(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125659
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】エンボスキャリアテープのカバーテープ剥離装置およびこれを用いたワーク供給装置
(51)【国際特許分類】
B65B 15/04 20060101AFI20220822BHJP
H05K 13/02 20060101ALN20220822BHJP
【FI】
B65B15/04 M
B65B15/04 N
B65B15/04 L
B65B15/04 A
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023375
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】592219684
【氏名又は名称】株式会社イー・ピー・アイ
(74)【代理人】
【識別番号】100121418
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 修
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】藤井 靖史
(72)【発明者】
【氏名】垣谷 智弘
(72)【発明者】
【氏名】辻浦 祐司
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353HH23
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH34
5E353QQ23
(57)【要約】
【課題】 エンボスキャリアテープにおけるカバーテープの剥離とポケットに収容されている電子部品や薬剤等のワークの取り出しを作業者によらず、自動連続的に行えるようにする。
【解決手段】 前側部分および中央部分がエンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2となされ、左側部分がエンボスキャリアテープECTにおけるカバーテープCTの剥離装置3となされ、前記繰り出し装置2は、リールRから連続的に繰り出されるエンボスキャリアテープECTのうち、先行するテープECTの後端部と後続のテープECTの前端部をスプライシングし得る構造となされ、前記カバーテープCTの剥離装置2は、カバーテープCTの剥離およびワークMのピックアップが可能となされている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボスキャリアテープを通すガイドレールと、ガイドレールの前側と後側にそれぞれ設けられた前後一対のピンローラと、ガイドレールの上側に装着されたカバーテープ剥離治具と、前記前側のピンローラの頂部外周に設けられ、エンボスキャリアテープのポケット外底面に当接してポケット内のワークを突き上げる突出ピンと、エンボスキャリアテープから剥離されたカバーテープを挟み込んで後方へ送る上下一対のカバーテープ剥離ローラを備えている、カバーテープ剥離装置。
【請求項2】
前側ピンローラの上側にワーク移送用のディスクが回転自在に設けられ、該ディスクの外周寄り部分には該ディスクの回転に伴って、エンボスキャリアテープのポケットと順次対向するワーク吸着孔が円状に設けられ、エア吸引手段によって、負圧状態となった前記ワーク吸着孔に、対向するエンボスキャリアテープのポケットから突出ピンによって突き上げられたワークが吸着して前記ディスクの回動に伴って円弧状に移送されるようになされている、請求項1記載のカバーテープ剥離装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のカバーテープ剥離装置の前側に、エンボスキャリアテープの繰り出し装置を有するワーク供給装置であって、該繰出し装置は、エンボスキャリアテープが巻かれたリールと、リールから繰り出されたエンボスキャリアテープを前方へ送る送りローラと、送りローラによって送られてきたエンボスキャリアテープを通すガイドレールと、ガイドレールの下側における前側および後側に設けられ、エンボスキャリアテープの送り穴に挿通されるピンを外周に有する前後一対のピンローラと、前記ガイドレールの上方に配設され、ガイドレール上に位置する先行のエンボスキャリアテープと後続のエンボステープのそれぞれのカバーテープの隣り合う端部を跨ぐようにスプライシングテープを貼着させるスプライシングテープ貼付ユニットを有する、ワーク供給装置。
【請求項4】
エンボスキャリアテープの繰り出し装置とカバーテープ剥離装置がバッファ用ローラを介して一連に設けられ、スプライシングテープ貼付ユニットが、少なくともスプライシングテープの巻き体と、スプライシングテープのガイド手段と、スプライシングテープを所定長カットするカッターと、スプライシングテープを貼付する貼付ヘッドを有する請求項3記載のワーク供給装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載のワーク供給装置を用いたエンボスキャリアテープのスプライジング方法であって、先行するエンボスキャリアテープの終端部分をセンサで検知してエンボスキャリアテープの終端部分を停止させる一方、後続の新たなエンボスキャリアテープの前端部分をセンサで検知して、前記先行するエンボスキャリアテープの終端部分と対向させた状態で両エンボスキャリアテープのカバーテープを跨ぐようにスプライシングテープを両カバーテープ上に貼付することを特徴とする、エンボスキャリアテープの接続方法。
