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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125652
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】円柱状ワーク外形修正装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 5/36 20060101AFI20220822BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B24B5/36
B01J20/281 X
B01J20/281 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023362
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 淳子
【テーマコード(参考)】
3C043
【Fターム(参考)】
3C043AC01
3C043CC05
3C043CC11
3C043CC13
3C043DD05
3C043EE04
(57)【要約】
【課題】円柱状ワークを折損させることなく、円柱状ワークの外形状を高精度に修正できる円柱状ワーク外形修正装置を提供すること。
【解決手段】円柱状ワーク外形修正装置は、第1水平面を有する上側部材と、第1水平面と対向する第2水平面を有する下側部材と、第1水平面および第2水平面の少なくとも一方に設けられる砥面と、上側部材および下側部材の少なくとも一方に対し、第1水平面と第2水平面との間に配置される円柱状ワークに向かう方向の荷重を付加する荷重付加手段と、上側部材および下側部材の少なくとも一方を、第1水平面と第2水平面との間に配置される円柱状ワークの転がり方向に沿って往復移動させる駆動手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1水平面を有する上側部材と、
前記第1水平面と対向する第2水平面を有する下側部材と、
前記第1水平面および前記第2水平面の少なくとも一方に設けられる砥面と、
前記上側部材および前記下側部材の少なくとも一方に対し、前記第1水平面と前記第2水平面との間に配置される円柱状ワークに向かう方向の荷重を付加する荷重付加手段と、
前記上側部材および前記下側部材の少なくとも一方を、前記第1水平面と前記第2水平面との間に配置される前記円柱状ワークの転がり方向に沿って往復移動させる駆動手段とを備えることを特徴とする円柱状ワーク外形修正装置。
【請求項2】
前記荷重付加手段は、
前記上側部材および前記下側部材の少なくとも一方に対し、上下方向に沿って進退可能に前記荷重を付加することを特徴とする請求項1に記載の円柱状ワーク外形修正装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、
前記円柱状ワークが1回転以上回転するように、前記上側部材および前記下側部材の少なくとも一方を前記往復移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の円柱状ワーク外形修正装置。
【請求項4】
前記上側部材は、
上下方向に沿って移動可能に支持され、
前記荷重付加手段は、
前記上側部材に設けられた錘であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の円柱状ワーク外形修正装置。
【請求項5】
前記駆動手段は、
前記下側部材を前記円柱状ワークの転がり方向に沿って往復移動動作させる
ことを特徴とする請求項4に記載の円柱状ワーク外形修正装置。
【請求項6】
前記第1水平面と前記第2水平面との隙間の最小隙間幅を所定のサイズに規定する隙間調整手段をさらに備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の円柱状ワーク外形修正装置。
【請求項7】
前記隙間調整手段は、
前記上側部材および前記下側部材の一方に設けられ、前記上側部材および前記下側部材の他方に当接するローラを有することを特徴とする請求項6に記載の円柱状ワーク外形修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円柱状ワーク外形修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記特許文献1には、円柱状ワーク(モノリス型分離カラム)を2つの回転砥石の間に入れてブレードを押し当てることにより、円柱状ワークの表面を研磨する技術が開示されている。下記特許文献2には、円柱状ワーク(円柱形状セラミックス)を2つの平面砥石の間に挟んで、振動により自転させることにより、円柱状ワークの表面を研磨する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5117091号公報
【特許文献2】特開平09-225814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術は、円柱状ワークに大きな反りがある場合、円柱状ワークが回転砥石の間に挟まれて折損してしまう、という問題があった。また、特許文献2に開示されている技術は、円柱状ワークに大きな反りがある場合、円柱状ワークが自転せず、特定の面だけが削れてしまう、という問題があった。このため、特許文献1,2に開示されている技術は、円柱状ワークを折損させることなく、円柱状ワークの外形状を高精度に修正できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置は、第1水平面を有する上側部材と、第1水平面と対向する第2水平面を有する下側部材と、第1水平面および第2水平面の少なくとも一方に設けられる砥面と、上側部材および下側部材の少なくとも一方に対し、第1水平面と第2水平面との間に配置される円柱状ワークに向かう方向の荷重を付加する荷重付加手段と、上側部材および下側部材の少なくとも一方を、第1水平面と第2水平面との間に配置される円柱状ワークの転がり方向に沿って往復移動させる駆動手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
