IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローブライド株式会社の特許一覧

特開2022-125646魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール
<>
  • 特開-魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール 図1
  • 特開-魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール 図2
  • 特開-魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール 図3
  • 特開-魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール 図4
  • 特開-魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール 図5
  • 特開-魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125646
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A01K89/01 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023350
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】堤 わたる
(72)【発明者】
【氏名】弘田 悠将
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108BB04
(57)【要約】
【課題】スカート部分に糸絡みが生じても、次のキャスティング操作時に釣糸が前方に抜け易くするスカート部を備えた魚釣用スピニングリールのスプールを提供する。
【解決手段】本発明は、釣糸巻回胴部20Aと、釣糸巻回胴部の後方側に形成されたスカート部20Cと、を有する魚釣用スピニングリールのスプールにおいて、スカート部20Cの外周面は、釣糸巻回胴部20Aの後方に最大径となる前端部21を備え、前端部21から後端部22に向かって次第に縮径すると共に、縮径する領域内では、後方から前端部に向かって段差のない湾曲面23で構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸巻回胴部の後方側に形成されたスカート部と、を有する魚釣用スピニングリールのスプールにおいて、
前記スカート部の外周面は、前記釣糸巻回胴部の後方に最大径となる前端部を備え、前記前端部から後端部に向かって次第に縮径すると共に、前記縮径する領域内では、後方から前端部に向かって段差のない湾曲面で構成されている、
ことを特徴とする魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項2】
前記湾曲面は、軸方向に沿った側面形状の曲率半径がR10以上の面を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項3】
前記湾曲面は、表面粗さRyが1.0μm以下で表面処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項4】
前記湾曲面は、前記前端部から後方に向けて、スカート長さの80%以上の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項5】
前記スカート部の後端部の外周面に、糸落ち防止用の凸部を形成したことを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項6】
前記スカート部には、複数の開口が形成されており、前記開口は、軸方向に縦長形状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の魚釣用スピニングリールのスプール。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載されたスプールを装着したことを特徴とする魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣糸を巻回保持する魚釣用スピニングリールのスプール及び魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用スピニングリールは、釣糸をピックアップするベールを釣糸放出状態にして釣糸を放出する構造である。スプールは、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸の巻回量を前方側で規定する前フランジ部と、後方側で規定する後フランジ部(スカート部とも称する)と、を備えており、釣糸(仕掛け)を放出する場合、釣糸は釣糸巻回胴部からスパイラル状に前方に放出される。また、釣糸を巻き取る場合、前記ベールを釣糸巻き取り位置に反転復帰させると、釣糸はベールにピックアップされ、釣糸案内部を介してスプールの釣糸巻回胴部に案内される。これにより、リール本体に設けられたハンドルを巻き取り操作すると、ハンドルの回転操作に同期して前後に往復動されるスプール、及び、回転駆動されるロータに設けられスプールの周りで回転する釣糸案内部を介して、釣糸は釣糸巻回胴部に均等に巻回される。