【請求項6】
先行するエンボスキャリアテープの後端部分と後続のエンボスキャリアテープの前端部分とをそれぞれエンボスキャリアテープの送り穴の1/2ピッチだけカットした状態でスプライシングテープによる接続を行うことを特徴とする請求項5記載のエンボスキャリアテープの接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンボスキャリアテープを用いて電子部品や薬剤等の種々のワークを自動供給するためのエンボスキャリアテープのカバーテープ剥離装置およびこれを用いたワーク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンボスキャリアテープは、ワークを収容するための凹所(以下「ポケット」という)が一定間隔で形成されたものであり、各ポケットは当該エンボスキャリアテープの上面に貼着されるカバーテープによって閉止される構造となっている。
【0003】
そして、通常、前記エンボスキャリアテープは、その一側縁に一定間隔をあけて形成された送り穴に、回転自在なピンローラにおける外周ピンが挿入されることで一定方向に送られ、所定位置で 前記カバーテープが剥離されて開放状態のポケットからワークが取り出されるようになっている。
【0004】
これまで、テープフィーダ機構を有する種々のエンボスキャリアテープ送り装置が開発されている。例えば、ワークである電子部品を収納したキャリアテープと前記電子部品を覆うカバーテープを有するテープを搬送し、カバーテープを剥ぎ取って前記電子部品を露出させて電子部品実装装置に供給可能な部品供給装置であって、 剥ぎ取られた前記カバーテープのテンションに応じてオンオフ動作を行うセンサと、 前記センサのオンオフ動作に基づいて、前記トップテープの回収異常を判定する異常判定部と、 前記回収異常を示す搬送異常信号を前記電子部品実装装置に出力するフィーダ制御部と、 前記電子部品実装装置への前記搬送異常信号の出力を阻止するように設定する操作入力部とを備えた部品供給装置が知られている。
【0005】
また、部品が収納され上面をカバーテープによって封止されたキャリアテープを搬送路に沿って搬送する際に、搬送路の上方にカバーテープをキャリアテープから剥離する剥離部と、カバーテープを剥離部に捕捉させるためのエアを噴射すエアノズルと、前記搬送路に搬送されるキャリアテープの先端部を検出する検出部とを設け、カバーテープの先端部が剥離部によって捕捉可能な位置に到達したタイミングにてエアノズルによりエアをカバーテープ先端に噴射して、該カバーテープを剥離部によって捕捉させることで、カバーテープの安定的な剥離を行うようにしたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-186485号公報
【特許文献2】特開2019-36668号公報
【特許文献3】特開2019-149427
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した従来の部品供給装置では、エンボスキャリアテープのポケットに収容された電子部品等をカバーテープの安定的な剥離処理によって取り出すことができるものの、前記部品の連続的な自動供給については十分に考慮されていない。
【0008】
また、エンボスキャリアテープの連続的な移送のためのテープフィーダとして、エンボスキャリアテープがガイドされる通路状の移送機構部を構築し、該移送機構部の一端の入口部から進入するエンボスキャリアテープについて、そのエンド(終端)がきた際に、弾性部材を介して該先行するキャリアテープを供給経路外に移動させて、後続の新たなエンボスキャリアテープの先端部を前記移送機構部の入口部から導入させるように部品供給装置も知られているが、前述した先行するエンボスキャリアテープと後続のエンボスキャリアテープとの入れ替え作業は、作業者によって行う必要があった。
【0009】
本発明の目的は、エンボスキャリアテープにおけるカバーテープの剥離とポケットに収容されている電子部品や薬剤等のワークの取り出しを作業者によらず、自動連続的に行えるワーク供給装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明は、エンボスキャリアテープを通すガイドレールと、ガイドレールの前側と後側にそれぞれ設けられた前後一対のピンローラと、ガイドレールの上側に装着されたカバーテープ剥離治具と、前記前側のピンローラの頂部外周に設けられ、エンボスキャリアテープのポケット外底面に当接してポケット内のワークを突き上げる突出ピンと、エンボスキャリアテープから剥離されたカバーテープを挟み込んで後方へ送る上下一対のカバーテープ剥離ローラを備えている、カバーテープ剥離装置である。
