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特開2022-125730運転支援装置、運転支援方法、および支援推奨プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125730
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法、および支援推奨プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20220822BHJP
   B60W 50/10 20120101ALI20220822BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20220822BHJP
   B60W 30/12 20200101ALI20220822BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20220822BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20220822BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
B60W50/14
B60W50/10
B60W30/09
B60W30/12
B60W30/02 310
B60W30/06
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023483
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】519373914
【氏名又は名称】株式会社J-QuAD DYNAMICS
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】サトル 佑香
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA01
3D241BA12
3D241BA21
3D241BA33
3D241BA60
3D241BA70
3D241BB02
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD05
3D241CD07
3D241CE04
3D241CE05
3D241DC47Z
3D241DD04Z
3D241DD07Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL07
5H181LL09
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】運転者が運転支援処理を有効とするか無効とするかの選択が煩雑なものとなることを抑制できるようにした運転支援装置を提供する。
【解決手段】マトリックスデータの左側には12個の機能単位支援処理が規定されている。マトリックスデータは、運転者の運転状況と、車両の走行状況とから定まる5つの互いに異なる状況のそれぞれ毎に、12個の機能単位支援処理のそれぞれを有効とするか否かを定めている。CPUは、マトリックスデータによって規定された状況となる場合、該当する機能単位支援処理を有効とする提案などを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する運転支援装置(40)において、
対応付けデータ(Dmx)が記憶されている記憶装置(46)と、実行装置(42,44)と、を備え、
前記対応付けデータは、複数の走行状況のそれぞれと、複数の状況支援処理とを対応付けるデータであり、
前記状況支援処理は、特定の走行状況のための運転支援処理であり、
前記実行装置は、
前記車両の走行状況を示す変数である走行状況変数の値を取得する取得処理(S44;S64;S84)と、
前記走行状況変数の値に基づき、前記対応付けデータに従って、複数の前記状況支援処理のうちの1つまたは複数の前記状況支援処理を有効とすることを前記車両の運転者に提案すべく、ヒューマンインターフェース(72)を操作する提案処理(S46;S66;S86)と、
前記提案処理に応じて前記運転者が提案を承認したことを前記ヒューマンインターフェースを介して検知する場合、承認された前記状況支援処理の設定を有効とする有効設定処理(S50;S70;S90)と、を実行する運転支援装置。
【請求項2】
前記提案処理は、前記走行状況変数の値が所定の状況を示す場合に、複数の前記状況支援処理のうちの所定状況支援処理を有効とすることを提案する処理を含み、
前記実行装置は、
前記有効設定処理によって前記所定状況支援処理が有効とされた後、前記走行状況変数の値が前記所定の状況を示さなくなる場合、前記所定状況支援処理を無効に切り替えるか否かを前記運転者に問い合わせる問い合わせ処理(S54;S74;S94)と、
前記問い合わせ処理の結果、前記運転者が無効に切り替えることを指示する場合、前記所定状況支援処理を無効に切り替える無効設定処理(S58;S78;S98)と、
前記問い合わせ処理の結果、前記運転者が無効に切り替えることを指示しない場合、前記所定状況支援処理を有効とした設定を継続する継続処理と、
を実行する請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記状況支援処理は、複数種類の機能単位支援処理の2以上の組み合わせからなる処理を含み、
前記複数種類の前記機能単位支援処理は、操作対象とする電子機器(82,92,102,110)、入力信号、入力に対する出力の演算の3つのうちの少なくとも1つが互いに異なる処理である請求項1または2記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記複数種類の前記機能単位支援処理は、
前記車両の前方に障害物がある場合に警報を発する前方接近警報処理と、
前記車両の前方に障害物がある場合に前記車両に制動力を付与する緊急ブレーキ処理と、
前記車両が車線の中央を走行するように制御するセンタートレース処理と、
前記車両が車線を逸脱する場合に警報を発する逸脱警報処理と、
前記車両が車線を逸脱する場合に前記車両を車線に戻すべく転舵アクチュエータを操作するレーン逸脱防止支援処理と、
前記車両が車線に対して蛇行運転をする場合に前記車両がふらつき運転をしている旨警報を発するふらつき警報処理と、
前記車両の後方に位置する車両との衝突の危険がある場合にその旨の警報を発する後方車両警報処理と、
前記車両の後方に位置する車両との衝突の危険がある場合に該危険を回避すべく前記転舵アクチュエータを操作する後方車両支援処理と、
ヘッドライトをハイビームとするかロービームとするかを自動で切り替えるオートハイロービーム処理と、
クルーズコントロール処理と、
前記車両の後退時に、前記車両の進行方向に障害物がある場合に警報を発する後退時警報処理と、
前記車両の後退時に、前記車両の進行方向に障害物がある場合に前記車両に制動力を付与する後退時回避処理と、
のうちの少なくとも2つの処理を含む請求項3記載の運転支援装置。
【請求項5】
複数の前記状況支援処理は、第1状況支援処理と、第2状況支援処理とを含み、
前記複数種類の前記機能単位支援処理は、所定の機能単位支援処理を含み、
前記第1状況支援処理は、前記所定の機能単位支援処理を含み、
前記第2状況支援処理は、前記所定の機能単位支援処理を含まず、
前記実行装置は、前記有効設定処理によって前記第1状況支援処理と、前記第2状況支援処理とが有効とされる場合、前記所定の機能単位処理を有効とする請求項3または4記載の運転支援装置。
【請求項6】
複数の前記状況支援処理は、第1状況支援処理と、第2状況支援処理とを含み、
前記複数種類の前記機能単位支援処理は、所定の警報を発する処理である警報支援処理を含み、
前記第1状況支援処理および前記第2状況支援処理は、前記警報支援処理を含み、
前記第1状況支援処理は、前記第2状況支援処理と比較して、前記警報支援処理による前記所定の警報を発するタイミングが早い設定となっており、
