(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125682
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】電子基板および電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/12 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
H05K7/12 M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023409
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】小見山 博秀
(72)【発明者】
【氏名】山崎 誠仁
【テーマコード(参考)】
4E353
【Fターム(参考)】
4E353AA06
4E353BB05
4E353CC20
4E353DD01
4E353DR02
4E353DR46
4E353GG11
4E353GG30
(57)【要約】
【課題】小型化が可能な電子基板および電子機器を提供する。
【解決手段】電子基板は、実装面11を有する基板本体1と、実装面11に対向する対向面21を有する電子部品2と、電子部品2を実装面11に接着する接着層3とを備える。実装面11に、接着層3の少なくとも一部を収容する収容凹部12が形成されている。収容凹部12は、例えば、平面視において対向面21と重なる第1領域と、対向面21を外れた第2領域と、にわたって形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を有する基板本体と、
前記実装面に対向する対向面を有する電子部品と、
前記電子部品を前記実装面に接着する接着層と、を備え、
前記実装面に、前記接着層の少なくとも一部を収容する収容凹部が形成されている、電子基板。
【請求項2】
前記収容凹部は、平面視において前記対向面と重なる第1領域と前記対向面を外れた第2領域とにわたって形成されている、請求項1記載の電子基板。
【請求項3】
前記電子部品は、平面視において矩形状であり、
前記収容凹部は、平面視において前記電子部品の少なくとも1つの角部を包含する、請求項1または2記載の電子基板。
【請求項4】
前記収容凹部の内側面に、凹凸が形成されている、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項5】
前記電子部品は、プロセッサであり、
前記実装面に、平面視において前記電子部品の外縁に対向する位置に、少なくとも1つのバイパスコンデンサが設けられている、請求項1~4のうちいずれか1項に記載の電子基板。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項に記載の電子基板を搭載した、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型パーソナル・コンピュータなどの電子機器の電子基板には、CPUなどの電子部品が実装される。電子部品は、例えば、接着剤によって電子基板の実装面に接着される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、電子機器の小型化および軽量化、高性能オーディオ機器の搭載、バッテリー高容量化、アンテナ増設などが要求されることがある。そのため、電子基板を小型化することが求められている。
【0005】
本発明の一態様は、小型化が可能な電子基板および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、実装面を有する基板本体と、前記実装面に対向する対向面を有する電子部品と、前記電子部品を前記実装面に接着する接着層と、を備え、前記実装面に、前記接着層の少なくとも一部を収容する収容凹部が形成されている、電子基板を提供する。
【0007】
前記収容凹部は、平面視において前記対向面と重なる第1領域と前記対向面を外れた第2領域とにわたって形成されていることが好ましい。
【0008】
前記電子部品は、平面視において矩形状であり、前記収容凹部は、平面視において前記電子部品の少なくとも1つの角部を包含することが好ましい。
【0009】
前記電子基板は、前記収容凹部の内側面に、凹凸が形成されていてもよい。
【0010】
前記電子部品は、プロセッサであり、前記実装面に、平面視において前記電子部品の外縁に対向する位置に、少なくとも1つのバイパスコンデンサが設けられていてもよい。
【0011】
本発明の他の態様は、前記電子基板を搭載した、電子機器を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様は、小型化が可能な電子基板および電子機器を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施形態に係る電子基板の一部の平面図である。
【
図3】実施形態に係る電子基板の一部の断面図である。
