(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125710
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】自動ドア装置、自動ドア装置の制御方法、自動ドア装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
E05F 15/40 20150101AFI20220822BHJP
E05F 15/643 20150101ALN20220822BHJP
【FI】
E05F15/40
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023453
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】松永 絢一
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA01
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA06
2E052GA08
2E052GB06
2E052GB18
2E052GC02
2E052GC06
2E052KA12
(57)【要約】
【課題】本発明の目的の一つは、ユーザが扉に触れた状態で、扉を開く操作をした場合に、ユーザへの影響を低減可能な自動ドア装置の技術を提供することにある。
【解決手段】本発明のある態様の自動ドア装置100は、扉20の開指示の操作により開指示が出力される開指示出力部の開指示に基づいて扉20を開動作させる扉駆動制御部50を備える。扉駆動制御部50は、開指示に基づいて行う扉20の開動作の初期に警告を発する警告動作を実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の開指示の操作により前記開指示が出力される開指示出力部の開指示に基づいて前記扉を開動作させる扉駆動制御部を備え、
前記扉駆動制御部は、前記開指示に基づいて行う前記扉の開動作の初期に警告を発する警告動作を実行する
自動ドア装置。
【請求項2】
前記警告動作は、前記扉の通常駆動速度より低速で前記扉を開駆動させる動作を含む
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
前記警告動作は、さらに警告用の音または警告用の光を出力することを含む
請求項2に記載の自動ドア装置。
【請求項4】
前記扉の移動抵抗を検知する抵抗検知部を備え、
前記扉駆動制御部は、前記警告動作中に前記抵抗検知部で検知された移動抵抗が閾値を超えたら前記開駆動を停止する
請求項2に記載の自動ドア装置。
【請求項5】
前記扉駆動制御部は、前記開駆動を停止した後に前記抵抗検知部で検知された移動抵抗が所定の基準値以下の場合に前記開駆動を再開する
請求項4に記載の自動ドア装置。
【請求項6】
前記扉の側面に物体が存在することを検知する側面検知部を備え、
前記扉駆動制御部は、前記警告動作中に前記側面検知部が物体を検知したら前記開駆動を停止する
請求項2に記載の自動ドア装置。
【請求項7】
前記扉駆動制御部は、前記開駆動を停止した後に前記側面検知部が非検知になった場合に前記開駆動を再開する
請求項6に記載の自動ドア装置。
【請求項8】
室内と室外とを隔てる扉と、
前記扉の開指示又は閉指示の操作により前記開指示又は前記閉指示が出力される指示出力部と、
前記指示出力部の指示に基づいて扉の開閉駆動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記指示出力部から出力された開指示に基づいて行う前記扉の開駆動の初期に、前記扉の通常の駆動速度より低速で前記扉を駆動させる警告動作を行う
自動ドア装置。
【請求項9】
扉の開指示の操作により指示出力部から前記開指示を出力するステップと、
前記開指示を受けて前記扉を開駆動させる初期に警告を発する警告動作を行うステップと、
を含む自動ドア装置の制御方法。
【請求項10】
扉の開指示の操作により指示出力部から前記開指示を出力するステップと、
前記開指示を受けて前記扉を開駆動させる初期に警告を発する警告動作を行うステップと、
をコンピュータに実行させるための自動ドア装置の制御プログラム。
【請求項11】
扉の開指示又は閉指示の操作により前記開指示又は前記閉指示が出力される指示出力部の指示に基づいて扉を開閉動作させる扉駆動制御部と、
開口の所定の高さに設けられ、前記開口に存在する人又は物を検知する第1検知部と、
前記第1検知部の検知エリアよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知部と、
前記扉の移動抵抗を検知する抵抗検知部と、
を備え、
前記扉駆動制御部は、前記扉を閉動作させているときに前記抵抗検知部で検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、前記第2検知部が検知状態であるとき、前記扉を開くかまたは前記扉を停止させる回避動作を実行する
自動ドア装置。
【請求項12】
前記扉駆動制御部は、前記第2検知部が検知状態の場合、前記指示出力部の閉指示を無効とする
請求項11に記載の自動ドア装置。
【請求項13】
前記扉駆動制御部は、前記回避動作させているときに前記扉が全開した状態で前記第2検知部が非検知状態の場合、前記指示出力部の閉指示の無効を解除する
請求項12に記載の自動ドア装置。
【請求項14】
前記扉駆動制御部は、前記第2検知部が非検知状態になった後、前記指示出力部の閉指示に基づいて閉動作する場合は、通常の閉動作の速度で前記扉を駆動させる
請求項13に記載の自動ドア装置。
【請求項15】
前記扉駆動制御部は、前記第2検知部が非検知状態になった後、前記指示出力部の閉指示に基づかずに閉動作する場合は、通常の閉動作の前記扉の速度よりも低速で前記扉を移動させる
請求項13に記載の自動ドア装置。
【請求項16】
室内と室外とを隔てて開口に設けられる扉と、
前記扉の開指示又は閉指示の操作により前記開指示又は前記閉指示が出力される指示出力部と、
前記指示出力部の指示に基づいて前記扉の開閉駆動を制御する制御部と、
前記扉の移動抵抗を検知する抵抗検知部と、
開口の所定の高さに設けられ、前記開口に存在する人又は物を検知する第1検知部と、
前記抵抗検知部が検知状態のときに前記第1検知部の検知エリアよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知部を備え、
前記制御部は、前記扉を閉動作させているときに前記抵抗検知部が検知状態となったときに前記扉を開動作させ又は前記扉を停止させる制御を行い、前記第2検知部が非検知状態になるまで前記扉を閉動作させない
自動ドア装置。
【請求項17】
扉の開指示又は閉指示の操作により前記開指示又は前記閉指示が出力される指示出力部の指示に基づいて扉を開閉動作させる自動ドア装置について、
開口の所定の第1高さで、前記開口に存在する人又は物を検知する第1検知ステップと、
前記第1高さよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知ステップと、
前記扉の移動抵抗を検知する抵抗検知ステップと、
