(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125651
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/26 20060101AFI20220822BHJP
G11C 16/24 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G11C16/26
G11C16/24 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023360
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畑 浩司
【テーマコード(参考)】
5B225
【Fターム(参考)】
5B225CA15
5B225CA20
5B225DA09
5B225EA05
5B225ED09
5B225EE19
5B225EF15
5B225EF25
5B225FA02
(57)【要約】
【課題】良好な動作が可能な半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】基板と、基板の表面と交差する第1方向に並び、第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第1導電層と、第1方向に延伸し、複数の第1導電層と対向する第1半導体柱と、第1方向及び第2方向と交差する第3方向に延伸し、第1方向から見て第1半導体柱と重なる位置に設けられた第1ビット線と、第1方向から見て第1ビット線と重なる部分を含む第1配線と、第1方向から見て第1ビット線と重なる部分を含む第2配線とを備える。第1配線の電圧が高電位状態から低電位状態に遷移するまでの期間を第1期間とし、第2配線の電圧が低電位状態から高電位状態に遷移するまでの期間を第2期間とすると、第2期間の少なくとも一部は、第1期間の少なくとも一部と重なる。
【選択図】
図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面と交差する第1方向に並び、前記第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第1導電層と、
前記第1方向に延伸し、前記複数の第1導電層と対向する第1半導体柱と、
前記第1方向及び前記第2方向と交差する第3方向に延伸し、前記第1方向から見て前記第1半導体柱と重なる位置に設けられた第1ビット線と、
前記第1方向から見て前記第1ビット線と重なる部分を含む第1配線と、
前記第1方向から見て前記第1ビット線と重なる部分を含む第2配線と
を備え、
前記第1配線の電圧が高電位状態から低電位状態に遷移するまでの所定の期間を第1期間とし、
前記第2配線の電圧が低電位状態から高電位状態に遷移するまでの所定の期間を第2期間とすると、
前記第2期間の少なくとも一部は、前記第1期間の少なくとも一部と重なる
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1配線の電圧が低電位状態から高電位状態に遷移するまでの期間であって、前記第1期間よりも後の所定の期間を第3期間とし、
前記第2配線の電圧が高電位状態から低電位状態に遷移するまでの期間であって、前記第2期間よりも後の所定の期間を第4期間とすると、
前記第4期間の少なくとも一部は、前記第3期間の少なくとも一部と重なる
請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1方向から見て前記第1ビット線と重なる部分を含む第3配線を備え、
前記第3配線の電圧が高電位状態から低電位状態に遷移するまでの期間であって、前記第3期間よりも後の所定の期間を第5期間とし、
前記第2配線の電圧が低電位状態から高電位状態に遷移するまでの期間であって、前記第4期間よりも後の所定の期間を第6期間とすると、
前記第6期間の少なくとも一部は、前記第5期間の少なくとも一部と重なる
請求項2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第1期間及び前記第2期間は、読出動作において、前記第1ビット線に対する充電が開始されてから、前記第1ビット線に対するセンス動作が終了するまでの間の期間に含まれる
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1期間及び前記第2期間は、書込動作において、前記第1ビット線に対する充電が開始されてから、前記複数の第1導電層のいずれかに対するプログラム電圧の供給が終了するまでの間の期間に含まれる
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板と、半導体基板の表面と交差する方向に積層された複数の導電層と、半導体基板の表面と交差する方向に延伸してこれら複数の導電層に対向する半導体柱と、導電層及び半導体柱の間に設けられたゲート絶縁膜と、を備えた半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
良好な動作が可能な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、基板と、基板の表面と交差する第1方向に並び、第1方向と交差する第2方向に延伸する複数の第1導電層と、第1方向に延伸し、複数の第1導電層と対向する第1半導体柱と、第1方向及び第2方向と交差する第3方向に延伸し、第1方向から見て第1半導体柱と重なる位置に設けられた第1ビット線と、第1方向から見て第1ビット線と重なる部分を含む第1配線と、第1方向から見て第1ビット線と重なる部分を含む第2配線とを備える。第1配線の電圧が高電位状態から低電位状態に遷移するまでの所定の期間を第1期間とし、第2配線の電圧が低電位状態から高電位状態に遷移するまでの所定の期間を第2期間とすると、第2期間の少なくとも一部は、第1期間の少なくとも一部と重なる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
【
図2】メモリセルアレイMCAの構成を示す模式的な回路図である。
【
図3】センスアンプモジュールSAM、キャッシュメモリCM及び変換回路80の構成を示す模式的な回路図である。
【
図4】センスアンプモジュールSAMのセンスアンプユニットSAUの構成を示す模式的な回路図である。
【
図6】
図5に示す構造をA-A´線及びB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【
図7】
図5のCで示した部分におけるトランジスタ層L
TRの模式的な拡大図である。
【
図8】
図5のDで示した部分の模式的な拡大図である。
【
図9】
図8に示す構造をE-E´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【
図10】
図9のFで示した部分の模式的な拡大図である。
【
図11】
図5のGで示した部分の模式的な拡大図である。
【
図12】
図11に示す構造をH-H´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【
図13】
図11に示す構造をI-I´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
【
図14】
図7に示す図の上に制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRを重ねて表示した模式図である。
【
図16】
図15のKで示した部分をビット線BLと共に示す模式図である。
【
図17】読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図18】読出動作について説明するための模式的な波形図である。
【
図19】データ転送動作について説明するための模式的な波形図である。
【
図20】読出動作時における非同期ノイズの補償について説明するための模式的な波形図である。
【
図21】書込動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図22】書込動作について説明するための模式的な波形図である。
【
図23】書込動作時における非同期ノイズの補償について説明するための模式的な波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。また、以下の図面は模式的なものであり、説明の都合上、一部の構成等が省略される場合がある。また、複数の実施形態について共通する部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD(Solid State Drive)等の、コントローラダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0009】
また、本明細書において「制御回路」と言った場合には、メモリダイに設けられたシーケンサ等の周辺回路を意味する事もあるし、メモリダイに接続されたコントローラダイ又はコントローラチップ等を意味する事もあるし、これらの双方を含む構成を意味する事もある。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第2の構成が第1の構成を介して第3の構成に接続されていることを意味する場合がある。
【0012】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0013】
また、本明細書においては、基板の上面に対して平行な所定の方向をX方向、基板の上面に対して平行で、X方向と垂直な方向をY方向、基板の上面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶ。
【0014】
また、本明細書においては、所定の面に沿った方向を第1方向、この所定の面に沿って第1方向と交差する方向を第2方向、この所定の面と交差する方向を第3方向と呼ぶことがある。これら第1方向、第2方向及び第3方向は、X方向、Y方向及びZ方向のいずれかと対応していても良いし、対応していなくても良い。
