Pの給紙の検出に基づいて、給紙路τ3に配設された入口センサs3の検出部通紙時間Tcを測定し、該検出部通紙時間Tc及び給紙ローラ対kiの給紙速度に基づいて前記給紙用紙長Lcを算出する(ステップS4)。
【0062】
また、用紙長判定処理部Pr4は、用紙設定情報記憶部Me1を参照し、トレイTr3と対応させて記録された用紙Pのサイズを読み出し、用紙情報記憶部Me2を参照し、読み出した用紙Pのサイズと対応させて記録された設定用紙長Lsを読み出すことによって取得し、前記給紙用紙長Lcと設定用紙長Lsとを比較し、給紙用紙長Lcと設定用紙長Lsとの差である用紙長差ΔLを算出し、該用紙長差ΔLが閾値η、本実施の形態においては、30〔mm〕より大きいかどうかを判断する(ステップS5)。
【0063】
用紙長差ΔLが閾値ηより大きい場合、トレイTr3から繰り出された用紙Pを給紙する際、搬送する際等に用紙Pのジャムが発生する可能性が高いので、用紙長判定処理部Pr4は給紙用紙長Lcを再び算出する。
【0064】
そのために、用紙長判定処理部Pr4は、1枚目の用紙Pを、給紙路τzから用紙搬送路Rt1に給紙し(ステップS6)、用紙搬送路Rt1から退避搬送路Rt2に送って退避させた後、反転用紙搬送路Rt3に送り(ステップS7)、反転させる。なお、用紙長判定処理部Pr4は、印刷処理部Pr1に指示を送り、1枚目の用紙Pが用紙搬送路Rt1において画像形成部QAを通過する際に、画像形成部QAにおいて1枚目の用紙Pに画像が形成されないようにする。
【0065】
また、用紙長判定処理部Pr4は、トレイTr3に、用紙設定処理部Pr3による用紙設定処理で設定された用紙Pが収容されていると想定して、トレイTr3のピックアップローラ21によって2枚目の用紙Pを繰り出して給紙路τ3に給紙し、給紙ローラ対k3の制御を行って給紙路τzに給紙し(ステップS8)、2枚目の用紙Pの給紙に伴う、入口センサs3における検出部通紙時間Tcを測定し、該検出部通紙時間Tc及び給紙ローラ対k3の給紙速度に基づいて給紙用紙長Lcを再び算出する(ステップS9)。
【0066】
続いて、用紙長判定処理部Pr4は、反転用紙搬送路Rt3を搬送された1枚目の用紙Pを、給紙ローラ対kmの制御を行って給紙路τzを介して再び用紙搬送路Rt1に給紙し(ステップS10)、給紙路τzに配設された入口センサshにおける検出部通紙時間Tcを測定し、該検出部通紙時間Tc及び給紙ローラ対kmによる給紙速度に基づいて、再び用紙搬送路Rt1に給紙された1枚目の用紙Pの給紙用紙長Lcを算出する(ステップS11)。
【0067】
次に、用紙長判定処理部Pr4は、2枚目の用紙Pについて算出された給紙用紙長Lcと設定用紙長Lsとの差である用紙長差ΔLa、及び1枚目の用紙Pについて再び算出された給紙用紙長Lcと設定用紙長Lsとの差である用紙長差ΔLbを算出し、用紙長差ΔLa、ΔLbのいずれか一方が前記閾値η、本実施の形態においては、30〔mm〕より大きいかどうかを判断する(ステップS12)。
【0068】
用紙長差ΔLa、ΔLbのいずれか一方が閾値ηより大きい場合、トレイTr3から繰り出された用紙Pを給紙する際、搬送する際等に用紙Pのジャムが発生する可能性が高いので、給紙処理部Pr5はトレイTr3からの用紙Pの給紙を中止する(ステップS13)。
【0069】
そして、通知処理部Pr6は、通知処理を行い、表示部58にメッセージを表示し、用紙設定処理部Pr3による用紙設定処理によって設定された用紙Pとサイズの異なる用紙PがトレイTr3に収容されている旨を操作者に通知することによって、トレイTr3に収容されている用紙Pの設定を変更するよう操作者に促す(ステップS14)。
【0070】
また、前記検出出力監視処理部Pr2による、開閉されたトレイがあるかどうかの判断(ステップS2)において、開閉されたトレイがない場合、給紙処理部Pr5は、用紙設定情報記憶部Me1を参照し、印刷データにおいて指定された用紙Pのサイズに対応するトレイ、例えば、トレイTr1を読み出す。そして、給紙処理部Pr5はトレイTr1から、指定された用紙Pを給紙する(ステップS15)。すなわち、給紙処理部Pr5は、用紙設定情報記憶部Me1から読み出したトレイTr1のピックアップローラ21によって用紙Pを、繰り出し、給紙路τ1に給紙し、給紙ローラ対k1を制御して給紙路τzに給紙し、用紙搬送路Rt1に給紙する。それ以降、給紙処理部Pr5は、前記トレイTr1に収容された用紙Pの設定用紙長Lsに応じて設定された給紙タイミングで各用紙Pを繰り出し、給紙する。
【0071】
そして、印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、給紙された用紙Pに画像を形成し、印刷を行う(ステップS16)。
【0072】