前記扉を閉動作させているときに前記抵抗検知ステップで検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、前記第2検知ステップで人又は物を検知しているとき、前記扉を開くかまたは前記扉を停止させるステップと、
を含む自動ドア装置の制御方法。
【請求項18】
扉の開指示又は閉指示の操作により前記開指示又は前記閉指示が出力される指示出力部の指示に基づいて扉を開閉動作させる自動ドア装置について、
開口の所定の第1高さで、前記開口に存在する人又は物を検知する第1検知ステップと、
前記第1高さよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知ステップと、
前記扉の移動抵抗を検知する抵抗検知ステップと、
前記扉を閉動作させているときに前記抵抗検知ステップで検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、前記第2検知ステップで人又は物を検知しているとき、前記扉を開くかまたは前記扉を停止させるステップと、
をコンピュータに実行させるための自動ドア装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、自動ドア装置の制御方法および自動ドア装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ駆動によりドアを開閉動させる自動ドア装置が知られている。例えば、特許文献1には、公共トイレ、ショッピングセンター等の施設内トイレなどに設置されるトイレ用自動ドア装置が記載されている。この自動ドア装置は、便房の間口に開閉自在に配置される引き戸式のドアと、無目内に配設されたコントローラ及び駆動手段と、室外側に取り付けられた押ボタン式の外開スイッチ及び外閉スイッチからなる外側操作部とを備える。この自動ドア装置は、コントローラに制御された駆動手段のモータ駆動によってドアが開閉動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-179983号公報
【特許文献2】特開2005-163408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、自動ドア装置について以下の認識を得た。自動ドア装置のドアにユーザの体の一部が接触した状態で、開スイッチを操作すると、開くドアの動きに応じてユーザに一定の影響を及ぼすことが考えられる。
【0005】
開動作時のユーザへの影響は小さいことが望ましい。特許文献1に記載の自動ドア装置は、ユーザが扉に触れた状態で扉を開く操作をした場合に、ユーザへの影響を低減する観点から、十分な対策が講じられているとはいえない。
【0006】
本発明は、こうした課題に鑑みてなされたものであり、ユーザが扉に触れた状態で扉を開く操作をした場合に、ユーザへの影響を低減可能な自動ドア装置の技術を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の自動ドア装置は、扉の開指示の操作により開指示が出力される開指示出力部の開指示に基づいて扉を開動作させる扉駆動制御部を備える。扉駆動制御部は、開指示に基づいて行う扉の開動作の初期に警告を発する警告動作を実行する。
【0008】
本発明の別の態様は、自動ドア装置である。この装置は、室内と室外とを隔てる扉と、扉の開指示又は閉指示の操作により開指示又は閉指示が出力される指示出力部と、指示出力部の指示に基づいて扉の開閉駆動を制御する制御部と、を備える。制御部は、指示出力部から出力された開指示に基づいて行う扉の開駆動の初期に、扉の通常の駆動速度より低速で扉を駆動させる警告動作を行う。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、自動ドア装置の制御方法である。この方法は、扉の開指示の操作により指示出力部から開指示を出力するステップと、開指示を受けて扉を開駆動させる初期に警告を発する警告動作を行うステップと、を含む。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、自動ドア装置の制御プログラムである。この制御プログラムは、扉の開指示の操作により指示出力部から開指示を出力するステップと、開指示を受けて扉を開駆動させる初期に警告を発する警告動作を行うステップと、をコンピュータに実行させる。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、自動ドア装置である。この装置は、扉の開指示又は閉指示の操作により開指示又は閉指示が出力される指示出力部の指示に基づいて扉を開閉動作させる扉駆動制御部と、開口の所定の高さに設けられ、開口に存在する人又は物を検知する第1検知部と、第1検知部の検知エリアよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知部と、扉の移動抵抗を検知する抵抗検知部と、を備える。扉駆動制御部は、扉を閉動作させているときに抵抗検知部で検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、第2検知部が検知状態であるとき、扉を開くかまたは扉を停止させる回避動作を実行する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、自動ドア装置である。この装置は、室内と室外とを隔てて開口に設けられる扉と、扉の開指示又は閉指示の操作により開指示又は閉指示が出力される指示出力部と、指示出力部の指示に基づいて扉の開閉駆動を制御する制御部と、扉の移動抵抗を検知する抵抗検知部と、開口の所定の高さに設けられ、開口に存在する人又は物を検知する第1検知部と、抵抗検知部が検知状態のときに第1検知部の検知エリアよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知部を備える。制御部は、扉を閉動作させているときに抵抗検知部が検知状態となったときに扉を開動作させ又は扉を停止させる制御を行い、第2検知部が非検知状態になるまで扉を閉動作させない。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、自動ドア装置の制御方法である。この方法は、扉の開指示又は閉指示の操作により開指示又は閉指示が出力される指示出力部の指示に基づいて扉を開閉動作させる自動ドア装置について、開口の所定の第1高さで、開口に存在する人又は物を検知する第1検知ステップと、第1高さよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知ステップと、扉の移動抵抗を検知する抵抗検知ステップと、扉を閉動作させているときに抵抗検知ステップで検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、第2検知ステップで人又は物を検知しているとき、扉を開くかまたは扉を停止させるステップと、を含む。
【0014】