【0015】
また、本明細書において、「上」や「下」等の表現は、基板を基準とする。例えば、上記Z方向に沿って基板から離れる向きを上と、Z方向に沿って基板に近付く向きを下と呼ぶ。また、ある構成について下面や下端と言う場合には、この構成の基板側の面や端部を意味する事とし、上面や上端と言う場合には、この構成の基板と反対側の面や端部を意味する事とする。また、X方向又はY方向と交差する面を側面等と呼ぶ。
【0016】
[第1実施形態]
[メモリダイMDの回路構成]
図1は、第1実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
図2~
図4は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【0017】
尚、
図1には、複数の制御端子等を図示している。これら複数の制御端子は、ハイアクティブ信号(正論理信号)に対応する制御端子として表される場合と、ローアクティブ信号(負論理信号)に対応する制御端子として表される場合と、ハイアクティブ信号及びローアクティブ信号の双方に対応する制御端子として表される場合と、がある。
図1において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、オーバーライン(上線)を含んでいる。本明細書において、ローアクティブ信号に対応する制御端子の符号は、スラッシュ(“/”)を含んでいる。尚、
図1の記載は例示であり、具体的な態様は適宜調整可能である。例えば、一部又は全部のハイアクティブ信号をローアクティブ信号としたり、一部又は全部のローアクティブ信号をハイアクティブ信号としたりすることも可能である。
【0018】
図1に示す様に、メモリダイMDは、データを記憶するメモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAに接続された周辺回路PCと、を備える。周辺回路PCは、電圧生成回路VGと、ロウデコーダRDと、を備える。また、周辺回路PCは、
図3に示す様に、センスアンプモジュールSAMと、キャッシュメモリCM0,CM1・・・CM15・・・CMn(以下、キャッシュメモリCM0,CM1・・・CM15・・・CMnを、単に「キャッシュメモリCM」と呼ぶ事がある。尚、nは自然数である。)と、変換回路80と、データキャッシュ制御回路90と、データキャッシュ反転制御回路91と、を備える。また、周辺回路PCは、
図1に示す様に、シーケンサSQCと、アドレスレジスタADRと、コマンドレジスタCMRと、ステータスレジスタSTRと、入出力制御回路I/Oと、論理回路CTRと、を備える。
【0019】
[メモリセルアレイMCAの回路構成]
メモリセルアレイMCAは、
図2に示す様に、複数のメモリブロックBLKを備える。これら複数のメモリブロックBLKは、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0020】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン側選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC(メモリトランジスタ)、ソース側選択トランジスタSTS、及び、ソース側選択トランジスタSTSbを備える。以下、ドレイン側選択トランジスタSTD、ソース側選択トランジスタSTS、及び、ソース側選択トランジスタSTSbを、単に選択トランジスタ(STD、STS、STSb)と呼ぶ事がある。
【0021】
メモリセルMCは、チャネル領域として機能する半導体柱の一部、電荷蓄積膜を含むゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。メモリセルMCの閾値電圧は、電荷蓄積膜中の電荷量に応じて変化する。メモリセルMCは、1ビット又は複数ビットのデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックBLK中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0022】
選択トランジスタ(STD、STS、STSb)は、チャネル領域として機能する半導体柱の一部、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)が接続される。ドレイン側選択ゲート線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSは、複数のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース側選択ゲート線SGSbは、複数のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0023】
[電圧生成回路VGの回路構成]
電圧生成回路VG(
図1)は、例えば、レギュレータ等の降圧回路及びチャージポンプ回路等の昇圧回路を含む。これら降圧回路及び昇圧回路は、それぞれ、電源電圧V
CC及び接地電圧V
SSが供給される電圧供給線に接続されている。電圧生成回路VGは、例えば、シーケンサSQCからの制御信号に従って、メモリセルアレイMCAに対する読出動作、書込動作及び消去動作に際して、ビット線BL、ソース線SL、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に印加される複数通りの動作電圧を生成し、複数の電圧供給線に同時に出力する。電圧供給線から出力される動作電圧は、シーケンサSQCからの制御信号に従って適宜調整される。
【0024】
[ロウデコーダRDの回路構成]
ロウデコーダRD(
図1)は、例えば、デコード回路及びスイッチ回路を備える。デコード回路は、アドレスレジスタADRに保持されたロウアドレスRAをデコードする。スイッチ回路は、デコード回路の出力信号に応じて、ロウアドレスRAに対応するワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)を、対応する電圧供給線と導通させる。
【0025】
[センスアンプモジュールSAMの回路構成]
センスアンプモジュールSAMは、例えば
図3に示す様に、複数のビット線BLに対応する複数のセンスアンプユニットSAU0~SAU15を備える。センスアンプユニットSAU0~SAU15は、それぞれ、ビット線BLに接続されたセンスアンプSAと、センスアンプSAに接続された配線LBUSと、配線LBUSに接続されたラッチ回路SDL,DL0~DLn(nは自然数)と、配線LBUSに接続されたプリチャージ用の充電トランジスタ55(
図4)と、を備える。センスアンプユニットSAU0~SAU15内の各配線LBUSは、例えば、スイッチトランジスタDSWを介して配線DBUS0~DBUS15(以下、配線DBUS0~DBUS15を、単に「配線DBUS」と呼ぶことがある。)に接続されている。尚、各配線DBUS0~DBUS15には、プリチャージ用の充電トランジスタ61が接続されている。
【0026】
センスアンプSAは、
図4に示す様に、センストランジスタ41を備える。センストランジスタ41は、ビット線BLに流れる電流に応じて配線LBUSの電荷を放電する。センストランジスタ41のソース電極は接地電圧V
SSが供給される電圧供給線に接続される。ドレイン電極は、スイッチトランジスタ42を介して配線LBUSに接続される。ゲート電極は、センスノードSEN、放電トランジスタ43、ノードCOM、クランプトランジスタ44及び耐圧トランジスタ45を介してビット線BLに接続される。尚、センスノードSENは、キャパシタ48を介して内部制御信号線CLKSAに接続される。
【0027】
また、センスアンプSAは、電圧転送回路を備える。電圧転送回路は、ラッチ回路SDLにラッチされたデータに応じて、ノードCOM及びセンスノードSENを、電圧VDDが供給される電圧供給線又は電圧VSRCが供給される電圧供給線と選択的に導通させる。この電圧転送回路は、ノードN1と、ノードN1及びセンスノードSENの間に接続された充電トランジスタ46と、ノードN1及びノードCOMの間に接続された充電トランジスタ49と、ノードN1及び電圧VDDが供給される電圧供給線の間に接続された充電トランジスタ47と、ノードN1及び電圧VSRCが供給される電圧供給線の間に接続された放電トランジスタ50と、を備える。尚、充電トランジスタ47及び放電トランジスタ50のゲート電極は、ラッチ回路SDLのノードINV_Sに共通に接続されている。
【0028】
尚、センストランジスタ41、スイッチトランジスタ42、放電トランジスタ43、クランプトランジスタ44、充電トランジスタ46、充電トランジスタ49及び放電トランジスタ50は、例えば、エンハンスメント型のNMOSトランジスタである。耐圧トランジスタ45は、例えば、デプレッション型のNMOSトランジスタである。充電トランジスタ47は、例えば、PMOSトランジスタである。
【0029】
また、スイッチトランジスタ42のゲート電極には、制御信号STBが入力される。放電トランジスタ43のゲート電極には、制御信号XXLが入力される。クランプトランジスタ44のゲート電極には、制御信号BLCが入力される。耐圧トランジスタ45のゲート電極には、制御信号BLSが入力される。充電トランジスタ46のゲート電極には、制御信号HLLが入力される。充電トランジスタ49のゲート電極には、制御信号BLXが入力される。これらの制御信号STB,XXL,BLC,BLS,HLL,BLXは、シーケンサSQCから出力される。
【0030】
ラッチ回路SDLは、ノードLAT_S,INV_Sと、ノードLAT_Sに接続された出力端子及びノードINV_Sに接続された入力端子を備えるインバータ51と、ノードLAT_Sに接続された入力端子及びノードINV_Sに接続された出力端子を備えるインバータ52と、ノードLAT_S及び配線LBUSに接続されたスイッチトランジスタ53と、ノードINV_S及び配線LBUSに接続されたスイッチトランジスタ54と、を備える。スイッチトランジスタ53,54は、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタ53のゲート電極には、シーケンサSQCから出力された制御信号STLが入力される。スイッチトランジスタ54には、シーケンサSQCから出力された制御信号STIが入力される。
