(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125754
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】設計支援システムおよび設計支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20220822BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20220822BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20220822BHJP
G06Q 50/18 20120101ALI20220822BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
G06F17/50 680B
G06F17/50 604H
G06F17/50 612C
G06Q50/18
E04B1/00 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023524
(22)【出願日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 美帆
(72)【発明者】
【氏名】前田 正喜
【テーマコード(参考)】
5B046
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B046AA03
5B046BA10
5B046CA06
5B046HA05
5B046JA01
5B046KA05
5B146AA04
5B146BA01
5B146DC05
5B146DG02
5B146DJ14
5B146DL08
5L049CC32
(57)【要約】
【課題】建築物の所定設計事項について、各行政区域が定める法規を把握する労力を軽減できる設計支援システムおよび設計支援プログラムを提供する。
【解決手段】設計支援システムは、建築物の設計を支援する設計支援システムである。設計支援システムは、データを記憶するデータベースと、設計対象である対象建築物の建築地についての入力を受け付ける第1入力部と、導出部と、法規関連情報を出力する出力部と、を備える。データベースに記憶されるデータは、行政区域と、建築物の所定設計事項に関して行政区域の行政機関が定める法規に関連する法規関連情報と、が関連付けられたデータである。導出部は、対象建築物の建築地が含まれる行政区域を特定し、特定した行政区域の法規関連情報をデータから導き出す。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の設計を支援する設計支援システムであって、
行政区域と、建築物の所定設計事項に関して前記行政区域の行政機関が定める法規に関連する法規関連情報と、が関連付けられたデータを記憶するデータベースと、
設計対象である対象建築物の建築地についての入力を受け付ける第1入力部と、
前記対象建築物の前記建築地が含まれる前記行政区域を特定し、特定した前記行政区域の前記法規関連情報を前記データから導き出す導出部と、
前記法規関連情報を出力する出力部と、を備える
設計支援システム。
【請求項2】
前記法規関連情報は、前記建築物の前記所定設計事項についての法規の規定の仕方に関する情報を含む
請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
前記所定設計事項に対する設計値の入力を受け付ける第2入力部と、
前記法規関連情報と前記設計値とに基づいて、前記設計値に関連するメッセージを出力する処理部と、をさらに備え、
前記メッセージは、前記設計値の適否および前記法規に関する注意事項の少なくとも1つの情報を含む
請求項1または2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
前記処理部、前記法規関連情報が判定可能情報である場合、前記法規関連情報に基づいて前記設計値が前記法規を満たすか否かを判定し、前記メッセージとして判定結果を出力し、
前記判定可能情報は、前記設計値が前記法規を満たすか否かを判定できる、ことを示す情報である
請求項3に記載の設計支援システム。
【請求項5】
建築図面の作図を支援する設計部の動作を制限する制限部をさらに備え、
前記処理部は、前記設計値が前記法規を満たさないと判定する場合、前記制限部に指令を出すことによって前記設計部の動作を制限する