本発明のさらに別の態様は、自動ドア装置の制御プログラムである。この制御プログラムは、扉の開指示又は閉指示の操作により開指示又は閉指示が出力される指示出力部の指示に基づいて扉を開閉動作させる自動ドア装置について、開口の所定の第1高さで、開口に存在する人又は物を検知する第1検知ステップと、第1高さよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知ステップと、扉の移動抵抗を検知する抵抗検知ステップと、扉を閉動作させているときに抵抗検知ステップで検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、第2検知ステップで人又は物を検知しているとき、扉を開くかまたは扉を停止させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0015】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが扉に触れた状態で扉を開く操作をした場合に、ユーザへの影響を低減可能な自動ドア装置の技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る自動ドア装置を備える部屋を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1の自動ドア装置を備える部屋を示す正面図である。
【
図3】
図1の自動ドア装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】予備移動動作を含まない開動作の扉の速度推移の一例を示す図である。
【
図5】予備移動動作を含む開動作の扉の速度推移の一例を示す図である。
【
図6】予備移動動作を含む開動作の扉の速度推移の別例を示す図である。
【
図7】予備移動動作を含む開動作の扉の速度推移の別例を示す図である。
【
図8】
図1の自動ドア装置の回避動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0019】
また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付して区別し、総称するときはこれらを省略する。また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0020】
[第1実施形態]
図1、
図2、
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置100を説明する。
図1は、自動ドア装置100を備える部屋10を概略的に示す平面図である。
図2は、自動ドア装置100を備える部屋10を示す正面図である。
図2は、部屋10の正面壁101の一部を破断して示している。説明の便宜上、図示のように、水平なある方向をX方向と、X方向に直交する水平な方向をY方向と、両者に直交する鉛直方向をZ方向とする。X方向を左右方向と、Y方向を前後方向と、Z方向を上下方向ということがある。このような方向の表記は自動ドア装置100の姿勢を制限するものではなく、自動ドア装置100は、任意の姿勢で使用されうる。
【0021】
図3は、自動ドア装置100を示すブロック図である。
図3に示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0022】
自動ドア装置100は、間口を開閉するための扉を開閉動作させる装置である。自動ドア装置100は、空間を仕切る壁等の各種の仕切り手段の間口に適用できる。本実施形態の自動ドア装置100は、部屋10の正面壁101に設けられた開口102を扉20によって開閉する。
図2の開口102は、正面壁101の左右中心より右端側に寄って設けられている。この例の扉20は左右にスライド移動する引戸である。部屋10は、例えば、駅、ホテル、デパート、病院、老人保健施設等の各種施設に設けることができる。
【0023】
部屋10の種類に制限はないが、この例の部屋10は多機能トイレとして使用されるトイレ室である。多機能トイレは、健常者の他に、車いすユーザや内部障害を有するユーザ等が利用することが想定されるトイレである。内部障害を有するユーザは、例えば、人工肛門や人口膀胱等のストーマの使用者である。一例として、部屋10には、便器11、オスメイト12、手洗い器13、寝台14および幼児用椅子19が設けられる。オスメイト12は、ユーザがストーマを洗浄するための洗浄台である。また、便器11やオスメイト12の周囲には手すり15が設けられている。
【0024】
また、部屋10には、呼出時操作部16が、便器11の近傍に設けられている。呼出時操作部16は、体調不良等で他人の援助を要請したいユーザが、そのことを外部に報知するためのユーザ操作を検知し、その検知結果を呼出信号として扉駆動制御部50に提供する。本実施形態の呼出時操作部16は、ユーザ操作を検知している検知状態と検知していない非検知状態とからなる呼出信号を検知結果として扉駆動制御部50に提供する。呼出信号は、検知状態でオンになり、非検知状態でオフになる。この例の呼出時操作部16は、押したときに呼出信号をオンにし、離したとき呼出信号をオフにする押しボタンスイッチである。呼出時操作部16を呼出スイッチということがある。扉駆動制御部50は、呼出時操作部16の呼出信号がオンの場合に所定の非常時動作を実行する。この非常時動作は、部屋10の管理者に対する検知結果の報知、室外報知部46に対する検知結果の表示、扉ロック部48による扉20の移動制限の解除が含まれる。呼出時操作部16は、非常ボタンとしても機能する。
【0025】
また、部屋10には、室内報知部17と、延長操作部18とが、オスメイト12の近傍に設けられている。室内報知部17は、部屋10の管理者または扉駆動制御部50からユーザに所定事項を報知する装置である。室内報知部17は、例えば、スピーカの音、液晶ディスプレイ等の表示を通じて所定事項を報知できる。部屋10に利用制限時間(例えば、30分)が設定されている場合、扉駆動制御部50は、ユーザの入室からの経過時間に応じて、室内報知部17を通じて、所定の室内報知動作を実行する。この室内報知動作は、利用制限時間までの残時間の報知、利用制限時間を超過したことの報知、扉ロック部48による扉20の移動制限の解除が含まれる。また、利用制限時間を超過した場合、扉駆動制御部50は、室外報知部46および部屋10の管理者に、利用制限時間を超過したことを報知する。
【0026】
延長操作部18は、利用制限時間を延長するためのユーザ操作を検知し、その検知結果を延長信号として扉駆動制御部50に提供する。本実施形態の延長操作部18は、ユーザ操作を検知している検知状態と検知していない非検知状態とからなる延長信号を検知結果として扉駆動制御部50に提供する。延長信号は、検知状態でオンになり、非検知状態でオフになる。この例の延長操作部18は、押したときに延長信号をオンにし、離したとき延長信号をオフにする押しボタンスイッチである。以下、延長操作部18を延長スイッチと表記することがある。扉駆動制御部50は、延長操作部18の延長信号がオンの場合に利用制限時間を所定時間(例えば、10分)延長する。
【0027】
自動ドア装置100は、正面視で矩形の開口102を開閉するために扉20を駆動する。扉20は、右側の全閉位置から左側の全開位置まで延びる移動路22上を水平スライド可能に設けられる移動体である。移動路22は、床面に投影された扉20の移動軌跡である。自動ドア装置100は、操作検知部24、26と、扉駆動制御部50とを備える。
【0028】