一実施形態によれば、円柱状ワークを折損させることなく、円柱状ワークの外形状を高精度に修正できる円柱状ワーク外形修正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置の構成を示す図
図2】一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置の動作を示す図
図3】一実施例に係る円柱状ワークの寸法および状態を示す図
図4】一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置の動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、一実施形態について説明する。なお、以下に説明する各実施形態では、便宜上、X軸方向およびY軸方向を水平方向とし、Z軸方向を垂直方向(上下方向)とする。但し、円柱状ワーク外形修正装置100が備える下側移動板104の水平移動方向を、X軸方向とする。
【0009】
(円柱状ワーク外形修正装置100の構成)
図1は、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100の構成を示す図である。図1に示す円柱状ワーク外形修正装置100は、複数の円柱状ワーク10を折損させることなく、複数の円柱状ワーク10の外形状を高精度に修正できる装置である。
【0010】
円柱状ワーク10は、多孔質構造を有するセラミックスロッドであり、例えば、HPLC(High Performance Liquid Chromatography)分析用のカラムとして用いられる。HPLC分析は、カラムの内部を流れる液体における物質毎の移動速度の違いにより、液体に含まれている複数の物質を分離および分析する分析方法である。HPLC分析では、プレートに円柱状ワーク10を設置するための凹部が形成されており、当該凹部に円柱状ワーク10を隙間なく嵌め込むことができるように、円柱状ワーク10が高精度な円柱状を有することが好ましい。一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、円柱状ワーク10の外形不良(直径不良、反り等)、外観不良(傷、凹み等)等を修正することで、円柱状ワーク10の外形状を高精度な円柱状に修正できる装置である。
【0011】
すなわち、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、単に円柱状ワーク10の外周面を研磨して当該外周面を整えるだけでなく、円柱状ワーク10を転がしながら円柱状ワーク10の外周面を研磨することにより、円柱状ワーク10の外形状を修正することができる装置である。
【0012】
図1に示すように、円柱状ワーク外形修正装置100は、基部102、ステージ103、下側移動板104、上側押圧板106、アーム108、隙間調整手段110、錘112、制御装置120、およびユーザインタフェース部130を備える。
【0013】
基部102は、円柱状ワーク外形修正装置100の各構成部品を支持する。基部102の上面102Aは、XY平面に対して平行な水平面である。
【0014】
ステージ103は、「駆動手段」の一例である。ステージ103は、基部102の上面102A上において、下側移動板104を保持した状態で、モータ等の駆動により、水平移動方向(X軸方向)に往復移動する。これにより、ステージ103は、下側移動板104を、X軸方向(円柱状ワーク10の転がり方向)に沿って往復移動させる。
【0015】
下側移動板104は、「下側部材」の一例であり、ステージ103によって保持される、水平な平板状の部材である。下側移動板104は、その上面104A(「第2水平面」の一例)がXY平面に対して平行な水平面になるように、ステージ103によって保持される。これにより、下側移動板104は、ステージ103とともに、水平移動方向(X軸方向)に往復移動する。これにより、下側移動板104は、上側押圧板106と下側移動板104との間の隙間100Aに配置された円柱状ワーク10を、X軸方向へ転がりながら往復移動させる。下側移動板104の上面104Aには、下側研磨紙105が設けられている。下側研磨紙105は、「砥面」の一例であり、隙間100Aにおける円柱状ワーク10の往復移動に伴って、円柱状ワーク10の外周面を研磨する。例えば、下側研磨紙105は、粘着剤によって、上面104Aに貼り付けられる。
【0016】
上側押圧板106は、「上側部材」の一例であり、下側移動板104よりも上側に、下側移動板104と対向して設けられている、水平な平板状の部材である。上側押圧板106の下面106Aは、「第1水平面」の一例であり、XY平面に対して平行な水平面である。すなわち、上側押圧板106の下面106Aは、下側移動板104の上面104Aと対向しており、且つ、下側移動板104の上面104Aに対して平行である。上側押圧板106は、当該上側押圧板106の自重と、当該上側押圧板106の上面106Bに載置された錘112の総重量とにより、上側押圧板106と下側移動板104との間の隙間100Aに配置された円柱状ワーク10を、上方から押圧する。上側押圧板106の下面106Aには、上側研磨紙107が設けられている。上側研磨紙107は、「砥面」の一例であり、隙間100Aにおける円柱状ワーク10の往復移動に伴って、円柱状ワーク10の外周面を研磨する。例えば、上側研磨紙107は、粘着剤によって、下面106Aに貼り付けられる。