【0031】
ラッチ回路DL0~DLnは、ラッチ回路SDLとほぼ同様に構成されている。ただし、上述の通り、ラッチ回路SDLのノードINV_SはセンスアンプSA中の充電トランジスタ47及び放電トランジスタ50のゲート電極と導通している。ラッチ回路DL0~DLnは、この点においてラッチ回路SDLと異なる。
【0032】
スイッチトランジスタDSWは、例えば、NMOSトランジスタである。スイッチトランジスタDSWは、配線LBUS及び配線DBUSの間に接続されている。スイッチトランジスタDSWのゲート電極は、信号線DBS(
図3)を介してシーケンサSQCに接続されている。
【0033】
尚、
図3に例示する様に、上述の制御信号STB,HLL,XXL,BLX,BLC,BLSを伝送する信号線は、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続されている。また、上述の電圧V
DDが供給される電圧供給線及び電圧V
SRCが供給される電圧供給線は、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続されている。また、ラッチ回路SDLの制御信号STI及び制御信号STLを伝送する信号線は、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続されている。同様に、ラッチ回路DL0~DLn中の制御信号STI及び制御信号STLに対応する信号線TI0~TIn,TL0~TLnは、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUの間で共通に接続されている。一方、上述の信号線DBSは、それぞれ、センスアンプモジュールSAMに含まれる全てのセンスアンプユニットSAUに対応して複数設けられている。
【0034】
[キャッシュメモリCMの回路構成]
キャッシュメモリCMは、例えば
図3に示す様に、配線DBUSと配線XBUS0~XBUS15(以下、配線XBUS0~XBUS15を、単に「配線XBUS」と呼ぶことがある。)に接続されたラッチ回路XDL0~XDL15、を備える。ラッチ回路XDL0~XDL15に含まれるデータDAT(
図1)は、配線DBUSを介して、順次センスアンプモジュールSAM又は入出力制御回路I/Oに転送される。即ち、読出動作時には、センスアンプモジュールSAMにより読出されたデータ(読出データ)DATは、一旦、ラッチ回路XDL0~XDL15に保持され、その後、ラッチ回路XDL0~XDL15から入出力制御回路I/Oに転送される。書込動作時には、入出力制御回路I/Oから送られてきたデータ(書込データ)DATは、一旦、ラッチ回路XDL0~XDL15に保持され、その後、ラッチ回路XDL0~XDL15から、センスアンプモジュールSAMに転送される。
【0035】
ラッチ回路XDL0~XDL15は、ノードLAT_X,INV_Xと、ノードLAT_Xに接続された出力端子及びノードINV_Xに接続された入力端子を備えるインバータ71と、ノードLAT_Xに接続された入力端子及びノードINV_Xに接続された出力端子を備えるインバータ72と、ノードLAT_X及び配線XBUSに接続されたスイッチトランジスタ73と、ノードINV_X及び配線DBUSに接続されたスイッチトランジスタ74と、を備える。スイッチトランジスタ73,74は、例えば、NMOSトランジスタである。ラッチ回路XDL0~XDL15のスイッチトランジスタ73のゲート電極には、変換回路80から出力された制御信号XTL0~XTL15が入力される。また、図示は省略するものの、ラッチ回路XDL0~XDL15のスイッチトランジスタ74のゲート電極には、変換回路80から出力された制御信号XTI0~XTI15が入力される。
【0036】
ラッチ回路XDL0~XDL15においてデータの入出力を行う場合、ラッチ回路XDL0~XDL15のスイッチトランジスタ73のゲート電極に制御信号XTLが入力されて、いずれかのスイッチトランジスタ73がON状態となる。
【0037】
[変換回路80の回路構成]
ラッチ回路XDL0~XDL15においてデータの入出力を行う場合、変換回路80(
図3)には、データキャッシュ制御回路90から出力されたデータキャッシュ制御信号XTRSが入力される。変換回路80は、データキャッシュ制御信号XTRS及び図示しない制御信号を論理演算処理し、制御信号XTL0~XTLnのうちの一つを高電位状態とし、それ以外を低電位状態とする。
【0038】
[データキャッシュ制御回路90の回路構成]
ラッチ回路XDL0~XDL15においてデータの入出力を行う場合、データキャッシュ制御回路90は、カラムアドレスCA(
図1)をデコードし、その結果に応じてデータキャッシュ制御信号XTRSを出力する。
【0039】
[データキャッシュ反転制御回路91の回路構成]
データキャッシュ反転制御回路91は、データキャッシュ制御回路90の出力信号に応じて生じ得るビット線BLへのカップリングノイズを抑制する。データキャッシュ反転制御回路91は、例えば、データキャッシュ制御回路90の出力端子に接続された論理回路であっても良い。
【0040】
[シーケンサSQCの回路構成]
シーケンサSQC(
図1)は、コマンドレジスタCMRに保持されたコマンドデータD
CMDに従い、ロウデコーダRD、センスアンプモジュールSAM及び電圧生成回路VGに内部制御信号を出力する。また、シーケンサSQCは、適宜自身の状態を示すステータスデータD
STをステータスレジスタSTRに出力する。
【0041】
また、シーケンサSQCは、レディ/ビジー信号を生成し、端子RY//BYに出力する。端子RY//BYが低電位状態の期間(ビジー期間)では、メモリダイMDへのアクセスが基本的には禁止される。また、端子RY//BYが高電位状態の期間(レディ期間)においては、メモリダイMDへのアクセスが許可される。端子RY//BYから出力される信号を、レディ/ビジー信号RY//BYという場合がある。
【0042】
[入出力制御回路I/Oの回路構成]
入出力制御回路I/O(
図1)は、データ信号入出力端子DQ0~DQ7と、トグル信号入出力端子DQS,/DQSと、データ信号入出力端子DQ0~DQ7に接続されたコンパレータ等の入力回路及びOCD(Off Chip Driver)回路等の出力回路と、を備える。また、入出力回路I/Oは、これら入力回路及び出力回路に接続されたシフトレジスタと、バッファ回路と、を備える。入力回路、出力回路、シフトレジスタ及びバッファ回路には、それぞれ、電源電圧V
CCQ及び接地電圧V
SSが供給される。データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して入力されたデータは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、バッファ回路から、キャッシュメモリCM、アドレスレジスタADR又はコマンドレジスタCMRに出力される。また、データ信号入出力端子DQ0~DQ7を介して出力されるデータは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、キャッシュメモリCM又はステータスレジスタSTRからバッファ回路に入力される。
【0043】
[論理回路CTRの回路構成]
論理回路CTR(
図1)は、外部制御端子/CEn,CLE,ALE,/WE,RE,/REを介して外部制御信号を受信し、これに応じて入出力制御回路I/Oに内部制御信号を出力する。
【0044】
[メモリダイMDの構造]
図5は、メモリダイMDの模式的な平面図である。
図6は、
図5に示す構造をA-A´線及びB-B´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。尚、
図6はメモリダイMDの模式的な構成について説明するための図であり、具体的な構成の数、形状、配置等を示すものでは無い。
図7は、
図5のCで示した部分におけるトランジスタ層L
TRの模式的な拡大図である。
図8は、
図5のDで示した部分の模式的な拡大図である。
図9は、
図8に示す構造をE-E´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図10は、
図9のFで示した部分の模式的な拡大図である。
図11は、
図5のGで示した部分の模式的な拡大図である。
図12は、
図11に示す構造をH-H´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図13は、
図11に示す構造をI-I´線に沿って切断し、矢印の方向に沿って見た模式的な断面図である。
図14は、
図7に示す図の上に制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRを重ねて表示した模式図である。
図15は、
図14のJで示した部分の模式的な拡大図である。
図16は、
図15のKで示した部分をビット線BLと共に示す模式図である。
【0045】
メモリダイMDは、例えば
図5に示す様に、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向及びY方向に並ぶ4つのメモリセルアレイ領域R
MCAが設けられる。また、メモリセルアレイ領域R
MCAは、X方向に並ぶ複数のメモリホール領域R
MHと、これらメモリホール領域R
MHの間に設けられた複数のコンタクト接続領域R
C4Tと、を備える。また、メモリセルアレイ領域R
MCAのX方向の中央部には、フックアップ領域R
HUが設けられている。また、メモリセルアレイ領域R
MCAのY方向の一端部には、X方向に並ぶ複数のメモリホール領域R
MHに対応してX方向に並ぶ複数のコンタクト接続領域R
BLTが設けられている。また、半導体基板100のY方向の端部には、周辺領域R
