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特開2022-125781フォークリフト、フォークリフトの制御装置、及び、フォークリフトの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022125781
(43)【公開日】2022-08-29
(54)【発明の名称】フォークリフト、フォークリフトの制御装置、及び、フォークリフトの制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021023563
(22)【出願日】2021-02-17
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち人工知能未来農業創造プロジェクト)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】深尾 隆則
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 亮介
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333FA04
3F333FA25
3F333FD04
3F333FD07
3F333FD14
3F333FD15
3F333FE05
3F333FE09
(57)【要約】
【課題】コンテナの段積を自動で行うことができるフォークリフトを提供する。
【解決手段】フォークリフト1は、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォーク22を含んだ荷役装置20と、センサ31~33と、センサからのセンサ信号を用いて、動作制御を行うコントローラ15と、を備え、コントローラは、センサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナCO1の複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするように動作制御を行う、ように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、
センサと、
前記センサからのセンサ信号を用いて、動作制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記センサ信号を用いて、前記フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、前記第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、
前記複数の第1の位置及び前記複数の第2の位置を用いて、前記第1のコンテナと前記第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、
前記複数の第1の位置及び前記複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、前記第1のコンテナの第1の基準点と、前記第2のコンテナに段積されたときに前記第1の基準点に相対する前記第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、
前記角度の誤差と前記位置の誤差とを小さくするように前記動作制御を行う、ように構成されている
フォークリフト。
【請求項2】
前記動作制御は、
前記フォークリフトの走行制御と、
前記フォークの左右方向のスライド制御と、
前記フォークの昇降制御と、を含む
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記第1の位置は、前記第1のコンテナの底面に含まれる位置であり、
前記第2の位置は、前記第2のコンテナの上面に含まれる位置である
請求項1又は2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記第1の位置は、前記第1のコンテナの前記底面において前記フォークリフトに最も遠い縁に含まれる位置であり、
前記第2の位置は、前記第2のコンテナの前記上面において前記フォークリフトに最も遠い縁に含まれる位置である
請求項3に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記センサは、
前記フォーク上の前記第1のコンテナを検知範囲に含むように設置された第1のセンサと、
検知範囲が前記第1のセンサより下方かつ前方を含むように設置された第2のセンサと、を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項6】
前記センサは、前記第1のコンテナ及び前記第2のコンテナそれぞれの側面を検知範囲に含むように、それぞれ、前記フォークに搭載された前記第1のコンテナより外側に設置された右センサ及び左センサを含む
請求項1~5のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項7】
前記センサは、位置が可変に取り付けられている
請求項1~6のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項8】
前記センサは、対象物までの距離を検知する距離センサである
請求項1~7のいずれか一項に記載のフォークリフト。
【請求項9】
マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、を有するフォークリフトに搭載される制御装置であって、
前記センサからのセンサ信号を用いて、前記フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、前記第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、
前記複数の第1の位置及び前記複数の第2の位置を用いて、前記第1のコンテナと前記第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、