操作検知部24、26は、ユーザの開閉操作を検知し、その検知結果に基づいて開扉起動信号または閉扉起動信号(以下、「起動信号」と総称することがある)を扉駆動制御部50に提供する。扉駆動制御部50は、操作検知部24、26の起動信号に基づいて扉20を開閉動作させる。操作検知部24、26は、扉20の開指示の操作により開指示が出力される開指示出力部および扉20の閉指示の操作により閉指示が出力される閉指示出力部を例示する。開指示出力部と閉指示出力部を総称するときは指示出力部という。
【0029】
本実施形態では、操作検知部24、26は、部屋10の外側から操作可能な外側操作検知部24と、部屋10の内側から操作可能な内側操作検知部26とを含む。
図2の例では、外側操作検知部24は、正面壁101の外側に設けられ、内側操作検知部26は、正面壁101の内側に設けられる。操作検知部24、26は、扉20に設けられてもよい。
【0030】
外側操作検知部24は、扉20を開くための開操作を検知する外側開操作部241と、扉20を閉じるための閉操作を検知する外側閉操作部242とを含む。内側操作検知部26は、扉20を開くための開操作を検知する内側開操作部261と、扉20を閉じるための閉操作を検知する内側閉操作部262とを含む。
【0031】
外側開操作部241、外側閉操作部242、内側開操作部261および内側閉操作部262としては、ユーザの操作を検知可能な各種原理に基づくデバイスを採用できる。本実施形態の各操作部241、242、261、262は、押したときに起動信号をオンにし、離したとき起動信号をオフにする押しボタンスイッチである。以下、外側開操作部241および内側開操作部261を開スイッチと、外側閉操作部242および内側閉操作部262を閉スイッチと表記することがある。
【0032】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、制御部52と、駆動部56とを含む。制御部52は、操作検知部24、26の検知結果に基づいて扉20の開閉動作を制御する。制御部52については後述する。駆動部56は、制御部52の制御に基づいて扉20をスライド移動させる。駆動部56はドアエンジンと称されることがある。例えば、駆動部56は、扉20が連結されたループ状のベルト(不図示)と、当該ベルトを駆動する駆動モータ562とにより構成できる。駆動モータ562の回転は、駆動回路561を介して制御部52に制御される。扉駆動制御部50は、正面壁101の無目に設けられてもよい。
【0033】
本実施形態では、駆動部56は、抵抗検知部36と、位置検知部38とを含む。抵抗検知部36および位置検知部38は、検知結果を扉駆動制御部50に提供する。抵抗検知部36は、移動時の扉20の移動抵抗を検知する。扉20の移動抵抗は、扉20が移動中に受ける移動方向とは逆向きの抵抗力であり、走行抵抗やスライド抵抗と称されることがある。移動抵抗は、移動体に接触するものが在る場合に通常より大きくなる。一例として、抵抗検知部36は、駆動モータ562の駆動電流を検知した結果を扉駆動制御部50に送信する電流センサである。扉駆動制御部50は、抵抗検知部36の検知結果に基づいて移動抵抗を特定できる。
【0034】
位置検知部38は、全閉位置から全開位置までにおける扉20の位置を検知する。一例として、位置検知部38は、駆動モータ562の回転角に比例したパルス数のパルス信号である位置信号を扉駆動制御部50に送信するインクリメンタル型エンコーダである。扉駆動制御部50は、自動ドア装置100の起動時に扉20を全閉位置に移動させ、その全閉位置を基準位置とし、位置検知部38の位置信号のパルス数をカウントすることにより、扉20の位置を特定できる。
【0035】
本実施形態の自動ドア装置100は、扉駆動制御部50の制御に基づいて、ユーザに警告を発する警告出力部44を備える。この例の警告出力部44は、扉駆動制御部50の制御に基づいて、警告用の音を発する音出力部441と、警告用の光を発する光出力部442とを有する。音出力部441は、例えば、スピーカを含んで構成できる。光出力部442は、例えば、LED等の発光素子を含んで構成できる。警告出力部44は、図示のように、正面壁101に設けられてもよい。
【0036】
本実施形態では、自動ドア装置100は、扉20の側面に物体が存在することを検知可能な側面検知部34を備える。側面検知部34の被検知物体としては、ユーザの手足等の身体の一部や荷物が挙げられる。この例の側面検知部34は、物体の存在を検知している検知状態と検知していない非検知状態とからなる側面検知信号を検知結果として扉駆動制御部50に提供する。側面検知信号は、検知状態でオンになり、非検知状態でオフになる。扉駆動制御部50は、側面検知部34の検知結果に基づいて後述する所定の動作を行う。本実施形態の側面検知部34は、扉20の外側の側面201と、内側の側面202とにおいて物体の存在を検知する。本実施形態の側面検知部34は、扉20の側面201、202に沿って投光された赤外線の反射光を受光する受光素子を含んで構成される。一例として、側面検知部34は、正面壁101の無目に設けられる。
【0037】
本実施形態では、自動ドア装置100は、開扉された開口102において扉20の移動路に存在する物体を検知可能な開口検知部32を備える。開口検知部32は、補助センサと称されることがある。この例の開口検知部32は、物体の存在を検知している検知状態と検知していない非検知状態とからなる開口検知信号を検知結果として扉駆動制御部50に提供する。開口検知信号は、検知状態でオンになり、非検知状態でオフになる。扉駆動制御部50は、開口検知部32の検知結果に基づいて後述する所定の動作を行う。開口検知部32の被検知物体としては、ユーザの身体や荷物が挙げられる。一例として、開口検知部32は、正面壁101において、開口102を挟んで左右に離れた位置に設けられた投光器と受光器のセットを含んで構成できる。
【0038】
本実施形態の開口検知部32は、扉20の移動路22に存在する物体を所定の第1高さH1で検知可能な第1検知部321と、第1高さH1よりも低い第2高さH2で扉20の移動路に存在する物体を検知可能な第2検知部322とを含む。第1高さH1は、第1検知部321で、歩行または車いすで開口102を横断するユーザを検知可能な高さに設定される。一例として、第1高さH1は、200mm~700mmの範囲に設定できる。第2高さH2は、第2検知部322で、移動路22に倒れている状態のユーザを検知可能な高さに設定される。一例として、第2高さH2は、100mm~300mmの範囲に設定できる。
【0039】
本実施形態の部屋10には、部屋10内で人が活動しているかどうかを判定する活動判定部27が設けられる。活動判定部27は、複数の検知スポットからなる検知エリアを有する物体検知センサを備える。物体検知センサの検知原理は、特に限定されないが、本実施形態の活動判定部27は、検知エリアの各検知スポットに投光された赤外線の反射光を受光する複数の受光素子を含んで構成される。活動判定部27は、異なる時間に取得された複数の検知結果の差に基づいて人が活動しているかどうかを判定する。この例の活動判定部27は、人が活動していると判定する活動状態と、人が活動していないと判定する非活動状態とからなる活動判定信号を判定結果として扉駆動制御部50に提供する。活動判定信号は、人が活動していると判定される活動状態でオンになり、人が活動していないと判定される非活動状態でオフになる。
【0040】