Pが設けられている。周辺領域R
Pは、半導体基板100のY方向の端部に沿ってX方向に延伸する。
【0046】
メモリダイMDは、例えば
図6に示す様に、半導体基板100と、半導体基板100上に設けられたトランジスタ層L
TRと、トランジスタ層L
TRの上方に設けられた配線層D0と、配線層D0の上方に設けられた配線層D1と、配線層D1の上方に設けられた配線層D2と、配線層D2の上方に設けられたメモリセルアレイ層L
MCAと、メモリセルアレイ層L
MCAの上方に設けられた配線層M0と、配線層M0の上方に設けられた配線層M1と、配線層M1の上方に設けられた配線層M2と、を備える。
【0047】
[半導体基板100の構造]
半導体基板100は、例えば、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型のシリコン(Si)からなる半導体基板である。例えば
図6に示す様に、半導体基板100の表面には、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェル領域100Nと、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェル領域100Pと、N型ウェル領域100N及びP型ウェル領域100Pが設けられていない半導体基板領域100Sと、絶縁領域100Iと、が設けられている。N型ウェル領域100N、P型ウェル領域100P及び半導体基板領域100Sは、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTr、及び、複数のキャパシタ等の一部として機能する。
【0048】
[トランジスタ層L
TRの構造]
例えば
図6に示す様に、半導体基板100の上面には、図示しない絶縁層を介して、配線層GCが設けられている。配線層GCは、半導体基板100の表面と対向する複数の電極gcを含む。また、半導体基板100の各領域及び配線層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、コンタクトCSに接続されている。
【0049】
配線層GCに含まれる複数の電極gcは、それぞれ、周辺回路PCを構成する複数のトランジスタTrのゲート電極、及び、複数のキャパシタの他方の電極等として機能する。
【0050】
コンタクトCSは、Z方向に延伸し、下端において半導体基板100又は電極gcの上面に接している。コンタクトCSと半導体基板100との接続部分には、N型の不純物又はP型の不純物を含む不純物領域が設けられている。コンタクトCSは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0051】
尚、
図7に示す様に、トランジスタ層L
TR(
図6)のメモリホール領域R
MHには、センスアンプ領域R
SA及びラッチ回路領域R
XDLが設けられている。また、トランジスタ層L
TR(
図6)のフックアップ領域R
HUには、ワード線スイッチ領域R
WLSWが設けられている。また、トランジスタ層L
TR(
図6)のメモリセルアレイ領域R
MCAに対してY方向にずれた領域には、データ制御領域R
YLOGが設けられている。
【0052】
センスアンプ領域R
SAには、センスアンプモジュールSAM(
図3)等が配置されている。ラッチ回路領域R
XDLには、キャッシュメモリCM(
図3)のラッチ回路XDL0~XDL15等が配置されている。ワード線スイッチ領域R
WLSWには、ロウデコーダRD(
図1)のスイッチ回路等が配置されている。
【0053】
データ制御領域R
YLOGには、データキャッシュ制御回路90(
図3)及びデータキャッシュ反転制御回路91(
図3)が配置されている。また、データ制御領域R
YLOGには、センスアンプモジュールSAM(
図1、
図3)やキャッシュメモリCM(
図1、
図3)を制御する制御回路(図示省略)が配置されている。
【0054】
[配線層D0,D1,D2の構造]
例えば
図6に示す様に、配線層D0,D1,D2に含まれる複数の配線は、メモリセルアレイMCA中の構成及び周辺回路PC中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0055】
配線層D0,D1,D2は、それぞれ、複数の配線d0,d1,d2を含む。これら複数の配線d0,d1,d2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0056】
[メモリセルアレイ層L
MCAのメモリホール領域R
MHにおける構造]
例えば
図8に示す様に、メモリセルアレイ層L
MCAには、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックBLKが設けられている。メモリブロックBLKは、Y方向に並ぶ複数のストリングユニットSUを備える。Y方向において隣り合う2つのメモリブロックBLKの間には、例えば、
図9に示す様に、酸化シリコン(SiO
2)等のブロック間絶縁層STが設けられる。
【0057】
メモリブロックBLKは、例えば
図9に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110と、Z方向に延伸する複数の半導体柱120と、複数の導電層110及び複数の半導体柱120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0058】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層である。導電層110は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。また、導電層110は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の導電層110の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0059】
導電層110の下方には、導電層111が設けられている。導電層111は、例えば、リン(P)又はホウ素(B)等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、導電層111及び導電層110の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0060】
導電層111の下方には、導電層112が設けられている。導電層112は、半導体柱120の下端に接合された半導体層113と、半導体層113の下面に接する導電層114と、を備える。半導体層113は、例えば、リン(P)等のN型の不純物又はホウ素(B)等のP型の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。導電層114は、例えば、タングステン(W)等の金属、タングステンシリサイド等の導電層又はその他の導電層を含んでいても良い。また、導電層112及び導電層111の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0061】
導電層112は、ソース線SL(
図2)として機能する。ソース線SLは、例えば、メモリセルアレイ領域R
MCA(
図5)に含まれる全てのメモリブロックBLK(
図2,
図8)について共通に設けられている。
【0062】
導電層111は、ソース側選択ゲート線SGSb(
図2)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTSbのゲート電極として機能する。導電層111は、メモリブロックBLK(
図2,
図8)毎に電気的に独立している。
【0063】
また、複数の導電層110のうち、最下層に位置する一又は複数の導電層110は、ソース側選択ゲート線SGS(
図2)及びこれに接続された複数のソース側選択トランジスタSTSのゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、メモリブロックBLK(
図2,
図8)毎に電気的に独立している。
【0064】
また、これよりも上方に位置する複数の導電層110は、ワード線WL(
図2)及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図2)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、それぞれ、メモリブロックBLK(
図2,
図8)毎に電気的に独立している。
【0065】
また、これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110は、ドレイン側選択ゲート線SGD及びこれに接続された複数のドレイン側選択トランジスタSTD(
図2)のゲート電極として機能する。これら複数の導電層110は、その他の導電層110よりもY方向の幅が小さい。また、Y方向において隣り合う2つの導電層110の間には、ストリングユニット間絶縁層SHEが設けられている。これら複数の導電層110は、それぞれ、ストリングユニットSU(
図2,
図8,
図13)毎に電気的に独立している。
【0066】
半導体柱120は、X方向及びY方向に所定のパターンで並ぶ。半導体柱120は、1つのメモリストリングMS(
図2)に含まれる複数のメモリセルMC及び選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のチャネル領域として機能する。半導体柱120は、例えば、多結晶シリコン(Si)等の半導体柱である。半導体柱120は、例えば
図9に示す様に、略有底円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁層125が設けられている。また、半導体柱120の外周面は、それぞれ導電層110によって囲まれており、導電層110と対向している。
【0067】
半導体柱120の上端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域121が設けられている。