請求項4に記載の設計支援システム。
【請求項6】
前記処理部は、前記法規関連情報が判定困難情報である場合、前記メッセージとして、前記設計値が前記法規を満たすか否かの確認を促す確認喚起情報を出力し、
前記判定困難情報は、前記設計値が前記法規を満たすか否かを判定できない、ことを示す情報である
請求項3~5のいずれか一項に記載の設計支援システム。
【請求項7】
建築物の設計を支援する設計支援プログラムであって、
コンピュータに、
行政区域と、建築物の所定設計事項に関して前記行政区域の行政機関が定める法規に関連する法規関連情報と、が関連付けられたデータを記憶する記憶ステップと、
設計対象である対象建築物の建築地についての入力を受け付ける第1入力ステップと、
前記対象建築物の前記建築地が含まれる前記行政区域を特定し、特定した前記行政区域の前記法規関連情報を前記データから導き出す導出ステップと、
前記法規関連情報を出力する出力ステップと、
を実行させるための設計支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の設計を支援する設計支援システムおよび設計支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、構造解析システムが開示されている。構造解析システムは、単位積雪重量などのデータを用いて、建築物の構造解析を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築物の設計は、建築基準法などに定められる様々な法規を満たすように行われる。建築物に関する法規は、地域ごとに定められており、共通ではない。また、建築物に関する法規の規定の仕方も、地域によって異なっている。さらに、建築物に関する法規の改正は、様々なタイミングで行われる。このようなことから、設計者は、建築物の設計に関する法規の内容を把握することに、多くの時間を費やしている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する設計支援システムは、建築物の設計を支援する設計支援システムであって、行政区域と、建築物の所定設計事項に関して前記行政区域の行政機関が定める法規に関連する法規関連情報と、が関連付けられたデータを記憶するデータベースと、設計対象である対象建築物の建築地についての入力を受け付ける第1入力部と、前記対象建築物の前記建築地が含まれる前記行政区域を特定し、特定した前記行政区域の前記法規関連情報を前記データから導き出す導出部と、前記法規関連情報を出力する出力部と、を備える。この構成によれば、建築地を入力すれば法規関連情報が示されるため、建築物の所定設計事項について各行政区域が定める法規を把握する労力を軽減できる。
【0006】
(2)上記(1)の設計支援システムにおいて、前記法規関連情報は、前記建築物の前記所定設計事項についての法規の規定の仕方に関する情報を含む。この構成によれば、建築物の所定設計事項について、法規の内容を簡単に把握できる。
【0007】
(3)上記(1)または(2)の設計支援システムにおいて、前記所定設計事項に対する設計値の入力を受け付ける第2入力部と、前記法規関連情報と前記設計値とに基づいて、前記設計値に関連するメッセージを出力する処理部と、をさらに備え、前記メッセージは、前記設計値の適否および前記法規に関する注意事項の少なくとも1つの情報を含む。この構成によれば、ユーザは、設計値に対するメッセージを受け取ることができるため、対象建築物の所定設計事項に対して適切な対処を取ることが出来る。
【0008】
(4)上記(3)の設計支援システムにおいて、前記処理部は、前記法規関連情報が判定可能情報である場合、前記法規関連情報に基づいて前記設計値が前記法規を満たすか否かを判定し、前記メッセージとして判定結果を出力し、前記判定可能情報は、前記設計値が前記法規を満たすか否かを判定できる、ことを示す情報である。この構成によれば、設計値が法規を満たすか否かについてユーザに知らせることができる。
【0009】
(5)上記(4)の設計支援システムにおいて、建築図面の作図を支援する設計部の動作を制限する制限部をさらに備え、前記処理部は、前記設計値が前記法規を満たさないと判定する場合、前記制限部に指令を出すことによって前記設計部の動作を制限する。
【0010】
この構成によれば、設計値が法規を満たさない場合、設計部の動作が制限される。これによって、所定設計事項に対して法規を満たさない設計値を設定した状態のままで、ユーザが設計を進めることを抑制できる。
