(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125735
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】床版防水構造の形成方法
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20220822BHJP
E01C 7/32 20060101ALI20220822BHJP
E01D 19/08 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
E01D19/12
E01C7/32
E01D19/08
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023490
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000232542
【氏名又は名称】日本特殊塗料株式会社
(72)【発明者】
【氏名】太田 亮
(72)【発明者】
【氏名】植山 隆文
【テーマコード(参考)】
2D051
2D059
【Fターム(参考)】
2D051AA01
2D051AC01
2D051AG09
2D051AG11
2D059AA14
2D059GG21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】床版上に防水層を形成するための施工法として、スプレー施工法以外の施工法を用いて施工する防水材とその形成方法を提供する。
【解決手段】床版上に、防水層、アスファルト舗装層が構成されてなる床版防水構造において、防水層は、MDIを含む少なくとも1種類以上のイソシアネート成分と、少なくとも1種類以上のポリアミン成分を含有し、上記成分を混合後の、20℃における可使時間が5分以上であり、かつ、スプレー施工法以外の施工法を用いて防水層を形成する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床版上に、防水層、アスファルト舗装層が構成されてなる床版防水構造において
防水層は、MDIを含む少なくとも1種類以上のイソシアネート成分と
少なくとも1種類以上のポリアミン成分を含有し、
上記成分を混合後の、20℃における可使時間が5分以上であり、かつ、
スプレー施工法以外の施工法を用いて防水層を形成すること
を特徴とする、床版防水構造の形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の床版防水構造の形成方法において、
手塗り施工法を用いて防水層を形成すること
を特徴とする、床版防水構造の形成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の床版防水構造の形成方法において、
防水層は少なくとも180℃以上の耐熱性を有する
ことを特徴とする、床版防水構造の形成方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の床版防水構造の形成方法において、
道路橋における床版に形成すること
を特徴とする、床版防水構造の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床版防水構造の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路橋などの道路の構造体は、長期間の耐久性を維持するために床版防水構造が採用されている。床版防水構造とは、コンクリート床版が直接雨水や融雪水に接触することで、該コンクリート床版が劣化することを防止するために、コンクリート床版上に各種の防水層を形成し、該防水層の上にアスファルト舗装工事がなされるものである。
【0003】
例えば、特許文献1には、床版の上に、ウレア樹脂、ウレタンウレア樹脂からなる群から選ばれる防水層を施工し、防水層表面の未反応のイソシアネート基が存在している状態でエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物のカルボキシル変性物を含有する接着組成物を施工し、更にアスファルト層を施工する工程による工法が開示されている。
また、特許文献2には、塗膜形成時の臭気が少なく、低粘度で塗布作業性に優れるポリウレタン系塗膜用組成物として、イソシアネート基を有する成分と、芳香族ポリアミン、ポリオール、水、湿分より選択される硬化成分と、希釈剤として炭素数6~10の脂環族炭化水素化合物からなる常温硬化ポリウレタン塗膜組成物が開示されている。
また、特許文献3には、床版上に防水層、舗装接着材層、アスファルト舗装層が積層されている床版防水構造において、防水層はイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとポリアミンとを含有する硬化性樹脂組成物を反応硬化させて得られるウレア系硬化型樹脂の層であり、該樹脂組成物において非反応性液体成分及びポリオールの合計含有率が10質量%未満であり、かつ前記舗装接着材層が、アスファルト系接着材又はホットメルト樹脂系接着材の層である床版防水構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-166203号公報
【特許文献2】特開2005-048118号公報