前記複数の第1の位置及び前記複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、前記第1のコンテナの第1の基準点と、前記第2のコンテナに段積されたときに前記第1の基準点に相対する前記第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、
前記角度の誤差と前記位置の誤差とを小さくするように前記フォークリフトの動作制御を行う、ように構成されている
制御装置。
【請求項10】
マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、を有するフォークリフトの制御方法であって、
前記センサからのセンサ信号を用いて、前記フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、前記第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、
前記複数の第1の位置及び前記複数の第2の位置を用いて、前記第1のコンテナと前記第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、
前記複数の第1の位置及び前記複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、前記第1のコンテナの第1の基準点と、前記第2のコンテナに段積されたときに前記第1の基準点に相対する前記第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、
前記角度の誤差と前記位置の誤差とを小さくするように前記フォークリフトの動作制御を行う、ことを含む
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フォークリフト、フォークリフトの制御装置、及び、フォークリフトの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農作業において、網パレットなどのコンテナに収納された収穫物をフォークリフトによって運搬することがなされる。その際、コンテナの上にコンテナを段積する多段積みを行う場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-278799号公報
【発明の概要】
【0004】
特開平11-278799号公報(特許文献1)は、フォークリフトを無人運転するためにカメラなどのセンサを搭載するフォークリフトの制御装置を提案している。このため、多段積みの際に特許文献1に開示されているような無人運転の技術を適用することも考えられる。
【0005】
この点について、たとえフォークリフトを下の段となるコンテナまで正確に無人運転し、フォークの昇降が適切に制御されたとしても、フォークリフトに搭載して運搬するコンテナのフォークリフトに対する位置関係によっては意図したように段積されない場合があるという課題を発明者らは見出した。そのため、発明者らは、コンテナの段積を自動で行うことができるフォークリフト、フォークリフトの制御装置、及び、フォークリフトの制御方法を研究した。
【0006】
ある実施の形態に従うと、フォークリフトは、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、センサからのセンサ信号を用いて、動作制御を行う制御装置と、を備え、制御装置は、センサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするように動作制御を行う、ように構成されている。
【0007】
ある実施の形態に従うと、制御装置は、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、を有するフォークリフトに搭載される制御装置であって、センサからのセンサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするように動作制御を行う、ように構成されている。
【0008】
ある実施の形態に従うと、制御方法は、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、を有するフォークリフトの制御方法であって、センサからのセンサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするようにフォークリフトの動作制御を行う、ことを含む。
【0009】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係るフォークリフトの側面概略図である。
図2図2は、実施の形態に係るフォークリフトの正面概略図である。
図3図3は、実施の形態に係るフォークリフトの平面概略図である。
図4図4は、実施の形態に係るフォークリフトでコンテナを段積する動作の一例を表した図である。
図5図5は、実施の形態に係るフォークリフトの機能ブロック図である。
図6図6は、フォークリフトに搭載されるセンサから得られた、第1のコンテナ及び第2のコンテナそれぞれの位置の検出結果の一例である。
図7図7は、実施の形態に係るフォークリフトの動作制御を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態に係るフォークリフトの動作制御を説明するための図である。
図9図9は、実施の形態に係るフォークリフトの動作制御を説明するための図である。
図10図10は、実施の形態に係るフォークリフトの制御方法の一例を表したフローチャートである。
図11図11は、発明者らによる検証実験の結果を示した図である。
図12図12は、発明者らによる検証実験の結果を示した図である。
図13図13は、発明者らによる検証実験の結果を示した図である。
図14図14は、発明者らによる検証実験の結果を示した図である。
図15図15は、発明者らによる検証実験の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<1.フォークリフト、フォークリフトの制御装置、及び、フォークリフトの制御方法の概要>
【0012】