本実施形態の部屋10には、部屋10内に人が居るかどうかを検知する在室検知部28が設けられる。在室検知部28の検知原理は、特に限定されないが、本実施形態の在室検知部28は、人が発する赤外線の変化を検出可能な焦電素子を含んで構成される人感センサである。この例の在室検知部28は、焦電素子の信号に応じて、人を検知している検知状態と検知していない非検知状態とからなる人検知信号を検知結果として扉駆動制御部50に提供する。人検知信号は、検知状態でオンになり、非検知状態でオフになる。
【0041】
本実施形態の部屋10には、部屋10の在室状態、異常状態等の室内状態を外部に報知する室外報知部46が設けられる。
図2の室外報知部46は、一例として、扉駆動制御部50の制御に基づいて、「使用中」の文字を表示するディスプレイである。室外報知部46は、図示のように、正面壁101の無目に設けられてもよい。例えば、扉駆動制御部50は、在室検知部28が検知状態の場合に、室外報知部46に使用中の表示をさせ、非検知状態の場合に、この表示を停止する。
【0042】
本実施形態の部屋10には、扉駆動制御部50の制御に基づいて、閉状態の扉20の移動を制限する扉ロック部48が設けられる。扉ロック部48は、電気錠等、電磁力により扉20に施錠して、扉20の移動を機械的に制限するものであってもよいし、外側開操作部241の開扉起動信号を無効化して、外側開操作部241の操作による開動作を制御的に制限するものであってもよいし、これらを併用するものであってもよい。例えば、扉駆動制御部50は、部屋10が使用されているときに、扉ロック部48をオンにして、扉20の移動を制限できる。なお、本明細書では、起動信号を無効化することは、指示入力部の開閉指示を無効とすることを例示する。
【0043】
次に、制御部52を説明する。
図3に示すように、本実施形態の制御部52は、情報取得部521、情報出力部522、扉動作制御部523、警告動作制御部524、記憶部526、時間判定部527、時間管理部528および送信部529を含み、情報処理部として機能する。
【0044】
情報取得部521は、外側開操作部241、外側閉操作部242、内側開操作部261、内側閉操作部262、第1検知部321、第2検知部322、側面検知部34、活動判定部27、在室検知部28、呼出時操作部16、延長操作部18、抵抗検知部36および位置検知部38の起動信号、検知信号等を取得する入力ポートとして機能する。
【0045】
情報出力部522は、音出力部441、光出力部442、室内報知部17、室外報知部46および扉ロック部48に対し、これらを制御する制御信号を出力する。情報出力部522は、出力ポートとして機能する。扉動作制御部523は、駆動部56の駆動回路561に制御信号を出力して、扉20の動作を制御する。警告動作制御部524は、扉動作制御部523を介して扉20の動作を制御して後述する警告動作を実行する。記憶部526は、情報取得部521で取得した各検知部の情報信号を一時的に記憶する。記憶部526には、後述する制御プログラムP100、P200が格納される。時間管理部528は、ユーザの入室後の経過時間をカウントする時間カウンタとして機能する。時間判定部527は、時間管理部528でカウントした経過時間が利用制限時間を超過したか否かを判定する。送信部529は、部屋10の管理者等の外部に出力する所定情報を送信する。この所定情報は、呼出時操作部16が操作されたこと、および利用制限時間を超過したことを含む。
【0046】
次に、自動ドア装置100の動作を説明する。まず、警告動作を含まない第1動作例の開閉動作を説明する。第1動作例では、自動ドア装置100は下記のように動作する。
(1)部屋10に入室するとき、ユーザは、外側開操作部241(開スイッチ)を操作する。外側開操作部241が操作されると開扉起動信号がオンになり、扉駆動制御部50は開動作を行う。開動作により、扉20は全開位置まで移動して停止する。
【0047】
(2)部屋10に入室後、ユーザは、内側閉操作部262(閉スイッチ)を操作する。内側閉操作部262が操作されると閉扉起動信号がオンになり、扉駆動制御部50は閉動作を行う。閉動作により、扉20は全閉位置まで移動して停止する。
(3)この状態で、ユーザは部屋10の設備を使用する。
【0048】
(4)部屋10から退出するとき、ユーザは内側開操作部261(開スイッチ)を操作する。内側開操作部261が操作されると開扉起動信号がオンになり、扉駆動制御部50は開動作を行う。開動作により、扉20は全開位置まで移動して停止する。
(5)部屋10から退出後、ユーザは、外側閉操作部242(閉スイッチ)を操作する。外側閉操作部242が操作されると閉扉起動信号がオンになり、扉駆動制御部50は閉動作を行う。閉動作により、扉20は全閉位置まで移動して停止する。
【0049】
開動作の扉20の速度推移を説明する。
図4は、開動作の扉20の速度推移の第1動作例を示す図である。この図は、横軸に扉20の位置を示し、縦軸に扉20の速度を示す。開動作では、扉20は、全閉位置から全開位置まで、位置検知部38の位置信号のパルス数から特定される扉20の位置に応じて制御される。この例では、扉20は、停止状態から高速の第1速度まで加速を行い、第1速度で等速移動を行い、所定の減速開始位置から低速の第2速度まで減速を行い、第2速度でゆっくりと全開位置に接近し、全開位置で停止する。
【0050】
この等速移動は、厳密な等速移動に限定されるものではなく、多少の変動を含むような概ね等速であればよい。開動作では、扉20は最も長い距離を第1速度で移動する。この意味で第1速度は、扉20の通常移動速度である。扉20が全閉位置から全開位置まで移動する間の平均速度を第1動作例における扉20の平均移動速度という。平均移動速度は、扉20の移動距離を移動時間で除して求められる。なお、閉動作は、全開位置と全閉位置とが反転して同様の速度推移を示す動作である。
【0051】
(第2動作例)
次に、本実施形態の第2動作例を説明する。第2動作例は警告動作を含む。開動作で、ユーザが手を扉20に触れている状態で扉20が通常速度で移動すると、ユーザは姿勢を崩す可能性がある。例えば、老人保健施設等、体力が低下した高齢者が多く利用する施設の自動ドア装置では、体を支えるために、ユーザが扉に手をつきながら開スイッチを押すことがある。この場合でも、自動ドア装置は、ユーザが開く扉に引っ張られないように構成されることが望ましい。
【0052】
そこで、本実施形態の自動ドア装置100では、扉駆動制御部50は、扉20の開動作の初期に警告を発する警告動作を実行する。警告により、ユーザは手を離すことができるため、その後に扉20が通常速度で移動しても、ユーザが姿勢を崩す可能性は低くなる。
【0053】
警告動作は、ユーザに対して警告を発しうるものであればよい。本実施形態では、警告動作は、扉20の通常の移動速度より低速で扉20を移動させる予備移動動作と、ユーザに対して警告用の音または警告用の光を出力する動作とを含んでいる。警告用の音は音出力部441から出力され、警告用の光は光出力部442から出力される。警告用の音または警告用の光を出力することにより、ユーザに注意を喚起することができる。また、予備移動動作を行うことにより、音や光を認識できない場合でも、ユーザに注意を喚起することができる。なお、警告動作が複数の動作を含むことは必須ではないが、警告動作は2以上の異なる動作を含んでもよい。
【0054】