【0003】
上記したように、スプールに対して、釣糸の放出/巻き取りを繰り返し行っていると、釣糸巻回胴部に巻回されている釣糸がスカート部にループ状に絡まることがあり、場合によっては、糸フケによって釣糸がスプールからロータへ入り込む(糸落ちとも称する)ことがある。そこで、このような糸絡みを防止するために、特許文献1及び2には、スプールのスカート部分の外周面にテーパを形成したり、円周溝を形成するなど、釣糸がロータに糸落ちし難い形状にすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3922442号
【特許文献2】特開2008-118918号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、従来のスプールのスカート部分は、糸落ちさせない形状となるように考慮されているが、絡まった釣糸を前方に抜け易くすることについては十分に考慮されていない。すなわち、実釣時では、スカート部分に釣糸が引っ掛かることが多く、このようなケースでは、次のキャスティング操作時に、前方へ抜け易くなっていることが糸絡みを解消する上では好ましい。
【0006】
上記した従来技術のように、スカート部にテーパを形成すると、テーパより後方に釣糸が絡んだ際、次のキャスティング操作時では、テーパと円筒部との境界部分(変曲する稜線位置)で釣糸が抵抗を受けてしまい、効果的に前方へ抜けることができない。同様に、スカート部の外周面に円周溝を形成した構成においても、円周溝部分に釣糸が入り込み易く、効果的に前方へ抜けることができない。更に、張力変化による比較的小さな糸フケに気付かずにそのまま巻き続けた場合など、次の釣糸放出時にスカートのテーパ部によって不用意な抵抗が加わってしまい、飛距離の低下や糸切れが発生する可能性もある。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、スプールのスカート部分に糸絡みが生じても、次のキャスティング操作時に釣糸が前方に抜け易くするスカート部を備えた魚釣用スピニングリールのスプール、及び、そのような機能を備えた魚釣用スピニングリールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明に係る魚釣用スピニングリールのスプールは、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部と、釣糸巻回胴部の後方側に形成されたスカート部と、を有しており、前記スカート部の外周面は、前記釣糸巻回胴部の後方に最大径となる前端部を備え、前記前端部から後端部に向かって次第に縮径すると共に、前記縮径する領域内では、後方から前端部に向かって段差のない湾曲面で構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記した構成のスプールは、実釣時に釣糸がスカート部分に絡み付いても、次にキャスティングして釣糸を放出する際、その湾曲面によって前方に抜け易くなる。すなわち、前記湾曲面には、釣糸が前方に向けて滑るように移動した際、稜線や変曲点のような段差が形成されていないことから、絡み付いた釣糸は、放出時にその表面に沿って引っ掛かることなく滑り、結果的に糸絡み現象を効果的に抑制することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、上記したようなスカート部を備えたスプールを装着した魚釣用スピニングリールであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スプールのスカート部分に糸絡みが生じても、次のキャスティング操作時に釣糸が前方に抜け易い魚釣用スピニングリールのスプール、及び、そのような機能を備えた魚釣用スピニングリールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るスプールを装着した魚釣用スピニングリールの側面図。
図2図1に示したスプールの主要部の拡大図。
図3】スプールの第2の実施形態を示す図。
図4】スプールの第3の実施形態を示す図。
図5】スプールの第4の実施形態を示す図。
図6】(a)から(c)は、それぞれスプールの変形例を示す図であり、スカート部に形成される開口の形状例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る魚釣用スピニングリールのスプール、及び、そのようなスプールを装着した魚釣用スピニングリールの実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るスプールを装着した魚釣用スピニングリールの一構成例を示す図であり、図2は、図1に示す魚釣用スピニングリールに装着されたスプールの主要部を拡大して示す図である。
【0014】
最初に、図1を参照して魚釣用スピニングリールの全体構成の概略について説明する。
なお、本発明において、スプールのスカートの前側(前端)とは、図1の左側(釣糸巻回胴部側)を、後側(後端)とは、図1の右側(リール本体側)を意味する。
【0015】
魚釣用スピニングリール1のリール本体2は、釣竿に装着されるリール脚2aを備えており、その前方には回転可能に支持されたロータ5と、ロータ5の回転運動と同期して前後動可能に支持され、釣糸が巻回されるスプール20が配設されている。
【0016】