【
図4】実施形態に係る電子基板の基板本体の断面図である。
【
図5】実施形態に係る電子機器の第2筐体の内部構造の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態に係る電子基板10の平面図である。
図2は、電子基板10の一部の平面図である。
図3は、電子基板10の一部の断面図である。
図3は、
図1および
図2に示すI-I断面図である。
図4は、電子基板10の基板本体1の断面図である。
図5は、電子機器100の第2筐体102の内部構造の平面図である。
図6は、電子機器100の斜視図である。
【0015】
[電子機器]
図6に示すように、電子機器100は、第1筐体101と、第2筐体102と、を備える。電子機器100は、例えば、ノートPC(PC:パーソナルコンピュータ)である。
【0016】
第1筐体101と第2筐体102とは、端部どうしがヒンジ機構110を介して連結されている。第1筐体101は、第2筐体102に対して、ヒンジ機構110がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体101の第1基端部101bは、ヒンジ機構110が設けられた端部である。第1開放端部101aは、第1基端部101bとは反対側の端部である。第2筐体102の第2基端部102bは、ヒンジ機構110が設けられた端部である。第2開放端部102aは、第2基端部102bとは反対側の端部である。
【0017】
第2筐体102は、矩形板状とされている。第2筐体102は、キーボード107およびタッチパッド108を搭載する。キーボード107およびタッチパッド108は、入力デバイスの例である。第2筐体102は、システム筐体とも呼ばれる。
第1筐体101は、ディスプレイ103を保持する。ディスプレイ103は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(EL:Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。第1筐体101は、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。
【0018】
図5に示すように、第2筐体102には、電子基板10と、バッテリー111と、放熱機構112とが設けられている。
バッテリー111は、電子機器100内の機器に給電する。放熱機構112は、電子部品2等で発生した熱を第2筐体102の外に放出する。
【0019】
[電子基板]
図1に示すように、電子基板10は、基板本体1(
図5参照)と、電子部品2と、接着層3と、1または複数のバイパスコンデンサ4とを備える。
【0020】
基板本体1は、多層基板(ビルドアップ基板)であってもよいし、単層基板であってもよい。多層基板は、例えば、導体層と絶縁層とが交互に積層されて構成される。導体層は、導電性材料、例えば、銅、銀、金などの金属を含む材料で構成される。絶縁層は、絶縁性材料、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂で形成することができる。絶縁層は、強化繊維に樹脂を含浸させた繊維強化プラスチックで形成されていてもよい。単層基板は、例えば、前記絶縁性材料で形成される。
【0021】
実装面11のうち、平面視において電子部品2の対向面21に重なる領域を第1領域A1という。実装面11のうち、平面視において電子部品2の対向面21を外れた領域を第2領域A2という。実装面11と垂直な方向から見ることを「平面視」という。
【0022】
実装面11には、電子部品2の周囲に、他の部品が実装されない空き領域(キープアウトエリア)が確保される。キープアウトエリアは、例えば、電子部品2を囲む枠状の領域である。キープアウトエリアを確保することによって、接着層3を形成する際に、実装面11に設けられた電子部品に接着剤が及ぶのを抑制できる。また、キープアウトエリアによって、電子部品2のリワークを容易にすることができる。
【0023】
電子部品2は、基板本体1の一方の面である実装面11に設けられている。電子部品2としては、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)、通信モジュール等を例示できる。CPUは、アプリケーション・プログラムを実行して全般的な処理を行うプロセッサである。GPUは、画像処理を行うプロセッサである。CPUは「プロセッサ」の一例である。GPUは「プロセッサ」の他の例である。
電子部品2は、例えば、平面視において矩形状(例えば、長方形状)とされる。対向面21は電子部品2の一方の面である。
【0024】
図3に示すように、電子部品2は、板状とされ、対向面21を実装面11に向けた姿勢とされている。電子部品2は、半田などで形成された接合部13によって実装面11に実装されている。
【0025】
図1に示すように、対向面21は、矩形状(例えば、長方形状)とされる。以下、XYZ直交座標系を用いて各構成の位置関係を説明することがある。X方向は、対向面21の短手方向である。