前記実行装置は、前記有効設定処理によって前記第1状況支援処理と、前記第2状況支援処理とが有効とされる場合、前記警報支援処理による前記所定の警報を発するタイミングとして前記第1状況支援処理の設定に関するタイミングを採用する請求項3または4記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記状況支援処理は、前記車両が自動車専用道路を走行している状況を前記特定の走行状況とする処理と、前記車両が走行する路面の摩擦係数が所定以下である状況を前記特定の走行状況とする処理と、前記車両が駐車場に位置する状況を前記特定の走行状況とする処理と、の3つの処理のうちの少なくとも1つの処理を含む請求項3~6のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記状況支援処理は、特定の走行状況のための支援処理に加えて、前記車両の挙動が不安定である場合に、該不安定な運転状況に対処するための運転支援処理である不安定状況支援処理を含み、
前記不安定状況支援処理は、前記複数の機能単位支援処理のうちの既定の1または複数の処理からなり、
前記実行装置は、
前記車両の挙動を検知する挙動検知処理(S22)と、
前記車両の挙動が不安定である場合、前記不安定状況支援処理を有効とすることを前記運転者に通知する通知処理(S24)と、を実行し、
前記実行装置は、前記通知処理に対して前記運転者が有効とすることを拒否する場合には前記既定の1または複数の処理の状態について現在の状態を維持する一方、前記運転者が有効とすることを禁止しない場合、前記不安定状況支援処理を有効とする(S28)請求項3~7のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記状況支援処理は、特定の走行状況のための支援処理に加えて、前記運転者の注意力が低下している場合に、該注意力が低下している運転状況に対処するための運転支援処理である低下状況支援処理を含み、
前記低下状況支援処理は、前記複数の機能単位支援処理のうちの既定の1または複数の処理からなり、
前記実行装置は、
撮像装置(60)が出力する前記運転者の画像データに基づき、前記運転者の注意力が所定以下であるか否かを判定する判定処理(S32)と、
前記所定以下であると判定する場合、前記低下状況支援処理を有効とすることを前記運転者に通知する通知処理(S34)と、を実行し、
前記実行装置は、前記通知処理に対して前記運転者が有効とすることを禁止する場合には前記既定の1または複数の処理について現在の状態を維持する一方、前記運転者が有効とすることを禁止しない場合、前記低下状況支援処理を有効とする(S38)請求項3~7のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記運転者による前記運転支援処理を有効および無効のいずれかに設定するための入力を受け付ける受付処理(S16)と、
前記受付処理によって受け付けた設定を記憶装置に記憶させる記憶処理(S18)と、
トリップの開始時、前回のトリップ終了時に有効であった前記状況支援処理によって示される複数の前記機能単位支援処理の状態と、前記記憶装置に記憶された設定とに不整合がある場合であっても、前記記憶装置に記憶されている設定に従って前記機能単位支援処理のそれぞれを有効または無効に設定する初期化処理(S14)と、を実行する請求項3~9のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の運転支援装置における前記各処理を実行するステップを有する運転支援方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載の運転支援装置における前記各処理をコンピュータに実行させる支援推奨プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、運転支援方法、および支援推奨プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、運転者の覚醒度が低下した場合に自動運転に切り替える装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-315800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記装置は、運転者の異常に対処すべく安全機能を自動でオンとするものである。ところで、車両の運転を支援する複数の安全機能が実用化されている。そしてそれらの中には、運転者が手動で有効状態に切り替えることによって実行されるものも存在する。しかし、複数の運転支援処理のうち現在の状況にとって適切な処理を運転者が都度選択することは煩雑である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段およびその作用効果について記載する。
1.車両の運転を支援する運転支援装置(40)において、対応付けデータ(Dmx)が記憶されている記憶装置(46)と、実行装置(42,44)と、を備え、前記対応付けデータは、複数の走行状況のそれぞれと、複数の状況支援処理とを対応付けるデータであり、前記状況支援処理は、特定の走行状況のための運転支援処理であり、前記実行装置は、車両の走行状況を示す変数である走行状況変数の値を取得する取得処理(S44;S64;S84)と、前記走行状況変数の値に基づき、前記対応付けデータに従って、複数の前記状況支援処理のうちの1つまたは複数の前記状況支援処理を有効とすることを前記車両の運転者に提案すべく、ヒューマンインターフェース(72)を操作する提案処理(S46;S66;S86)と、前記提案処理に応じて前記運転者が提案を承認したことを前記ヒューマンインターフェースを介して検知する場合、承認された前記状況支援処理の設定を有効とする有効設定処理(S50;S70;S90)と、を実行する運転支援装置である。
【0006】
上記構成では、複数の走行状況のそれぞれと、複数の状況支援処理とを対応付けるデータが予め記憶されており、走行状況に応じて対応付けられた状況支援処理を有効とする提案をする。これにより、運転者が複数の運転支援処理のそれぞれを有効とするか否かを選択する代わりに、状況に応じて有効とする提案がなされたときに有効とするか否かを判断することが可能となる。そのため、運転者が運転支援処理を有効とするか無効とするかの選択が煩雑なものとなることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態にかかる運転支援装置を搭載した車両の構成を示すブロック図。
図2】同実施形態にかかるマトリックスデータを例示する図。
図3】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図4】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図5】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図6】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図7】同実施形態にかかるADASECUが実行する処理の手順を示す流れ図。
図8】(a)および(b)は、同実施形態にかかる運転支援設定の切り替え例を示す図。
図9】(a)および(b)は、同実施形態にかかる運転支援設定の切り替え例を示す図。
図10】(a)および(b)は、同実施形態にかかる運転支援設定の切り替え例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる車両VCの構成の一部を示す。
【0009】
図1に示すように、レーダ装置12は、車両VCの周囲にミリ波レーダを送信し、車両VCの周囲の物体から反射されたミリ波レーダを受信することによって、ミリ波レーダを反射した物体との距離に関する信号を、ミリ波データDmwとして出力する。ミリ波データDmwは、ミリ波ECU10に取り込まれる。ミリ波ECU10は、ミリ波データDmwに基づき、車両VCの周囲の物体の認識処理を実行する。
【0010】