(1)実施の形態に係るフォークリフトは、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、センサからのセンサ信号を用いて、動作制御を行う制御装置と、を備え、制御装置は、センサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするように動作制御を行う、ように構成されている。
【0013】
センサは、対象物の位置を検知するためのセンサであって、一例として、距離センサである。距離センサは、一例としてカメラであって、例えば、RGB-Dカメラ、ステレオカメラ、ライダー(LiDAR:Light Detection And Ranging)などである。
【0014】
第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差と位置の誤差とを小さくするような動作制御を行うことによって、フォークに搭載された第1のコンテナと第2のコンテナとの角度を小さくし、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナの第2の基準点とを一致させるようにできる。これにより、フォークに搭載された第1のコンテナを、自動運転にて第2のコンテナに段積させることが可能になる。この動作制御によって高精度で段積され得ることについては、後述する発明者らの実験によって実証された。
【0015】
(2)好ましくは、動作制御は、フォークリフトの走行制御と、フォークの左右方向のスライド制御と、フォークの昇降制御と、を含む。一例として、動作制御は、走行制御を行い、その後に、スライド制御を行い、その後に昇降制御を行うものである。これにより、第1のコンテナを第2のコンテナに高精度で段積させることができる。
【0016】
(3)好ましくは、第1の位置は、第1のコンテナの底面に含まれる位置であり、第2の位置は、第2のコンテナの上面に含まれる位置である。これにより、第1のコンテナを第2のコンテナに段積させることができる。
【0017】
(4)好ましくは、第1の位置は、第1のコンテナの底面においてフォークリフトに最も遠い縁に含まれる位置であり、第2の位置は、第2のコンテナの上面においてフォークリフトに最も遠い縁に含まれる位置である。これにより、第1の位置及び第2の位置が、フォークリフトに搭載されたセンサによって高精度で検出される。後述する発明者の実験によって、高精度で検出されることが実証されている。
【0018】
(5)好ましくは、センサは、フォーク上の第1のコンテナを検知範囲に含むように設置された第1のセンサと、検知範囲が第1のセンサより下方かつ前方を含むように設置された第2のセンサと、を含む。一例として、第1センサの上下角度と第2センサの上下角度とが異なるように設置されている。他の例として、第1センサの左右角度と第2センサの左右角度とが異なるように設置されている。これにより、第1の位置及び第2の位置が、フォークリフトに搭載されたセンサによって高精度で検出される。
【0019】
(6)好ましくは、センサは、第1のコンテナ及び第2のコンテナそれぞれの側面を検知範囲に含むように、それぞれ、フォークに搭載された第1のコンテナより外側に設置された右センサ及び左センサを含む。これにより、第1の位置及び第2の位置が、フォークリフトに搭載されたセンサによって高精度で検出される。
【0020】
(7)好ましくは、センサは、位置が可変に取り付けられている。これにより、第1のコンテナのサイズに応じてセンサの位置を変更することができる。
【0021】
(8)好ましくは、センサは、対象物までの距離を検知する距離センサである。
【0022】
(9)実施の形態に係る制御装置は、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、を有するフォークリフトに搭載される制御装置であって、センサからのセンサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするように動作制御を行う、ように構成されている。これにより、フォークリフトを(1)~(8)に記載のフォークリフトとして動作させることができる。
【0023】
(10)実施の形態に係る制御方法は、マストに沿って昇降する昇降部に昇降自在に支持されたフォークを含んだ荷役装置と、センサと、を有するフォークリフトの制御方法であって、センサからのセンサ信号を用いて、フォークに搭載された第1のコンテナの複数の第1の位置と、第1のコンテナが段積される第2のコンテナの複数の第2の位置とを検出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置を用いて、第1のコンテナと第2のコンテナとの角度の誤差を算出し、複数の第1の位置及び複数の第2の位置それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナの第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナの第2の基準点との位置の誤差を算出し、角度の誤差と位置の誤差とを小さくするようにフォークリフトの動作制御を行う、ことを含む。これにより、フォークリフトを(1)~(8)に記載のフォークリフトとして動作させることができる。
【0024】
<2.フォークリフト、フォークリフトの制御装置、及び、フォークリフトの制御方法例>
【0025】
図1図4に示される本実施の形態に係るフォークリフト1は、一例としてカウンタバランス式のフォークリフトとする。フォークリフト1は、車両本体10と、荷物の積み降ろしを行う荷役装置20と、を有する。
【0026】
車両本体10は、操作者が搭乗する搭乗部11と、搭乗部11の上方に配置されたヘッドガード12と、ヘッドガード12を支持するステー13と、車輪14と、を含む。搭乗部11から車両本体10の正面を向く方向を前、その逆を後ろ、車輪14からヘッドガード12に向かう方向を上、その逆を下とする。
【0027】
車両本体10の内部には、制御装置である、後述するコントローラ15が搭載されており、コントローラ15は動作制御を行う。
【0028】