図1において、X方向は左右方向である。+X方向は右方である。-X方向は左方である。Y方向は、対向面21の長手方向である。Y方向は、対向面21を含む面内においてX方向に直交する。
図1において、Y方向は上下方向である。+Y方向は上方である。-Y方向は下方である。Z方向は、X方向およびY方向に直交する。
図1において、+Z方向は、紙面に対して手前方向である。+Z方向は高さ方向である。
【0026】
対向面21の4つの辺に相当する外縁をそれぞれ第1外縁21e、第2外縁21f、第3外縁21g、および第4外縁21hという。第1~第4外縁21e~21hは、それぞれ直線状とされている。第1外縁21eおよび第3外縁21gはY方向に沿う。第2外縁21fおよび第4外縁21hはX方向に沿う。
【0027】
対向面21の4つの角に相当する角部をそれぞれ第1角部21a、第2角部21b、第3角部21c、および第4角部21dという。第1角部21aは、第4外縁21hと第1外縁21eとが交わることにより形成される。第2角部21bは、第1外縁21eと第2外縁21fとが交わることにより形成される。第3角部21cは、第2外縁21fと第3外縁21gとが交わることにより形成される。第4角部21dは、第3外縁21gと第4外縁21hとが交わることにより形成される。
【0028】
バイパスコンデンサ4は、実装面11に実装されている。バイパスコンデンサ4は、平面視において少なくとも一部が電子部品2の外縁に対向する位置に設けられている。本実施形態では、実装面11に、5つのバイパスコンデンサ4が設けられている。これらのバイパスコンデンサ4をそれぞれバイパスコンデンサ4A~4Eという。バイパスコンデンサ4A,4Bは、平面視において第1外縁21eに対向する位置にある。バイパスコンデンサ4Cの一部は、平面視において第2外縁21fに対向する位置にある。バイパスコンデンサ4Dは、平面視において第2外縁21fに対向する位置にある。バイパスコンデンサ4Eの一部は、平面視において第3外縁21gに対向する位置にある。
【0029】
バイパスコンデンサ4は、例えば、電子部品2が動作する際に直流電源の電圧が変動するのを避けることができる。バイパスコンデンサ4は、例えば、電源配線の、接地配線に対するインピーダンスを低くする。バイパスコンデンサ4は、例えば、ノイズ成分が回路に伝わらないようにフィルタリングする。
【0030】
基板本体1の実装面11には、1または複数の収容凹部12が形成されている。本実施形態では、8つの収容凹部12が形成されている。8つの収容凹部12を、それぞれ第1~第4角凹部12A~12D、および第1~第4辺凹部12E~12Hという。
【0031】
第1~第4角凹部12A~12Dは、平面視において矩形状(例えば、正方形状)とされている。第1角凹部12Aは、平面視において、第1辺12a、第2辺12b、第3辺12cおよび第4辺12dを有する矩形状とされている。第1辺12aと第3辺12cとは向かい合う。第1辺12aおよび第3辺12cはY方向に沿う。第2辺12bと第4辺12dとは向かい合う。第2辺12bおよび第4辺12dはX方向に沿う。第1辺12aおよび第3辺12cの長さは、対向面21のY方向の寸法より小さい。第2辺12bおよび第4辺12dの長さは、対向面21のX方向の寸法より小さい。
第2~第4角凹部12B~12Dは、平面視において矩形状(例えば、正方形状)とされている。第2~第4角凹部12B~12Dは、第1角凹部12Aと同じ形状であってよい。
【0032】
第1角凹部12Aは、平面視において第1角部21aを包含する。第1角凹部12Aの4つの角部のうち1つ(角部12Ac)は第1領域A1(実装面11のうち平面視において対向面21に重なる領域)に形成されている。4つの角部のうち他の3つは第2領域A2(実装面11のうち平面視において対向面21に重なる領域)に形成されている。そのため、第1角凹部12Aの一部は第1領域A1に形成され、第1角凹部12Aの他部は第2領域A2に形成されている。よって、第1角凹部12Aは、第1領域A1から第2領域A2にかけて形成されている。
【0033】
第2角凹部12Bは、平面視において第2角部21bを包含する。第2角凹部12Bの4つの角部のうち1つ(角部12Bd)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の3つは第2領域A2に形成されている。そのため、第2角凹部12Bの一部は第1領域A1に形成され、第2角凹部12Bの他部は第2領域A2に形成されている。第2角凹部12Bは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0034】
第3角凹部12Cは、平面視において第3角部21cを包含する。第3角凹部12Cの4つの角部のうち1つ(角部12Ca)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の3つは第2領域A2に形成されている。そのため、第3角凹部12Cの一部は第1領域A1に形成され、第3角凹部12Cの他部は第2領域A2に形成されている。第3角凹部12Cは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0035】