車外カメラ22によって撮像された画像に関するデータである車外画像データDpoは、画像ECU20に入力される。画像ECU20は、車外画像データDpoに基づき、車両VCの周囲の物体の認識処理を実行する。
【0011】
ソナー32は、車両VCの周囲に音波信号を出力し、車両VCの周囲の物体から反射された音波信号を受信することによって、音波信号を反射した物体との距離に関する信号を、反射音波データDsとして出力する。ソナーECU30は、反射音波データDsに基づき、車両VCの周囲の物体の認識処理を実行する。
【0012】
ADASECU40は、運転者による車両VCの運転を支援する電子制御装置である。ADASECU40は、CPU42、ROM44、RAM45、記憶装置46および周辺回路48を備えており、それらが通信線49を介して接続されている。
【0013】
ROM44には、機能単位プログラムPRfと、支援推奨プログラムPRrとが記憶されている。機能単位プログラムPRfは、複数の機能単位の運転支援処理のそれぞれを実行するためのCPU42に対する指令を規定するプログラムである。機能単位の運転支援処理(以下、機能単位支援処理という)とは、衝突回避やクルーズ制御等、状況、目的に応じた一つの機能を有した運転支援処理である。本実施形態にかかる車両は、機能単位プログラムPRfによって、複数の機能単位の運転支援処理が規定されていることから、複数の運転支援処理を実行可能となっている。支援推奨プログラムPRrは、複数の機能単位支援処理のうちのいくつかを有効とすることを運転者に提案する処理をCPU42が実行する指令を規定したプログラムである。
【0014】
ADASECU40は、運転支援をする際、車内ネットワーク50を介して、ミリ波ECU10による物体の認識結果と、画像ECU20による物体の認識結果と、ソナーECU30による物体の認識結果と、を参照する。また、ADASECU40は、運転者の画像を撮影する車内カメラ60による車内画像データDpiを参照する。また、ADASECU40は、舵角センサ62によって検出される転舵輪の転舵角θsと、トルクセンサ64によって検出される操舵トルクTrqsとを参照する。操舵トルクTrqsは、ステアリングホイールに入力されるトルクである。また、ADASECU40は、加速度センサ66によって検出される、車両VCの前後加速度Gxと横加速度Gyとを参照する。また、ADASECU40は、全地球測位システム(GPS68)が出力する位置データDgpsと、地図データ70と、を参照する。そして、ADASECU40は、運転支援のための各種指令を、ブレーキECU80、転舵ECU90、駆動ECU100、およびヘッドライト110に出力する。
【0015】
ブレーキECU80は、ブレーキアクチュエータ82を操作することによって、車両VCに付与される制動力を制御する電子制御装置である。転舵ECU90は、転舵アクチュエータ92を操作することによって、転舵角θsを制御するアクチュエータである。駆動ECU100は、車両VCの推力を生成する原動機102を操作することによって、車両VCの駆動力を制御する電子制御装置である。
【0016】
ADASECU40の記憶装置46は、電気的に書き換え可能なメモリである。記憶装置46には、設定情報データDisと、マトリックスデータDmxとが記憶されている。
図2に、マトリックスデータDmxを示す。
【0017】
マトリックスデータDmxは、支援推奨プログラムPRrに規定された指令をCPU42が実行するときに利用されるデータである。マトリックスデータDmxは、機能単位プログラムPRfによって規定されている機能単位支援処理と、いくつかの状況との関係を規定する。
【0018】
図2に示すように、機能単位支援処理には、前方接近警報処理が含まれる。前方接近警報処理は、車両VCの前方に車両VCに接触する可能性のある障害物が存在すると判定される場合に、ヒューマンインターフェース72を操作して警報を発する処理である。前方接近警報処理は、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力を入力とする。また、機能単位支援処理には、緊急ブレーキ処理が含まれる。緊急ブレーキ処理は、車両VCの前方に車両VCに接触する可能性のある障害物が存在する場合に、運転者によるブレーキ操作とは独立に自動でブレーキを操作する処理である。詳しくは、ブレーキECU80がブレーキアクチュエータ82を操作することによって制動力を付与するための指令をブレーキECU80に出力する処理である。緊急ブレーキ処理は、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力を入力とする。
【0019】
センタートレース処理は、車両VCが車線の中央付近を走行するように、運転者のステアリングホイールの操作とは独立に、転舵角θsを微小に制御する処理である。詳しくは、運転者によるステアリングホイールの操作を尊重しつつも、車両VCが車線の中央に位置するようにわずかに転舵角θsを補正する処理である。具体的には、転舵角θsの補正量を転舵ECU90に出力する処理である。センタートレース処理は、画像ECU20の出力を入力とする。
【0020】
また、機能単位支援処理には、逸脱警報処理が含まれる。逸脱警報処理は、車両VCが車線を大きく逸脱しないように、ヒューマンインターフェース72を操作して警報を発する処理である。逸脱警報処理は、画像ECU20の出力を入力とする。レーン逸脱防止支援処理は、車両VCが車線を大きく逸脱しないように、運転者によるステアリングホイールの操作とは独立に、転舵角θsを微小に制御する処理である。詳しくは、運転者によるステアリングホイールの操作を尊重しつつも、車両VCが車線を大きく逸脱しないようにわずかに転舵角θsを補正する処理である。具体的には、転舵角θsの補正量を転舵ECU90に出力する処理である。レーン逸脱防止支援処理は、画像ECU20の出力を入力とする。また、機能単位支援処理には、ふらつき警報処理が含まれる。ふらつき警報処理は、車両VCが車線に沿って真っすぐ走行せずに左右に揺れている場合に、ヒューマンインターフェース72を操作して警報を発する処理である。ふらつき警報処理は、画像ECU20の出力と横加速度Gyとを入力とする。
【0021】
後方車両警報処理は、車両VCの車線変更等によって後方を走行する車両と接触するおそれがある場合に、ヒューマンインターフェース72を操作して警報を発する処理である。後方車両警報処理は、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力を入力とする。また、機能単位支援処理には、後方車両支援処理が含まれる。後方車両支援処理は、車両VCの車線変更等によって後方を走行する車両と接触するおそれがある場合に、運転者によるステアリングホイールの操作とは独立に、車両VCが後方車両と接触しないように自動で転舵角θsを制御する処理である。具体的には、転舵角θsの指令値を転舵ECU90に出力する処理である。なお、この際、ブレーキECU80および駆動ECU100の少なくとも1つに指令を出力する処理を加えてもよい。後方車両支援処理は、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力を入力とする。
【0022】
また、機能単位支援処理には、オートハイロービーム処理が含まれる。オートハイロービーム処理は、車両VCの周囲の状況に応じてヘッドライト110をハイビームとする状態とロービームとする状態とを自動で切り替える処理である。オートハイロービーム処理は、画像ECU20の出力と位置データDgpsと地図データ70とを入力とする。また、機能単位支援処理には、クルーズコントロール処理が含まれる。クルーズコントロール処理は、自動車専用道路等において、運転者による運転操作がない状態で、車両VCを車線に沿って自動で走行させる処理である。クルーズコントロール処理は、ミリ波ECU10の出力および画像ECU20の出力と、位置データDgpsと地図データ70とを入力とする。なお、クルーズコントロール処理には、ミニマルリスクマニューバ処理(MRM)が含まれる。MRMは、車内画像データDpiに基づき運転者が意識を失っているなど、運転をすることに支障がある場合、自動で車両VCを安全な領域まで運転して停止させる処理である。