荷役装置20は、車両本体10の前方に取り付けられた、上下方向に伸縮するマスト21と、マスト21の前方にマスト21に沿って昇降する昇降部であるリフトブラケット22Aと、リフトブラケット22Aに支持されたフォーク22と、を有する。また、荷役装置20は、リフトブラケット22Aをマスト21に対して左右にスライドする、図示しない機構を有する。この機構を用いてフォーク22の左右方向の位置を制御することは、サイドシフト制御とも呼ばれる。
【0029】
フォークリフト1は、第1のセンサ31、第2のセンサ32、及び、第3のセンサ33を有する。第1のセンサ31、第2のセンサ32、及び、第3のセンサ33は、いずれも、対象物の位置を検知するためのセンサであって、一例として、距離センサである。距離センサは、一例としてカメラであって、例えば、RGB-Dカメラ、ステレオカメラ、ライダー(LiDAR:Light Detection And Ranging)などである。
【0030】
対象物の位置を検知するためのセンサは、他の例として、位置センサであってもよい。位置センサは、たとえば、PSD(Position Sensitive Detector)センサや、超音波センサやGPS(Global Positioning System)センサなどであってよい。
【0031】
センサ31,32,33からのセンサ信号はコントローラ15に入力されるコントローラ15は、これらセンサ信号を用いて動作制御を行う。第1のセンサ31、第2のセンサ32、及び、第3のセンサ33は、一例として、リフトブラケット22Aに配置されている。
【0032】
なお、以降の説明では、センサ31,32,33がすべてフォークリフト1に搭載されているものとしているが、少なくとも1つがフォークリフト1の外に設置されていてもよい。その場合、センサでは、コントローラ15に予め設定されている基準からの距離や相対位置が検出され、その結果がコントローラ15に渡される。
【0033】
図2及び図3に表されたように、第1のセンサ31は、フォーク22上の第1のコンテナCО1を検知範囲SR1に含むように設置される。第2のセンサ32は、フォークリフト1が第2のコンテナCO2に接近したときに、第2のコンテナCO2を検知範囲SR2に含むように設置される。フォークリフト1が第2のコンテナCO2に接近することは、フォークリフト1に配置された第2のセンサ32の検知範囲に第2のコンテナCO2が入る程度の距離に接近することを含み、一例として、1.5m程度まで近づくことを指す。
【0034】
具体的には、第1のセンサ31及び第2のセンサ32は、それぞれ、フォーク22に搭載される第1のコンテナCО1より外側に設置された右センサ及び左センサを含む。すなわち、図2に示されたように、第1のセンサ31及び第2のセンサ32それぞれの左右センサの幅WSは、第1のコンテナCО1の幅WCより大きい。なお、第1のセンサ31と第2のセンサ32とは、左右センサの幅が同じであってもよいし、異なってもよい。いずれであっても、左右センサの幅は、フォークリフト1の走行の妨げとならないように狭い方がよい。
【0035】
図2及び図3に表されたように、第1のセンサ31の左右センサは、それぞれ、第1のコンテナCО1より外側から第1のコンテナCО1の側面への入射度を大きくするような角度で設置されている。これにより、第1のセンサ31は、フォーク22に搭載された第1のコンテナCО1の側面を検知することができる。
【0036】
図2及び図3に表されたように、第2のセンサ32の左右センサは、それぞれ、検知範囲SR2が第1のセンサ31の検知範囲SR1より下方かつ前方を含むような角度で設置されている。これにより、第2のセンサ32は、フォークリフト1が第2のコンテナCO2に接近したときに、フォーク22に第1のコンテナCО1が搭載された状態で、第2のコンテナCO2の側面を検知することができる。
【0037】
なお、第1のコンテナCО1より外側に設置することは、一例として、リフトブラケット22Aから左右に延びるアームで第1のセンサ31及び第2のセンサ32それぞれが保持されていることであってよい。これにより、第1のセンサ31及び第2のセンサ32を第1のコンテナCО1より外側に配置することができる。好ましくは、上記アームは長さが可変である。これにより、第1のコンテナCO1の幅に応じて第1のセンサ31及び第2のセンサ32それぞれの左右センサの間隔を調整することができる。
【0038】
第3のセンサ33は、フォークリフト1の正面にある物体の距離を検出するように、正面向きに設置されている。言い換えると、第3のセンサ33は、検知方向が、フォークリフト1の前進方向の基準線STと一致するように設置される。
【0039】
コントローラ15は、動作制御を行う。動作制御は、エンジンなどの図示しない駆動部の駆動などを制御することを含む。また、動作制御は、荷役装置20の駆動制御を含む。荷役装置20の駆動制御は、フォーク22の左右方向のスライド制御と、上下方向の昇降制御と、を含む。昇降制御は、リフトブラケット22Aの図示しない駆動部の駆動などを制御することを含む。これにより、フォークリフト1の走行や荷役が制御される。すなわち、フォークリフト1は、原則としてコントローラ15の制御に従った自動運転及び自動荷役動作が行われる。
【0040】
図4を用いて、本実施の形態に係るフォークリフト1の動作制御について説明する。フォークリフト1は、フォーク22に積載された第1のコンテナCO1を、第2のコンテナCO2に段積するよう動作制御される。第2のコンテナCO2は、フォーク22に非積載のコンテナであって、具体的には、フォークリフト1と相対的に異なる挙動をする状態に置かれたコンテナである。
【0041】
第2のコンテナCO2は、例えば、フォークリフト1の走行する地面G1に置かれていてもよいし、地面G1上の台G2の置かれていてもよい。台G2は、例えば、トラックの荷台などでもよい。また、台G2は、他のコンテナであってもよい。すなわち、他のコンテナの上に段積された第2のコンテナCO2に対して、さらに第1のコンテナCO1を段積する、つまり、3段以上の多段積みであってもよい。
【0042】