また、前記用紙長判定処理部Pr4による、用紙長差ΔLaが閾値ηより大きいかどうかの判断(ステップS5)において、用紙長差ΔLaが閾値η以下である場合、給紙処理部Pr5は、設定用紙長Lsではなく、算出された給紙用紙長Lcに応じて設定された給紙タイミングでトレイTr3から2枚目以降の用紙Pを給紙する(ステップS17)。
【0073】
そして、印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、トレイTr3から給紙された用紙Pに画像を形成し、印刷を行う(ステップS18)。
【0074】
さらに、前記給紙処理部Pr5による、用紙長差ΔLa、ΔLbのいずれか一方が閾値ηより大きいかどうかの判断(ステップS12)において、用紙長差ΔLa、ΔLbがいずれも閾値η以下である場合、給紙処理部Pr5は、設定用紙長Lsではなく、1枚目の用紙Pについて再び算出された給紙用紙長Lcに応じて設定された給紙タイミングでトレイTr3から3枚目以降の用紙Pを給紙する(ステップS19)。なお、2枚目の用紙Pについて再び算出された給紙用紙長Lcに応じて設定された給紙タイミングでトレイTr3から3枚目以降の用紙Pを給紙することもできる。
【0075】
そして、印刷処理部Pr1は、印刷処理を行い、トレイTr3から給紙された用紙Pに画像を形成し、印刷を行う(ステップS20)。
【0076】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 制御部50は印刷処理部Pr1に印刷データを送る。
ステップS2 検出出力監視処理部Pr2は印刷処理部Pr1に印刷データが送られた時刻より前に開閉されたトレイがあるかどうかを判断する。開閉されたトレイがある場合はステップS3に進み、開閉されたトレイがない場合はステップS15に進む。
ステップS3 用紙長判定処理部Pr4は1枚目の用紙P給紙路τzに給紙する。
ステップS4 用紙長判定処理部Pr4は給紙用紙長Lcを算出する。
ステップS5 用紙長判定処理部Pr4は用紙長差ΔLが閾値ηより大きいかどうかを判断する。用紙長差ΔLが閾値ηより大きい場合はステップS6に進み、用紙長差ΔLが閾値η以下である場合はステップS17に進む。
ステップS6 用紙長判定処理部Pr4は1枚目の用紙Pを用紙搬送路Rt1に給紙する。
ステップS7 用紙長判定処理部Pr4は1枚目の用紙Pを反転用紙搬送路Rt3に送る。
ステップS8 用紙長判定処理部Pr4は2枚目の用紙Pを給紙路τzに給紙する。
ステップS9 用紙長判定処理部Pr4は給紙用紙長Lcを再び算出する。
ステップS10 用紙長判定処理部Pr4は1枚目の用紙Pを再び用紙搬送路Rt1に給紙する。
ステップS11 用紙長判定処理部Pr4は再び給紙された1枚目の用紙Pの給紙用紙長Lcを算出する。
ステップS12 用紙長判定処理部Pr4は用紙長差ΔLa、ΔLbのいずれか一方が閾値ηより大きいかどうかを判断する。用紙長差ΔLa、ΔLbのいずれか一方が閾値ηより大きい場合はステップS13に進み、用紙長差ΔLa、ΔLbがいずれも閾値η以下である場合はステップS19に進む。
ステップS13 給紙処理部Pr5はトレイTr3からの用紙Pの給紙を中止する。
ステップS14 通知処理部Pr6は通知処理を行い、処理を終了する。
ステップS15 給紙処理部Pr5はトレイTr1から指定された用紙Pを給紙する。
ステップS16 印刷処理部Pr1は印刷処理を行い、処理を終了する。
ステップS17 給紙処理部Pr5は算出された給紙用紙長Lcに応じて設定された給紙タイミングでトレイTr3から2枚目以降の用紙Pを給紙する。
ステップS18 印刷処理部Pr1は印刷処理を行い、処理を終了する。
ステップS19 給紙処理部Pr5は1枚目の用紙Pについて再び算出された給紙用紙長Lcに応じて設定された給紙タイミングでトレイTr3から3枚目以降の用紙Pを給紙する。
ステップS20 印刷処理部Pr1は印刷処理を行い、処理を終了する。
【0077】
このように、本実施の形態においては、画像形成部QAによる画像の形成が開始される前に所定のトレイの開閉が検出されたときに、前記所定のトレイから1枚目の用紙Pが給紙され、前記入口センサsiによる給紙の検出に基づいて給紙媒体長Lcが算出され、該給紙媒体長Lcと、用紙設定処理部Pr3によって設定された用紙Pの設定媒体長Lsとが比較され、給紙媒体長Lcと設定媒体長Lsとの用紙長差ΔLが閾値ηより大きい場合に、画像形成部QAにおいて用紙Pに画像が形成されなくなるので、無用に印刷が行われることがなくなるだけでなく、操作者は前記所定のトレイにおける用紙Pの設定が適正でないことを知ることができる。
【0078】
また、トレイTriにおいて用紙Pが適正に設定されていないまま給紙されたり、搬送されたりすることがないので、給紙路τi、τzで重送が発生したり、用紙搬送路Rt1~Rt3でジャムが発生したりするなどの、給紙・搬送不良が発生するのを防止することができる。