【0017】
アーム108は、基部102の上面102Aに設けられている。アーム108は、上側押圧板106を、上下方向(Z軸方向)に移動可能に支持する。図1に示す例では、アーム108は、支柱部108Aおよび回動部108Bを有して構成されている。支柱部108Aは、基部102の上面102Aから上方(Z軸正方向)へ垂直に立設された柱状の部分である。回動部108Bは、支柱部108Aの上端部によって回動可能に支持された腕状の部分である。回動部108Bは、その先端部分によって上側押圧板106を上方から吊持する。回動部108Bは、回動することによって、上側押圧板106を上下方向(Z軸方向)に移動させることができる。
【0018】
隙間調整手段110は、上側押圧板106の下面106Aと、下側移動板104の上面104Aとの間に介在することにより、下面106Aと上面104Aとの隙間100Aの最小隙間幅を所定のサイズに規定する。図1に示す例では、隙間調整手段110として、所定の直径を有するローラ110Aが、上側押圧板106におけるX軸方向の両端部の各々に設けられている。図1に示す例では、ローラ110Aの下端部が下側移動板104の上面に着地することにより、隙間100Aの最小隙間幅が所定サイズに調整される。なお、隙間100Aの最小隙間幅は、研磨後の円柱状ワーク10の直径が目標のサイズとなるように、当該目標のサイズと略同サイズに設定される。ローラ110Aを、上側押圧板106に対して上下方向(Z軸方向)に位置調整可能である。一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、ローラ110Aの上下方向の位置調整により、隙間100Aの最小隙間幅を調整可能である。但し、これに限らず、例えば、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、上側押圧板106に対して直径が異なるローラ110Aを装着することにより、隙間100Aの最小隙間幅を調整可能であってもよい。
【0019】
錘112は、上側押圧板106の上面106Bに載置される。錘112は、上側押圧板106に対して、下方(Z軸負方向)への荷重を付与する。錘112には、例えば、金属素材からなる錘(例えば、分銅)が用いられる。図1に示す例では、円柱状ワーク外形修正装置100は、上側押圧板106から円柱状ワーク10に掛かる荷重が目標荷重となるように、2つの錘112を備える。但し、これに限らず、円柱状ワーク外形修正装置100は、上側押圧板106から円柱状ワーク10に掛かる荷重が目標荷重となるように、1つまたは3つ以上の錘112を備えてもよい。すなわち、円柱状ワーク外形修正装置100は、錘112の総重量を調整することによって、上側押圧板106から円柱状ワーク10に掛かる荷重を調整することができる。なお、上側押圧板106から円柱状ワーク10に掛かる荷重は、錘112の総重量と上側押圧板106の自重とを足し合わせたものである。
【0020】
制御装置120は、ステージ103の動作を制御する。例えば、制御装置120は、ステージ103の水平移動操作の開始、停止、移動速度、移動距離、動作時間、動作回数等を制御する。制御装置120は、制御プログラムに従って、ステージ103の動作を制御することができる。例えば、制御装置120は、制御プログラムに従って、ステージ103の動作時間または動作回数が、所定の動作時間または所定の動作回数に達した時点で、ステージ103の動作を停止することができる。また、例えば、制御装置120は、制御プログラムに従って、ステージ103の移動速度を段階的に変更することができる。制御装置120は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成されている。上記した制御装置120の各機能は、例えば、制御装置120において、ROMに記憶されているプログラムを、CPUが実行することによって実現される。
【0021】
ユーザインタフェース部130は、円柱状ワーク外形修正装置100の操作者に対する入出力を行う。図1に示す例では、ユーザインタフェース部130は、カウンタ131、速度計132、開始ボタン133、および停止ボタン134を有する。カウンタ131は、下側移動板104の水平移動回数を表示する。速度計132は、下側移動板104の水平移動速度を表示する。開始ボタン133は、操作者によって押下されることにより、制御装置120に対して、下側移動板104の水平往復移動動作の動作開始信号を出力する。停止ボタン134は、操作者によって押下されることにより、制御装置120に対して、下側移動板104の水平往復移動動作の動作停止信号を出力する。
【0022】
(円柱状ワーク10の修正作業工程)
次に、図2を参照して、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100を用いた、円柱状ワーク10の修正作業の作業工程について説明する。図2は、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100の動作を示す図である。
【0023】
まず、作業者が、上側押圧板106を上方に持ち上げた状態で、下側移動板104の上面104A(下側研磨紙105が設けられている領域)に、複数の円柱状ワーク10を、転がり方向(X軸方向)に並べて配置する。
【0024】