図9の例では、半導体柱120の上端部と不純物領域121の下端部との境界線を、破線によって示している。不純物領域121は、コンタクトCh及びコンタクトVy(
図6)を介してビット線BLに接続される。
【0068】
半導体柱120の下端部には、リン(P)等のN型の不純物を含む不純物領域122が設けられている。
図9の例では、半導体柱120の下端部と不純物領域122の上端部との境界線を、破線によって示している。不純物領域122は、上記導電層112の半導体層113に接続されている。半導体柱120のうち、不純物領域122の直上に位置する部分は、ソース側選択トランジスタSTSbのチャネル領域として機能する。不純物領域122の外周面は、導電層111によって囲まれており、導電層111と対向している。
【0069】
ゲート絶縁膜130は、半導体柱120の外周面を覆う略有底円筒状の形状を有する。ゲート絶縁膜130は、例えば
図10に示す様に、半導体柱120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132及びブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁膜である。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(Si
3N
4)等の電荷を蓄積可能な膜である。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、半導体柱120と半導体層113との接触部を除く半導体柱120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0070】
尚、
図10には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示した。しかしながら、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0071】
[メモリセルアレイ層L
MCAのコンタクト接続領域R
C4Tにおける構造]
例えば、コンタクト接続領域R
C4Tには、
図12に示す様に、Y方向に並ぶ2つのブロック間絶縁層STの間においてY方向に並ぶ2つの絶縁層ST
Oが設けられている。また、これら2つの絶縁層ST
Oの間には、コンタクト接続小領域r
C4Tが設けられている。また、ブロック間絶縁層STと絶縁層ST
Oとの間には、導電層接続小領域r
110が設けられている。これらの領域は、ブロック間絶縁層STに沿ってX方向に延伸する。
【0072】
絶縁層ST
Oは、例えば
図12に示す様に、Z方向に延伸し、下端において導電層112に接している。絶縁層ST
Oは、例えば酸化シリコン(SiO
2)を含む。
【0073】
コンタクト接続小領域rC4Tは、Z方向に並ぶ複数の絶縁層110Aと、Z方向に延伸する複数のコンタクトC4と、を備える。
【0074】
絶縁層110Aは、X方向に延伸する略板状の絶縁層である。絶縁層110Aは、窒化シリコン(SiN)等の絶縁層を含んでいても良い。Z方向に並ぶ複数の絶縁層110Aの間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層101が設けられている。
【0075】
コンタクトC4は、例えば
図11に示す様に、X方向に複数並んでいる。コンタクトC4は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。例えば
図12に示す様に、コンタクトC4の外周面は、それぞれ絶縁層110A及び絶縁層101によって囲われており、これらの絶縁層110A及び絶縁層101に接している。尚、例えば
図6に示す様に、コンタクトC4はZ方向に延伸し、上端において配線層M0中の配線m0と接続され、下端において配線層D2中の配線d2と接続されている。
【0076】
導電層接続小領域r
110は、例えば
図12に示す様に、Z方向に並ぶ複数の導電層110の幅狭部110
C4Tを備える。例えば
図11に示す様に、X方向において隣り合う2つのメモリホール領域R
MHに含まれる複数の導電層110は、この幅狭部110
C4Tを介してお互いに導通している。
【0077】
[メモリセルアレイ層L
MCAのフックアップ領域R
HUにおける構造]
フックアップ領域R
HU(
図5、
図8)には、複数の導電層110の一部が設けられている。また、フックアップ領域R
HUには、複数のコンタクトCCが設けられている。これら複数のコンタクトCCはZ方向に延伸し、下端において導電層110と接している。コンタクトCCは、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。これら複数のコンタクトCCは、配線層M0,M1,M2中の配線m0,m1,m2、コンタクトC4、配線層D0,D1,D2中の配線d0,d1,d2及びコンタクトCSを介して、トランジスタTrのドレイン電極に接続されている。
【0078】
[メモリセルアレイ層L
MCAのコンタクト接続領域R
BLTにおける構造]
コンタクト接続領域R
BLTには、例えば
図13に示す様に、Z方向に並ぶ複数の絶縁層110Aと、Z方向に延伸するコンタクトC4
BLと、が設けられている。
【0079】
コンタクトC4
BLは、例えば
図11に示す様に、X方向及びY方向に複数並んでいる。コンタクトC4
BLは、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。例えば
図13に示す様に、コンタクトC4
BLの外周面は、それぞれ絶縁層110A及び絶縁層101によって囲われており、これらの絶縁層110A及び絶縁層101に接している。尚、例えば
図13に示す様に、コンタクトC4
BLはZ方向に延伸し、上端においてビット線BLと接続されている。また、図示は省略するものの、コンタクトC4
BLは、下端において配線層D2中の配線d2(
図6)と接続されている。
【0080】
[メモリセルアレイ領域R
MCAに対してY方向にずれた領域の構成]
図6に示す様に、メモリセルアレイ領域R
MCAに対してY方向にずれた領域(
図5のB-B´線に対応する領域)には、Z方向に延伸するコンタクトC3が備えられている。コンタクトC3は、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びタングステン(W)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。コンタクトC3の外周面は、コンタクトC4(
図6)及びコンタクトC4
BL(
図13)とは異なり、導電層110や絶縁層101ではなく、酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁層102によって囲われている。尚、例えば
図6に示す様に、コンタクトC3はZ方向に延伸し、上端において配線層M0中の配線m0と接続され、下端において配線層D2中の配線d2と接続されている。
【0081】
[配線層M0,M1,M2の構造]
例えば
図6に示す様に、配線層M0,M1,M2に含まれる複数の配線は、例えば、メモリセルアレイ層L
MCA中の構成及びトランジスタ層L
TR中の構成の少なくとも一方に、電気的に接続される。
【0082】
配線層M0は、それぞれ、複数の配線m0を含む。これら複数の配線m0は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0083】
配線層M1は、それぞれ、複数の配線m1を含む。これら複数の配線m1は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及び銅(Cu)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0084】
配線層M2は、それぞれ、複数の配線m2を含む。これら複数の配線m2は、例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア導電膜及びアルミニウム(Al)等の金属膜の積層膜等を含んでいても良い。
【0085】
尚、複数の配線m0のうち、メモリホール領域R
MHの上方に設けられたものは、ビット線BL(
図2,
図6,
図13)として機能する。ビット線BLは、
図6に示す様にX方向に並ぶと共に、
図13に示す様にY方向に延伸する。また、これら複数のビット線BLは、それぞれ、各ストリングユニットSU(
図2,
図13)に含まれる1の半導体柱120に接続されている。また、例えば
図13に示す様に、これら複数のビット線BLは、それぞれ、コンタクトC4
BLに接続されている。
【0086】
また、
図14及び
図15に示す様に、複数の配線m1のうち、ラッチ回路領域R
XDLの上方に設けられたものの一部は、32本の制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15として機能する。制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15は、X方向に延伸すると共に、所定の間隔を取ってY方向に並んでいる。
【0087】
また、
図14及び
図15に示す様に、複数の配線m1のうち、ラッチ回路領域R
XDLの上方に設けられたものの一部は、2本の反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRとして機能する。反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRは、制御信号伝送配線m1
R7と制御信号伝送配線m1
L8との間の位置に配置されており、X方向に延伸すると共に、所定の間隔を取ってY方向に並んでいる。つまり、Y方向に関して言うと、2本の反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRは、32本の制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15の中央位置に配置されている。