第4角凹部12Dは、平面視において第4角部21dを包含する。第4角凹部12Dの4つの角部のうち1つ(角部12Db)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の3つは第2領域A2に形成されている。そのため、第4角凹部12Dの一部は第1領域A1に形成され、第4角凹部12Dの他部は第2領域A2に形成されている。第4角凹部12Dは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0036】
第1~第4辺凹部12E~12Hは、平面視において矩形状とされている。第1辺凹部12Eは、平面視において、第1辺12e、第2辺12f、第3辺12gおよび第4辺12hを有する矩形状とされている。第1辺12eと第3辺12gとは向かい合う。第1辺12eおよび第3辺12gはY方向に沿う。第2辺12fと第4辺12hとは向かい合う。第2辺12fおよび第4辺12hはX方向に沿う。第1辺12eおよび第3辺12gの長さは、対向面21のY方向の寸法より小さい。第2辺12fおよび第4辺12hの長さは、対向面21のX方向の寸法より小さい。第1辺凹部12Eは、例えば、平面視において、長辺がY方向に沿う長方形状である。
第3辺凹部12Gは、例えば、平面視において、長辺がY方向に沿う長方形状である。第3辺凹部12Gは、第1辺凹部12Eと同じ形状であってよい。
【0037】
第2辺凹部12Fおよび第4辺凹部12Hは、例えば、平面視において、長辺がX方向に沿う長方形状である。第2辺凹部12Fおよび第4辺凹部12Hは、長辺がX方向に沿うこと以外は第1辺凹部12Eと同じ形状の長方形状であってよい。
【0038】
第1辺凹部12E(
図1および
図2参照)は、平面視において第1外縁21eの一部(例えば、第1外縁21eの長さ方向の中央を含む部分)を包含する。第1辺凹部12Eの4つの角部のうち2つ(角部12Ec,12Ed)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の2つは第2領域A2に形成されている。そのため、第1辺凹部12Eの一部は第1領域A1に形成され、第1辺凹部12Eの他部は第2領域A2に形成されている。よって、第1辺凹部12Eは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0039】
第2辺凹部12Fは、平面視において第2外縁21fの一部(例えば、第2外縁21fの長さ方向の中央を含む部分)を包含する。第2辺凹部12Fの4つの角部のうち2つ(角部12Fa,12Fd)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の2つは第2領域A2に形成されている。そのため、第2辺凹部12Fの一部は第1領域A1に形成され、第2辺凹部12Fの他部は第2領域A2に形成されている。よって、第2辺凹部12Fは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0040】
第3辺凹部12G(
図1および
図2参照)は、平面視において第3外縁21gの一部(例えば、第3外縁21gの長さ方向の中央を含む部分)を包含する。第3辺凹部12Gの4つの角部のうち2つ(角部12Ga,12Gb)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の2つは第2領域A2に形成されている。そのため、第3辺凹部12Gの一部は第1領域A1に形成され、第3辺凹部12Gの他部は第2領域A2に形成されている。よって、第3辺凹部12Gは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0041】
第4辺凹部12Hは、平面視において第4外縁21hの一部(例えば、第4外縁21hの長さ方向の中央を含む部分)を包含する。第4辺凹部12Hの4つの角部のうち2つ(角部12Hb,12Hc)は第1領域A1に形成されている。4つの角部のうち他の2つは第2領域A2に形成されている。そのため、第4辺凹部12Hの一部は第1領域A1に形成され、第4辺凹部12Hの他部は第2領域A2に形成されている。よって、第4辺凹部12Hは、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0042】
本実施形態では、第1角凹部12Aおよび第2角凹部12Bが第1外縁21eから外方(+X方向)に張り出した寸法L1は、第1辺凹部12Eが第1外縁21eから外方(+X方向)に張り出した寸法L2より大きい。第2角凹部12Bおよび第3角凹部12Cが第2外縁21fから外方(-Y方向)に張り出した寸法L3は、第2辺凹部12Fが第2外縁21fから外方(-Y方向)に張り出した寸法L4より大きい。第3角凹部12Cおよび第4角凹部12Dが第3外縁21gから外方(-X方向)に張り出した寸法L5は、第3辺凹部12Gが第3外縁21gから外方(-X方向)に張り出した寸法L6より大きい。第4角凹部12Dおよび第1角凹部12Aが第4外縁21hから外方(+Y方向)に張り出した寸法L7は、第4辺凹部12Hが第4外縁21hから外方(+Y方向)に張り出した寸法L8より大きい。