第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2は、一般的なコンテナである。ここでのコンテナは、貨物の運搬用の機材であって、一例として、内部に貨物を収容可能なものを指す。また、ここでのコンテナには、上部に貨物を載荷可能なパレットや、折り畳み可能なパレットコンテナや、側部がメッシュで形成されたメッシュコンテナ、などを含む。
【0043】
図4の例において、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2は同形状とする。これらの形状は異なってもよい。異なる形状である場合、例えば、第1のコンテナCO1が貨物を収容可能なコンテナ、第2のコンテナCO2が上部に貨物を載荷可能なパレットであってもよい。
【0044】
図4のA部分の拡大図を参照して、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2は、4枚の側壁51と底部52とを有する。側壁51及び底部52はメッシュ形状であってもよい。
図4の例では、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2の側壁51の上面側は開放されている。さらに、図4の例では、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2の底部52側の4頂点には、それぞれ、下方に延びる脚部53が設けられている。脚部53の先端、つまり、底部52から遠い側の端部には爪部54が設けられている。第2のコンテナCO2の上面側が開放されているため、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積する際、第1のコンテナCO1の爪部54を第2のコンテナCO2の側壁51の上面側の縁部55に係止する。
【0045】
なお、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2は、それぞれ、爪部54及び縁部55を有するものに限定されない。他の例として、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2は、それぞれ、爪部54及び縁部55を有しなくてもよい。この場合、フォークリフト1は、第2のコンテナCO2の図示しない上面に第1のコンテナCO1の底部52を直接積載してもよい。
【0046】
図4に示されたように、フォークリフト1での動作制御は、フォーク22に積載された第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2が置かれた位置まで運搬するようフォークリフト1の走行が制御され(ステップS1)、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に載荷する動作制御を含む。第2のコンテナCO2に載荷する動作制御は、フォーク22をスライド制御し(ステップS2)、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2の位置の左右方向にあわせてから降下させる(ステップS3)動作を含む。
【0047】
図5を参照して、コントローラ15は、プロセッサで構成される制御部41及びメモリ42を備えるコンピュータによって構成される。メモリ42は、一次記憶装置であってもよいし、二次記憶装置であってもよい。メモリ42には、プロセッサによって実行されるプログラム421が格納されている。プログラム421がプロセッサによって実行されることで、コンピュータがコントローラ15として機能する。制御部41は、プロセッサがプログラム421を実行することによってフォークリフト1を動作制御するための制御部として機能し、動作制御のための処理を実行する。
【0048】
コントローラ15には、センサ31,32,33からのセンサ信号が入力される。センサ信号は、対象物までの距離を示している。センサ31,32,33が上記のようにカメラである場合、センサ信号は、例えば、撮影画像である。
【0049】
コントローラ15は、駆動部17の駆動量を得る。駆動部17は、リフトブラケット22Aをマスト21に沿って昇降させるための油圧シリンダや、マスト21の角度を調整するための油圧シリンダや、車輪14を駆動させるためのエンジンやモータ、リフトブラケット22Aをマスト21に対して左右にスライドする油圧シリンダ、などである。これら駆動部17は、コントローラ15による制御に従って駆動し、コントローラ15はその制御に応じて駆動量を得ることができる。駆動部17の駆動量は、例えば、油圧ポンプの吐出量やエンジンの回転数などである。また、これら駆動部17に駆動量を検出するセンサが含まれる場合、コントローラ15には、駆動部17から駆動量を示す信号が入力される。
【0050】
動作制御のための処理は、検出処理411を含む。検出処理411は、センサ31~33からのセンサ信号を用いて、フォーク22に搭載された第1のコンテナCO1の複数の第1の位置P1と、第2のコンテナCO2の複数の第2の位置P2とを検出することを含む。
【0051】
図4を参照して、第1の位置P1は、第1のコンテナCO1の底面に含まれる位置である。第2の位置P2は、第2のコンテナCO2の上面に含まれる位置である。これにより、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積する際の位置合わせが可能になる。
【0052】
好ましくは、第1の位置P1は、図4に示されるように、第1のコンテナCO1の底面の、フォークリフト1に最も遠い縁に含まれる位置である。例えば、第1のコンテナCO1が矩形の場合、下面側の、フォークリフト1に最も遠い頂点である。これにより、第1のセンサ31がリフトブラケット22Aに取り付けられている場合でも、精度よく第1の位置P1が得られる。
【0053】
好ましくは、図4の下側の図に示されるように、第2の位置P2は、第2のコンテナCO2の上面のフォークリフト1に最も遠い縁に含まれる位置である。例えば、第2のコンテナCO2が矩形の場合、上面側の、フォークリフト1に最も遠い頂点である。すなわち、好ましくは、第2の位置P2は、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積した際に、上記の第1の位置P1に相対する位置である。これにより、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積する際の位置合わせが可能になる。