【0088】
制御信号伝送配線m1
L0は、配線層M2の配線m2
L0及びコンタクトC3
L0(
図15)等を介してデータキャッシュ制御回路90(
図7)に電気的に接続される。また、制御信号伝送配線m1
L0は、コンタクトC4(
図6)及び配線層D2,D1,D0の配線d2,d1,d0等を介して変換回路80(
図3)に電気的に接続されている。
【0089】
また、制御信号伝送配線m1
R0は、配線層M2の配線m2
R0及びコンタクトC3
R0(
図15)等を介してデータキャッシュ制御回路90(
図7)に電気的に接続される。また、制御信号伝送配線m1
R0は、コンタクトC4(
図6)及び配線層D2,D1,D0の配線d2,d1,d0等を介して変換回路80(
図3)に電気的に接続されている。
【0090】
以下同様に、制御信号伝送配線m1
L1,m1
R1~m1
L15,m1
R15は、配線層M2の配線m2
L1,m2
R1~m2
L15,m2
R15及びコンタクトC3
L1,C3
R1~C3
L15,C3
R15(
図15)等を介してデータキャッシュ制御回路90(
図7)に電気的に接続される。また、制御信号伝送配線m1
L1,m1
R1~m1
L15,m1
R15は、コンタクトC4(
図6)及び配線層D2,D1,D0の配線d2,d1,d0等を介して変換回路80(
図3)に電気的に接続されている。
【0091】
また、反転制御信号伝送配線m1
INVLは、配線層M2の配線m2
INVL及びコンタクトC3
INVL(
図15)等を介してデータキャッシュ反転制御回路91(
図7)に電気的に接続されている。
【0092】
また、反転制御信号伝送配線m1
INVRは、配線層M2の配線m2
INVR及びコンタクトC3
INVR(
図15)等を介してデータキャッシュ反転制御回路91(
図7)に電気的に接続されている。
【0093】
尚、上述したように、制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVR(
図14、
図15)はX方向に延伸する。これに対して、ビット線BL(
図6、
図13)はY方向に延伸する。このため、制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRと、ビット線BLとは、Z方向位置は異なるが、
図16に示す様に、X―Y平面をZ方向に沿い見た場合に交差する(重なる)。この結果、制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRと、これら配線に近接しつつ交差する(重なる)ビット線BLとの間には、容量性カップリングが生起し得る。
【0094】
[読出動作の説明]
図17は、読出動作について説明するための模式的な断面図である。
図18は、読出動作について説明するための模式的な波形図である。尚、以下の説明では、動作の対象となっているワード線WLを選択ワード線WL
Sと呼び、それ以外のワード線WLを非選択ワード線WL
Uと呼ぶ場合がある。また、以下の説明では、動作の対象となっているストリングユニットSUに含まれる複数のメモリセルMCのうち、選択ワード線WL
Sに接続されたもの(以下、「選択メモリセルMC」と呼ぶ場合がある。)に対して読出動作を実行する例について説明する。
【0095】
読出動作のタイミングt101では、非選択ワード線WLUに読出パス電圧VREADを供給して、全てのメモリセルMCをON状態とする。また、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に電圧VSGを供給する。電圧VSGは、選択トランジスタ(STD、STS、STSb)のチャネル領域に電子のチャネルが形成され、これによって選択トランジスタ(STD、STS、STSb)がON状態となる程度の大きさを有する。
【0096】
読出動作のタイミングt102では、選択ワード線WLSに、所定の読出電圧VCGRを供給する。これにより、一部の選択メモリセルMCはON状態となり、残りの選択メモリセルMCはOFF状態となる。
【0097】
読出動作のタイミングt103では、ビット線BLに電圧V
DDを供給する。例えば、
図4に示すセンスアンプSAにおいて、トランジスタ44,45,46,47,49をON状態にすると共にトランジスタ42,43をOFF状態にする。これにより、ビット線BL及びセンスノードSENに電圧V
DDが供給され、これらの充電が開始される。また、例えば、ソース線SLに電圧V
SRCを供給して、これらの充電を開始する。電圧V
SRCは、例えば、接地電圧V
SSと同程度の大きさを有する。電圧V
SRCは、例えば、接地電圧V
SSより大きく、電圧V
DDより小さい電圧でも良い。
【0098】
読出動作のタイミングt104では、センス動作を開始する。センス動作では、例えば、センスアンプモジュールSAM(
図3)によって、メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、このメモリセルMCの状態を示すデータを取得する。例えば、センスアンプSA(
図4)において、トランジスタ43,44,45をON状態にすると共にトランジスタ42,46,49をOFF状態にして、センスアンプSAのセンスノードSENをビット線BLと導通させる。
【0099】
ここで、例えばメモリセルMCがON状態だった場合、
図18中に点線で示した通り、ビット線BL及びセンスノードSENの電圧は比較的低くなる。これにより、センストランジスタ41はOFF状態となる。一方、例えばメモリセルMCがOFF状態だった場合、図中に実線で示した通り、ビット線BL及びセンスノードSENの電圧は比較的高くなる。従って、センストランジスタ41はON状態となる。
【0100】
読出動作のタイミングt105では、センス動作を終了する。例えば、センスアンプSA(
図4)において、トランジスタ44,45をON状態にすると共にトランジスタ42,43,46,49をOFF状態にして、センスアンプSAのセンスノードSENをビット線BLから電気的に切り離す。
【0101】
読出動作のタイミングt106では、選択ワード線WLS、非選択ワード線WLU、及び、選択ゲート線(SGD、SGS、SGSb)に、接地電圧VSSを供給する。また、ビット線BLに、電圧VSRCを供給する。
【0102】
尚、センス動作の実行後には、トランジスタ42(
図4)をON状態にして、センストランジスタ41を配線LBUS(
図3、
図4)と導通させる。上述の通り、センストランジスタ41は、メモリセルMCのON状態/OFF状態に応じてOFF状態又はON状態となる。従って、配線LBUSの電荷は、メモリセルMCのON状態/OFF状態に応じて放電又は維持される。また、センスアンプユニットSAU(
図3、
図4)内のラッチ回路SDL,DL0~DLnのいずれかが配線LBUSと導通し、このラッチ回路SDL,DL0~DLnによって配線LBUSのデータがラッチされる。
【0103】
読出動作においては、上記メモリセルMCの状態を示すデータを読出データとしても良い。また、読出動作においては、上記メモリセルMCの状態を示すデータにAND、OR等の演算処理を実行し、演算結果を読出データとしても良い。読出データは、
図3、
図4に示す、配線LBUS、スイッチトランジスタDSW、配線DBUSを介して、キャッシュメモリCM(
図1、
図3)に転送される。
【0104】
尚、以下の説明では、
図18のタイミングt103からタイミングt104までの期間を、「充電期間I」と呼ぶ場合がある。また、タイミングt104からタイミングt105までの期間を、「センス動作期間II」と呼ぶ場合がある。
【0105】
[データ転送動作の説明]
読出動作によって取得された読出データをメモリダイMDから出力する場合、データ転送動作が実行される。データ転送動作は、例えば、キャッシュメモリCM(
図1)にラッチされた読出データ等のデータDATを入出力回路I/O(
図1)に転送したり、入出力回路I/O(
図1)から入力された書込データ等のデータDATをキャッシュメモリCM(
図1)に転送したりする動作である。
【0106】
図19は、データ転送動作について説明するための模式的な波形図である。
【0107】
尚、読出動作及び書込動作の最小単位である1ページは、例えば、16分割されている。以下、この様に16分割された1つの分割単位を「ティア」と呼ぶ場合がある。また、これら16個のティアは、更に、ティアLとティアRとに分割されている。データ転送動作に際しては、これら16個のティアL、ティアRが順次選択され、選択されたティアL、ティアRに対応するデータが順次転送される。
【0108】
また、
図19には、データキャッシュ制御回路90(
図3、
図7)の出力信号として、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>,XTRS_R<0>~XTRS_L<15>,XTRS_R<15>を図示している。データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>~XTRS_L<15>は、それぞれ、1つ目~16個目のティアLに対応する信号である。データキャッシュ制御信号XTRS_R<0>~XTRS_R<15>は、それぞれ、1つ目~16個目のティアRに対応する信号である。
【0109】
尚、データキャッシュ制御回路90(
図7)から出力されたデータキャッシュ制御信号XTRS_L<0>,XTRS_R<0>~XTRS_L<15>,XTRS_R<15>は、
図14及び
図15を参照して説明した制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15を介して、変換回路80(
図3)に伝送される。
【0110】
また、
図19には、データキャッシュ反転制御回路91(
図3、