【0079】
しかも、トレイTriの近傍に配設された入口センサsiによる給紙の検出に基づいて給紙媒体長Lcが算出されるので、その後の処理に遅延が生じることがない。
【0080】
さらに、トレイTriの開閉が検出されると、直ちに給紙用紙長Lcが算出されるので、給紙・搬送不良が発生するのを確実に防止することができる。
【0081】
また、給紙媒体長Lcと設定媒体長Lsとの用紙長差ΔLaが閾値ηより小さい場合は、給紙媒体長Lcに応じた給紙タイミングで給紙が行われるので、1枚目の用紙Pの重送、ジャム等が発生しても、2枚目以降の用紙Pの重送、ジャム等が発生することはない。したがって、給紙・搬送不良が発生するのを防止するとともに、可能な限り印刷の生産性を維持することができる。
【0082】
なお、重送はピックアップローラ21によって用紙Pが繰り出される際に発生するが、入口センサsiがトレイTriの近傍に配設されるので、操作者は、重送が発生したことを直ちに知ることができ、用紙Pが画像形成部QAに到達する前に給紙を中止することができる。したがって用紙Pが無用に消費されることがない。
【0083】
さらに、トレイTriの開閉が検出された場合にだけ、用紙長判定処理部Pr4による用紙長判定処理が行われるので、他の操作者が関わる動作によって用紙判定処理における判断が左右されることがなく、用紙長判定処理部Pr4の動作が遅延することもない。
【0084】
本実施の形態においては、制御部50に媒体設定部として用紙設定処理部Pr3が配設され、用紙設定処理部Pr3によって、各トレイTriに収容される用紙Pが設定されるようになっているが、各トレイTriに媒体設定部としての、かつ、媒体設定機構部としての用紙設定機構部を配設し、操作者が用紙設定機構部のダイヤル、キー等の操作要素を操作することによって、各トレイTriに収容される用紙Pを設定することもできる。
【0085】
なお、本実施の形態においては、閾値ηが30〔mm〕に設定されているが、用紙Pのサイズに応じて閾値ηを変更し、例えば、用紙Pのサイズが、B5判であるときに20〔mm〕に、A4判であるときに30〔mm〕に、A3判であるときに40〔mm〕に設定することができる。
【0086】
通常、設定用紙長Lsの用紙Pに対応させて設定されたタイミングで各用紙Pが給紙されるので、重送が発生することはないが、設定用紙長Lsよりサイズの大きい用紙Pが所定のトレイに収容されると、1枚目の用紙Pが給紙された後、2枚目の用紙Pが設定用紙長Lsのタイミングのまま給紙されることになり、重送が発生してしまう可能性がある。
これに対して、前述されたように、閾値ηが用紙Pのサイズに応じて設定されるようにすると、重送が発生するのを確実に防止することができる。
【0087】
また、所定のサイズの用紙Pをトレイから縦送りで給紙する場合と、横送りで給紙する場合とで閾値ηを変更することもできる。
【0088】
さらに、用紙Pの厚さに応じて閾値ηを変更し、用紙Pとして薄紙が使用される場合に、閾値ηを小さく設定することもできる。
【0089】
用紙Pとして厚紙が使用される場合、用紙Pにトナー像を定着させるのに時間がかかるので印刷速度が低くされるが、用紙Pのサイズが同じでも、薄紙が使用されると、印刷速度が高くなり、ステップS5において用紙長差ΔLaが閾値ηより大きいかどうかの判断がされる前に、LEDヘッドによって感光体ドラム13に静電潜像が形成されてしまうことがある。
【0090】
そこで、媒体設定部としての用紙設定処理部Pr3において、トレイTriに収容される用紙Pが厚紙である場合に、用紙Pの設定を第1の設定とし、薄紙である場合に、用紙Pの設定を第2の設定とし、用紙長判定処理部Pr4は、用紙設定処理部Pr3によって第2の設定がされている場合に、閾値ηを小さくすることができる。
【0091】
したがって、用紙Pの厚さに応じた給紙タイミングで給紙を行うことができる。
【0092】
なお、一般に、用紙Pの厚さを秤量で表したとき、秤量がq82〔g/m〕より大きい場合に、厚紙とされ、52〔g/m〕より大きく、かつ、82〔g/m〕以下である場合に、薄紙とされるが、本実施の形態においては、それに限定されることはない。
本実施の形態においては、プリンタ10について説明したが、本発明を複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像形成装置に適用することができる。
【0093】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0094】
10 プリンタ
Bd 装置本体
ki 給紙ローラ
P 用紙
PC ホストコンピュータ
Pr1 印刷処理部
Pr3 用紙設定処理部
Pr4 用紙長判定処理部
QA 画像形成部
Tri トレイ
εi 開閉センサ
τi 給紙路
図1
図2
図3
図4