【0011】
請求項2記載の本発明は、前記請求項1記載のカバーテープ剥離装置について、前側ピンローラの上側にワーク移送用のディスクが回転自在に設けられ、該ディスクの外周寄り部分には該ディスクの回転に伴って、エンボスキャリアテープのポケットと順次対向するワーク吸着孔が円状に設けられ、エア吸引手段によって、負圧状態となった前記ワーク吸着孔に、対向するエンボスキャリアテープのポケットから突出ピンによって突き上げられたワークが吸着して前記ディスクの回動に伴って円弧状に移送されるようになされているものである。
【0012】
請求項3記載の本発明は、請求項1または請求項2記載のカバーテープ剥離装置の前側に、エンボスキャリアテープの繰り出し装置を有するワーク供給装置であって、該繰出し装置は、エンボスキャリアテープが巻かれたリールと、リールから繰り出されたエンボスキャリアテープを前方へ送る送りローラと、送りローラによって送られてきたエンボスキャリアテープを通すガイドレールと、ガイドレールの下側における前側および後側に設けられ、エンボスキャリアテープの送り穴に挿通されるピンを外周に有する前後一対のピンローラと、前記ガイドレールの上方に配設され、ガイドレール上に位置する先行のエンボスキャリアテープと後続のエンボステープのそれぞれのカバーテープの隣り合う端部を跨ぐようにスプライシングテープを貼着させるスプライシングテープ貼付ユニットを有するものである。
【0013】
請求項4記載の本発明は、前記請求項3記載のワーク供給装置について、エンボスキャリアテープの繰り出し装置とカバーテープ剥離装置がバッファ用ローラを介して一連に設けられ、スプライシングテープ貼付ユニットが、少なくともスプライシングテープの巻き体と、スプライシングテープのガイド手段と、スプライシングテープを所定長カットするカッターと、スプライシングテープを貼付する貼付ヘッドを有することを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の本発明は、前記請求項3または請求項4記載のワーク供給装置を用いたエンボスキャリアテープの接続方法であって、先行するエンボスキャリアテープの終端部分をセンサで検知してエンボスキャリアテープの終端部分を停止させる一方、後続の新たなエンボスキャリアテープの前端部分をセンサで検知して、前記先行するエンボスキャリアテープの終端部分と対向させた状態で両エンボスキャリアテープのカバーテープを跨ぐようにスプライシングテープを両カバーテープ上に貼付することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の本発明は、前記請求項5記載のエンボスキャリアテープの接続方法について、先行するエンボスキャリアテープの後端部分と後続のエンボスキャリアテープの前端部分とをそれぞれエンボスキャリアテープの送り穴の1/2ピッチだけカットした状態でスプライシングテープによる接続を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るエンボスキャリアテープのカバーテープ剥離装置によれば、カバーテープを自動連続的に剥離することができ、またワークを吸引するディスクを有する剥離装置によれば、カバーテープの剥離後において、エンボスキャリアテープのポケットから前記ディスクによって、ワークを連続的にピックアップして、ワークとしての薬剤等を打錠機に自動的に供給することが可能となる。
【0017】
更に、前述した本発明に係るエンボスキャリアテープのカバーテープ剥離装置の前側にエンボスキャリアテープの繰り出し装置を一連に設けた本発明のワーク供給装置によれば、前側から、ポケットにワークが収容されたエンボスキャリアテープが連続的に供給され、先行するエンボスキャリアテープの後端と後続の新たなエンボスキャリアテープの前端とのスプライシングによって、全体として自動連続的なワークの供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係るワーク供給装置の全体構成を示す側面図である。
【
図2】リールマガジンのテープセットレールにおけるエンボスキャリアテープの状態を示す図であって、(a)はテープセットレールからエンボスキャリアテープの前端を引き出した状態の側面図であり、(b)は(a)におけるエンボスキャリアテープの平面図である。
【
図3】エンボスキャリアテープのスプライシングを示す側面図であって、(a)はスプライシング前の状態、(b)はスプライシング後の状態を示す。
【
図4】
図5(b)のスプライシング後のエンボスキャリアテープの平面図である。
【
図5】同実施形態のワーク供給装置におけるカバーテープ剥離装置の構成を拡大して示す側面図である。
【
図6】
図7のカバーテープ剥離装置におけるピックアップの要領を示す平面図である。
【
図7】
図7の前ピンローラにおけるワークの突き上げ構造を拡大して正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態を図面にしたがって説明するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。本実施形態において、前方および前側とはエンボスキャリアテープが送られる方向側を指し、