【0054】
好ましくは、図4の上側の図に示されるように、第2の位置P2は、第2のコンテナCO2の上面のフォークリフト1に最も近い縁に含まれる位置を含む。すなわち、第2の位置P2は、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積した際に、上記の第1の位置P1に相対する位置である。例えば、第2のコンテナCO2が矩形の場合、上面側の、フォークリフト1に最も近い頂点である。これにより、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積する際に、第1のコンテナCO1の下面を第2のコンテナCO2の上面よりも上方にして、接触しないように動作制御できる。
【0055】
位置P1,P2を検出する処理においては、一例として、ノイズ除去や平面検出の従来の手法をそのまま適用してもよい。センサ31~33としてRGB-Dカメラなどを用いる場合、外界による影響を受け、センサ信号にノイズや欠損を含む場合があるためである。
【0056】
しかしながら、従来の手法を適用すると、コンテナの縁や頂点がノイズとして扱われ、失われてしまう場合もある。そこで、好ましくは、位置P1,P2を検出する処理において、領域拡張法(Region Growing)を利用する。
【0057】
領域拡張法は、領域拡張を繰り返し、目標輪郭を抽出する手法である。領域拡張法では、データから1点(Seed)を決定し、Seedの近傍点が所定条件内であれば同じ領域として得られた点を新たなSeedとして領域を広げる。所定条件は、例えば、距離や法線などを用いた条件である。
【0058】
領域拡張法を適用する場合、検出処理411においては、コンテナの側面は、下の4つのステップをセンサ信号から得られたすべての点群に対して行うことによって求められる。
ステップ1:粗く推定を行い、明らかなノイズを除去する
ステップ2:得られた点群から重心を求める
ステップ3:重心からx,y,z軸それぞれの距離に応じて周囲の点群が同じ領域に属するか決定する
ステップ4:繋がった点を新たなSeedとしてステップ3を再度行う
【0059】
図6は、発明者らによる、RGB-Dカメラの撮影画像に領域拡張法を適用した第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2の頂点の検出結果を表している。図6に表されたように、領域拡張法を適用することによって、高精度で第1の位置P1及び第2の位置P2が検出される。
【0060】
動作制御のための処理は、算出処理412を含む。算出処理412は、複数の第1の位置P1及び複数の第2の位置P2を用いて、第1のコンテナCO1と第2のコンテナCO2との角度の誤差である第1の誤差を算出することを含む。また、算出処理412は、複数の第1の位置P1及び複数の第2の位置P2それぞれの少なくとも1つを用いて、第1のコンテナCO1の第1の基準点と、第2のコンテナに段積されたときに第1の基準点に相対する第2のコンテナCO2の第2の基準点との位置の誤差である第2の誤差を算出することを含む。
【0061】
動作制御のための処理は、動作制御処理413を含む。動作制御処理413は、算出処理412で得られた第1の誤差と第2の誤差とを小さくするよう動作制御する処理を含む。誤差を小さくすることは、一例として、誤差を0にすることであってもよいし、誤差を所定の閾値以下とすることであってもよい。動作制御処理413は、駆動部17を駆動させる制御信号を生成し、出力することを含む。これにより、第1のコンテナCO1が第2のコンテナCO2に段積されるように、フォークリフトの走行、及び、フォーク22の昇降が制御される。
【0062】
動作制御の原理について、図7を用いて説明する。複数の第1の位置P1を用いて、第1のコンテナCO1の第1の基準点PP1を設定し、複数の第2の位置P2を用いて、第2のコンテナCO2の第2の基準点PP2を設定する。図7に示されるように、第1の基準点PP1は、例えば、2頂点である第1の位置P1の中点であり、第2の基準点PP2は、例えば、2頂点である第2の位置P2の中点である。
【0063】
フォークリフト1の進行方向に対して、フォーク22に搭載された第1のコンテナCO1のなす角度を角度θf、及び、第2のコンテナCO2がなす角度を角度θgとし、フォークリフト1の走行面(例えば地面)に対してxy座標系を設定したとき、第1の基準点PP1及び第2の基準点PP2を下のように定義する。このとき、第2の誤差のx方向の誤差e1、y方向の誤差e2、及び、第1の誤差e3は、図7の式(1)で表される。なお、フォークリフト1の進行方向は、第3のセンサ33の検知方向である基準線STとする。
PP1=(xf,yf,θf)
PP2=(xg,yg,θg)
【0064】
動作制御は、一例として、Path Following制御であってもよい。Path Following 制御とは、参照軌道を走行する仮想的においた参照車両Ve2に実車両Ve1を追従させる制御である。Path Following制御の具体例について、図8及び図9を用いて説明する。
【0065】
実車両Ve1の運動学モデルを、図8に示された非ホロノミック車両モデルとする。このとき、実車両Ve1の運動学モデルは、xy座標系における実車両Ve1の位置(x,y)、実車両Ve1の進行方向とx軸とのなす角θ、実車両Ve1の速度v、及び、実車両Ve1の角速度ωを用いて、図8の式(2)で表される。
【0066】
参照車両Ve2の運動学モデルは式(2)と同様に、図9の式(3)で表される。ここで、参照車両Ve2からみた実車両Ve1に対する前後方向の誤差が誤差e1、横方向の誤差が誤差e2、及び、角度の誤差が誤差e3となる。式(2)、(3)より、誤差e1,e2,e3は、式(4)で表される。
【0067】
式(4)を時間微分すると、式(5)が得られる。Path Following制御では、参照車両Ve2と実車両Ve1とが並走していると想定するため、誤差e1及びe1の微分値を0とする。これにより、参照車両Ve2の速度vrが下の式で表される。