【0011】
(6)上記(3)~(5)のいずれか1つの設計支援システムにおいて、前記処理部は、前記法規関連情報が判定困難情報である場合、前記メッセージとして、前記設計値が前記法規を満たすか否かの確認を促す確認喚起情報を出力し、前記判定困難情報は、前記設計値が前記法規を満たすか否かを判定できない、ことを示す情報である。この構成によれば、所定設計事項に関する法規を設計値が満たすか否かについて、確認を怠らないように、ユーザを喚起することができる。
【0012】
(7)上記課題を解決する設計支援プログラムは、建築物の設計を支援する設計支援プログラムであって、コンピュータに、行政区域と、建築物の所定設計事項に関して前記行政区域の行政機関が定める法規に関連する法規関連情報と、が関連付けられたデータを記憶する記憶ステップと、設計対象である対象建築物の建築地についての入力を受け付ける第1入力ステップと、前記対象建築物の前記建築地が含まれる前記行政区域を特定し、特定した前記行政区域の前記法規関連情報を前記データから導き出す導出ステップと、前記法規関連情報を出力する出力ステップと、を実行させる。この構成によれば、建築地を入力すれば法規関連情報が示されるため、建築物の所定設計事項について各行政区域が定める法規を把握する労力を軽減できる。
【発明の効果】
【0013】
上記設計支援システムおよび設計支援プログラムは、建築物の所定設計事項について、各行政区域が定める法規を把握する労力を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1~
図7を参照して、設計支援システムについて説明する。
設計支援システム1は、建築物の設計を支援するシステムである。建築物の設計に関連する法規について説明する。
【0016】
建築物の設計は、法規によって制限される。法規は、行政機関または議会によって定められる。ここで、法規は、法律、施行令、規則、通達を含む。法規は、建築物に関連する所定の設計事項(以下、所定設計事項)を規定する。
【0017】
所定設計事項は、構造設計に関係する事項である。所定設計事項の例として、垂直積雪量、風圧力を算出するための基準風速、および、地震力を算出するための地震地域係数が挙げられる。垂直積雪量は、積雪荷重を算出するための値である。垂直積雪量、基準風速および地震地域係数は、建築物の構造設計に使われる。
【0018】
所定設計事項の内容は、各行政区域によって異なる。降雪量は地域によって大きく異なることから、垂直積雪量は、行政区域ごとに定められている。同じ行政区域内でも、場所によって垂直積雪量が異なる場合もある。垂直積雪量に関する規定の仕方も、行政区域ごとに異なる。
【0019】
例えば、第1行政区域では、第1行政区域内の全域において、垂直積雪量は、共通の固定値に定められる。第2行政区域では、第2行政区域を細分化した細分化区域ごとに、垂直積雪量が定められる。第3行政区域では、第3行政区域の特定区域においては、垂直積雪量は、標高を含む所定の計算式から算出される値に定められる。第3行政区域の特定区域以外の区域においては、垂直積雪量は、共通の固定値に定められる。第4行政区域では、地図上において、垂直積雪量が定められる。さらに、一部の行政区域では、垂直積雪量を低減する緩和規定も存在する。緩和規定の一例は、雪下ろしを条件として垂直積雪量を低減するという規定である。
【0020】
このように、所定設計事項は、行政区域ごとに異なり、かつ、規定の仕方も様々である。法規は、各行政区域の行政機関のホームページから確認できる。しかし、ホームページにおいて垂直積雪量についての説明の仕方も様々である。このようなことから、建築物の設計者は、その内容を把握するために、多くの時間を要している。
【0021】
設計支援システム1は、上述のような所定設計事項に関して、建築物の設計を支援する。設計支援システム1は、データベース11と、第1入力部12と、導出部13と、出力部14とを備える。設計支援システム1は、さらに、第2入力部15と、処理部16と、制限部17とを備える。設計支援システム1は、さらに、記憶部18を備える。記憶部18は、第1入力部12および第2入力部15を介して入力される情報を記憶する。
【0022】
一例では、データベース11、導出部13、および、出力部14は、サーバ21に設けられる。サーバ21は、コンピュータおよび記憶装置によって構成される。サーバ21は、ネットワークNに接続されてもよい。ネットワークNの例は、インターネット、ローカルネット、および、専用回線網である。