前記リール本体2内には、ハンドル軸9aが回転可能に支持されており、その突出端部にはハンドル9が取り付けられている。また、ハンドル軸9aには、巻き取り駆動機構10が係合している。巻き取り駆動機構10は、公知のように、ハンドル軸9aに取り付けられ、内歯が形成されたドライブギア(駆動歯車)11と、このドライブギア11に噛合すると共にハンドル軸9aと直交する方向に延出し、内部に軸方向に延出する空洞部が形成されたピニオンギア12とを備えている。
【0017】
前記ピニオンギア12には、前記スプール20を回転可能に支持するスプール軸20Sが軸方向に前後動可能に挿通されている。このスプール軸20Sの後方側には、公知のオシレート機構14が係合しており、ハンドル9を回転操作すると、オシレート機構及びスプール軸を介してスプール20は前後に往復動される。また、前記ピニオンギア12の前方側には、ロータナット12aを締め付けることで、前記ロータ5がピニオンギア12に対して固定されている。
【0018】
前記ロータ5には、公知のように、一対の支持アームが略180°間隔で、軸方向前方に延出して対向するように形成されており、前記スプール20は、一対の支持アーム間に位置して前後に往復駆動される。各支持アームの先端には、アームレバー6(図1では片方のみ図示されている)が釣糸巻き取り位置と釣糸放出位置との間で回動可能に支持されている。また、それぞれのアームレバー6には、半環状のベール7の基端部が取着されており、ベール7は、前記アームレバー6と共に回動可能となっている。そして、一方のアームレバー6の先端には、図1に示すように、釣糸案内装置(ラインローラ)8が配設されている。
【0019】
図1は、釣糸巻き取り状態を示しており、この状態でハンドル9を回転操作すると、巻き取り駆動機構10を介してロータ5が回転駆動され、オシレート機構14を介してスプール20は前後に往復駆動される。これにより、釣糸は、ロータ5と共に回転する釣糸案内装置8を介してスプール5に均等に巻回される。また、前記ベール7は、図1に示す釣糸巻き取り状態からアームレバー6の回動と共に釣糸放出位置に回動されると、スプール20に巻回されている釣糸は放出状態となる。そして、この釣糸放出状態で釣糸(仕掛け)を放出した後、ベール7を釣糸放出位置から釣糸巻き取り位置に回動すると、釣糸は、ベール7によってピックアップされて釣糸案内装置8に誘導され、図に示す釣糸巻き取り状態となる。
【0020】
次に、上記したスプール20の構成について図1及び図2を参照して説明する。
なお、以下で説明するスプール20の形状については、図2に拡大して示すように、1つの側面を示す形状で特定するが、スプール20は、360°に亘って同じ形状となるように構成されている。
【0021】
前記スプール20は、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比重の軽い金属、或いは、合成樹脂材等で形成されており、釣糸が巻回される釣糸巻回胴部20Aと釣糸巻回胴部20Aの糸巻量を前後方向で規定する前フランジ部20B及び後フランジ部(スカート部)20Cとを有している。
【0022】
前記スカート部20Cの外周面は、釣糸巻回胴部20Aの後方位置で糸巻量を規定する前端部21を備えており、この前端部21の径によって前記糸巻量が規定される。また、前記スカート部20Cは、前端部21から後端部22に向かって次第に縮径する領域を備えており、この縮径する領域内では、後方から前端部に向かって段差のない湾曲面23で構成されている。なお、本実施形態のスカート部20Cは、前端部21がスカート部20Cの最大径となるように形成されており、長手方向の全長Lに亘って後端部22に向かって次第に縮径する領域となり、この領域が段差のない単一の湾曲面で構成されている。
ここで、「段差がない」とは、上記した次第に縮径する領域内では、複合面が交差して変曲点となるような稜線(面と面が交差することで生じる稜線)が無い滑らかな面一状であることを意味しており、稜線が形成されていなければ、湾曲面は複合面で構成されたものも含むことを意味する。
【0023】
このようにスカート部20Cが滑らかな湾曲面で構成されることにより、釣糸がスカート部に引っ掛かった状態になっても、次の仕掛け放出時にスカート部の表面との間で抵抗が生じることなく前方に摺動する(抜ける)ことが可能となり、糸絡みを解消することができる。また、湾曲面が、後方に向かって次第に縮径することでスプールを軽量化することができる。さらに、釣糸巻回胴部20Aのすぐ後方に、スカート部の最大径の部分を設けたことで、糸落ち現象を低減することが可能となる。
【0024】
上記した湾曲面23は、スカート部20Cの全長Lに亘って形成されていることが好ましいが、スカート部のある程度の範囲内(一定範囲内)に形成されていれば、釣糸巻回胴部側に釣糸を抜け易くすることができる。具体的には、そのような湾曲面23の形成長さL1は、スカート部の全長Lの80%以上の範囲に形成されていれば良い。
【0025】
また、前記湾曲面23は、釣糸が摺動し易いように、表面粗さRyが1.0μm以下で表面処理されていることが好ましい。このような表面処理は、例えば、スカート部20Cの表面を切削するに際し、先端がRを有する切削工具を用いて、ひきめが見えないように切削加工したり、各種の鏡面処理加工を施すことで実現することが可能である。或いは、樹脂製のスプールであれば、メッキ処理を施すなど、表面を鏡面状に仕上げることで実現することも可能である。
【0026】