警告動作において、開動作の初期は、扉駆動制御部50が開扉起動信号を受信してから扉20が第1速度に達するまでの期間を意味し、扉20の移動が開始する前の期間を含む。
【0055】
図5を参照して、予備移動動作の一例を説明する。
図5は、予備移動動作を含む開動作の扉20の速度推移の一例を示す図であり、
図4に対応する。この例では、扉駆動制御部50は、扉20を第1速度まで加速する前に、低速の第3速度で扉20を移動させる予備移動動作を行う。
図5の予備移動動作では、符号Aに示されるように、扉20は、第1速度よりも低速の第3速度まで第1の加速が行われた後、一時的に第3速度で移動し、次に第1速度まで第2の加速が行われる。扉20は、第1速度まで加速した後は、第1動作例の開動作と同じ速度推移で移動する。予備移動動作の扉20の移動距離は500mm以下であってもよい。また、予備移動動作の扉20の移動距離は10mm以上であってもよい。警告動作として予備移動動作を実行することにより、開動作の初期に扉20が低速で移動するため、ユーザが扉20から手を離すための時間的余裕ができ、姿勢を崩す可能性は低くなる。このように、予備移動動作は、一時的に加速しない動作を含んでもよい。
【0056】
予備移動動作の速度は、扉20が予備移動動作の開始位置から終了位置まで移動する間の平均速度である。予備移動動作の速度は、第1速度よりも低速であってもよいし、扉20が全閉位置から全開位置まで移動する間の平均速度よりも低速であってもよいし、第2速度よりも低速であってもよい。一例として、予備移動動作の速度は10mm/秒~100mm/秒であってもよい。
【0057】
予備移動動作の別例を説明する。
図6、
図7は、別例の予備移動動作を含む開動作の扉20の速度推移を示す図であり、
図4に対応する。
図6の予備移動動作では、符号Bに示されるように、扉20は、第1の加速が行われた後、一時的に減速され、次に第2の加速が行われる。このように、予備移動動作は、一時的に減速または停止する動作を含んでもよい。
【0058】
図7の予備移動動作では、符号Cに示されるように、扉20は、第1の加速が行われた後、第1の加速よりも小さい加速度で加速され、次に第2の加速が行われる。このように、予備移動動作は、一時的に加速度を下げる動作を含んでもよい。
【0059】
ユーザが扉20に触れているときは、開動作をできるだけ速やかに停止することが望ましい。そこで、本実施形態は、移動時の扉20の移動抵抗を検知する抵抗検知部36を備え、扉駆動制御部50は、警告動作中に抵抗検知部36で検知された移動抵抗が閾値T1を超えたら開動作を停止する。この閾値T1は、扉20に接触物がない場合の移動抵抗と、接触物がある場合の移動抵抗との間に設定できる。
【0060】
使い勝手向上の観点から、接触状態が解消されたら速やかに開動作を再開することが望ましい。そこで、本実施形態では、扉駆動制御部50は、開動作を停止した後に抵抗検知部36で検知された移動抵抗が所定の基準値以下の場合に開動作を再開する。この基準値は、扉20に接触物がない場合の移動抵抗と、接触物がある場合の移動抵抗との間に設定できる。例えば、この基準値は、上述の閾値T1と異なっていてもよいし、閾値T1よりも低くてもよい。
【0061】
ユーザが扉20に触れているときは、開動作を一層早く停止することが望ましい。そこで、本実施形態は、扉20の側面201、202に物体が存在することを検知する側面検知部34を備え、扉駆動制御部50は、警告動作中に側面検知部34が物体を検知したら開動作を停止する。
【0062】
使い勝手向上の観点から、側面から物体が除かれたら、速やかに開動作を再開することが望ましい。そこで、本実施形態では、扉駆動制御部50は、開動作を停止した後に側面検知部34が非検知になったら開動作を再開する。
【0063】
(第3動作例)
次に、本実施形態の第3動作例を説明する。第3動作例は回避動作を含む。例えば、老人保健施設等、体力が低下した高齢者が多く利用する施設の自動ドア装置では、閉動作中に、開口にユーザが転倒し、移動中の扉がユーザに接触する可能性がある。この場合に、自動ドア装置は、扉がユーザに与える影響を低減可能に構成されることが望ましい。
【0064】
本実施形態の第2検知部322は、開口102に転倒しているユーザを検知可能に構成されている。第2検知部322が検知状態のときに、閉動作を禁止することも考えられる。第2検知部322は、相対的に床に近い低位置に設置されているので、第1検知部321よりも泥やほこりなどの異物が付着し易いため偽検知状態を引き起こしやすい。偽検知状態では、メンテナンスにより異物が除去されるまで扉20は閉まらず、自動ドア装置100は機能不全になる。したがって、自動ドア装置100は、第2検知部322が偽検知状態でも機能を維持できることが望ましい。
【0065】
そこで、本実施形態の自動ドア装置100は、第2検知部322が偽検知状態でも自動ドア装置100の機能を維持しつつ、閉動作中の扉20が転倒者に与える影響を低減可能な動作(以下、「回避動作」という)を実行する。
【0066】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、扉20の閉動作中に抵抗検知部36で検知された移動抵抗が閾値T2を超えた状態で、第2検知部322が検知状態のとき、扉20を開くか、または扉20を停止させる回避動作を実行する。この場合、移動抵抗で転倒者の存在を検知し、転倒者が存在する状態で第2検知部322の検知状態を参照するので、偽検知状態による機能不全を回避しつつ、扉20が転倒者に与える影響を低減できる。閾値T2は、扉20に転倒者がない場合の移動抵抗と、転倒者がある場合の移動抵抗との間に設定できる。
【0067】
自動ドア装置100について、全開位置から全閉位置まで扉20を移動させる閉動作プロセスの一例を説明する。このプロセスは回避動作を含む。この説明では、各検知部が検知状態であることを「オン」と、各検知部が非検知状態であることを「オフ」と表記する。
図8は、自動ドア装置100の動作例のプロセスS110を示すフローチャートである。プロセスS110が開始され、閉スイッチ(外側閉操作部242または内側閉操作部262)がオン(ステップS111)になると、扉駆動制御部50は、第1検知部321がオンか否かを判定する(ステップS112)。
【0068】
第1検知部321がオンの場合(ステップS112のY)、扉駆動制御部50は、閉動作をせずに、扉20を開くか停止させる(ステップS113)。ステップS113を実行したら、扉駆動制御部50は、処理をステップS111の先頭に戻し、ステップS111~S113を繰り返す。つまり、第1検知部321がオンの間は閉動作は開始されない。
【0069】
第1検知部321がオフの場合(ステップS112のN)、扉駆動制御部50は、扉20を閉じる閉動作を開始する(ステップS114)。
【0070】
閉動作を開始したら、扉駆動制御部50は、抵抗検知部36がオンか否かを判定する(ステップS115)。抵抗検知部36がオフの場合(ステップS115のN)、扉駆動制御部50は、扉20が全閉位置まで移動したか否かを判定する(ステップS116)。
【0071】
扉20が全閉位置まで移動していない場合(ステップS116のN)、扉駆動制御部50は、処理をステップS115の先頭に戻し、ステップS115~S116を繰り返す。この間、扉20は全閉位置に向かって移動する。
【0072】