【0023】
第1入力部12、第2入力部15、処理部16、および、制限部17は、端末22に設けられる。記憶部18は、端末22に設けられてもよい。記憶部18は、端末22と独立して設けられてもよい。端末22は、例えば、パーソナルコンピュータである。端末22は、設計部19および表示部20を有してもよい。設計部19は、建築図面の作図を支援する。設計部19は、CAD(computer-aided design)プログラムを有する。設計部19は、ユーザの入力に基づいて、構造設計計算を行う。
【0024】
表示部20は、第1入力部12の第1入力画面25、第2入力部15の第2入力画面26、および、各種のメッセージ50を表示する。表示部20は、液晶モニタ、有機ELモニタ、またはCRT(cathode-ray tube)モニタによって構成される。
【0025】
端末22は、設計支援システム1の一部の機能を有する。設計部19が端末22に設けられる場合、端末22は、建築物の設計にも使用される。端末22は、直接にサーバ21に接続されてもよい。端末22は、ネットワークNを介してサーバ21に接続されてもよい。
【0026】
データベース11は、データを記憶する。データは、行政区域と法規関連情報とが関連付けられたデータである。法規関連情報は、建築物の所定設計事項に関して、行政区域の行政機関が定める法規に関連する情報である。具体的には、法規関連情報は、建築物の所定設計事項についての法規の規定の仕方に関する情報を含む。
【0027】
図2を参照して、データを説明する。
データの形式の一例は、テーブルである。データは、行政区域と、法規関連情報とを含む。データは、行政区域の名称を含んでもよい。データにおいて、行政区域と、行政区域の行政機関が定める法規に関連する法規関連情報とが互いに関連付けられている。
【0028】
図2に記載の例では、所定設計事項は垂直積雪量である。法規関連情報は、垂直積雪量に関して、行政区域の行政機関が定める法規に関連する情報である。法規関連情報は、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報の少なくとも1つを含む。
【0029】
第1情報は、行政区域の全域において、垂直積雪量が共通であるか否かを示す情報である。「全域共通」は、行政区域の全域において、垂直積雪量が共通であることを示す。「地域区域」は、行政区域内の地域別に、垂直積雪量が規定されていることを示す。
【0030】
第2情報は、垂直積雪量の規定の仕方を示す。「固定値」は、行政区域または行政区域の特定の場所において、垂直積雪量として固定値が設定されていることを示す。「計算」は、計算式によって垂直積雪量が導かれることを示す。
【0031】
第3情報は、垂直積雪量について行政機関が定める具体的内容を示す。例えば、「80cm超区域あり」は、垂直積雪量は80cmよりも大きい値でなければならない区域があることを示す。
【0032】
第4情報は、第1情報が「全域共通」であり、かつ、第2情報が「固定値」である場合において、垂直積雪量の法定値を示す。第4情報は、処理部16がメッセージ50を作成する場合に、処理部16によって参照される情報である。
【0033】
第5情報は、垂直積雪量に関して、緩和規定が設定されているか否かを示す情報である。第5情報は、処理部16がメッセージ50を作成する場合に、処理部16によって参照される情報である。
【0034】
図3を参照して、第1入力部12について説明する。
第1入力部12は、ユーザの操作によって起動する。第1入力部12は、起動によって第1入力画面25を表示部20に出力する。第1入力部12は、設計対象である建築物に関する物件情報についての入力を受け付ける。以降では、設計対象である建築物を「対象建築物」と称呼する。物件情報には、各種の情報が関連付けられる。例えば、物件情報に、対象建築物の設計図と、第2入力部15を介して入力される情報とが関連付けられる。
【0035】
図3は、第1入力部12の第1入力画面25である。第1入力画面25は、端末22の表示部20に示される。ユーザは、第1入力部12を介して、対象建築物に関する物件情報を入力できる。
【0036】
第1入力部12は、入力された情報を記憶部18に送る。
具体的には、第1入力部12は、対象建築物の名称についての入力を受け付ける。対象建築物の名称は、対象建築物を特定できる名称であればよい。名称は、対象建築物の所有者の名称であってもよい。名称は、対象建築物の建築地の番地であってもよい。名称は、対象建築物の商品名であってもよい。