【0023】
また、機能単位支援処理には、後退時警報処理が含まれる。後退時警報処理は、ソナーECU30の出力に基づき駐車場等で車両VCが後退する際に物体と接触するおそれがあると判定される場合に、ヒューマンインターフェース72を操作して警報を発する処理である。また、機能単位支援処理には、後退時回避処理が含まれる。後退時回避処理は、ソナーECU30の出力に基づき駐車場等で車両VCが後退する際に物体と接触するおそれがあると判定される場合に、運転者による運転操作とは独立に、車両VCに制動力を付与する処理である。詳しくは、ブレーキECU80に指令を出力する処理である。
【0024】
マトリックスデータDmxは、上記12個の機能単位支援処理のうち、状況に応じて有効とすることを推奨する処理を規定するデータである。ここで、状況としては、5個の状況が例示されている。すなわち、運転者の運転状況として、運転者の運転能力が低下した状況と、注意力が低下した状況とが例示されている。また、車両VCの走行状況として、高速道路を走行している状況と、雪道を走行している状況と、駐車をする状況とが例示されている。
【0025】
機能単位支援処理を有効とすることは、機能単位支援処理をスタンバイ状態とすることを意味する。すなわち、たとえばクルーズコントロール処理が有効である場合、所定の条件が満たされる場合にクルーズコントロール処理が開始されることを意味する。この場合の所定の条件としては、たとえば、車両VCが自動車専用道路を走行している旨の条件、運転者がステアリングホイールを操作していない旨の条件、運転者がブレーキペダルを踏んでいない旨の条件、運転者がアクセルペダルを操作していない旨の条件がある。したがって、クルーズコントロール処理が有効であったとしても、車両VCが一般道を走行している場合には、条件が満たされないため、クルーズコントロール処理は実行されない。クルーズコントロール処理が有効である場合、車両VCが高速道路に入り、運転者がステアリングホイール、ブレーキペダル、およびアクセルペダルの3つの操作をやめることで、クルーズコントロール処理が開始される。
【0026】
図2においては、有効を、「ON」と記載している。また、ハイフンは、運転者による後述の処理等によって設定された状態を引き継ぐことを示す。
図2に示すように、運転能力が低下している状況には、12個の機能単位支援処理の全ての有効状態が紐づけられている。しかも、運転能力が低下している状況には、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理については、警報を発するタイミングを早める設定と紐づけられている。また、高速道路を走行している状況には、12個の機能単位支援処理のうちの後退時警報処理と後退時回避処理との2つの処理を除いた10個の処理が紐づけられている。図2には、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理について、「ON」との記載の後に「(-)」と記載されている。これは、警報を発するタイミングについては、運転者による後述の処理等によって設定された値を採用することを意味する。
【0027】
ADASECU40は、機能単位支援処理のそれぞれについて、有効状態とするか、無効状態とするかを、運転者による設定によって変更する処理を実行する。
図3に、ADASECU40が実行する処理のうち、特に上記変更する処理の手順を示す。図3に示す処理は、ROM44に記憶されたプログラムをCPU42がたとえば所定周期で繰り返し実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」が付与された数字によって各処理のステップ番号を表現する。
【0028】
図3に示す一連の処理において、CPU42は、まず、車両VCの走行許可スイッチがオフ状態からオン状態に切り替わったときであるか否かを判定する(S10)。ここで、走行許可スイッチとは、運転者による操作によって車両VCを走行させることができない状態からできる状態に切り替えるためのスイッチである。たとえば、原動機102がエンジンのみの場合、走行許可スイッチを、イグニッションスイッチとすればよい。またたとえば、原動機102が電動機を含む場合、走行許可スイッチを、電動機に接続された駆動回路とバッテリとの間の開閉器を閉状態に切り替えるスイッチとすればよい。S10の処理は、走行許可スイッチがオン状態である1つの期間であるトリップの開始時であるか否かを判定する処理である。
【0029】
CPU42は、OFFからONに切り替わったときであると判定する場合(S10:YES)、上記設定情報データDisによって示される、12個の機能単位支援処理のそれぞれについての運転者による有効であるか無効であるかの設定情報を読み込む(S12)。次にCPU42は、S12の処理によって読み込んだ各状態を、トリップ開始時における機能単位支援処理の状態に設定する(S14)。この処理は、CPU42が、12個の機能単位支援処理のそれぞれについて、有効であるか無効であるかの状態を、RAM45に書き込むことによって実現される。すなわち、本実施形態では、RAM45に記憶された状態が有効であるか無効であるかに応じて、機能単位支援処理が有効であるか、無効であるかが定まる。なお、設定情報データDisには、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理について、警報を発するタイミングが遅めであるのか、普通であるのか、早めであるのかを定める情報も含まれている。そしてS14の処理において、CPU42は、設定情報データDisが示す上記3つの処理のうち有効状態である処理については、警報を発するタイミングをRAM45に書き込む。
【0030】
CPU42は、S14の処理を完了する場合や、S10の処理において否定判定する場合には、運転者がヒューマンインターフェース72を操作して、いくつかの機能単位支援処理の状態を手動で設定するか否かを判定する(S16)。この処理は、たとえばヒューマンインターフェース72をディスプレイと、ディスプレイに重ねて配置されるタッチパネルとを備えて構成することで実現してもよい。その場合、ディスプレイに12個の機能単位支援処理を表示し、運転者がタッチパネルを介して指示した機能単位支援処理について状態を切り替え可能となる。CPU42は、手動での設定がなされると判定する場合(S16:YES)、記憶装置46に記憶されている上記設定情報データDisを更新する(S18)。
【0031】
なお、CPU42は、S18の処理を完了する場合や、S16の処理において否定判定する場合には、図3に示した一連の処理を一旦終了する。
図4に、運転状況に応じて機能単位支援処理のいくつかを有効とする処理の手順を示す。図4に示す処理は、ROM44に記憶された支援推奨プログラムPRrをCPU42が実行することによって実現される。
【0032】
図4に示す一連の処理において、CPU42は、まず車外画像データDpoを取得する(S20)。そしてCPU42は、車外画像データDpoの時系列データに基づき、車両VCの運転者の運転能力が低下しているか否かを判定する(S22)。ここで、CPU42は、車外画像データDpoの時系列データから、車両VCが車線に沿って直進走行せず、左右に揺れながら走行している場合に、運転能力が低下していると判定する。換言すれば、CPU42は、車両VCが蛇行運転されている場合に、運転能力が低下していると判定する。CPU42は、運転能力が低下していると判定する場合(S22:YES)、図2に示したマトリックスデータDmxの第1列目の状態と紐づけられている運転支援処理である、能力低下時推奨支援をONとする通知をする(S24)。ここでは、たとえばヒューマンインターフェース72にスピーカを備え、「安全運転をするうえで不安があるようですので、各種運転支援機能をスタンバイ状態にします、拒否する場合には、…の操作をしてください」との音声案内をすればよい。
【0033】