vr=v・cos(e3)+e2・ωr
【0068】
式(5)は、上の速度vrの式を代入することで式(6)のように書き換えられる。得られた式(6)に角速度ωを表す下の式(7)を代入する。式(7)において、K2及びK3は設計パラメータで正の定数である。これにより誤差e2,e3の収束性が保証され、参照車両Ve2への実車両Ve1の追従が可能となる。
ω=ωr-v・K2・e2-K3・sin(e3) …(7)
【0069】
動作制御処理413では、一例として、上の制御を適用して、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積させるためのフォークリフト1やフォーク22の移動速度vrや角速度ωを求める。動作制御処理413では、角速度ωを移動角度に変換し、得られた移動速度v及び移動角度を用いてフォークリフト1の走行及びフォーク22の昇降を制御する制御信号を生成する。
【0070】
図10を用いて、本実施の形態に係るフォークリフト1の制御方法を説明する。図10の処理は、フォーク22に第1のコンテナCO1を積載し、第2のコンテナCO2に段積する自動運転を開始すると、コントローラ15によって開始される。コントローラ15には、センサ31,32,33からのセンサ信号が入力される。センサ信号は、一例として、メモリ42に一時的に記憶されてもよい。自動運転が開始すると、制御部41はメモリ42からプログラム421を読み出して実行する。
【0071】
図10を参照して、制御部41は、センサ信号を読み出し(ステップS101)。制御部41は、読み出したセンサ信号を用いて検出処理411を実行することによって、第1のコンテナCO1の複数の第1の位置P1、及び、第2のコンテナCO2の複数の第2の位置P2を検出する(ステップS103,S105)。なお、ステップS103,S105の検出順は、この順に限定されない。
【0072】
ステップS103では、第1の位置P1として複数の頂点が検出され、好ましくは、底面のフォークリフト1から最も遠い2頂点が検出される。また、ステップS105では、第2の位置P2として複数の頂点が検出され、好ましくは、上面のフォークリフト1から最も遠い2頂点が検出される。
【0073】
制御部41は、ステップS103,S105で検出した第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2それぞれから検出した複数の第1の位置P1及び第2の位置P2から、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2それぞれの基準点PP1,PP2を算出する(ステップS107)。基準点PP1,PP2は、それぞれ、一例として、第1のコンテナCO1から検出された2頂点の中点、及び、第2のコンテナCO2から検出された2頂点の中点、つまり、底面のフォークリフト1から最も遠い辺の中点、及び、上面のフォークリフト1から最も遠い辺の中点である。
【0074】
制御部41は、ステップS103,S105で検出した第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2それぞれから検出した複数の第1の位置P1及び第2の位置P2を用いて、フォークリフト1の進行方向からの第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2それぞれの角度θf,θgを算出する(ステップS109)。ステップS109で制御部41は、一例として、ステップS103で検出した第1のコンテナCO1の2つの第1の位置P1を通る直線の法線が第3のセンサ33の検知方向である基準線STに対してなす角度と、ステップS105で検出した第2のコンテナCO2の2つの第2の位置P2を通る直線の法線が基準線STに対してなす角度と、を算出する。
【0075】
制御部41は、ステップS107で算出した基準点PP1(xf,yf,θf),PP2(xg,yg,θg)、及び、ステップS109で算出した角度θf,θgから、第2の誤差のx方向の誤差e1、y方向の誤差e2、及び、第1の誤差e3を算出する(ステップS111)。これら誤差は、図7の式(1)で表される。
【0076】
なお、位置の誤差は、第1の基準点PP1と第2の基準点PP2との誤差に限定されない。他の例として、いずれか1つの第1の位置P1と、複数の第2の位置P2のうちの第1の位置P1に対応した第2の位置P2との誤差であってもよい。
【0077】
制御部41は、誤差e1,e2,e3それぞれを閾値Th1,Th2,Th3と比較する。閾値Th1,Th2,Th3は、それぞれ、第1のコンテナCO1の第2のコンテナCO2への段積が成功したと判断されるx方向で規定される位置の誤差、y方向で規定される位置の誤差、及び、基準STに対してなす角度の誤差の大きさである。
【0078】
誤差e1,e2,e3のうちの1つでも閾値Th1,Th2,Th3より大きい場合(ステップS113でNO)、制御部41は、誤差e1,e2,e3を小さくするように、一例としてPath Following制御を行うための駆動量を算出する(ステップS115)。そして、制御部41は、算出した駆動量で駆動部17の動作制御を行う(ステップS117)。
【0079】
制御部41は、以上の処理を、誤差e1,e2,e3のすべてが閾値Th1,Th2,Th3以下となるまで繰り返す。誤差e1,e2,e3のすべてが閾値Th1,Th2,Th3以下となると(ステップS113でYES)、制御部41は、動作制御を終了する。
【0080】
以上の制御方法においては、第2のコンテナCO2の位置のみならず、フォーク22上の第1のコンテナCO1の位置も検出される。そして、それらから得られた誤差を小さくするように動作制御される。これにより、フォーク22への第1のコンテナCO1の搭載のされ方によらず、第2のコンテナCO2に意図した位置関係で段積させることができる。そのため、第2のコンテナCO2の位置のみ検出して動作制御する場合より高精度で、フォーク22に搭載された第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積させることができる。