次に、作業者が、図2(a)に示すように、上側押圧板106を複数の円柱状ワーク10上に載置する。また、作業者が、上側押圧板106の上面106Bに、錘112を載置する。これにより、図2(a)に示すように、複数の円柱状ワーク10は、上側押圧板106によって上方から押圧され、上側押圧板106の重量と錘112の重量とによる荷重により、下側移動板104の上面104Aと上側押圧板106の下面106Aとに挟み込まれた状態となる。
【0025】
次に、作業者が、円柱状ワーク外形修正装置100の開始ボタン133(図1参照)を押下することにより、ステージ103の水平往復移動動作の開始を指示する。なお、作業者は、円柱状ワーク外形修正装置100に対して、ステージ103の水平往復移動動作の動作速度、動作回数、動作時間等を予め設定しておくことができる。
【0026】
図2(b)に示すように、ステージ103は、作業者からの開始指示に従って、制御装置120(図1参照)の制御により、予め設定された動作速度による、X軸方向への水平往復移動動作を開始する。これに伴い、ステージ103によって保持されている下側移動板104は、ステージ103とともにX軸方向への水平往復移動動作を開始する。
【0027】
また、図2(b)に示すように、下側移動板104の水平往復移動動作により、複数の円柱状ワーク10は、下側移動板104と上側押圧板106との間の隙間100A内で、X軸方向に転がりながら往復移動する。そして、複数の円柱状ワーク10は、X軸方向に転がりながら往復移動しているときに、下側移動板104の上面104Aに設けられている下側研磨紙105と、上側押圧板106の下面106Aに設けられている上側研磨紙107とによって、外周面が研磨される。この際、複数の円柱状ワーク10は、上側押圧板106の重量と錘112の重量とによる荷重により、外周面が効率よく研磨される。なお、ステージ103は、各円柱状ワーク10が1回転以上回転するように、制御装置120によって、下側移動板104のX軸方向への移動量が制御される。これにより、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、各円柱状ワーク10の外周面を全周に亘って研磨することができ、よって、各円柱状ワーク10の外周面の偏摩耗を抑制することができる。
【0028】
ステージ103は、制御装置120(図1参照)の制御により、予め設定された動作回数、または、予め設定された動作時間に達すると、水平往復移動動作を終了する。但し、ステージ103の動作終了は、作業者が停止ボタン134を押下することによるものであってもよい。複数の円柱状ワーク10は、ステージ103および下側移動板104が水平往復移動動作を行っている間、繰り返し、X軸方向に転がりながら往復移動することにより、徐々に外周面が研磨されてゆく。
【0029】
そして、図2(c)に示すように、複数の円柱状ワーク10は、ステージ103および下側移動板104が水平往復移動動作を終了したとき、外形不良、外観不良等が修正され、所定の直径(≒ローラ110Aによって規定される隙間100Aの最小隙間幅)を有する高精度な円柱状を有するものとなる。例えば、図2(c)では、一つの円柱状ワーク10が、反りが生じている状態から反りが生じていない状態に修正された例を表している。これを実現するため、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100において、ステージ103の動作時間、動作回数、複数の円柱状ワーク10に加わる荷重(すなわち、錘112の重量)、上側研磨紙107および下側研磨紙105の粒度等は、試験結果、シミュレーション結果等に基づいて、予め適切に設定され得る。
【0030】
なお、作業者は、ステージ103の動作途中で、ステージ103の動作を一旦停止させて、上側研磨紙107および下側研磨紙105を交換することにより、上側研磨紙107および下側研磨紙105の粒度を、段階的に細かくなるように変更してもよい。
【0031】
また、円柱状ワーク外形修正装置100は、作業者からの指示、または、制御プログラムに従って、段階的に、ステージ103の移動速度を変更してもよい。例えば、円柱状ワーク外形修正装置100は、円柱状ワーク10の精度が高くなるにつれてステージ103の移動速度が速くなるように、ステージ103の移動速度を段階的に速めてもよい。
【0032】
(円柱状ワーク10の修正作業の実施例)
図3は、一実施例に係る円柱状ワーク10の寸法および状態を示す図である。図3(a)は、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100を用いた修正作業前の2つの円柱状ワーク10の寸法および状態を示す。また、図3(b)は、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100を用いた修正作業後の2つの円柱状ワーク10の寸法および状態を示す図である。
【0033】
図3(a)に示すように、円柱状ワーク外形修正装置100を用いた修正作業前の2つの円柱状ワーク10A,10Bは、いずれも、外形不良(反りおよび直径のばらつき)と、外観不良(傷および凹み)とが生じている。
【0034】
一方、図3(b)に示すように、円柱状ワーク外形修正装置100を用いた修正作業後の2つの円柱状ワーク10A,10Bは、いずれも、円柱状ワーク外形修正装置100によって外周面が研磨されたことにより、外形不良(反りおよび直径のばらつき)と、外観不良(傷および凹み)とが解消されており、すなわち、所定の直径を有する高精度な円柱状を有するものとなっている。
【0035】