そしてCPU42は、S24の通知処理に対して、拒否するための入力操作があるか否かを判定する(S26)。この処理は、たとえばヒューマンインターフェース72にマイクを備え、所定期間以内に「NO」等の否定する音声入力操作がなされる場合に拒否するための入力操作がなされたとする処理であってよい。そして、CPU42は、拒否するための入力操作がないと判定する場合(S26:NO)、能力低下時推奨支援をONとする(S28)。すなわち、CPU42は、RAM45に記憶されている、12個の機能単位支援処理の状態を、全て有効状態とする。なお、この際、CPU42は、RAM45に記憶される、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理の3つの処理のそれぞれにおける警報を発するタイミングを示す変数の値を、早めである旨を示す値とする。
【0034】
一方、CPU42は、運転能力が低下していないと判定する場合(S22:NO)、車内画像データDpiを取得する(S30)。そして、CPU42は、車内画像データDpiを監視することにより、運転者の注意力が所定以下であるか否かを判定する(S32)。ここでは、CPU42は、車内画像データDpiから運転者の視線方向を特定し、視線方向が車両VCの走行方向前方からそれている時間の割合が所定割合以上となる場合に、注意力が所定以下であると判定する(S32)。CPU42は、注意力が低下していると判定する場合(S32:YES)、図2に示したマトリックスデータDmxの第2列目の状態と紐づけられている運転支援処理である、注意力低下時推奨支援をONとする通知をする(S34)。ここでは、たとえばヒューマンインターフェース72にスピーカを備え、「運転に集中することが困難なようですので、運転を支援するいくつかの機能をスタンバイ状態にします、拒否する場合には、…の操作をしてください」との音声案内をすればよい。
【0035】
そしてCPU42は、S34の通知処理に対して、S26の処理の要領で、拒否するための入力操作があるか否かを判定する(S36)。そして、CPU42は、拒否するための入力操作がないと判定する場合(S36:NO)、注意力低下時推奨支援をONとする(S38)。すなわち、CPU42は、RAM45に記憶されている、12個の機能単位支援処理の状態を、マトリックスデータDmxの2列目の状態に応じて更新する。詳しくは、図2に示したマトリックスデータDmxの2列目には、6個の機能単位支援処理がONとされていることから、それらのうち、RAM45に記憶された状態がOFFのものについてはONに書き換える。これに対し、残りの6個の機能単位支援処理については、ハイフンとなっていることから、RAM45に記憶されている状態が保持される。なお、この際、CPU42は、RAM45に記憶される、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理の3つの処理のそれぞれにおける警報を発するタイミングを示す変数の値を、早めである旨を示す値とする。
【0036】
なお、CPU42は、S28,S38の処理を完了する場合や、S26,S32,S36の処理において否定判定する場合には、図4に示した一連の処理を一旦終了する。
図5に、マトリックスデータDmxの3列目に紐づけられている運転支援処理である、高速道路用推奨支援の状態を切り替える処理の手順を示す。図5に示す処理は、ROM44に記憶された支援推奨プログラムPRrをCPU42が実行することによって実現される。
【0037】
図5に示す一連の処理において、CPU42は、まず、地図データ70のうち、位置データDgpsが示す、車両VCの位置付近のデータを取得する(S40)。この処理は、地図データによって特定される車両VCの走行状況を示す変数である走行状況変数の値を取得する処理となる。そして、CPU42は、高速道路用推奨支援が後述するS50の処理によってONとされているか否かを判定する(S42)。CPU42は、高速道路用推奨支援がOFFであると判定する場合(S42:NO)、次の2つの条件の論理積が真であるか否かを判定する(S44)。
【0038】
・地図データに基づき高速道路の入り口であると判定される旨の条件である。すなわち、地図データによって特定される車両VCの走行状況を示す変数である走行状況変数の値が、高速道路の入り口を示す変数の値となっている旨の条件である。
【0039】
・高速道路用推奨支援によって有効とされる機能単位支援処理に無効となっているものがある旨の条件である。
CPU42は、論理積が真であると判定する場合(S44:YES)、高速道路用推奨支援をONとする提案をする(S46)。ここでは、たとえばヒューマンインターフェース72にスピーカを備え、「高速道路に適した運転支援処理をスタンバイ状態といたしましょうか?」との音声案内をすればよい。
【0040】
そしてCPU42は、運転者が提案に同意するか否かを判定する(S48)。これは、たとえばヒューマンインターフェース72にマイクを備え、提案後の所定時間内に運転者が「O.K.」等の音声入力をするか否かを判定する処理とすればよい。そしてCPU42は、同意したと判定する場合(S48:YES)、高速道路用推奨支援を有効とする(S50)。すなわち、CPU42は、図2に示した12個の機能単位支援処理のうちの後退時警報処理および後退時回避処理以外についての、RAM45に記憶された状態のなかで、無効となっているものがある場合、有効に書き換える。この際、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理の3つの処理については、無効状態を有効状態に書き換える場合、タイミングについては、設定情報データDisに規定されているタイミングに設定する。なお、設定情報データDisにタイミングの設定がない場合、デフォルトで「普通」に設定する。
【0041】
一方、CPU42は、高速道路用推奨支援がONであると判定する場合(S42:YES)、高速道路が終了して且つ高速道路用推奨支援をOFFとする問い合わせをした履歴がないか否かを判定する(S52)。CPU42は、高速道路が終了してから未だ上記問い合わせの履歴がない場合(S52:YES)、高速道路用推奨支援をOFFとしてよいかを問い合わせる(S54)。ここでは、たとえばヒューマンインターフェース72にスピーカを備え、「高速道路に適した運転支援処理を無効に戻してよいですか?」との音声案内をすればよい。
【0042】
そしてCPU42は、運転者が無効に戻すことに同意するか否かを判定する(S56)。これは、たとえばヒューマンインターフェース72にマイクを備え、問い合わせ後の所定時間内に運転者が「O.K.」等の音声入力をするか否かを判定する処理とすればよい。そしてCPU42は、同意したと判定する場合(S56:YES)、高速道路用推奨支援を無効とする(S58)。なお、この際、高速道路用推奨支援を有効に切り替える以前から有効状態となっていた機能単位支援処理については有効状態を維持する。また、高速道路用推奨支援が有効状態とされた後に、所定の機能単位支援処理を有効とする別の処理が入っていた場合、その機能単位支援処理についても有効状態を維持する。
【0043】
なお、CPU42は、S50,S58の処理が完了する場合や、S44,S48,S52,S56の処理において否定判定する場合には、図5に示す一連の処理を一旦終了する。
【0044】
図6に、マトリックスデータDmxの4列目に紐づけられている運転支援処理である、雪道用推奨支援の状態を切り替える処理の手順を示す。図6に示す処理は、ROM44に記憶された支援推奨プログラムPRrをCPU42が実行することによって実現される。
【0045】
図6に示す一連の処理において、CPU42は、まず、画像ECU20の出力を取得する(S60)。この処理は、画像ECU20の出力に基づき特定される走行状況変数の値を取得する処理となる。次に、CPU42は、雪道用推奨支援がON状態であるか否かを判定する(S62)。CPU42は、雪道用推奨支援がOFF状態であると判定する場合(S62:NO)、下記の2つの条件の論理積が真であるか否かを判定する(S64)。
【0046】
・画像ECU20の出力に基づき、車両VCが走行している路面が雪で覆われていない状態から雪に覆われている状態に移行したと判定される旨の条件である。換言すれば、車両VCが雪道を走行する状態に移行したと判定される旨の条件である。すなわち、画像ECU20の出力に基づき特定される走行状況変数の値が、雪道を示さない値から雪道を示す値に変化した旨の条件である。