【0037】
第1入力部12は、対象建築物の建築地についての入力を受け付ける。第1入力部12は、建築地として、地名で受け付けてもよい。第1入力部12は、建築地として、緯度および経度で受け付けてもよい。
【0038】
第1入力部12は、対象建築物の名称と、建築地とを関連付けて記憶部18に記憶させる。第1入力部12の第1入力画面25は、第1入力ボックス31と、第2入力ボックス32とを備える。第1入力ボックス31は、「対象建築物の名称」が入力されるボックスである。第2入力ボックス32は、「建築地」が入力されるボックスである。
【0039】
導出部13は、第1入力部12に建築地が入力されたとき、動作する。または、導出部13は、第2入力部15の動作の開始とともに、動作する。導出部13は、対象建築物の建築地が含まれる行政区域を特定する。一例では、導出部13は、全国の地名と行政区域とを関連付けた行政区画データに基づいて、建築地が含まれる行政区域を特定する。行政区画データは、テキストデータであってもよいし、地図データであってもよい。導出部13は、特定した行政区域の法規関連情報をデータから導き出す。導出部13は、特定した行政区域を対象建築物と関連づけて記憶部18に記憶する。導出部13は、特定した行政区域の法規関連情報を出力部14に出力する。
【0040】
出力部14は、法規関連情報を出力する。具体的には、出力部14は、第2入力部15が起動するとき、第2入力部15に出力する。法規関連情報は、第2入力部15が形成する第2入力画面26に示される情報として第2入力部15によって使用される。出力部14は、ユーザの要求指令に基づいて、対象建築物の建築地が含まれる行政区域とともに行政区域の法規関連情報を出力してもよい。
【0041】
図4を参照して、第2入力部15について説明する。
第2入力部15は、ユーザの操作によって起動する。ユーザは、所定設計事項について、設計値を設定する場合に、第2入力部15を起動する。第2入力部15は、起動によって第2入力画面26を形成し、第2入力画面26を表示部20に出力する。第2入力部15は、対象建築物について、所定設計事項に関する情報を含む第2入力画面26を形成する。
【0042】
第2入力部15は、所定設計事項に対する設計値の入力を受け付ける。本実施形態では、第2入力部15は、垂直積雪量に関する設計値の入力を受け付ける。具体的には、第2入力部15は、垂直積雪量に対する設計値、緩和規定の利用の有無、および、建築地の標高を受け付ける。第2入力部15は、法規に関連する情報にアクセスできるリンクを有する。
【0043】
第2入力部15の第2入力画面26は、区域表示ボックス40と、第1表示ボックス41、第2表示ボックス42と、第3表示ボックス43と、第3入力ボックス44と、第4入力ボックス45と、第1オプションボタン46と、第2オプションボタン47と、第1リンクボタン48と、第2リンクボタン49とを備える。
【0044】
区域表示ボックス40は、行政区域を示すボックスである。行政区域は、対象建築物の建築地を示す。区域表示ボックス40に示される行政区域は、第1入力部12に入力された行政区域と同じである。
【0045】
第1表示ボックス41は、第1情報を表示するボックスである。第2表示ボックス42に示される第1情報は、第1入力部12に入力された行政区域に基づいて導出部13がデータから導き出した第1情報である。
【0046】
第2表示ボックス42は、第2情報を表示するボックスである。第2表示ボックス42に示される第2情報は、第1入力部12に入力された行政区域に基づいて導出部13がデータから導き出した第2情報である。
【0047】
第3表示ボックス43は、第3情報を表示するボックスである。第2表示ボックス42に示される第3情報は、第1入力部12に入力された行政区域に基づいて導出部13がデータから導き出した第3情報である。
【0048】
第3入力ボックス44は、対象建築物の所定設計事項についての「設計値」が入力されるボックスである。第4入力ボックス45は、対象建築物の建築地の「標高」が入力されるボックスである。
【0049】
第1オプションボタン46は、垂直積雪量に対する設定値の設定において、緩和規定を利用する場合に選択されるボタンである。第2オプションボタン47は、垂直積雪量に対する設定値の設定において、緩和規定を利用しない場合に選択されるボタンである。
【0050】