【特許文献3】特開2016-037848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者が検討したところ、防水材として主流である常温二液硬化型の防水材を施工する場合、二液成分を混合しながらスプレーする施工法が一般的であった。スプレー施工法においては、防水材の飛散が発生し、仮に既設の道路橋の床版防水工事を実施する場合には、道路交通の車線規制を行いつつ工事しなくてはならないため、走行車線の車に飛散対策として仮囲い等の養生工事が必要となる問題点があった。このため、スプレー施工法以外の、流し塗り施工法、レーキ施工法、鏝塗り施工法、刷毛塗り施工法、ローラー施工法等を用いて防水材を施工することが望ましいが、二液成分を混合後に、施工に必要な可使時間が確保され、なおかつ車線規制が短時間で解除することを可能とするため、速やかな硬化、更にはアスファルト舗装が行われるために防水層に耐熱性が付与される防水層の施工を行うことが必須となる。
【0006】
そこで本発明は、床版上に防水層を形成するための施工法として、スプレー施工法以外の施工法を用いて施工する防水材とその形成方法の開発を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
<1>
床版上に、防水層、アスファルト舗装層が構成されてなる床版防水構造において
防水層は、MDIを含む少なくとも1種類以上のイソシアネート成分と
少なくとも1種類以上のポリアミン成分を含有し、
上記成分を混合後の、20℃における可使時間が5分以上であり、かつ、
スプレー施工法以外の施工法を用いて防水層を形成すること
を特徴とする、床版防水構造の形成方法。
<2>
前記<1>に記載の床版防水構造の形成方法において、
手塗り施工法を用いて防水層を形成すること
を特徴とする、床版防水構造の形成方法。
<3>
前記<1>または<2>に記載の床版防水構造の形成方法において、
防水層は少なくとも180℃以上の耐熱性を有する
ことを特徴とする、床版防水構造の形成方法。
<4>
前記<1>~<3>のいずれかに記載の床版防水構造の形成方法において、
道路橋における床版に形成すること
を特徴とする、床版防水構造の形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、常温において二液成分を混合した後に、5分間以上の低粘度が維持されるため、流動性が担保され、スプレー施工法以外の流し塗り施工法、レーキ施工法、鏝塗り施工法、刷毛塗り施工法、ローラー施工法等を用いて防水材を床版上に施工することが容易である。なおかつ、低粘度維持時間の経過後においては、速やかな硬化反応が開始するため、迅速に防水層が形成され、更に形成される防水層には180℃以上の耐熱性を有するため、形成された防水層には引き続いてアスファルト舗装を施工することが可能となる。これにより、速やかに車線規制を解除することが可能となる。本発明は、従前の床版防水工事が実施されていた道路橋において、特に制限なく同様に施工することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の床版防水構造の形成方法においては、床版上にスプレー施工法以外の施工法により、MDIを含む少なくとも1種類以上のイソシアネート成分と少なくとも1種類以上のポリアミン成分を含有し、上記成分を混合後の、20℃における可使時間が5分以上である防水材を施工する。
【0011】
以下、本発明に係る床版防水構造の形成方法について説明する。以下の実施形態における各構成及びそれらの組み合わせは例であり、本発明は実施形態によって限定されることはない。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
【0012】
本発明に使用する二液成分硬化の防水材は、常温硬化の2液硬化型ポリウレタン樹脂を主成分として使用するものである。
【0013】
<イソシアネート成分>
本防水材に使用されるイソシアネートは多種類のものが知られているが、本発明においては、4,4′-または2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を含むことが望ましい。
その他、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネートのいずれも使用できるが、芳香族ジイソシアネートが好ましい。本実施形態において使用できるジイソシアネートとしては、例えば、トリス(6-イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートの付加体、2,4-トリレンジイソシアネート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート(2,6-TDI)及び2,4-TDIと2, 6-TDIの混合物、2,4-トリレンジイソシアネートの二量体、キシレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート(MXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ビフェニルジイソシアネート、ジフェニルエーテル-4,4′-ジイソシアネート、3,3′-ジトルエン-4,4′-ジイソシアネート(TODI)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)、3,3′-ジメチル-4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(TTI)、TDI(トリレンジイソシアネート)、IPDI(イソホロンジイソシアネート)、XDI(キシリレンジイソシアネート)、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)から選ばれる1種類以上が使用される。