【0047】
・雪道用推奨支援が指定する機能単位支援処理の状態と現在の状態との少なくとも一部が異なる旨の条件である。
CPU42は、論理積が真と判定する場合(S64:YES)、雪道用推奨支援をONとすることを提案する(S66)。ここでは、たとえばヒューマンインターフェース72にスピーカを備え、「雪道に適した運転支援処理をスタンバイ状態にいたしましょうか?」との音声信号を出力すればよい。
【0048】
そしてCPU42は、S48の処理の要領で、運転者が提案に同意するか否かを判定する(S68)。そしてCPU42は、同意したと判定する場合(S68:YES)、雪道用推奨支援を有効とする(S70)。すなわち、CPU42は、前方接近警報処理、緊急ブレーキ処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理についての、RAM45に記憶された状態のなかで、無効となっているものがある場合、有効に書き換える。この際、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理の3つの処理のそれぞれにおける警報を発するタイミングについては、早めに設定する。
【0049】
一方、CPU42は、雪道用推奨支援がONであると判定する場合(S62:YES)、雪道が終了してから雪道用推奨支援をOFFとする問い合わせをした履歴がないか否かを判定する(S72)。CPU42は、雪道が終了して且つ未だ問い合わせをした履歴がないと判定する場合(S72:YES)、S54の処理の要領で、雪道用推奨支援をOFFとしてよいかを問い合わせる(S74)。
【0050】
そしてCPU42は、S56の処理の要領で、運転者が無効に戻すことに同意するか否かを判定する(S76)。そしてCPU42は、同意したと判定する場合(S76:YES)、雪道用推奨支援を無効とする(S78)。なお、この際、雪道用推奨支援を有効とする以前から有効状態となっていた機能単位支援処理については有効状態を維持する。また、雪道用推奨支援が有効状態とされた後に、所定の機能単位支援処理を有効とする別の処理が入った場合、その機能単位支援処理についても有効状態を維持する。
【0051】
なお、CPU42は、S70,S78の処理を完了する場合や、S64,S68,S72,S76の処理において否定判定する場合には、図6に示す一連の処理を一旦終了する。
【0052】
図7に、マトリックスデータDmxの5列目に紐づけられている運転支援処理である、駐車用推奨支援の状態を切り替える処理の手順を示す。図7に示す処理は、ROM44に記憶された支援推奨プログラムPRrをCPU42が実行することによって実現される。
【0053】
図7に示す一連の処理において、CPU42は、まず、地図データ70のうちの位置データDgpsが示す箇所のデータと、画像ECU20の出力と、を取得する(S80)。この処理は、上記データと画像ECU20の出力とに基づき特定される走行状況変数の値を取得する処理となる。次に、CPU42は、駐車用推奨支援がON状態であるか否かを判定する(S82)。CPU42は、駐車用推奨支援がOFF状態であると判定する場合(S82:NO)、下記の2つの条件の論理積が真であるか否かを判定する(S84)。
【0054】
・上記データと画像ECU20の出力とに基づき車両VCが駐車場に入ったと判定される旨の条件である。すなわち、上記データと画像ECU20の出力とに基づき特定される走行状況変数の値が、駐車場を示す値である旨の条件である。
【0055】
・駐車用推奨支援によって有効とされる機能単位支援処理の中に、無効状態となっている処理がある旨の条件である。
CPU42は、論理積が真であると判定する場合(S84:YES)、駐車用推奨支援をオン状態に切り替えることを提案する(S86)。ここでは、たとえばヒューマンインターフェース72にスピーカを備え、「駐車に適した運転支援処理をスタンバイ状態にいたしましょうか?」との音声信号を出力すればよい。
【0056】
そしてCPU42は、S48の処理の要領で、運転者が提案に同意するか否かを判定する(S88)。そしてCPU42は、同意したと判定する場合(S88:YES)、駐車用推奨支援を有効とする(S90)。すなわち、CPU42は、後退時警報処理および後退時回避処理についての、RAM45に記憶された状態のうち、無効となっているものを有効に書き換える。
【0057】
一方、CPU42は、駐車用推奨支援がONであると判定する場合(S82:YES)、駐車が完了したか否かを判定する(S92)。CPU42は、駐車が完了したと判定する場合(S92:YES)、S54の処理の要領で、駐車用推奨支援をOFFとしてよいかを問い合わせる(S94)。
【0058】
そしてCPU42は、S56の処理の要領で、運転者が無効に戻すことに同意するか否かを判定する(S96)。そしてCPU42は、同意したと判定する場合(S96:YES)、駐車用推奨支援を無効とする(S98)。なお、この際、駐車用推奨支援をONする以前から有効状態となっていた機能単位支援処理については有効状態を維持する。すなわち、たとえばS14の処理によって後退時警報処理を有効状態に設定し、駐車用推奨支援をONする直前にも有効状態であった場合には、有効状態を維持する。
【0059】
なお、CPU42は、S90,S98の処理が完了する場合や、S84,S88,S92,S96の処理において否定判定する場合には、図7に示す一連の処理を一旦終了する。
【0060】
ここで、本実施形態の作用および効果について説明する。
CPU42は、トリップの開始に伴って、RAM45に、12個の機能単位支援処理のそれぞれについて、有効であるか無効であるかを、設定情報データDisに基づき書き込む。図8(a)に、こうして設定された状態を例示する。この例では、設定情報データDisによって、緊急ブレーキ処理と、後方車両警報処理との2つの処理が有効とされる例である。特に、この例では、後方車両警報処理における警報を発するタイミングを遅めとする設定となっている。
【0061】
CPU42は、車両VCの走行によって、車両VCが高速道路の入り口に到達すると、運転者に高速用推奨支援をONとする提案をする。そして、運転者が提案に同意する場合、CPU42は、RAM45に記憶されている、12個の機能単位支援処理のうち、高速用推奨支援によって有効とすべき処理の状態を全て有効状態に切り替える。
【0062】
図8(b)に、高速用推奨支援をONとしたときのRAM45に記憶された状態を示す。図8(b)に示すように、後退時警報処理および後退時回避処理の2つの処理を除いた10個の機能単位支援処理が有効となっている。ここで、前方接近警報処理および逸脱警報処理の2つの処理における警報を発するタイミングは、「普通」となっている。これは、設定情報データDisに、タイミングの設定情報がないことから、デフォルトで標準のタイミングが設定されたためである。
【0063】
その後、車両VCが雪道に移行する場合、CPU42は、雪道用推奨支援をONとする提案をする。そして、運転者が提案に同意する場合、CPU42は、RAM45に記憶されている、12個の機能単位支援処理の状態を、雪道用運転支援にしたがって更新する。
【0064】
図9(a)に、雪道用推奨支援をONする前の状態を示し、図9(b)に雪道用推奨支援をONした状態を示す。この例では、雪道用推奨支援によって有効とすべき機能単位支援処理は更新前から全て有効となっていた。ただし、前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理の3つの処理における警報を発するタイミングが、雪道用推奨支援による設定とは異なっている。その場合、CPU42は、タイミングについてはより早い方を優先することとし、雪道用推奨支援によるタイミングに切り替える。
【0065】