前記スカート部20Cに形成される湾曲面については、例えば、以下のように構成することが可能である。以下、スプールの別の実施形態について説明するが、上記した実施形態と同一の部分については、同一の参照符号を付し、詳細な説明については省略する。
【0027】
図3は、スプールの第2の実施形態を示す図である。
上記したように、湾曲面は稜線が形成されていなければ、複合面で構成されていても良い。例えば、図3で示す湾曲面33は、曲率半径が異なる2つの湾曲部33a,33bを備えた複合面を備えており、湾曲部33aは曲率中心がスプール軸側、湾曲部33bは曲率中心がスプール軸とは反対の径方向外側になるように形成されている。この場合、スカート部20Cは、湾曲部33aから後方に向けて縮径し始めると共に、湾曲部33bから後端部22に至る領域でも緩やかに縮径しており、全体として、湾曲部33bから33aに至る範囲では、稜線が現れない形状となっている。
【0028】
このように、湾曲面が複数の湾曲部を備えていても、その境界部分に稜線がなければ、釣糸が引っ掛かることはなく、前方に抜け易くすることができる。なお、湾曲部を複数の面で形成する場合、その湾曲部の軸方向に沿った側面の曲率半径は、釣糸が抜け易いように大きい方が好ましい。具体的には、R10(曲率半径が10mm)以上の湾曲面(図では湾曲部33bが該当する)を含んでいることが好ましく、全ての湾曲部がR10以上で構成されていても良い。
【0029】
図4は、スプールの第3の実施形態を示す図である。
この実施形態では、上記した第2の実施形態のスカート部20Cの後端部の外周面に、糸落ち防止用の凸部25を形成している。この凸部25は、湾曲面33の後端位置33cにおいて、径方向に膨出するリング状のフランジとして構成されており、このような凸部25を形成することで、釣糸がスカート部の後端部22とロータ5との間の隙間(図1参照)からロータ内に落ち込むことを効果的に防止することができる。
なお、このような凸部の形状については限定されることはないが、図に示すように、スプールの軸心Xに対して直交する壁面25a及び前方に向けて次第に拡径する傾斜面25bを備えた形状にすることが好ましい。このような形状によれば、糸落ちし難く、かつ、糸落ちしても前方に抜け易くすることができる。また、凸部は、周方向に沿って断続的に形成される構成であっても良い。
【0030】
図5は、スプールの第4の実施形態を示す図である。
上記したように、スカート部20Cは、前端部から後端部に向かって次第に縮径すると共に、そのように縮径する領域内では、後方から前端部に向かって段差のない湾曲面で構成されていれば、その表面形状については適宜変形することが可能である。
【0031】
図5に示す湾曲面43のように、スカート部20Cの前端部21の位置Pを中心として釣糸がループ状に巻き付いたことを想定する。スプールの軸心Xの反対側の対向位置におけるスカート部20Cの後端部22側での位置をP1、そして、前方側に順次移行した位置をそれぞれP2,P3,P4…で定義し、(P,P1)の距離をD1、(P,P2)の距離をD2、(P,P3)の距離をD3、(P,P4)の距離をD4とした場合、湾曲面43は、D4<D1となるように形状に形成されており、かつ、稜線が存在しなければ、釣糸を抜け易くすることができる。そして、前方に移行するに従い、徐々に短くなる(糸長が短くなる)ように、D4<D3<D2<D1となる表面形状にすることで、糸絡みしてもスムーズに抜け易くすることができる。
【0032】
図6は、上記した実施形態の変形例を示す図であり、(a)から(c)は、それぞれスプールのスカート部に形成される開口の形状例を示す図である。この変形例では、上記した第4の実施形態のスプールのスカート部20Cに開口を形成した例を示している。
スプールのスカート部には、デザイン性の向上、及び、軽量化を図るために、複数の開口を形成することがあるが、このような開口を形成する場合、軸方向に縦長形状に形成することが好ましい。例えば、(a)に示すように、同一の幅で軸方向に沿って伸びる形状の開口50、或いは、(b)に示すように、同一の幅で軸方向に沿って傾斜方向に延びる開口51、或いは、(c)に示すように、前方に向けて幅が広くなるように変化しつつ、軸方向に沿って伸びる形状の開口52等、各開口が軸方向に縦長状となるように形成することが好ましい。
【0033】
このような開口形状によれば、釣糸に対する抵抗が軽減し、釣糸が前方に抜け易くすることができる。
【0034】
以上のようなスプールを装着した魚釣用スピニングリールによれば、実釣時において、釣糸がスカート部分に絡んでも、次の仕掛けの放出時に、掛かった釣糸が抜け易くなり、糸絡みや糸落ちを効果的に防止することが可能となる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。
上記した構成において、魚釣用スピニングリールやスプールについては、対象魚や用途等に応じて適宜変形することが可能である。例えば、浅溝タイプのスプールにしたり、深溝タイプのスプールにしても良い。また、スカート部の表面形状についても、前後方向の一定の範囲内に稜線のない湾曲面を備えていれば、適宜、変形することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 魚釣用スピニングリール
2 リール本体
5 ロータ
9 ハンドル
20 スプール
20A 釣糸巻回胴部
20C スカート部
21 前端部
22 後端部
23,33,43 湾曲面
50,51,52 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6