図1および
図2においては左側方向を意味する。一方、後方および後側とはエンボスキャリアテープが送られる方向側と反対方向側を指し、
図1および
図2においては、右側方向を意味する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態に係るエンボスキャリアテープによるワーク供給装置1の全体構成について説明すると、
図1における装置中央部分および右側部分(後側部分)がエンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2であり、
図1における左側部分(前側部分)がエンボスキャリアテープECTの剥離装置3である。
【0021】
なお、本発明に係るワーク供給装置1によって、エンボスキャリアテープECTを介して自動的且つ連続的に供給されるワークは、電子部品等、種々のものが挙げられるが、本実施形態では、打錠機に供給される薬剤Mである。
【0022】
図1、
図2~
図4に示すように、エンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2では、後述する通り、リールRに巻かれ、ポケットE内部にワークとしての薬剤Mが収容されたエンボスキャリアテープECTが繰り出され、また先行する前方のエンボスキャリアテープECTの後端ECTBと後続のエンボスキャリアテープECTの前端ECTFがスプライシングテープSPによってスプライシングされる機構が組み込まれている。
【0023】
一方、前記エンボスキャリアテープECTの剥離装置3では、後述する通り、エンボスキャリアテープECTのカバーテープCTの剥離機構並びにワークである薬剤Mの取り出し(ピックアップ)機構が組み込まれている。
【0024】
なお、本発明において、
図1における中央部分および右側部分のエンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2と左側部分のエンボスキャリアテープECTの剥離装置3は必ずしも一体に設けられる必要はなく、それぞれ個別に設置して使用される場合もある。
【0025】
先ずエンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2について説明すると、該繰出し装置2は、エンボスキャリアテープECTが巻かれたリールRを回転自在に収容した複数のリールマガジンRMと、リールマガジンRM内のリールRを回動させてエンボスキャリアテープECTを繰り出すリール回動ローラ9と、リールRから繰り出されたエンボスキャリアテープECTを引き出す第一ダンサローラ11と、第一ダンサローラ11を介して前記リールRから繰り出されたエンボスキャリアテープECTを前方へ送る上下一対の送りローラ12A・12Bと、送りローラ12A・12Bによって送られてきたエンボスキャリアテープECTを通す前記第一ガイドレール7と、第一ガイドレール7の下側における前側および後側に位置し、エンボスキャリアテープECTの送り穴EHに挿通されるピン(図示せず)を外周に有する前後一対のピンローラ13A・13Bと、前記第一ガイドレール7の上方に配設され、第一ガイドレール7上に位置する先行のエンボスキャリアテープECTと後続のエンボステープECTのそれぞれのカバーテープCTの隣り合う端部を跨ぐようにスプライシングテープSPを貼着させるスプライシングテープ貼付ユニット15を有する。
【0026】
なお、図中20は、前記リールマガジンRM内でのリールRの回転支持に係るガイドローラ、27は前記リールマガジンRMの前縁部分に設けられ、リールRからエンボスキャリアテープECTを導出するためのテープセットレールを示す。
【0027】
また、本実施形態では、前記上下一対の送りローラ12A・12Bのうち、下側ローラ12Bが上下動する構成となされ、エンボスキャリアテープECTの繰り出し時に、上下一対の送りローラ12A・12BにエンボスキャリアテープECTが挟まれてエンボスキャリアテープECTが送られる構造となされている。
【0028】
前記リール回動ローラ9は、上下方向に移動自在に設けられ、リールRの上端部に当接自在であって、当該ローラ9を矢印Aに回動させることでリールRに巻かれたエンボスキャリアテープECTが前方へ繰り出される。
【0029】
前記第一ダンサローラ11は、本実施形態では、前記リールマガジンRMに一体に組み込まれた構成となっており、左右一対の固定ローラ11A・11Bと、これら固定ローラ11A・11B間に設けられた上下方向に伸びるスリットSTに沿って上下動する移動ローラ11Cとで構成されており、このような第一ダンサローラ11を介して、リールRに巻かれたエンボスキャリアテープECTがテープセットレール27上を通って前方へ繰り出されて、第一ガイドレール7側へ供給される構成となされている。
【0030】
また、図中10は、第一ダンサローラ11における移動ローラ11Cの動きを検知する第一ダンサローラ検知センサを示し、該センサ10によって、通常、移動ローラ11Cが上位に上がるのを検知して、前記リール回動ローラ9が動く構成となされている。