その後、車両VCが雪道から抜けると、CPU42は、雪道用推奨支援をOFFとしてよいかを運転者に問い合わせる。そして運転者がOFFとすることに同意する場合、CPU42は、RAM45に記憶されている、12個の機能単位支援処理の状態を、雪道用運転支援に応じて更新する。ここで、CPU42は、雪道用推奨支援によって有効とすることが指定されている機能単位支援処理を無効に切り替える。ただし、雪道用推奨支援によって有効とすることが指定されている機能単位支援処理であっても、雪道用推奨支援以外の処理等によって有効とされているものについては、有効状態を維持する。
【0066】
図10(a)に雪道用推奨支援をOFFする前の状態を示し、図10(b)に雪道用推奨支援をOFFした状態を示す。この場合、雪道用推奨支援をOFFとする前において有効とされていた10個の機能単位支援処理の全てが有効状態に維持される。これは、第1に、それら10個の機能単位推奨支援については、高速用推奨支援によって有効とすることが指定されているためである。第2に、緊急ブレーキ処理および後方車両警報処理については、設定情報データDisに従ってトリップの開始時に有効とされていたからである。ただし、前方接近警報処理および逸脱警報処理の2つの処理については、警報を発するタイミングが普通に戻されている。また、後方車両警報処理については「遅め」に戻されている。
【0067】
以上説明した本実施形態によれば、さらに以下に記載する作用および効果が得られる。
(1)CPU42は、高速用推奨支援、雪道用推奨支援、および駐車用推奨支援をONした後、それらを提案する状況が解消すると、それらをOFFに戻すことを提案し、同意が得られない場合には、ON状態を維持した。これにより、再度、同様の走行状況となった際に、再度の提案をすることなく、支援処理を実行できる。
【0068】
(2)CPU42は、運転者の運転能力が低下していると判定する場合、能力低下用推奨支援をONとする通知をし、拒否されない限り、能力低下用推奨支援をON状態とした。これにより、車両VCを極力安全な状態に維持することができる。
【0069】
(3)能力低下用推奨支援によって、全ての機能単位支援処理をON状態とした。これにより、車両VCを極力安全な状態に維持することができる。特に、本実施形態の場合、クルーズコントロール処理がON状態である場合に、MRMがON状態となることから、運転者の運転能力の低下がさらに進む場合に、MRMを起動することも可能となる。
【0070】
(4)CPU42は、運転者の注意力が低下していると判定する場合、注意力低下用推奨支援をONとする通知をし、拒否されない限り、注意力低下用推奨支援をON状態とした。これにより、車両VCを極力安全な状態に維持することができる。
【0071】
(5)CPU42は、RAM45に記憶される、機能単位支援処理の状態を、トリップの開始に伴って設定情報データDisが示すものに更新した。これにより、図3~7の処理によって自動で有効状態に切り替えた処理についても、トリップの開始時に運転者によって設定された状態に戻すことができる。
【0072】
<その他の実施形態>
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0073】
「状況支援処理について」
(a)特定の走行状況のための支援処理について
・車両が走行する路面の摩擦係数が所定以下であるときに推奨される支援処理としての低μ路用推奨支援としては、雪道用推奨支援に限らない。たとえば、雨天時、凍結路等のいずれかが検知される場合に提案される処理であってもよい。なお、低μ路用推奨支援が、走行路面が雪道であることと、雨天時の路面であることと、凍結路であることとのいずれか1つにのみ対応していることは必須ではない。たとえば、雪道と凍結路とにおいて提案される一方、雨天時には提案されない処理であってもよい。また、雪道および凍結路と、雨天時とで、有効とする機能単位支援処理の種類に異なるものを設けてもよい。
【0074】
・自動車専用道路を走行するときに推奨される支援処理としては、高速道路用推奨支援に限らない。
・走行状況のための運転支援処理としては、上記実施形態において例示したものに限らない。たとえば、車両の発進時に駐車場からバックで発進する状況のための状況支援処理を設けてもよい。これは、後退時警報処理および後退時回避処理を含んで構成すればよい。
【0075】
・走行状況と対応付けられた状況支援処理としては、複数の機能単位支援処理の組み合わせに限らない。たとえば、特定の1つの機能単位支援処理であってもよい。
(b)特定の運転状況のための支援処理について
・上記実施形態では、わき見運転が単位時間あたりに所定回数以上なされる場合に、注意力が低下していると判定したが、これに限らない。たとえば、運転者の視野が狭く必要な領域の一部が視野に入っていない状態が所定時間継続する場合に注意力が低下していると判定してもよい。また、わき見運転が単位時間あたりに所定回数以上なされる場合と、上記視野に入っていない状態が所定時間継続する場合との論理和が真である場合に、注意力が低下していると判定してもよい。
【0076】
・上記実施形態では、クルーズコントロール処理が有効である場合にMRMを有効としたが、これに限らない。たとえば、MRMをクルーズコントロール処理とは独立に機能単位支援処理に含めて且つ、運転能力が低下していると判定される場合に有効とされる処理としてもよい。もっとも、MRMを、運転能力が低下していると判定される場合に有効とされることも必須ではなく、デフォルトで常時有効としてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、運転能力が低下していることに対処するための状況支援処理と、注意力が低下していることに対処するための状況支援処理との2つを設けたがこれに限らない。たとえば、それら2つに関しては、そのうちの1つのみを設けてもよい。
【0078】
・運転状況と対応付けられた状況支援処理としては、複数の機能単位支援処理の組み合わせに限らない。たとえば、特定の1つの機能単位支援処理であってもよい。
「物体を検知するセンサについて」
・上記実施形態では、機能単位支援処理に利用される、物体を検知するセンサとして、レーダ装置12、車外カメラ22、およびソナー32を例示したが、これに限らない。たとえば近赤外線等の光の反射波を受信する光センサを用いてもよい。もっとも、光センサ単独で用いることも必須ではない。要は、レーダ装置12、車外カメラ22、ソナー32、および光センサ等の各種センサの1つまたは複数を用いて入力を構成すればよい。この際、各機能単位支援処理の入力として、上記実施形態で例示したものの少なくとも一部については用いないことも可能である。すなわち、たとえば、前方接近警報処理を、レーダ装置12および車外カメラ22を利用する処理に代えて、光センサを利用する処理としたり、光センサおよび車外カメラ22を利用する処理としたりしてもよい。
【0079】
「機能単位支援処理について」
・前方接近警報処理、逸脱警報処理、および後方車両警報処理としては、警報を発するタイミングを運転者の指示に応じて3通りに設定可能なものに限らない。たとえば、2通りに設定可能なものであってもよく、またたとえば、4通り以上に設定可能なものであってもよい。もっとも、タイミングを定める自由度を有しない処理であってもよい。
【0080】
・後退時警報処理としては、車両の後退時に物体と衝突するおそれがある場合に警報を発する処理に限らない。たとえば、物体のうち特に人や車両等の移動物体と衝突するおそれがある場合に警報を発する処理としてもよい。また、たとえば物体のうちの特に壁等の障害物に接触するおそれがある場合に警報を発する処理であってもよい。
【0081】
・後退時警報処理としては、車両の後退時に物体と衝突するおそれがある場合に車両の運転に介入する処理に限らない。たとえば、物体のうち特に人や車両等の移動物体と衝突するおそれがある場合に車両の運転に介入する処理としてもよい。また、たとえば物体のうちの特に壁等の障害物に接触するおそれがある場合に車両の運転に介入する処理であってもよい。
【0082】
・車両が備える機能単位支援処理としては、図2に示した処理に限らない。たとえば図2に示した12個の処理については、そのうちの1つ以上、11個以下の処理のみが備えられていてもよい。ただし、車両が備える機能単位支援処理の数が多いほど、支援推奨プログラムPRrによって規定される指令を実行するメリットが大きくなる。そのため、車両が備える機能単位支援処理の数は、複数であることが望ましい。特に、5個以上であることがより望ましく、10個以上であることがいっそう望ましい。