図7)の出力信号として、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rを図示している。データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lは、例えば、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>~XTRS_L<15>の全ての信号をOR演算したものを、反転した信号である。データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Rは、例えば、データキャッシュ制御信号XTRS_R<0>~XTRS_R<15>の全ての信号をOR演算したものを、反転した信号である。
【0111】
尚、データキャッシュ反転制御回路91(
図7)から出力されたデータキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rは、
図14及び
図15を参照して説明した反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRに伝送される。
【0112】
図19に示す様に、データ転送動作が開始される直前のタイミングでは、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>,XTRS_R<0>~XTRS_L<15>,XTRS_R<15>が低電位状態に設定されている。また、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rが高電位状態に設定されている。
【0113】
データ転送動作のタイミングt201では、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>が高電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lが低電位状態に遷移する。
【0114】
データ転送動作のタイミングt201~t203の間の期間においては、1つ目のティアLに対応するデータを転送する。
【0115】
例えば、1つ目のティアLのデータを入出力回路I/O(
図1)に転送する場合には、
図3を参照して説明した配線XBUS0~XBUS15を充電する。次に、変換回路80によって制御信号XTL0を高電位状態とし、制御信号XTL1~XTLnを低電位状態とする。これにより、キャッシュメモリCM0のラッチ回路XDL0~XDL015のデータが、配線XBUS0~XBUS15に転送される。次に、配線XBUS0~XBUS15をバスDB(
図1)と導通させる。これにより、配線XBUS0~XBUS15のデータが、入出力回路I/O(
図1)に転送される。以下同様に、配線XBUS0~XBUS15を順次充電し、制御信号XTL1~XTL15のうちの一つを順次高電位状態とし、配線XBUS0~XBUS15を順次バスDB(
図1)と導通させる。
【0116】
また、例えば、1つ目のティアLのデータを入出力回路I/O(
図1)から取得する場合には、配線XBUS0~XBUS15をバスDB(
図1)と導通させる。これにより、入出力回路I/O(
図1)のデータが、配線XBUS0~XBUS15に転送される。次に、変換回路80によって制御信号XTL0を高電位状態とし、制御信号XTL1~XTL15を低電位状態とする。これにより、配線XBUS0~XBUS15のデータが、ラッチ回路XDL0に転送される。以下同様に、配線XBUS0~XBUS15を順次バスDB(
図1)と導通させ、制御信号XTL1~XTL15のうちの一つを順次高電位状態とする。
【0117】
データ転送動作のタイミングt202では、データキャッシュ制御信号XTRS_R<0>が高電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Rが低電位状態に遷移する。
【0118】
データ転送動作のタイミングt202~t205の間の期間においては、1つ目のティアRに対応するデータを転送する。
【0119】
データ転送動作のタイミングt203では、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>が低電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lが高電位状態に遷移する。
【0120】
データ転送動作のタイミングt204では、データキャッシュ制御信号XTRS_L<1>が高電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lが低電位状態に遷移する。
【0121】
データ転送動作のタイミングt204~t207の間の期間においては、2つ目のティアLに対応するデータを転送する。
【0122】
データ転送動作のタイミングt205では、データキャッシュ制御信号XTRS_R<0>が低電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Rが高電位状態に遷移する。
【0123】
データ転送動作のタイミングt206では、データキャッシュ制御信号XTRS_R<1>が高電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Rが低電位状態に遷移する。
【0124】
データ転送動作のタイミングt206~t208の間の期間においては、2つ目のティアRに対応するデータを転送する。
【0125】
データ転送動作のタイミングt207では、データキャッシュ制御信号XTRS_L<1>が低電位状態に遷移すると共に、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lが高電位状態に遷移する。
【0126】
以下同様に、データキャッシュ制御信号XTRS_L<2>~XTRS_L<15>が、順次高電位状態に遷移する。また、データキャッシュ制御信号XTRS_L<2>~XTRS_L<15>のいずれかが高電位状態に遷移するタイミングで、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lが低電位状態に遷移する。また、データキャッシュ制御信号XTRS_R<2>~XTRS_R<15>のいずれかが低電位状態に遷移するタイミングで、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Lが高電位状態に遷移する。また、3つ目~16個目のティアLに対応するデータを転送する。
【0127】
同様に、データキャッシュ制御信号XTRS_R<2>~XTRS_R<15>が、順次高電位状態に遷移する。また、データキャッシュ制御信号XTRS_R<2>~XTRS_R<15>のいずれかが高電位状態に遷移するタイミングで、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Rが低電位状態に遷移する。また、データキャッシュ制御信号XTRS_R<2>~XTRS_R<15>のいずれかが低電位状態に遷移するタイミングで、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_Rが高電位状態に遷移する。また、3つ目~16個目のティアRに対応するデータを転送する。
【0128】
[読出動作時におけるカップリングノイズの影響]
読出動作とデータ転送動作とは、独立したタイミング(非同期のタイミング)で実行可能である。ここで、上述の通り、制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRと、これら配線に近接しつつ交差する(重なる)ビット線BLとの間には、容量性カップリングが生起し得る(
図16参照)。従って、読出動作中にデータ転送動作が実行された場合、OFF状態の選択メモリセルMCに接続されたビット線BLの電圧が容量結合によって引き下げられ、選択メモリセルMCのデータがON状態であると判定されてしまう虞がある。また、ON状態の選択メモリセルMCに接続されたビット線BLの電圧が容量結合によって引き上げられ、選択メモリセルMCのデータがOFF状態であると判定されてしまう虞がある。
【0129】
[読出動作時におけるノイズ補償]
上述の通り、本実施形態に係る半導体記憶装置は、反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVRを備える。また、本実施形態に係るデータ転送動作においては、制御信号伝送配線m1L0,m1R0~m1L15,m1R15を介して伝送されるデータキャッシュ制御信号XTRS_L<0>,XTRS_R<0>~XTRS_L<15>,XTRS_R<15>が反転するタイミングで、反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVRに伝送されるデータキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rを反転させる。この様な方法によれば、容量性カップリングに起因するビット線BLへのノイズを抑制することが可能である。
【0130】
尚、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rは、データ転送動作が実行される際に常に発生させても良いし、データ転送動作が特定のタイミングで実行される場合にのみ発生させても良い。例えば、
図18を参照して説明した充電期間I及びセンス動作期間IIの少なくとも一方において、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rを発生させても良い。
【0131】
例えば、
図20の例では、充電期間Iにおいて、
図19を参照して説明したタイミングt201の動作が実行されている。また、センス動作期間IIにおいて、
図19を参照して説明したタイミングt202の動作が実行されている。
【0132】
[第2実施形態]
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るメモリダイMDは、基本的には、第1実施形態に係るメモリダイMDと同様に構成されている。ただし、第1実施形態では、読出動作時において、ビット線に生ずるカップリングノイズを抑制することを目的としていたのに対して、第2実施形態では、書込動作時において、ビット線に生ずるカップリングノイズを抑制することを目的とする。