【0031】
前記スプライシングテープ貼付ユニット15は、スプライシングテープSPの巻き体SPRと中継ローラ16と中継ガイド17と貼付ヘッド18の他、貼り付けバックアップ19等を有している。また、15aは前記貼付ヘッド18を上下させる機構が組み込まれたユニット本体、15bはスプライシングテープSPを所定長だけカットするスプライシングテープカッターを示す。
【0032】
前記送りローラ12A・12Bと前記後ピンローラ13Bとの間にはエンボスキャリアテープECTをカットするテープカッター21が設けられ、テープカッター21の上方には、エンボスキャリアテープECTの後端部分におけるワーク(薬剤M)の終了を検知するテープエンド検知センサ22が設けられており、更にリールマガジンRMのテープセットレール27の上方にはリールマガジンRMの交換移動を検知するリールマガジン移動検知センサ23が取り付けられている。
【0033】
次に、
図1、
図2および
図4~
図6に示すように、エンボスキャリアテープECTのスプライシングについて説明すると、先ずリールマガジンRMのテープセットレール27から繰り出される新たなエンボスキャリアテープECTの前端部ECTFと先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBをそれぞれ送り穴EHのピッチPよりも1/2短くカットして先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBと後続のエンボスキャリアテープECTの前端部ECTFを突き合わせた状態として、これらを跨ぐように、隣り合う各カバーテープCT上にスプライシングテープSPを貼着させることでスプライシングを行う。この場合、スプライシングテープSPは、前後のエンボスキャリアテープECTの後端ECTBと前端部ECTFの各カバーテープCT同士を連結した状態とし、エンボスキャリアテープECTの本体については、前後で単に突き合わされた状態となる。そして、後続のエンボスキャリアテープECTについては、後の剥離作業に備えて、その前端部ECTFのカバーテープCTを剥離しておく(図中斜線部分)のが好ましい。
【0034】
なお、前述した新たなエンボスキャリアテープECTの前端部ECTFと先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBをそれぞれ送り穴EHのピッチPよりも1/2短くカットする方法は特に限定されないが、例えば、空のリールRに新たなエンボスキャリアテープECTを所定長巻き付けた際に、そのエンボスキャリアテープECTの先端部分ECTFを隣り合う送り穴EHの中間位置で予めカットしておく一方、先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBについては、前記テープカッター21で自動的に1/2ピッチだけカットする手法が用いられる。
【0035】
次に、
図1、
図5~
図7に示すように、本実施形態に係るワーク供給装置のうち、カバーテープCTの剥離装置3の構成について説明すると、前述したエンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2の第一ガイドレール7を通過したエンボスキャリアテープECTは左右の固定ローラ24・25間に介在されたバッファ用ダンサローラ26を介して後述する剥離装置3へ送られる。
【0036】
すなわち、剥離装置3は、エンボスキャリアテープECTを通す第二ガイドレール31と、第二ガイドレール31の前側と後側にそれぞれ設けられた前後一対のピンローラ32A・32Bと、前記第二ガイドレール31の上側に装着されたカバーテープ剥離治具33と、前記前側のピンローラ32Aの頂部外周に設けられ、エンボスキャリアテープECTのポケットE内のワークである薬剤Mを突き上げる突出ピン34と、エンボスキャリアテープECTから剥離されたカバーテープCTを挟み込んで後方へ送る上下一対のカバーテープ剥離ローラ35A・35Bと、剥離されたカバーテープCTを連続的に引き取ってスムーズに廃棄させるための第二ダンサローラ36と、最終的にカバーテープCTを引き取って該カバーテープCTを廃棄するための左右一対のカバーテープ廃棄ローラ37A・37Bを備えている。
【0037】
前記カバーテープ剥離治具33は、第二ガイドレール31上に装着された前後一対のカバー状部材33A・33Bからなり、これらの隙間33aからエンボスキャリアテープECTのカバーテープCTが引き出されて後方へ折り返す形態で該カバーテープCTが前記カバーテープ剥離ローラ35A・35Bによって剥離される。
【0038】
前記第二ダンサローラ36は、左右一対の固定ローラ36A・36Bと両固定ローラ36A・36B間で上下動する移動ローラ36Cを有する。なお、図中29は、ローラ24と後側ピンローラ32B間に設けられた中継ローラを示す。
【0039】