【0043】
第1角凹部12Aと、第1辺凹部12Eと、第2角凹部12Bとは、Y方向に間隔をおいて並んで形成されている。第2角凹部12Bと、第2辺凹部12Fと、第3角凹部12Cとは、X方向に間隔をおいて並んで形成されている。第3角凹部12Cと、第3辺凹部12Gと、第4角凹部12Dとは、Y方向に間隔をおいて並んで形成されている。第4角凹部12Dと、第4辺凹部12Hと、第1角凹部12Aとは、X方向に間隔をおいて並んで形成されている。
【0044】
図3および
図4に示すように、収容凹部12は、例えば、実装面11に直交する断面が矩形状の凹部である。収容凹部12の側面12jは、底面12iに対して垂直である。なお、収容凹部12の断面形状は特に限定されない。収容凹部12の断面形状は、半円状、円弧状、V字状、台形状などであってもよい。
収容凹部12は、レーザー加工によって形成することができる。収容凹部12は、切削加工などによって形成することもできる。
【0045】
図3に示すように、接着層3は、電子部品2を実装面11に接着する。接着層3は、例えば、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などの液状硬化性樹脂で形成される。接着層3は、収容凹部12の全体に充てんされている。接着層3は、収容凹部12の底面12iおよび側面12jに接している。接着層3の一部は、実装面11から膨出している。接着層3の表面の一部は、実装面11より高い位置に達している。そのため、収容凹部12には、接着層3の一部が収容されている。
【0046】
接着層3は、電子部品2の対向面21と、外側面22の一部とに接している。接着層3は、未硬化の接着剤を収容凹部12内に供給した後、この接着剤を加熱などにより硬化させることによって形成することができる。
なお、本実施形態では、収容凹部12には接着層3の一部が収容されるが、収容凹部12に接着層3の全部が収容されてもよい。よって、収容凹部12は、接着層3の少なくとも一部を収容する。
【0047】
図2および
図3に示すように、接着層3は、平面視において収容凹部12の全領域にわたって形成されている。そのため、接着層3の一部は第1領域A1に形成され、接着層3の他部は第2領域A2に形成されている。よって、接着層3は、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている。
【0048】
[実施形態の電子基板が奏する効果]
電子基板10は、基板本体1の実装面11に、接着層3の少なくとも一部を収容可能な収容凹部12が形成されているため、接着層3を形成する際に、接着剤が電子部品2の外方に流動するのを抑えることができる。そのため、電子部品2から外方への接着層3のはみ出しを抑制できる(
図3参照)。したがって、電子部品2の周囲に確保される空き領域(いわゆるキープアウトエリア)を小さくすることができる。よって、電子基板10の小型化を図ることができる。電子基板10の小型化によって、電子機器100(
図5および
図6参照)の小型化および軽量化が可能となる。電子基板10の小型化によって、第2筐体102(
図5および
図6参照)において、高性能オーディオ機器の搭載、バッテリー111の高容量化、アンテナ増設、放熱性能の高い放熱機構112の搭載などが容易となる。
【0049】
電子基板10は、電子部品2から外方への接着層3のはみ出しを抑制できるため、接着層3が他の電子部品に及ぶのを回避できる。よって、電子部品2のリワーク性の点で好適である。例えば、
図1において、第1辺凹部12Eにおいて接着層3がバイパスコンデンサ4Aに及ぶのを回避できる。よって、バイパスコンデンサ4Aにダメージを与えずに電子部品2を取り外すことができる。
【0050】
電子基板10では、収容凹部12に設けられた接着層3によって電子部品2を基板本体1に接着できるため、アンダーフィルによって電子部品2を基板本体1に接着する場合に比べて、電子部品2に対する接着層3の接触面積を小さくできる。そのため、アンダーフィルの場合に比べ、電子部品2の取り外しが容易であり、リワーク性の点で優れている。
【0051】
電子基板10では、収容凹部12は実装面11の第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されている(
図3参照)。収容凹部12が第1領域A1に形成されるため、第1領域A1において、対向面21および基板本体1に対する接着層3の接触面積を大きくし、電子部品2と基板本体1とを強固に接着することができる。
第2領域A2は、電子部品2の外の領域であるため、接着層3を形成する際の接着剤の流動に制約が少ない。そのため、収容凹部12の一部が第2領域A2に形成されることによって、接着剤の量が多い場合でも電子部品2からの接着層3のはみ出しを抑制できる。