【0081】
発明者らは、本実施の形態に係る制御方法でのコンテナの自動多段積みを確認するために、フォークリフト1を用いて実証実験を行った。実証実験においては、地面に設置した第2のコンテナCO2に、フォーク22に積載した第1のコンテナCO1を自動で段積する動作制御を行った。
【0082】
実証実験に用いたフォークリフト1は、豊田自動織機geneB 8FB25を自動化用に改造したもの、センサ31,32は、Intel社のIntel RealSense Depth Camera D455であるRGB-Dカメラを用いた。
【0083】
第1の実証実験においては、フォーク22に積載された第1のコンテナCO1の前方1.4m、横0.5m、0.15radの地面上に、第2のコンテナCO2を配置した。すなわち、第1の実証実験における第1のコンテナCO1と第2のコンテナCO2との位置関係は、横方向のずれ横方向の位置の誤差(以下、横偏差)0.5m、角度の誤差(以下、角度偏差)0.15radである。
【0084】
フォークリフト1の、第2のコンテナCO2近傍までの速度vを0.1m/sとし、第2のコンテナCO2近傍での速度vを0.05m/sとした。また、上記式(7)の係数K2を1.2、K3を1.0とした。
【0085】
第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2は、いずれも、幅約1.2m、高さ約1m、奥行き約約1mのものを用いた。第1のコンテナCO1の爪部54は縦7cm、横5cmであった。第2のコンテナCO2は、キャベツの模型を収容した状態で用いた。第1のコンテナCO1の爪部54の大きさ、リフトブラケット22Aをマスト21に対して左右にスライドする機構のスライド可能範囲が0.1mであること、などから、横偏差の目標値を0.1m、角度偏差の目標値を0.034radと設定し、目標値に達したら「成功」として、自動段積の成否を検証した。
【0086】
実証実験においては、本実施の形態に係る制御方法を用いて、次のような動作制御を行った。すなわち、計測開始から3秒付近からフォークリフト1の走行を開始し、20秒付近で停止する。その後、サイドシフト制御によってフォーク22を左右方向に調整し、第1のコンテナCO1と第2のコンテナCO2との横偏差を0にする。その後、第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積する。
【0087】
図11は、第1の実証実験において、センサ信号から得られた、第2のコンテナCO2の上面の左右の頂点のx、y座標の時間変化を表している。図11では、右をフォークリフト1の走行開始時、左を終了時として表している。図11の曲線Lが、フォークリフト1から見て左側の頂点、曲線Rが右側の頂点の座標を表している。
【0088】
図11の結果より、第1の実証実験では、フォークリフト1の第2のコンテナCO2までの距離が近づくにつれて、左右どちらの頂点の座標も安定的に取得されることが確認できた。
【0089】
図12は、第1の実証実験において、センサ信号から得られた、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2それぞれの、フォークリフト1の走行方向に対する角度θf,θgの時間変化を表している。
【0090】
図12の結果より、第1の実証実験では、第1のコンテナCO1の角度θfは安定に取得されることが確認できた。第2のコンテナCO2の角度θgは、図11で示されたように、フォークリフト1の第2のコンテナCO2までの距離が近づいて頂点の座標が安定的に取得されるようになると、値が収束してくることが確認された。
【0091】
図13は、第1の実証実験における、第1のコンテナCO1の第1の基準点PP1からの、第2のコンテナCO2の第2の基準点PP2の横偏差の時間変化を表している。図14は、第1の実証実験における角度偏差の時間変化を表している。ここで、第1の基準点PP1及び第2の基準点PP2は、それぞれ、第1のコンテナCO1及び第2のコンテナCO2の中心点とした。
【0092】
図13及び図14の結果より、第1の実証実験では、第2のコンテナCO2に第1のコンテナCO1を段積する際には、横偏差と角度偏差との両方とも0に収束していることが確認された。なお、20秒付近において角度偏差が約0.01rad程度であるが目標値以下である。
【0093】
発明者らは、さらに、第1のコンテナCO1と第2のコンテナCO2との位置関係を変化させて、上記の要領で第2の検証実験~第8の検証実験を行った。図15は、第1の検証実験~第8の検証実験における位置関係と自動段積の成否とを示した図である。図1より、8回の検証実験のうちの6回は段積に成功している。このことから、本実施の形態に係る制御方法を用いることによって、フォーク22に搭載された第1のコンテナCO1を第2のコンテナCO2に段積する自動制御が高精度で実現されると検証された。
【0094】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 :フォークリフト
10 :車両本体
11 :搭乗部
12 :ヘッドガード
13 :ステー
14 :車輪
15 :コントローラ
17 :駆動部
20 :荷役装置
21 :マスト
22 :フォーク
22A :リフトブラケット
31 :第1のセンサ
32 :第2のセンサ
33 :第3のセンサ
41 :制御部
42 :メモリ
51 :側壁
52 :底部
53 :脚部
54 :爪部
55 :縁部
411 :検出処理
412 :算出処理
413 :動作制御処理
421 :プログラム
CO1 :第1のコンテナ
CO2 :第2のコンテナ
G1 :地面
G2 :台
P1 :第1の位置
P2 :第2の位置
PP1 :第1の基準点
PP2 :第2の基準点
SR1 :検知範囲
SR2 :検知範囲
ST :基準線
Ve1 :実車両
Ve2 :参照車両
e1 :誤差
e2 :誤差
v :速度
vr :速度
θf :角度
θg :角度
ω :角速度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15