本実施形態では、前記前側のピンローラ32Aには、エンボスキャリアテープECTのポケットE内のワークである薬剤Mを突き上げるための突出ピン34が設けられ、該突出ピン34がエンボスキャリアテープECTのポケットEの外底面を突き上げることで、ワークである薬剤Mが上方のディスク38側へ供給される構成となっている。また、図中41は、前側のピンローラ32Aの外周に形成されたテープ送り用ピン41であって、エンボスキャリアテープECTの送り穴EHに挿入されるものである。また、このようなテープ送り用ピン41は、後側のピンローラ32Bにおいても同様に形成され、更に前述した第一ガイドレール7の前後のピンローラ13A・13Bにおいても同様に設けられているものである。
【0040】
図5~
図7に示すように、ディスク38は、その上面外周の約1/4部分にエア吸引を行う円弧形の吸引ブロック40が配設され、また該吸引ブロック40と連通する吸引穴38aが当該ディスク38の外周寄り部分に一定間隔で形成されている。そして、ディスク38では、エンボスキャリアテープECTの進行と同期して前ピンローラ32A位置で突き上げられた薬剤Mを、前記吸引穴38aで吸引キャッチし、次に該吸引キャッチした薬剤Mを、ディスク38の矢印B方向への90°回動位置で次の受け取り用ディスク(図示せず)へ引き渡す構成となされている。
【0041】
次に、前述した本実施形態に係るワーク供給装置1によるワークとしての薬剤Mの供給要領について説明すると、リール回動ローラ9を回動させてリールマガジンRM内のリールRからエンボスキャリアテープECTを繰り出すと共に、該エンボスキャリアテープECTを第一ダンサローラ11を介してテープセットレール27に導出させ、更にエンボスキャリアテープECTをテープ送りローラ12A・12Bによって、第一ガイドレール7上へ送り、第一ガイドレール7では、テープカッター21によって、先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBを1/2ピッチだけカットし、該部分を、同じく前記1/2ピッチだけ予めカットされている後続のエンボスキャリアテープECTの前端部ECTFと突き合わせた後、両端を跨ぐようにスプライシングテープSPを上方から貼り付けることで前後のエンボスキャリアテープECTをスプライシングする。以上の動作は前述したエンボスキャリアテープECTの繰り出し装置2における動作である。
【0042】
なお、前述したリール回動ローラ9によるリールRからのエンボスキャリアテープECTの繰り出しタイミングは、前記第一ダンサローラ11の検知センサ10によって制御される。また、前述した先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBと後続のエンボスキャリアテープECTの前端ECTFとのスプライシングは、先行するエンボスキャリアテープECTの後端ECTBをテープエンド検知センサ22が検知した時に行われ、該検知がない状態では、エンボスキャリアテープECTは第一ガイドレール7上を連続的に通過する。
【0043】
そして、エンボスキャリアテープECTが第一ガイドレール7上を通過した後においては、該エンボスキャリアテープECTはバッファ用ローラ26等を介して剥離装置3へ送られ、その第二ガイドレール31上へ送られてきたエンボスキャリアテープECTは、前後のピンローラ32A・32Bを介して前方のディスク38側のワークピックアップ位置へ送られるが、この際、第二ガイドレール31上でカバーテープCTが順次剥離されることで、エンボスキャリアテープECTのポケットE内の薬剤M(ワーク)が露出し、そして、該薬剤Mは前側ピンローラ32A外周の突出ピン34によって突き上げられてディスク38へ移送される。
【0044】
また、前記剥離されたカバーテープCTは、カバーテープ剥離ローラ35A・35Bから第二ダンサローラ36を介して廃棄ローラ37A・37Bによってスムーズに廃棄される。一方、薬剤Mが取り出された空のエンボスキャリアテープECTは前側ピンローラ32Aの通過後(薬剤Mの取り出し後)に下方へ廃棄される。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のワーク供給装置によれば、エンボスキャリアテープの連続的且つ安定した送り操作によって、ワークを常時、一定速度で自動的に供給することが可能となるため、電子機器組み立てや製薬等の分野で幅広い利用が期待できる。
【符号の説明】
【0046】
1 ワーク供給装置
2 エンボスキャリアテープ繰り出し装置
3 エンボスキャリアテープ剥離装置
7 第一ガイドレール
9 リール回動ローラ
11 第一ダンサローラ
13A 第一ガイドレールの前側ピンローラ
13B 第一ガイドレールの後側ピンローラ
15 スプライシングテープ貼付ユニット
21 エンボスキャリアテープのカッター
24・25 バッファ用固定ローラ
26 バッファローラ
27 テープセットレール
31 第二ガイドレール
32A 第二ガイドレールの前側ピンローラ
32B 第二ガイドレールの後側ピンローラ
33 テープ剥離治具
34 ワーク突き上げピン
36 第二ダンサローラ
38 ワーク受け取り用ディスク
ECT エンボスキャリアテープECT
R リール
RM リールマガジン
EH エンボスキャリアテープの送り穴
E エンボスキャリアテープのポケット
M 薬剤(ワーク)
SP スプライシングテープ