抵抗検知部36がオンの場合(ステップS115のY)、扉駆動制御部50は、本来あるはずのない抵抗がかかっていると判断して回避動作に移行する。扉駆動制御部50は、閉動作をせずに、扉20を開くか停止させる(ステップS117)。ここで、閉スイッチがオンになると(ステップS118)、扉駆動制御部50は、閉作動を開始する前に、第2検知部322がオンか否かを判定する(ステップS119)。第2検知部322がオフの場合(ステップS119のN)、扉駆動制御部50は、扉20を閉じる閉動作をする(ステップS122)。ステップS122を実行した後、扉駆動制御部50は、処理をステップS115の先頭に移す。
【0073】
第2検知部322がオンの場合(ステップS119のY)、扉駆動制御部50は、扉20を停止または低速で閉動作する回避動作を実行する(ステップS120)。このステップで、扉20が停止した場合、扉20はその状態が維持される。
【0074】
ステップS120を実行した後、扉駆動制御部50は、扉20は停止状態か否かを判定する(ステップS121)。扉20が停止状態の場合(ステップS121のY)、扉駆動制御部50は、処理をステップS118の先頭に戻す。扉20が停止状態でない場合(ステップS121のN)扉駆動制御部50は、処理をステップS116の先頭に移す。扉20が全閉位置まで移動した場合(ステップS116のY)、扉駆動制御部50は、プロセスS110を終了する。プロセスS110はあくまでも一例であり、他のステップを追加したり、一部のステップを変更または削除したり、ステップの順序を入れ替えてもよい。
【0075】
回避動作中および回避動作後の制御を説明する。回避動作中に、操作検知部24、26の閉扉起動信号がオンになると、扉20が閉まり、転倒者に影響を与えることが考えられる。そこで、本実施形態では、扉駆動制御部50は、回避動作中に第2検知部322が検知状態では、操作検知部24、26の閉扉起動信号を無効化する。
【0076】
使い勝手向上の観点から、第2検知部322の検知状態が解消されたら速やかに通常動作に復帰することが望ましい。そこで、本実施形態では、扉駆動制御部50は、回避動作中に扉20が全開して第2検知部322が非検知状態では、操作検知部24、26の閉扉起動信号の無効化を解除する。なお、本明細書では、起動信号の無効化を解除することは、指示入力部の開閉指示を無効を解除することを例示する。
【0077】
第2検知部322が非検知状態になったら、速やかに通常動作に復帰できることが望ましい。そこで、本実施形態では、扉駆動制御部50は、第2検知部322が非検知状態になった後、操作検知部24、26の閉扉起動信号に基づいて閉動作する場合は、通常の閉動作の速度で扉20を移動させる。ここで、通常の閉動作の速度は、回避動作前の通常の閉動作の速度推移(
図4を参照)の速度である。
【0078】
第2検知部322が非検知状態になった場合でも、ユーザの操作によらず閉動作する場合は、ゆっくりと扉20を移動させることが望ましい。そこで、本実施形態では、扉駆動制御部50は、第2検知部322が非検知状態になった後、操作検知部24、26の閉扉起動信号がオフのときに閉動作する場合は、通常の閉動作の扉20の速度よりも低速で扉20を移動させる。ここで、閉扉起動信号がオフのときに閉動作するとは、操作検知部24、26が操作されていないときに閉動作する意味である。また、通常の閉動作よりも低速とは、当該閉動作の平均移動速度が、回避動作前の通常の閉動作の平均移動速度よりも低い意味である。
【0079】
以上のように構成された本実施形態の自動ドア装置100の特徴を説明する。自動ドア装置100は、扉20の開指示の操作により開指示が出力される開指示出力部の開指示に基づいて扉20を開動作させる扉駆動制御部50を備える。扉駆動制御部50は、開指示に基づいて行う扉20の開動作の初期に警告を発する警告動作を実行する。この構成によれば、扉20に接触した状態で操作検知部24、26を開操作した場合にユーザに与える影響を小さくできる。
【0080】
本実施形態では、警告動作は、扉20の通常駆動速度より低速で扉20を駆動させる動作を含む。この場合、低速で扉20を移動させるため、ユーザに与える影響を小さくできる。
【0081】
本実施形態では、警告動作は、さらに警告用の音または警告用の光を出力することを含む。この場合、音または光を出力してユーザに注意を喚起できるため、ユーザに与える影響を小さくできる。
【0082】
本実施形態は、扉20の移動抵抗を検知する抵抗検知部36を備え、扉駆動制御部50は、警告動作中に抵抗検知部36で検知された移動抵抗が閾値T1を超えたら開動作を停止する。この場合、ユーザが扉20に触れているときに、開動作を速やかに停止できる。
【0083】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、開動作を停止した後に抵抗検知部36で検知された移動抵抗が所定の基準値以下の場合に開動作を再開する。この場合、接触状態が解消されたら速やかに開動作を再開できる。
【0084】
本実施形態は、扉20の側面201、202に物体が存在することを検知する側面検知部34を備え、扉駆動制御部50は、警告動作中に側面検知部34が物体を検知したら開動作を停止する。この場合、ユーザが側面201、202に触れているときに、一層早く開動作を停止できる。
【0085】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、開動作を停止した後に側面検知部34が非検知になったら開動作を再開する。この場合、側面201、202から物体が除かれたら、速やかに開動作を再開できる。
【0086】
別の側面からみた本実施形態の自動ドア装置100の特徴を説明する。自動ドア装置100は、開又は閉指示が入力される指示入力部の指示入力に基づいて扉20を開閉動作させる扉駆動制御部50と、開口の所定の高さに設けられ、開口に存在する人又は物を検知する第1検知部と、第1検知部321の検知エリアよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知部322と、扉20の移動抵抗を検知する抵抗検知部36と、を備える。扉駆動制御部50は、扉20を閉動作させているときに抵抗検知部36で検知された移動抵抗が閾値T2を超えた状態で、第2検知部322が検知状態であるとき、扉20を開くかまたは扉20を停止させる回避動作を実行する。この構成によれば、閉動作中の扉20が転倒者に与える影響を小さくできる。
【0087】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、第2検知部322が検知状態の場合、指示入力部の閉指示を無効とする。ここで、指示入力部の閉指示を無効とすることは、操作検知部24、26の閉扉起動信号を無効化することによって例示される。この場合、回避動作中に、操作検知部24、26の閉扉起動信号がオンになっても、扉20が閉まらないので、転倒者に与える影響を小さくできる。
【0088】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、回避動作させているときに扉20が全開した状態で第2検知部322が非検知状態の場合、指示入力部の閉指示の無効を解除する。ここで、指示入力部の閉指示の無効を解除することは、操作検知部24、26の閉扉起動信号の無効化を解除することによって例示される。この場合、開口検知部32が非検知になったら速やかに通常動作に復帰できる。