【0052】
電子基板10は、電子部品2のキープアウトエリアを小さくできるため、電子部品2とバイパスコンデンサ4(
図1参照)との距離を小さくできる。よって、パワー・インテグリティ(PI)を改善できる。
【0053】
収容凹部12(角凹部12A~12D)は、角部21a~21dを包含して形成されているため、強度確保が必要な角部21a~21dの周りのキープアウトエリアを小さくできる。よって、キープアウトエリアを大きく削減し、電子基板10の小型化を図ることができる。
【0054】
電子基板10では、実装面11に収容凹部12が形成されているため、接着層3は収容凹部12の内面(底面12iおよび側面12j)に接触する。そのため、基板本体1に対する接着層3の接触面積を大きくし、電子部品2と基板本体1とを強固に接着することができる。また、電子部品2と基板本体1との接着強度を高めることができるため、少量の接着剤でも電子部品2と基板本体1とを十分に接着できる。そのため、接着剤の使用量を抑えることができる。
【0055】
電子基板10では、基板本体1に対する接着層3の接触面積は、収容凹部12の幅および深さによって増減する。そのため、収容凹部12の幅および深さによって、電子部品2と基板本体1との接着強度を調整することができる。
【0056】
図7は、収容凹部12の変形例である収容凹部212の平面図である。
図7に示すように、収容凹部212は、概略、平面視において矩形状である。収容凹部212の4つの辺に相当する内縁をそれぞれ第1内縁212a、第2内縁212b、第3内縁212c、および第4内縁212dという。
【0057】
第1内縁212aおよび第3内縁212cの内側面には、Y方向に間隔をおいて複数の凸部213が形成されている。第1内縁212aに形成された凸部213は、第3内縁212cに近づく方向に突出する。第3内縁212cに形成された凸部213は、第1内縁212aに近づく方向に突出する。
【0058】
第2内縁212bおよび第4内縁212dの内側面には、X方向に間隔をおいて複数の凸部213が形成されている。第2内縁212bに形成された凸部213は、第4内縁212dに近づく方向に突出する。第4内縁212dに形成された凸部213は、第2内縁212bに近づく方向に突出する。
凸部213は、例えば、平面視において矩形状とされている。
【0059】
隣り合う凸部213の間は、凹部となっている。そのため、収容凹部212の内側面には、複数の凹部が間隔をおいて形成されているともいえる。収容凹部212の内側面には、凸部と凹部が交互に形成されているともいえる。よって、収容凹部212の内側面には、凹凸(凹部と凸部の少なくとも一方)が形成されているといえる。
【0060】
収容凹部12(
図2参照)に代えて収容凹部212が形成された電子基板では、収容凹部212の内側面に凹凸が形成されているため、基板本体1に対する接着層3の接触面積を大きくし、電子部品2と基板本体1とを強固に接着することができる。よって、電子基板10の信頼性を高めることができる。また、電子部品2と基板本体1との接着強度を高めることができるため、キープアウトエリアの狭小化の点でも有利となる。
【0061】
この発明の具体的な構成は上述の実施形態に限られず、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
図1に示す電子基板10では、収容凹部12は、第1~第4角凹部12A~12Dと、第1~第4辺凹部12E~12Hとを有するが、収容凹部は、第1~第4角凹部のみ、または第1~第4辺凹部のみで構成されていてもよい。
【0062】
電子基板10では、収容凹部12は、対向面21の4つの角部(第1~第4角部21a~21d)を包含する第1~第4角凹部12A~12Dを有するが、収容凹部は、電子部品の対向面の4つの角部のすべてを包含する必要はない。例えば、収容凹部は、電子部品の対向面の4つの角部のうち少なくとも1つの角部を包含してもよい。
【0063】
電子基板10では、収容凹部12は、対向面21の4つの辺の中央部を包含する第1~第4辺凹部12E~12Hを有するが、収容凹部は、電子部品の対向面の4つの辺のすべてに形成する必要はない。例えば、収容凹部は、電子部品の対向面の4つの辺のうち少なくとも1つの辺の一部を包含してもよい。
図3に示す電子基板10では、収容凹部12は、第1領域A1と第2領域A2とにわたって形成されているが、収容凹部は、第1領域のみ、または第2領域のみに形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…基板本体、2…電子部品、3…接着層、4,4A~4E…バイパスコンデンサ、10…電子基板、11…実装面、12…収容凹部、21a…第1角部(角部)、21b…第2角部(角部)、21c…第3角部(角部)、21d…第4角部(角部)、21e…第1外縁(外縁)、21f…第2外縁(外縁)、21g…第3外縁(外縁)、21h…第4外縁(外縁)、100…電子機器、A1…第1領域、A2…第2領域。