【0083】
「提案処理について」
・上記実施形態では、特定の状況でなかった状態から特定の状況となる場合には、同一のトリップ内であっても、都度提案をすることとしたが、これに限らない。たとえば、図5のS46の処理に対して同意が得られない場合、そのトリップ内において高速道路を降りたのち、再度高速道路に入るときには、S46の処理を実行しないこととしてもよい。また、トリップ内に限らず、たとえば、高速道路用推奨支援等の特定の状況支援処理を有効とする提案が受け入れられなかった場合、所定の日数にわたって、特定の状況支援処理を有効とする提案をしないこととしてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、ヒューマンインターフェース72がスピーカを備えて、音声信号によって提案をする例を示したが、これに限らない。たとえば、ヒューマンインターフェース72がヘッドアップディスプレイを備えて、視覚情報によって提案をするものであってもよい。なお、視覚情報を表示する手段としては、ヘッドアップディスプレイに限らず、インストルメントパネル内の表示器であってもよい。
【0085】
「問い合わせ処理について」
・上記実施形態では、特定の状況から特定の状況でない状態に移行する場合、同一のトリップ内において既に特定の状況のための状況支援処理を無効とすることについて問い合わせた履歴がない場合に限って、無効とすることについて問い合わせたが、これに限らない。たとえば、図5のS56の処理において否定判定された後、そのトリップ内において再度高速道路に入り、また高速道路から出る場合には、S54の処理を実行してもよい。
【0086】
・駐車用推奨支援がONとされている状態で駐車を完了した場合にS94の処理を実行しなくてもよい。
・上記実施形態では、ヒューマンインターフェース72がスピーカを備えて、音声信号によって問い合わせをする例を示したが、これに限らない。たとえば、ヒューマンインターフェース72がヘッドアップディスプレイを備えて、視覚情報によって問い合わせをするものであってもよい。
【0087】
「ヒューマンインターフェースについて」
・上記実施形態では、運転者からの入力操作をするためのヒューマンインターフェースとして、マイクを例示したが、これに限らない。たとえばスイッチ等であってもよい。
【0088】
「特定の運転状況のための状況支援処理の有効または無効の更新について」
・上記実施形態では、機能単位支援処理の状態を、RAM45に記憶したがこれに限らない。たとえば記憶装置46に記憶してもよい。
【0089】
・上記実施形態では、トリップの開始の都度、機能単位支援処理のそれぞれの有効、無効の設定状態を、設定情報データDisによって定まっている状態に初期化したが、これに限らない。たとえば、前回のトリップの開始時の翌日以降のトリップの開始時に初期化してもよい。これにより、たとえば運転者が運転の途中で店等に立ち寄った後、再度運転を開始する場合に、前回のトリップの設定状態を活かすことができる。
【0090】
・たとえば、トリップの開始時であることに加えて、有効とすることとなった状況が解消した履歴があることを条件に、初期化してもよい。その場合、機能単位支援処理の全てについて設定情報データDisによって定まっている状態に更新するのではなく、有効とすることとなった状況が解消した履歴があるものについてのみ更新することが望ましい。すなわち、たとえば、S56の処理において否定判定された履歴がある場合、トリップの開始時において、車両VCが高速道路にないことを条件に、高速道路用推奨支援に関する機能単位支援処理の状態を初期化すればよい。この際、有効とすることとなった状況が解消した履歴がないものについて、その状況支援処理によって有効状態とされる機能単位支援処理については有効のままとする。すなわち、たとえば、雪道用推奨支援が有効な状態において、トリップ開始時に未だ雪道に位置する場合、雪道用推奨支援によって有効状態とされる機能単位支援処理については有効のままとする。
【0091】
・たとえば駐車時用推奨支援については、次のトリップの開始時にS94の処理を実行してもよい。
・トリップの開始時に、機能単位支援処理のそれぞれの有効、無効の設定状態が、設定情報データDisによって定まっている状態となるようにする処理としては、トリップの開始時に設定情報データDisによって定まっている状態に初期化する処理に限らない。たとえばトリップの終了時に設定情報データDisによって定まっている状態に初期化する処理であってもよい。ただし、その場合、機能単位支援処理の状態を、RAM45に記憶する代わりに記憶装置46に記憶する。
【0092】
・たとえば、特定の走行状況が解消した場合に、その特定の走行状況のための支援処理を無効とするかを問い合わせ、その問い合わせの結果、無効としない場合には、初期化をしなくてもよい。すなわち、たとえばS56の処理において否定判定される場合、高速道路用推奨支援によって有効とされる機能単位支援処理を初期化の対象から外してもよい。
【0093】
「挙動検出処理について」
・上記実施形態では車外カメラ22の車外画像データDpoから把握される車両の前方の画像の揺れに基づき、車両の挙動を検知したがこれに限らない。たとえば舵角センサ62によって検出される転舵角θsと、トルクセンサ64によって検出される操舵トルクTrqsとの少なくとも一方に基づき、車両の挙動を検知してもよい。またたとえば、加速度センサ66によって検出される横加速度Gyに基づき、車両の挙動を検知してもよい。
【0094】
「運転支援装置について」
・運転支援装置としては、ADASECU40に限らない。たとえばADASECU40と物体を検知するセンサの出力に基づき物体を検知する処理を実行するECUの少なくとも一部とが一体的に形成されたものであってもよい。すなわち、たとえばADASECU40とミリ波ECU10、画像ECU20、およびソナーECU30とが一体的に形成されたものであってもよい。
【0095】
またたとえば、ADASECU40と、ブレーキECU80、転舵ECU90および駆動ECU100のうちの少なくとも一部とが一体的に形成されたものであってもよい。
「実行装置について」
・実行装置としては、CPUとプログラムを格納するプログラム格納装置とを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。たとえば、上記実施形態においてソフトウェア処理されたものの少なくとも一部を、ハードウェア処理するたとえばASIC等の専用のハードウェア回路を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てを、プログラムに従って実行する処理装置と、プログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置およびプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置およびプログラム格納装置を備えたソフトウェア実行装置や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。
【0096】
「コンピュータについて」
・走行支援を行うコンピュータとしては、図1に例示したCPU42に限らない。たとえば、図5~7の処理についてはユーザの携帯端末が実行することとし、図3および図4の処理をCPU42が実行するようにしてもよい。ここで、たとえば図5におけるS50,S58の処理については、携帯端末がADASECU40に有効とする旨、または無効とする旨のリクエストをする処理とする。
【符号の説明】
【0097】
40…ADASECU
42…CPU
44…ROM
45…RAM
46…記憶装置
48…周辺回路
50…車内ネットワーク
図1
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図3
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図10