第1リンクボタン48は、所定ホームページへのリンクボタンである。所定ホームページは、区域表示ボックス40に示される行政区域の行政機関が管理するホームページであって、所定設計事項に関する法規を説明するページである。第2リンクボタン49は、全国の標高を表す地図情報へのリンクボタンである。
【0051】
ユーザは、対象建築物の建築地における行政区域の行政機関が定める法規について、第2入力部15から各種の情報を得ることができる。ユーザは、第2入力部15から、第1情報~第3情報を参照して、設計値を定めることができる。ユーザは、第1リンクボタン48から法規に関して正確な情報を得ることができる。ユーザは、設計値を設定する際に標高が必要である場合、第2リンクボタン49から建築地の標高を調べることができる。
【0052】
第2入力部15は、入力された情報を記憶部18に送る。第2入力部15を介して入力される設計値は、設計部19、および、処理部16で利用される。具体的には、設計値は、構造設計計算のために設計部19によって使用される。設計値は、メッセージ50の作成時で処理部16によって使用される。
【0053】
図5~
図7を参照して、処理部16について説明する。
処理部16は、入力された設計値と法規関連情報とに基づいて、設計値に関連するメッセージ50を出力する。
【0054】
処理部16は、第2入力部15に設計値が入力されたとき、設計値に関連するメッセージ50を出力する。処理部16は、メッセージ50を、第2入力部15の第2入力画面26に重なるように表示する。メッセージ50は、第2入力画面26に被るように表示される。処理部16は、ユーザが設計部19のCADプログラムを起動したとき、設計値に関連するメッセージ50を出力してもよい。メッセージ50は、設計値の適否、および、設計値に関連する法規についての注意事項の少なくとも1つの情報を含む。
【0055】
処理部16の第1動作を説明する。
処理部16は、法規関連情報が判定可能情報である場合、法規関連情報に基づいて設計値が法規を満たすか否かを判定し、メッセージ50として判定結果を出力する。判定可能情報は、設計値が法規を満たすか否かを判定できることを示す情報である。
【0056】
具体的には、判定可能情報は、第1情報が「全域共通」であり、かつ、第2情報が「固定値」である、という情報である。この場合、行政区域の全域で、共通の固定値が設定されていることから、「行政区域」および「固定値」のみによって、「設計値」が行政区域の法規を満たしているか否かを判定できる。
【0057】
処理部16は、第1情報が「全域共通」であり、かつ、第2情報が「固定値」である場合に、設計値が第4情報の値以上であるか否かを判定する。第4情報の値は、法定で規定されている値である。
【0058】
処理部16は、設計値が第4情報の値以上の値であると判定する場合、「設計積雪量は、法定積雪量を満たします。」というメッセージ50を出力する。メッセージ50の出力は、省略されてもよい。
【0059】
図5に示されるように、処理部16は、設計値が第4情報の値よりも小さい値であると判定する場合、「設計積雪量は、法定積雪量を満たしていません。法定積雪量を確認の上、設計積雪量を登録ください。」というメッセージ50を出力する。
【0060】
処理部16の第2動作を説明する。
処理部16は、法規関連情報が判定困難情報である場合、メッセージ50として、確認喚起情報を出力する。確認喚起情報は、設計値が法規を満たすか否かの確認を促す情報である。判定困難情報は、設計値が法規を満たすか否かを判定できないことを示す情報である。
【0061】
具体的には、判定困難情報は、判定可能情報以外の情報である。例えば、判定困難情報の例は、第1情報が「地域区域」であるという情報、第2情報が「計算」であるという情報、および、第5情報が「緩和規定あり」であるという情報である。第1情報が「地域区域」である場合、「行政区域」および「設計値」のみによって、「設計値」が行政区域の法規を満たしているか否かを判定できない。第2情報が「計算」である場合、「行政区域」および「設計値」のみによって、「設計値」が行政区域の法規を満たしているか否かを判定できない。第5情報が「緩和規定あり」である場合、「行政区域」および「設計値」のみによって、「設計値」が行政区域の法規を満たしているか否かを判定できない。このようなことから、処理部16は、法規関連情報が判定困難情報である場合、設計値が法規を満たすか否かの判定を行わず、メッセージ50として、確認喚起情報を出力する。
【0062】
一例では、