以上説明したように、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、下面106A(第1水平面)を有する上側押圧板106と、下面106Aと対向する上面104A(第2水平面)を有する下側移動板104と、下面106Aおよび上面104Aに設けられる上側研磨紙107および下側研磨紙105(砥面)と、上側押圧板106に対し、下面106Aと上面104Aとの間に配置される円柱状ワーク10に向けて荷重を付加する錘112(荷重付加手段)と、下側移動板104を、下面106Aと上面104Aとの間に配置される円柱状ワーク10の転がり方向に沿って往復移動させるステージ103(駆動手段)とを備える。
【0036】
これにより、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100は、円柱状ワーク10を転がりながら往復移動させることができ、その際に、円柱状ワーク10の外周面を徐々に研磨して、円柱状ワーク10の外径不良および外観不良を徐々に解消し、円柱状ワーク10を、所定の直径を有する高精度な円柱状を有するものにすることができる。したがって、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100によれば、円柱状ワーク10を折損させることなく、円柱状ワーク10の外形状を高精度に修正できる。
【0037】
(変形例)
次に、図4を参照して、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100の一変形例について説明する。図4は、一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2の動作を示す図である。
【0038】
図4に示すように、一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2は、上側押圧板106が水平往復移動する点、下側研磨紙105が設けられていない点、および、隙間調整手段110が下側移動板104の上面104Aから上方に突出して設けられた柱状のストッパ110Bを有する点で、円柱状ワーク外形修正装置100と異なる。なお、一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2では、制御装置120は、上側押圧板106の水平往復移動動作を制御する。
【0039】
ストッパ110Bは、その上端部が、上側押圧板106の下面」106Aに当接することにより、隙間100Aの最小隙間幅を規定する。ストッパ110Bは、下側移動板104の上面104Aから上方への突出量が調整可能である。一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2は、ストッパ110Bの突出量を調整することにより、隙間100Aの最小隙間幅を調整可能である。
【0040】
一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2では、図4(b)に示すように、上側押圧板106のX軸方向への水平往復移動動作により、複数の円柱状ワーク10が、下側移動板104と上側押圧板106との間の隙間100A内で、X軸方向に転がりながら往復移動する。そして、複数の円柱状ワーク10は、X軸方向に転がりながら往復移動しているときに、上側押圧板106の下面106Aに設けられている上側研磨紙107によって、外周面が研磨される。この際、上側押圧板106は、各円柱状ワーク10が1回転以上回転するように、制御装置120によって、X軸方向への移動量が制御される。これにより、一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2は、各円柱状ワーク10の外周面を全周に亘って研磨することができ、よって、各円柱状ワーク10の外周面の偏摩耗を抑制することができる。
【0041】
そして、一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2では、図4(c)に示すように、複数の円柱状ワーク10は、上側押圧板106が水平往復移動動作を終了したとき、外形不良、外観不良等が修正され、所定の直径(≒ストッパ110Bによって規定される隙間100Aの最小隙間幅)を有する高精度な円柱状を有するものとなる。例えば、図4(c)では、一つの円柱状ワーク10が、反りが生じている状態から反りが生じていない状態に修正された例を表している。これを実現するため、一変形例に係る円柱状ワーク外形修正装置100-2において、上側押圧板106の動作時間、動作回数、上側研磨紙107の粒度等は、試験結果、シミュレーション結果等に基づいて、予め適切に設定され得る。
【0042】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形または変更が可能である。
【0043】
例えば、一実施形態に係る円柱状ワーク外形修正装置100において、上側押圧板106が水平往復移動動作してもよく、下側移動板104が水平往復移動動作してもよく、上側押圧板106および下側移動板104の双方が水平往復移動動作してもよい。
【0044】
また、例えば、「荷重付加手段」は、上側押圧板106に荷重を付加してもよく、下側移動板104に荷重を付加してもよく、上側押圧板106および下側移動板104の双方に荷重を付加してもよい。また、「荷重付加手段」は、錘112に限らない。
【符号の説明】
【0045】
10 円柱状ワーク
100,100-2 円柱状ワーク外形修正装置
100A 隙間
102 基部
102A 上面
103 ステージ
104 下側移動板
104A 上面
105 下側研磨紙
106 上側押圧板
106A 下面
106B 上面
107 上側研磨紙
108 アーム
108A 支柱部
108B 回動部
110 隙間調整手段
110A ローラ
110B ストッパ
112 錘
120 制御装置
130 ユーザインタフェース部
131 カウンタ
132 速度計
133 開始ボタン
134 停止ボタン
図1
図2
図3
図4