【0133】
[書込動作の説明]
図21は、書込動作について説明するための模式的な断面図である。
図22は、書込動作について説明するための模式的な波形図である。
【0134】
書込動作のタイミングt301では、例えば、複数の選択メモリセルMCのうち閾値電圧の調整を行うもの(以下、「書込メモリセルMC」と呼ぶ場合がある。)に接続されたビット線BLWに電圧VSRCを供給し、複数の選択メモリセルMCのうち閾値電圧の調整を行わないもの(以下、「禁止メモリセルMC」と呼ぶ場合がある。)に接続されたビット線BLPに電圧VDDを供給する。
【0135】
書込動作のタイミングt302では、選択ワード線WLS及び非選択ワード線WLUに書込パス電圧VPASSが供給される。また、ドレイン側選択ゲート線SGDに、電圧VSGDが供給される。書込パス電圧VPASSは、メモリセルMCの閾値電圧に拘わらずメモリセルMCがON状態となる程度の大きさを有する。電圧VSGDは、ビット線BLの電圧に応じてドレイン側選択トランジスタSTDがON状態又はOFF状態となる程度の大きさを有する。
【0136】
ここで、例えば
図21に示す様に、ビット線BL
Wには電圧V
SRCが供給されている。また、ドレイン側選択ゲート線SGDに供給される電圧V
SGDからビット線BL
Wに供給される電圧V
SRCを減じた電圧は、ドレイン側選択トランジスタSTDの閾値よりも大きい。そのため、ドレイン側選択トランジスタSTDはON状態となる。また、ビット線BL
Wに接続された半導体柱120のチャネルには、電圧V
SRCが供給される。
【0137】
一方、ビット線BLPには電圧VDDが供給されている。また、ドレイン側選択ゲート線SGDに供給される電圧VSGDからビット線BLPに供給される電圧VDDを減じた電圧は、ドレイン側選択トランジスタSTDの閾値よりも小さい。そのため、ドレイン側選択トランジスタSTDはOFF状態となる。また、ビット線BLPに接続された半導体柱120のチャネルは、電気的にフローティング状態となる。また、ビット線BLPに接続された半導体柱120のチャネルの電位は選択ワード線WLS及び非選択ワード線WLUとの容量結合によって、例えば書込パス電圧VPASS程度まで上昇する。
【0138】
書込動作のタイミングt303では、選択ワード線WLSにプログラム電圧VPGMを供給する。プログラム電圧VPGMは、書込パス電圧VPASSよりも大きい。
【0139】
ここで、ビット線BL
Wに接続された半導体柱120のチャネルには、電圧V
SRCが供給されている。そのため、ビット線BL
Wに接続された半導体柱120のチャネルと選択ワード線WL
Sとの間には、比較的大きい電界が発生する。これにより、半導体柱120のチャネル中の電子がトンネル絶縁膜131(
図10)を介して電荷蓄積膜132(
図10)中にトンネルする。これにより、書込メモリセルMCの閾値電圧は増大する。
【0140】
一方、ビット線BL
Pに接続された半導体柱120のチャネルの電位は、書込パス電圧V
PASS程度となっている。そのため、ビット線BL
Pに接続された半導体柱120のチャネルと選択ワード線WL
Sとの間に発生する電界は、上記したビット線BL
Wに接続された半導体柱120のチャネルと選択ワード線WL
Sとの間に発生する電界よりも小さい。従って、半導体柱120のチャネル中の電子は電荷蓄積膜132(
図10)中にトンネルしない。従って、禁止メモリセルMCの閾値電圧は増大しない。
【0141】
尚、以下の説明では、タイミングt302からタイミングt303までの期間を、「充電期間III」と呼ぶ場合がある。また、タイミングt303からタイミングt304までの期間を、「プログラム動作期間IV」と呼ぶ場合がある。
【0142】
[書込動作時におけるカップリングノイズの影響]
前述したように、書込動作とデータ転送動作とは、独立したタイミング(非同期のタイミング)で実行可能である。ここで、上述の通り、制御信号伝送配線m1
L0,m1
R0~m1
L15,m1
R15及び反転制御信号伝送配線m1
INVL,m1
INVRと、これら配線に近接しつつ交差する(重なる)ビット線BLとの間には、容量性カップリングが生起し得る(
図16参照)。従って、書込動作中にデータ転送動作が実行された場合、ビット線BL
Pの電圧が容量結合によって引き下げられ、ビット線BL
Pに接続されたドレイン側選択トランジスタSTDがON状態となってしまい、禁止メモリセルMCの閾値電圧が増大してしまう虞がある。また、ビット線BL
Wの電圧が容量結合によって引き上げられ、ビット線BL
Wに接続されたドレイン側選択トランジスタSTDがOFF状態となってしまい、禁止メモリセルMCの閾値電圧が増大しなくなってしまう虞がある。
【0143】
[書込動作時におけるノイズ補償]
本実施形態においても、第1実施形態と同様の方法によって、容量性カップリングに起因するビット線BLへのノイズを抑制することが可能である。
【0144】
尚、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rは、データ転送動作が実行される際に常に発生させても良いし、データ転送動作が特定のタイミングで実行される場合にのみ、発生させても良い。例えば、
図21を参照して説明した充電期間III及びプログラム動作期間IVの少なくとも一方において、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rを発生させても良い。
【0145】
例えば、
図23の例では、充電期間IIIにおいて、
図19を参照して説明したタイミングt203~t206の動作が実行されている。また、プログラム動作期間IVにおいて、
図19を参照して説明したタイミングt207以降の動作が実行されている。
【0146】
また、第2実施形態に係る半導体記憶装置においては、第1実施形態に係る半導体記憶装置と同様に、
図18を参照して説明した充電期間I及びセンス動作期間IIの少なくとも一方において、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rを発生させても良い。
【0147】
[その他の実施形態]
以上、第1実施形態及び第2実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、この様な半導体記憶装置はあくまでも例示に過ぎず、具体的な構成、動作等は適宜調整可能である。
【0148】
例えば、上記第1実施形態及び第2実施形態に係る半導体記憶装置は、反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVR(2本の反転制御信号伝送配線)を1組備えていた。しかしながら、例えば、第1実施形態又は第2実施形態に係る半導体記憶装置に、複数組の反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVRを設けても良い。この様な場合には、これら複数組の反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVRを、分散して配置しても良い。例えば、第1実施形態又は第2実施形態に係る半導体記憶装置に7組の反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVRが設けられる場合には、32本の制御信号伝送配線m1L0,m1R0~m1L15,m1R15のうち、4本おきに、1組の反転制御信号伝送配線m1INVL,m1INVRを備えるようにしても良い。
【0149】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、データ転送動作において、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>,XTRS_R<0>~XTRS_L<15>,XTRS_R<15>のいずれかが反転するタイミングと、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rのいずれかが反転するタイミングと、が一致していた。しかしながら、これらのタイミングは、厳密に一致していなくても良い。ただし、ノイズ抑制の観点からは、データキャッシュ制御信号XTRS_L<0>,XTRS_R<0>~XTRS_L<15>,XTRS_R<15>の反転が開始されてから終了するまでの期間の少なくとも一部と、データキャッシュ反転制御信号XTRS_INV_L,XTRS_INV_Rの反転が開始されてから終了するまでの期間の少なくとも一部と、が重なることが望ましい。
【0150】
また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、制御信号伝送配線m1L0,m1R0~m1L15,m1R15とビット線BLとの間のカップリングノイズを抑制しているが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、配線m0,m1,m2のうち、任意の2本の配線の間のカップリングノイズを抑制する場合にも、本発明を適用することができる。
【0151】
また、上記実施形態では、読出動作及び書込動作に対して非同期に信号状態(H状態、L状態)が変化するデータキャッシュ制御信号XTRSにより生ずるカップリングノイズを抑制しているが、本発明はこれに限定するものではない。例えば、読出動作及び書込動作に対して同期して信号状態(H状態、L状態)が変化する信号により生ずるカップリングノイズを抑制する場合にも、本発明を適用することができる。
【0152】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0153】
90・・・データキャッシュ制御回路、91・・・データキャッシュ反転制御回路、110・・・導電層、120・・・半導体柱、MD・・・メモリダイ、MCA・・・メモリセルアレイ、PC・・・周辺回路、WL・・・ワード線、BL・・・ビット線、m1L0,m1R0~m1L15,m1R15・・・制御信号伝送配線、m1INVL,m1INVR・・・反転制御信号伝送配線。