【0014】
上記例示したイソシアネートの中でも、特にMDIのイソシアネートの使用が好ましい。MDIと他のイソシアネートとの混合比(質量比)は、100:0~50:50である。更により好ましくは、MDIを単独で使用する。
【0015】
<硬化剤成分>
本発明に使用する防水材において使用される硬化剤は、ポリアミン、ポリオールがあるが、特にポリアミンを使用することが望ましい。ポリオールは、ポリアミンに比較すると同条件においてイソシアネート成分との硬化反応速度が遅いためである。ポリアミンとしては特に使用できないポリアミンは無く、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン、脂肪族ポリアミン等従来公知のポリアミンを使用することができる。
【0016】
<その他配合物>
本発明に使用する防水材において、その他に配合されるものとしては、硬化反応を促進するための触媒、可塑剤、消泡剤、着色剤を挙げることができる。これらは硬化剤成分に予め混入される。
【0017】
本発明に使用する防水材におけるNCO%は、6%~14%であることが好ましい。6%未満であると反応密度が低く、硬化後の防水材の強度が低く物性が変化し易い。また、14%を超えると、塗装作業性や仕上がりに問題が生じ易いという不具合がある。
【0018】
本発明に使用する防水材において使用される触媒としては、ウレタン結合を形成する硬化反応速度を上げるために使用される、従来公知の触媒が使用される。ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の有機アミン、2エチルヘキサン酸などの酸触媒、その塩等を例示できる。
【0019】
本発明に使用する防水材において使用される可塑剤としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル、二塩基酸エステル、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油が例示できる。
【0020】
本発明に使用する防水材において使用される消泡剤としては、従来公知の親油系消泡剤が使用できる。アクリル樹脂系重合体、ビニル樹脂系重合体、シリコン樹脂、フッ素変性シリコン樹脂等が例示できる。
【0021】
本発明に使用する防水材において使用される着色剤としては、従来公知の着色顔料が使用できる。酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニン、アゾ、キナクリドン、ぺリレンなどの有機顔料、また、それらを扱い易く加工した着色ペースト等が例示できる。
【0022】
本発明に使用する防水材は、新設や既設の床版上に施工するが、床版上にプライマーを施工することがある。プライマーの施工は任意であるが、床版と防水層施工の密着性向上に寄与するものである。
【0023】
本発明に使用する防水材は、防水材施工作業を実施する直前に、イソシアネート成分と、その他の成分を含むポリアミン成分とを、反応当量比率による質量割合にて、混合容器に投入し、従来公知の混合器を用いて均一に混合分散させる。混合分散によりイソシアネート成分と硬化剤成分との硬化反応を迅速に開始させるため、混合分散は適切な撹拌機を用いて混合させることが必要である。撹拌機としてはディゾルバー、オートマーゼルミキサー、スタティックミキサー等が好適に使用できる。
【0024】
本発明に使用する防水材は、施工時の施工作業性と、迅速な硬化反応とを実現するために、施工環境に応じて適切な温度に加温することが好ましい。温度としては、5℃~40℃であり、更に好ましくは、10℃~30℃である。
【0025】
混合分散が完了した防水材は、可能な限り速やかに、床版上に施工する。施工法としてはスプレー施工法以外の施工法が選択される。即ち、流し塗り施工法、レーキ施工法、鏝塗り施工法、刷毛塗り施工法、ローラー施工法である。必要に応じて、複数の施工法を併用することも可能である。前記の施工法の中でも、特にレーキ施工法が好適に使用される。更に使用するレーキの接地面に、凹凸形状を施すことにより、防水材の塗膜を均一に形成可能となる。防水層の厚さとしては、必要な防水効果を得るための厚さが得られれば特に定めは無いが、一例としては0.3mm~8.0mm、好ましくは0.5mm~5.0mm、更に好ましくは1.0mm~2.0mmの防水層厚さを挙げることができる。
【0026】
防水層を施工後、形成された防水層表面に、アスファルト舗装を施工する前に接着強化バインダー及び舗装接着材の施工を行うことがある。接着強化バインダー及び舗装接着材の施工は任意であるが、防水層とアスファルト舗装との密着性の強化に寄与するものである。接着強化バインダー及び舗装接着材は、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体等の反応型・非反応型ホットメルト樹脂、反応型ウレタン樹脂、反応型ウレア樹脂、アスファルト系接着剤を使用することができる。接着強化バインダー及び舗装接着材は、ペレット又は粒子状の形状のものを防水層の上に散布する、シート状、フィルム状、織物状、不織布状の形状のものを防水層の上に敷設する、あるいは熱溶融・溶媒中に溶解させた状態で防水層の上に塗布するなどの方法で施工される。