図6に示されるように、処理部16は、第1情報が「全域共通」であり、第2情報が「固定値」であり、かつ、第5情報が「緩和規定あり」である場合において、設定値が第4情報の値を満たさない場合、「設計積雪量は、雪下ろし等緩和規定の利用前の法定積雪量を満たしていません。雪下ろし等緩和規定を利用する場合、その利用を登録ください。」という確認喚起情報を含むメッセージ50を出力する。
【0063】
他の例では、
図7に示されるように、処理部16は、第1情報が「地域区域」である場合、「この行政区域では、区域によって、異なる法定積雪量が規定されていますので、ご注意ください。」という確認喚起情報を含むメッセージ50を出力する。
【0064】
処理部16は、設計値が法規を満たさないと判定する場合、制限部17に指令を出すことによって設計部19の動作を制限する。制限部17は、設計部19の動作を制限するように構成される。制限部17は、プログラムによって構成される。制限の例としては、設計部19の構造設計計算の動作を禁止すること、および、設計部19を起動させる操作を無効とすること、が挙げられる。
【0065】
例えば、処理部16は、第1情報が「全域共通」であり、かつ、第2情報が「固定値」である場合において、設定値が第4情報の値を満たさない場合、制限部17に指令を出すことによって設計部19の動作を制限する。このとき、設計部19の動作が制限されるため、ユーザは、設計部19によって構造設計を行うことが出来ない。
【0066】
設計支援システム1の動作を説明する。
ユーザは、対象建築物の所定設計事項について設計値を入力する場合、第2入力部15を起動する。導出部13は、第2入力部15とともに動作する。導出部13は、第1入力部12または記憶部18から対象建築物の建築地を取得し、建築地から行政区域を特定し、データから行政区域に対応する法規関連情報を導き出す。出力部14は、法規関連情報を第2入力部15に出力する。第2入力部15は、導出部13によって導出された法規関連情報を使用して、第2入力画面26を形成する。第2入力画面26には、法規関連情報が示される。
【0067】
ユーザが、第2入力画面26を介して設計値を入力すると、処理部16が動作する。処理部16は、設計値および法規関連情報に基づいて、所定の処理を実行する。処理部16は、法規関連情報が判定可能情報である場合、設計値の適否を判定し、設計値についての判定結果を含むメッセージ50を出力する。処理部16は、法規関連情報が判定困難情報である場合、設計値が法規を満たすか否かの確認を促すメッセージ50を出力する。
【0068】
本実施形態の作用を説明する。
設計支援システム1において、データベース11は、行政区域と法規関連情報とが関連付けられたデータを記憶する。データベース11によれば、行政区域を特定することによって、データベース11に記憶されているデータから行政区域の法規関連情報を導き出すことができる。導出部13は、対象建築物の建築地が含まれる行政区域を特定し、特定した行政区域の法規関連情報をデータから導き出す。法規関連情報は、建築物の所定設計事項に関して行政区域の行政機関が定める法規に関連する情報である。出力部14は、法規関連情報を出力する。このため、ユーザは、建築物の建築地を入力することによって、所定設計事項に関する法規関連情報を得ることができ、所定設計事項に関する法規を把握できる。
【0069】
本実施形態の効果を説明する。
(1)設計支援システム1は、データベース11と、建築地についての入力を受け付ける第1入力部12と、導出部13と、法規関連情報を出力する出力部14と、を備える。データベース11は、行政区域と法規関連情報とが関連付けられたデータを記憶する。導出部13は、対象建築物の建築地が含まれる行政区域を特定し、特定した行政区域の法規関連情報をデータから導き出す。この構成によれば、建築地を入力すれば法規関連情報が示されるため、建築物の所定設計事項について各行政区域が定める法規を把握する労力を軽減できる。
【0070】
(2)法規関連情報は、建築物の所定設計事項についての法規の規定の仕方に関する情報を含む。この構成によれば、建築物の所定設計事項について、法規の内容を簡単に把握できる。
【0071】
(3)設計支援システム1は、所定設計事項に対する設計値の入力を受け付ける第2入力部15と、処理部16とをさらに備える。処理部16は、法規関連情報と設計値とに基づいて、設計値に関連するメッセージ50を出力する。メッセージ50は、設計値の適否および法規に関する注意事項の少なくとも1つの情報を含む。この構成によれば、ユーザは、設計値に対するメッセージ50を受け取ることができるため、対象建築物の所定設計事項に対して適切な対処を取ることが出来る。