【0089】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、第2検知部322が非検知状態になった後、指示入力部の閉指示に基づいて閉動作する場合は、通常の閉動作の速度で扉20を駆動させる。この場合、開口検知部32が非検知になったら速やかに通常動作に復帰できる。
【0090】
本実施形態では、扉駆動制御部50は、第2検知部322が非検知状態になった後、指示入力部の閉指示に基づかずに閉動作する場合は、通常の閉動作の扉20の速度よりも低速で扉20を移動させる。ユーザの操作によらず閉動作する場合は、ゆっくりと扉20を移動させることができる。
【0091】
以下、本発明の第2~第5実施形態を説明する。第2~第5実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0092】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態は、自動ドア装置の制御方法である。この制御方法は、扉20の開指示が入力される指示入力部の指示入力に基づいて扉20を開動作させる自動ドア装置100について、開指示に基づいて行う扉20の開動作の初期に警告を発する警告動作を行うステップを含む。この制御によれば、扉20に接触した状態で操作検知部24、26の開操作をしてもユーザに与える影響を小さくできる。
【0093】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態は、自動ドア装置の制御プログラムP100(コンピュータプログラム)である。本発明に係る制御プログラムP100は、扉20の開指示が入力される指示入力部の指示入力に基づいて扉20を開動作させる自動ドア装置100について、開指示に基づいて行う扉20の開動作の初期に警告を発する警告動作を行うステップをコンピュータに実行させる。
【0094】
制御プログラムP100は、これらの機能は自動ドア装置100の機能ブロックに対応する複数のモジュールが実装されたアプリケーションプログラムとして自動ドア装置100のストレージ(例えば記憶部526)にインストールされてもよい。制御プログラムP100は自動ドア装置100の制御部52を構成するコンピュータのプロセッサ(例えばCPU)のメインメモリに読み出しされて実行されてもよい。
【0095】
制御プログラムP100によれば、扉20に接触した状態で操作検知部24、26の開操作をしてもユーザに与える影響を小さくできる。
【0096】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態は、自動ドア装置の制御方法である。この制御方法は、開又は閉指示が入力される指示入力部の指示入力に基づいて扉20を開閉動作させる自動ドア装置100について、開口の所定の第1高さで、開口に存在する人又は物を検知する第1検知ステップと、第1高さよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知ステップと、扉20の移動抵抗を検知する抵抗検知ステップと、扉20を閉動作させているときに抵抗検知ステップで検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、第2検知ステップで人又は物を検知しているとき、扉20を開くかまたは扉20を停止させるステップと、を含む。この制御によれば、閉動作中の扉20が転倒者に与える影響を小さくできる。
【0097】
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態は、自動ドア装置の制御プログラムP200(コンピュータプログラム)である。本発明に係る制御プログラムP200は、開又は閉指示が入力される指示入力部の指示入力に基づいて扉20を開閉動作させる自動ドア装置100について、開口の所定の第1高さH1で、開口に存在する人又は物を検知する第1検知ステップと、第1高さよりも低い位置に存在する人又は物を検知する第2検知ステップと、扉20の移動抵抗を検知する抵抗検知ステップと、扉20を閉動作させているときに抵抗検知ステップで検知された移動抵抗が閾値を超えた状態で、第2検知ステップで人又は物を検知しているとき、扉を開くかまたは扉を停止させるステップと、をコンピュータに実行させる。
【0098】
制御プログラムP200では、これらの機能は自動ドア装置100の機能ブロックに対応する複数のモジュールが実装されたアプリケーションプログラムとして自動ドア装置100のストレージ(例えば記憶部526)にインストールされてもよい。制御プログラムP200は自動ドア装置100の制御部52を構成するコンピュータのプロセッサ(例えばCPU)のメインメモリに読み出しされて実行されてもよい。
【0099】
制御プログラムP200によれば、閉動作中の扉20が転倒者に与える影響を小さくできる。
【0100】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。上述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除などの多くの設計変更が可能である。上述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。
【0101】
[変形例]
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0102】
実施形態の説明では、予備移動動作が開動作の初期に減速や減加速度する例を示したが、例えば、予備移動動作は、開動作の初期に扉20を短い距離で左右方向に移動させる動作であってもよいし、扉20を振動させる動作であってもよい。
【0103】
実施形態の説明では、警告動作として警告出力部44から警告用の音または警告用の光を出力する例を示したが、例えば、警告動作は、室外報知部46から警告用の文字や映像を表示する動作を含んでもよい。
【0104】
実施形態の説明では、移動路22にレールや溝等のガイド手段を有しない例を示したが、移動路22はレールや溝等のガイド手段を有してもよい。
【0105】
実施形態の説明では、側面検知部34が、正面壁101の無目に設けられる例を示したが、例えば、側面検知部34は、扉20に設けられてもよい。
【0106】
実施形態の説明では、外側操作検知部24、内側操作検知部26が、押しボタンスイッチである例を示したが、例えば、外側操作検知部24、内側操作検知部26は、スマートフォン、ICカード等の無線デバイスから無線通信により操作が入力されるものであってもよい。
【0107】
上述の変形例は、第1実施形態と同様の作用および効果を奏する。
【0108】
上述した各実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【符号の説明】
【0109】
100 自動ドア装置、 20 扉、 24 外側操作検知部、 241 外側開操作部、 242 外側閉操作部、 26 内側操作検知部、 261 内側開操作部、 262 内側閉操作部、 32 開口検知部、 34 側面検知部、 36 抵抗検知部、 44 警告出力部、 50 扉駆動制御部、 52 制御部、 56 駆動部。