【実施例0027】
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。
【0028】
〔実施例1〕
イソシアネート成分として、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、硬化剤成分として芳香族ポリアミン、触媒としてジブチルチンジラウレート、可塑剤としてフタル酸ジオクチル、消泡剤としてアクリル樹脂系重合体による消泡剤を予め配合した。イソシアネート成分と硬化剤成分とを、反応当量による質量を測定して、加温可能な混合容器に入れ、30℃に加温すると同時に撹拌機を用いて分散混合し、防水材1を得た。既設の道路橋の車線規制中の1車線において、従前の舗装及び防水層を撤去し、プライマーを施工したコンクリート床版上に、防水材1を流し延べ、接地面に凹凸形状が施されたレーキを使用して防水材1を施工し、均質な防水層を形成した。防水材1の混合分散終了から施工の終了までに要した時間は約4分であった。防水層形成の約1時間経過後に、防水層表面に接着強化バインダー及び舗装接着材を施工した。接着強化バインダー及び舗装接着材の施工の約3時間後に、接着強化バインダー及び舗装接着材の施工された防水層表面にアスファルト舗装を施工し、床版防水構造1を得た。
【0029】
〔実施例2〕
イソシアネート成分として、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、硬化剤成分として脂肪族ポリアミン、触媒としてジブチルチンジラウレート、可塑剤としてフタル酸ジオクチル、消泡剤としてアクリル樹脂系重合体による消泡剤を予め配合した。イソシアネート成分と硬化剤成分とを、反応当量による質量を測定して、加温可能な混合容器に入れ、30℃に加温すると同時に撹拌機を用いて分散混合し、防水材2を得た。既設の道路橋の車線規制中の1車線において、従前の舗装及び防水層を撤去し、プライマーを施工したコンクリート床版上に、防水材2を流し延べ、接地面に凹凸形状が施されたレーキを使用して防水材2を施工し、均質な防水層を形成した。防水材2の混合分散終了から施工の終了までに要した時間は約3分30秒であった。防水層形成の約1時間経過後に、防水層表面に接着強化バインダー及び舗装接着材を施工した。接着強化バインダー及び舗装接着材の施工の約3時間後に、接着強化バインダー及び舗装接着材の施工された防水層表面にアスファルト舗装を施工し、床版防水構造2を得た。
【0030】
〔比較例〕
イソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート(TDI)、硬化剤成分としてポリエステルポリオール、このポリオール成分に、触媒としてトリエチルアミン、可塑剤としてフタル酸ジオクチルを予め配合した。イソシアネート成分とポリオール成分とを、反応当量による質量を測定して、混合容器に入れ、撹拌機を用いて分散混合し防水材3を得た。既設の道路橋の車線規制中の1車線において、予め規制車線の周囲をビニールハウス形状の仮囲いを設置して飛散防止養生工事を行い、従前の舗装及び防水層を撤去し、プライマーを施工したコンクリート床版上に、防水材3をエアレススプレー塗装機により施工し、均質な防水層を形成した。防水材3の混合分散終了から施工の終了までに要した時間は約10分であった。防水層形成の約2時間経過後に、防水層表面に接着強化バインダー及び舗装接着材を施工した。接着強化バインダー及び舗装接着材の施工の約8時間後に、接着強化バインダー及び舗装接着材の施工された防水層表面にアスファルト舗装を施工し、床版防水構造3を得た。
【0031】
〔結果及び評価〕
実施例1及び実施例2の床版防水構造の施工に要する総時間は、約5時間であったのに対して、比較例の床版防水構造の施工に要する総時間は、約10時間であった。従って、本発明になる床版防水構造の施工工事は、従前の比較例の施工工事と比較して1/2程度に短縮された。
更に、本発明においては、比較例において必要であった飛散防止養生工事と、その撤去作業が不要となるため、これらの工事作業時間が無くなり、かつ工事作業コストが低減される効果がある。
また、飛散防止のための養生工事は、ビニールハウス形状の仮囲い等を設置する作業であるため、強風の環境下では作業が困難となるか、作業安全を優先して工事を延期せざるを得ない事態が発生する。従って、飛散防止のための養生工事が不要な本発明になる方法は、スプレー施工法に伴い飛散防止のための養生工事が必要となる従前の施工法と比較して、作業安全性に優れる。
なお、実施例1及び実施例2により施工された床版防水層は、一般社団法人日本建設機械施工協会 施工技術総合研究所が実施した床版防水層の性能照査試験〔グレード2〕に合格したものである。
【0032】
〔その他の実施形態〕
上述の実施形態は本願発明の例示であって、本願発明はこれらの例に限定されず、これらの例に周知技術や慣用技術、公知技術を組み合わせたり、一部置き換えたりしてもよい。また当業者であれば容易に思いつく改変発明も本願発明に含まれる。