【0072】
(4)処理部16は、法規関連情報が判定可能情報である場合、法規関連情報に基づいて設計値が法規を満たすか否かを判定し、メッセージ50として判定結果を出力する。この構成によれば、設計値が法規を満たすか否かについてユーザに知らせることができる。
【0073】
(5)設計支援システム1は、制限部17を備える。制限部17は、建築図面の作図を支援する設計部19の動作を制限する。処理部16は、設計値が法規を満たさないと判定する場合、制限部17に指令を出すことによって設計部19の動作を制限する。
【0074】
この構成によれば、設計値が法規を満たさない場合、設計部19の動作が制限される。これによって、所定設計事項に対して法規を満たさない設計値を設定した状態のままで、ユーザが設計を進めることを抑制できる。
【0075】
(6)処理部16は、法規関連情報が判定困難情報である場合、メッセージ50として、設計値が法規を満たすか否かの確認を促す確認喚起情報を出力する。この構成によれば、所定設計事項に関する法規を設計値が満たすか否かについて、確認を怠らないように、ユーザを喚起することができる。
【0076】
<変形例>
上記実施形態は、設計支援システム1が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。設計支援システム1は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
【0077】
・本技術は、設計支援プログラムとして構成できる。
設計支援プログラムは、コンピュータに実行させる次のステップを含む。設計支援プログラムは、記憶ステップと、第1入力ステップと、導出ステップと、出力ステップとを有する。コンピュータは、サーバ21および端末22を含む。端末22は、ネットワークNを介してサーバ21に接続されていてもよいし、直接にサーバ21に接続されていてもよい。
【0078】
記憶ステップは、データを記憶するようにコンピュータに動作させるステップである。具体的には、記憶ステップは、コンピュータがデータを記憶する記憶状態を維持するステップを含む。データは、行政区域と法規関連情報とが関連付けられたデータである。法規関連情報は、実施形態に示した内容と同じである。
【0079】
第1入力ステップは、設計対象である対象建築物の建築地についての入力を受け付けるように、コンピュータに動作させるステップである。一例では、第1入力ステップは、コンピュータに、第1入力画面25を表示部20に出力させて、第1入力画面25を介する入力を受け付けさせるように、動作させる。
【0080】
導出ステップは、対象建築物の建築地が含まれる行政区域を特定するように、コンピュータに動作させ、さらに、特定した行政区域の法規関連情報をデータから導き出すように、コンピュータに動作させるステップである。
【0081】
出力ステップは、法規関連情報を出力するように、コンピュータに動作させるステップである。一例では、出力ステップは、コンピュータに法規関連情報を第2入力部15に出力させる。他の例では、出力ステップは、コンピュータにユーザの要求指令に基づいて、対象建築物の建築地が含まれる行政区域とともに行政区域の法規関連情報を表示部20に出力させる。
【0082】
設計支援プログラムによれば、建築地を入力すれば法規関連情報がコンピュータに示される。このため、建築物の所定設計事項について各行政区域が定める法規を把握する労力を軽減できる。
【0083】
・処理部16は、行政区域の行政機関が定める法規をチェックするチェック機能を有してもよい。処理部16は、チェック機能によって、法規に変更がないかをチェックする。一例では、処理部16は、行政区域ごとに、行政機関のホームページのコピーを記憶する。処理部16は、所定のタイミングで、行政機関のホームページにアクセスし、アクセス時の行政機関のホームページと、前回アクセス時にコピーした行政機関のホームページとを比較し、ホームページの差を検出する。処理部16は、ホームページの差がある場合、ホームページの差が生じた区域について、法規が改正された可能性があることを示す注意メッセージを出力する。所定のタイミングは、所定の周期であってもよいし、ユーザの指定に基づく時期であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…設計支援システム
11…データベース
12…第1入力部
13…導出部
14…出力部
15…第2入力部
16…処理部
17…制限部
19…設計部
50…メッセージ